反射形センサ
【課題】背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来ると共に、従来よりも高精度でより多用途に適用可能な反射形センサを提供する。
【解決手段】反射形センサ1であって、1つの投光部P1に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部R1〜R4を配置したものからなると共に、上記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備え、さらに、上記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したものとする。
【解決手段】反射形センサ1であって、1つの投光部P1に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部R1〜R4を配置したものからなると共に、上記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備え、さらに、上記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FA業界に止まらず、様々な民生業界への適用が可能な反射形センサに関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに、これまでの反射形センサを取り巻く現状につき、順を追って説明する。
【0003】
[第1例]
図15に、従来例に係る反射形センサの回路ブロック図を示す。
図15に示す通り、従来例に係る反射形センサ100のケース内には少なくとも、投受光系10’’、信号変換回路系20’’、及び出力回路30が納められている。ケース外面において、4チャンネルの投受光系10’’の各投受光素子の前面にはレンズLが備えられる。
図15に示される4チャンネルの投受光系10’’の各チャンネルは、投受光素子(P11〜P41、R11〜R41)及びそれら夫々の駆動或いは増幅回路(P12〜P42、R12〜R42)とからなっている。一般に、投光素子P11〜P41はLEDよりなる。
同じく図15に示される信号変換回路系20’’は、各受光回路R12〜R42に接続されたコンパレータR13〜R43と、コンパレータR13〜R43とスキャニング回路27の各出力に接続されたand回路部24(241〜244)と、and回路部241〜244の各出力に接続されたor回路部25と、or回路部25の出力とスキャニング回路27に接続されたカウンタ26と、並びにLED駆動回路P12〜P42及びand部241〜244の各入力並びにカウンタ26に接続されたスキャニング回路27とからなっている。カウンタ26にはまた、出力回路30が接続されている。コンパレータR13〜R43の閾値の調整は、センサの設置の際等に適宜行われる。
【0004】
この例では、CPU等からなるスキャニング回路27でLEDを順次駆動・投光させ、このときそれに対する受光回路の信号を、and回路部24及びor回路部25を介してカウンタ26で読み取っている。
例えば、背景にリフレクタを使用したリフレクタ形の反射形センサであれば、カウンタ26では、順次点灯の一周期ごとにカウントし、i)4個の信号があれば全入光とみなし、被検知物体がセンサ−背景間に存在しないもの(便宜上、“OFF”状態と称している)と判定し、逆にii)4個に満たなければ、被検知物体がセンサ−背景間に存在するもの(便宜上、“ON”状態と称している)としてセンサ出力を出している。
【0005】
まず、リフレクタから反射されて受光素子R11〜R41の何れかに入光した受光信号は、それぞれ受光回路R12〜R42で増幅される。
ここで、リフレクタから反射される受光量は、予め定められたコンパレータR13〜R43夫々の閾値よりも高いことから、コンパレータで波形成形されコンパレータ出力信号が得られる。被検知物体がセンサ−背景間に存在し無ければカウンタ26の出力は4カウントとなり、これに基づき、出力回路30はセンサ−背景間に被検知物体は存在しない(OFF)との判定を下す。
【0006】
一方、背景たるリフレクタとセンサとの間に被検知物体(手や黒色物体など、光を吸収するものとする)が挿入されると、この被検知物体によって遮光された受光素子R11〜R41の受光量が低下し、受光レベルがコンパレータR13〜R43の上記閾値より低くなるので、コンパレータR13〜R43からの出力が無く、そのため、カウンタ26を経て出力回路30は、被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある(ON)」との判定を行い、センサからON信号を出力する。
【0007】
このように、一般にリフレクタ形の場合は、リフレクタから反射され、受光部に入光してくる受光信号に対して、リフレクタとセンサの間に侵入した物体から反射される受光信号が少ない場合に検知信号(センサからのON信号)を出している。
【0008】
したがって、被検知物体が鏡やSUS板のような鏡面体では、リフレクタからの反射量よりも該鏡面体からの反射量の方が多い場合があり、そうすると、センサと背景の間に被検知物体が挿入されているにもかかわらずカウンタ26は4カウントの出力を行うこととなり、結果的に必ずしも確実に被検知物体を検知することが出来ないと言う問題があった。
また、鏡面体ではなく白画紙の様な白色物体でも、センサの極く近くに近付けた場合には反射光量の密度が高く、このとき、受光部ではリフレクタからの反射量よりも多い受光量が得られる場合もある。それゆえ、この場合であっても、鏡面体同様に、必ずしも確実に被検知物体を検知することが出来ないと言う問題があった。
【0009】
また図16に、従来例に係る反射形センサの受光部における距離出力特性、すなわち一光軸の距離出力特性を示す。グラフのAは背景にリフレクタを使用した場合の、センサとリフレクタ間の距離に対する受光量(受光出力)を表したもの、Bは背景に白画紙を用い、センサと白画紙間の距離に対する受光量を表したものである。
【0010】
仮に、センサから2mの位置にリフレクタを設置し、図16の縦軸に示す受光出力が100のときをセンサ出力の判定閾値とすると、センサとリフレクタの間に被検知物体が挿入され、受光部における受光レベルが100以下となった場合に、センサからON信号が出力される。
【0011】
ここで、センサとリフレクタの間に挿入された被検知物体が白画紙だとすると、図16に示す通り、白画紙の位置がセンサから15cm以内では受光部における受光量が100以上となる。
そうすると、被検知物体が挿入されているにもかかわらず、上記の判定条件を満足しないことから、センサから15cm以内では白画紙を検知できない、即ち被検知物体ありと判定できないという問題があった(いわゆる不感帯の問題)。
【0012】
そこで、このような白画紙などからの反射光と、普段の(背景としての)リフレクタからの反射光を区別するために、例えばセンサ100のレンズL面に偏光フィルターを具備して、i)リフレクタ(Ex.縦波を横波に変換するような偏光タイプのもの)からの反射光(Ex.横波)は偏光フィルターを通過させる一方、ii)他の物体からの反射光(縦波なら縦波のまま)は偏光フィルターで遮断するという様な手法も取られている(偏光リフレクタ形センサ)。
【0013】
しかしながら、例えば透明フィルムでコーティングされた物体などでは、コーティングされたフィルムの特性によってその物体本来の持つ偏光特性が崩れてしまうことがある。したがって、本来、その物体からの反射光は偏光フィルターによって遮断されるべきであるところ、フィルムでコーティングされた場合、その被検知物体からの反射光は偏光フィルターを透過してしまうときがあり、やはり、必ずしも確実に被検知物体を検知することが出来ないと言う問題があった。
【0014】
また、この偏光リフレクタ形センサでは、投光側、受光側ともに偏光フィルターを備えるために偏光フィルターによる光量の減衰が大きく、センサと背景(リフレクタ)間の間隔を長く取れないという問題があった。
【0015】
一般的に、偏光フィルター1枚で約50%の透過率であるところ、これを投光側と受光側の両方に備えるとなると、最終的に受光可能な光量は、偏光フィルターを使用しないときに比べて0.5×0.5=0.25、すなわち、25%に減衰してしまう。これを距離に換算すると、偏光フィルターを使用しない場合に比べると50%の検出距離となる(光量は距離の二乗に反比例する)。
【0016】
その他、反射形センサを、例えば上記した様な偏光フィルター及びリフレクタ(偏光タイプのもの)を用いた偏光リフレクタ形として構成した場合、ステンレス板のような光沢のある表面反射物体からの反射光は上記の通り偏光フィルターで遮断される関係上、この構成の反射形センサをリフレクタ形としてだけで無く拡散反射形としても使用することは原理的に不可能であると言った問題が生じる。
このように、偏光フィルターを使用した場合には、減衰の問題だけではなく、反射形センサを(偏光)リフレクタ形、及び拡散反射形として共用することができないと言う問題もあった。
【0017】
[第2例]
次に、被検知物体から直接反射してくる光量を捕らえる拡散反射タイプの反射形センサの場合、背景からの反射光量に対して、被検知物体からの光量増加、または光量低下のどちらか一方をとらえて物体検知を行っている。
【0018】
したがって、背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量増加で物体検知を行う(入光ON動作)構造の装置の場合は、背景からの反射光量より低い反射光量をもった物体、例えば黒色物体などは検知出来なかった。
【0019】
反対に、背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量低下で物体検知を行う(遮光ON動作)構造の装置の場合は、背景からの反射光量より高い反射光量をもった物体、例えば白色物体や磨かれたSUS板などは検知出来なかった。
【0020】
加えて、拡散反射タイプの反射形センサの場合、被検知物体からの直接反射光で動作させるために、検知距離が長く出来ないという欠点があった。従来の拡散反射タイプの検知距離は50cm程度であった。
【0021】
[第3例]
その他、従来知られた反射形センサとしては、受光部に位置検出素子(PSD素子)や2分割フォトダイオードを使用したものが存在する。
しかしながら、これらは回路が複雑になりコストが高い。また、被検知物体からの直接反射光で動作させるため、拡散反射形と同様、検出距離が長くとれないという欠点がある。さらに、物体の通過方向によっては検知できない方向があり、その為、取付方向の制約を受けたり誤動作の原因となっている。
【0022】
ところで、最近の生産ライン等で多用されているピッキング(作業指示)システムでは、部品取り間違い防止と同時に、手を検知し部品を取り出した確認スイッチの代わりをさせる作業指示センサ(ピッキングセンサ)が多用されている。
ただ、現状のピッキングセンサは、部品棚の一方側に投光器、対向する側に受光器を設置して使用する透過形のものであり、多くの部品棚に複数のセンサを1組づつ設置しなければならないという問題があった。そのため、多配線・高設置コストにより、経済力のある一部の大手企業や、限られた生産工程でしか採用することが難しい状況であった。
【特許文献1】特開昭62−261221号公報
【特許文献2】特開昭62−38614号公報
【特許文献3】特開昭59−158029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前述したように、従来の反射型センサは受光量の増加、または受光量の低下のどちらか一方をとらえて物体検知を行っていた。したがって、センサが検知できる被検知物体については、その表面状態によって制約を受けていた。また、被検知物体からの反射光量が背景からの反射光量と同じであれば、このときも物体が検知出来なかった。
したがって、センサがi)通過物体のカウント用途であればカウント値に誤差が生じたり、ii)自動化ラインの物体通過検知用途であれば、物体があるにも関わらず、物体有りの信号が発せられないため、自動化ラインに不具合が生じる可能性があった。また、iii)部品取り出しの作業指示センサ(通称ピッキングセンサ)であれば、作業者の手が検知出来なかったり、チャタリングによって部品の2度取りと判定されてしまう可能性があった。
【0024】
従って本発明は、上記課題を解決し、背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来ると共に、さらに従来よりも検知の精度を高めてより多くの用途に適用可能な反射形センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、本願発明者は、従来からの一般的な反射形センサが同じケース内に投光部と受光部が一対(1:1)で構成されているのに対し、新たに反射形センサを、i)投光部1:受光部複数の組合せとすると共に、ii)投光部を中心として、投光部からの距離が夫々異なる位置に受光部を配置する、つまり、1つの投光部に対し受光素子を複眼でかつ夫々に入射する入射光の角度を異なるように配列することにより、一つ一つの受光素子に入射する受光量のピーク点、ひいてはこれらそれぞれのもつ誤動作領域をずらし、最終的にこれら複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることで、上記誤動作領域をカバーし合う様にし、それによって従来よりも検知の精度を高めて上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
【0026】
上記課題を解決可能な本発明の反射形センサは、(1)反射形センサであって、1つの投光部に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置したものからなると共に、前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備え、さらに、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とするものである。
【0027】
また本発明の反射形センサは、(2)複数の投光部と複数の受光部を持つ反射形多光軸センサであって、前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えると共に、1つの投光部に対し相対する受光部以外に投光部からの直線的な距離が異なる複数の位置にある受光部を利用し、前記投光部がパルス動作で順次投光されて行くに際し、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とするものである。
【0028】
なお、本発明の説明にあたり、「受光部」とは、受光素子、その前面に備えられるレンズ、受光素子からの出力を受けて増幅等を行う受光回路、受光回路からの出力を受けて、必要に応じその出力をCPU側に送り出すマルチプレクサ、マルチプレクサからの出力をA/D変換するA/D変換部、及びCPU内にて上記A/D変換部からの出力を、同じくCPU内に予め格納された閾値と対比してON/OFFの判定を行うウインドコンパレータ部までを包括して指称するものとする。これら各構成要素の中には、他の受光部と共用されるものも存在する。しかしながら、最終的にウインドコンパレータ部から出力される各受光部の判定出力(ON/OFF)自体は、夫々の受光部に固有のものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1つの投光部に対し受光素子を複眼でかつ夫々に入射する入射光の角度を異なるように配列することにより、一つ一つの受光素子に入射する受光量のピーク点、ひいてはこれらそれぞれのもつ誤動作領域をずらし、最終的にこれら複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることで、上記誤動作領域をカバーし合う様になっている。
