説明

半導体発光素子、及びその製造方法

【課題】製造工程の工程数の増大を抑制しつつ、受光面での反射光に起因するノイズが抑制される半導体受光素子、及び、その製造方法の提供。
【解決手段】半導体入射光の光軸に対して法線方向が斜交して配置される受光面と、該受光面との交差稜線に対して対称的に形成される傾斜面と、を有するとともに、該入射光を受光して電気信号に変換する受光素子部、を複数備える、半導体受光素子であって、1の前記受光素子部への入射光の光軸と、該入射光が該受光面で反射してなる反射光の光軸とからなる入射面が、該反射光の進行方向側で、少なくとも他の1の前記受光素子部への入射光の光軸と交差しないように、該他の1の受光素子部が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子、及びその製造方法に関する。特に、裏面入射型半導体受光素子の受光面での反射光に起因するノイズを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信装置などに備えられる受光モジュールにおいて、外部より光ファイバー等へ入力される信号光を半導体受光素子が受光し、受光した光を半導体受光素子が電気信号に変換している。しかしながら、受光モジュールの内部へ入射する信号光の一部が、半導体受光素子の受光面などで反射され、その反射光が光ファイバー等に戻ることで、受光モジュールを備える装置においてノイズの原因になり得る。
【0003】
信号光の反射に起因するノイズを抑制する従来技術が、特許文献1乃至特許文献3に記載されている。特許文献1及び特許文献2では、光ファイバより入射する入射光の光軸に対して、受光素子を搭載する面が傾斜しているサブマウントを配置することにより、受光素子の受光面からの反射光が光ファイバに戻ることを抑制している。また、特許文献3には、受光素子の受光面をドライエッチングにより傾斜をつけることにより、反射光が光ファイバに戻ることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−186321号公報
【特許文献2】特開平8−94887号公報
【特許文献3】特開平5−152599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、従来技術に係る半導体受光素子101を備える受光モジュールの概略斜視図である。ここで、半導体受光素子101は、裏面入射型の受光素子部を複数備えるアレイ型受光素子である。図7には、4個の光ファイバ40が示されており、各々の光ファイバ40は、対応する4個の受光素子部へ光を出射している。この光は、受光素子部への入射光50であり、受光素子部は入射光50を受光して電気信号に変換している。入射光50の一部は、受光素子部の内部へは進入することなく受光面で反射され、反射光51となる。反射光51が光ファイバ40に戻ることにより、受光モジュールを備える装置においてノイズの原因となる。なお、受光モジュールにおいて、半導体受光素子101は、サブマウント41の上に配置されている。また、半導体受光素子101の受光面には反射防止膜が形成されており、反射防止膜は、反射光51の強度が低下される膜厚に成膜されている。
【0006】
受光素子を搭載する面が傾斜しているサブマウントを用いる場合、傾斜面を有するサブマウントに加工する工程や、受光素子をサブマウントに実装する工程において、作業工程が増大しコストが増大する。さらに、受光素子がサブマウントに実装された実装品を特性評価する際に、平坦なサブマウントに実装する場合と比較して、困難な場合が生じることとなる。
【0007】
また、特許文献3には、ドライエッチングにより、受光素子の受光面を傾斜をつける技術が開示されている。具体的には、エッチングマスクとして受光領域を囲むようにホトレジストマスクを形成し、例えば6°斜め方向からイオンビームを照射してドライエッチングを行うことにより、傾斜がつけられた受光面を形成するとの記載がある。しかし、実際に、このような角度でイオンビームを照射して、傾斜がつけられた受光面を形成することは困難である。それにもかかわらず、イオンビームにより受光面に傾斜をつける困難を克服する方法について、具体的な開示や示唆はなされていない。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程の工程数の増大を抑制しつつ、受光面での反射光に起因するノイズが抑制される半導体受光素子、及び、その製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る半導体受光素子は、入射光の光軸に対して法線方向が斜交して配置される受光面と、該受光面との交差稜線に対して対称的に形成される傾斜面と、を有するとともに、該入射光を受光して電気信号に変換する受光素子部、を複数備える、半導体受光素子であって、1の前記受光素子部への入射光の光軸と、該入射光が該受光面で反射してなる反射光の光軸とからなる入射面が、該反射光の進行方向側で、少なくとも他の1の前記受光素子部への入射光の光軸と交差しないように、該他の1の受光素子部が配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
(2)上記(1)に記載の半導体受光素子であって、前記入射面が、前記反射光の進行方向側で、前記複数の受光素子部のうち前記1以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光の光軸と交差しないように、前記1以外の全ての受光素子部がそれぞれ配置されていてもよい。
