説明

反射型液晶表示装置

【課題】液晶パネルの画像を視野角を振って見た際にも、見栄えが悪化しない反射型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光ビームスプリッター10の液晶パネル1と対向する側とは反対側の表面に、偏光ビームスプリッター10の外周領域を覆う枠状の見切り14を配置する。こうすることで、偏向ビームスプリッター10越しに液晶パネル1の画像を見る際に、ある程度の視野角を振ったとしても、イルミネーター12内部の構造(拡散板8、光源7、筐体の側壁等)が見えることはなく、画像の見栄えが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反射型液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射型液晶表示装置は、電子ビューファインダーなどに多く用いられ、近年では、民生用の小型デジタルカメラや業務用の大型高精細カメラなどに幅広く用いられている。
【0003】
図8は従来技術による反射型液晶表示装置の斜視図であり、図9は従来技術による反射型液晶表示装置の断面図である。液晶パネル1は、第一電極基板2と第二電極基板3とが枠状の周辺接着剤4を介して接着されることで形成された空間に液晶5が封入されてなる反射型液晶パネルで、第一電極基板2には透明電極(対向電極)と配向膜が形成され、第二電極基板3には反射電極(画素電極)と配向膜が形成されている。液晶パネル1は、回路基板6上に搭載され、第一電極基板2と回路基板6とが導電接着剤を介して、また、第二電極基板3と回路基板6とがボンディングワイヤーを介して、電気的に接続されている。
【0004】
回路基板6上には、光源7と拡散板8と偏光板9と偏光ビームスプリッター(反射型偏光板)10とをドーム態様の筐体11に一体的に組み付けてなるイルミネーター12が、液晶パネル1を覆うように搭載されている。偏光ビームスプリッター10は、互いに直交する関係にある二種類の偏光成分P1、P2のうち何れか一方(偏光成分P2)のみを透過させ、他方(偏光成分P1)を反射するもので、偏光方向の関係が偏光板9とクロスニコル(同じ偏光成分を透過させない位置関係)となるように配置されている。(例えば、特許文献1〜3参照)
【0005】
以上の反射型液晶表示装置において、光源7より発せられた光は、拡散板8を通り面内の均一な光に分散された後、偏光板9を通ることで一方のみの偏光成分P1となり、偏光ビームスプリッター10で反射されて液晶パネル1に入射する。液晶パネル1に入射した偏光成分P1は、第一電極基板2と液晶5を透過し、第二電極基板3上の反射電極に垂直に入射して逆方向へと反射される。逆方向へ反射された偏光成分P1は、液晶5と第一電極基板2を再度透過し、その過程で偏光成分P1の一部が他方の偏光成分P2へと変換され、偏光ビームスプリッター10を透過して観察者の目に画像として表示される。
【0006】
尚、偏光ビームスプリッター10で反射されて液晶パネル1に入射した光は、照射範囲が広く、液晶パネル1の表示領域以外にも照射され、画像の見栄えを悪化させることから、一般的に液晶パネル1の上には、表示領域以外の部分を覆うように、金属板等の表面に遮光処理(黒色塗装等)を施してなる枠状の見切り13が配置されている。見切り13を配置することで、表示領域以外の部分が黒色で表示され、画像の見栄えが向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−161915
【特許文献2】特開2004−12723
【特許文献3】特許第4500889号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図10は従来技術による課題を示す断面図である。従来技術では、偏光ビームスプリッター10越しに液晶パネル1の画像を見る際、液晶パネル1に対して視野角を振って図中矢印で示すような方向から画像を見た場合には、イルミネーター12内部の構造(拡散板8、光源7、筐体の側壁等)が見えてしまい、画像の見栄えが悪化するという問題がある。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、画像の見栄えの良い反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液晶パネルと、当該液晶パネルに光を供給する光源と、当該光源から出射された光のうち一方の偏光成分のみを透過させる偏光板と、当該偏光板を透過した前記一方の偏光成分を前記液晶パネルに向けて反射すると共に、前記一方の偏光成分とは偏向方向が異なる他方の偏光成分を透過させるように配置された偏光ビームスプリッターとを備え、前記液晶パネルの画像を前記偏向ビームスプリッターを透して観察するように構成された反射型液晶表示装置において、前記偏光ビームスプリッターの表面に、前記偏向ビームスプリッターの外周領域の少なくとも一部を覆う見切りを配置した反射型液晶表示装置とする。
【0011】
前記見切りは、前記偏光ビームスプリッターの前記液晶パネルと対向する側の表面に配置されている反射型液晶表示装置とする。
【0012】
前記見切りは、前記偏光ビームスプリッターの前記液晶パネルと対向する側とは反対側の表面に配置されている反射型液晶表示装置とする。
【0013】
前記見切りは、偏光板で構成され、偏光方向の関係が前記偏光ビームスプリッターとクロスニコルとなるように配置されている反射型液晶表示装置とする。
【0014】
