説明

半導体発光素子用ホルダ、半導体発光素子モジュール、及び、照明器具

【課題】半導体発光素子ユニットと、電力を供給するコンタクトとを別部材に対して固定可能であり、別部材への固定時に傷付けたり、変形等を引き起こすおそれが小さい半導体発光素子用ホルダ、モジュール、及び、照明器具を提供する。
【解決手段】半導体発光素子と基板71の一体物である半導体発光素子ユニット70を配置可能な収容空間を内部に有するケース本体20、60と、ケース本体に形成した半導体発光素子をケース本体の外側に露出させる照明用開口21と、ケース本体に形成した、外側に位置する半導体発光素子が収容空間側に挿通可能で、かつ収容空間に配置した基板を外側に露出させる基板露出用開口62と、ケース本体に形成した、基板を収容空間に留めるように支持する基板保持部39、51、55と、収容空間に位置する状態でケース本体の絶縁部に支持させた、基板及び電源と電気的に導通可能なコンタクト40、50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子(LED)を取付可能な半導体発光素子用ホルダ、半導体発光素子モジュール、及び、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度タイプの一つの半導体発光素子(LED)を利用した照明器具の従来例としては、例えば、ベース部材と、ベース部材に固定した金属製のシャシー(放熱部材)と、シャシーに取り付けた、LEDと基板の一体物であるLEDユニットと、基板の表面に取り付けた、基板及び電源と電気的に導通する(コンタクトを具備する)コネクタと、シャシーとの間で基板及びコネクタを挟持した状態でシャシーに固定した金属製フレームと、LEDユニットを囲んだ状態でベース部材に固定した、LEDが発した照明光が透過可能な投光性カバー部材と、を具備するものが知られている。
電源で発生した電力をコネクタ(コンタクト)を介して基板に供給するとLEDが発光し、発光した照明光は投光性カバー部材を透過して投光性カバー部材の外側に照射される。さらにLEDユニットの基板がシャシーに接触しており、LEDの発光時に生じる熱は基板を介してシャシーに効率よく伝達されシャシーから放熱されるので、LEDが極度に高温化してLEDの発光効率が低下するのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−91037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記照明器具には以下の欠点がある。
即ち、LEDユニット及びコネクタをシャシーに固定する場合は、まずLEDユニットをシャシー上に載置した上でLEDユニットの基板上にコネクタを仮置きし、この状態でコネクタに被せた金属製フレームを固定ボルトによってシャシー及びコネクタに固定する必要がある。
しかし、金属製フレームを固定ボルトによってシャシー及びコネクタに固定するとき、LEDユニット及びコネクタはシャシーに対して相対移動可能なので、金属製フレームの固定作業は容易でない。
しかも、LEDユニット及びコネクタ(コンタクト)をシャシーに固定するためには、LEDユニットをシャシー上に載置するステップ、基板上にコネクタを仮置きするステップ、金属製フレームをコネクタに被せるステップ、及び、金属製フレームを固定ボルトによってシャシーに固定するステップ、という4つの工程が必要になってしまう。
また、LEDユニット及びコネクタをシャシーに固定するときに、金属製フレーム等によってLEDを傷付けてしまうおそれがある。
さらにLEDユニット及びコネクタを金属製フレーム及び固定ボルトを利用してシャシーに固定するときに、固定ボルトによる固定力(負荷)が金属製フレームを介してLEDユニット(基板)及びコネクタに掛かり、これらの部材に変形等を引き起こすおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、半導体発光素子と基板の一体物である半導体発光素子ユニットと、基板に対して電力を供給するコンタクトとを別部材に対して簡単かつ少ない工程で固定可能であり、しかも別部材への固定時に半導体発光素子を傷付けたり、半導体発光素子ユニットやコンタクトに変形等を引き起こすおそれが小さい半導体発光素子用ホルダ、半導体発光素子モジュール、及び、照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体発光素子用ホルダは、半導体発光素子と基板の一体物である半導体発光素子ユニットを配置可能な収容空間を内部に有するケース本体と、該ケース本体に形成した、上記収容空間に配置した上記半導体発光素子を上記ケース本体の外側に露出させる照明用開口と、上記ケース本体に形成した、外側に位置する上記半導体発光素子が上記収容空間側に挿通可能で、かつ上記収容空間に配置した上記基板を外側に露出させる基板露出用開口と、上記ケース本体に形成した、上記収容空間に配置した上記基板を該収容空間に留めるように支持する基板保持部と、上記収容空間に位置する状態で上記ケース本体の絶縁部に支持させた、上記基板及び電源と電気的に導通可能なコンタクトと、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記ケース本体が、上記コンタクトを支持するインシュレータと、該インシュレータに対して取り付けることにより、該インシュレータとの間で上記収容空間を形成するカバー部材と、を具備していてもよい。