【0011】
(3)上記(1)に記載の半導体受光素子であって、前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記他の1の受光素子部への入射光の光軸が前記他の1の受光素子部の受光面と交わる点への向きが、前記1の受光素子部における前記入射面となす角は、45度以上であってもよい。
【0012】
(4)上記(1)に記載の半導体受光素子であって、前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記他の1の受光素子部への入射光の光軸が前記他の1の受光素子部の受光面と交わる点への向きが、前記1の受光素子部における前記入射面と直交していてもよい。
【0013】
(5)上記(2)に記載の半導体受光素子であって、前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記1以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光の光軸が前記1以外の全ての受光素子部の受光面と交わる点への向きそれぞれが、前記1の受光素子部における前記入射面となす角は、45度以上であってもよい。
【0014】
(6)上記(2)に記載の半導体受光素子であって、前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記1以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光の光軸が前記1以外の全ての受光素子部の受光面と交わる点への向きそれぞれが、前記1の受光素子部における前記入射面と直交していてもよい。
【0015】
(7)上記(1)に記載の半導体受光素子であって、前記複数の受光素子部とは、前記1の受光素子部と、前記他の1の受光素子部であり、前記1の受光素子部の受光面が前記1の受光素子部の傾斜面より、前記他の1の受光素子部の近くに配置され、前記他の1の受光素子部の受光面が前記他の1の受光素子部の傾斜面より、前記1の受光素子部の近くに配置されていてもよい。
【0016】
(8)本発明に係る半導体受光素子の製造方法は、入射光の光軸に対して法線方向が斜交して配置される受光面と、該受光面との交差稜線に対して対称的に形成される傾斜面と、を有するとともに、該入射光を受光して電気信号に変換する受光素子部、を複数備える、半導体受光素子の製造方法であって、各前記受光素子部への入射光の受光領域を含む開口領域が除かれる所定の形状に、基板の表面にレジストを形成する工程と、前記基板の表面を、ウェットエッチングにより、前記開口領域にある前記基板の表面を除去して、前記受光面に対応する傾斜面を形成する工程とを、含み、前記レジストを形成する工程において、1の前記受光素子部に対応する前記開口領域を矩形状とするとともに、前記開口領域が短手方向の中心線により分けられる2個の領域のうち一方側の領域に前記入射光の受光領域が含まれるよう、かつ、前記入射光の光軸と前記開口領域の長手方向とを含む平面が、前記一方側の他方側の外方において、少なくとも他の1の前記受光素子部への入射光の光軸と交差しないよう、所定の形状にレジストを形成してもよい。
【0017】
(9)上記(8)に記載の半導体受光素子の製造方法であって、前記レジストを形成する工程において、前記入射光の光軸と前記開口領域の長手方向とを含む平面が、前記他方側の外方において、前記複数の受光素子部のうち前記1以外のすべての受光素子部への入射光の光軸と交差しないよう、所定の形状にレジストを形成してもよい。
【0018】
(10)上記(8)に記載の半導体受光素子の製造方法であって、前記複数の受光素子部とは、前記1の受光素子部と、前記他の1の受光素子部であり、前記レジストを形成する工程において、前記1の受光素子部に対応する前記開口領域の前記一方側の領域を、前記2個の領域のうち、前記他の1の受光素子部に近い側の領域とし、前記他の1の受光素子部に対応する前記開口領域を矩形状とするとともに、前記開口領域が短手方向の中心線により分けられる2個の領域のうち、前記1の受光素子部に近い側の領域に前記入射光の受光領域が含まれるよう、所定の形状にレジストを形成してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、製造工程の工程数の増大を抑制しつつ、受光面での反射光に起因するノイズが抑制される半導体発光素子、及び、その製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子を備える受光モジュールの概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子1の図1におけるII−II断面を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の裏面を示す概念図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4C】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4D】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4E】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4F】