説明

印刷装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】定着器内の加圧ローラのクリーニングを行う際に、複数のクリーニング方法から適切なものを容易に選択する仕組みを提供することを目的とする。
【解決手段】シート保持部から搬送されたシートに形成された画像の定着を行う定着器を備える印刷装置であって、シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートによって前記定着器のクリーニングを、第1のクリーニング方法、または当該第1のクリーニングより効果の高い第2のクリーニング方法で実行するクリーニング手段と、印刷されたシートの枚数が第1の閾値未満である場合に第1のクリーニング方法で定着器のクリーニングを行うよう制御し、クリーニング手段によって定着器のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が第1の閾値以上である場合に第2のクリーニング方法で定着器のクリーニングを行うよう制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、定着装置内の加圧ローラのクリーニングを行う印刷装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置では、シートに転写されたトナー像を、加熱ローラと加圧ローラとで構成される定着装置によってシートに定着させている。このような印刷装置の中には、ユーザの指示に応じて、定着装置のクリーニングを行うものがある。例えば、ユーザからクリーニングの指示を受け付けると、印刷装置は、給紙カセットからシートを1枚給紙し、クリーニング用の画像をC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーを使って形成し、当該トナー像をシートに定着させる。そして、当該シートを、トナー像が形成された面が加圧ローラ側を通るような向きで給紙カセットにセットさせ、当該シートを給紙して定着装置に通すことで、加圧ローラに付着したトナーを拭き取るクリーニング方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上述したCMYKトナーを使って加圧ローラのトナー汚れをクリーニングする方法に対して、Kトナーを使って加圧ローラのトナー汚れをクリーニングする方法がある(例えば、特許文献1参照)。Kトナーを使って加圧ローラのトナー汚れをクリーニングする方法は、CMYKトナーを利用したクリーニング方法に較べてクリーニングの効果は弱いが、ユーザの手間がかからない利点がある。
【0004】
また、トナー残量が予め定められた量以下になったときに、記録紙の搬送を行い、定着器の加圧ローラに付着したトナーを除去するクリーニング方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−22216号公報
【特許文献2】特開平8−328421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような複数のクリーニング方法が実行可能な印刷装置では、クリーニング方法によってクリーニング効果が異なり、使用する消耗品の量やユーザのオペレーションの複雑さに違いがある。このため、ユーザ自身がどのような状況のときに、どのクリーニング方法を実行するべきかを適切に判断できないという課題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、定着装置内の加圧ローラのクリーニングを行う際に、複数のクリーニング方法から適切なものを容易に選択することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の印刷装置は、シート保持部から搬送されたシートに形成された画像の定着を行う定着器を備える印刷装置であって、前記シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートによって前記定着器のクリーニングを、第1のクリーニング方法、または当該第1のクリーニングより効果の高い第2のクリーニング方法で実行するクリーニング手段と、印刷されたシートの枚数が第1の閾値未満である場合に前記第1のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御し、前記クリーニング手段によって前記定着器のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が第1の閾値以上である場合に前記第2のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定着装置内の加圧ローラのクリーニングを行う際に、ユーザがどのクリーニング方法を行うべきかを判断することなく、印刷装置が複数のクリーニング方法から適切なものを容易に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷装置の機能構成の概略を示すブロック図である。
【図2】図1におけるプリンタ部212の概略構造を示す部分断面図である。
【図3A】デバイス102にて実行される、加圧ローラ309のトナー汚れに対するクリーニング動作の制御処理を示すフローチャートである。
【図3B】デバイス102にて実行される、加圧ローラ309のトナー汚れに対するクリーニング動作の制御処理を示すフローチャートである。
