説明

半導体装置の製造方法

【構成】 半導体基板11に素子分離絶縁膜13を形成し、不純物を含む多結晶シリコン膜15を形成し、多結晶シリコン膜をエッチングしてチャネル領域17を開口し、全面に絶縁膜19を形成し、熱処理を行い多結晶シリコン膜中の不純物を半導体基板に拡散させて高濃度領域21を形成し、チャネルドープを行いチャネル領域にチャネルドープ領域25を形成する工程と、塗布膜27を形成し、絶縁膜の一部領域が露出するまで塗布膜をエッチングする工程と、塗布膜をエッチングマスクとして絶縁膜をエッチングし、開口部29を形成し、イオン注入により開口部の半導体基板に低濃度領域23を形成する工程とを有する。
【効果】 絶縁膜の膜厚を調整することにより、低濃度領域の長さを制御することが可能となり、低濃度領域の長さのばらつきを小さくすることができ、特性ばらつきのないMOSトランジスタを製造することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はソースドレイン領域に低濃度領域と高濃度領域とを有する、いわゆるライトリー・ドープト・ドレイン(LDD)構造を備えるMOSトランジスタの製造方法に関し、とくにチャネル領域に不純物を導入して形成するチャネルドープ領域を備えるLDD構造のMOSトランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】MOSトランジスタを高耐圧化する手段として、ソースドレイン領域に低濃度領域と高濃度領域とを設けるLDD構造のものが知られている。
【0003】このLDD構造を備えるMOSトランジスタにおいては、チャネル領域に隣接して設ける低濃度領域により、MOSトランジスタの高耐圧化が達成され、ホットキャリアの発生を抑え、MOSトランジスタのしきい値電圧の変動を抑制することが可能となる。
【0004】そしてこのようなLDD構造のMOSトランジスタのチャネル領域に、イオン注入法により不純物を導入して、MOSトランジスタのしきい値電圧を制御している。
【0005】従来技術におけるLDD構造を備え、チャネルドープを行うMOSトランジスタの製造方法を、図3R>3の工程断面図を用いて説明する。
【0006】まず図3(a)に示すように、導電型がP型の半導体基板11に素子分離絶縁膜13を形成する。
【0007】その後、素子分離絶縁膜13に囲まれた素子領域に、半導体基板11表面を保護するために、バッファ酸化膜35を形成する。
【0008】そしてMOSトランジスタのしきい値電圧を制御するために、P型の不純物を半導体基板11に導入して、チャネルドープ領域25を形成する。
【0009】つぎに図3(b)に示すように、バッファ酸化膜35を除去した後、素子領域にゲート絶縁膜31を形成し、さらにゲート電極33を形成する。
【0010】その後、ゲート電極33の整合した領域の素子領域にN型の不純物を導入することにより、半導体基板11に低濃度領域23を形成する。
【0011】つぎに図3(c)に示すように、全面に絶縁性被膜を形成し、この絶縁性被膜を異方性エッチングして、ゲート電極33の側壁領域に絶縁物側壁37を形成する。
【0012】その後、ゲート電極33と絶縁性側壁37との整合した領域に、N型の不純物を導入して、半導体基板11に高濃度領域21を形成する。この結果、ソースドレイン領域に高濃度領域21と低濃度領域23とを備えるLDD構造で、しかもチャネルドープ領域25によりしきい値電圧を制御するMOSトランジスタを形成することができる。
【0013】図3を用いて説明したMOSトランジスタの製造方法においては、N型の低濃度領域23には、P型のチャネルドープ領域25形成のための不純物が導入されている。
【0014】このため低濃度領域23の実効的な不純物濃度は低くなり、低濃度領域23が空乏層化して高抵抗となり、相互コンダクタンス(gm)が劣化するという問題点が発生する。
【0015】そこでこの相互コンダクタンスの劣化を防止するために、たとえば特開平4−276629号公報に記載のMOSトランジスタの製造方法が提案されている。この公報に記載のMOSトランジスタの製造方法を、図4の工程断面図を用いて説明する。
【0016】まず図4(a)に示すように、導電型がP型の半導体基板11に素子分離絶縁膜13を形成し、全面にN型の不純物を高濃度に含む多結晶シリコン膜15を形成する。さらにその後、多結晶シリコン膜15上に酸化シリコン膜からなるキャップ膜39を形成する。
【0017】その後、チャネル領域17が開口するように、キャップ膜39と多結晶シリコン膜15とを一部除去する。
【0018】その後、ランプアニールを行い、多結晶シリコン膜15中の不純物を半導体基板11に拡散させて、高濃度領域21を形成する。
【0019】つぎに図4(b)に示すように、全面にN型の不純物としてリンを含む酸化シリコン膜(PSG膜)を形成し、異方性エッチングを行い、キャップ膜39と多結晶シリコン膜15との側壁に、リンを含む酸化シリコン膜からなる絶縁物側壁37を形成する。
