説明

原稿圧着板自動開閉装置及びこの原稿圧着板自動開閉装置を備えた事務機器

【課題】 原稿圧着板の自動開閉を実用化することができる原稿圧着板自動開閉装置を提供する。
【解決手段】 機器本体に対して原稿圧着板を回動可能に支持するヒンジ部4とこのヒンジ部4を自動的に駆動させる駆動部5とを備える。ヒンジ部4は、機器本体に取り付けられる取付部材41と、この取付部材41に回動シャフト46を介して該回動シャフト46と共に回動可能となるように軸支された原稿圧着板を支持する支持部材42とを有する。駆動部5は、正逆回転可能な駆動モータと、この駆動モータの回転駆動力を駆動シャフトに伝達する動力伝達機構52とを有する。ヒンジ部4の回動シャフト46と駆動部5の駆動シャフトとを連結して駆動モータの回転駆動力が駆動シャフト及び回動シャフト46を介して支持部材42へ伝達するように構成したことにより、前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器に用いて好適な原稿圧着板自動開閉装置及びこの原稿圧着板自動開閉装置を備えた事務機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の機器本体には、その機器本体の上面に対して原稿圧着板が原稿圧着板開閉装置を介して回動可能に取り付けられている。原稿圧着板開閉装置は、原稿圧着板を回動可能に軸支して、機器本体の上面のコンタクトガラス上に原稿圧着板を位置させることができると共に、そのコンタクトガラスを露出させることができる。原稿圧着板は、事務機器を使用しないときには、機器本体の上面のコンタクトガラス上に密着している。この状態を原稿圧着板が閉じているということがある。原稿をコンタクトガラス上にセットするには、原稿圧着板を回動させて(上方に移動させて)コンタクトガラスを露出(開放)させる。この状態を原稿圧着板が開いているということがある。露出させたコンタクトガラスの面上に原稿を載置した後、原稿圧着板を逆方向に回動させて(下方に移動させて)、原稿圧着板で原稿をコンタクトガラス上に密着させることにより、原稿をコンタクトガラス上にセットすることができる。
【0003】
このように、原稿圧着板を回動する場合には、一般には手動で行うことがほとんであった。手動による原稿圧着板の回動は、特に老人や車椅子に乗った人にとっては操作し難いことがあり、また、両手で持った原稿をセットするには、一度原稿をおいて原稿圧着板を開いてからでないと原稿のセットを行えなかったりして、自動的に原稿圧着板を回動する装置が望まれている。原稿圧着板自動開閉装置としては、既にいくつか提案されているが(例えば、特許文献1参照。)、現在実用に至っているものはない。
【特許文献1】特開昭56−107268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、原稿圧着板の自動開閉を実用化することができる原稿圧着板自動開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置は、事務機器の機器本体に対して原稿圧着板を回動可能に支持するヒンジ部と、このヒンジ部を自動的に駆動させる駆動部とを備えた原稿圧着板自動開閉装置であって、前記ヒンジ部が、前記機器本体に取り付けられる取付部材と、この取付部材に回動シャフトを介して該回動シャフトと共に回動可能となるように軸支された前記原稿圧着板を支持する支持部材とを有し、前記駆動部が、正逆回転可能な駆動モータと、この駆動モータの回転駆動力を減速して駆動シャフトに伝達する動力伝達機構とを有し、前記回動シャフトと前記駆動シャフトとを連結することにより、前記駆動モータの回転駆動力が前記駆動シャフト及び前記回動シャフトを介して前記支持部材へ伝達するように構成したことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、ヒンジ部の回動シャフトと駆動部の駆動シャフトとを連結して駆動モータの回転駆動力が駆動シャフト及び回動シャフトを介して支持部材へ伝達するように構成したことにより、駆動モータの回転駆動力が支持部材へ伝達されるので、原稿圧着板の回動を自動的に行える。このように、駆動部の駆動力をシャフトの連結によりヒンジ部の回動シャフトに伝達するために、ヒンジ部の構成をほとんど変えることなく原稿圧着板の回動を自動的に行える。すなわち、既存のヒンジ部を用いて原稿圧着板の回動を自動的に行えるので、原稿圧着板の自動開閉の実用化を容易に図ることができる。
【0007】
本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、前記回動シャフト及び前記駆動シャフトが同軸上に配置され、前記回動シャフトと前記駆動シャフトとの連結が、一方のシャフトの端部に嵌合凹部を設けると共に、残りのシャフトの端部にその嵌合凹部に回ることなく嵌合する嵌合凸部を設けてなることが好ましい。また、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、前記駆動モータが、パルスモータであることが好ましい。また、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、前記支持部材と前記原稿圧着板との間に、前記支持部材に重なり合うと共に該支持部材の自由端部に回動可能に軸支され、かつ、前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材が設けられ、前記取付部材と前記支持部材との間に、前記原稿圧着板を開成方向に回動付勢すると共に、前記リフト部材を前記支持部材と重なり合う方向へ付勢する弾性手段を設けることが好ましい。
【0008】