【図4】NVRAM218に保存されるページカウンタの値と閾値の概要を示す図である。
【図5】(a)は図3AのステップS904にて操作部205に表示される表示内容の一例を示す図、(b)は図3BのステップS912にて操作部205に表示される表示内容の一例を示す図、(c)は図3BのステップS909にて操作部205に表示される表示内容の一例を示す図である。
【図6】デバイス102にて実行される第1のクリーニング動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】デバイス102にて実行される第2のクリーニング動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】(a)は第1のクリーニング動作時に使用される第1のクリーニング用シートの一例を示す図、(b)は第2のクリーニング動作時に使用される第2のクリーニング用シートの一例を示す図である。
【図9】図7のステップS604で操作部205に表示される表示内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置の機能構成の概略を示すブロック図である。
【0013】
デバイス102は、例えばプリンタであり、プリンタ部212、給紙部220、操作部205、及びコントローラユニット216を備える。
【0014】
プリンタ部212は、ラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する機構を有する。プリンタ部212における印刷方式は、感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式であるが、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式であっても、他の印刷方式でも構わない。プリンタ部212のプリント動作は、コントローラユニット216内のCPU201からの指示に応じて開始される。
【0015】
操作部205は、不図示のLCD表示部や操作キーを有し、コントローラユニット216内の操作部I/F204に接続されている。給紙部220にはシートが格納され、給紙部220からプリンタ部212にシートが供給される。給紙部220の例として、給紙カセット、手差しトレイ、給紙デッキ等がある。給紙部220は、これらの例に限らず、シートを保持し、保持されたシートを給紙することができるシート保持部として機能するものであればよい。
【0016】
コントローラユニット216は、プリンタ部212との間で画像データやデバイス情報の入出力を行う。
【0017】
次に、コントローラユニット216を構成する各部について説明する。
【0018】
CPU201は、システム全体を制御するプロセッサである。RAM203は、CPU201が動作するためのシステムワークメモリであって、プログラムを記憶するためのプログラムメモリや、画像データを一時記憶するための画像メモリとしての役割もある。NVRAM218は、不揮発性メモリであり、デバイス102の設定情報等を記憶する。FlashROM202は、記憶したデータの書き換えが可能な不揮発性メモリであり、システムを制御するための各種制御プログラムが記憶される。
【0019】
操作部I/F204は、操作部205と接続し、操作部205に表示する画像データを出力する。また、操作部I/F204は、操作部205からユーザが入力した情報をCPU201に伝える役割をする。ユーザは、操作部205を介してデバイス102に印刷設定や印刷指示を行うことができる。操作部205には、図5(a)〜図5(c)に示すように、LCD表示部1001と、操作キー1002が設けられている。
【0020】
USB_I/F208は、他のデバイスとUSB(Universal Serial Bus)接続を行うためのインターフェース(I/F)である。USB_I/F208は、USBケーブルを介して他のデバイスのステータスを取得したり、ステータスを返したり、プリントジョブを受け付けたりする。
【0021】
LAN_I/F219は、LAN(Local Area Network)に接続するためのI/Fであり、LANケーブルを介して他のデバイスのステータスを取得したり、ステータスを返したり、プリントジョブを受け付けたりする。
【0022】
以上のデバイスがシステムバス206上に配置される。
【0023】
Image_Bus_I/F207は、システムバス206と、画像データを高速で転送する画像バス213とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス213は、PCIバス又はIEEE1394で構成される。画像バス213上には以下のデバイスが配置される。
【0024】
RIP211は、PDL(Page Description Language)コードのようなベクトルデータをビットマップイメージに展開するラスタイメージプロセッサである。プリンタI/F210は、プリンタ部212とコントローラユニット216とを接続してデータ通信を行うインターフェースである。
【0025】
画像処理部209は、入力画像データに対して補正、加工、編集を行ったり、出力画像データに対して補正、解像度変換等を行う。また、画像処理部209は、画像データの回転を行ったり、多値画像データをJPEGに変換したりする。さらに、画像処理部209は、2値画像データに対してJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0026】