それゆえ、たとえ複数ある受光部の内の受光素子一つ一つ単独では、誤判定、誤動作が生じ得る様な状況下にあっても、別の受光素子からのフォローが得られるため、本発明に係る反射形センサでは、物体を検知できないいわゆる不感帯が解消される。
【0030】
また本発明によれば、背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来る反射形センサが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な一実施形態に付き説明する。図1は投光部に対する受光部の配置の仕方の一例を示す図であり、Aは投光部を中心として同心円上に配置した場合、Bは直線的に配置した場合を示す。図2は複数の受光素子における集光パターンの一例を示す図であり、図3は背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。図4は、ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの一構成例を示す図であり、Aはブロック図、Bはタイムチャートである。図5は、図3同様に背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いま投光部から40cmの距離に背景があるとし、背景からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。図6は、背景に対して50%の反射率を持った被検知物体が挿入された際における各受光素子の距離出力特性を示す図である。図7は背景にリフレクタを使用した場合の、光学系の配置関係及びリフレクタで反射された光の光密度の様子を示す図、図8は背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。図9は背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離にリフレクタを配置し、リフレクタからの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
なお、本明細書では、各図面間において同一構成要素には同一参照符号を用いるものとする。
【0032】
[第1実施形態:背景に白画紙を使用した場合]
まずはじめに、背景に白画紙を使用した場合の、本発明に係る反射形センサの構成及び諸特性につき説明する。
【0033】
図1に、投光部に対する受光部の配置の仕方の一例を示す。本発明では、1投光部に対して投光部からの距離が異なる複数の受光部を配置した。すなわち、本発明では、投光部を中心として、同心円上(図1A)又は直線的(図1B)に投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置した。これにより、受光領域(帯域)を拡散させ、従来より広い領域で受光量の変化を捉えるようにした。
以下では、分かりやすい様に多光軸センサの1光軸部分(1投光部)で説明する。また、複数の受光部として、以下では受光部を2つとする例につき説明する。多光軸センサ自体に関する全体構成については、後段の実施例にて説明する。
【0034】
なお、後段の変形例の説明に於ても詳述するが、通常は、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる2個の受光素子を受光部として配する組合せが好適であるが、設置環境その他の事情に応じて、よりセンサの正確性を高めるべく、図1に示す通り、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる3個以上の受光素子を受光部として配する組合せを採っても構わない。
【0035】
図2に、複数の受光素子における集光パターンの一例を示す。投光部P1の投光素子から出た光は、レンズLを通して背景へ照射される。背景から反射された光は、レンズLを通して受光部R1及び受光部R2各受光素子へ集光される。
なお、角度θ1、θ2は、受光部R1、R2の各受光素子の主光軸に対する、投光素子からの反射光の主成分がなす入射角である。この入射角θ1、θ2自体は、投光部に対して受光部が同心円上(図1A)に配置されていても、直線的(図1B)に配置されていても同様に変わらない。
【0036】
また図3に、背景として白画紙を用いた場合の受光部R1、R2の各受光素子の距離出力特性(距離に対する受光量)を示す。縦軸は各受光素子の受ける受光量(受光出力)を、また横軸は投光素子からの離間距離を示している。
受光部R1の特性を見ると、R2のものに比べて受光レベルが全体的に高くなっているほか、ピークの位置も投光素子からより近いところにある。一方、投光部P1から遠い受光部R2の特性を見ると、受光レベルがR1に比べて全体的に低いほか、ピークの位置も投光素子からより離れたものとなっている。受光部R1,R2何れの場合も、ピーク点を過ぎて離間距離が長くなると、受光量は距離の2乗に反比例した特性になる。
【0037】
このように、本実施形態では投光部からの距離が異なる位置に複数の受光部を配置し、1つの投光部に対して距離出力特性が異なる複数の受光部を備える様構成した。
【0038】
次に、従来の反射形センサは受光量の増加、または受光量の低下のどちらか一方をとらえて物体検知を行っていたが、本実施形態では受光部で受けた受光信号の処理に際してウインドコンパレータ機能を持たせた。これによって、受光部が、閾値に対する受光量の増加或いは低下のどちらの場合でも、センサ出力として被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発して動作するようにした。
このウインドコンパレータ機能を分かりやすくするために、同機能を持たせた1光軸のシステムに係るブロック図とタイムチャートを図4に示し、その動作を説明する。
【0039】
図4は、ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの一構成例を示す図であり、Aはブロック図、Bはタイムチャートである。なお図4では、ウインドコンパレータ機能の説明が分かりやすい様に、投受光素子=1:1のシステム構成を例に説明する。
【0040】
図4Aに例示する反射形センサ1’のケース内には、少なくとも投受光系10’、信号変換回路系20’、出力回路30及び感度調整スイッチSW1が納められている。投受光系10’の各投受光素子P11、R11の前面にはレンズLが備えられる。
投受光系10’は、投受光素子P11、R11及びそれら夫々の駆動或いは増幅回路P12、R12とからなっている。
信号変換回路系20’は、受光回路R12に接続されたA/D変換部22と、A/D変換部22及び投光用のLED駆動回路P12に接続されたCPU23とからなっている。
【0041】
この図4に示す例では、CPU23には少なくとも、A/D変換部22と接続されるほか、自身の判定出力をCPU23外部の出力回路30にセンサ出力として送出するウインドコンパレータ部231、並びにウインドコンパレータ部231及びCPU23外部の感度調整スイッチSW1と接続され、感度調整スイッチSW1を用いてCPU23に入力された受光部R1における閾値Vi、ウインド幅V0及びそれらの上下限値VHref、VLref等を格納する閾値格納部232が包含されている。
【0042】
CPU23にはまた、出力回路30及び感度調整スイッチSW1が接続されている。閾値の調整(感度調整)に関しては、この感度調整スイッチSW1を用いてセンサの設置の際その他適当なタイミングで行う。
【0043】
LED駆動回路P12はCPU23に接続され、CPUから送出される指令に基づいてLEDを駆動、発光させる。
受光回路R12の出力は、A/D変換部22及びCPU23を経て出力回路30に送出され、最終的には“ON”又は“OFF”のセンサ出力として出力される。図4に示す例では、ウインドコンパレータ機能はCPU23にて実現される様構成されている。
【0044】
図4Bは、図4Aに示した構成に係る、ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの動作を示すタイムチャートである。
図4B中、V0はウインド幅、R111及び受光レベルViは背景W−投受光系10’間に挿入物が何も差し込まれていないときにおける背景Wからの受光量を、R112及び受光レベルVHrefは鏡、SUS板その他の反射物が背景W−投受光系10’間に差し込まれた場合に受光素子R11が受ける受光量を、そしてR113は手、黒色物体その他の吸収物が背景W−投受光系10’間に差し込まれた場合に受光素子R11が受ける受光量を夫々示している。
【0045】
図4に示す例では、感度調整スイッチSW1の入力により、センサ1’−背景W間に被検知物体が何も挿入されていないときの背景Wからの受光量Viを基準に、上限側と下限側の閾値VHref、VLref(=ウインド幅V0となる)を決定する。
そして、受光量が上限側の閾値VHrefを超えると、(反射物に係る)被検知物体がセンサ1’と背景Wとの間に挿入されている状態にあると判定され、便宜上、“ON”のセンサ出力がなされる。同様に、受光量が下限側の閾値VLrefを下回ると、(吸収物に係る)被検知物体がセンサ1’と背景Wとの間に挿入されている状態にあると判定され、このときも“ON”のセンサ出力がなされる。
このように、図4に示す例では、ウインドコンパレータ機能を採ることで、閾値に対して受光量が増加しても低下してもセンサ出力がされる構成となっている。
【0046】
本実施形態においても、図4に示す例と同様に、複数の受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えることで、閾値に対して受光量が増加しても低下してもセンサ出力がされる構成とした。
さらに、本実施形態では複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成しているが、これについて次に説明する。
【0047】
図5は、図3同様に背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いま投光部から40cmの距離に背景があるとし、背景からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。V01、V02はウインド幅、Vi1,Vi2は「被検知物体が何も挿入されていない」状態である(便宜上、センサ出力が“OFF”状態にあると称する)との判定を行う為の基礎となる閾値である。ウインド幅V01、V02については、上限値VHref1、VHref2と、下限値VLref1、VLref2より定まる。
【0048】
図5に於いては、投光部から40cmの距離に背景があるとし、このとき、被検知物体(反射物、吸収物)が何も挿入されていない状態における各受光素子での受光量(図中に網掛けラインで示された受光レベルの中央値)を閾値(Vi1,Vi2)としている。なお、図中に網掛けラインで示された受光レベルはウインド幅V01、V02に相当するが、その実際の幅については、適宜選ばれる上限値VHref1、VHref2と、下限値VLref1、VLref2より定められる。
【0049】
本実施形態では、各受光素子における受光量が、上限値VHref1、VHref2を超えているとき、又は下限値VLref1、VLref2を下回っているとき、の何れかの場合に、「反射物又は吸収物の何れかに係る被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある(便宜上、センサ出力が“ON”状態にあると称する)」との判定を行っている。上限値を超えているときは反射物が、また下限値を下回っているときには吸収物が挿入されていることになる。
言い換えると、背景からの反射光が各受光素子に入光するだけの状況下で初めて、センサ出力が“OFF”状態になる様に、閾値の調整(感度調整ともいう)は行われている。この閾値の調整(感度調整)は、センサの設置の際その他適当なタイミングで、手動又は自動にて適宜行われる。
【0050】
各受光素子の距離出力特性曲線を見ると、受光部R1に関しては、投光部から40cmの距離のところ以外は、図中に網掛けラインで示された受光レベルになるところは無く、被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある(センサ出力が“ON”状態にある)にもかかわらず、「被検知物体が何も挿入されていない状態にある」と誤って判定する(センサ出力が“OFF”状態となる)ことは無い。
【0051】
しかしながら、受光部R2の受光素子に係る距離出力特性曲線を見ると、投光部から40cmの距離のところのほか、投光部から18cm付近のところでも、図中に網掛けラインで示された受光レベルになるところが存在する。この場合、受光量がウインド幅V02の範囲に入っていることから、例えば背景と同様の白画紙が投光部から18cm付近の所にあるにもかかわらず、受光部R2単独では“OFF”状態にあるとの判定がされてしまう。
このように、受光部R2単独のみの場合には、例えば白画紙又はこれと同様の性質及び距離出力特性を持った被検知物体がセンサと背景との間、投光部から18cm付近のところに挿入されている状態にあったとしても、本来ならばセンサ出力が“ON”状態にあるべきであるにもかかわらず、「被検知物体が何も挿入されていない状態にある」と誤って判定されてしまう(センサ出力が“OFF”状態となる)。すなわち、受光部R2単独では、物体を検知できないいわゆる不感帯が発生する可能性があった。
【0052】
ところが、本実施形態によれば、最終的に複数の受光部R1、R2における判定出力のorを取ることで、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様になっている。それゆえ、たとえ受光部R2単独では、誤判定、誤動作が生じ得る様な状況下にあっても、受光部R1からのフォローが得られるため、本実施形態に係る反射形センサでは、物体を検知できないいわゆる不感帯が解消されている。
【0053】
以上の通り、本実施形態では、予め定めた背景とセンサの離間距離40cmを中心として、背景がセンサ側に近づいても、センサから遠ざかっても、或いは種々の特性の被検知物体がセンサと背景との間に挿入されたとしても各受光部R1、R2の動作は“ON”状態となるようにした。
そして、センサ出力としては二つの受光部R1、R2のどちらかが“ON”状態を出力していたら最終のセンサ出力も“ON”状態を出力するように、複数の受光部1(R1)と受光部2(R2)における判定出力のorを取るようにした。
【0054】
図6は、「背景に対して50%の反射率を持った被検知物体が挿入された」際における受光部R1、R2の各受光素子の距離出力特性を示す図である。
反射率が50%であるから、図5の特性に対して距離全体に受光量が50%となった特性となる。