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4G】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4H】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4I】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4J】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図4K】本発明の第1の実施形態に係る半導体受光素子の製造工程における状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体受光素子を備える受光モジュールの概略斜視図である。
【図6】本発明の関連技術に係る半導体受光素子を備える受光モジュールの概略斜視図である。
【図7】従来技術に係る半導体受光素子を備える受光モジュールの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る実施形態について、以下に、詳細な説明をする。ただし、以下に示す図は、あくまで、各実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0022】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子について説明する。図1は、当該実施形態に係る半導体受光素子1を備える受光モジュールの概略斜視図である。ここで、当該実施形態に係る半導体受光素子1は、裏面入射型の受光素子部を複数備えるアレイ型受光素子であり、各受光素子部の構造はPIN−ホトダイオードである。なお、受光素子部の構造は、PIN−ホトダイオードに限定されることはなく、アバランシェホトダイオードなど、他の受光素子の構造であってもよい。
【0023】
図1には、4個の光ファイバ40が示されており、各々の光ファイバ40は、対応する4個の受光素子部へ光を出射している。この光は、受光素子部への入射光50であり、受光素子部は入射光50を受光して電気信号に変換している。すなわち、裏面入射型の受光素子部は、入射光50が半導体受光素子1の図中の上面側(裏面側)へ入射し、その光の一部が受光素子部の内部へ進行し、吸収層にて電気信号に変換される受光素子である。なお、半導体受光素子1は、平坦なサブマウント41の上に配置されている。
【0024】
入射光50が受光素子部へ入射する面は、受光面2である。受光面2は、入射光50の光軸に対して法線方向が斜交するよう形成されている。受光面2の法線方向が入射光50の光軸に対して斜交していることにより、入射光50が受光面2で反射してなる反射光51が、入射光50を出射している光ファイバ40に戻ることを抑制しつつ、さらに、他の光ファイバ40へ入射することをも抑制している。
【0025】
ここで、入射光50とは、半導体受光素子1の受光素子部の受光感度を最適化する方向から入射する光であり、半導体受光素子1の受光素子部に受光感度を最適化する入射光50が入射するように、受光モジュールにおいて光ファイバ40が配置されるのが一般的である。さらに、入射光50の光軸とは、進行する光束の中心となる仮想的な光線を指しており、本明細書における入射光50や反射光51の光軸は、この定義によって用いられる。また、図1では、光ファイバ40が出射する入射光50が、半導体受光素子1の受光素子部へ入射しているが、光ファイバ40と半導体受光素子1の間に、レンズを設けて、半導体受光素子1へ入射する入射光50が収束光となっている場合もあり得る。
【0026】
図2は、当該実施形態に係る半導体受光素子1の図1におけるII−II断面を示す図である。図1に示す半導体受光素子1の下側が、図2では上側になるよう示されている。Feがドープされる半絶縁性InP基板11の図中上側に、n型InPコンタクト層12、n型InAlGaAsクラッド層13、アンドープInGaAs光吸収層14、p型InAlGaAsクラッド層15、p型InGaAsコンタクト層16からなる多層が積層され、所定の形状に形成されている。多層構造の上面には、パッシベーション膜17が形成されるとともに、所定の形状にスルーホールが設けられ、スルーホールを通して、p型電極3がp型InGaAsコンタクト層16と、n型電極4がn型InPコンタクト層12と、電気的に接続されている。
【0027】
本発明の特徴は、図2中の下側に示す半絶縁性InP基板11の裏面のうち、所定の領域が、ウェットエッチングにより除去されており、受光面2に対応する平面と、対となる他の平面とが、半導体受光素子1の裏面の他の領域に対して傾斜して形成されている点にある。ここで、受光面2に対応する平面と、対となる他の平面とは、交差稜線によって交差しており、両平面は交差稜線に対して対称的に形成されている。すなわち、両平面のテーパー角は互いに等しく、テーパー角は半絶縁性InP基板11の結晶構造とウェットエッチングに用いるエッチング液とに依存して決定される。なお、半絶縁性InP基板11の裏面には、反射防止膜19が所定の膜厚に形成されている。ここで、反射防止膜19は、SiOによって形成される低反射膜であり、反射光51の強度が低下される膜厚に成膜されている。
【0028】
