単一方向曲げガラスの製造装置、単一方向曲げガラス及び単一方向曲げガラスの製造方法
【課題】本発明は、ガラス先端の曲率半径とガラス後端の曲率半径との差が少ない、単一方向曲げガラスの製造技術の提供を課題とする。
【解決手段】加熱炉13と、冷却機構14とを備えている単一方向曲げガラスの製造装置10において、冷却機構14は、上部ウインドボックス25に接続されガラス12が移動する方向と平行に上部ウインドボックス25を移動させる移動手段29を備えることを特徴とする。
【効果】後端下面T8を急速に冷却し、後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じになるタイミングで、後端上面T7にも冷却風を直接当てる。後端上面T7と後端下面T8との歪点に到達するタイミングが同じになる。ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【解決手段】加熱炉13と、冷却機構14とを備えている単一方向曲げガラスの製造装置10において、冷却機構14は、上部ウインドボックス25に接続されガラス12が移動する方向と平行に上部ウインドボックス25を移動させる移動手段29を備えることを特徴とする。
【効果】後端下面T8を急速に冷却し、後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じになるタイミングで、後端上面T7にも冷却風を直接当てる。後端上面T7と後端下面T8との歪点に到達するタイミングが同じになる。ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一方向曲げガラスの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用窓ガラスに、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスが用いられる。このようにして用いられる、単一方向曲げガラスの製造装置が、提案されている(例えば、特許文献1(図7)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10に示すように、単一方向曲げガラスの製造装置100は、加熱ベッド101でガラス102を加熱しこのガラス102を任意の形状に変形させる加熱炉103と、この加熱炉103の下流に配置され加熱炉103で加熱、成形されたガラス102を冷却する冷却器104とからなる。
【0004】
このような製造装置100で製造された単一方向曲げガラス(図11、符号106)は、次図で説明するような問題があることが分かった。
【0005】
図11に示すように、単一方向曲げガラス106の先端の曲率半径R1と、後端の曲率半径R2とを本発明者らが計測したところ、曲率半径R1(例えば、2109mm)と、曲率半径R2(例えば、1920mm)とが同じではなく、曲率半径R1と、曲率半径R2とにずれがあることが分かった。
【0006】
曲率半径R1と、曲率半径R2との差が50mmを超えると、単一方向曲げガラス106の車体への組付けが悪くなる。加えて、曲率半径R1と、曲率半径R2との差が大きいことで、単一方向曲げガラス106に反射する画像が歪んで見え、外観性が悪くなる。
曲率半径R1と、曲率半径R2とに差がでることは、長さが800mmを超えるガラスで顕著であった。
【0007】
そこで、本発明者らは、曲率半径R1と、曲率半径R2とに差が出ることの原因を調べることを目的に実験を行った。
実験の方法を次図で説明する。
【0008】
図12に示されるように、加熱炉(図10、符号103)から搬送され、冷却器104で冷却されるガラス102の温度を計測した。温度を計測したのは、先端上面T1、先端下面T2、後端上面T3、後端下面T4の4箇所である。
このときの温度変化の様子を次図で説明する。
【0009】
図13は横軸を時間軸、縦軸を温度軸としたガラスの温度曲線図である。そして、中央に想像線で示すT0は、歪点である。歪点とは、それ以下の温度では、どれだけ急冷しても歪みを生じないと定められている温度をいう。
【0010】
先端上面T1は、P1で冷却が開始され、P2で冷却が終了する。P1からP2の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0011】
先端下面T2は、P1で冷却が開始され、P2で冷却が終了する。P1からP2の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0012】
後端上面T3は、P3から緩やかに温度が低下し、P4で急な冷却が開始されP5で冷却が終了する。後端上面T3は、P4からP5の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0013】
後端下面T4は、P6で冷却が開始され、P7で冷却が終了する。P6からP7の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0014】
歪点T0に達するタイミングは、先端上面T1と、先端下面T2とでほぼ同時であった。 一方、後端上面T3が歪点T0に達する際(P8)、後端下面T4はまだ歪点T0より高い温度であった。このため、後端下面T4は後端上面T3よりも遅いタイミングP9で歪点T0に達する。
【0015】
後端は、後端上面T3と、後端下面T4とで、歪点T0に達するタイミングに差がある。歪点T0以下の温度では、温度差による歪みはこれ以上緩和されることが無いため、歪点T0に達するタイミングに差があると、温度差による熱収縮が形状変化となって現れる。この歪点T0に達するタイミングに差があることが、曲率半径(図11、符号R1、R2)に差が生じたことの原因であると推定される。
【0016】
即ち、後端上面T3と、後端下面T4ともほぼ同じタイミングで歪点T0に達すれば、先端の曲率半径と後端の曲率半径との間に差が出ないと想定される。
T3の温度が、冷却開始前であるP3からP4の間で緩やかに低下していた原因を次図で説明する。
【0017】
図14に示すように、ガラス102の先端上下面T1、T2が冷却器104に搬送されると、矢印で示すようにガラス102の上面を伝って先端上面T1から後端上面T3に向かって冷却風が流れる。この冷却風によって、後端上面T3は間接的に冷却され、冷却器104に搬送されるまでに徐々に温度が低下する。
【0018】
図10〜図14をまとめて、以下のようにいうことができる。
後端上面T3は、冷却器104に搬送されるまでに温度が低下する。温度が低下することで、後端上面T3と後端下面T4とは歪点T0に到達するタイミングに差が生じる(図13参照)。一方、先端上面T1と先端下面T2とは、歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じである。歪点T0に到達するタイミングに差が生じない先端と、歪点T0に到達するタイミングに差が生ずる後端とで、曲率半径に差が生じる(図11参照)。曲率半径の差が大きいと、組み付け性や外観性に問題が生じる。
【0019】
ガラス先端の曲率半径とガラス後端の曲率半径との差が少ない、単一方向曲げガラスの製造技術の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平10−287438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、ガラス先端の曲率半径とガラス後端の曲率半径との差が少ない、単一方向曲げガラスの製造技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に係るガラス製造装置は、加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を吹付ける下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され前記ガラスの上面に冷却風を吹付ける上部ノズルと、この上部ノズルに接続され前記ガラスが移動する方向と平行に前記上部ノズルを移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