本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、前記原稿圧着板が閉成位置から所定の開成角度に開方向に回動されたときに、前記駆動モータの回転駆動力が前記回動シャフトに伝達されて前記原稿圧着板を開成方向に自動的に回動させる自動開回動機能を設けることが好ましい。また、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、前記駆動モータを駆動させて該駆動モータの回転駆動力を前記回動シャフトに伝達して前記原稿圧着板を閉成方向に自動的に回動させる際に、前記原稿圧着板が所定の閉成角度以下のとき、前記原稿圧着板の閉成方向の回動を手動又は自重で行う自動閉回動機能を設けることが好ましい。
【0009】
本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、前記駆動モータが前記原稿圧着板の閉成位置から所定の開成角度に至ったときにONされると共に、所定の閉成角度から前記駆動モータがOFFされて前記原稿圧着板の閉成動作を手動又は自重で行うように構成されていることが好ましい。また、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置において、手動による前記原稿圧着板の回動操作を行うことができるように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記の目的を達成するために本発明に係る事務機器は、前記の本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置を備えたことを特徴とする。この発明によれば、前述と同様に、ヒンジ部の回動シャフトと駆動部の駆動シャフトとを連結して駆動モータの回転駆動力が駆動シャフト及び回動シャフトを介して支持部材へ伝達するように構成したことにより、ヒンジ部の構成をほとんど変えることなく原稿圧着板の回動を自動的に行えるので、原稿圧着板の自動開閉の実用化を容易に図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置によれば、ヒンジ部の回動シャフトと駆動部の駆動シャフトとを連結して駆動モータの回転駆動力が駆動シャフト及び回動シャフトを介して支持部材へ伝達するように構成したので、ヒンジ部の構成をほとんど変えることなく原稿圧着板の回動を自動的に行え、原稿圧着板の自動開閉の実用化が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】
図1は本発明に係る事務機器の一例を示す図である。図2は本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置の一例を示す図である。図3〜図7は、本発明に係るヒンジ部の一例を示す図である。図8は、本発明に係る駆動部の一例を示す図である。本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置は、図1に示すように、事務機器2の機器本体20の後端部に、原稿圧着板3を回動可能に取り付けるものである。事務機器2としては、特に限定されず、例えば、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等が挙げられ、特に複写機が好ましいものとして挙げられる。原稿圧着板3には、例えば、原稿自動送り装置31が設けられている。
【0014】
本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置1は、図1及び図2に示すように、原稿圧着板3を事務機器2の機器本体20に対して回動可能に支持するヒンジ部4と、原稿圧着板3を自動的に開閉させる駆動部5とを備え、ヒンジ部4の回動シャフト46と駆動部5の駆動シャフト55とを連結して駆動部5の駆動力が駆動シャフト55及び回動シャフト46を介してヒンジ部4へ伝達するように構成したことに特徴がある。
【0015】
ヒンジ部4は、原稿圧着板3を事務機器2の機器本体20に対して回動可能に支持するものであり、通常、2つのヒンジ部4で原稿圧着板3を支持している。2つのヒンジ部4は、原稿圧着板3を機器本体20に対して回動可能に支持できれば、同じものでも異なるものでもよい。図1に示す例では、2つのヒンジ部4として略同じものを用いて原稿圧着板3を機器本体20に対して回動可能に支持する例が記載されている。
【0016】
ヒンジ部4は、図2〜図5に示すように、機器本体20に取り付けられる取付部材41と、この取付部材41に回動シャフト46を介して該回動シャフト46と共に回動可能に軸支された支持部材42と、この支持部材42に重なり合うと共に該支持部材42の自由端部に回動可能に軸支され、かつ、原稿圧着板3に取り付けられるリフト部材43と、取付部材41と支持部材42との間に設けられ、原稿圧着板3を開成方向に回動付勢すると共に、リフト部材43を支持部材42と重なり合う方向へ付勢する弾性手段44と、を備えていることが好ましい。なお、本発明において開成方向とは、ヒンジ部4を介して原稿圧着板3を回動させる際に原稿圧着板3がコンタクトガラス21から離間する方向をいう。
【0017】
取付部材41は、機器本体20に着脱可能に取り付けられる底板111と、底板111の両側端部からそれぞれ底板111に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板112、112とから主になる。
【0018】
底板111は、略矩形状に形成され、ビス等で機器本体20に取り付けられる取付孔114が設けられている。側板112は、底板111とにより略L字状に形成され、その先端部(上部)に、回動シャフト46が挿通されるシャフト孔(図示せず)が設けられている。側板112のシャフト孔より底板111側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置には固定ピン孔(図示せず)が設けられている。両側板112の固定ピン孔に固定ピン48が挿通されている。固定ピン48は、後述する弾性手段44の第1端部すなわち後述の第2スライダーの底部の外表面が当接する受圧部材であり、この受圧部材は、固定ピン48等のピンに限定されず、ローラ例えば受圧ローラでもよい。