【0055】
すると、受光部R1は、例えば白画紙又はこれと同様の性質及び距離出力特性を持った被検知物体がセンサ1から距離28cm付近にあるときに、予めセンサと背景との間に挿入物が無いときに感度調整した際の閾値(或いはウインド幅)と同等レベルの受光量となり、被検知物体が挿入されているにもかかわらず「被検知物体が何も挿入されていない状態にある」と誤って判定(センサ出力が“OFF”状態となる)されてしまう、所謂不感帯が発生してしまう。
【0056】
一方、受光部R2の受光レベルは、全距離においてウインド幅V02より低いため、受光部R2の出力は全距離範囲において、被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある」との判定(センサ出力が“ON”状態となる)を行っている。
【0057】
従来のように、一つの投光部に対して一つの受光部(受光部R1のみ)であれば、上記の通り背景に対して50%の反射率を持った被検知物体がセンサ1から距離28cm付近にあるときには、当該物体を検知出来ないこととなり、いわゆる不感帯が発生してしまう。
しかしながら、本実施形態においては、センサ出力は上記複数の受光部R1とR2における判定出力のorを取ったものであるから、先程の通りR1がOFF状態となる28cm付近では、R2の出力がカバーする。それゆえ、本実施形態の下では物体を検知できないいわゆる不感帯は発生しない。
【0058】
このように、本実施形態では、一つの投光部に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置し、距離出力特性が異なる複数の光学系からなるセンサとすることで、各々の不感帯が一致しない光学系となった。その為に、本実施形態の下では物体を検知できないいわゆる不感帯は発生しない。
【0059】
[第2実施形態:背景にリフレクタを使用した場合]
次に、背景にリフレクタを使用した場合の、本発明に係る反射形センサの構成及び諸特性につき説明する。
【0060】
図7は、背景にリフレクタを使用した場合の、光学系の配置関係及びリフレクタで反射された光の光密度の様子を示す図である。
第1実施形態として説明した通り、背景が白画紙の様な拡散反射物体であれば、反射光は平均化された拡散光となる。
一方、リフレクタは、光が照射された投光側へ光を強く返そうとする特性があり、図7に示す通り、リフレクタに入射して来た光は、もと来た光路に戻ろうとする。それゆえ、光密度についても、図7に示す通りあまり拡がりを持たない。そのため、同じ光学系でも投光部から離れた受光部R2の受光量は、受光部R1に比べて対数的に格段に少ない特性となる(次に説明する図8参照)。
【0061】
図8は、背景としてリフレクタを用いた場合の受光部R1、R2の各受光素子の距離出力特性を示す。
双方の特性を見ると、受光部R1とR2とでは投光部からの位置が異なるため、双方の受光量のピークの位置がずれている一方、受光量のピーク点より遠い距離では、双方とも、受光量は投光部から離れるに従って略一定割合で漸減する特性となっている。すなわち、背景としてのリフレクタがセンサから離れるにつれて、受光部での受光量が漸減する様な特性となっている。
【0062】
図9は、図8同様に背景としてリフレクタW’を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサ1から2mの距離にリフレクタW’を配置し、リフレクタW’からの反射ではセンサ1がOFF状態となるように、ウインド幅を持った閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。V01、V02はそれぞれのウインド幅である。ウインド幅V01、V02については、図5に示す例と同様、上限値VHref1、VHref2と、下限値VLref1、VLref2より定まる。
【0063】
Vi1、Vi2はリフレクタW’をセンサから2mの位置に置いたときの受光部R1、R2の受光レベルである。このVi1、Vi2が、「被検知物体が何も挿入されていない」状態である(センサ出力が“OFF”状態にあると称する)との判定を行う為の基礎となる閾値に相当する。
このように、センサ1から2mの位置にあるリフレクタW’からの反射受光量Vi1、Vi2を基準に、各受光部R1、R2の出力はOFF状態にあるものと調整される(閾値或いは感度調整)。
【0064】
ここで、白画紙がセンサ1とリフレクタW’の間に挿入されたとする。図9には、白画紙がセンサ1とリフレクタW’の間に挿入されたときの距離出力特性(R1,R2とも)も示されている。
従来の一つの投光部と一つの受光部で構成されたものであれば、受光部は例えばR1のみだから、図9のグラフ下方に示す通りセンサから13cm付近で、センサ1から2mの距離にリフレクタW’を配置したときのリフレクタW’からの反射光量Vi1と同じ受光量となり、この位置では不感帯となって白画紙が検知できない。
【0065】
一方、受光部が例えばR2のみである場合、図9に示すセンサ−背景間に白画紙が挿入されたときの受光部R2に係る距離出力特性を見ても明らかな通り、特に不感帯は生じない。
【0066】
本実施形態によれば、最終的に上記複数の受光部R1、R2における判定出力のorを取ることで、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様になっている。それゆえ、たとえ受光部R1、R2単独では誤判定、誤動作が生じ得る様な状況下にあっても、別の受光部からのフォローが得られるため、本実施形態に係る反射形センサでは、物体を検知できないいわゆる不感帯が解消されている。
【0067】
ここで、少なくとも複数の受光部の距離出力特性を相異なるものとしておくことが不感帯をなくし、誤検知、誤動作の解消を図る上では好ましいことを考慮すると、上記第1実施形態及び第2実施形態の例で言えば、i)背景との距離が約40cm以内であれば拡散反射形として使用し、さらにii)背景が約40cmから2m(或いはそれ以上)であればリフレクタを使用することによって、物体を確実に検知出来ることが理解される。
【0068】
以上の各説明からも理解される通り、本発明は、i)1投光部に対して複数の受光部を配置すると共に、ii)これら複数の受光部に関しては投光素子に対する相対的な離間距離を変え、それにより、各受光素子に現れる(投光素子からの)集光パターンに夫々変化を持たせ、互いに発生する不感帯を打ち消し合う様にしたことを特徴とするものである。
このとき、本発明では各受光素子からの出力を処理する際にウインドコンパレータを使った構成を採用すると共に、最終的にそれら複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることで、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様になっている。
【実施例】
【0069】
以下では、本発明の一実施例について説明する。図10に本実施例に係る反射形センサの外観、図11に回路ブロック図を示す。
図10に示される通り、本実施例では、本発明が実際に適用される対象として、従来例と同じ外観をもつ4光軸の反射形多光軸センサが選ばれている。
【0070】
これまでの説明では、1つの投光部に対して2つの受光部を配置する構成を採っていた。ところで、従来からの反射形多光軸センサは、既に複数個の投光部と受光部を備えているため、特別に受光部を追加しなくても上記本発明の機能を実現することが出来る。
このように、本発明は、従来の反射形多光軸センサに対してでも、その構造を変更すること無く、回路やCPUのプログラムを変更するだけで実現でき、費用対効果の観点からも極めて高効率なものである。
【0071】
図10及び図11に示す通り、本実施例に係る反射形センサ1のケース内には、投受光系10、信号変換回路系20、出力回路30、動作表示灯M、及び感度調整スイッチSW1が納められている。図10に示す通り、ケース外面には、4チャンネル(後述)の投受光系10及び動作表示灯Mが現れている。投受光系10の各投受光素子の前面にはレンズLが備えられている。図10の左下部分には感度調整スイッチ格納部分SW1’が表れていて、ここに感度調整スイッチが納められている。
図11に示される4チャンネルの投受光系10の各チャンネルは、投受光素子(P11〜P41、R11〜R41)及びそれら夫々の駆動或いは増幅回路(P12〜P42、R12〜R42)とからなっている。本実施例では、投光素子P11〜P41はLEDよりなる。
なお前記の通り、「受光部」とは、受光素子、その前面に備えられるレンズ、受光素子からの出力を受けて増幅等を行う受光回路、受光回路からの出力を受けて、必要に応じその出力をCPU側に送り出すマルチプレクサ、マルチプレクサからの出力をA/D変換するA/D変換部、及びCPU内にて上記A/D変換部からの出力を、同じくCPU内に予め格納された閾値と対比してON/OFFの判定を行うウインドコンパレータ部までを包括して指称するものとする。これら各構成要素の中には、他の受光部と共用されるものも存在する。しかしながら、最終的にウインドコンパレータ部から出力される各受光部の判定出力(ON/OFF)自体は、夫々の受光部に固有のものである。
同じく図11に示される信号変換回路系20は、各受光回路R12〜R42に接続されたマルチプレクサ21と、マルチプレクサ21に接続されたA/D変換部22と、A/D変換部22及び各投光回路P12〜P42に接続されたCPU23とからなっている。
本実施例では、CPU23には少なくとも、図11に示す通り、A/D変換部22と接続されるウインドコンパレータ部231、ウインドコンパレータ部231及びCPU23外部の感度調整スイッチSW1と接続され、感度調整スイッチSW1を用いてCPU23に入力された各受光部における閾値、ウインド幅及びそれらの上下限値等を格納する閾値格納部232、ウインドコンパレータ部231と接続され、そこからの判定出力を記憶する記憶部233、並びに記憶部233に格納された複数の受光部R1〜R4に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ってCPU23外部の出力回路30にセンサ出力として送出するor回路部234が包含されている。
また、CPU23には出力回路30、動作表示灯M及び感度調整スイッチSW1が接続されている。閾値の調整(感度調整)に関しては、この感度調整スイッチSW1を用いてセンサの設置の際その他適当なタイミングで行う。
【0072】
LED駆動回路P12〜P42は夫々CPU23に接続され、CPUから送出される指令に基づいて各チャンネルのLEDを駆動、発光させる。各受光回路R12〜R42は、信号変換回路系20のマルチプレクサ21に接続されている。
各受光回路R12〜R42の出力は、マルチプレクサ21、A/D変換部22及びCPU23を経て出力回路30に送出され、最終的には“ON”又は“OFF”のセンサ出力として出力される。
【0073】
以上の構成からなる本実施例に係る反射形センサ1の動作、諸特性及び作用効果に関しては基本的に、先の各実施形態で説明したのと同様である。
すなわち、本実施例に係る反射形センサ1は、複数の投光部P1〜P4と複数の受光部R1〜R4を持つ反射形多光軸センサであって、受光部R1〜R4の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えるものである。
それと共に、本実施例に係る反射形センサ1は、1つの投光部に対し相対する受光部(例えば、投光部P11に対応する受光部R11)以外に投光部からの直線的な距離が異なる複数の位置にある受光部を利用し、投光部P1〜P4がCPU23からの指令に基づきパルス動作で順次投光されて行くに際し、例えば次に示すような態様で複数の受光部R1〜R4に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う構成となっている。
【0074】
本実施例に係る反射形センサ1の詳細な動作の一例につき説明すると、投光部P1〜P4がCPU23からの指令に基づきパルス動作で順次投光されて行くところ、
i)先ず、投光素子P11を点灯させ、このとき相対する受光部R1の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際用いられる閾値は、拡散反射形の場合を例に挙げれば図5に示すVi1に相当する。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV01、VHref1、VLref1が夫々相当する。
ii)次に、同じ投光素子P11を点灯させ、今度はより離れた位置の受光部R2の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、先程と同様にCPU23にてON/OFFの判定を行う。その際用いられる閾値は、先程とは異なり図5に示すVi2に相当する(拡散反射形の場合)。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV02、VHref2、VLref2が夫々相当する。
iii)CPU23にて、このi)、ii)2つの判定出力のorをとって1つのチャンネル(投受光部P1、R1の組合せ;CH1)からの出力とする。
iv)同様に、多光軸であるから次のチャンネルに進んで投光素子P21を点灯させ、このとき相対する受光部R2の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、i)と同様である。
v)続いて、同じ投光素子P21を点灯させ、また離れた位置の受光部R1の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、ii)と同様である。
vi)今度もCPU23にて、このiv)、v)2つの判定出力のorをとって2つ目のチャンネル(投受光部P2、R2の組合せ;CH2)からの出力とする。
vii)上記の操作をチャンネル数分(本実施例では4チャンネル;CH1〜CH4)繰り返したのち、最終的には各チャンネルCH1〜CH4からの出力のorを取ったものが、センサ出力として出力回路30より出力される。
【0075】
CH3、CH4からの出力の取り出し方も、上に倣ったものとすることが出来る。例えば、以下の様な取り方も可能である。
i)’CH3(投受光部P3、R3の組合せ)に関しては先ず、投光素子P31を点灯させ、このとき相対する受光部R3の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかについては、i)と同様である。
ii)’次に、同じ投光素子P31を点灯させ、今度はより離れた位置の受光部R4の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、先程と同様にCPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、ii)と同様である。
iii)’CPU23にて、このi)’、ii)’2つの判定出力のorをとってCH3からの出力とする。
iv)’同様に、次のチャンネルCH4(投受光部P4、R4の組合せ)に進んで投光素子P41を点灯させ、このとき相対する受光部R4の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、i)と同様である。