請求項2に係るガラス製造装置は、加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を送る下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され冷却風を貯える上部ウインドボックスと、この上部ウインドボックスに前記ガラスの移動方向にスイング可能に設けられるスイングノズルと、このスイングノズルを前記ガラスの移動方向にスイングさせることで冷却風を送る方向を切り替える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項3に係る単一方向曲げガラスは、請求項1又は請求項2記載の単一方向曲げガラスの製造装置で製造された単一方向曲げガラスであって、
前記内筒体の先端の曲率半径と、後端の曲率半径との差が50mm以内であり、
長手方向の長さが800mm以上であることを特徴とする。
【0025】
請求項4に係る単一方向曲げガラスの製造方法は、ガラスを加熱し、このガラスを変形させる加熱・成形工程と、加熱・成形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却工程とからなる単一方向曲げガラスの製造方法において、
前記冷却工程では、前記ガラスを冷却機構内に連続して前進させることで、前記ガラスの冷却を実施し、
前記ガラスの、先端上面と先端下面との冷却を同時に開始し、これら先端上下面の冷却を開始した後に後端下面の冷却を開始し、この後端下面の冷却開始から所定時間経過後に後端上面の冷却を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に係るガラス製造装置は、ガラスが移動する方向に沿って上部ノズルを移動させる移動手段を備える。ガラスの後端が冷却機構内に搬送される際、上部ノズルをガラスの進行方向側に移動させておく。後端下面に冷却風を当てつつ、後端上面には冷却風を当てない。後端下面を急速に冷却し、後端下面の温度が後端上面の温度と同じになるタイミングで、後端上面にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面と後端下面とは、歪点に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面と、先端下面とが歪点に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0027】
請求項2に係るガラス製造装置は、ガラスの後端上下面が冷却機構内に搬送される際、スイングノズルをガラスの進行方向側にスイングさせておく。後端下面に冷却風を当てつつ、後端上面には冷却風を当てない。後端下面を急速に冷却し、後端下面の温度が後端上面の温度と同じになるタイミングで、後端上面にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面と後端下面とは、歪点に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面と、先端下面とが歪点に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0028】
請求項3に係る単一方向曲げガラスは、長手方向の長さが800mm以上である。長さが長いことで、ガラスの後端上面は冷却機構に搬送されるまでに大幅に冷却される。このため、このような大きなガラスは、冷却機構内搬送時における、後端上面と後端下面との温度差が生じやすい。一方で、長手方向の長さが800mm以上ある大きなガラスは、特に外観に表れる場所に用いられる。即ち、特に美観を求められるガラスの外観性を向上させることができる。
【0029】
請求項4に係る単一方向曲げガラスの製造方法は、後端下面の冷却開始から所定時間経過後に後端上面の冷却を開始する。後端下面を急速に冷却し、後端下面の温度が後端上面の温度と同じになるタイミングで、後端上面にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面と後端下面とは、歪点に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面と、先端下面とが歪点に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る単一方向曲げガラスの製造装置を説明する図である。
【図2】本発明に係る冷却装置の作用説明図である。
【図3】ガラス表面の温度変化を説明するグラフである。
【図4】上部ノズルの移動長さの決め方について説明する図である。
【図5】上部ノズルの移動長さの合否判断について説明する図である。
【図6】上部ノズルの移動長さの修正について説明する図である。
【図7】制御部にインプットされる情報について説明する図である。
【図8】単一方向曲げガラス製造装置の使用方法を説明するフロー図である。
【図9】第2実施例について説明する図である。
【図10】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【図11】従来の技術の問題点を説明する図である。
【図12】問題点の原因を調べるために行った実験について説明する図である。
【図13】図12の結果について説明するグラフである。
【図14】図13の原因について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0032】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、単一方向曲げガラスの製造装置10は、加熱ベッド11でガラス12を加熱しこのガラス12を任意の形状に変形させる加熱炉13と、この加熱炉13の下流に隣接して設けられ加熱炉13で加熱、成形されたガラス12に冷却風を当てることでガラス12を冷却させる冷却機構14とからなる。
【0033】
冷却機構14は、脚15、15に支持されガラス12の搬入口及び搬出口となる開口16、16を有する基体17と、この基体17上に配置されガラス12の下面に冷却風を吹付ける下部ノズル18と、この下部ノズル18を支持し下部ノズル18へ送られる冷却風が貯えられる下部ウインドボックス19と、この下部ウインドボックス19に繋がれ下部ウインドボックス19に冷却風を送る下部送風機21と、基体17の天板下面で支持されているガイド部材23と、このガイド部材23によって移動可能に支持されガラス12の上面に向かって冷却風を吹き付ける上部ノズル24と、この上部ノズル24を支持し上部ノズル24へ送られる冷却風が貯えられる上部ウインドボックス25と、この上部ウインドボックス25に繋がれ上部ウインドボックス25に冷却風を供給する上部送風機26と、基体17の天板下面にフランジ28、28を介して支持され上部ウインドボックス25と共に上部ノズル24を図面左右方向に移動させる移動手段29と、この移動手段29に繋がれ移動手段29を作動させるための制御部31と、この制御部31に繋がれガラス12の位置を検出するガラス位置検出手段32と、制御部31に繋がれ搬送されるガラス12の種類を制御部31に伝えるためのダイヤル33とからなる。
【0034】
加熱炉13においてガラス12は、空気の力で浮上され図面左から右に向かって移動される。即ち、ガラス12の移動に浮上搬送手段が採用されている。冷却機構14も同様である。
【0035】
ガラス位置検出手段32は、図面左右方向に向かって移動可能に設けられている。
ガラス12の種類が変わると、作業者がガラス12の種類に応じてダイヤル33を操作する。制御部31は、ガラス12の種類が変えられたことを認識し、ガラス位置検出手段32の配置される場所を変える。
【0036】
移動手段29には、油圧、水圧、空圧の各シリンダを用いることができる。
ガイド部材23には、いわゆるリニアガイドを用いることができる。