【0019】
支持部材42は、上板121と、上板121の両側端部からそれぞれ上板121に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板122、122と、側板122の先端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる案内板123と、からなる。
【0020】
両側板122、122の一端部(後端部)には、ヒンジピン47が挿通されるヒンジピン孔(図示せず)が設けられていると共に、後述する作動ピン49が入り込む切欠部124が設けられている。両側板122、122の他端部(前端部)には、シャフト固定孔(図示せず)が設けられている。両側板122、122のシャフト固定孔と取付部材41のシャフト孔とが軸合わせされてこれら孔に回動シャフト46が挿通されてシャフト固定孔に固定されることによって、支持部材42が取付部材41に回動シャフト46を介して回動可能に連結されている。
【0021】
リフト部材43は、原稿圧着板3の後端側にビス等で着脱可能に取り付けられる上板131と、この上板131の両端部からそれぞれ上板131に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板132、132とから略コ字状であって支持部材42を覆うように形成されている。両側板132、132には、リフト部材43を原稿圧着板3に取り付けるためのフランジ135、135がそれぞれ設けられている。
【0022】
リフト部材43の一端部(後端部)の中央より上板131側の箇所にはヒンジピン挿通孔(図示せず)が設けられていると共に、ヒンジピン挿通孔より他端部側で、かつ、中央より上板131側とは反対側の箇所には作動ピン49が挿通される作動ピン孔(図示せず)が設けられている。両側板132、132の作動ピン孔に作動ピン49が挿通されて固定されている。リフト部材43の両側板132、132のヒンジピン挿通孔と支持部材42の両側板122、122のヒンジピン孔とが軸合わせされてこれら孔にヒンジピン47が挿通されることによって、リフト部材43と支持部材42とがヒンジピン47を軸に互いに回動可能に連結されている。
【0023】
また、上板131の後端部近傍には、原稿圧着板3の水平位置を調節する水平位置調節手段45が設けられていることが好ましい。水平位置調節手段45は、例えば、上板131の後端部近傍であってその幅方向の中央部(略中央部を含む。)に設けられた調節ネジ151と締結ナット152とからなる。締結ナット152が上板131に固定され、この締結ナット152に調節ネジ151が螺合されると共に、調節ネジ151の先端が支持部材42の上板121に当接して、調節ネジ151の調節により支持部材42とリフト部材43との間隔が調節されて、原稿圧着板3の水平位置が調節されるようになっている。
【0024】
弾性手段44は、原稿圧着板3を開成方向に回動付勢すると共に、リフト部材43を支持部材42と重なり合う方向へ付勢し、かつ、原稿圧着板3が所定の開成角度以下のとき、原稿圧着板3を付勢する付勢力が原稿圧着板3のモーメントより小さいものである。弾性手段44は、例えば、支持部材42内に嵌合されている一対のスライダー141、142と、これらの一対のスライダー141、142内に設けられている付勢部材である圧縮コイルスプリング(図示せず)とからなる。なお、本発明における開成角度とは、機器本体20の上面であるコンタクトガラス21面に対する原稿圧着板3の角度である。本発明における所定の開成角度とは、例えば、弾性手段44による原稿圧着板3を付勢する付勢力が原稿圧着板3のモーメントより小さくなる角度である。
【0025】
一対のスライダー141、142は、断面矩形の有底筒体状に形成されている。一対のスライダー141、142は、互いの開口部が向き合うように支持部材42内にそれぞれ個別に摺動可能に嵌合されて、この一対のスライダー141、142内に圧縮コイルスプリングが収容されている。一対のスライダー141、142は、取付部材41の底板111と支持部材42(上板121)が略平行になっているとき(例えば機器本体20の上面のコンタクトガラス21上に原稿圧着板3を密着させたとき(原稿圧着板密着時))、支持部材42内に嵌合される長さで形成されている。
【0026】
圧縮コイルスプリングは、その個数は特に限定されず、1個でも2個以上でもよく、例えば1個設けられ、一対のスライダー141、142をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。圧縮コイルスプリングは、原稿圧着板3を開成方向に回動付勢すると共に、原稿圧着板3が所定の開成角度(例えば、20°(20°前後も含む。))以下のとき、原稿圧着板3を付勢する付勢力が原稿圧着板3のモーメントより小さいものである。
【0027】
先端部側のスライダー(第1スライダー)141の底部の外表面である閉塞面が圧縮コイルスプリングの付勢力によって作動ピン49を押圧して、支持部材42とリフト部材43とが重なり合うようになっている。すなわち、圧縮コイルスプリングの付勢力によってリフト部材43の上板131の調節ネジ151の先端が支持部材42の上板121に当接して、支持部材42の上板121とリフト部材43の上板131とが重なりあう又は略重なりあうようになっている。
【0028】