v)’続いて、同じ投光素子P41を点灯させ、また離れた位置の受光部R3の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、ii)と同様である。
vi)’今度もCPU23にて、このiv)’、v)’2つの判定出力のorをとってCH4からの出力とする。
【0076】
上記から分かるように、本実施例に係る反射形センサの動作要領では、各チャンネルにおける受光部の閾値は各2つ存在する。
一つは、各チャンネル毎に対応(相対)する投光素子が点灯するときで、拡散反射形の場合を例に挙げれば、受光部の受光特性(距離出力特性)は図5のR1の特性に相当し、その際用いられる閾値は図5に示すVi1に相当する。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV01、VHref1、VLref1が夫々相当する。
もう一つは、離れた所の投光素子が点灯するときで、受光部の受光特性は図5のR2の特性に相当し、その際用いられる閾値は図5に示すVi2に相当する。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV02、VHref2、VLref2が夫々相当する。
リフレクタ形の場合であっても、考え方は同様である。
【0077】
投光部P1〜P4の位置は夫々異なっており、複数の投光部をこのようにして駆動して受光出力を取り出すことによって、センサの信頼性をより高めることができる。
【0078】
以上、本発明では、i)1つの投光部に対して投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置することにより、受光量のピーク点を含め距離出力特性が異なる複数個の受光部を利用して最終的なセンサ出力を取り出す様構成したから、いわゆる不感帯が無くなった。これによって、白画紙やリフレクタ及び鏡の様な反射率が高い物体から、反射率の低い黒色物体や手に至るまで、反射率に関係なく、種々の被検知物体を確実に検出することができた。
【0079】
また、ピッキング用途では、チャタリングや作業者の手を検出できないということが無くなったため、センサ側の部品取り出しエラーが無くなり、作業効率がアップした。同様に、部品のカウント用途で有れば、誤カウントが解消された。
さらに、反射形はセンサの設置が片方だけでよいので、従来の透過形ピッキングセンサに比べて配線工数の削減になる。もともとピッキングセンサは、多くの部品を組み立てるのに必要な工程で使われるところ、1組のみで使われることは無く、部品棚に応じて数個・数十個単位で使われる為、その配線の削減効果は非常に大きい。
そのほか、透過形のように部品棚の左右(又は上下)に設置する必要が無い為、省スペースにも貢献する。こうした省配線・省スペースによる設置コストの削減は、より多くの生産現場や業界において、ミス防止・作業効率の向上による品質安定の要求を満たしたものとなる。
【0080】
ii)ところで、従来の反射形多光軸センサは元々複数の投光部と受光部を備えている。そのため、本発明の機能は、従来の反射形多光軸センサの構造を改造することなく、回路やCPUのプログラムを変更するだけで実現できる。このとき、新たな構造の設計費用や設計時間は不要となり、本発明を採用することは、費用対効果の観点からも極めて高効率なものと言える。
勿論、本発明の構成は、既存の反射形多光軸センサだけでなく、単光軸の反射形センサにも応用できる。
【0081】
iii)また従来は、検出距離が短くて済む場合は、検知物体からの反射光を直接検出する拡散反射形を採用し、長い検出距離が必要な場合は、リフレクタ形センサを使用するなどして、センサを用途によって選択していた。
ところが、本発明の場合、センサ系を構成するに際しては、検出距離に関係なく背景として反射する物があれば、それが壁やリフレクタであっても何でも良い。それゆえ、本発明構成を採ることにより、検出距離に関係なく一台のセンサで種々のニーズに対応することが可能となった。
このように、本発明の構成は、一台のセンサで拡散反射とミラー(リフレクタ)反射の両方に使用出来、適用範囲が広いものである。
【0082】
iv)リフレクタを使用した用途の場合、従来はリフレクタ形センサでは、リフレクタからの反射光を遮ることで物体検知を行っていたため、例えば鏡やSUS板等、被検知物体が同じような反射物である場合は検知出来なかった。しかしながら、本発明によれば、例えばリフレクタテープを縫いつけた作業服を着た作業者や、ヘルメットにリフレクタを貼り付けた作業者でも確実に検知出来るようになった。同様に本発明は、リフレクタを使用した安全用多光軸センサ(プレス作業等の危険を伴う作業用途に使用されるセンサ)にも応用できる。
【0083】
v)さらに、本発明によれば、偏光フィルターを使用しなくても、十分に誤検知の確率が低く、正確性の高いセンサを実現できる。それゆえ、本発明によれば、光が偏光フィルターを透過する際に生じる(フィルターによる)光量の減衰に係る問題に悩まされることが無く、従来の偏光リフレクタ形センサより検出距離を長くすることも可能となる。
その他、反射形センサを、例えば上記した様な偏光フィルター及びリフレクタ(偏光タイプのもの)を用いた偏光リフレクタ形として構成した場合、ステンレス板のような光沢のある表面反射物体からの反射光は上記の通り偏光フィルターで遮断される関係上、この構成の反射形センサをリフレクタ形としてだけで無く拡散反射形としても使用することは原理的に不可能であると言った問題が生じる。このように、偏光フィルターを使用した場合には、減衰の問題だけではなく、反射形センサを(偏光)リフレクタ形、及び拡散反射形として共用することができないと言う問題もあった。
ところが、偏光フィルターを使用せずに済む本発明構成を採ることにより、反射形センサを、リフレクタ形、或いは拡散反射形の何れの形式としても使用できる。
【0084】
vi)このように優れた特性を持つ本発明に係る反射形センサは、自動車、電機、工作機械等の各製造業における市場にて、ピッキングセンサとして従来の透過形センサからの切り替えや、ローコストによる新規設置が見込まれるほかにも、新たな市場での適用が見込まれる。
すなわち、物流、搬送、倉庫業界等では、通販やコンビニエンスストアの配送センターや、倉庫などにおける仕分け作業場への設置が見込まれる。
また、駐車場管理システム業界では、各駐車スペースにおける車両の有無検知センサとしての応用が見込まれる。
このように、本発明に係る反射形センサは、FA業界に止まらず、様々な民生業界への適用が可能なものである。
【0085】
[変形例]
以上、本発明に付き、一実施形態等を通じて詳細に説明したが、本発明は上記構成に限られず、種々の変形が可能なものである。
【0086】
[背景に鏡を使用した変形例の説明]
図12及び図13は、背景に鏡を使用した場合の、光学系の配置関係及び鏡で反射された光の光密度の様子を示す図である。
鏡に入射した光は、入射角に対して対称な反射角をもって出射しようとする特性があり、図12及び図13に示す通り、光密度は図7に示すリフレクタのものと比べて一定領域では均一的なものとなっている。
ここで、受光部がR1とR2の2素子構成では、両者の距離出力特性に有意差が期待できないと判断した場合には、図13に示す通り、受光部をR1〜R3の3素子構成としても良い。これら3つの受光部における判定出力のorを取ることによって、センサの信頼性をより一層向上させることが可能となる。
【0087】
図14は、背景として鏡を用いた場合における、図13の光学系に係る各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離に鏡を配置し、鏡からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
V01、V02、V03はそれぞれのウインド幅である。Vi1、Vi2、Vi3は鏡W’’をセンサから2mの位置に置いたときの受光部R1、R2、R3の受光レベルである。このVi1、Vi2、Vi3が、「被検知物体が何も挿入されていない」状態である(センサ出力が“OFF”状態にある)との判定を行う為の基礎となる閾値に相当する。
【0088】
3者の特性を見ると、まず、受光部R1〜R3とは投光部からの位置が夫々異なるため、当然、受光量のピークの位置がずれている。また、R1−R2間とR2−R3間とでは、図13からも明らかな通り光密度の差の開き方が異なっており、図14に示す受光出力の差の開き方にもそれが顕著に現れている。なお、受光量のピーク点より遠い距離では、3者とも、受光量は投光部から離れるに従って略一定割合で漸減する特性となっている。
【0089】
[その他の変形例の説明]
例えば、図1に係る説明でも述べたが、通常は、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる2個の受光素子を受光部として配する組合せが好適であるが、設置環境その他の事情に応じて、よりセンサの正確性を高めるべく、図1に示す通り、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる3個以上の受光素子を受光部として配する組合せを採っても構わない。3つ以上の複数個の受光部を配置することで、さらに誤検知の確率が低くなる。
【0090】
閾値の調整(感度調整)も、図11に示すような感度調整スイッチSW1を用いてセンサの設置の際その他適当なタイミングで実行しても良いほか、その様なスイッチは省略して、センサに電源供給した際に自動調整を実行する様な制御系を採用して構わない。いずれにしても、閾値の調整は手動又は自動にて適宜行われる。
また、感度調整に関しては、スイッチSW1によるだけではなく、適宜ケーブルを介して外部から入力することも可能である。
さらに、図10及び図11に示す動作表示灯Mに関しても省略して構わない。図11に示す投受光系の夫々に備えられるレンズLについても、省略して構わない。
その他、実施例で説明した投光部P1〜P4の駆動は、順次でもランダムでも構わない。
センサ出力の“ON”又は“OFF”の状態も、本明細書作成の便宜上定めたものであり、逆であっても構わない。
【0091】
実施例に示した4チャンネルの受光部の駆動の仕方についても、上記実施例に開示した方法のほか、投光部P1〜P4がCPU23からの指令に基づきパルス動作で順次投光されて行く際に、i)投光部P1が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、ii)投光部P2が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、iii)投光部P3が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、iv)投光部P4が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、を順次取る様な構成としても構わない。
【0092】
以上に説明した通り、本願発明は、背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また(閾値となる)背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来ると共に、さらに従来よりも検知の精度を高めてより多くの用途に適用可能な反射形センサを提供する、新規かつ有用なものであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】投光部に対する受光部の配置の仕方の一例を示す図である。
【図2】複数の受光素子における集光パターンの一例を示す図である。
【図3】背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。
【図4】ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの一構成例を示す図である。
【図5】背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いま投光部から40cmの距離に背景があるとし、背景からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
【図6】背景に対して50%の反射率を持った被検知物体が挿入された際における各受光素子の距離出力特性を示す図である。
【図7】背景にリフレクタを使用した場合の、光学系の配置関係及びリフレクタで反射された光の光密度の様子を示す図である。
【図8】背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。
【図9】背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離にリフレクタを配置し、リフレクタからの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
【図10】本実施例に係る反射形センサの外観を示す図である。
【図11】本実施例に係る反射形センサの回路ブロック図である。
【図12】背景に鏡を使用した場合の、光学系の配置関係及び鏡で反射された光の光密度の様子を示す図である。
【図13】背景に鏡を使用した場合の、光学系の配置関係及び鏡で反射された光の光密度の様子を示す図である。
【図14】背景として鏡を用いた場合における、図13の光学系に係る各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離に鏡を配置し、鏡からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
【図15】従来例に係る反射形センサの回路ブロック図である。
【図16】従来例に係る反射形センサの受光部における距離出力特性を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
L レンズ
M 動作表示灯
P1〜P4 投光部
P11、P21,P31,P41 投光素子
P12、P22、P32、P42 LED駆動回路
R、R1〜R4 受光部
R11、R21,R31,R41 受光素子
R12、R22、R32、R42 受光回路
R13、R23、R33、R43 コンパレータ
SW1 感度調整スイッチ
SW1’ 感度調整スイッチ格納部分
W、W’ 背景
1、100 センサ
10、10’、10’’ 投受光系
20、20’、20’’ 信号変換回路系
21 マルチプレクサ
22 A/D変換部
23 CPU
24、241、242、243、244 and回路部
25 or回路部
26 カウンタ
27 スキャニング回路
30 出力回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、FA業界に止まらず、様々な民生業界への適用が可能な反射形センサに関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに、これまでの反射形センサを取り巻く現状につき、順を追って説明する。
【0003】
[第1例]
図15に、従来例に係る反射形センサの回路ブロック図を示す。
図15に示す通り、従来例に係る反射形センサ100のケース内には少なくとも、投受光系10’’、信号変換回路系20’’、及び出力回路30が納められている。ケース外面において、4チャンネルの投受光系10’’の各投受光素子の前面にはレンズLが備えられる。