図3は、当該実施形態に係る半導体受光素子1の裏面を示す概念図であり、図1に示す半導体受光素子1を上側から見た図である。図には、4個の受光素子部が示されており、下側から順に、第1受光素子部、第2受光素子部、第3受光素子部、第4受光素子部とする。前述の通り、各受光素子部の受光面2は、各入射光50の光軸に対して、法線方向が斜交している。入射光50が受光面2に照射する領域が、受光領域6として、図に示さされている。
【0029】
ここで、第1受光素子部を、複数の受光素子部のうち、1の受光素子部とする。第1受光素子部への入射光50の光軸と、入射光50が第1受光素子部の受光面2で反射してなる反射光51の光軸とで、形成される入射面を考える。すなわち、当該入射面は、入射光50の光軸と、反射光51の光軸とを含み、受光面2に垂直な面である。
【0030】
本発明の特徴は、第1受光素子部における入射面が、第1受光素子部の反射光51の進行方向側で、例えば、第2受光素子部への入射光50の光軸と交差しないよう、第1受光素子部に対して第2受光素子部が配置されているところにある。ここで、例えば、第2受光素子部が、他の1の受光素子部である。第1受光素子部の受光面2の法線方向が、入射光50の光軸に対して斜交していることにより、反射光51の光軸は入射光50の光軸と斜交しており、反射光51が入射光50の光軸方向へ戻ることが抑制され、すなわち、入射光50を出射している光ファイバ40へ反射光51が戻ることが抑制されている。さらに、第1受光素子部の入射面が、反射光51の進行方向側で、第2受光素子部への入射光50の光軸と交差していないことにより、第2受光素子部へ入射光50を出射している光ファイバ40へ反射光51が進入することが抑制されている。これにより、受光モジュールの外部より入力される信号光を受光する受光素子部を複数備える半導体受光素子1の受光面2にでの反射光51に起因して装置に生じるノイズが抑制されている。
【0031】
同様に、第1受光素子部の入射面が、反射光51の進行方向側で、第2受光素子部のみならず、第3受光素子部や第4受光素子部それぞれへの入射光50の光軸と交差しないよう、第3受光素子部や第4受光素子部がそれぞれ配置されている。それにより、第3受光素子部や第4受光素子部それぞれへ入射光50を出射しているそれぞれの光ファイバ40へ反射光51が進入することが抑制されている。すなわち、第1受光素子部の入射面が、反射光51の進行方向側で、複数の受光素子部のうち、第1受光素子部以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光50の光軸と交差しないよう、第1受光素子部以外の全ての受光素子部がそれぞれ配置されている。それにより、複数の受光素子部のうち、第1受光素子部以外の全ての受光素子部への入射光50の光軸方向へ進入することが抑制されており、すなわち、第1受光素子部以外の全ての受光素子部それぞれへ入射光50を出射しているそれぞれの光ファイバ40へ反射光51が進入することが抑制されており、反射光51に起因して装置に生じるノイズがさらに抑制されている。
【0032】
第1受光素子部への入射光50の光軸が第1受光素子部の受光面2と交わる点から、第2受光素子部への入射光50の光軸が第2受光素子部の受光面2と交わる点への向きが、図3に、ベクトルaとして示されている。また、第1受光素子部の入射面を、半導体受光素子1の裏面上側から見た場合、入射面は図3の横方向に延びる面であり、図3には、横方向のうち、反射光51の進行方向側に延びる向きが、ベクトルbとして示されている。
【0033】
例えば、入射光50が収束光である場合、反射光51は発散光となる。また、入射光50が直進する光束であったとしても、回折現象により、反射光51は広がりながら進行する。それゆえ、第1受光素子部の受光面2での反射光51が、第2受光素子部へ入射光50を出射している光ファイバ40へ進入するのが抑制されるには、ベクトルaがベクトルbと平行であってはならず、ベクトルaとベクトルbがなす角は大きい方が望ましい。
【0034】
すなわち、ベクトルaが、第1受光素子部における入射面となす角は、大きい方が望ましく、45°以上であるのが望ましい。特に、ベクトルaが、該入射面と直交しているのが、さらに望ましい。
【0035】
第2受光素子部のみならず、第3受光素子部や第4受光素子部に対しても、同様である。すなわち、第1受光素子部への入射光50の光軸が第1受光素子部の受光面2と交わる点から、第3(第4)受光素子部への入射光50の光軸が第3(第4)受光素子部の受光面2と交わる点への向きが、第1受光素子部における入射面となす角は、大きい方が望ましく、45°以上であるのが望ましい。特に、当該向きが、当該入射面と直交しているのが、さらに望ましい。
【0036】
すなわち、1の受光素子部への入射光50の光軸が1の受光素子部の受光面2と交わる点から、他の全ての受光素子部それぞれへの入射光50の光軸が他の全ての受光素子部の受光面2とそれぞれ交わる点への向きそれぞれが、1の受光素子部における入射面となす角は、大きい方が望ましく、45°以上であるのが望ましい。特に、当該向きそれぞれが、当該入射面と直交しているのが、さらに望ましい。
【0037】
なお、ここでは、第1受光素子部を1の受光素子部として説明したが、他の受光素子部のいずれを1の受光素子部とした場合であっても、上記説明は適用出来ることは言うまでもない。また、図3に示す通り、各受光素子部の受光面2が、受光面2との交差稜線に対して対称的に形成される傾斜面より、図中左側になるように配置されているが、奇数番目の受光素子部の受光面2が左側になるように、偶数番目の受光素子部の受光面2が右側になるように、交互に配置されていてもよいし、他の配置であってもよい。さらに、図3には、複数の受光素子部が縦方向に1列に並ぶ場合について示しているが、他の配置であってもよい。