後端部側のスライダー(第2スライダー)142の底部の外表面には、傾斜部147が設けられている。この傾斜部147は、固定ピン48に当接する個所である。すなわち、機器本体20の上面のコンタクトガラス21に原稿圧着板3が密着している状態、すなわち、原稿圧着板3が閉成位置である状態(図4参照。)から原稿圧着板3を開成方向に回動シャフト46を介して回動させると、固定ピン48に当接する箇所が傾斜部147に沿って摺動すると共に、第2スライダー142が圧縮コイルスプリングによって支持部材42内を後端部側へと押圧されて摺動し、圧縮コイルスプリングが徐々に伸びる。そして、原稿圧着板3が図1及び図6に示すように、最大使用開放角度になると、その回動が原稿圧着板回動規制機構(図示せず)によって規制される。
【0029】
本発明における最大使用開放角度とは、機器本体20の上面であるコンタクトガラス21面に対する原稿圧着板3の角度であって、原稿圧着板3の開成方向の回動が規制される角度である。この最大使用開放角度は、特に限定されないが、例えば、60°(60°前後を含む。)〜70°(70°前後を含む。)であることが好ましく、図6に示す例では65°(65°前後を含む。)である。
【0030】
駆動部5は、ヒンジ部4を自動的に駆動させて原稿圧着板3を自動的に開閉させるものである。駆動部5は、機器本体20の2つのヒンジ部4の近傍に設けてもよいが、図1に示すように、原稿自動送り装置31が設けられて原稿圧着板3の重心が片寄った側の原稿圧着板3を回動支持するヒンジ部4の近傍にのみ1個設けてそのヒンジ部4を自動的に駆動させるようにしてもよい。駆動部5は、図2及び図8に示すように、正逆回転可能な駆動モータと、この駆動モータの回転駆動力を減速して駆動シャフト55に伝達する動力伝達機構52とを備え、手動による原稿圧着板3の回動操作を行えるように構成されている。
【0031】
駆動モータは、ヒンジ部4を自動的に駆動させることができれば特に限定されないが、例えば、パルスモータ51等であることが好ましい。このパルスモータ51が駆動ケース201の側面に着脱可能に取り付けられている。駆動ケース201は、機器本体20にビスやネジ部材等によりフランジ202を介して着脱可能に取り付けられるものである。この駆動ケース201内に動力伝達機構52が設けられている。
【0032】
動力伝達機構52は、パルスモータ51の回転駆動力を減速して駆動シャフト55に伝達できれば特に限定されず、例えば、3つの第1、第2、第3減速歯車211、221、231からなる。具体的には、パルスモータ51の回転軸51aには、駆動プーリ205が取り付けられている。第1減速歯車211は、駆動ケース201に回転可能に支持されている第1支軸212と、第1支軸212に設けられた従動プーリ213と、第1支軸212に設けられ、従動プーリ213より径が小さな小歯車214とからなる。第2減速歯車221は、駆動ケース201に回転可能に支持されている第2支軸222と、第2支軸222に設けられ大歯車223と、第2支軸222に設けられ、大歯車223より径が小さな小歯車224とからなる。第3減速歯車231は、駆動ケース201に回転可能に支持されている第3支軸と、第3支軸に設けられ大歯車233とからなり、第3支軸が駆動シャフト55である。
【0033】
パルスモータ51の回転軸51aの駆動プーリ205と第1減速歯車211の従動プーリ213とにタイミングベルト208が掛け渡され、第1減速歯車211の小歯車214と第2減速歯車221の大歯車223とが噛合され、かつ、第2減速歯車221の小歯車224と第3減速歯車231の大歯車233とが噛合されており、パルスモータ51の回転駆動力がタイミングベルト208を介して第1減速歯車211に伝達され、第1減速歯車211から第2減速歯車221を介して第3減速歯車231の第3支軸である駆動シャフト55に減速して伝達されるようになっている。この駆動シャフト55と回動シャフト46とが連結されている。
【0034】
また、動力伝達機構52には、パルスモータ51の回転駆動力の回動シャフト46への伝達を解除するクラッチ機構(図示せず)が設けられていることが好ましい。クラッチ機構は、回転駆動力の回動シャフト46への伝達を解除できれば特に限定されず、機械式のものでもよい。
【0035】
回動シャフト46と駆動シャフト55との連結は、特に限定されず、回動シャフト46の端部及び駆動シャフト55の端部のいずれか一方及び両方を延長して連結するようにしてもよい。シャフトの連結は、回動シャフト46及び駆動シャフト55を同軸上(略同軸上を含む。)に配置して、一方のシャフトの端部に嵌合凹部を設けると共に、残りのシャフトの端部にその嵌合凹部に回ることなく嵌合する嵌合凸部を設けて行うようにしてもよい。また、このシャフトの連結は、回動シャフト46及び駆動シャフト55にギヤやプーリを取り付けてギヤの噛合やタイミングベルトによって行うようにしてもよい。また、駆動部5は、機器本体20の後部上に設置したが、機器本体20内に設置するようにしてもよい。
【0036】
具体的には、取付部材41と駆動ケース201とを回動シャフト46と駆動シャフト55とが同軸上になるように機器本体20に取り付けたとき、回動シャフト46と対向する側の駆動シャフト55の端部に嵌合凹部61を設ける。この嵌合凹部61は、例えば、円形の対向する周面をそれぞれ平行に切り欠いたような略楕円形状に形成されている。駆動シャフト55と対向する側の回動シャフト46の端部を駆動シャフト55と同軸(略同軸上を含む。)上に延出させ、この延出部の端部に嵌合凹部61に嵌合する略楕円形状の嵌合凸部62を設け、回動シャフト46と駆動シャフト55とを嵌合して連結するようにしてもよい。
【0037】
また、機器本体20には、図1に示すように、制御部23が設けられている。この制御部23は、原稿圧着板3の開成方向又は閉成方向に回動を行う際にパルスモータ51等の制御を行うものである。なお、本発明において閉成方向とは、ヒンジ部4を介して原稿圧着板3を回動させる際に原稿圧着板3がコンタクトガラス21に近づく方向をいう。制御部23には、機器本体20の操作パネル22上に設けられた原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作することによりパルスモータ51を駆動させて原稿圧着板3を開成方向に自動的に回動させる自動開回動機能が備えられている。