図2は、図1におけるプリンタ部212の概略構造を示す部分断面図である。
【0027】
図2において、感光ドラム301は、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成された感光体である。感光ドラム301は、図示の矢印aの方向に回転駆動される。
【0028】
感光ドラム301は、まず、その表面が帯電装置である帯電ローラ302によって一様に帯電される。次に、感光ドラム301は、画像データに応じてON/OFF制御されたレーザビーム303による走査露光が施され、その表面に静電潜像が形成される。
【0029】
現像装置304は、感光ドラム301上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、感光ドラム301上にトナー像を形成して現像を行う。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられる。例えば、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0030】
感光ドラム301と対向する位置には、転写装置である転写ローラ305が配置されている。転写ローラ305と感光ドラム301との間には、所定のタイミングでシート310が搬送され、シート310の第1面311上に感光ドラム301上からトナー像が転写される。このとき、シート310は、感光ドラム301と転写ローラ305との間を一定の加圧力で挟持搬送される。なお、シート310の第2面312には、トナー像は転写されない。
【0031】
第1面311上にトナー像が転写されたシート310は、定着装置(定着器)306へと搬送される。クリーニング装置307は、トナー像を転写した後の感光ドラム301上の残留トナーを除去する。
【0032】
定着装置306は、不図示のモータにより駆動される定着ローラ308と、定着ローラ308に従動回転可能に構成された加圧ローラ309を備える。定着ローラ308は、シートに転写された未定着のトナー像を当該シートに加熱定着させるために内部にハロゲンヒータ等の加熱源を備え、加熱ローラとして機能する。加圧ローラ309は、不図示の加圧機構により定着ローラ308側に所定の押圧力で押し付けられている。
【0033】
定着装置306は、一対の回転体である定着ローラ308と加圧ローラ309を加圧接触させて形成された圧接部に、未定着のトナー像が転写されたシート310を挟持搬送させて、加熱及び加圧によりトナー像をシート310に加熱定着させる。
【0034】
次に、デバイス102にて実行される、定着装置306内の加圧ローラ309に対する複数のクリーニング動作の制御処理について説明する。
【0035】
図3A、図3Bは、デバイス102にて実行される、加圧ローラ309のトナー汚れに対するクリーニング動作の制御処理を示すフローチャートである。図3A、図3Bのフローチャートに示す各ステップの処理は、CPU201が、FlashROM202内に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
【0036】
ユーザから操作部205を介してクリーニング実行指示を受け付けた場合に、当該クリーニング動作の制御処理が開始される。当該クリーニング動作の制御処理には、コントローラユニット216内のCPU201が、図6に示す第1のクリーニング動作と図7に示す第2のクリーニング動作のどちらを実行するかを決定する処理が含まれる。
【0037】
図3Aにおいて、まず、CPU201は、ユーザから操作部205を介してクリーニング実行指示を受け付けると、図4に示すページカウンタ1の値と第1の閾値とを比較し、ページカウンタ1の値が第1の閾値以上か否かを判定する(ステップS901)。ページカウンタ1は、デバイス102が印刷を1ページ行う毎にCPU201によって1カウントアップされる変数であり、その値はNVRAM218に保存される。ページカウンタ1の値は、後述する第2のクリーニング動作が行われると0にリセットされる。ここで、NVRAM218に保存されるページカウンタの値と閾値について図4を参照して説明する。
【0038】
図4において、NVRAM218には、ページカウンタ1の値が保存される領域801と、ページカウンタ2の値が保存される領域802と、第1の閾値が保存される領域803と、第2の閾値が保存される領域804とが設けられている。ページカウンタ1は、前回第2のクリーニング動作が行われてから印刷(または定着)されたページ数を示す。なお、工場出荷時にはページ数に0が格納されており、印刷装置の使用が開始されてから印刷されたページ数が格納される。ページカウンタ2は、前回第1のクリーニング動作が行われたタイミングを示す。
【0039】
第1の閾値、第2の閾値は、第1のクリーニング動作及び第2のクリーニング動作の実行タイミングを調整するための定数であり、予め管理者やメーカー等により設定され、NVRAM218に保存されている。
【0040】
加圧ローラ309のトナー汚れは、一般的に、デバイス102で印刷した印刷物のページ数に比例して増加していく。そこで、CPU201は、NVRAM218に印刷したページの数を保存し、その印刷ページ数から加圧ローラ309のトナー汚れの具合を判断し、第2のクリーニング動作を行うか、第1のクリーニング動作を行うかを判断する。第2のクリーニング動作を行う方が、ユーザが行う操作は増えるが、加圧ローラ309のトナー汚れに対する除去の効果は高い。
