説明

即席食品容器用蓋材

【目的】 容器内に収納された麺や具の出来上がりに要する注湯後の適性時間の経過を視認出来る表示部を有する即席食品容器用蓋材を提供する。
【構成】 基層Aの表面の少なくとも一部に、熱発泡性インクで表示した食べごろ表示層2cを有している。熱湯を容器内に注いだ後、蓋2を再び閉じて放置すると、一定の所定時間が経過すれば、熱湯の熱が蓋材2に伝達されて、熱発泡性インクの発泡温度に達した時、そのインクが発泡して、例えばたべごろの文字が変色するとともに盛り上がり、適性時間の経過を知ることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、即席食品容器用蓋材に関し、特にカップ状容器内に収納された即席麺のように、食する時に熱湯を容器内に注いでその後に蓋を閉じ、1〜3分程度放置して麺や具の出来上がりを待つ方式の即席食品容器に使用される蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に、この種の即席食品を食する場合には、熱湯を容器内に注いだ後の放置時間は時計により計測するかあるいは人の感に頼っている。しかし、時計を用いる場合には時間の計測が煩わしく、また人の勘に頼る場合には、麺や具の出来上がり状態が適切でない場合が多々生ずる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
従って、本考案の解決すべき技術的課題は、容器内の麺や具等の食品の出来上がりに要する適性な時間が経過したことを視認出来る表示を有する蓋材を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段・作用・効果】
上記技術的課題を解決するために、本考案によれば以下の構成の蓋材が提供される。
【0005】
すなわち、この即席食品容器用蓋材は、この種の容器に従来より一般的に使用されている基層の表面の少なくとも一部に、熱発泡性インクで表示した食べごろ表示層を有することを特徴としている。
【0006】
この構成の蓋材を即席食品容器に使用すれば、容器内に熱湯を注いだ後その蓋材を閉じて放置すれば、容器内の熱湯の熱が蓋材に伝達され、一定の時間が経過して熱発泡性インクの発泡温度に達した時、そのインクが発泡することにより、予め定められた適性時間が経過したこと、つまり食品の食べごろを視認することが出来るのである。
【0007】
上記構成においては、食べごろ表示層を構成する熱発泡性インクを保護するために、基層および食べごろ表示層の上面に透明表示保護層をさらに形成することが好ましい。この場合、熱発泡性インクの発泡は表面保護層の下で行なわれるが、その発泡圧により表面保護層自体も盛り上がるとともに、熱発泡性インクが発泡により白っぽく変色するため、その発泡を容易に視認することが可能である。
【0008】
【実施例】
以下に、添付図面に従って、本考案の一実施例を詳細に説明する。
【0009】
図1は、即席食品の一例としてカップ状容器1内に即席ラーメンを収納するとともに、表示部2aを有する蓋材2を容器1の上面開口に接着したものを示している。
【0010】
この実施例において使用される蓋材2の積層構造を図2に示している。図において、上から順に、透明表面保護層2b、たべごろという字体で熱発泡性インクにより表示した食べごろ表示層2c、絵柄印刷層2d、芯紙層2e、接着層2f、ガスバリヤー層2g、接着層2h、およびイージーピール性接着層2iより構成されている。なお、食べごろ表示層2cは表示部2aの部分に形成されている。
【0011】
層2d,2e,2f,2g,2h,2iは従来よりこの種の蓋材として公知の基層Aである。透明表面保護層2bとしては、耐熱性に優れている例えばニトロセルロース系樹脂層が好適に用いられる。食べごろ表示層2cに使用される熱発泡性インクとしては、透明表面保護層2bとの密着性が良く安定した状態で接着できるインクを基材とし、これに加熱発泡する発泡剤を混入して作られるものであり、例えばアクリル酸エステル樹脂を基材とする加熱型発泡インクが望ましい。この熱発泡インクの発泡温度は、混入すべき公知の発泡剤を適宜選択することにより調製することができる。
【0012】
絵柄印刷層2dはいわゆる一般の絵柄を表示するものであって従来の一般的なインクが使用される。
【0013】
芯紙層2eとしては片面アート紙が好適に用いられる。接着層2fはガスバリヤー層2gと芯紙層2eとを接着するものであって、例えばポリエチレン樹脂層が好適に使用される。ガスバリヤー層2gとしてはアルミ蒸着箔が好ましい。接着層2hはイージーピール性接着層2iをガスバリヤー層2gに接着するためのものである。接着層2iはイージーピール性を有するので、食品を食する際には、蓋材2を容易に容器1より剥離することができる。
【0014】
上記構成の容器内に収納された例えばラーメンを食する場合には、従来と同様に、蓋材の一部を容器1より剥離して熱湯を注ぎ、再び蓋2を閉じて放置する。
そうすれば、予め定められた時間が経過した時、熱湯より発せられる熱が蓋材2に伝達され、食べごろ表示層2cのインクが、図3に示すごとく、発泡し表面保護層2bを押し上げることになる。この時、熱発泡インクは、最初着色されていても、発泡時に白っぽく変色する。従って、食べごろ表示層2cの盛り上がりとその変色により、所定の適性時間の経過を知ることができるのである。つまり、図1に示されたように、たべごろの文字が変色した状態で蓋に浮かび上がるのである。
【0015】
本考案者らは、上記構成において、熱発泡インクとして諸星インキ株式会社製の商品名発泡インキを使用して試験したところ、95〜100℃の湯を入れた状態で約60秒放置したところ蓋材2の表面温度が82〜84℃となって発泡を生じた。以上詳述したように、上記実施例によれば、食べごろ表示層2cの発泡により、常に確実に適性な時間経過つまり適性な食べごろを知ることができ、実用的効果大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施例に係る即席ラーメンを収容した即席食品容器の斜視図である。
【図2】 図1の容器に使用される蓋材の拡大断面図である。
【図3】 図2の蓋材における食べごろ表示層が発泡した状態を示す一部省略拡大断面図である。
【符号の説明】
1 容器 2 蓋材
2a 表示部 2b 透明表示保護層
2c 食べごろ表示層 2d 絵柄印刷層
2e 芯紙層 2f 接着層
2g ガスバリヤー層 2h 接着層
2i イージーピール性接着層
A 基層

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 基層(A)の表面の少なくとも一部に、熱発泡性インクで表示した食べごろ表示層(2c)を有することを特徴とする即席食品容器用蓋材。
【請求項2】 基層(A)および食べごろ表示層(2c)の上面に透明表面保護層(2b)をさらに有することを特徴とする請求項1記載の即席食品容器用蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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