【0008】
上記ケース本体の外面に上記照明用開口の外周側に位置させて形成した、上記半導体発光素子が発した照明光を反射する、外周側から内周側に向かうにつれて該外面側から上記収容空間側に近づく形状のテーパ状反射面を備えていてもよい。
上記基板保持部が、上記基板露出用開口より外側に突出しかつ上記基板の外面を支持する係合爪であってもよい。
【0009】
本発明の半導体発光素子用モジュールは、上記半導体発光素子用ホルダと、上記収容空間に配置した上記半導体発光素子ユニットと、を備えることを特徴としている。
【0010】
本発明の照明器具は、半導体発光素子モジュールと、上記基板露出用開口から外部に露出した上記基板に接触する放熱部材と、上記半導体発光素子が発した照明光が透過可能で、かつ上記半導体発光素子ホルダを囲む投光性カバー部材と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体発光素子用ホルダは、半導体発光素子ユニット及びコンタクトと一体化した状態(半導体発光素子ユニット及びコンタクトが相対移動しない状態)で別部材(例えば放熱部材)に固定できるので、本発明によれば半導体発光素子ユニット及びコンタクトを別の部材に対して簡単に固定できる。
しかも半導体発光素子用ホルダと半導体発光素子ユニットを予め一体化した上で、半導体発光素子用ホルダを別部材に固定できるので、少ない工程で別部材に対して固定可能である。そのため、古い半導体発光素子ユニットを新しいものと交換するときのメンテナンスが容易である。
また、半導体発光素子ユニット及びコンタクトの周囲を半導体発光素子用ホルダで覆ってあるので、半導体発光素子用ホルダを別部材に対して固定するときに半導体発光素子が他の部材と接触して傷付くおそれは小さい。さらに例えば固定ボルトによって半導体発光素子用ホルダを別部材に固定するときに、固定ボルトによる固定力(負荷)が半導体発光素子ユニットやコンタクトに及ばないので、これらの部材に変形等が生じることがない。そのため歩留まりが良く、かつ耐用期間が長くすることが可能である。
さらに半導体発光素子ユニットの基板を基板露出用開口を通して外側に露出させているので、半導体発光素子の熱が伝わり易い基板を放熱部材に接触させることにより、半導体発光素子の熱を外部に効率よく放熱できる。そのため高温化による半導体発光素子の発光効率の低下を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のLEDモジュール、ケーブル、及び、固定ボルトの前斜め上方から見た斜視図である。
【図2】LEDモジュール、ケーブル、及び、固定ボルトの後斜め上方から見た斜視図である。
【図3】LEDモジュールの後斜め上方から見た分解斜視図である。
【図4】LEDモジュールの後斜め下方から見た分解斜視図である。
【図5】インシュレータの底面図である。
【図6】陽極側導電部材及び陰極側導電部材を支持したインシュレータとカバー部材の下方から見た分解斜視図である。
【図7】インシュレータに陽極側導電部材及び陰極側導電部材を支持させたときの底面図である。
【図8】陽極側導電部材及び陰極側導電部材を支持したインシュレータに対してカバー部材を組み付けることにより完成したLED用ホルダの下方からみた斜視図である。
【図9】LED用ホルダに対してLEDユニットを組み付けることにより完成したLEDモジュールと、ケーブルと、固定ボルトの下方からみた分離状態の斜視図である。
【図10】図2のX−X矢線に沿う断面図である。
【図11】図1のXI−XI矢線に沿う断面図である。
【図12】LEDモジュールを具備する照明器具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。
本実施形態は本発明のLEDモジュール10を照明器具80(図12参照)の光源として利用したものである。
LEDモジュール10(半導体発光素子モジュール)は、LED用ホルダ15(半導体発光素子用ホルダ)にLEDユニット70(半導体発光素子ユニット)を取り付けて一体化したものである。まずはLEDモジュール10(LED用ホルダ15とLEDユニット70)の詳しい構造について説明する。