【0041】
図3Aに戻り、ステップS901の判定の結果、ページカウンタ1の値が第1の閾値以上であれば、図3BのステップS907へ移行する。一方、ページカウンタ1の値が第1の閾値未満であった場合は、ステップS902へ移行する。ステップS901の判定は、トナー汚れの蓄積具合に応じたクリーニングを行うための判定である。前回第2のクリーニング動作が実行された後に印刷されたページ数が第1の閾値を超えている場合、トナー汚れに対する効果の高い第2のクリーニング動作がしばらく行われていないため、トナー汚れが蓄積されている可能性が高いと推定される。そこで、このような場合、CPU201は、ステップS907以降で、可能な限り第2のクリーニング動作を実行するように制御する。一方、前回第2のクリーニング動作が実行された後に印刷されたページ数が第1の閾値を超えていない場合、CPU201は、ステップS902に処理を進める。
【0042】
ステップS902では、CPU201は、ページカウンタ1の値とページカウンタ2の値の差と、第2の閾値とを比較し、ページカウンタ1の値とページカウンタ2の値の差が第2の閾値以下か否かを判定する。この判定の結果、ページカウンタ1の値とページカウンタ2の値の差が第2の閾値以下であれば、図3BのステップS907へ移行する。一方、ページカウンタ1の値とページカウンタ2の値の差が第2の閾値を超えていた場合は、ステップS903へ移行する。ステップS902の判定も、トナー汚れの蓄積具合に応じたクリーニングを行うための判定である。前回第1のクリーニング動作が実行された後に印刷されたページ数が第2の閾値を超えている場合、第1のクリーニング動作も第2のクリーニング動作もしばらく行われていないため、トナー汚れが蓄積されている可能性が高いと推定される。そこで、このような場合、CPU201は、ステップS907以降で、可能な限り第2のクリーニング動作を実行するように制御する。一方、前回第1のクリーニング動作が実行された後に印刷されたページ数が第2の閾値を超えていない場合、CPU201は、S903に処理を進める。
【0043】
ステップS903では、CPU201は、Kトナーの残量を判定する。Kトナーの残量の判定については図示していないが、例えば、Kトナーの残量をセンサー等(検知手段)で検知して判定するように構成するとよい。
【0044】
ステップS903の判定の結果、Kトナーが空(またはKトナーの残量が少ない)と判定した場合、ステップS904へ移行する。ステップS904では、CPU201は、図5(a)に示すように、操作部205のLCD表示部1001にクリーニング動作(ここでは第1のクリーニング動作)が失敗した旨を表示させる。
【0045】
一方、ステップS903の判定の結果、Kトナーが空でないと判定した場合、ステップS905へ移行する。ステップS905では、CPU201は、プリンタI/F210を介してプリンタ部212に第1のクリーニング動作の実行指示を行い、プリンタ部212にて第1のクリーニング動作が実行される。第1のクリーニング動作の詳細については後述する。なお、ステップS902の処理が省略されていても、本発明の効果が損なわれるものではない。ステップS902の処理を省略する場合、ステップS901でページカウンタ1の値が第1の閾値未満であった場合、CPU201は、ステップS903に処理を進める。
【0046】
第1のクリーニング動作の実行指示を行うと、CPU201はページカウンタ1の値をページカウンタ2の値として保存して(ステップS906)、本処理を終了する。
【0047】
図3Bにおいて、ステップS907では、CPU201は、Y,M,C,Kトナーの残量を判定する。Y,M,C,Kトナーの残量の判定については図示していないが、上述したように、例えば、Y,M,C,Kトナーの残量をセンサー等(検知手段)で検知して判定するように構成するとよい。
【0048】
ステップS907の判定の結果、Y,M,C,Kトナーのいずれも空でないと判定した場合、ステップS913へ移行する。ステップS913では、CPU201は、プリンタI/F210を介してプリンタ部212に第2のクリーニング動作の実行指示を行い、プリンタ部212にて第2のクリーニング動作が実行される。第2のクリーニング動作の詳細については後述する。
【0049】
第2のクリーニング動作の実行指示を行うと、CPU201はページカウンタ1の値とページカウンタ2の値をそれぞれ0にリセットして(ステップS914)、本処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS907の判定の結果、Y,M,C,Kトナーのいずれかが空である(またはトナー残量が少ない)と判定した場合、CPU201は、Kトナーの残量を判定する(ステップS908)。
【0051】
ステップS908の判定結果から、Kトナーが空(またはKトナーの残量が少ない)と判定した場合、ステップS912へ移行する。ステップS912では、CPU201は、図5(b)に示すように、操作部205のLCD表示部1001にクリーニング動作(ここでは第2のクリーニング動作)が失敗した旨を表示させる。
【0052】
一方、ステップS908の判定の結果、Kトナーが空でないと判定した場合、ステップS909へ移行する。ステップS909では、CPU201は、トナー残量が少ないことから、図5(c)に示すように、第2のクリーニング動作に代えて第1のクリーニング動作を行う旨を操作部205のLCD表示部1001に表示させる。