【0038】
次に、当該実施形態に係る半導体受光素子1の製造方法について、説明する。図4A乃至図4Kは、当該実施形態に係る半導体受光素子1の製造工程における状態を示す断面図である。当該断面は、図1に示すII−II断面に対応している。
【0039】
半絶縁性InP基板11に、分子線エピタキシャル成長法により、順に、不純物濃度5×1018atom/cmで厚さ1.0μmとなるn型InPコンタクト層12、不純物濃度5×1018atom/cmで厚さ0.5μmとなるn型InAlGaAsクラッド層13、不純物濃度1×1015atom/cm以下で厚さ1.2μmとなるアンドープInGaAs光吸収層14、不純物濃度1×1018atom/cmで厚さ0.5μmとなるp型InAlGaAsクラッド層15、及び不純物濃度5×1019atom/cmで厚さ0.1μmとなるp型InGaAsコンタクト層16からなる多層構造を形成する(図4A)。
【0040】
p型InGaAsコンタクト層16の上側に、ハードマスク31を円形状に形成する(図4B)。ハードマスク31をマスクとして、上記多層構造のハードマスク31が形成されていない領域について、上から順に、p型InGaAsコンタクト層16、p型InAlGaAsクラッド層15、アンドープInGaAs光吸収層14、n型InAlGaAsクラッド層13、及びn型InPコンタクト層12と、さらに、半絶縁性InP基板11の上側の一部とを、エッチングにより除去することにより、基板上に、第1メサ構造21を形成する(図4C)。
【0041】
次に、ハードマスク31を除去し、p型InGaAsコンタクト層16の上側に、ハードマスク32を円形状に形成する。ここで、ハードマスク32の円形状は、ハードマスク31の円形状と同心上に形成するのが望ましく、ハードマスク32の円形状の半径は、ハードマスク31の円形状の半径より小さい。ハードマスク32をマスクとして、上記多層構造のハードマスク32が形成されていない領域について、上側から順に、p型InGaAsコンタクト層16、p型InAlGaAsクラッド層15、アンドープInGaAs光吸収層14、及びn型InAlGaAsクラッド層13を、エッチングにより除去することにより、第1メサ構造21の上側に第2メサ構造22を形成する(図4D)。そして、ハードマスク32を除去する。
【0042】
さらに、マグネトロンスパッタ法により、第1メサ構造21、第2メサ構造22を含む基板上面の全領域に対して、順に、SiN層と、SiO層とを成膜し、2層からなるパッシベーション膜17を形成する(図4E)。
【0043】
そして、パッシベーション膜17の上側に、スルーホールを形成するためのレジスト33を所定の形状に、ホトリソグラフィー技術により形成する(図4F)。ドライエッチングにより、パッシベーション膜17のうち、レジスト33が形成されていない領域を除去し、p型電極用スルーホール23と、n型電極用スルーホール24を形成する(図4G)。ここで、後述する通り、p型電極3が所定の形状となるよう、p型電極用スルーホール23は、円形状に形成される。その後、レジスト33を除去する。
【0044】
p型電極3とn型電極4が所定の形状となるよう、基板の上側に、電極を形成するためのレジスト34を所定の形状に、ホトリソグラフィー技術により形成する。そして、基板の上側に、蒸着法により、順に、Ti層、Pt層、Ti層、Pt層、Au層を積層し、多層からなる金属膜18を形成する(図4H)。ここで、金属膜18の総膜厚を0.6μmにする。
【0045】
さらに、レジスト34を、レジスト34の上側に形成される金属膜18とともに除去することにより残存する金属膜18より、p型電極3とn型電極4とを形成する(図4I)。前述の通り、p型InGaAsコンタクト層16上に形成されるp型電極用スルーホール23は円形状をしており、p型電極3のうち、p型InGaAsコンタクト層16と接する領域は、この円形状をしている。p型電極3がp型InGaAsコンタクト層16と接する領域を円形状とすることにより、p型電極3とp型InGaAsコンタクト層16との間に生じる電気抵抗を抑制することが出来る。
【0046】
なお、p型電極3の形状は、この例に限られない。たとえば、レジスト34の形状によりp型電極用スルーホール23を同心円からなるリング形状に形成してもよい。この場合、p型電極3がp型InGaAsコンタクト層16と接する領域は、このリング形状をしている。p型InGaAsコンタクト層16の上側で、リング形状の内部円となる領域には、パッシベーション膜17が形成されており、パッシベーション膜17の個の領域の上側には、金属膜が形成されている。よって、この領域には、パッシベーション膜17上にメタライズとして金属膜18が形成されており、鏡(ミラー)として機能することとなる。
【0047】
次に、半絶縁性InP基板11の裏面を研磨加工することにより、基板(ウエハ)の層厚を120μm程度に加工する。ここで、裏面とは、図4Iなどの下側に示される面である。そして、半絶縁性InP基板11の裏面(入射光50が入射する側の表面)に、受光面2に対応する平面と、対となる他の平面とを形成するために、レジスト35を所定の形状に、ホトリソグラフィー技術により形成する(図4J)。
【0048】