【0014】
LED用ホルダ15は大きな構成要素としてインシュレータ20(ケース本体)(絶縁部)、陽極側導電部材40、陰極側導電部材50、及び、カバー部材60(ケース本体)を具備している。
平面視略矩形のインシュレータ20は絶縁性の合成樹脂材料を射出成形したものである。インシュレータ20の中心部には円形をなす照明用開口21が貫通孔として穿設してある。インシュレータ20の上面には照明用開口21の外周側に位置するテーパ状反射面22が凹設してある。テーパ状反射面22は外周側から内周側に向かうにつれて徐々に下方に向かうテーパ形状である。インシュレータ20の上面には、対角線上に位置する2つの角部に位置する角部凹部23が2つ凹設してあり、各角部凹部23の底面には貫通孔24が穿設してある。インシュレータ20の前面と後面の中央部にはそれぞれ係合凹部25が形成してあり、各係合凹部25の底面には係止突起26がそれぞれ突設してある。またインシュレータ20の上面の右側部には左右一対のピン挿入用孔27が貫通孔として穿設してある。
図4〜図7等に示すように、インシュレータ20の下面の右側端部には左右一対のケーブル挿入溝30が、前後方向に延びかつ後端が開放する溝として形成してある。図5及び図7に示すように、左右のピン挿入用孔27は左右のケーブル挿入溝30の底面とそれぞれ連通している。インシュレータ20の下面の中央部には底面視略方形のLED収納用凹部31が凹設してある。さらにインシュレータ20の下面には、LED収納用凹部31の左右両側に位置する円弧形状のコンタクト収納用凹部32が、LED収納用凹部31より深い溝として凹設してある。インシュレータ20の下面の右側部、前縁部、及び、左側部には底面視でLED収納用凹部31を囲むようにして、右側凹部34、前側凹部35、及び、左側凹部36がそれぞれ凹設してあり、前側凹部35の左右両端部が右側凹部34と左側凹部36の前端部とそれぞれ連通している。また図5、図7等に示すように、インシュレータ20の下面には左右のケーブル挿入溝30の前端部と右側凹部34の後端部とをそれぞれ連通する、左右一対のコンタクト挿入溝37がそれぞれ凹設してある。さらにインシュレータ20の下面にはLED収納用凹部31の四隅近傍にそれぞれ位置する4本の弾性変形片38が下向きに突設してある。各弾性変形片38はインシュレータ20の下面より下方まで突出しており(図10参照)、各弾性変形片38は板厚方向に弾性変形可能である。さらに前側の弾性変形片38の下端部の後面、及び、後側の弾性変形片38の下端部の前面には係合爪39(基板保持部)がそれぞれ突設してある。
【0015】
陽極側導電部材40(コンタクト)及び陰極側導電部材50(コンタクト)は、ばね弾性を備えた銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅)やコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図示形状に成形加工したものであり、表面にニッケルメッキで下地を形成した後に、金メッキや錫銅めっきを施している。
陽極側導電部材40は、右側部41、前部42、及び、左側部43からなる平板状のベース板部44を具備している。前部42の後縁部には左右一対の逃げ用凹部42aが形成してあり、右側部41には円形孔45が貫通孔として穿設してある。右側部41の上面の後端部からはケーブル用陽極コンタクト47Aが後方に向かって延びている。ケーブル用陽極コンタクト47Aの後端部には前方に向けて折り返すことにより形成した弾性変形部48が設けてある。また左側部43の上面の後端部からは接続部54が上方に延びている。接続部54の上端部には前後方向に延びるLED用陽極コンタクト55(基板保持部)の長手方向の中央部が接続しており、LED用陽極コンタクト55の前後両端部には接触端部56がそれぞれ形成してある。陽極側導電部材40とは別体の陰極側導電部材50(コンタクト)は、ケーブル用陽極コンタクト47Aと略同形状のケーブル用陰極コンタクト47Bを具備しており、ケーブル用陰極コンタクト47Bの後端部には前方に向けて折り返すことにより形成した弾性変形部48が設けてある。さらにケーブル用陰極コンタクト47Bの上面からは接続部49が左側に延びており、接続部49の左端部は前後方向に延びるLED用陰極コンタクト51(基板保持部)の長手方向の中央部に接続している。LED用陰極コンタクト51の前後両端部には接触端部52がそれぞれ形成してある。