【0053】
つづいて、CPU201は、プリンタI/F210を介してプリンタ部212に第1のクリーニング動作の実行指示を行い、プリンタ部212にて第1のクリーニング動作が実行される(ステップS910)。第1のクリーニング動作の実行指示を行うと、CPU201はページカウンタ1の値をページカウンタ2の値として保存して(ステップS911)、本処理を終了する。
【0054】
上述のステップS907〜S911の処理では、第1のクリーニング動作時に必要なKトナー以外のトナーのいずれかが空または残量が少ないと判定された場合、第2のクリーニング動作に代えて第1のクリーニング動作が実行される。
【0055】
次に、デバイス102にて実行される第1のクリーニング動作と第2のクリーニング動作について説明する。
【0056】
図6は、デバイス102にて実行される第1のクリーニング動作の流れを示すフローチャートである。ここで説明する第1のクリーニング動作は、図3AのステップS905、図3BのステップS910で実行されるものである。図6のフローチャートに示す各ステップの処理は、CPU201が、FlashROM202内に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
【0057】
まず、CPU201からプリンタI/F210を介してプリンタ部212に第1のクリーニング動作の実行指示が行われる。プリンタ部212では、定着装置306内の加圧ローラ309と定着ローラ308を回転させ、加圧ローラ309に付着したトナー汚れを定着ローラ308へ移す動作が実行される(ステップS401)。
【0058】
次に、給紙部220からプリンタ部212にシート310が給紙される(ステップS402)。
【0059】
次に、CPU201は、図2に示すプリンタ部212において、シート310の第1面311に所定の画像を転写し、図8(a)に示すような第1のクリーニング用シート501を作成するよう制御する(ステップS403)。第1のクリーニング用シート501(第1のシート)は、単色Kのトナー像が転写された印刷領域502を有する。なお、図8(b)の所定の画像を印刷するためのデータは、予めFlashROM202に記憶されている。一般に、Y,M,C,Kトナー全てを使用して印刷した方がトナー汚れの除去に対する効果は高いが、定着ローラ308へのシート310の巻きつきが発生しやすい。このため、第1のクリーニング用シート501の印刷領域502には、Kトナーのみが転写(印刷)される。
【0060】
図6に戻り、ステップS404では、第1のクリーニング用シート501が定着装置306内を通過する(ステップS404)。これにより、第1のクリーニング用シート501の第1面311に接している定着ローラ308のトナー汚れが除去される。ステップS401において、予め加圧ローラ309のトナー汚れが定着ローラ308へ移っているため、結果として加圧ローラ309のトナー汚れも除去される。
【0061】
図7は、デバイス102にて実行される第2のクリーニング動作の流れを示すフローチャートである。ここで説明する第2のクリーニング動作は、図3BのステップS913で実行されるものである。図7のフローチャートに示す各ステップの処理は、CPU201が、FlashROM202内に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
【0062】
まず、CPU201からプリンタI/F210を介してプリンタ部212に第2のクリーニング動作の実行指示が行われると、プリンタ部212では、給紙部220からプリンタ部212にシート310が給紙される(ステップS601)。
【0063】
次に、CPU201は、図2に示すプリンタ部212において、シート310の第1面311に所定の画像を転写し、図8(b)に示すような第2のクリーニング用シート701を作成するよう制御する(ステップS602)。第2のクリーニング用シート701(第2のシート)は、Y,M,C,Kの複数色のトナー像が転写された印刷領域702を有する。なお、図8(b)の所定の画像を印刷するためのデータは、予めFlashROM202に記憶されている。上述したように、Y,M,C,Kトナー全てを使用して印刷した方がトナー汚れの除去に対する効果は高いが、定着ローラ308へのシート310の巻きつきが発生しやすい。しかしながら、第2のクリーニング動作時には、第2のクリーニング用シート701のトナーが転写された面が加圧ローラ309と接するため、定着ローラ308への巻きつきへの影響がない。このため、第2のクリーニング用シート701の印刷領域702には、Y,M,C,Kトナーの全てが転写(印刷)される。
【0064】
図7に戻り、ステップS603では、第2のクリーニング用シート701が定着装置306内を通過して、第2のクリーニング用シートの第1面311に転写された画像をシートに定着した後に、デバイス102の外へ排紙される。
【0065】
次に、CPU201は、図9に示すように、排紙された第2のクリーニング用シート701を給紙部220にセットするように促すメッセージを操作部205のLCD表示部1001に表示させる(ステップS604)。ユーザは、排紙された第2のクリーニング用シート701を、画像が印刷されていない面を上向きにして給紙部220にセットし、操作部205の操作キー1002を押下する。