図15に示される4チャンネルの投受光系10’’の各チャンネルは、投受光素子(P11〜P41、R11〜R41)及びそれら夫々の駆動或いは増幅回路(P12〜P42、R12〜R42)とからなっている。一般に、投光素子P11〜P41はLEDよりなる。
同じく図15に示される信号変換回路系20’’は、各受光回路R12〜R42に接続されたコンパレータR13〜R43と、コンパレータR13〜R43とスキャニング回路27の各出力に接続されたand回路部24(241〜244)と、and回路部241〜244の各出力に接続されたor回路部25と、or回路部25の出力とスキャニング回路27に接続されたカウンタ26と、並びにLED駆動回路P12〜P42及びand部241〜244の各入力並びにカウンタ26に接続されたスキャニング回路27とからなっている。カウンタ26にはまた、出力回路30が接続されている。コンパレータR13〜R43の閾値の調整は、センサの設置の際等に適宜行われる。
【0004】
この例では、CPU等からなるスキャニング回路27でLEDを順次駆動・投光させ、このときそれに対する受光回路の信号を、and回路部24及びor回路部25を介してカウンタ26で読み取っている。
例えば、背景にリフレクタを使用したリフレクタ形の反射形センサであれば、カウンタ26では、順次点灯の一周期ごとにカウントし、i)4個の信号があれば全入光とみなし、被検知物体がセンサ−背景間に存在しないもの(便宜上、“OFF”状態と称している)と判定し、逆にii)4個に満たなければ、被検知物体がセンサ−背景間に存在するもの(便宜上、“ON”状態と称している)としてセンサ出力を出している。
【0005】
まず、リフレクタから反射されて受光素子R11〜R41の何れかに入光した受光信号は、それぞれ受光回路R12〜R42で増幅される。
ここで、リフレクタから反射される受光量は、予め定められたコンパレータR13〜R43夫々の閾値よりも高いことから、コンパレータで波形成形されコンパレータ出力信号が得られる。被検知物体がセンサ−背景間に存在し無ければカウンタ26の出力は4カウントとなり、これに基づき、出力回路30はセンサ−背景間に被検知物体は存在しない(OFF)との判定を下す。
【0006】
一方、背景たるリフレクタとセンサとの間に被検知物体(手や黒色物体など、光を吸収するものとする)が挿入されると、この被検知物体によって遮光された受光素子R11〜R41の受光量が低下し、受光レベルがコンパレータR13〜R43の上記閾値より低くなるので、コンパレータR13〜R43からの出力が無く、そのため、カウンタ26を経て出力回路30は、被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある(ON)」との判定を行い、センサからON信号を出力する。
【0007】
このように、一般にリフレクタ形の場合は、リフレクタから反射され、受光部に入光してくる受光信号に対して、リフレクタとセンサの間に侵入した物体から反射される受光信号が少ない場合に検知信号(センサからのON信号)を出している。
【0008】
したがって、被検知物体が鏡やSUS板のような鏡面体では、リフレクタからの反射量よりも該鏡面体からの反射量の方が多い場合があり、そうすると、センサと背景の間に被検知物体が挿入されているにもかかわらずカウンタ26は4カウントの出力を行うこととなり、結果的に必ずしも確実に被検知物体を検知することが出来ないと言う問題があった。
また、鏡面体ではなく白画紙の様な白色物体でも、センサの極く近くに近付けた場合には反射光量の密度が高く、このとき、受光部ではリフレクタからの反射量よりも多い受光量が得られる場合もある。それゆえ、この場合であっても、鏡面体同様に、必ずしも確実に被検知物体を検知することが出来ないと言う問題があった。
【0009】
また図16に、従来例に係る反射形センサの受光部における距離出力特性、すなわち一光軸の距離出力特性を示す。グラフのAは背景にリフレクタを使用した場合の、センサとリフレクタ間の距離に対する受光量(受光出力)を表したもの、Bは背景に白画紙を用い、センサと白画紙間の距離に対する受光量を表したものである。
【0010】
仮に、センサから2mの位置にリフレクタを設置し、図16の縦軸に示す受光出力が100のときをセンサ出力の判定閾値とすると、センサとリフレクタの間に被検知物体が挿入され、受光部における受光レベルが100以下となった場合に、センサからON信号が出力される。
【0011】
ここで、センサとリフレクタの間に挿入された被検知物体が白画紙だとすると、図16に示す通り、白画紙の位置がセンサから15cm以内では受光部における受光量が100以上となる。
そうすると、被検知物体が挿入されているにもかかわらず、上記の判定条件を満足しないことから、センサから15cm以内では白画紙を検知できない、即ち被検知物体ありと判定できないという問題があった(いわゆる不感帯の問題)。
【0012】
そこで、このような白画紙などからの反射光と、普段の(背景としての)リフレクタからの反射光を区別するために、例えばセンサ100のレンズL面に偏光フィルターを具備して、i)リフレクタ(Ex.縦波を横波に変換するような偏光タイプのもの)からの反射光(Ex.横波)は偏光フィルターを通過させる一方、ii)他の物体からの反射光(縦波なら縦波のまま)は偏光フィルターで遮断するという様な手法も取られている(偏光リフレクタ形センサ)。
【0013】
しかしながら、例えば透明フィルムでコーティングされた物体などでは、コーティングされたフィルムの特性によってその物体本来の持つ偏光特性が崩れてしまうことがある。したがって、本来、その物体からの反射光は偏光フィルターによって遮断されるべきであるところ、フィルムでコーティングされた場合、その被検知物体からの反射光は偏光フィルターを透過してしまうときがあり、やはり、必ずしも確実に被検知物体を検知することが出来ないと言う問題があった。
【0014】
また、この偏光リフレクタ形センサでは、投光側、受光側ともに偏光フィルターを備えるために偏光フィルターによる光量の減衰が大きく、センサと背景(リフレクタ)間の間隔を長く取れないという問題があった。
【0015】
一般的に、偏光フィルター1枚で約50%の透過率であるところ、これを投光側と受光側の両方に備えるとなると、最終的に受光可能な光量は、偏光フィルターを使用しないときに比べて0.5×0.5=0.25、すなわち、25%に減衰してしまう。これを距離に換算すると、偏光フィルターを使用しない場合に比べると50%の検出距離となる(光量は距離の二乗に反比例する)。
【0016】
その他、反射形センサを、例えば上記した様な偏光フィルター及びリフレクタ(偏光タイプのもの)を用いた偏光リフレクタ形として構成した場合、ステンレス板のような光沢のある表面反射物体からの反射光は上記の通り偏光フィルターで遮断される関係上、この構成の反射形センサをリフレクタ形としてだけで無く拡散反射形としても使用することは原理的に不可能であると言った問題が生じる。
このように、偏光フィルターを使用した場合には、減衰の問題だけではなく、反射形センサを(偏光)リフレクタ形、及び拡散反射形として共用することができないと言う問題もあった。
【0017】
[第2例]
次に、被検知物体から直接反射してくる光量を捕らえる拡散反射タイプの反射形センサの場合、背景からの反射光量に対して、被検知物体からの光量増加、または光量低下のどちらか一方をとらえて物体検知を行っている。
【0018】
したがって、背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量増加で物体検知を行う(入光ON動作)構造の装置の場合は、背景からの反射光量より低い反射光量をもった物体、例えば黒色物体などは検知出来なかった。
【0019】
反対に、背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量低下で物体検知を行う(遮光ON動作)構造の装置の場合は、背景からの反射光量より高い反射光量をもった物体、例えば白色物体や磨かれたSUS板などは検知出来なかった。
【0020】
加えて、拡散反射タイプの反射形センサの場合、被検知物体からの直接反射光で動作させるために、検知距離が長く出来ないという欠点があった。従来の拡散反射タイプの検知距離は50cm程度であった。
【0021】
[第3例]
その他、従来知られた反射形センサとしては、受光部に位置検出素子(PSD素子)や2分割フォトダイオードを使用したものが存在する。
しかしながら、これらは回路が複雑になりコストが高い。また、被検知物体からの直接反射光で動作させるため、拡散反射形と同様、検出距離が長くとれないという欠点がある。さらに、物体の通過方向によっては検知できない方向があり、その為、取付方向の制約を受けたり誤動作の原因となっている。
【0022】
ところで、最近の生産ライン等で多用されているピッキング(作業指示)システムでは、部品取り間違い防止と同時に、手を検知し部品を取り出した確認スイッチの代わりをさせる作業指示センサ(ピッキングセンサ)が多用されている。
ただ、現状のピッキングセンサは、部品棚の一方側に投光器、対向する側に受光器を設置して使用する透過形のものであり、多くの部品棚に複数のセンサを1組づつ設置しなければならないという問題があった。そのため、多配線・高設置コストにより、経済力のある一部の大手企業や、限られた生産工程でしか採用することが難しい状況であった。
【特許文献1】特開昭62−261221号公報
【特許文献2】特開昭62−38614号公報
【特許文献3】特開昭59−158029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前述したように、従来の反射型センサは受光量の増加、または受光量の低下のどちらか一方をとらえて物体検知を行っていた。したがって、センサが検知できる被検知物体については、その表面状態によって制約を受けていた。また、被検知物体からの反射光量が背景からの反射光量と同じであれば、このときも物体が検知出来なかった。
したがって、センサがi)通過物体のカウント用途であればカウント値に誤差が生じたり、ii)自動化ラインの物体通過検知用途であれば、物体があるにも関わらず、物体有りの信号が発せられないため、自動化ラインに不具合が生じる可能性があった。また、iii)部品取り出しの作業指示センサ(通称ピッキングセンサ)であれば、作業者の手が検知出来なかったり、チャタリングによって部品の2度取りと判定されてしまう可能性があった。
【0024】
従って本発明は、上記課題を解決し、背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来ると共に、さらに従来よりも検知の精度を高めてより多くの用途に適用可能な反射形センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、本願発明者は、従来からの一般的な反射形センサが同じケース内に投光部と受光部が一対(1:1)で構成されているのに対し、新たに反射形センサを、i)投光部1:受光部複数の組合せとすると共に、ii)投光部を中心として、投光部からの距離が夫々異なる位置に受光部を配置する、つまり、1つの投光部に対し受光素子を複眼でかつ夫々に入射する入射光の角度を異なるように配列することにより、一つ一つの受光素子に入射する受光量のピーク点、ひいてはこれらそれぞれのもつ誤動作領域をずらし、最終的にこれら複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることで、上記誤動作領域をカバーし合う様にし、それによって従来よりも検知の精度を高めて上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
【0026】
上記課題を解決可能な本発明の反射形センサは、(1)反射形センサであって、1つの投光部に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置したものからなると共に、前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備え、さらに、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とするものである。
【0027】
また本発明の反射形センサは、(2)複数の投光部と複数の受光部を持つ反射形多光軸センサであって、前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えると共に、1つの投光部に対し相対する受光部以外に投光部からの直線的な距離が異なる複数の位置にある受光部を利用し、前記投光部がパルス動作で順次投光されて行くに際し、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とするものである。
【0028】
なお、本発明の説明にあたり、「受光部」とは、受光素子、その前面に備えられるレンズ、受光素子からの出力を受けて増幅等を行う受光回路、受光回路からの出力を受けて、必要に応じその出力をCPU側に送り出すマルチプレクサ、マルチプレクサからの出力をA/D変換するA/D変換部、及びCPU内にて上記A/D変換部からの出力を、同じくCPU内に予め格納された閾値と対比してON/OFFの判定を行うウインドコンパレータ部までを包括して指称するものとする。これら各構成要素の中には、他の受光部と共用されるものも存在する。しかしながら、最終的にウインドコンパレータ部から出力される各受光部の判定出力(ON/OFF)自体は、夫々の受光部に固有のものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1つの投光部に対し受光素子を複眼でかつ夫々に入射する入射光の角度を異なるように配列することにより、一つ一つの受光素子に入射する受光量のピーク点、ひいてはこれらそれぞれのもつ誤動作領域をずらし、最終的にこれら複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることで、上記誤動作領域をカバーし合う様になっている。
それゆえ、たとえ複数ある受光部の内の受光素子一つ一つ単独では、誤判定、誤動作が生じ得る様な状況下にあっても、別の受光素子からのフォローが得られるため、本発明に係る反射形センサでは、物体を検知できないいわゆる不感帯が解消される。
【0030】
また本発明によれば、背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来る反射形センサが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な一実施形態に付き説明する。図1は投光部に対する受光部の配置の仕方の一例を示す図であり、Aは投光部を中心として同心円上に配置した場合、Bは直線的に配置した場合を示す。図2は複数の受光素子における集光パターンの一例を示す図であり、図3は背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。図4は、ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの一構成例を示す図であり、Aはブロック図、Bはタイムチャートである。図5は、図3同様に背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いま投光部から40cmの距離に背景があるとし、背景からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。図6は、背景に対して50%の反射率を持った被検知物体が挿入された際における各受光素子の距離出力特性を示す図である。図7は背景にリフレクタを使用した場合の、光学系の配置関係及びリフレクタで反射された光の光密度の様子を示す図、図8は背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。図9は背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離にリフレクタを配置し、リフレクタからの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