陽極側導電部材40及び陰極側導電部材50はインシュレータ20の底面に対して下方から、互いに離間した状態で取り付けてある。具体的には、ベース板部44の右側部41、前部42、左側部43をインシュレータ20の右側凹部34、前側凹部35、左側凹部36にそれぞれ嵌合すると共に、ケーブル用陽極コンタクト47Aとケーブル用陰極コンタクト47Bの前部(基端部)を左右のコンタクト挿入溝37にそれぞれ嵌合することにより、インシュレータ20の底面に対して固定してある。するとケーブル用陽極コンタクト47Aとケーブル用陰極コンタクト47Bの後部が左右のケーブル挿入溝30内にそれぞれ位置し、LED用陰極コンタクト51とLED用陽極コンタクト55が左右のコンタクト収納用凹部32内にそれぞれ位置する。ケーブル用陽極コンタクト47Aとケーブル用陰極コンタクト47Bの前部は対応するコンタクト挿入溝37によって弾性変形が規制されているものの、左右の弾性変形部48はケーブル挿入溝30内において基端部(後端部)を中心にして左右方向に弾性変形可能である(さらにケーブル用陽極コンタクト47Aとケーブル用陰極コンタクト47Bの後部も弾性変形可能である)。一方、LED用陰極コンタクト51及びLED用陽極コンタクト55の前部及び後部は対応するコンタクト収納用凹部32の内部において、それぞれの中央部(接続部49、接続部54との接触部)を中心にして上下方向に弾性変形可能である。
【0016】
平面視略矩形のカバー部材60は絶縁性の合成樹脂材料を射出成形したものである。カバー部材60は、平板状の基板部61を具備しており、基板部61の中央部には平面視矩形をなす基板露出用開口62が貫通孔として形成してある。基板露出用開口62の前後両縁部の左右2カ所には逃げ用凹部63が形成してある。さらにカバー部材60の下面の4カ所には、前側の2つの逃げ用凹部63の直前に位置する2つの押え用突起64と、後側の2つの逃げ用凹部63の直後に位置する2つの押え用突起64とが下向きに突設してある。基板部61の上面の前後両側縁部には係合凸部65が上向きに突設してあり、前後の係合凸部65には係合孔66が貫通孔として形成してある。基板部61の上面の右側縁部の後端近傍部には左右一対のコンタクト支持凸部67が上向きに突設してある。基板部61の対角線上に位置する2つの角部近傍には円形の貫通孔68がそれぞれ穿設してあり、基板部61の上面の各貫通孔68と対応する位置には環状突起69がそれぞれ上向きに突設してある。
カバー部材60は、陽極側導電部材40及び陰極側導電部材50を支持したインシュレータ20の下面に対して下方から取り付けてある。具体的には、基板部61によってインシュレータ20の下面を塞ぎながら、前後の係合凸部65を前後の係合凹部25にそれぞれ位置させ、前後の係止突起26を対応する係合凸部65の係合孔66に係合させる。すると、一方の環状突起69が円形孔45に嵌合しながら一方の貫通孔24の直下に位置し、他方の環状突起69が他方の貫通孔24の直下に位置し、さらに左右のコンタクト支持凸部67がケーブル用陽極コンタクト47Aとケーブル用陰極コンタクト47Bの後部の直下にそれぞれ微小クリアランスを形成しながら位置する(接触させてもよい)。さらにインシュレータ20の前側の2つの弾性変形片38(係合爪39)が対応する2つの逃げ用凹部42aと2つの逃げ用凹部63を通り抜けてカバー部材60の下方に突出し、後側の2つの弾性変形片38(係合爪39)が対応する2つの逃げ用凹部63を通り抜けてカバー部材60の下方に突出する。
このようにして陽極側導電部材40及び陰極側導電部材50を支持したインシュレータ20とカバー部材60とを一体化することによりLED用ホルダ15が完成する(図8参照)。またインシュレータ20のケーブル挿入溝30、LED収納用凹部31、コンタクト収納用凹部32、右側凹部34、前側凹部35、左側凹部36、及びコンタクト挿入溝37と、カバー部材60とによって囲まれた空間が収容空間である。
【0017】
LEDユニット70は、基板露出用開口62と同じ形状の基板71と、基板71の上面に形成された電気回路(図示略)と導通した一つの高輝度タイプのLED74(半導体発光素子)と、を具備しており、基板71の上面には上記電気回路の両端部にそれぞれ形成した陽極72と陰極73が形成してある。なお、必要に応じて、LED74を覆う拡散レンズ75(図1、図2、図11参照)を基板71の上面に固定してもよい。また透光性及び絶縁性を有する熱硬化性樹脂材料や紫外線硬化性樹脂材料等からなる封止剤(図示略)によって基板71の上面及びLED74を覆うことによりLEDユニットをパッケージ型のものとして構成してもよい。