【0020】その後、MOSトランジスタのしきい値電圧を制御するために、P型の不純物を絶縁物側壁37と多結晶シリコン膜15とキャップ膜39との整合した領域のチャネル領域17に導入し、チャネルドープ領域25を形成する。
【0021】その後、図4(c)には図示しないが、ゲート絶縁膜を形成する。このゲート絶縁膜を形成するときの酸化処理時の熱工程によって、絶縁物側壁37からN型の不純物を半導体基板11に拡散させて、低濃度領域23をチャネルドープ領域25と高濃度領域21との間に形成する。この結果、ソースドレイン領域に高濃度領域21と低濃度領域23とを備えるLDD構造で、そのうえチャネルドープ領域25によりしきい値電圧を制御するMOSトランジスタを形成することができる。
【0022】図4を用いて説明したMOSトランジスタの製造方法においては、低濃度領域23を形成するためには、リンを含む酸化シリコン膜を全面に形成し、その後、異方性エッチングを行い、絶縁物側壁37を形成し、絶縁物側壁37から不純物を半導体基板11に拡散している。
【0023】そのためにチャネルドープ領域25の不純物が低濃度領域23に導入されず、不純物濃度の低下は発生せず、したがって相互コンダクタンスの劣化も発生しないという利点を備えている。
【0024】しかしながら、図4を用いて説明したMOSトランジスタの製造方法においては、異方性エッチングによって形成する絶縁物側壁37のエッチング制御性が悪い。このため図4(c)に示す絶縁物側壁長さ37aのばらつきが発生する。
【0025】そのため低濃度領域23の長さもばらつき、MOSトランジスタの特性のばらつきが発生するという不都合が生じる。
【0026】本発明の目的は、上記課題を解決して、特性ばらつきのないMOSトランジスタの製造方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するため手段】上記目的を達成するために、本発明のMOSトランジスタの製造方法は、下記記載の工程を採用する。
【0028】本発明のMOSトランジスタの製造方法は、第1導電型の半導体基板の素子分離領域に素子分離絶縁膜を形成し、全面に第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜を形成し、多結晶シリコン膜をエッチングしてチャネル領域を開口し、全面に絶縁膜を形成し、熱処理を行い多結晶シリコン膜中の不純物を半導体基板に拡散させて第2導電型の高濃度領域を形成し、第1導電型の不純物をチャネル領域に導入するチャネルドープを行いチャネル領域にチャネルドープ領域を形成する工程と、全面に塗布膜を形成し、絶縁膜の一部領域が露出するまで塗布膜をエッチングする工程と、塗布膜をエッチングマスクとして絶縁膜をエッチングし、多結晶シリコン膜の側壁に開口部を形成し、イオン注入を行うことにより開口部内の半導体基板に第2導電型の低濃度領域を形成する工程と、チャネル領域の塗布膜と絶縁膜とを除去し、ゲート絶縁膜を形成し、さらにゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0029】本発明のMOSトランジスタ製造方法は、第1導電型の半導体基板の素子分離領域に素子分離絶縁膜を形成し、全面に第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜を形成し、多結晶シリコン膜をエッチングしてチャネル領域を開口し、全面に減圧雰囲気中の化学気相成長法により気相成長膜を形成し、熱処理を行い多結晶シリコン膜中の不純物を半導体基板に拡散させて第2導電型の高濃度領域を形成し、第1導電型の不純物をチャネル領域に導入するチャネルドープを行いチャネル領域にチャネルドープ領域を形成する工程と、気相成長膜をエッチングして気相成長膜の平面部と側壁部とのエッチング速度の差を利用して、多結晶シリコン膜の側壁に開口部を形成し、イオン注入を行うことにより開口部内の半導体基板に第2導電型の低濃度領域を形成する工程と、チャネル領域の塗布膜と絶縁膜とを除去し、ゲート絶縁膜を形成し、さらにゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0030】
【実施例】以下図面を用いて本発明の実施例におけるMOSトランジスタの製造方法を説明する。第1の実施例におけるMOSトランジスタの製造方法を、図1(a)から図1(d)を用いて説明する。
【0031】まず図1(a)に示すように、導電型がP型の半導体基板11に酸化処理を行い、膜厚が30nmの酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。
【0032】その後、化学気相成長装置を用い、ジクロルシラン(SiH2 Cl2 )とアンモニア(NH3 )とを反応ガスとして使用して、膜厚50nmの窒化シリコン膜(図示せず)を全面に形成する。