下部送風機21には、ブロアやファンを用いることができる。上部送風機26も同様である。
このような、単一方向曲げガラスの製造装置10の作用を次図で説明する。
【0037】
図2(a)に示すように、ガラス12が加熱炉13で加熱されながら、分割円筒体のように単純に曲げられ、冷却機構14に搬送される。
【0038】
(b)に示すように、冷却機構14に搬送されたガラス12は、ガラス位置検出手段32が配置されている場所まで搬送される。ガラス位置検出手段32は、ガラス12が到達したことを制御部31に伝え、制御部31は移動手段29を作動させる。移動手段29を作動させることで、上部ウインドボックス25は、図面右に向かって移動される。
【0039】
制御部31が移動手段29を作動させてから所定時間が経過すると、(c)に示すように、制御部31は移動手段29を停止させ、上部ウインドボックス25の移動を停止させる。
このとき、上部ウインドボックス25の動作に関係なく、ガラス12は搬送され続ける。
【0040】
制御部31が上部ウインドボックス25の移動を停止させてから所定時間が経過すると、ガラス12の後端が上部ウインドボックス25に入りきる。この後、(d)に示すように、制御部31は移動手段29を作動させ、上部ウインドボックス25を図面左に向かって移動させる。
【0041】
(e)に示すように、冷却機構14で十分に冷却されることで、単一方向曲げガラスが完成する。一方で、新しいガラス12が加熱炉13内に搬送される。
ここで、ガラス12の先端上面をT5、ガラス12の先端下面をT6、ガラス12の後端上面をT7、ガラス12の後端下面をT8とする。
(a)から(e)における、T5〜T8それぞれの温度変化について次図で説明する。
【0042】
図3に示すように、横軸は時間であり縦軸は温度を表す。また、中央に想像線で示すT0は、歪点である。
【0043】
加熱炉から出されたガラスの先端上面T5は、図中のP11で冷却が開始され、P12で冷却が終了する。P11からP12の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0044】
先端下面T6も、P11で冷却が開始され、P12で冷却が終了する。P11からP12の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0045】
先端上面T5と、先端下面T6とは、ほぼ同じ温度変化を呈し、歪点T0へ到達するタイミングもほぼ同じである。
【0046】
後端上面T7は、P13で緩やかに温度が低下し始め、P14で急な冷却が開始され、P15で冷却が終了する。P14からP15の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0047】
先端下面T8は、P16で冷却が開始され、P15で冷却が終了する。P16からP15の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0048】
後端下面T8がP16から冷却され、後端上面T7がP14から冷却される。P16の時点で、後端下面T8よりも後端上面T7の方が温度が低い。P16からP14までの間に、後端下面T8は急速に冷却され、後端上面T7は緩やかに温度が低下する。これにより、P14で後端上面T7の温度と、後端下面T8の温度とが同じになる。
【0049】
温度が同じになったところで、後端上面T7の冷却も開始する。このため、P14からP15まで後端上面T7の温度変化と、後端下面T8の温度変化とがほぼ同じになる。後端上面T7と、後端下面T8とは、P14からP15までの間で、ほぼ同時に歪点T0を通過する。
【0050】
本発明に係る単一方向曲げガラスの製造技術によれば、図2、図3から以下のようにいうことができる。
ガラス12後端が冷却機構14内に搬送される際に、上部ウインドボックス25は、予めガラス12の進行方向側に移動されている。ガラス12の後端下面T8に冷却風を当てつつ、ガラス12の後端上面T7には冷却風を当てないことができる。後端下面T8を急速に冷却し、後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じになるタイミングで、後端上面T7にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面T7と後端下面T8とは、歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面T5と、先端下面T6とが歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0051】
特に、本発明の単一方向曲げガラスの製造装置10は、長手方向の長さが800mm以上あるガラス12の製造に有益である。長手方向の長さが800mm以上あることで、後端上面T7は冷却機構14に搬送されるまでに大幅に冷却される。このような大きなガラス12は、冷却機構14内搬送時に後端下面T8との温度差が生じやすい。一方で、長手方向の長さが800mm以上ある大きなガラスは、特に外観に表れる場所に用いられる。即ち、特に美観を求められるガラスの外観性を向上させることができる。
【0052】
後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じ温度まで下げられた時点で、後端上面T7を上部ノズル(図1、符号24)で直接的に冷却し始める。後端上面T7を冷却し始めるタイミングは、ガラスの種類によって予め決めておく必要がある。
【0053】
通常、ガラスを送る速度は、一定である。このため、上部ウインドボックス25の移動量を調節することで、後端上面T7を冷却し始めるタイミングを調節することができる。
後端上面T7を冷却し始めるタイミングの決め方について、図4〜図6で説明する。
【0054】
図4に示すように、通常の単一方向曲げガラスの製造工程と同様に、加熱炉(図1、符号13)で加熱、成形したガラス37を、冷却機構14に搬送する。このとき、ガラス37は、搬送速度V1で搬送される。
最初は、ガラス37がガラス位置検出手段32まで到達しても、上部ウインドボックス25を移動させない。
【0055】
なお、ガラス37の長さL1(例えば、L1=800mm)、下部ウインドボックス19の後端位置38からガラス位置検出手段32までの長さL2(例えば、L2=(1/2)L1=400mm)、ガラス37の搬送速度V1(例えば、V1=0.1m/s)とする。
【0056】
下部ウインドボックス19の後端位置38からガラス位置検出手段32までの長さL2は、L2=(1/3)L1〜(2/3)L1で任意の値を選ぶことができる。
このようにして製造された、単一方向曲げガラスを計測する。計測方法は次図で説明する。
【0057】
図5に示すように、単一方向曲げガラス40の先端の曲率半径R3と、後端の曲率半径R4とを計測する。計測には、三次元測定器を用いることができる。
【0058】
このとき、|R3−R4|≦30mmであれば合格であり、|R3−R4|>30mmであると不合格である。
ここで、|R3−R4|≦30mmであれば合格としたのは、製造の過程で個体差が生じることを考慮してのことである。即ち、|R3−R4|≦30mmを合格とすることで、製品としての単一方向曲げガラス40は、高い精度で|R3−R4|≦50mmを満たすことができる。
【0059】
計測した結果、不合格である場合は、後端上面T7を冷却し始めるタイミングを遅くする必要がある。
冷却し始めるタイミングを遅くする方法は、次図で説明する。
【0060】
図6に示すように、ガラス位置検出手段32がガラス37を検知した際に、α(例えば5mm)だけ上部ウインドボックス25を移動させるようにしておく。
このようにして作成された単一方向曲げガラス(図5、符号40)について、図5で示すように、再度合否判定を行う。
【0061】
即ち、|R3−R4|≦30mmであるかを調べる。合格であれば、上部ウインドボックス25の移動量がαに決定される。一方、不合格であれば、図6に示す上部ウインドボックス25の移動量αを2・αにして、再度単一方向曲げガラスを製造する。