【0038】
自動開回動機能は、原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作することにより、直ちにパルスモータ51を駆動させて閉成位置にある原稿圧着板3を開成方向に自動的に回動させてもよいが、好ましくは、原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作した後には直ちに原稿圧着板3が開成方向に自動的に回動せずに、原稿圧着板3を所定の開成角度まで手動で開成方向に回動させてからパルスモータ51を駆動させて原稿圧着板3を開成方向に自動的に回動させて原稿圧着板3が最大使用開放角度(略最大使用開放角度を含む。)に位置されるようにすることが好ましい。すなわち、原稿圧着板3が閉成位置から所定の開成角度に至ったときにパルスモータ51がONされて原稿圧着板3が自動的に最大使用開放角度(略最大使用開放角度を含む。)に回動するようにすることが好ましい。このように構成することにより、大きなトルクがかかることなく原稿圧着板3を開成方向に回動させることができるので、パルスモータ51や動力伝達機構52を小型化することが可能となる。
【0039】
また、制御部23には、機器本体20の操作パネル22上に設けられた原稿圧着板自動閉スイッチ26を例えば押込み操作することによりパルスモータ51を駆動させて、開成位置にある原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回動させる自動閉回動機能が備えられている。なお、本発明において開成位置とは、コンタクトガラス21上に原稿を載置し得る位置に原稿圧着板3が位置されていることをいい、原稿圧着板3が最大使用開放角度(略最大使用開放角度を含む。)に位置されている場合等をいう。
【0040】
自動閉回動機能は、開成位置にある原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回動させることができれば、特に限定されないが、原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回動させる際に、原稿圧着板3が所定の閉成角度以下のとき、パルスモータ51の駆動を停止させたり、クラッチ機構を作動してパルスモータ51の回転駆動力の回動シャフト46への伝達を解除したりして、原稿圧着板3の閉成方向の回動を手動又は自重で行うようにすることが好ましい。この自動閉回動機能が第1自動閉回動機能である。第1自動閉回動機能は、すなわち、例えば、原稿圧着板3が閉成方向に自動的に回動したとき、原稿圧着板3が所定の閉成角度を越えると、パルスモータ51がOFFされて、原稿圧着板3の閉成動作を手動又は自重で行うようにする。
【0041】
なお、本発明における閉成角度とは、機器本体20の上面であるコンタクトガラス21面に対する原稿圧着板3の角度であり、開成角度と同じであるが、便宜上、原稿圧着板3を閉成方向に回動させる際には、原稿圧着板3のコンタクトガラス21面に対する角度を閉成角度ということがある。本発明における所定の閉成角度とは、前記の所定の開成角度以下の角度であれば特に限定されず、例えば、15°(15°前後を含む。)である。
【0042】
また、前記の圧縮コイルスプリング内に流体ダンパ装置が設けられていることが好ましい。この流体ダンパ装置は、原稿圧着板3が閉成方向に回動したとき、原稿圧着板3の所定の閉成角度以下(例えば10°前後以下)においてのみその原稿圧着板3の回動速度を低減させるように動作するものである。流体ダンパ装置は、例えば、オイルダンパ装置等である。
【0043】
また、自動閉回動機能としては、原稿圧着板3が所定の閉成角度以下のとき、前記原稿圧着板の閉成方向の回動を手動又は自重で行うようにすることなく、原稿圧着板3の閉成方向の回動速度を、原稿圧着板3の機器本体20への衝撃を抑制する点及び原稿圧着板3を機器本体20に対して浮くことなく密着させる点から低速にするようにしてもよい。この自動閉回動機能が第2自動閉回動機能である。第2自動閉回動機能は、開閉センサや角度検出センサ等からの信号により原稿圧着板3が機器本体20に密着したときに原稿圧着板3の閉成方向の回動が停止するようにパルスモータ51を制御することが好ましい。
【0044】
開閉センサ35は、例えば、機器本体20のヒンジ部4の近傍に設けられ、原稿圧着板3が開成位置か閉成位置かを検出するものである。開閉センサ35としては、無接触型のセンサでも接触型のセンサでもどちらでもよく、図示例では、接触型のセンサである。この接触型の開閉センサ35は、突出方向に付勢された接触子36が機器本体20から突出しているときに開成位置とする電気信号を送り、原稿圧着板3が機器本体20に密着しているときには、機器本体20により接触子36が付勢力に抗して機器本体20内に収容されて閉成位置とする電気信号を送るものである。
【0045】
角度検出センサは、例えば、駆動シャフト55に設けられて駆動シャフト55の角度を検出するものであり、この検出値から原稿圧着板3の機器本体20に対する角度を検出することが可能となる。角度検出センサとしては、例えば、エンコーダを利用した角度センサが挙げられ、例えば、図9に示すように、駆動部250の第3減速歯車231の大歯車233の側面にエンコーダ251を設けて駆動シャフト55の角度を検出して原稿圧着板3の開閉を検出するようにしてもよい。
【0046】