なお、本明細書では、各図面間において同一構成要素には同一参照符号を用いるものとする。
【0032】
[第1実施形態:背景に白画紙を使用した場合]
まずはじめに、背景に白画紙を使用した場合の、本発明に係る反射形センサの構成及び諸特性につき説明する。
【0033】
図1に、投光部に対する受光部の配置の仕方の一例を示す。本発明では、1投光部に対して投光部からの距離が異なる複数の受光部を配置した。すなわち、本発明では、投光部を中心として、同心円上(図1A)又は直線的(図1B)に投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置した。これにより、受光領域(帯域)を拡散させ、従来より広い領域で受光量の変化を捉えるようにした。
以下では、分かりやすい様に多光軸センサの1光軸部分(1投光部)で説明する。また、複数の受光部として、以下では受光部を2つとする例につき説明する。多光軸センサ自体に関する全体構成については、後段の実施例にて説明する。
【0034】
なお、後段の変形例の説明に於ても詳述するが、通常は、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる2個の受光素子を受光部として配する組合せが好適であるが、設置環境その他の事情に応じて、よりセンサの正確性を高めるべく、図1に示す通り、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる3個以上の受光素子を受光部として配する組合せを採っても構わない。
【0035】
図2に、複数の受光素子における集光パターンの一例を示す。投光部P1の投光素子から出た光は、レンズLを通して背景へ照射される。背景から反射された光は、レンズLを通して受光部R1及び受光部R2各受光素子へ集光される。
なお、角度θ1、θ2は、受光部R1、R2の各受光素子の主光軸に対する、投光素子からの反射光の主成分がなす入射角である。この入射角θ1、θ2自体は、投光部に対して受光部が同心円上(図1A)に配置されていても、直線的(図1B)に配置されていても同様に変わらない。
【0036】
また図3に、背景として白画紙を用いた場合の受光部R1、R2の各受光素子の距離出力特性(距離に対する受光量)を示す。縦軸は各受光素子の受ける受光量(受光出力)を、また横軸は投光素子からの離間距離を示している。
受光部R1の特性を見ると、R2のものに比べて受光レベルが全体的に高くなっているほか、ピークの位置も投光素子からより近いところにある。一方、投光部P1から遠い受光部R2の特性を見ると、受光レベルがR1に比べて全体的に低いほか、ピークの位置も投光素子からより離れたものとなっている。受光部R1,R2何れの場合も、ピーク点を過ぎて離間距離が長くなると、受光量は距離の2乗に反比例した特性になる。
【0037】
このように、本実施形態では投光部からの距離が異なる位置に複数の受光部を配置し、1つの投光部に対して距離出力特性が異なる複数の受光部を備える様構成した。
【0038】
次に、従来の反射形センサは受光量の増加、または受光量の低下のどちらか一方をとらえて物体検知を行っていたが、本実施形態では受光部で受けた受光信号の処理に際してウインドコンパレータ機能を持たせた。これによって、受光部が、閾値に対する受光量の増加或いは低下のどちらの場合でも、センサ出力として被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発して動作するようにした。
このウインドコンパレータ機能を分かりやすくするために、同機能を持たせた1光軸のシステムに係るブロック図とタイムチャートを図4に示し、その動作を説明する。
【0039】
図4は、ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの一構成例を示す図であり、Aはブロック図、Bはタイムチャートである。なお図4では、ウインドコンパレータ機能の説明が分かりやすい様に、投受光素子=1:1のシステム構成を例に説明する。
【0040】
図4Aに例示する反射形センサ1’のケース内には、少なくとも投受光系10’、信号変換回路系20’、出力回路30及び感度調整スイッチSW1が納められている。投受光系10’の各投受光素子P11、R11の前面にはレンズLが備えられる。
投受光系10’は、投受光素子P11、R11及びそれら夫々の駆動或いは増幅回路P12、R12とからなっている。
信号変換回路系20’は、受光回路R12に接続されたA/D変換部22と、A/D変換部22及び投光用のLED駆動回路P12に接続されたCPU23とからなっている。
【0041】
この図4に示す例では、CPU23には少なくとも、A/D変換部22と接続されるほか、自身の判定出力をCPU23外部の出力回路30にセンサ出力として送出するウインドコンパレータ部231、並びにウインドコンパレータ部231及びCPU23外部の感度調整スイッチSW1と接続され、感度調整スイッチSW1を用いてCPU23に入力された受光部R1における閾値Vi、ウインド幅V0及びそれらの上下限値VHref、VLref等を格納する閾値格納部232が包含されている。
【0042】
CPU23にはまた、出力回路30及び感度調整スイッチSW1が接続されている。閾値の調整(感度調整)に関しては、この感度調整スイッチSW1を用いてセンサの設置の際その他適当なタイミングで行う。
【0043】
LED駆動回路P12はCPU23に接続され、CPUから送出される指令に基づいてLEDを駆動、発光させる。
受光回路R12の出力は、A/D変換部22及びCPU23を経て出力回路30に送出され、最終的には“ON”又は“OFF”のセンサ出力として出力される。図4に示す例では、ウインドコンパレータ機能はCPU23にて実現される様構成されている。
【0044】
図4Bは、図4Aに示した構成に係る、ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの動作を示すタイムチャートである。
図4B中、V0はウインド幅、R111及び受光レベルViは背景W−投受光系10’間に挿入物が何も差し込まれていないときにおける背景Wからの受光量を、R112及び受光レベルVHrefは鏡、SUS板その他の反射物が背景W−投受光系10’間に差し込まれた場合に受光素子R11が受ける受光量を、そしてR113は手、黒色物体その他の吸収物が背景W−投受光系10’間に差し込まれた場合に受光素子R11が受ける受光量を夫々示している。
【0045】
図4に示す例では、感度調整スイッチSW1の入力により、センサ1’−背景W間に被検知物体が何も挿入されていないときの背景Wからの受光量Viを基準に、上限側と下限側の閾値VHref、VLref(=ウインド幅V0となる)を決定する。
そして、受光量が上限側の閾値VHrefを超えると、(反射物に係る)被検知物体がセンサ1’と背景Wとの間に挿入されている状態にあると判定され、便宜上、“ON”のセンサ出力がなされる。同様に、受光量が下限側の閾値VLrefを下回ると、(吸収物に係る)被検知物体がセンサ1’と背景Wとの間に挿入されている状態にあると判定され、このときも“ON”のセンサ出力がなされる。
このように、図4に示す例では、ウインドコンパレータ機能を採ることで、閾値に対して受光量が増加しても低下してもセンサ出力がされる構成となっている。
【0046】
本実施形態においても、図4に示す例と同様に、複数の受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えることで、閾値に対して受光量が増加しても低下してもセンサ出力がされる構成とした。
さらに、本実施形態では複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成しているが、これについて次に説明する。
【0047】
図5は、図3同様に背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いま投光部から40cmの距離に背景があるとし、背景からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。V01、V02はウインド幅、Vi1,Vi2は「被検知物体が何も挿入されていない」状態である(便宜上、センサ出力が“OFF”状態にあると称する)との判定を行う為の基礎となる閾値である。ウインド幅V01、V02については、上限値VHref1、VHref2と、下限値VLref1、VLref2より定まる。
【0048】
図5に於いては、投光部から40cmの距離に背景があるとし、このとき、被検知物体(反射物、吸収物)が何も挿入されていない状態における各受光素子での受光量(図中に網掛けラインで示された受光レベルの中央値)を閾値(Vi1,Vi2)としている。なお、図中に網掛けラインで示された受光レベルはウインド幅V01、V02に相当するが、その実際の幅については、適宜選ばれる上限値VHref1、VHref2と、下限値VLref1、VLref2より定められる。
【0049】
本実施形態では、各受光素子における受光量が、上限値VHref1、VHref2を超えているとき、又は下限値VLref1、VLref2を下回っているとき、の何れかの場合に、「反射物又は吸収物の何れかに係る被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある(便宜上、センサ出力が“ON”状態にあると称する)」との判定を行っている。上限値を超えているときは反射物が、また下限値を下回っているときには吸収物が挿入されていることになる。
言い換えると、背景からの反射光が各受光素子に入光するだけの状況下で初めて、センサ出力が“OFF”状態になる様に、閾値の調整(感度調整ともいう)は行われている。この閾値の調整(感度調整)は、センサの設置の際その他適当なタイミングで、手動又は自動にて適宜行われる。
【0050】
各受光素子の距離出力特性曲線を見ると、受光部R1に関しては、投光部から40cmの距離のところ以外は、図中に網掛けラインで示された受光レベルになるところは無く、被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある(センサ出力が“ON”状態にある)にもかかわらず、「被検知物体が何も挿入されていない状態にある」と誤って判定する(センサ出力が“OFF”状態となる)ことは無い。
【0051】
しかしながら、受光部R2の受光素子に係る距離出力特性曲線を見ると、投光部から40cmの距離のところのほか、投光部から18cm付近のところでも、図中に網掛けラインで示された受光レベルになるところが存在する。この場合、受光量がウインド幅V02の範囲に入っていることから、例えば背景と同様の白画紙が投光部から18cm付近の所にあるにもかかわらず、受光部R2単独では“OFF”状態にあるとの判定がされてしまう。
このように、受光部R2単独のみの場合には、例えば白画紙又はこれと同様の性質及び距離出力特性を持った被検知物体がセンサと背景との間、投光部から18cm付近のところに挿入されている状態にあったとしても、本来ならばセンサ出力が“ON”状態にあるべきであるにもかかわらず、「被検知物体が何も挿入されていない状態にある」と誤って判定されてしまう(センサ出力が“OFF”状態となる)。すなわち、受光部R2単独では、物体を検知できないいわゆる不感帯が発生する可能性があった。
【0052】
ところが、本実施形態によれば、最終的に複数の受光部R1、R2における判定出力のorを取ることで、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様になっている。それゆえ、たとえ受光部R2単独では、誤判定、誤動作が生じ得る様な状況下にあっても、受光部R1からのフォローが得られるため、本実施形態に係る反射形センサでは、物体を検知できないいわゆる不感帯が解消されている。
【0053】
以上の通り、本実施形態では、予め定めた背景とセンサの離間距離40cmを中心として、背景がセンサ側に近づいても、センサから遠ざかっても、或いは種々の特性の被検知物体がセンサと背景との間に挿入されたとしても各受光部R1、R2の動作は“ON”状態となるようにした。
そして、センサ出力としては二つの受光部R1、R2のどちらかが“ON”状態を出力していたら最終のセンサ出力も“ON”状態を出力するように、複数の受光部1(R1)と受光部2(R2)における判定出力のorを取るようにした。
【0054】
図6は、「背景に対して50%の反射率を持った被検知物体が挿入された」際における受光部R1、R2の各受光素子の距離出力特性を示す図である。
反射率が50%であるから、図5の特性に対して距離全体に受光量が50%となった特性となる。
【0055】
すると、受光部R1は、例えば白画紙又はこれと同様の性質及び距離出力特性を持った被検知物体がセンサ1から距離28cm付近にあるときに、予めセンサと背景との間に挿入物が無いときに感度調整した際の閾値(或いはウインド幅)と同等レベルの受光量となり、被検知物体が挿入されているにもかかわらず「被検知物体が何も挿入されていない状態にある」と誤って判定(センサ出力が“OFF”状態となる)されてしまう、所謂不感帯が発生してしまう。
【0056】
一方、受光部R2の受光レベルは、全距離においてウインド幅V02より低いため、受光部R2の出力は全距離範囲において、被検知物体がセンサと背景との間に挿入されている状態にある」との判定(センサ出力が“ON”状態となる)を行っている。
【0057】
従来のように、一つの投光部に対して一つの受光部(受光部R1のみ)であれば、上記の通り背景に対して50%の反射率を持った被検知物体がセンサ1から距離28cm付近にあるときには、当該物体を検知出来ないこととなり、いわゆる不感帯が発生してしまう。
しかしながら、本実施形態においては、センサ出力は上記複数の受光部R1とR2における判定出力のorを取ったものであるから、先程の通りR1がOFF状態となる28cm付近では、R2の出力がカバーする。それゆえ、本実施形態の下では物体を検知できないいわゆる不感帯は発生しない。
【0058】
このように、本実施形態では、一つの投光部に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置し、距離出力特性が異なる複数の光学系からなるセンサとすることで、各々の不感帯が一致しない光学系となった。その為に、本実施形態の下では物体を検知できないいわゆる不感帯は発生しない。
【0059】
[第2実施形態:背景にリフレクタを使用した場合]
次に、背景にリフレクタを使用した場合の、本発明に係る反射形センサの構成及び諸特性につき説明する。