【0062】
|R3−R4|≦30mm(図5参照)となるまで、上部ウインドボックス25の移動量を3・α、4・αと変えていく。
例えば、R3=2155mm、R4=2142mmで、|R3−R4|=13mmとなった。これにより、上部ウインドボックス25の移動量n・α(例えば35mm)が決められる。ガラス12の搬送速度V1が一定であるから、移動量n・αを決めることで、ガラス12の後端上面T7の冷却を開始するタイミングが決定される((n・α)/V1)。
【0063】
なお、移動量を変更しても、|R3−R4|≦30mmとなる点が見つからない場合も考えられる。この場合、例えば、ノズル(図1、符号18、24)の吹出し強さを変更し、変更した吹出し強さで再度|R3−R4|≦30mmとなる移動量n・αを探す。
この他、ガラスの搬送速度V1を変更することもできる。
【0064】
このようにして求められた後端上面T7の冷却を開始するタイミングを、制御部(図1、符号31)にインプットしておく。また、ガラスの種類によって冷却風の吹出し強さ等を変更する場合は、この情報についても制御部にインプットしておく。この他に、制御部にインプットされる情報について次図で詳細に説明する。
【0065】
図7(a)に示すように、ガラス37がガラス位置検出手段32へ到達したことが制御部31に伝えられる。制御部31は、移動手段29を作動させると共に、制御部31内に内蔵されるタイマーをスタートさせる。移動手段29を作動させることで、上部ウインドボックス25が移動される。
なお、ガラス37がガラス位置検出手段32へ到達したときの時間を、基準時t0とする。
【0066】
(b)に示すように、上部ウインドボックス25を、図4〜図6で決定された移動量L3(=n・α)だけ移動させる。移動手段29の図面右方向への作動速度はV2であるため、t1=L3/V2(秒)だけ移動手段を作動させればよい。
即ち、制御部31は、t0からt1秒後に移動手段29を停止させる。
【0067】
次に、(c)に示すように、例えば、ガラス37の後端と上部ウインドボックス25の後端が重なったところで、上部ウインドボックス25を元の位置に戻す。このとき、t0からt2秒が経過した。t2秒の間にガラス12は、(a)に示す位置から、搬送速度V1で(L1−L2+L3)だけ進んでいる。従って、t2=(L1−L2+L3)/V1(秒)
【0068】
L3だけ上部ウインドボックス25を図面左側に移動させると、(d)に示すように、上部ウインドボックス25は元に戻される。戻されるときの上部ウインドボックス25の移動速度がV3なので、t2からL3/V3秒後に制御部31は上部ウインドボックス25の移動を停止する((c)参照)。これをt0からt3秒後とすれば、t3=t2+(L3/V3)(秒)。上部ウインドボックス25が元に戻されたら、制御部31は内蔵されているタイマーをリセットする。
【0069】
ガラス12の大きさ、形状、厚さによって、L1〜L3が変わる。このため、L1〜L3によって定められるt1〜t3もガラス12の種類によって変更させる必要がある。ガラス12の種類毎に、t1〜t3を予め制御部31にインプットしておく。
【0070】
このようにして複数種類のガラス12の情報がインプットされた、単一方向曲げガラスの製造装置(図1、符号10)の使用方法を次図で説明する。
【0071】
図8に示すように、まず、ステップ10(以下「ST」と記す)で、作業者は搬送されるガラスの種類に、ダイヤル(図1、符号33)を合わせる。
【0072】
次に、制御部は、指定されたガラスの種類に合わせて、ガラス位置検出手段を所定の位置に移動させる(ST11)。
【0073】
移動終了後に、ガラスが加熱炉内に搬送されることで、ガラスが加熱、成形され(ST12)る。加熱、成形されたガラスは、ガラス冷却装置に搬送され冷却されることで(ST13)、単一方向曲げガラスが完成する。
【0074】
なお、作業者がダイヤルを操作することに代え、加熱炉の上流側にセンサを設けておき、このセンサで搬送されるガラスの種類を識別しても良い。
次図で、本発明に係る単一方向曲げガラスの製造装置の別実施例について説明する。
【実施例2】
【0075】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図9(a)に示されるように、冷却機構43は、上部ウインドボックス44にスイング可能に設けられ冷却風を送る方向が切り替えられるスイングノズル45を備えている。
【0076】
ガラス12を搬送し、ガラス12がガラス位置検出手段32に到達すると、(b)に示すように、制御部31によってスイングノズル45が下流側に向かってスイングされる。スイングされることで、スイングノズル45は、L3だけ下流側に向かって冷却風を送る。これによって、ガラス12の上面に冷却風を直接的に吹き付けるタイミングを遅らせることができる。
【0077】
後端上面T7と、後端下面T8とが冷却機構43内に搬送される際、スイングノズル45をガラス12の進行方向側にスイングさせておく。ガラス12の後端下面T8に冷却風を当てつつ、ガラス12の後端上面T7には冷却風を当てないことができる。後端下面T8を急速に冷却し、後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じになるタイミングで、後端上面T7にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面T7と後端下面T8とは、歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面T5と、先端下面T6とが歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0078】
尚、単一方向曲げガラスは、車両用窓ガラスを例に説明したが、建築用窓ガラス等にも適用可能であり、これらのものに用途は限られない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の単一方向曲げガラスは、車両用窓ガラスに好適である。
【符号の説明】
【0080】
10…単一方向曲げガラスの製造装置、11…加熱ベッド、12、37…ガラス、13…加熱炉、14、43…冷却機構、18…下部ノズル、24…上部ノズル、29…移動手段、31…スイングノズルを制御する制御部、32…ガラス位置検出手段、35、40…単一方向曲げガラス、44…上部ウインドボックス、45…スイングノズル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一方向曲げガラスの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用窓ガラスに、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスが用いられる。このようにして用いられる、単一方向曲げガラスの製造装置が、提案されている(例えば、特許文献1(図7)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10に示すように、単一方向曲げガラスの製造装置100は、加熱ベッド101でガラス102を加熱しこのガラス102を任意の形状に変形させる加熱炉103と、この加熱炉103の下流に配置され加熱炉103で加熱、成形されたガラス102を冷却する冷却器104とからなる。
【0004】
このような製造装置100で製造された単一方向曲げガラス(図11、符号106)は、次図で説明するような問題があることが分かった。
【0005】
図11に示すように、単一方向曲げガラス106の先端の曲率半径R1と、後端の曲率半径R2とを本発明者らが計測したところ、曲率半径R1(例えば、2109mm)と、曲率半径R2(例えば、1920mm)とが同じではなく、曲率半径R1と、曲率半径R2とにずれがあることが分かった。
【0006】