【0066】
次に、CPU201は、ユーザから操作部205の操作キー1002を介してクリーニング動作(第2のクリーニング動作)の継続指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS605)、継続指示を受け付けたときは、ステップS606へ移行する。
【0067】
ステップS606では、CPU201は、ユーザが給紙部220にセットした第2のクリーニング用シート701を給紙する。このとき、第2のクリーニング用シート701は、画像が印刷されていない面を上向きにして給紙部220にセットされているため、図2に示すシート310の第2面312に画像が印刷されている。
【0068】
次に、CPU201は、第2のクリーニング用シート701が定着装置306内を通過するよう制御する(ステップS607)。これにより、第2のクリーニング用シート701の第2面312に接している加圧ローラ309のトナー汚れが除去される。
【0069】
上記実施形態によれば、ユーザがどのクリーニング方法を行うべきかを判断しなくても、印刷装置が複数の種類のクリーニング動作から的確なものを選択して、定着装置内の加圧ローラのクリーニングを行うことができる。例えば、トナー汚れの蓄積具合が高いと推定される場合には第2のクリーニング動作を実行し、トナー汚れの蓄積具合が低いと推定される場合には第1のクリーニング動作を実行することができる。
【0070】
また、第2のクリーニング動作を実行するために必要な複数色のトナーのうち、C、M、Yのいずれかの色のトナーの残量が不足している場合には、第2のクリーニング動作に代えて、Kのトナーを用いた第1のクリーニング動作を実行することができる。
【0071】
上述した実施形態では、図4に示すように、ページカウンタ1、ページカウンタ2、第1の閾値、第2の閾値を用いて、第1のクリーニング動作及び第2のクリーニング動作のいずれの動作を実行するかを決定する例を説明した。しかしながら、本発明は、これに限らず、デバイス102が工場出荷後に使用され始めてから印刷されたページ数(または印刷枚数)に従って、第1のクリーニング動作及び第2のクリーニング動作のいずれの動作を実行するかを決定するようにしてもよい。その場合、工場出荷時には、NVRAM218にページ数として0を格納しておき、その後印刷されたページ数(または印刷枚数)に従って、CPU201は、ページカウンタの値をカウントアップしていく。カウントアップされたページ数(または印刷枚数)はNVRAM218に格納(更新)される。そして、CPU201は、NVRAM218に記憶されたページ数(または印刷枚数)を参照し、工場出荷後に印刷された枚数が所定の閾値未満であれば第1のクリーニング動作を実行し、所定の閾値以上であれば第2のクリーニング動作を実行するよう制御する。
【0072】
上記実施形態では、1ページの画像が1枚のシートに印刷する例であり、デバイス102では、印刷された印刷物のページ数に基づいて、いずれのクリーニング動作を実行するかを判断しているが、印刷物の枚数に基づいて判断してもよい。それによって、複数ページが1枚のシートに印刷される場合でも、正確にいずれのクリーニング動作を実行するかを判断することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態において、ステップS402やステップS601では、給紙部220にシート310が存在しない場合、CPU201は、クリーニング動作に失敗した旨を操作部205に表示する。また、ここで給紙されるシート310は、普通紙でよいが、クリーニング用の特殊なシートであってもよい。
【0074】
さらに、上述した実施形態では、主に加圧ローラのクリーニングを行う方法を例示したが、加熱ローラのクリーニングを行う方法に適用してもよい。また、クリーニング用の画像は、図8(a)、図8(b)に示すものに限られず、他の画像パターンを用いてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ステップS903またはS908でKトナーが空(または残量が少ない)と判定された場合に、ステップS904またはS912で、操作部205のLCD表示部1001にクリーニング動作が失敗した旨を表示する例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られない。例えば、CPU201は、Kトナーが補充されたか否かをセンサーによって監視し、Kトナーが補充された場合に、ステップS905〜ステップS906の処理を実行してもよい。
【0076】
また、ステップS907で、Y,M,C,Kトナーのいずれかが空である(またはトナー残量が少ない)と判定した場合、ステップS908以降の処理を行う例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られない。例えば、Y,M,C,Kトナーのいずれかが空である(またはトナー残量が少ない)場合、空である色のトナーが補充されたか否かをセンサーによって監視し、当該色のトナーが補充された場合にステップS913〜ステップS914の処理を実行してもよい。
【0077】