また、自動開回動機能及び第1、第2自動閉回動機能には、原稿圧着板3を開成方向又は閉成方向に自動的に回動させるときに、原稿圧着板3を回動させるトルクとは異なる大きなトルクが発生したときには、パルスモータ51の駆動を停止させる停止機能が備えられていることが好ましい。トルクの検出手段としては、トルク検出センサを駆動シャフト55や回動シャフト46等に設けるようにしてもよいし、また、パルスモータ51のパルスと角度検出センサから得られる駆動シャフト55の角度とを比較して駆動シャフト55の角度がパルスモータ51のパルスから得られる想定の駆動シャフト55の角度よりずれている場合に大きなトルクが発生したとして、パルスモータ51の駆動を停止させるように停止機能を構成するようにしてもよい。
【0047】
また、制御部23には、閉じ忘れ防止機能を有することが好ましい。閉じ忘れ防止機能は、例えば、開閉センサ35や角度検出センサ等からの信号に基づき原稿圧着板3が所定時間経過しても開成位置であるときに、原稿圧着板3が閉じ忘れであるとして原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回動させるものである。このように閉じ忘れ防止機能を有することにより、原稿圧着板3の閉じ忘れを防止することができる。
【0048】
また、制御部23には、原稿圧着板3の手動開閉操作時に原稿圧着板3を開成方向又は閉成方向に回動させる際に補助力を発生させる補助機能を有することが好ましい。補助機能は、例えば、原稿圧着板自動開スイッチ25又は原稿圧着板自動閉スイッチ26が操作されていない状態で原稿圧着板3が回動されているときに、角度検出センサからの信号に基づいて原稿圧着板3が所定の角度になったときに原稿圧着板3の回動を補助するように機能するものである。特に閉回動時における補助機能は、原稿圧着板3が閉成方向に回動したとき、原稿圧着板3の所定の閉成角度以下(例えば10°前後以下)においてその原稿圧着板3を低速で回動させるようにパルスモータ51を駆動させるようにする機能を有することが好ましい。このように補助機能を有することにより、原稿圧着板3の手動による回動を容易に行えることができる。
【0049】
また、制御部23は、パルスモータ51を駆動させるときには、パルスモータ51の回転駆動力が回動シャフト46へ伝達され、パルスモータ51を駆動させていないときには、パルスモータ51の回転駆動力の回動シャフトへの伝達を解除するようにクラッチ機構を制御するようにしてもよい。
【0050】
次に、本発明に係る原稿圧着自動板開閉装置の作用を説明する。
【0051】
原稿圧着板3は、事務機器2の機器本体20が使用されていない状態では、図4に示すように、機器本体20のコンタクトガラス21に密着されて閉成位置にある。コンタクトガラス21の面上に原稿を載置するのに手動で原稿圧着板3を回動させるには、まず、原稿圧着板3の前方(ヒンジ部4が取り付けられている箇所とは反対側の端部又はその近傍等)に設けられている把持部を持って原稿圧着板3を上方に持ち上げる。すなわち、原稿圧着板3を回動シャフト46を軸に回動させて、図1及び図6に示すように、コンタクトガラス面を外部に露出させて原稿圧着板3を開成位置に位置させる。このように原稿圧着板3を開成方向に回動させるとき、原稿圧着板3は、圧縮コイルスプリングの付勢力によって開成方向に回動付勢されているので、重量を感じさせることなく開成方向に回動することができる。
【0052】
また、自動的に原稿圧着板3を開成方向に回動させるには、原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作する。この原稿圧着板自動開スイッチ25の操作後に、直ちにパルスモータ51が駆動するか、または、原稿圧着板3を図5に示すように所定の開成角度まで手動で開成方向に回動させると、パルスモータ51が駆動される。パルスモータ51の駆動によりパルスモータ51の回転駆動力が動力伝達機構52を介して駆動シャフト55に伝達され、駆動シャフト55から回動シャフト46に伝達されて原稿圧着板3が開成方向に自動的に回動し、図1及び図6に示すように、コンタクトガラス面が外部に露出して原稿圧着板3が開成位置に至る。
【0053】
露出したコンタクトガラス21の面上に原稿を載置した後、持ち上げた原稿圧着板3を手動で降ろす場合には、原稿圧着板3を閉成方向に回動させると、原稿圧着板3はコンタクトガラス21と接触する方向に回動シャフト46を軸に回動する(下方に移動する)。このとき、圧縮コイルスプリングの付勢力によって、リフト部材43の上板131の調節ネジ151の先端が支持部材42の上板121に当接した状態のまま、つまり、原稿圧着板3(リフト部材43、53)がヒンジピン47を軸に回動することがないまま、原稿圧着板3が回動シャフト46を軸に下方に回動する。
【0054】
このように原稿圧着板3を閉成方向に回動させる場合、最初は圧縮コイルスプリングの付勢力に抗するために多少の力が必要になるが、例えば、原稿圧着板3の閉成角度が20°(20°前後を含む。)以下になると、原稿圧着板3のモーメントが圧縮コイルスプリングによって原稿圧着板3を付勢する付勢力より大きくなるので、原稿圧着板3を容易に回動することができる。このとき、原稿圧着板3の閉成方向における回動速度が速くなるが、原稿圧着板3の閉成角度が例えば10°(10°前後を含む。)になると、流体ダンパ装置により原稿圧着板3の回動速度が低減される。その結果、原稿圧着板3の回動速度が流体ダンパ装置によって制御されるので、原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。また、流体ダンパ装置が設けられていない場合でも、駆動シャフト55と回動シャフト46とを連結して回動シャフト46の回転力が動力伝達機構52やパルスモータ51等に伝達されるようにすることにより、原稿圧着板3の回動速度が低減されるので、原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。
【0055】
