説明

反射部材

【課題】光源装置等の内部の壁面に容易かつ確実に装着することができるようにする。
【解決手段】反射部材10に折り曲げ線20〜24、孔部30、係合片40、延出部15,16及び切欠き部17,18を形成した。側面11、12、底面13,14、延出部15,16を折り曲げ線20〜24で裏面側に向けて折り曲げる。底面13の端面と底面14の端面とを近接させていき、側面11,12及び底面13,14の内側で、延出部15の表面と延出部16の表面とを当接させる。合片40を孔部30内に反射部材10の底面側から内部に挿入すると、係合片40が孔部30に係合し、反射部材10は、一様な三角形断面形状を自己保持する。壁面204が間隙51を貫通させて、反射部材10を壁面204に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源装置等の内部で端面を外側に向けて露出させた壁面に装着される反射部材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置される表示パネルとして、透光性パネルの背面に光源装置を備えたものがある。このような光源装置では、表示パネルのサイズの変化に対応して照明面積も変更する必要がある。
【0003】
そこで、従来の光源装置では、照明面積の変更に対応すべく、それぞれが独立して光源を備えた光源モジュールを複数組み合わせて表示パネルのサイズに応じた照明面積の光源装置を構成するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような光源装置では、隣り合う光源モジュールの壁面が互いに接合された状態で内部に存在する。
【特許文献1】特開平6−301347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の光源モジュールを組み合わせて構成された光源装置では、照明面において壁面が対向する部分に光源が存在しないため、壁面のイメージが照明面に暗部として現れ、表示パネルの全面について均一な明度を与えることができない問題がある。
【0006】
光源装置内部に存在する壁面のイメージが照明面に現れないようにするため、壁面に反射部材を装着し、各光源モジュールが備える光源から壁面に向かう光を照明面に向けて反射させることが考えられる。
【0007】
このような反射部材は、複数の光源モジュールを組み合わせて構成される光源装置だけでなく、内部に端面を外側に向けて露出させた壁面が存在する他の装置においても、美観の向上を目的として用いられる可能性がある。
【0008】
この発明の目的は、光源装置等の内部の壁面に容易かつ確実に装着することができる反射部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の反射部材は、樹脂平板を折り曲げで形成され、端面が外側に向けて露出した壁面に装着され、第1及び第2の側面、第1及び第2の底面、少なくとも1つの係合対を備えている。第1及び第2の側面は、先端部から基部までの間の少なくとも一部に先端部側から基部側に向かって互いの間隔が徐々に拡大する範囲を含む。第1及び第2の底面は、第1及び第2の側面のそれぞれの基部から第1及び第2の折り曲げ線を挟んで第2及び第1の側面に向かって延出する。係合対は、第1及び第2の底面のそれぞれに形成され、第1の側面と第2の側面とが近接する方向、及び第1及び第2の折り曲げ線に沿う方向に互いに係合する。係合対を係合させた状態で第1の底面と第2の底面との間に壁面が貫通する間隙が形成される。
【0010】
この構成では、第1及び第2の底面は、第1及び第2の折り曲げ線で第1及び第2の側面のそれぞれの内側に向けて折り曲げて係合対を係合させると、互いに第1の側面と第2の側面とが近接する方向、及び第1及び第2の折り曲げ線に沿う方向への移動を規制される。第1及び第2の側面及び第1及び第2の底面は、閉空間を形成する状態に維持される。
【0011】