前記見切りは、前記偏光ビームスプリッターを保持する筐体の側壁に設けられた庇で構成されている反射型液晶表示装置とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、偏光ビームスプリッターの表面に見切りを配置することで、イルミネーター内部の構造(拡散板、光源、側壁等)が観察者側から見え難くなるため、画像の見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による実施例1の反射型液晶表示装置の斜視図
【図2】本発明による実施例1の反射型液晶表示装置の断面図
【図3】本発明による実施例2の反射型液晶表示装置の斜視図
【図4】本発明による実施例2の反射型液晶表示装置の断面図
【図5】本発明による実施例3の反射型液晶表示装置の斜視図
【図6】本発明による実施例3の反射型液晶表示装置の断面図
【図7】本発明による実施例4の反射型液晶表示装置の斜視図
【図8】従来技術による反射型液晶表示装置の斜視図
【図9】従来技術による反射型液晶表示装置の断面図
【図10】従来技術による課題を示す反射型液晶表示装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明による実施例1の反射型液晶表示装置の斜視図であり、図2は本発明による実施例1の反射型液晶表示装置の断面図である。液晶パネル1は、第一電極基板2と第二電極基板3とが枠状の周辺接着剤4を介して接着されることで形成された空間に液晶5が封入されてなる反射型液晶パネルで、第一電極基板2には透明電極(対向電極)と配向膜が形成され、第二電極基板3には反射電極(画素電極)と配向膜が形成されている。液晶パネル1は、回路基板6上に搭載され、第一電極基板2と回路基板6とが導電接着剤を介して、また、第二電極基板3と回路基板6とがボンディングワイヤーを介して、電気的に接続されている。
【0019】
回路基板6上には、光源7と拡散板8と偏光板9と偏光ビームスプリッター(反射型偏光板)10とをドーム態様の筐体11に一体的に組み付けてなるイルミネーター12が、液晶パネル1を覆うように搭載されている。偏光ビームスプリッター10は、互いに直交する関係にある二種類の偏光成分P1、P2のうち何れか一方(偏光成分P2)のみを透過させ、他方(偏光成分P1)を反射するもので、偏光方向の関係が偏光板9とクロスニコル(同じ偏光成分を透過させない位置関係)となるように配置されている。また、液晶パネル1の上には、表示領域以外の部分を覆うように枠状の見切り13が配置されている。ここまでの構成は、従来技術と同様である。
【0020】
本実施例においては、以上の構成に加え、偏光ビームスプリッター10の液晶パネル1と対向する側とは反対側の表面(外表面)に、偏光ビームスプリッター10の外周領域を覆う枠状の見切り14が、偏光ビームスプリッター10の傾斜(湾曲)に沿って配置されている。尚、見切り14は、必ずしも偏向ビームスプリッター10の外周領域の全てを覆う必要は無く、必要な領域にのみ部分的に配置されていてもよい。
【0021】
見切り14は、例えば、金属板や樹脂フィルムなどの表面に遮光処理(黒色塗装等)を施したもので、両面テープや接着剤などを介して偏光ビームスプリッター10の表面に直接貼付されるか、偏光ビームスプリッター10の表面に密着するように又は表面との間に僅かに隙間が空くように筐体11に一体的に組み付けられている。見切り14は、偏向ビームスプリッター10の表面からある程度離間していても良いが、離間し過ぎると、見切りとしての機能が失われると共に小型化の妨げになるため、できるだけ偏向ビームスプリッター10の表面に近づけるのが好ましい。
【0022】
見切り14は、液晶パネル1に対して視野角を振って図中矢印の方向から液晶パネル1の画像を見た時に、従来技術では見えてしまっていた、イルミネーター12内部の構造(拡散板8、光源7、筐体11の側壁11a等)を覆い隠す役割を果たし、これにより、液晶パネル1の画像を視野角を振って見た場合にも、液晶パネル1の表示領域以外の部分が確実に黒色となり、画像の見栄えが向上する。
【実施例2】
【0023】
図3は本発明による実施例2の反射型液晶表示装置の斜視図であり、図4は本発明による実施例2の反射型液晶表示装置の断面図である。本実施例の基本構成は実施例1と同じであり、相違点として、見切り14が、偏光ビームスプリッター10の液晶パネル1と対向する側の表面(内表面)に、その傾斜(湾曲)に沿って配置されている。このように見切り14が偏光ビームスプリッター10の内表面側に配置されている場合であっても、実施例1と同じ効果が得られる。
【実施例3】
【0024】
図5は本発明による実施例3の反射型液晶表示装置の斜視図であり、図6は本発明による実施例3の反射型液晶表示装置の断面図である。本実施例の基本構成は実施例1と同じであり、相違点として、見切り14が偏光板で構成されている。
【0025】
見切り14は、偏光方向の関係が偏光ビームスプリッター10とクロスニコル(同じ偏光成分を透過させない位置関係)となるように配置されており、図6に示すように、イルミネーター12内部から外部へ出射しようとする光のうち、偏光ビームスプリッター10を透過した偏光成分P2を遮断する。一方、他方の偏光成分である偏光成分P1は、見切り14に到達する前に、偏光ビームスプリッター10により遮断される。つまり、見切り14が配置された領域において、イルミネーター12内部から外部へ出射しようとする光(偏光成分P1、P2)は、観察者へ到達する前に全て遮断されるため、その領域は黒表示となる。即ち、本実施例においても実施例1と同じ効果が得られる。