【0033】その後、窒化シリコン膜上の全面に回転塗布法により感光性樹脂(図示せず)を形成し、さらに所定のフォトマスクを用いて露光、現像処理を行い、素子領域上に感光性樹脂を形成する。
【0034】その後、このパターニングした感光性樹脂をエッチングマスクとして用いて、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを素子領域上に形成するように、エッチングする。
【0035】その後、窒化シリコン膜を酸化防止膜として用い、素子分離領域に酸化シリコン膜からなる素子分離絶縁膜13を形成する、いわゆる選択酸化処理を行う。
【0036】このときの選択酸化処理条件は、水蒸気酸化雰囲気中で、温度1000℃、時間160分の酸化処理を行い、膜厚が750nmの素子分離絶縁膜13を形成する。その後、選択酸化処理に用いた窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを除去する。
【0037】さらにその後、反応ガスとしてモノシラン(SiH4 )を用いる化学気相成長法により、膜厚300nmの多結晶シリコン膜15を全面に形成する。
【0038】その後、オキシ塩化リン(POCl3 )あるいはホスフィン(PH3 )と酸素との混合ガス雰囲気中で熱処理を行い、多結晶シリコン膜15に、不純物濃度が1020cm- 3 程度になるように、リンを導入する。
【0039】その後、多結晶シリコン膜15上の全面に感光性樹脂(図示せず)を回転塗布法により形成し、所定のフォトマスクを用いて露光、現像処理を行い、感光性樹脂をパターニングする。
【0040】その後、このパターニングした感光性樹脂をエッチングマスクと用いて、エッチングガスとして六フッ化イオウ(SF6 )と酸素との混合ガスを用い、反応性イオンエッチング装置を用いて、多結晶シリコン膜15をエッチングする。その結果、チャネル領域17の半導体基板11が露出する。
【0041】その後、反応ガスとしてモノシラン(SiH4 )と酸素との混合ガスを用いる化学気相成長法により、膜厚200nmの酸化シリコン膜からなる絶縁膜19を全面に形成する。
【0042】その後、ランプアニール装置を用いて、温度1000℃、時間20秒の熱処理を行い、多結晶シリコン膜15中に含む不純物のリンを半導体基板11に拡散させて、導電型がN型の高濃度領域21を形成する。
【0043】その後、イオン注入法により、半導体基板11にP型の不純物としてボロンを導入し、チャネル領域17にチャネルドープ領域25を形成する。
【0044】なおこのチャネルドープ領域25形成のためのイオン注入工程におけるイオン注入量は、MOSトランジスタの要求されるしきい値により変化させ、注入エネルギーは絶縁膜19を貫通して半導体基板11に注入されるエネルギーを選択すれば良い。
【0045】このチャネルドープ領域25は、図1(a)に示すように、絶縁膜19が多結晶シリコン膜15の開口端においては、実効的に膜厚が厚くなっているので、高濃度領域21から離間した領域に形成することができる。
【0046】つぎに図1(b)に示すように、回転塗布法により全面にポリメチルメタアクリレートからなる塗布膜27を形成する。この塗布膜27はある程度厚く形成することにより、塗布膜27の表面をほぼ平坦な形状に形成することができる。
【0047】その後、塗布膜27を、酸素を用いる反応性イオンエッチング装置によりエッチングし、絶縁膜19の一部が露出するまでエッチングする。
【0048】その結果、図1(b)に示すように、チャネル領域17上の絶縁膜19の凹部に塗布膜27を埋め込むように形成する。
【0049】つぎに図1(c)に示すように、塗布膜27をエッチングマスクとして用い、絶縁膜19をエッチングする。この酸化シリコン膜からなる絶縁膜19のエッチングは、反応性イオンエッチング装置を用いて、エッチングガスとして三フッ化メタン(CHF3 )と酸素との混合ガスを用いて行う。
【0050】その結果、多結晶シリコン膜15の端部のチャネル領域17上に開口部29を形成することができる。
【0051】その後、イオン注入法により、N型の不純物としてリンあるいは砒素をイオン注入量1011から1012cm- 2 、注入エネルギー35keVで、開口部29内の半導体基板11に導入して、低濃度領域23を形成する。
【0052】すなわち低濃度領域23の長さ制御ためには、絶縁膜19の膜厚を変化させれば良い。
【0053】つぎに図1(d)に示すように、チャネル領域17上に残存する塗布膜27と絶縁膜19とを除去する。
【0054】その後、酸素と窒素との混合ガス雰囲気中で温度1000℃、時間50分の熱処理を行い、膜厚30nmの酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜31を半導体基板11に形成する。