LEDユニット70は、下方から基板露出用開口62に嵌合することによりLED用ホルダ15と一体化してある。LEDユニット70の基板71を基板露出用開口62に嵌合すると、陽極72がLED用陽極コンタクト55を上方に弾性変形させながら後側の接触端部56に接触し、陰極73がLED用陰極コンタクト51を上方に弾性変形させながら後側の接触端部52に接触するので、基板71のLED用ホルダ15に対する上方への移動が規制される。さらに基板71の前後両縁部が各係合爪39を押圧することにより各弾性変形片38を外側(前側の弾性変形片38は前方、後側の弾性変形片38は後方)に弾性変形させ、基板71が各係合爪39より上方に移動したときに(係合爪39を乗り越えたときに)各弾性変形片38が自由状態に戻り、4つの係合爪39が下方から基板71の下面の4カ所にそれぞれ係合する。そのためLEDユニット70は、LED用陰極コンタクト51、LED用陽極コンタクト55、及び、4つの係合爪39によって基板71の下面が基板部61の下面と面一となる状態に保持される(図10参照)。なお、LEDユニット70が各弾性変形片38を外側に弾性変形させても、各弾性変形片38は対応する押え用突起64に当接するまでしか変形できないので、各弾性変形片38が弾性限度を超えて弾性変形することはない。さらに拡散レンズ75を設けた場合は、LEDユニット70をLED用ホルダ15と一体化すると、拡散レンズ75が照明用開口21に遊嵌する(さらに拡散レンズ75がLED収納用凹部31内に位置し、拡散レンズ75が照明用開口21を通してインシュレータ20の上方に露出する)。
このようにしてLEDユニット70をLED用ホルダ15と一体化することによりLEDモジュール10が完成する(図9参照)。
【0018】
LEDモジュール10に対しては2本のケーブル77の一方の端部を接続可能である。可撓性を有するケーブル77は、多数の金属線を束ねたものである電線78と、電線78の表面を被覆する絶縁材料からなる被覆チューブ79と、を具備している。各ケーブル77の両端は被覆チューブ79を除去することにより電線78を露出させてある。2本のケーブル77の一方の端部を2つのケーブル挿入溝30にそれぞれ挿入すると、露出した電線78の端部が対応する弾性変形部48を(ケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47Bの本体部側に接近する方向に)弾性変形させながら弾性変形部48に接触する(図11参照)。そのため各ケーブル77をケーブル用陽極コンタクト47Aとケーブル用陰極コンタクト47Bに接続すると、ケーブル77に引き抜き力を与えてもケーブル77を円滑に引き抜くことはできない。そのためケーブル77をケーブル挿入溝30から引き抜くときは、図示を省略したピンの先端をピン挿入用孔27を通してケーブル挿入溝30内に挿入し、該ピンの先端によって弾性変形部48を(ケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47Bの本体部側に接近する方向に)さらに弾性変形させて、弾性変形部48と電線78との接触圧力を低下させる。このようにすれば、各ケーブル77を小さい引き抜き力で円滑に引き抜くことができる。
【0019】
以上構成のLEDモジュール10及びケーブル77は図12に示した照明器具80の構成物品として利用可能である。
照明器具80は平面視円形をなす合成樹脂製のベース部材81を具備しており、ベース部材81の上面(図12では下面)には凹部が形成してあり、該凹部の底面(図12では上面)には金属板からなるシャシー82(放熱部材)が固着してある。ケーブル77と一体化したLEDモジュール10は、各押え用突起64をシャシー82に凹設した位置決め用凹部に係合しながら、2つの貫通孔24に対して角部凹部23側から固定ボルト83を挿入し、貫通孔24を貫通した各固定ボルト83の雄ネジ部をシャシー82に形成した2つの雌ネジ孔(図示略)にそれぞれ螺合することにより、ベース部材81(シャシー82)に対して固定可能である。LEDモジュール10をベース部材81に固定すると、基板露出用開口62を通して露出する基板71の下面(図12では上面)がシャシー82に当接する。またベース部材81の上面(図12では下面)には、ベース部材81の上面及びLEDモジュール10を覆う半球形状の投光性カバー部材84が被せてある。
このLEDモジュール10、ケーブル77、ベース部材81、シャシー82、固定ボルト83、及び、投光性カバー部材84を備える照明器具80は、例えば図12に示すようにベース部材81の投光性カバー部材84と反対側面を上方に向けた状態で天井板85にネジ等によって固定可能である。ケーブル77のLEDモジュール10と反対側の端部は、天井板85に形成した貫通孔86を通して天井板85の上方に引き出し、図示を省略した制御装置を介して電源に接続する。図示を省略したスイッチをOFFからONに切り換えれば、電源で発生した電流がケーブル77及び陽極側導電部材40(ケーブル用陽極コンタクト47A、LED用陽極コンタクト55)、及び、陰極側導電部材50(ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51)を介して基板71の電気回路に流れLED74が発光する(さらに拡散レンズ75を設けた場合は拡散レンズ75によって拡散される)。LED74が発した照明光はインシュレータ20のテーパ状反射面22によって反射されながら投光性カバー部材84側に向かい、投光性カバー部材84を通り抜けて外部に照射される。一方、スイッチをONからOFFに切り換えれば、電流のLED74への供給が遮断されるのでLED74は消灯する。