この構成において、係合対は、第1及び第2の延出部、第1の孔部、第2の孔部、係合片を含むものとすることが好ましい。第1及び第2の延出部は、第1及び第2の底面における第1及び第2の折り曲げ線と反対側の端部から第3及び第4の折り曲げ線を挟んで延出する。第1の孔部は、第1の底面に第3の折り曲げ線から所定距離離れて形成されている。第2の孔部は、第3の折り曲げ線に沿う方向の幅が第1の孔部より狭く、第1の孔部から第1の延出部に連続して形成されている。係合片は、第2の延出部内に形成され第4の折り曲げ線側を挟んで第2の底部から延出し、第1及び第2の孔部に第1の底面の外側から内側に向かって貫通する。
【0012】
第1の延出部と第2の延出部とを互いに接合させ、係合片を第1及び第2の孔部に第1の底面の外側から内側に向かって貫通させると、第1の孔部における第3の折り曲げ線に平行な側面が係合片と第3の折り曲げ線に直交する方向に当接する。また、第1の延出部に形成された第2の孔部における第3の折り曲げ線に直交する側面が係合片と第3の折り曲げ線に平行な方向に当接する。さらに、第1の延出部に形成された第2の孔部における第3の折り曲げ線に平行な側面が係合片と第1の延出部の面方向に当接する。
【0013】
したがって、第3の折り曲げ線に直交する方向、第3の折り曲げ線に平行な方向、第1の延出部の面方向について、第1の底面及び第2の底面の互いに離間する方向への移動が規制され、樹脂平板は第1〜第4の折り曲げ線で折り曲げた状態の形状に確実に維持される。
【0014】
また、第1及び第2の側面は、先端部から基部までの長さが等しい平面で構成することが好ましい。第1〜第4の折り曲げ線で折り曲げた樹脂平板が三角形の均一な断面形状に維持される。
【0015】
さらに、第1及び第2の底面は、第1及び第2の折り曲げ線と平行な第5及び第6の折り曲げ線であって第1及び第2の折り曲げ線と逆方向に折り曲げられる第5及び第6の折り曲げ線を備えることが好ましい。反射部材を装着すべき壁面が基端側に傾斜面を有する場合に、第1及び第2の底面を壁面の傾斜面に密着させて反射部材を確実に装着することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、樹脂平板を所定形状に折り曲げた形状を確実に維持することができ、光源装置等の内部の壁面に容易かつ確実に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、この発明の実施形態に係る反射部材が用いられる光源装置を備えた表示パネル装置の斜視図である。図2は、同表示パネル装置の断面図である。
【0018】
表示パネル装置100は、表示パネル101と光源装置200とからなる。表示パネル101は、樹脂等の透光性平板からなり、表面に任意の文字、図形、写真等が表記されている。光源装置200は、内部に例陰極管等の光源202を収納し、前面が開放した薄型筐体である。光源装置200の前面の面積は表示パネル101と等しくされており、光源装置200の前面を被覆するように表示パネル101が取り付けられる。
【0019】
光源装置200は、一例として2つの光源モジュール201を横方向に連結して構成されている。光源モジュール201は、横方向及び縦方向に連結自在に構成されている。表示パネル101の面積に応じて光源モジュール201の個数及び連結方向を変更することで、表示パネル101の面積の変化に対応できる。
【0020】
光源モジュール201は、金属平板を素材としてプレス加工等によって前面が開放した薄型筐体に成形されている。光源モジュール201の内部には、光源202が略全幅にわたって配置されている。光源202の両端は、光源モジュール201の内側の角部に配置されたカバー203で被覆されている。
【0021】
光源モジュール201の一方の壁面203は他の壁面よりも低くされている。2つの光源ユニット201は、互いの壁面203を接合させて連結される。
【0022】
図3は、同表示パネル装置の要部の拡大断面図である。図3(A)に示すように、連結された2つの光源モジュール201のそれぞれで、互いに接合された壁面204の近傍には光源202が存在しない。このため、表示パネル101における壁面204に対向する部分には、照明光のイメージとして影部102が形成され、表示パネル101に表記された文字等の美観が損なわれる。
【0023】