ここで、所定の形状とは、各受光素子部の受光領域6を含む矩形状の領域が除かれた形状である。すなわち、当該矩形状の領域には、レジスト35が形成されない。レジスト35が形成されない領域をレジスト開口領域とすると、当該矩形状のレジスト開口領域は、図3に示す、各受光素子部の受光面2とその対となる面とを含む矩形状の領域である。レジスト開口領域が短手方向の中心線により分けられる2個の領域のうち一方側(図3中の左側)の領域に受光領域6が含まれている。例えば、第1受光素子部に対応するレジスト開口領域の長手方向(図3の横方向)と、第1受光素子部への入射光50の光軸とを含む平面が、他方側(図3中の右側)の外方において、第2受光素子部への入射光50の光軸と交差しないよう、レジスト開口領域が配置されている。同様に、当該平面は、他の全ての受光素子部への入射光50の光軸と交差しないよう、レジスト開口領域が配置されている。さらに、他の受光素子部に対応するレジスト開口領域も同様に配置されている。よって、各受光素子部に対応するレジスト開口領域は、レジスト開口領域の短手方向に順に並んでいる。
【0049】
さらに、レジスト35をマスクとして、半絶縁性InP基板11の裏面(入射光50が入射する側の表面)を、ウェットエッチングにより除去する(図4K)。ウェットエッチングをする際、臭化水素酸、過酸化水素、水を配合したエッチング液を用いる。
【0050】
この際、レジスト開口領域が前述の矩形状をしていることにより、当該矩形状の短手方向の中心線付近からウェットエッチングによる除去が進行し。さらに、半絶縁性InP基板11の特定の結晶面に沿ってウェットエッチングによる除去が進行していくことにより、これにより、図4Kに示す交差稜線に対して対称的に形成される2個の平面が形成される。レジスト35を形成する工程と、ウェットエッチング工程とにより、2個の平面を形成することが出来ており、製造工程の増大が抑制されている。
【0051】
なお、ここでレジスト開口領域を矩形状として説明している。矩形状は、ほぼ並行して延伸する2辺と、該2辺にほぼ直交する2辺とによって形成されているが、各頂点において直角である必要はなく、各頂点において丸みを帯びていてもよい。さらに、基板の特定の結晶面に沿って、交差稜線に対して対称的に形成される2個の平面がウェットエッチングによって形成されるのであれば、レジスト開口領域は矩形状に限定されることはない。この場合、例えば、第1受光素子部に対応するレジスト開口領域の中心近傍を長手方向に延伸する直線が該レジスト開口領域と交わる2個の交点の中点を通り、該長手方向に垂直な直線により該レジスト開口領域が分けられる2個の領域のうち一方側に受光領域6が含まれていればよい。さらに、該レジスト開口領域の長手方向と、第1受光素子部への入射光50の光軸とを含む平面が、他方側の外方において、第2受光素子部への入射光50の光軸と交差しないよう、該レジスト開口領域が配置されていればよい。同様に、当該平面は、他の全ての受光素子部への入射光50の光軸と交差しないよう、該レジスト開口領域が配置されていればなおよい。また、ウェットエッチングにより、半絶縁性InP基板11の裏面のうち、レジスト開口領域の外方の領域も、サイドエッチによって除去される。それゆえ、サイドエッチによって除去される領域を考慮して、レジスト開口領域の形状が決定されればよい。
【0052】
最後に、レジスト35を除去し、半絶縁性InP基板11の裏面の全域に対して、マグネトロンスパッタ法により、SiO膜を所望の膜厚に成膜することにより、反射防止膜19を形成する。ここで、所望の膜厚とは、入射光50の波長に対して、反射光51の強度を低下させる膜厚である。その後、個々のチップに分割することにより、図2に示す当該実施形態に係る半導体受光素子1が完成する。ここで、半絶縁性InP基板11の裏面に形成された2個の平面のうち一方の平面上に形成される反射防止膜19が、受光素子部の受光面2となる。
【0053】
こうして作製された半導体受光素子1が、平坦なサブマウント41に実装される。そして、半導体受光素子1が実装されるサブマウント41に加えて、半導体受光素子1の受光電流を増幅するIC(図示せず)や、バイパスコンデンサなどの電子部品を、CAN型パッケージに実装し、複数の光ファイバ40を、半導体受光素子1の受光素子部が受光する入射光50の強度が最大となるように位置調整を行い、YAG溶接により複数の光ファイバ40をキャップに固定して、受光モジュールが完成する。
【0054】
当該受光モジュールを備える光学装置は、図7に示す従来技術に係る受光モジュールを備える光学装置と比較して、半導体受光素子1の受光面における反射光に起因するノイズが抑制されているので、光学的リターンロス特性が10dB以上向上している。
【0055】
なお、レジスト開口領域の長手方向が異なるように、複数のレジスト開口領域を配置することが可能であり、それにより、法線方向が異なる複数の平面を形成することが出来る。これにより、工程数を増大させることなく、異なる法線方向の受光面2を有する受光素子部を複数備える半導体受光素子を形成することが出来る。
【0056】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る半導体受光素子62の構造は、第1の実施形態に係る半導体受光素子1の構造と、基本的に同じである。図5は、当該実施形態に係る半導体受光素子62を備える受光モジュールの概略斜視図である。半導体受光素子62は、裏面入射型の受光素子部を2個備えるアレイ型受光素子であり、第1の実施形態と同様に、各受光素子部の構造は、PIN−ホトダイオードなどである。
【0057】