曲率半径R1と、曲率半径R2との差が50mmを超えると、単一方向曲げガラス106の車体への組付けが悪くなる。加えて、曲率半径R1と、曲率半径R2との差が大きいことで、単一方向曲げガラス106に反射する画像が歪んで見え、外観性が悪くなる。
曲率半径R1と、曲率半径R2とに差がでることは、長さが800mmを超えるガラスで顕著であった。
【0007】
そこで、本発明者らは、曲率半径R1と、曲率半径R2とに差が出ることの原因を調べることを目的に実験を行った。
実験の方法を次図で説明する。
【0008】
図12に示されるように、加熱炉(図10、符号103)から搬送され、冷却器104で冷却されるガラス102の温度を計測した。温度を計測したのは、先端上面T1、先端下面T2、後端上面T3、後端下面T4の4箇所である。
このときの温度変化の様子を次図で説明する。
【0009】
図13は横軸を時間軸、縦軸を温度軸としたガラスの温度曲線図である。そして、中央に想像線で示すT0は、歪点である。歪点とは、それ以下の温度では、どれだけ急冷しても歪みを生じないと定められている温度をいう。
【0010】
先端上面T1は、P1で冷却が開始され、P2で冷却が終了する。P1からP2の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0011】
先端下面T2は、P1で冷却が開始され、P2で冷却が終了する。P1からP2の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0012】
後端上面T3は、P3から緩やかに温度が低下し、P4で急な冷却が開始されP5で冷却が終了する。後端上面T3は、P4からP5の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0013】
後端下面T4は、P6で冷却が開始され、P7で冷却が終了する。P6からP7の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0014】
歪点T0に達するタイミングは、先端上面T1と、先端下面T2とでほぼ同時であった。 一方、後端上面T3が歪点T0に達する際(P8)、後端下面T4はまだ歪点T0より高い温度であった。このため、後端下面T4は後端上面T3よりも遅いタイミングP9で歪点T0に達する。
【0015】
後端は、後端上面T3と、後端下面T4とで、歪点T0に達するタイミングに差がある。歪点T0以下の温度では、温度差による歪みはこれ以上緩和されることが無いため、歪点T0に達するタイミングに差があると、温度差による熱収縮が形状変化となって現れる。この歪点T0に達するタイミングに差があることが、曲率半径(図11、符号R1、R2)に差が生じたことの原因であると推定される。
【0016】
即ち、後端上面T3と、後端下面T4ともほぼ同じタイミングで歪点T0に達すれば、先端の曲率半径と後端の曲率半径との間に差が出ないと想定される。
T3の温度が、冷却開始前であるP3からP4の間で緩やかに低下していた原因を次図で説明する。
【0017】
図14に示すように、ガラス102の先端上下面T1、T2が冷却器104に搬送されると、矢印で示すようにガラス102の上面を伝って先端上面T1から後端上面T3に向かって冷却風が流れる。この冷却風によって、後端上面T3は間接的に冷却され、冷却器104に搬送されるまでに徐々に温度が低下する。
【0018】
図10〜図14をまとめて、以下のようにいうことができる。
後端上面T3は、冷却器104に搬送されるまでに温度が低下する。温度が低下することで、後端上面T3と後端下面T4とは歪点T0に到達するタイミングに差が生じる(図13参照)。一方、先端上面T1と先端下面T2とは、歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じである。歪点T0に到達するタイミングに差が生じない先端と、歪点T0に到達するタイミングに差が生ずる後端とで、曲率半径に差が生じる(図11参照)。曲率半径の差が大きいと、組み付け性や外観性に問題が生じる。
【0019】
ガラス先端の曲率半径とガラス後端の曲率半径との差が少ない、単一方向曲げガラスの製造技術の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平10−287438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、ガラス先端の曲率半径とガラス後端の曲率半径との差が少ない、単一方向曲げガラスの製造技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に係るガラス製造装置は、加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を吹付ける下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され前記ガラスの上面に冷却風を吹付ける上部ノズルと、この上部ノズルに接続され前記ガラスが移動する方向と平行に前記上部ノズルを移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
請求項2に係るガラス製造装置は、加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を送る下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され冷却風を貯える上部ウインドボックスと、この上部ウインドボックスに前記ガラスの移動方向にスイング可能に設けられるスイングノズルと、このスイングノズルを前記ガラスの移動方向にスイングさせることで冷却風を送る方向を切り替える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項3に係る単一方向曲げガラスは、請求項1又は請求項2記載の単一方向曲げガラスの製造装置で製造された単一方向曲げガラスであって、
前記内筒体の先端の曲率半径と、後端の曲率半径との差が50mm以内であり、
長手方向の長さが800mm以上であることを特徴とする。
【0025】
請求項4に係る単一方向曲げガラスの製造方法は、ガラスを加熱し、このガラスを変形させる加熱・成形工程と、加熱・成形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却工程とからなる単一方向曲げガラスの製造方法において、
前記冷却工程では、前記ガラスを冷却機構内に連続して前進させることで、前記ガラスの冷却を実施し、
前記ガラスの、先端上面と先端下面との冷却を同時に開始し、これら先端上下面の冷却を開始した後に後端下面の冷却を開始し、この後端下面の冷却開始から所定時間経過後に後端上面の冷却を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に係るガラス製造装置は、ガラスが移動する方向に沿って上部ノズルを移動させる移動手段を備える。ガラスの後端が冷却機構内に搬送される際、上部ノズルをガラスの進行方向側に移動させておく。後端下面に冷却風を当てつつ、後端上面には冷却風を当てない。後端下面を急速に冷却し、後端下面の温度が後端上面の温度と同じになるタイミングで、後端上面にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面と後端下面とは、歪点に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面と、先端下面とが歪点に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0027】
請求項2に係るガラス製造装置は、ガラスの後端上下面が冷却機構内に搬送される際、スイングノズルをガラスの進行方向側にスイングさせておく。後端下面に冷却風を当てつつ、後端上面には冷却風を当てない。後端下面を急速に冷却し、後端下面の温度が後端上面の温度と同じになるタイミングで、後端上面にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面と後端下面とは、歪点に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面と、先端下面とが歪点に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0028】