【0055】このゲート絶縁膜31形成のための酸化処理において、多結晶シリコン膜15表面に前述の膜厚より厚い膜厚を有する酸化シリコン膜が形成される。
【0056】その後、反応ガスとしてモノシラン(SiH4 )を用いる化学気相成長法により、ゲート電極33材料としてポリシリコン膜を、膜厚が400nmで全面に形成する。
【0057】その後、オキシ塩化リン(POCl3 )あるいはホスフィン(PH3 )と酸素との混合ガス雰囲気中で熱処理を行い、ポリシリコン膜中にリンを高濃度に導入する。
【0058】その後、回転塗布法により感光性樹脂(図示せず)をポリシリコン膜上の全面に形成し、所定のフォトマスクを用いて露光、および現像処理を行い、感光性樹脂をパターニングする。
【0059】その後、パターニングした感光性樹脂をエッチングマスクとして用い、エッチングガスとして六フッ化イオウ(SF6 )と酸素との混合ガスを用いる反応性イオンエッチングにより、ポリシリコン膜をエッチングして、ゲート電極33を形成する。
【0060】その後は図示しないが、層間絶縁膜を化学気相成長法により形成し、感光性樹脂をエッチングマスクとして用いて層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成し、その後スパッタリング法によりシリコンと銅とを含むアルミニウムからなる配線材料を形成し、感光性樹脂をエッチングマスクとして用いて配線材料をエッチングして、配線を形成して、ソースドレイン領域に高濃度領域と低濃度領域とを有するLDD構造を備え、チャネルドープ領域によりしきい値電圧を制御するMOSトランジスタが完成する。
【0061】図1を用いて説明したMOSトランジスタの製造方法においては、絶縁膜19の膜厚に対応する開口部29を多結晶シリコン膜15の端部に形成し、そしてこの開口部29内の半導体基板11に不純物を導入して、低濃度領域23を形成している。
【0062】このため低濃度領域23の長さばらつきを小さく抑えることが可能となる。したがって、MOSトランジスタの特性ばらつきは、きわめて小さくすることができる。
【0063】さらに低濃度領域23の不純物濃度が低くなることもなく、相互コンダクタンス(gm)の劣化も発生しない。
【0064】つぎに本発明のMOSトランジスタの製造方法における第2の実施例を図2を用いて説明する。
【0065】まず図2(a)に示すように、第1の実施例と同様な製造工程により、半導体基板11に酸化シリコン膜からなる素子分離絶縁膜13を形成し、チャネル領域17が開口した不純物を高濃度に含む多結晶シリコン膜15を形成する。
【0066】その後、全面に減圧雰囲気による化学気相成長法により、酸化シリコン膜からなる気相成長膜20を、膜厚200〜300nmで形成する。
【0067】その後、ランプアニール装置を用いて熱処理を行い、多結晶シリコン膜15から不純物を半導体基板11に拡散させて、高濃度領域21を形成する。
【0068】その後、イオン注入法により、半導体基板11と同じ導電型の不純物を、気相成長膜20を貫通して半導体基板11に注入して、チャネルドープ領域25を形成する。
【0069】つぎに図2(b)に示すように、気相成長膜20の全面エッチングを行う。気相成長膜20のエッチングは、フッ酸系のエッチング液を用いる、湿式エッチングにより行う。
【0070】減圧雰囲気中の化学気相成長法で形成した気相成長膜20は、平面部20aと側壁部20bとでは、エッチング速度が10倍以上異なり、このため多結晶シリコン膜20の側壁に、側壁部20bに対応する開口部29を形成することができる。
【0071】この気相成長膜20が平面部20aと側壁部20bとで、エッチング速度が大きく異なるのは、下記の理由による。
【0072】減圧雰囲気中の化学気相成長法による被膜形成に関与する活性種が、一定方向から半導体基板11に到達する。
【0073】このため平面部20aと側壁部20bとでは、気相成長膜20の被膜堆積機構が大きく異なり、気相成長膜20の全面エッチングにおけるエッチング速度は、平面部20aと側壁部20bとで大きく異なる。
【0074】この結果、前述のように多結晶シリコン膜15の側壁に開口部29を形成することができる。この気相成長膜20の膜厚を調整することにより、開口部29の開口寸法を制御することができる。
【0075】その後、開口部29内に、イオン注入法により、N型の不純物を導入して低濃度領域23を形成する。その後、気相成長膜20を除去する。
【0076】その後は第1の実施例と同様な工程により、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート電極を形成し、さらに層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを形成し、配線を形成してMOSトランジスタを完成する。