また、第1のクリーニング動作と、第1のクリーニング動作、及び第2のクリーニング動作の例は、上述した実施形態に示すものに限られず、第2のクリーニング動作が、第1のクリーニング動作より、トナー汚れに対する効果が高ければよい。例えば、第2のクリーニング動作として、CMYKのいずれか2色または3色のトナーを用いてクリーニング用シートを作成するものであってもよい。また、第2のクリーニング動作として、ステップS603で1度排紙クリーニング用シートを複数回給紙部220にセットさせ、ステップS604〜ステップS607に示す処理を複数回行うようにしてもよい。
【0078】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0079】
102 デバイス
205 操作部
218 CPU
212 プリンタ部
306 定着装置
308 定着ローラ
309 加圧ローラ
310 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート保持部から搬送されたシートに形成された画像の定着を行う定着器を備える印刷装置であって、
前記シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートによって前記定着器のクリーニングを、第1のクリーニング方法、または当該第1のクリーニングより効果の高い第2のクリーニング方法で実行するクリーニング手段と、
印刷されたシートの枚数が第1の閾値未満である場合に前記第1のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御し、前記クリーニング手段によって前記定着器のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が第1の閾値以上である場合に前記第2のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記クリーニング手段によって前記第2のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が前記第1の閾値未満であり、且つ、前記クリーニング手段によって前記第1のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が第2の閾値を超えている場合に前記第2のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1のクリーニング方法は、前記シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートに単色のトナーによって画像を形成し、形成されたシートによって前記定着器のクリーニングを行う方法であり、
前記第2のクリーニング方法は、前記シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートに複数色のトナーによって画像を形成し、形成されたシートによって前記定着器のクリーニングを行う方法であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2のクリーニング方法によって用いられる複数色のトナーの残量が不足しているか否かを判定する判定手段と、
前記クリーニング手段によって前記定着器のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が第1の閾値未満である場合で、且つ、前記判定手段によって前記第2のクリーニング方法によって用いられる前記複数色のトナーの残量が不足していると判定された場合、前記制御手段は、前記第1のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1のクリーニング動作または前記第2のクリーニング動作の実行ができない場合にはクリーニング動作ができない旨を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記定着器は、加圧ローラと加熱ローラからなる一対の回転体を有し、
前記第1のクリーニング方法では、前記一対の回転体を回転させて、前記加圧ローラに付着したトナー汚れを前記加熱ローラに移し、前記加熱ローラに移されたトナー汚れを前記シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートによってクリーニングすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
シート保持部から搬送されたシートに形成された画像の定着を行う定着器を備える印刷装置の制御方法であって、
前記シート保持部からシートを搬送し、搬送されたシートによって前記定着器のクリーニングを、第1のクリーニング方法、または当該第1のクリーニングより効果の高い第2のクリーニング方法で実行するクリーニング工程と、
印刷されたシートの枚数が第1の閾値未満である場合に前記第1のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御し、前記クリーニング工程で前記定着器のクリーニングを実行してから印刷されたシートの枚数が第1の閾値以上である場合に前記第2のクリーニング方法で前記定着器のクリーニングを行うよう制御する制御工程とを備えることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法を印刷装置に実行させるためのコンピュータに読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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