請求項3に係る単一方向曲げガラスは、長手方向の長さが800mm以上である。長さが長いことで、ガラスの後端上面は冷却機構に搬送されるまでに大幅に冷却される。このため、このような大きなガラスは、冷却機構内搬送時における、後端上面と後端下面との温度差が生じやすい。一方で、長手方向の長さが800mm以上ある大きなガラスは、特に外観に表れる場所に用いられる。即ち、特に美観を求められるガラスの外観性を向上させることができる。
【0029】
請求項4に係る単一方向曲げガラスの製造方法は、後端下面の冷却開始から所定時間経過後に後端上面の冷却を開始する。後端下面を急速に冷却し、後端下面の温度が後端上面の温度と同じになるタイミングで、後端上面にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面と後端下面とは、歪点に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面と、先端下面とが歪点に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る単一方向曲げガラスの製造装置を説明する図である。
【図2】本発明に係る冷却装置の作用説明図である。
【図3】ガラス表面の温度変化を説明するグラフである。
【図4】上部ノズルの移動長さの決め方について説明する図である。
【図5】上部ノズルの移動長さの合否判断について説明する図である。
【図6】上部ノズルの移動長さの修正について説明する図である。
【図7】制御部にインプットされる情報について説明する図である。
【図8】単一方向曲げガラス製造装置の使用方法を説明するフロー図である。
【図9】第2実施例について説明する図である。
【図10】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【図11】従来の技術の問題点を説明する図である。
【図12】問題点の原因を調べるために行った実験について説明する図である。
【図13】図12の結果について説明するグラフである。
【図14】図13の原因について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0032】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、単一方向曲げガラスの製造装置10は、加熱ベッド11でガラス12を加熱しこのガラス12を任意の形状に変形させる加熱炉13と、この加熱炉13の下流に隣接して設けられ加熱炉13で加熱、成形されたガラス12に冷却風を当てることでガラス12を冷却させる冷却機構14とからなる。
【0033】
冷却機構14は、脚15、15に支持されガラス12の搬入口及び搬出口となる開口16、16を有する基体17と、この基体17上に配置されガラス12の下面に冷却風を吹付ける下部ノズル18と、この下部ノズル18を支持し下部ノズル18へ送られる冷却風が貯えられる下部ウインドボックス19と、この下部ウインドボックス19に繋がれ下部ウインドボックス19に冷却風を送る下部送風機21と、基体17の天板下面で支持されているガイド部材23と、このガイド部材23によって移動可能に支持されガラス12の上面に向かって冷却風を吹き付ける上部ノズル24と、この上部ノズル24を支持し上部ノズル24へ送られる冷却風が貯えられる上部ウインドボックス25と、この上部ウインドボックス25に繋がれ上部ウインドボックス25に冷却風を供給する上部送風機26と、基体17の天板下面にフランジ28、28を介して支持され上部ウインドボックス25と共に上部ノズル24を図面左右方向に移動させる移動手段29と、この移動手段29に繋がれ移動手段29を作動させるための制御部31と、この制御部31に繋がれガラス12の位置を検出するガラス位置検出手段32と、制御部31に繋がれ搬送されるガラス12の種類を制御部31に伝えるためのダイヤル33とからなる。
【0034】
加熱炉13においてガラス12は、空気の力で浮上され図面左から右に向かって移動される。即ち、ガラス12の移動に浮上搬送手段が採用されている。冷却機構14も同様である。
【0035】
ガラス位置検出手段32は、図面左右方向に向かって移動可能に設けられている。
ガラス12の種類が変わると、作業者がガラス12の種類に応じてダイヤル33を操作する。制御部31は、ガラス12の種類が変えられたことを認識し、ガラス位置検出手段32の配置される場所を変える。
【0036】
移動手段29には、油圧、水圧、空圧の各シリンダを用いることができる。
ガイド部材23には、いわゆるリニアガイドを用いることができる。
下部送風機21には、ブロアやファンを用いることができる。上部送風機26も同様である。
このような、単一方向曲げガラスの製造装置10の作用を次図で説明する。
【0037】
図2(a)に示すように、ガラス12が加熱炉13で加熱されながら、分割円筒体のように単純に曲げられ、冷却機構14に搬送される。
【0038】
(b)に示すように、冷却機構14に搬送されたガラス12は、ガラス位置検出手段32が配置されている場所まで搬送される。ガラス位置検出手段32は、ガラス12が到達したことを制御部31に伝え、制御部31は移動手段29を作動させる。移動手段29を作動させることで、上部ウインドボックス25は、図面右に向かって移動される。
【0039】
制御部31が移動手段29を作動させてから所定時間が経過すると、(c)に示すように、制御部31は移動手段29を停止させ、上部ウインドボックス25の移動を停止させる。
このとき、上部ウインドボックス25の動作に関係なく、ガラス12は搬送され続ける。
【0040】
制御部31が上部ウインドボックス25の移動を停止させてから所定時間が経過すると、ガラス12の後端が上部ウインドボックス25に入りきる。この後、(d)に示すように、制御部31は移動手段29を作動させ、上部ウインドボックス25を図面左に向かって移動させる。
【0041】
(e)に示すように、冷却機構14で十分に冷却されることで、単一方向曲げガラスが完成する。一方で、新しいガラス12が加熱炉13内に搬送される。
ここで、ガラス12の先端上面をT5、ガラス12の先端下面をT6、ガラス12の後端上面をT7、ガラス12の後端下面をT8とする。
(a)から(e)における、T5〜T8それぞれの温度変化について次図で説明する。
【0042】
図3に示すように、横軸は時間であり縦軸は温度を表す。また、中央に想像線で示すT0は、歪点である。
【0043】
加熱炉から出されたガラスの先端上面T5は、図中のP11で冷却が開始され、P12で冷却が終了する。P11からP12の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0044】
先端下面T6も、P11で冷却が開始され、P12で冷却が終了する。P11からP12の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0045】
先端上面T5と、先端下面T6とは、ほぼ同じ温度変化を呈し、歪点T0へ到達するタイミングもほぼ同じである。
【0046】
後端上面T7は、P13で緩やかに温度が低下し始め、P14で急な冷却が開始され、P15で冷却が終了する。P14からP15の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0047】
先端下面T8は、P16で冷却が開始され、P15で冷却が終了する。P16からP15の間で急激に冷却され、この間に歪点T0を通過する。
【0048】
後端下面T8がP16から冷却され、後端上面T7がP14から冷却される。P16の時点で、後端下面T8よりも後端上面T7の方が温度が低い。P16からP14までの間に、後端下面T8は急速に冷却され、後端上面T7は緩やかに温度が低下する。これにより、P14で後端上面T7の温度と、後端下面T8の温度とが同じになる。