【0026】
尚、本実施例3において、見切り14は、実施例2と同様に偏光ビームスプリッター10の内表面側に配置されていても良い。また、見切り14として使用する偏光板は、吸収型偏光板と反射型偏光板の何れであっても良いが、観察者側から外来光が入射した場合に、外来光が見切り14表面で反射すると黒表示性が低下するため、遮断した光を反射しない吸収型偏光板が好ましい。
【実施例4】
【0027】
図7は本発明による実施例4の反射型液晶表示装置の斜視図である。本実施例の基本構成は実施例1と同じであり、相違点として、筐体11の側壁11aに、筐体11の内部側へ向かって突出する庇15が設けられている。庇15は、筐体11の側壁11aに一体的に形成、又は筐体11の側壁11aとは別体で形成され、偏光ビームスプリッター10と平行となるように配置されている。
【0028】
庇15は、見切り14と同様に、イルミネーター12内部の構造(拡散板8、光源7、筐体11の側壁11a等)を覆い隠す役割を果たすもので、偏光板9から出射された偏光成分P1が筐体11の側壁11aの表面で乱反射することで生じる偏光成分P2を遮断し、観察者の目に入らないようにする作用がある。これにより、液晶パネル1の画像を視野角を振って見た場合にも、液晶パネル1の表示領域以外の部分が確実に黒色となり、画像の見栄えが向上する。尚、この作用は、前述の実施例1、2の見切り14においても同様である。
【0029】
尚、庇15と偏光ビームスプリッター10との間に隙間があると、そこに光が侵入して乱反射する虞があるため、庇15は、偏光ビームスプリッター10の表面にできるだけ近接させて配置するのが好ましい。
【0030】
以上説明した本発明による反射型液晶表示装置は、あくまで実施例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0031】
例えば、光源7、拡散板8、偏光板9、偏光ビームスプリッター10は、筐体11に一体的に組み付けられずに、各々別々の部材に保持されていてもよく、また、拡散板8は、必須要素ではなく、省略してもよい。
【0032】
また、液晶パネル1は、画素電極が反射電極で構成された反射型液晶パネルに限らず、画素電極が透明電極で構成された透過型液晶パネルであってもよい。尚、この場合には、液晶パネル1の背面側に反射板を配置するなどして、光の反射性を高める構成が採られ得る。
【0033】
また、光源7から出射された光が、偏光板9→偏向ビームスプリッター10→液晶パネル1→偏向ビームスプリッター10→観察者、という経路で観察者側へ出射されるように構成されているのであれば、各構成要素の配置角度や位置関係は適宜変更することが可能である。具体例として、例えば、光源7をその出光面が偏光板9の主面と直交するように配置すると共に、出光面と対向する位置に反射板や導光板を配置し、光路を偏光板9の主面と直交する方向に変換してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 液晶パネル
2 第一電極基板
3 第二電極基板
4 周辺接着剤
5 液晶
6 回路基板
7 光源
8 拡散板
9 偏光板
10 偏向ビームスプリッター(反射型偏光板)
11 筐体
11a 側壁
12 イルミネーター
13 見切り
14 見切り
15 庇

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
当該液晶パネルに光を供給する光源と、
当該光源から出射された光のうち一方の偏光成分のみを透過させる偏光板と、
当該偏光板を透過した前記一方の偏光成分を前記液晶パネルに向けて反射すると共に、前記一方の偏光成分とは偏向方向が異なる他方の偏光成分を透過させるように配置された偏光ビームスプリッターとを備え、
前記液晶パネルの画像を前記偏向ビームスプリッターを透して観察するように構成された反射型液晶表示装置において、
前記偏光ビームスプリッターの表面に、前記偏向ビームスプリッターの外周領域の少なくとも一部を覆う見切りを配置したことを特徴とする反射型液晶表示装置。
【請求項2】
前記見切りは、前記偏光ビームスプリッターの前記液晶パネルと対向する側の表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示装置。
【請求項3】
前記見切りは、前記偏光ビームスプリッターの前記液晶パネルと対向する側とは反対側の表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示装置。
【請求項4】
前記見切りは、偏光板で構成され、偏光方向の関係が前記偏光ビームスプリッターとクロスニコルとなるように配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の反射型液晶表示装置。
【請求項5】
前記見切りは、前記偏光ビームスプリッターを保持する筐体の側壁に設けられた庇で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の反射型液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−47771(P2013−47771A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243620(P2011−243620)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】