そこで、図3(B)に示すように、カバー203の上面に載置される反射部材10を壁面204の端部から装着する。光源202の光を反射部材10の側面に反射させ、表示パネル101における壁面204に対向する部分に配光する。反射部材10は、図3(B)の紙面に直交する方向の全長にわたって壁面204に装着される。表示パネル101に影部102が形成されることがなく、表示パネル101に表記された文字等の美観を損なうことがない。
【0024】
反射部材10は、一例として表面に光沢のある白色の樹脂平板の所定の位置にプレス加工等によって形成した折り曲げ線で折り曲げて所定の形状にしたものである。図3(B)に示す例では、反射部材10は、先端部から基端部までが平面状の2側面を有する三角形の断面形状を呈しているが、2側面が内側に凸となる形状に湾曲又は屈曲していてもよい。
【0025】
図4(A)〜(C)は、この発明の実施形態に係る反射部材の組立工程を示す図である。反射部材10は、一例として表面に光沢のある白色の樹脂平板を、プレス加工によって長尺状に打ち抜いて形成される。このとき、反射部材10には、図4(A)に示すように、長手方向(矢印Y方向)に平行な主折り曲げ線20、第1〜第4の折り曲げ線21〜24、孔部30、係合片40、延出部15,16及び切欠き部17,18が同時に形成される。
【0026】
折り曲げ線20〜24は、反射部材10の表面側から裏面側に達しない切り込みによって形成する。孔部30は、矢印Y方向の幅が異なる第1孔部31と第2孔部32とで構成され、反射部材10の表面側から裏面側に達する打ち抜きによって形成する。係合片40は、矢印Y方向の幅が異なる第1係合部31と第2係合32とで構成され、反射部材10の表面側から裏面側に達する切り込みによって形成する。係合片30及び孔部40がこの発明の係合対を構成する。
【0027】
延出部15,16は、反射部材10のY方向に平行な両側面の互いに対向する位置に、矢印Y方向に沿って所定の間隔で形成する。孔部30及び係合片40は、延出部15,16内に形成する。切欠き17,18は、一例として反射部材10が装着される壁面204(図3参照。)に取り付けられた固定ネジとの干渉を避けるべく設けられている。壁面204に反射部材10を装着する際に反射部材10に干渉する部材が壁面204に無い場合には、切欠き17,18は省略できる。
【0028】
図4(B)に示すように、反射部材10は、折り曲げ線20〜24で裏面側に向けて折り曲げる。折り曲げ線24は、係合片40内には形成されていない。このため、延出部16を折り曲げ線24で底面14から裏面側に折り曲げた際にも、係合片40は底面14と面一の状態を保つ。
【0029】
さらに、底面13の端面と底面14の端面とを近接させていき、図4(C)に示すように、側面11,12及び底面13,14の内側で、延出部15の表面と延出部16の表面とを当接させる。底面13と底面14との間には、延出部15,16及び切欠き17,18の形成位置を除く範囲に、間隙51が形成される。この間隙51の矢印Y方向の幅は、壁面204の幅に略等しくされている。また、切欠き17,18は、底面13と底面14との間に空間52を形成する。
【0030】
係合片40を孔部30内に反射部材10の底面側から内部に挿入すると、係合片40が孔部30に係合し、反射部材10は、一様な三角形断面形状を維持する。
【0031】
図5は、反射部材に形成された凹部及び係合片の底面側から見た斜視図である。係合片40は、底面14に対して延出部16を裏面側に折り曲げることで延出部16と分離し、矢印Y方向について幅L1の第1係合部41と幅L2の第2係合部42とで構成されている。矢印Y方向に直交する矢印X方向について、第1係合部41は長さL3にされており、第2係合部42は長さL4にされている。第1係合部41の開放端側は、傾斜面411が形成されている。
【0032】
孔部30は、底面13と延出部15とに連続して形成されており、矢印Y方向について幅L6の第1孔部31と幅L7の第2孔部32とで構成されている。矢印X方向について、第1孔部31は長さL8にされており、第2孔部32は長さL9にされている。第2孔部32の第1孔部31側の側面には、傾斜面311が形成されている。
【0033】
矢印X方向及び矢印Y方向に直交する矢印Z方向について、係合片40は反射部材10の全体と同様に厚さL5にされており、第2孔部32は深さL10にされている。
【0034】