【0077】図2を用いて説明した第2の実施例においては、第1の実施例と同様に、低濃度領域23の長さばらつきが小さくなり、MOSトランジスタの特性ばらつきを小さくすることができる。
【0078】さらに第2の実施例では開口部29の形成が、第1の実施例より簡単であるという効果を備えている。
【0079】なお塗布膜27として、ポリメチルメタアクリレートを用いた実施例で説明したが、ポリメチルメタアクリレート以外に、そのほかの有機高分子材料や、感光性樹脂や、塗布ガラス膜であるスピンオングラスなど、その表面がほぼ平坦な形状で形成できる材料であれば塗布膜27として適用できる。
【0080】さらに絶縁膜19としては、酸化シリコン膜以外に、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜も適用可能である。
【0081】さらに気相成長膜20も酸化シリコン膜以外に、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜も適用可能である。
【0082】
【発明の効果】以上の説明で明らなように、本発明のMOSトランジスタの製造方法においては、多結晶シリコン膜の側壁に開口部を形成し、この開口部を利用して半導体基板に低濃度領域を形成している。
【0083】このため絶縁膜や気相成長膜の膜厚を調整することにより、低濃度領域の長さを制御することが可能となり、低濃度領域の長さのばらつきをきわめて小さくすることができる。この結果、特性ばらつきのないMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0084】さらに本発明のMOSトランジスタの製造方法においては、低濃度領域や高濃度領域にチャネルドープ領域の不純物が導入されることは発生しないので、相互コンダクタンスの劣化も発生しない。
【0085】さらにゲート電極下の領域に低濃度領域を形成することが可能になるため、絶縁物側壁にホットキャリアが捕獲されることによる、低濃度領域の抵抗値が高くなることを防止することが可能となり、信頼性が高い半導体装置が得られるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】従来例における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】従来例における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
15 多結晶シリコン膜
17 チャネル領域
19 絶縁膜
20 気相成長膜
21 高濃度領域
23 低濃度領域
25 チャネルドープ領域
27 塗布膜
29 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1導電型の半導体基板の素子分離領域に素子分離絶縁膜を形成し、全面に第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜を形成し、多結晶シリコン膜をエッチングしてチャネル領域を開口し、全面に絶縁膜を形成し、熱処理を行い多結晶シリコン膜中の不純物を半導体基板に拡散させて第2導電型の高濃度領域を形成し、第1導電型の不純物をチャネル領域に導入するチャネルドープを行いチャネル領域にチャネルドープ領域を形成する工程と、全面に塗布膜を形成し、絶縁膜の一部領域が露出するまで塗布膜をエッチングする工程と、塗布膜をエッチングマスクとして絶縁膜をエッチングし、多結晶シリコン膜の側壁に開口部を形成し、イオン注入を行うことにより開口部内の半導体基板に第2導電型の低濃度領域を形成する工程と、チャネル領域の塗布膜と絶縁膜とを除去し、ゲート絶縁膜を形成し、さらにゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】 第1導電型の半導体基板の素子分離領域に素子分離絶縁膜を形成し、全面に第2導電型の不純物を含む多結晶シリコン膜を形成し、多結晶シリコン膜をエッチングしてチャネル領域を開口し、全面に減圧雰囲気中の化学気相成長法により気相成長膜を形成し、熱処理を行い多結晶シリコン膜中の不純物を半導体基板に拡散させて第2導電型の高濃度領域を形成し、第1導電型の不純物をチャネル領域に導入するチャネルドープを行いチャネル領域にチャネルドープ領域を形成する工程と、気相成長膜をエッチングして気相成長膜の平面部と側壁部とのエッチング速度の差を利用して、多結晶シリコン膜の側壁に開口部を形成し、イオン注入を行うことにより開口部内の半導体基板に第2導電型の低濃度領域を形成する工程と、チャネル領域の塗布膜と絶縁膜とを除去し、ゲート絶縁膜を形成し、さらにゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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