【0049】
温度が同じになったところで、後端上面T7の冷却も開始する。このため、P14からP15まで後端上面T7の温度変化と、後端下面T8の温度変化とがほぼ同じになる。後端上面T7と、後端下面T8とは、P14からP15までの間で、ほぼ同時に歪点T0を通過する。
【0050】
本発明に係る単一方向曲げガラスの製造技術によれば、図2、図3から以下のようにいうことができる。
ガラス12後端が冷却機構14内に搬送される際に、上部ウインドボックス25は、予めガラス12の進行方向側に移動されている。ガラス12の後端下面T8に冷却風を当てつつ、ガラス12の後端上面T7には冷却風を当てないことができる。後端下面T8を急速に冷却し、後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じになるタイミングで、後端上面T7にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面T7と後端下面T8とは、歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面T5と、先端下面T6とが歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0051】
特に、本発明の単一方向曲げガラスの製造装置10は、長手方向の長さが800mm以上あるガラス12の製造に有益である。長手方向の長さが800mm以上あることで、後端上面T7は冷却機構14に搬送されるまでに大幅に冷却される。このような大きなガラス12は、冷却機構14内搬送時に後端下面T8との温度差が生じやすい。一方で、長手方向の長さが800mm以上ある大きなガラスは、特に外観に表れる場所に用いられる。即ち、特に美観を求められるガラスの外観性を向上させることができる。
【0052】
後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じ温度まで下げられた時点で、後端上面T7を上部ノズル(図1、符号24)で直接的に冷却し始める。後端上面T7を冷却し始めるタイミングは、ガラスの種類によって予め決めておく必要がある。
【0053】
通常、ガラスを送る速度は、一定である。このため、上部ウインドボックス25の移動量を調節することで、後端上面T7を冷却し始めるタイミングを調節することができる。
後端上面T7を冷却し始めるタイミングの決め方について、図4〜図6で説明する。
【0054】
図4に示すように、通常の単一方向曲げガラスの製造工程と同様に、加熱炉(図1、符号13)で加熱、成形したガラス37を、冷却機構14に搬送する。このとき、ガラス37は、搬送速度V1で搬送される。
最初は、ガラス37がガラス位置検出手段32まで到達しても、上部ウインドボックス25を移動させない。
【0055】
なお、ガラス37の長さL1(例えば、L1=800mm)、下部ウインドボックス19の後端位置38からガラス位置検出手段32までの長さL2(例えば、L2=(1/2)L1=400mm)、ガラス37の搬送速度V1(例えば、V1=0.1m/s)とする。
【0056】
下部ウインドボックス19の後端位置38からガラス位置検出手段32までの長さL2は、L2=(1/3)L1〜(2/3)L1で任意の値を選ぶことができる。
このようにして製造された、単一方向曲げガラスを計測する。計測方法は次図で説明する。
【0057】
図5に示すように、単一方向曲げガラス40の先端の曲率半径R3と、後端の曲率半径R4とを計測する。計測には、三次元測定器を用いることができる。
【0058】
このとき、|R3−R4|≦30mmであれば合格であり、|R3−R4|>30mmであると不合格である。
ここで、|R3−R4|≦30mmであれば合格としたのは、製造の過程で個体差が生じることを考慮してのことである。即ち、|R3−R4|≦30mmを合格とすることで、製品としての単一方向曲げガラス40は、高い精度で|R3−R4|≦50mmを満たすことができる。
【0059】
計測した結果、不合格である場合は、後端上面T7を冷却し始めるタイミングを遅くする必要がある。
冷却し始めるタイミングを遅くする方法は、次図で説明する。
【0060】
図6に示すように、ガラス位置検出手段32がガラス37を検知した際に、α(例えば5mm)だけ上部ウインドボックス25を移動させるようにしておく。
このようにして作成された単一方向曲げガラス(図5、符号40)について、図5で示すように、再度合否判定を行う。
【0061】
即ち、|R3−R4|≦30mmであるかを調べる。合格であれば、上部ウインドボックス25の移動量がαに決定される。一方、不合格であれば、図6に示す上部ウインドボックス25の移動量αを2・αにして、再度単一方向曲げガラスを製造する。
【0062】
|R3−R4|≦30mm(図5参照)となるまで、上部ウインドボックス25の移動量を3・α、4・αと変えていく。
例えば、R3=2155mm、R4=2142mmで、|R3−R4|=13mmとなった。これにより、上部ウインドボックス25の移動量n・α(例えば35mm)が決められる。ガラス12の搬送速度V1が一定であるから、移動量n・αを決めることで、ガラス12の後端上面T7の冷却を開始するタイミングが決定される((n・α)/V1)。
【0063】
なお、移動量を変更しても、|R3−R4|≦30mmとなる点が見つからない場合も考えられる。この場合、例えば、ノズル(図1、符号18、24)の吹出し強さを変更し、変更した吹出し強さで再度|R3−R4|≦30mmとなる移動量n・αを探す。
この他、ガラスの搬送速度V1を変更することもできる。
【0064】
このようにして求められた後端上面T7の冷却を開始するタイミングを、制御部(図1、符号31)にインプットしておく。また、ガラスの種類によって冷却風の吹出し強さ等を変更する場合は、この情報についても制御部にインプットしておく。この他に、制御部にインプットされる情報について次図で詳細に説明する。
【0065】
図7(a)に示すように、ガラス37がガラス位置検出手段32へ到達したことが制御部31に伝えられる。制御部31は、移動手段29を作動させると共に、制御部31内に内蔵されるタイマーをスタートさせる。移動手段29を作動させることで、上部ウインドボックス25が移動される。
なお、ガラス37がガラス位置検出手段32へ到達したときの時間を、基準時t0とする。
【0066】
(b)に示すように、上部ウインドボックス25を、図4〜図6で決定された移動量L3(=n・α)だけ移動させる。移動手段29の図面右方向への作動速度はV2であるため、t1=L3/V2(秒)だけ移動手段を作動させればよい。
即ち、制御部31は、t0からt1秒後に移動手段29を停止させる。
【0067】
次に、(c)に示すように、例えば、ガラス37の後端と上部ウインドボックス25の後端が重なったところで、上部ウインドボックス25を元の位置に戻す。このとき、t0からt2秒が経過した。t2秒の間にガラス12は、(a)に示す位置から、搬送速度V1で(L1−L2+L3)だけ進んでいる。従って、t2=(L1−L2+L3)/V1(秒)
【0068】
L3だけ上部ウインドボックス25を図面左側に移動させると、(d)に示すように、上部ウインドボックス25は元に戻される。戻されるときの上部ウインドボックス25の移動速度がV3なので、t2からL3/V3秒後に制御部31は上部ウインドボックス25の移動を停止する((c)参照)。これをt0からt3秒後とすれば、t3=t2+(L3/V3)(秒)。上部ウインドボックス25が元に戻されたら、制御部31は内蔵されているタイマーをリセットする。
【0069】
ガラス12の大きさ、形状、厚さによって、L1〜L3が変わる。このため、L1〜L3によって定められるt1〜t3もガラス12の種類によって変更させる必要がある。ガラス12の種類毎に、t1〜t3を予め制御部31にインプットしておく。
【0070】