【0060】
図7は、背景にリフレクタを使用した場合の、光学系の配置関係及びリフレクタで反射された光の光密度の様子を示す図である。
第1実施形態として説明した通り、背景が白画紙の様な拡散反射物体であれば、反射光は平均化された拡散光となる。
一方、リフレクタは、光が照射された投光側へ光を強く返そうとする特性があり、図7に示す通り、リフレクタに入射して来た光は、もと来た光路に戻ろうとする。それゆえ、光密度についても、図7に示す通りあまり拡がりを持たない。そのため、同じ光学系でも投光部から離れた受光部R2の受光量は、受光部R1に比べて対数的に格段に少ない特性となる(次に説明する図8参照)。
【0061】
図8は、背景としてリフレクタを用いた場合の受光部R1、R2の各受光素子の距離出力特性を示す。
双方の特性を見ると、受光部R1とR2とでは投光部からの位置が異なるため、双方の受光量のピークの位置がずれている一方、受光量のピーク点より遠い距離では、双方とも、受光量は投光部から離れるに従って略一定割合で漸減する特性となっている。すなわち、背景としてのリフレクタがセンサから離れるにつれて、受光部での受光量が漸減する様な特性となっている。
【0062】
図9は、図8同様に背景としてリフレクタW’を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサ1から2mの距離にリフレクタW’を配置し、リフレクタW’からの反射ではセンサ1がOFF状態となるように、ウインド幅を持った閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。V01、V02はそれぞれのウインド幅である。ウインド幅V01、V02については、図5に示す例と同様、上限値VHref1、VHref2と、下限値VLref1、VLref2より定まる。
【0063】
Vi1、Vi2はリフレクタW’をセンサから2mの位置に置いたときの受光部R1、R2の受光レベルである。このVi1、Vi2が、「被検知物体が何も挿入されていない」状態である(センサ出力が“OFF”状態にあると称する)との判定を行う為の基礎となる閾値に相当する。
このように、センサ1から2mの位置にあるリフレクタW’からの反射受光量Vi1、Vi2を基準に、各受光部R1、R2の出力はOFF状態にあるものと調整される(閾値或いは感度調整)。
【0064】
ここで、白画紙がセンサ1とリフレクタW’の間に挿入されたとする。図9には、白画紙がセンサ1とリフレクタW’の間に挿入されたときの距離出力特性(R1,R2とも)も示されている。
従来の一つの投光部と一つの受光部で構成されたものであれば、受光部は例えばR1のみだから、図9のグラフ下方に示す通りセンサから13cm付近で、センサ1から2mの距離にリフレクタW’を配置したときのリフレクタW’からの反射光量Vi1と同じ受光量となり、この位置では不感帯となって白画紙が検知できない。
【0065】
一方、受光部が例えばR2のみである場合、図9に示すセンサ−背景間に白画紙が挿入されたときの受光部R2に係る距離出力特性を見ても明らかな通り、特に不感帯は生じない。
【0066】
本実施形態によれば、最終的に上記複数の受光部R1、R2における判定出力のorを取ることで、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様になっている。それゆえ、たとえ受光部R1、R2単独では誤判定、誤動作が生じ得る様な状況下にあっても、別の受光部からのフォローが得られるため、本実施形態に係る反射形センサでは、物体を検知できないいわゆる不感帯が解消されている。
【0067】
ここで、少なくとも複数の受光部の距離出力特性を相異なるものとしておくことが不感帯をなくし、誤検知、誤動作の解消を図る上では好ましいことを考慮すると、上記第1実施形態及び第2実施形態の例で言えば、i)背景との距離が約40cm以内であれば拡散反射形として使用し、さらにii)背景が約40cmから2m(或いはそれ以上)であればリフレクタを使用することによって、物体を確実に検知出来ることが理解される。
【0068】
以上の各説明からも理解される通り、本発明は、i)1投光部に対して複数の受光部を配置すると共に、ii)これら複数の受光部に関しては投光素子に対する相対的な離間距離を変え、それにより、各受光素子に現れる(投光素子からの)集光パターンに夫々変化を持たせ、互いに発生する不感帯を打ち消し合う様にしたことを特徴とするものである。
このとき、本発明では各受光素子からの出力を処理する際にウインドコンパレータを使った構成を採用すると共に、最終的にそれら複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることで、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様になっている。
【実施例】
【0069】
以下では、本発明の一実施例について説明する。図10に本実施例に係る反射形センサの外観、図11に回路ブロック図を示す。
図10に示される通り、本実施例では、本発明が実際に適用される対象として、従来例と同じ外観をもつ4光軸の反射形多光軸センサが選ばれている。
【0070】
これまでの説明では、1つの投光部に対して2つの受光部を配置する構成を採っていた。ところで、従来からの反射形多光軸センサは、既に複数個の投光部と受光部を備えているため、特別に受光部を追加しなくても上記本発明の機能を実現することが出来る。
このように、本発明は、従来の反射形多光軸センサに対してでも、その構造を変更すること無く、回路やCPUのプログラムを変更するだけで実現でき、費用対効果の観点からも極めて高効率なものである。
【0071】
図10及び図11に示す通り、本実施例に係る反射形センサ1のケース内には、投受光系10、信号変換回路系20、出力回路30、動作表示灯M、及び感度調整スイッチSW1が納められている。図10に示す通り、ケース外面には、4チャンネル(後述)の投受光系10及び動作表示灯Mが現れている。投受光系10の各投受光素子の前面にはレンズLが備えられている。図10の左下部分には感度調整スイッチ格納部分SW1’が表れていて、ここに感度調整スイッチが納められている。
図11に示される4チャンネルの投受光系10の各チャンネルは、投受光素子(P11〜P41、R11〜R41)及びそれら夫々の駆動或いは増幅回路(P12〜P42、R12〜R42)とからなっている。本実施例では、投光素子P11〜P41はLEDよりなる。
なお前記の通り、「受光部」とは、受光素子、その前面に備えられるレンズ、受光素子からの出力を受けて増幅等を行う受光回路、受光回路からの出力を受けて、必要に応じその出力をCPU側に送り出すマルチプレクサ、マルチプレクサからの出力をA/D変換するA/D変換部、及びCPU内にて上記A/D変換部からの出力を、同じくCPU内に予め格納された閾値と対比してON/OFFの判定を行うウインドコンパレータ部までを包括して指称するものとする。これら各構成要素の中には、他の受光部と共用されるものも存在する。しかしながら、最終的にウインドコンパレータ部から出力される各受光部の判定出力(ON/OFF)自体は、夫々の受光部に固有のものである。
同じく図11に示される信号変換回路系20は、各受光回路R12〜R42に接続されたマルチプレクサ21と、マルチプレクサ21に接続されたA/D変換部22と、A/D変換部22及び各投光回路P12〜P42に接続されたCPU23とからなっている。
本実施例では、CPU23には少なくとも、図11に示す通り、A/D変換部22と接続されるウインドコンパレータ部231、ウインドコンパレータ部231及びCPU23外部の感度調整スイッチSW1と接続され、感度調整スイッチSW1を用いてCPU23に入力された各受光部における閾値、ウインド幅及びそれらの上下限値等を格納する閾値格納部232、ウインドコンパレータ部231と接続され、そこからの判定出力を記憶する記憶部233、並びに記憶部233に格納された複数の受光部R1〜R4に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ってCPU23外部の出力回路30にセンサ出力として送出するor回路部234が包含されている。
また、CPU23には出力回路30、動作表示灯M及び感度調整スイッチSW1が接続されている。閾値の調整(感度調整)に関しては、この感度調整スイッチSW1を用いてセンサの設置の際その他適当なタイミングで行う。
【0072】
LED駆動回路P12〜P42は夫々CPU23に接続され、CPUから送出される指令に基づいて各チャンネルのLEDを駆動、発光させる。各受光回路R12〜R42は、信号変換回路系20のマルチプレクサ21に接続されている。
各受光回路R12〜R42の出力は、マルチプレクサ21、A/D変換部22及びCPU23を経て出力回路30に送出され、最終的には“ON”又は“OFF”のセンサ出力として出力される。
【0073】
以上の構成からなる本実施例に係る反射形センサ1の動作、諸特性及び作用効果に関しては基本的に、先の各実施形態で説明したのと同様である。
すなわち、本実施例に係る反射形センサ1は、複数の投光部P1〜P4と複数の受光部R1〜R4を持つ反射形多光軸センサであって、受光部R1〜R4の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えるものである。
それと共に、本実施例に係る反射形センサ1は、1つの投光部に対し相対する受光部(例えば、投光部P11に対応する受光部R11)以外に投光部からの直線的な距離が異なる複数の位置にある受光部を利用し、投光部P1〜P4がCPU23からの指令に基づきパルス動作で順次投光されて行くに際し、例えば次に示すような態様で複数の受光部R1〜R4に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって、夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う構成となっている。
【0074】
本実施例に係る反射形センサ1の詳細な動作の一例につき説明すると、投光部P1〜P4がCPU23からの指令に基づきパルス動作で順次投光されて行くところ、
i)先ず、投光素子P11を点灯させ、このとき相対する受光部R1の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際用いられる閾値は、拡散反射形の場合を例に挙げれば図5に示すVi1に相当する。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV01、VHref1、VLref1が夫々相当する。
ii)次に、同じ投光素子P11を点灯させ、今度はより離れた位置の受光部R2の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、先程と同様にCPU23にてON/OFFの判定を行う。その際用いられる閾値は、先程とは異なり図5に示すVi2に相当する(拡散反射形の場合)。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV02、VHref2、VLref2が夫々相当する。
iii)CPU23にて、このi)、ii)2つの判定出力のorをとって1つのチャンネル(投受光部P1、R1の組合せ;CH1)からの出力とする。
iv)同様に、多光軸であるから次のチャンネルに進んで投光素子P21を点灯させ、このとき相対する受光部R2の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、i)と同様である。
v)続いて、同じ投光素子P21を点灯させ、また離れた位置の受光部R1の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、ii)と同様である。
vi)今度もCPU23にて、このiv)、v)2つの判定出力のorをとって2つ目のチャンネル(投受光部P2、R2の組合せ;CH2)からの出力とする。
vii)上記の操作をチャンネル数分(本実施例では4チャンネル;CH1〜CH4)繰り返したのち、最終的には各チャンネルCH1〜CH4からの出力のorを取ったものが、センサ出力として出力回路30より出力される。
【0075】
CH3、CH4からの出力の取り出し方も、上に倣ったものとすることが出来る。例えば、以下の様な取り方も可能である。
i)’CH3(投受光部P3、R3の組合せ)に関しては先ず、投光素子P31を点灯させ、このとき相対する受光部R3の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかについては、i)と同様である。
ii)’次に、同じ投光素子P31を点灯させ、今度はより離れた位置の受光部R4の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、先程と同様にCPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、ii)と同様である。
iii)’CPU23にて、このi)’、ii)’2つの判定出力のorをとってCH3からの出力とする。
iv)’同様に、次のチャンネルCH4(投受光部P4、R4の組合せ)に進んで投光素子P41を点灯させ、このとき相対する受光部R4の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、i)と同様である。
v)’続いて、同じ投光素子P41を点灯させ、また離れた位置の受光部R3の出力をマルチプレクサ21で選択してCPU23に取り込み、CPU23にてON/OFFの判定を行う。その際の閾値ほかは、ii)と同様である。
vi)’今度もCPU23にて、このiv)’、v)’2つの判定出力のorをとってCH4からの出力とする。
【0076】
上記から分かるように、本実施例に係る反射形センサの動作要領では、各チャンネルにおける受光部の閾値は各2つ存在する。
一つは、各チャンネル毎に対応(相対)する投光素子が点灯するときで、拡散反射形の場合を例に挙げれば、受光部の受光特性(距離出力特性)は図5のR1の特性に相当し、その際用いられる閾値は図5に示すVi1に相当する。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV01、VHref1、VLref1が夫々相当する。
もう一つは、離れた所の投光素子が点灯するときで、受光部の受光特性は図5のR2の特性に相当し、その際用いられる閾値は図5に示すVi2に相当する。ウインド幅及びその上下限値も、対応するV02、VHref2、VLref2が夫々相当する。
リフレクタ形の場合であっても、考え方は同様である。
【0077】
投光部P1〜P4の位置は夫々異なっており、複数の投光部をこのようにして駆動して受光出力を取り出すことによって、センサの信頼性をより高めることができる。
【0078】
以上、本発明では、i)1つの投光部に対して投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置することにより、受光量のピーク点を含め距離出力特性が異なる複数個の受光部を利用して最終的なセンサ出力を取り出す様構成したから、いわゆる不感帯が無くなった。これによって、白画紙やリフレクタ及び鏡の様な反射率が高い物体から、反射率の低い黒色物体や手に至るまで、反射率に関係なく、種々の被検知物体を確実に検出することができた。