【0020】
以上説明した本実施形態によれば、LEDモジュール10を、ケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、LED用陽極コンタクト55、及び、LEDユニット70と一体化した状態(ケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、LED用陽極コンタクト55、及び、LEDユニット70が相対移動しない状態)で別部材(例えばシャシー82)に固定できるので、LEDモジュール10を別の部材に対して簡単に固定できる。
しかもLEDモジュール10を少ない工程で別部材(例えばシャシー82)に対して固定可能である。そのため、別部材に固定した古いLEDユニット70を新しいものと交換するときのメンテナンスが容易である。
またケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、LED用陽極コンタクト55、及び、LED74の周囲をLED用ホルダ15で覆ってあるので、LEDモジュール10を別部材に対して固定するときにLED74(拡散レンズ75)が他の部材と接触して傷付くおそれは小さい。さらに固定ボルト83によってLED用ホルダ15を別部材に固定するときに、固定ボルト83による固定力(負荷)がケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、LED用陽極コンタクト55、及び、LEDユニット70に及ばないので、これらの部材に変形等が生じることがない。そのためLEDモジュール10は歩留まりが良く(不良品の発生を抑制でき)、かつ耐用期間が長い。
【0021】
さらにLED74で発生した熱は基板71から放熱され、さらに基板71からシャシー82に伝わりシャシー82からも放熱されるので、LED74の熱を外部に効率よく放熱できる。そのため高温化によるLED74の発光効率の低下を防ぐことが可能である。
またLEDモジュール10はLED74(拡散レンズ75)の直近に位置するテーパ状反射面22を備えているので、照明光の指向性の制御が可能であり、照明光の輝度むらを抑えることができる。
また図12に示すようにインシュレータ20に形成した角部凹部23内に固定ボルト83の頭部の大部分を位置させているので(固定ボルト83のインシュレータ20の上面から上方への突出量が小さいので)、照明光が固定ボルト83の頭部によって遮られ難い。
さらにケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、及び、LED用陽極コンタクト55をすべて別体とするのではなく陽極側導電部材40及び陰極側導電部材50としてそれぞれ一体化してあるので、ケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、及び、LED用陽極コンタクト55をすべて別体とした場合に比べてLEDモジュール10(LED用ホルダ15)の組立が容易である。
【0022】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば陽極側導電部材40及び陰極側導電部材50を成形型の内部に入れたインサート成形によってインシュレータ20とカバー部材60を有するケース本体を一体的に成形してもよい。
弾性変形片38(係合爪39)を、インシュレータ20ではなくカバー部材60に形成してもよい。
さらに基板71の下面とシャシー82の間に伝熱シートなどを介在させてもよい。このようにすると基板71と係合爪39は互いに離間するが、LED用陰極コンタクト51及びLED用陽極コンタクト55からの基板71に対する押圧力は消失しない(さらに強まる)ので、陽極72及び陰極73とLED用陽極コンタクト55とLED用陰極コンタクト51の導通は共に維持される。
基板71の下面が係合爪39と係合したときに、基板71の下面が基板露出用開口62(基板部61の下面)から下方に突出するように、弾性変形片38の長さ(係合爪39の位置)を設定してもよい。このようにすれば、LEDモジュール10をベース部材81に固定したときに、基板71の下面をシャシー82に対してより確実に当接させることが可能になる。
またケーブル用陽極コンタクト47A、ケーブル用陰極コンタクト47B、LED用陰極コンタクト51、及び、LED用陽極コンタクト55をそれぞれ別体としてもよい。