また、原稿が図7に示すように本のように厚さが厚い場合、原稿圧着板3を閉成方向に回動させる(下方に移動させる)と、原稿80の支持部材42側の端部80a又はその近傍に原稿圧着板3の支持部材42の近傍の一部が接触し、原稿80の支持部材42側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板3との間に空間が形成される。すなわち、把持部側の端部の原稿圧着板3は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板3の例えば把持部側の端部近傍をコンタクトガラス21側に押圧すると、作動ピン49が第1スライダー141を第2スライダー142側に押圧して圧縮コイルスプリングの付勢力に抗して第1スライダー141が第2スライダー142側に移動し、原稿圧着板3がヒンジピン47を軸に回動する。すなわち、原稿80の上部を覆うように原稿圧着板3が移動する。例えば、その原稿80の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板3が面接触する。よって、厚さが厚い原稿80が安定してコンタクトガラス21の面上に密着することになる。
【0056】
また、自動的に原稿圧着板3を閉成方向に回動させるには、原稿圧着板自動閉スイッチ26を例えば押込み操作する。この原稿圧着板自動閉スイッチ26の操作によりパルスモータ51が開成方向とは反対方向に回動駆動される。このパルスモータ51の回転駆動力が動力伝達機構52を介して駆動シャフト55に伝達され、駆動シャフト55から回動シャフト46に伝達されて開成位置にある原稿圧着板3が閉成方向に自動的に回動する。
【0057】
制御部23に第1自動閉回動機能が備えられている場合には、閉成方向に自動的に回動した原稿圧着板3は、図5に示すように、所定の閉成角度例えば、15°(15°前後を含む。)以下になると、パルスモータ51の駆動が停止したり、クラッチ機構が作動されてパルスモータ51の回転駆動力の回動シャフト46への伝達が解除されたりして、原稿圧着板3の閉成方向の回動が手動又は自重で行われる。このとき、原稿圧着板3の閉成角度が例えば10°(10°前後を含む。)になると、流体ダンパ装置により原稿圧着板3の回動速度が低減される。その結果、原稿圧着板3の回動速度が流体ダンパ装置によって制御されるので、原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。また、流体ダンパ装置が設けられていない場合でも、駆動シャフト55と回動シャフト46とを連結して回動シャフト46の回転力が動力伝達機構52やパルスモータ51等に伝達されるようにすることにより、原稿圧着板3の回動速度が低減されるので、原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。
【0058】
また、制御部23に第2自動閉回動機能が備えられている場合には、原稿圧着板自動閉スイッチ26の操作により原稿圧着板3が閉成方向に回動されると、原稿圧着板3は、低速で回動して原稿圧着板3が機器本体20に密着する。このように低速で原稿圧着板3が回動することにより、原稿圧着板3の機器本体20への衝撃を抑制したり、原稿圧着板3を機器本体20に対して浮くことなく密着させたりすることができる。
【0059】
したがって、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置1は、ヒンジ部4の回動シャフト46と駆動部5の駆動シャフト55とを連結したことにより、パルスモータ51の回転駆動力が駆動シャフト55から回動シャフト46に伝達するので、原稿圧着板3の回動を自動的に行える。その結果、ヒンジ部4の構成をほとんど変えることなく原稿圧着板3の回動を自動的に行える。すなわち、既存のヒンジ部4を用いて原稿圧着板3の回動を自動的に行えるので、原稿圧着板3の自動開閉の実用化を容易に図ることができる。
【0060】
また、リフト部材43に水平位置調節手段45を設けたので、原稿圧着板3のコンタクトガラス21に対する位置を調節することができ、より安定して原稿をコンタクトガラス21に密着させることができる。
【0061】
また、駆動モータがパルスモータ51であると、原稿圧着板3を自動的に開成方向又は閉成方向に回動させるときに、原稿圧着板3を回動させるトルクとは異なる大きなトルクが発生したときには、パルスモータ51が脱調するので、モータや動力伝達機構52等の破損を防止することができる。
【0062】
なお、以上の本発明の形態では、第2スライダー142を用いた場合について説明したが、この第2スライダー142を作動ピン49へ揺動可能に取り付けてなる公知構成のスプリング受け部材に代えても、この発明の目的を達成することができる。
【0063】
また、本発明に係る事務機器2は、前記の本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置1を備えたので、前述と同様に、ヒンジ部4の回動シャフト46と駆動部5の駆動シャフト55とを連結したことにより、パルスモータ51の回転駆動力が駆動シャフト55から回動シャフト46に伝達するので、原稿圧着板3の回動を自動的に行える。その結果、ヒンジ部4の構成をほとんど変えることなく原稿圧着板3の回動を自動的に行える。すなわち、既存のヒンジ部4を用いて原稿圧着板3の回動を自動的に行えるので、原稿圧着板3の自動開閉の実用化を容易に図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置は、ヒンジ部の回動シャフトと駆動部の駆動シャフトとを連結して駆動モータの回転駆動力が駆動シャフト及び回動シャフトを介して支持部材へ伝達するように構成したことにより、ヒンジ部の構成をほとんど変えることなく原稿圧着板の回動を自動的に行え、原稿圧着板の自動開閉の実用化が容易となるので、特に複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の原稿圧着板自動開閉装置として好適に用いられ、老人や車椅子に乗った人等にとっては有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る事務機器の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置の一例を示す図で、(a)は斜視図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は平面図である。