【0079】
また、ピッキング用途では、チャタリングや作業者の手を検出できないということが無くなったため、センサ側の部品取り出しエラーが無くなり、作業効率がアップした。同様に、部品のカウント用途で有れば、誤カウントが解消された。
さらに、反射形はセンサの設置が片方だけでよいので、従来の透過形ピッキングセンサに比べて配線工数の削減になる。もともとピッキングセンサは、多くの部品を組み立てるのに必要な工程で使われるところ、1組のみで使われることは無く、部品棚に応じて数個・数十個単位で使われる為、その配線の削減効果は非常に大きい。
そのほか、透過形のように部品棚の左右(又は上下)に設置する必要が無い為、省スペースにも貢献する。こうした省配線・省スペースによる設置コストの削減は、より多くの生産現場や業界において、ミス防止・作業効率の向上による品質安定の要求を満たしたものとなる。
【0080】
ii)ところで、従来の反射形多光軸センサは元々複数の投光部と受光部を備えている。そのため、本発明の機能は、従来の反射形多光軸センサの構造を改造することなく、回路やCPUのプログラムを変更するだけで実現できる。このとき、新たな構造の設計費用や設計時間は不要となり、本発明を採用することは、費用対効果の観点からも極めて高効率なものと言える。
勿論、本発明の構成は、既存の反射形多光軸センサだけでなく、単光軸の反射形センサにも応用できる。
【0081】
iii)また従来は、検出距離が短くて済む場合は、検知物体からの反射光を直接検出する拡散反射形を採用し、長い検出距離が必要な場合は、リフレクタ形センサを使用するなどして、センサを用途によって選択していた。
ところが、本発明の場合、センサ系を構成するに際しては、検出距離に関係なく背景として反射する物があれば、それが壁やリフレクタであっても何でも良い。それゆえ、本発明構成を採ることにより、検出距離に関係なく一台のセンサで種々のニーズに対応することが可能となった。
このように、本発明の構成は、一台のセンサで拡散反射とミラー(リフレクタ)反射の両方に使用出来、適用範囲が広いものである。
【0082】
iv)リフレクタを使用した用途の場合、従来はリフレクタ形センサでは、リフレクタからの反射光を遮ることで物体検知を行っていたため、例えば鏡やSUS板等、被検知物体が同じような反射物である場合は検知出来なかった。しかしながら、本発明によれば、例えばリフレクタテープを縫いつけた作業服を着た作業者や、ヘルメットにリフレクタを貼り付けた作業者でも確実に検知出来るようになった。同様に本発明は、リフレクタを使用した安全用多光軸センサ(プレス作業等の危険を伴う作業用途に使用されるセンサ)にも応用できる。
【0083】
v)さらに、本発明によれば、偏光フィルターを使用しなくても、十分に誤検知の確率が低く、正確性の高いセンサを実現できる。それゆえ、本発明によれば、光が偏光フィルターを透過する際に生じる(フィルターによる)光量の減衰に係る問題に悩まされることが無く、従来の偏光リフレクタ形センサより検出距離を長くすることも可能となる。
その他、反射形センサを、例えば上記した様な偏光フィルター及びリフレクタ(偏光タイプのもの)を用いた偏光リフレクタ形として構成した場合、ステンレス板のような光沢のある表面反射物体からの反射光は上記の通り偏光フィルターで遮断される関係上、この構成の反射形センサをリフレクタ形としてだけで無く拡散反射形としても使用することは原理的に不可能であると言った問題が生じる。このように、偏光フィルターを使用した場合には、減衰の問題だけではなく、反射形センサを(偏光)リフレクタ形、及び拡散反射形として共用することができないと言う問題もあった。
ところが、偏光フィルターを使用せずに済む本発明構成を採ることにより、反射形センサを、リフレクタ形、或いは拡散反射形の何れの形式としても使用できる。
【0084】
vi)このように優れた特性を持つ本発明に係る反射形センサは、自動車、電機、工作機械等の各製造業における市場にて、ピッキングセンサとして従来の透過形センサからの切り替えや、ローコストによる新規設置が見込まれるほかにも、新たな市場での適用が見込まれる。
すなわち、物流、搬送、倉庫業界等では、通販やコンビニエンスストアの配送センターや、倉庫などにおける仕分け作業場への設置が見込まれる。
また、駐車場管理システム業界では、各駐車スペースにおける車両の有無検知センサとしての応用が見込まれる。
このように、本発明に係る反射形センサは、FA業界に止まらず、様々な民生業界への適用が可能なものである。
【0085】
[変形例]
以上、本発明に付き、一実施形態等を通じて詳細に説明したが、本発明は上記構成に限られず、種々の変形が可能なものである。
【0086】
[背景に鏡を使用した変形例の説明]
図12及び図13は、背景に鏡を使用した場合の、光学系の配置関係及び鏡で反射された光の光密度の様子を示す図である。
鏡に入射した光は、入射角に対して対称な反射角をもって出射しようとする特性があり、図12及び図13に示す通り、光密度は図7に示すリフレクタのものと比べて一定領域では均一的なものとなっている。
ここで、受光部がR1とR2の2素子構成では、両者の距離出力特性に有意差が期待できないと判断した場合には、図13に示す通り、受光部をR1〜R3の3素子構成としても良い。これら3つの受光部における判定出力のorを取ることによって、センサの信頼性をより一層向上させることが可能となる。
【0087】
図14は、背景として鏡を用いた場合における、図13の光学系に係る各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離に鏡を配置し、鏡からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
V01、V02、V03はそれぞれのウインド幅である。Vi1、Vi2、Vi3は鏡W’’をセンサから2mの位置に置いたときの受光部R1、R2、R3の受光レベルである。このVi1、Vi2、Vi3が、「被検知物体が何も挿入されていない」状態である(センサ出力が“OFF”状態にある)との判定を行う為の基礎となる閾値に相当する。
【0088】
3者の特性を見ると、まず、受光部R1〜R3とは投光部からの位置が夫々異なるため、当然、受光量のピークの位置がずれている。また、R1−R2間とR2−R3間とでは、図13からも明らかな通り光密度の差の開き方が異なっており、図14に示す受光出力の差の開き方にもそれが顕著に現れている。なお、受光量のピーク点より遠い距離では、3者とも、受光量は投光部から離れるに従って略一定割合で漸減する特性となっている。
【0089】
[その他の変形例の説明]
例えば、図1に係る説明でも述べたが、通常は、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる2個の受光素子を受光部として配する組合せが好適であるが、設置環境その他の事情に応じて、よりセンサの正確性を高めるべく、図1に示す通り、投光部1素子に対し夫々離間距離の異なる3個以上の受光素子を受光部として配する組合せを採っても構わない。3つ以上の複数個の受光部を配置することで、さらに誤検知の確率が低くなる。
【0090】
閾値の調整(感度調整)も、図11に示すような感度調整スイッチSW1を用いてセンサの設置の際その他適当なタイミングで実行しても良いほか、その様なスイッチは省略して、センサに電源供給した際に自動調整を実行する様な制御系を採用して構わない。いずれにしても、閾値の調整は手動又は自動にて適宜行われる。
また、感度調整に関しては、スイッチSW1によるだけではなく、適宜ケーブルを介して外部から入力することも可能である。
さらに、図10及び図11に示す動作表示灯Mに関しても省略して構わない。図11に示す投受光系の夫々に備えられるレンズLについても、省略して構わない。
その他、実施例で説明した投光部P1〜P4の駆動は、順次でもランダムでも構わない。
センサ出力の“ON”又は“OFF”の状態も、本明細書作成の便宜上定めたものであり、逆であっても構わない。
【0091】
実施例に示した4チャンネルの受光部の駆動の仕方についても、上記実施例に開示した方法のほか、投光部P1〜P4がCPU23からの指令に基づきパルス動作で順次投光されて行く際に、i)投光部P1が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、ii)投光部P2が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、iii)投光部P3が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、iv)投光部P4が駆動される際の受光部R1〜R4における判定出力のor、を順次取る様な構成としても構わない。
【0092】
以上に説明した通り、本願発明は、背景と同じ反射光をもった被検知物体でも、また(閾値となる)背景からの反射光量に対して、被検知物体からの反射光量が増加及び低下の両方の場合でも確実に検知出来ると共に、さらに従来よりも検知の精度を高めてより多くの用途に適用可能な反射形センサを提供する、新規かつ有用なものであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】投光部に対する受光部の配置の仕方の一例を示す図である。
【図2】複数の受光素子における集光パターンの一例を示す図である。
【図3】背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。
【図4】ウインドコンパレータ機能を備えた反射形センサの一構成例を示す図である。
【図5】背景として白画紙を用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いま投光部から40cmの距離に背景があるとし、背景からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
【図6】背景に対して50%の反射率を持った被検知物体が挿入された際における各受光素子の距離出力特性を示す図である。
【図7】背景にリフレクタを使用した場合の、光学系の配置関係及びリフレクタで反射された光の光密度の様子を示す図である。
【図8】背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図である。
【図9】背景としてリフレクタを用いた場合における各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離にリフレクタを配置し、リフレクタからの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
【図10】本実施例に係る反射形センサの外観を示す図である。
【図11】本実施例に係る反射形センサの回路ブロック図である。
【図12】背景に鏡を使用した場合の、光学系の配置関係及び鏡で反射された光の光密度の様子を示す図である。
【図13】背景に鏡を使用した場合の、光学系の配置関係及び鏡で反射された光の光密度の様子を示す図である。
【図14】背景として鏡を用いた場合における、図13の光学系に係る各受光素子の距離出力特性を示す図であって、いまセンサから2mの距離に鏡を配置し、鏡からの反射ではセンサがOFF状態となるように閾値を調整したときの様子の一例を示す図である。
【図15】従来例に係る反射形センサの回路ブロック図である。
【図16】従来例に係る反射形センサの受光部における距離出力特性を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
L レンズ
M 動作表示灯
P1〜P4 投光部
P11、P21,P31,P41 投光素子
P12、P22、P32、P42 LED駆動回路
R、R1〜R4 受光部
R11、R21,R31,R41 受光素子
R12、R22、R32、R42 受光回路
R13、R23、R33、R43 コンパレータ
SW1 感度調整スイッチ
SW1’ 感度調整スイッチ格納部分
W、W’ 背景
1、100 センサ
10、10’、10’’ 投受光系
20、20’、20’’ 信号変換回路系
21 マルチプレクサ
22 A/D変換部
23 CPU
24、241、242、243、244 and回路部
25 or回路部
26 カウンタ
27 スキャニング回路
30 出力回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射形センサであって、
1つの投光部に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置したものからなると共に、
前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備え、
さらに、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とする反射形センサ。
【請求項2】
複数の投光部と複数の受光部を持つ反射形多光軸センサであって、
前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えると共に、
1つの投光部に対し相対する受光部以外に投光部からの直線的な距離が異なる複数の位置にある受光部を利用し、
前記投光部がパルス動作で順次投光されて行くに際し、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とする反射形多光軸センサ。
【請求項1】
反射形センサであって、
1つの投光部に対して、投光部からの距離が異なる複数の位置に受光部を配置したものからなると共に、
前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備え、
さらに、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とする反射形センサ。
【請求項2】
複数の投光部と複数の受光部を持つ反射形多光軸センサであって、
前記受光部の夫々に、閾値に対する受光光量の増加または低下によって、出力に被検知物体の有無に係るONまたはOFF信号を発するウインドコンパレータ機能を備えると共に、
1つの投光部に対し相対する受光部以外に投光部からの直線的な距離が異なる複数の位置にある受光部を利用し、
前記投光部がパルス動作で順次投光されて行くに際し、前記複数の受光部に係る少なくとも2つの判定出力のorを取ることによって夫々に存在し得る誤動作領域をカバーし合う様構成したことを特徴とする反射形多光軸センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−103969(P2008−103969A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284505(P2006−284505)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000210425)竹中電子工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000210425)竹中電子工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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