ここで、図5には、2個の受光素子部が示されており、左側から順に、第1受光素子部、第2受光素子部とする。前述の通り、半絶縁性InP基板11の裏面をウェットエッチングによって除去する工程により、各レジスト開口領域に、交差稜線に対して対称的に2個の平面が形成される。第1受光素子部の受光面2は、2個の平面のうち右側の平面に対応しており、第2受光素子部の受光面2は、左側の平面に対応している。
【0058】
第1受光素子部における入射面が、第1の受光素子部の反射光51の進行方向側で、第2受光素子部への入射光50の光軸と交差していない。さらに、第1の実施形態と同様に、ベクトルa及びベクトルbを定義すると、ベクトルaは、図中右向きであり、ベクトルbは、図中左向きである。前述の通り、ベクトルaとベクトルbがなす角は大きい方が望ましく、半導体受光素子62においては、ベクトルaとベクトルbがなす角は180°となっている。
【0059】
3以上の受光素子部を備える第1の実施形態に係る半導体受光素子1とは異なり、当該実施形態に係る半導体受光素子62では、ベクトルaとベクトルbのなす角をより大きくすることが可能となっており、第1受光素子部の反射光51が、第2受光素子部へ入射光50を出射する光ファイバ40へ進入するのが、さらに抑制されている。
【0060】
ここで、第1受光素子部及び第2受光素子部それぞれの受光面2と傾斜面とは、各受光面2を内側に対称的に配置されているが、これに限定されることはない。第1受光素子部における受光面2が、第1受光素子部の傾斜面より、第2受光素子部の近くに配置されることにより、第1受光素子部での入射面は、反射光51側において、第2受光素子部への入射光50の光軸と交差しない。同様に、第2受光素子部における受光面2が、第2受光素子部の傾斜面より、第1受光素子部の近くに配置されることにより、第2受光素子部での入射面は、反射光51側において、第1受光素子部への入射光50の光軸と交差しない。
【0061】
当該実施形態に係る半導体受光素子62の製造方法は、第1の実施形態に係る半導体受光素子1の製造方法と基本的には同じである。半絶縁性InP基板11の基板の裏面に2個の平面を形成するために、半絶縁性InP基板11の裏面に形成するレジスト35の形状が第1の実施形態と異なっている。
【0062】
第1の実施形態と同様に、2個の受光素子部の受光領域6をそれぞれ含む2個のレジスト開口領域はそれぞれ矩形状をしている。当該矩形状の長手方向は、第1受光素子部と第2受光素子部が並ぶ方向と平行である。そして、2個のレジスト開口領域は、当該長手方向に沿って並んでいる。第1受光素子部に対応するレジスト開口領域が短手方向の中心線により分けられる2個の領域のうち、第2受光素子部に近い側となる領域に受光領域6が含まれるよう、第1受光素子部に対応するレジスト開口領域を配置する。第2受光素子部に対応するレジスト開口領域についても同様で、2個の領域のうち、第1受光素子部に近い側となる領域に受光領域6が含まれるように、第2受光素子部に対応するレジスト開口領域を配置する。
【0063】
ウェットエッチングによる除去により、交差稜線を境に対称的に形成される2個の平面が形成されることにより、1回のウェットエッチング工程により、法線方向が異なる2枚の平面を形成することが出来る。
【0064】
[関連技術]
本発明の関連技術に係る半導体受光素子61の構造は、第1の実施形態に係る半導体受光素子1の構造と、基本的に同じである。図6は、当該実施形態に係る半導体受光素子61を備える受光モジュールの概略斜視図である。半導体受光素子61は、裏面入射型の受光素子部を1個備える受光素子であり、第1の実施形態と同様に、各受光素子部の構造は、PIN−ホトダイオードなどである。
【0065】
当該半導体受光素子61の特徴は、半絶縁性InP基板11の裏面に、受光面2に対応する平面と、対となる他の平面とが、交差稜線に対して対称的に形成されている点にある。半導体受光素子61の受光素子部における受光面2の法線方向が、入射光50の光軸に対して斜交していることにより、反射光51の光軸は入射光50の光軸と斜交しており、反射光51が入射光50の光軸方向へ戻ることが抑制され、すなわち、入射光50を出射している光ファイバ40へ反射光51が戻ることが抑制されている。
【符号の説明】
【0066】
1 半導体受光素子、2 受光面、3 p型電極、4 n型電極、6 受光領域、11 半絶縁性InP基板、12 n型InPコンタクト層、13 n型InAlGaAsクラッド層、14 アンドープInGaAs光吸収層、15 p型InAlGaAsクラッド層、16 p型InGaAsコンタクト層、17 パッシベーション膜、18 金属膜、19 反射防止膜、21 第1メサ構造、22 第2メサ構造、23 p型電極用スルーホール、24 n型電極用スルーホール、31,32 ハードマスク、33,34,35 レジスト、40 光ファイバ、41 サブマウント、50 入射光、51 反射光、61,62,101 半導体受光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の光軸に対して法線方向が斜交して配置される受光面と、該受光面との交差稜線に対して対称的に形成される傾斜面と、を有するとともに、該入射光を受光して電気信号に変換する受光素子部、
を複数備える、半導体受光素子であって、
1の前記受光素子部への入射光の光軸と、該入射光が該受光面で反射してなる反射光の光軸とからなる入射面が、該反射光の進行方向側で、少なくとも他の1の前記受光素子部への入射光の光軸と交差しないように、該他の1の受光素子部が配置されている、