さらに基板71に載せるLED74の数を複数としたり、LEDモジュール10(LED用ホルダ15)を照明器具80とは別タイプの照明器具の構成部品として利用してもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 LEDモジュール(半導体発光素子モジュール)
15 LED用ホルダ(半導体発光素子用ホルダ)
20 インシュレータ(ケース本体)(絶縁部)
21 照明用開口
22 テーパ状反射面
23 角部凹部
24 貫通孔
25 係合凹部
26 係止突起
27 ピン挿入用孔
30 ケーブル挿入溝
31 LED収納用凹部
32 コンタクト収納用凹部
34 右側凹部
35 前側凹部
36 左側凹部
37 コンタクト挿入溝
38 弾性変形片
39 係合爪(基板保持部)
40 陽極側導電部材(コンタクト)
41 右側部
42 前部
42a 逃げ用凹部
43 左側部
44 ベース板部
45 円形孔
47A ケーブル用陽極コンタクト
47B ケーブル用陰極コンタクト
48 弾性変形部
49 接続部
50 陰極側導電部材(コンタクト)
51 LED用陰極コンタクト(基板保持部)
52 接触端部
54 接続部
55 LED用陽極コンタクト(基板保持部)
56 接触端部
60 カバー部材(ケース本体)
61 基板部
62 基板露出用開口
63 逃げ用凹部
64 押え用突起
65 係合凸部
66 係合孔
67 コンタクト支持凸部
68 貫通孔
69 環状突起
70 LEDユニット(半導体発光素子ユニット)
71 基板
72 陽極
73 陰極
74 LED(半導体発光素子)
75 拡散レンズ
77 ケーブル
78 電線
79 被覆チューブ
80 照明器具
81 ベース部材
82 シャシー(放熱部材)
83 固定ボルト
84 投光性カバー部材
85 天井板
86 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と基板の一体物である半導体発光素子ユニットを配置可能な収容空間を内部に有するケース本体と、
該ケース本体に形成した、上記収容空間に配置した上記半導体発光素子を上記ケース本体の外側に露出させる照明用開口と、
上記ケース本体に形成した、外側に位置する上記半導体発光素子が上記収容空間側に挿通可能で、かつ上記収容空間に配置した上記基板を外側に露出させる基板露出用開口と、
上記ケース本体に形成した、上記収容空間に配置した上記基板を該収容空間に留めるように支持する基板保持部と、
上記収容空間に位置する状態で上記ケース本体の絶縁部に支持させた、上記基板及び電源と電気的に導通可能なコンタクトと、
を備えることを特徴とする半導体発光素子用ホルダ。
【請求項2】
請求項1記載の半導体発光素子用ホルダにおいて、
上記ケース本体が、
上記コンタクトを支持するインシュレータと、
該インシュレータに対して取り付けることにより、該インシュレータとの間で上記収容空間を形成するカバー部材と、を具備する半導体発光素子用ホルダ。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体発光素子用ホルダにおいて、
上記ケース本体の外面に上記照明用開口の外周側に位置させて形成した、上記半導体発光素子が発した照明光を反射する、外周側から内周側に向かうにつれて該外面側から上記収容空間側に近づく形状のテーパ状反射面を備える半導体発光素子用ホルダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の半導体発光素子用ホルダにおいて、
上記基板保持部が、上記基板露出用開口より外側に突出しかつ上記基板の外面を支持する係合爪である半導体発光素子用ホルダ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の半導体発光素子用ホルダと、
上記収容空間に配置した上記半導体発光素子ユニットと、
を備えることを特徴とする半導体発光素子モジュール。
【請求項6】
請求項5記載の半導体発光素子モジュールと、
上記基板露出用開口から外部に露出した上記基板に接触する放熱部材と、
上記半導体発光素子が発した照明光が透過可能で、かつ上記半導体発光素子ホルダを囲む投光性カバー部材と、
を備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−93192(P2013−93192A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234171(P2011−234171)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000128407)京セラコネクタプロダクツ株式会社 (77)
【Fターム(参考)】