【図3】本発明に係るヒンジ部の一例を示す図で、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は正面図である。
【図4】本発明に係るヒンジ部の一例を示す側面図である。
【図5】本発明に係るヒンジ部の一例を示す側面図である。
【図6】本発明に係るヒンジ部の一例を示す側面図である。
【図7】本発明に係るヒンジ部の一例を示す側面図である。
【図8】本発明に係る駆動部の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は側面図である。
【図9】本発明に係る駆動部の他の例を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 原稿圧着板自動開閉装置
2 事務機器
3 原稿圧着板
4 ヒンジ部
5 駆動部
20 機器本体
21 コンタクトガラス
23 制御部
25 原稿圧着板自動開スイッチ
26 原稿圧着板自動閉スイッチ
41 取付部材
42 支持部材
43 リフト部材
46 回動シャフト
51 パルスモータ
52 動力伝達機構
55 駆動シャフト
250 駆動部
251 エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事務機器の機器本体に対して原稿圧着板を回動可能に支持するヒンジ部と、このヒンジ部を自動的に駆動させる駆動部とを備えた原稿圧着板自動開閉装置であって、
前記ヒンジ部が、前記機器本体に取り付けられる取付部材と、この取付部材に回動シャフトを介して該回動シャフトと共に回動可能となるように軸支された前記原稿圧着板を支持する支持部材とを有し、
前記駆動部が、正逆回転可能な駆動モータと、この駆動モータの回転駆動力を減速して駆動シャフトに伝達する動力伝達機構とを有し、
前記回動シャフトと前記駆動シャフトとを連結することにより、前記駆動モータの回転駆動力が前記駆動シャフト及び前記回動シャフトを介して前記支持部材へ伝達するように構成したことを特徴とする、原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項2】
前記回動シャフト及び前記駆動シャフトが同軸上に配置され、前記回動シャフトと前記駆動シャフトとの連結が、一方のシャフトの端部に嵌合凹部を設けると共に、残りのシャフトの端部にその嵌合凹部に回ることなく嵌合する嵌合凸部を設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項3】
前記駆動モータが、パルスモータであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項4】
前記支持部材と前記原稿圧着板との間に、前記支持部材に重なり合うと共に該支持部材の自由端部に回動可能に軸支され、かつ、前記原稿圧着板に取り付けられるリフト部材が設けられ、前記取付部材と前記支持部材との間に、前記原稿圧着板を開成方向に回動付勢すると共に、前記リフト部材を前記支持部材と重なり合う方向へ付勢する弾性手段を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項5】
前記原稿圧着板が閉成位置から所定の開成角度に開方向に回動されたときに、前記駆動モータの回転駆動力が前記回動シャフトに伝達されて前記原稿圧着板を開成方向に自動的に回動させる自動開回動機能を設けたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項6】
前記駆動モータを駆動させて該駆動モータの回転駆動力を前記回動シャフトに伝達して前記原稿圧着板を閉成方向に自動的に回動させる際に、前記原稿圧着板が所定の閉成角度以下のとき、前記原稿圧着板の閉成方向の回動を手動又は自重で行う自動閉回動機能を設けたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の原稿圧着板自動開閉装置は、前記駆動モータが前記原稿圧着板の閉成位置から所定の開成角度に至ったときにONされると共に、所定の閉成角度から前記駆動モータがOFFされて前記原稿圧着板の閉成動作を手動又は自重で行うように構成したことを特徴とする、原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の原稿圧着板自動開閉装置は、手動による前記原稿圧着板の回動操作を行うことができるように構成されていることを特徴とする、原稿圧着板自動開閉装置。
【請求項9】
前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の原稿圧着板自動開閉装置を備えたことを特徴とする、事務機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−145708(P2006−145708A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333797(P2004−333797)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】