ことを特徴とする、半導体受光素子。
【請求項2】
前記入射面が、前記反射光の進行方向側で、前記複数の受光素子部のうち前記1以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光の光軸と交差しないように、前記1以外の全ての受光素子部がそれぞれ配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体受光素子。
【請求項3】
前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記他の1の受光素子部への入射光の光軸が前記他の1の受光素子部の受光面と交わる点への向きが、前記1の受光素子部における前記入射面となす角は、45度以上である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体受光素子。
【請求項4】
前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記他の1の受光素子部への入射光の光軸が前記他の1の受光素子部の受光面と交わる点への向きが、前記1の受光素子部における前記入射面と直交する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体受光素子。
【請求項5】
前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記1以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光の光軸が前記1以外の全ての受光素子部の受光面と交わる点への向きそれぞれが、前記1の受光素子部における前記入射面となす角は、45度以上である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の半導体受光素子。
【請求項6】
前記1の受光素子部への前記入射光の光軸が前記1の受光素子部の受光面と交わる点から、前記1以外の全ての受光素子部それぞれへの入射光の光軸が前記1以外の全ての受光素子部の受光面と交わる点への向きそれぞれが、前記1の受光素子部における前記入射面と直交する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の半導体受光素子。
【請求項7】
前記複数の受光素子部とは、前記1の受光素子部と、前記他の1の受光素子部であり、
前記1の受光素子部の受光面が前記1の受光素子部の傾斜面より、前記他の1の受光素子部の近くに配置され、
前記他の1の受光素子部の受光面が前記他の1の受光素子部の傾斜面より、前記1の受光素子部の近くに配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体受光素子。
【請求項8】
入射光の光軸に対して法線方向が斜交して配置される受光面と、該受光面との交差稜線に対して対称的に形成される傾斜面と、を有するとともに、該入射光を受光して電気信号に変換する受光素子部、
を複数備える、半導体受光素子の製造方法であって、
各前記受光素子部への入射光の受光領域を含む開口領域が除かれる所定の形状に、基板の表面にレジストを形成する工程と、
前記基板の表面を、ウェットエッチングにより、前記開口領域にある前記基板の表面を除去して、前記受光面に対応する傾斜面を形成する工程とを、含み、
前記レジストを形成する工程において、
1の前記受光素子部に対応する前記開口領域を矩形状とするとともに、前記開口領域が短手方向の中心線により分けられる2個の領域のうち一方側の領域に前記入射光の受光領域が含まれるよう、かつ、前記入射光の光軸と前記開口領域の長手方向とを含む平面が、前記一方側の他方側の外方において、少なくとも他の1の前記受光素子部への入射光の光軸と交差しないよう、所定の形状にレジストを形成する、
ことを特徴とする、半導体受光素子の製造方法。
【請求項9】
前記レジストを形成する工程において、
前記入射光の光軸と前記開口領域の長手方向とを含む平面が、前記他方側の外方において、前記複数の受光素子部のうち前記1以外のすべての受光素子部への入射光の光軸と交差しないよう、所定の形状にレジストを形成する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の半導体受光素子の製造方法。
【請求項10】
前記複数の受光素子部とは、前記1の受光素子部と、前記他の1の受光素子部であり、
前記レジストを形成する工程において、
前記1の受光素子部に対応する前記開口領域の前記一方側の領域を、前記2個の領域のうち、前記他の1の受光素子部に近い側の領域とし、
前記他の1の受光素子部に対応する前記開口領域を矩形状とするとともに、前記開口領域が短手方向の中心線により分けられる2個の領域のうち、前記1の受光素子部に近い側の領域に前記入射光の受光領域が含まれるよう、所定の形状にレジストを形成する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の半導体受光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129390(P2012−129390A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280275(P2010−280275)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】