このようにして複数種類のガラス12の情報がインプットされた、単一方向曲げガラスの製造装置(図1、符号10)の使用方法を次図で説明する。
【0071】
図8に示すように、まず、ステップ10(以下「ST」と記す)で、作業者は搬送されるガラスの種類に、ダイヤル(図1、符号33)を合わせる。
【0072】
次に、制御部は、指定されたガラスの種類に合わせて、ガラス位置検出手段を所定の位置に移動させる(ST11)。
【0073】
移動終了後に、ガラスが加熱炉内に搬送されることで、ガラスが加熱、成形され(ST12)る。加熱、成形されたガラスは、ガラス冷却装置に搬送され冷却されることで(ST13)、単一方向曲げガラスが完成する。
【0074】
なお、作業者がダイヤルを操作することに代え、加熱炉の上流側にセンサを設けておき、このセンサで搬送されるガラスの種類を識別しても良い。
次図で、本発明に係る単一方向曲げガラスの製造装置の別実施例について説明する。
【実施例2】
【0075】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図9(a)に示されるように、冷却機構43は、上部ウインドボックス44にスイング可能に設けられ冷却風を送る方向が切り替えられるスイングノズル45を備えている。
【0076】
ガラス12を搬送し、ガラス12がガラス位置検出手段32に到達すると、(b)に示すように、制御部31によってスイングノズル45が下流側に向かってスイングされる。スイングされることで、スイングノズル45は、L3だけ下流側に向かって冷却風を送る。これによって、ガラス12の上面に冷却風を直接的に吹き付けるタイミングを遅らせることができる。
【0077】
後端上面T7と、後端下面T8とが冷却機構43内に搬送される際、スイングノズル45をガラス12の進行方向側にスイングさせておく。ガラス12の後端下面T8に冷却風を当てつつ、ガラス12の後端上面T7には冷却風を当てないことができる。後端下面T8を急速に冷却し、後端下面T8の温度が後端上面T7の温度と同じになるタイミングで、後端上面T7にも冷却風を直接当てる。これによって、後端上面T7と後端下面T8とは、歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じになる。もともと先端上面T5と、先端下面T6とが歪点T0に到達するタイミングがほぼ同じであるため、ガラス先端の曲率半径と後端の曲率半径との差が小さくなる。
【0078】
尚、単一方向曲げガラスは、車両用窓ガラスを例に説明したが、建築用窓ガラス等にも適用可能であり、これらのものに用途は限られない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の単一方向曲げガラスは、車両用窓ガラスに好適である。
【符号の説明】
【0080】
10…単一方向曲げガラスの製造装置、11…加熱ベッド、12、37…ガラス、13…加熱炉、14、43…冷却機構、18…下部ノズル、24…上部ノズル、29…移動手段、31…スイングノズルを制御する制御部、32…ガラス位置検出手段、35、40…単一方向曲げガラス、44…上部ウインドボックス、45…スイングノズル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を吹付ける下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され前記ガラスの上面に冷却風を吹付ける上部ノズルと、この上部ノズルに接続され前記ガラスが移動する方向と平行に前記上部ノズルを移動させる移動手段とを備えることを特徴とする単一方向曲げガラスの製造装置。
【請求項2】
加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を送る下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され冷却風を貯える上部ウインドボックスと、この上部ウインドボックスに前記ガラスの移動方向にスイング可能に設けられるスイングノズルと、このスイングノズルを前記ガラスの移動方向にスイングさせることで冷却風を送る方向を切り替える制御部と、を備えることを特徴とする単一方向曲げガラスの製造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の単一方向曲げガラスの製造装置で製造された単一方向曲げガラスであって、
前記内筒体の先端の曲率半径と、後端の曲率半径との差が50mm以内であり、
長手方向の長さが800mm以上であることを特徴とする単一方向曲げガラス。
【請求項4】
ガラスを加熱し、このガラスを変形させる加熱・成形工程と、加熱・成形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却工程とからなる単一方向曲げガラスの製造方法において、
前記冷却工程では、前記ガラスを冷却機構内に連続して前進させることで、前記ガラスの冷却を実施し、
前記ガラスの、先端上面と先端下面との冷却を同時に開始し、これら先端上下面の冷却を開始した後に後端下面の冷却を開始し、この後端下面の冷却開始から所定時間経過後に後端上面の冷却を開始することを特徴とする単一方向曲げガラスの製造方法。
【請求項1】
加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を吹付ける下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され前記ガラスの上面に冷却風を吹付ける上部ノズルと、この上部ノズルに接続され前記ガラスが移動する方向と平行に前記上部ノズルを移動させる移動手段とを備えることを特徴とする単一方向曲げガラスの製造装置。
【請求項2】
加熱ベッドでガラスを加熱しこのガラスを任意の形状に変形させる加熱炉と、この加熱炉に隣接して設けられ前記加熱炉で変形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却機構とを備え、分割円筒体のように単純に曲げられている単一方向曲げガラスの製造装置において、
前記冷却機構は、前記ガラスの下面に冷却風を送る下部ノズルと、この下部ノズルの上方に配置され前記ガラスの位置を検出するガラス位置検出手段と、このガラス位置検出手段の上方に配置され冷却風を貯える上部ウインドボックスと、この上部ウインドボックスに前記ガラスの移動方向にスイング可能に設けられるスイングノズルと、このスイングノズルを前記ガラスの移動方向にスイングさせることで冷却風を送る方向を切り替える制御部と、を備えることを特徴とする単一方向曲げガラスの製造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の単一方向曲げガラスの製造装置で製造された単一方向曲げガラスであって、
前記内筒体の先端の曲率半径と、後端の曲率半径との差が50mm以内であり、
長手方向の長さが800mm以上であることを特徴とする単一方向曲げガラス。
【請求項4】
ガラスを加熱し、このガラスを変形させる加熱・成形工程と、加熱・成形されたガラスに冷却風を当てることで前記ガラスを冷却させる冷却工程とからなる単一方向曲げガラスの製造方法において、
前記冷却工程では、前記ガラスを冷却機構内に連続して前進させることで、前記ガラスの冷却を実施し、
前記ガラスの、先端上面と先端下面との冷却を同時に開始し、これら先端上下面の冷却を開始した後に後端下面の冷却を開始し、この後端下面の冷却開始から所定時間経過後に後端上面の冷却を開始することを特徴とする単一方向曲げガラスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−26169(P2011−26169A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173622(P2009−173622)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]