上記の各部の寸法は、少なくともL1≦L6、L2≦L7、L5≦L8、L5≦L10、L9≦L4の関係にされている。
【0035】
図6は、組立後の反射部材の断面図である。反射部材10における凹部30及び係合片40の各部の寸法が図5に示す関係にされているため、係合片40を反射部材10の底面側から孔部30を経由して反射部材10の内部に挿入すると、第1係合部の先端が底面13の裏面(内側面)に当接する。また、第2係合部42は、第2凹部32内に位置する。さらに、第1延出部41の底面14側の側面が、延出部15の裏面に当接する。
【0036】
これらにより、延出部15の表面と延出部16の表面との当接状態が維持され、図5に示した矢印X,Y,Zの3方向について、底面13及び底面14が互いに離間する方向へ移動することを規制できる。このため、反射部材10は断面形状を自己保持し、作業者は、反射部材10の形状を維持することなく、図4(C)に示した間隙51に壁面204を貫通かせることで、反射部材10を壁面204に容易に装着することができる。なお、反射部材10は、底面13,14をカバー203に接着剤や両面テープを介して接着され、壁面204に対する装着状態が維持される。
【0037】
第2孔部32には傾斜面311が形成されており、第1係合部41には傾斜面411が形成されているため、係合片40を孔部30に容易に貫通させることができる。反射部材10の素材や寸法形状によって係合片40を孔部30に容易に貫通させることができることを条件に、傾斜面311及び411を省略できる。また、傾斜面311及び411に代えて円弧形状とすることもできる。
【0038】
図7は、この発明の別の実施形態に係る反射部材の断面図である。反射部材110は、側面11,12のそれぞれと底面13,14のそれぞれとの間に、斜面131,141を形成したものである。底面13,14には、延出部15,16とともに孔部30及び係合片40が形成されている。斜面131,141は、壁面204に設けられたカバー203の斜面に当接する。
【0039】
反射部材110は、斜面131,141を備えることでカバー203との接合面積が拡大するとともに、弾性力によって斜面131,141をカバー203に圧接させることができ、壁面204に対する装着状態をより確実に維持できる。
【0040】
なお、反射部材110には、底面13,14と斜面131,141との間に、裏面側から折り曲げ線111,112を形成する。
【0041】
また、上述の反射部材10及び110は、表示ユニット100の光源装置200だけでなく、内部に端面を露出して位置する壁面を備えた装置に同様に適用することができる。
【0042】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施形態に係る反射部材が用いられる光源装置を備えた表示パネル装置の斜視図である。
【図2】同表示パネル装置の断面図である。
【図3】同表示パネル装置の要部の拡大断面図である。
【図4】この発明の実施形態に係る反射部材の組立工程を示す図である。
【図5】反射部材に形成された凹部及び係合片の底面側から見た斜視図である。
【図6】同反射部材の組立後の断面図である。
【図7】この発明の別の実施形態に係る反射部材の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10−反射部材
11,12−側面
13,14−底面
15,16−延出部
20〜24−折り曲げ線
30−孔部
40−係合片
100−表示パネル装置
200−光源装置
201−光源モジュール
203−カバー
204−壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂平板を折り曲げで形成され、端面が外側に向けて露出した壁面に装着される反射部材であって、
先端部から基部までの間の少なくとも一部に前記先端部側から前記基部側に向かって互いの間隔が徐々に拡大する範囲を含む第1及び第2の側面と、
前記第1及び第2の側面のそれぞれの基部から第1及び第2の折り曲げ線を挟んで前記第2及び第1の側面に向かって延出した第1及び第2の底面と、
前記第1及び第2の底面のそれぞれに形成され、前記第1の側面と第2の側面とが近接する方向、及び前記第1及び第2の折り曲げ線に沿う方向に互いに係合する係合対と、
を備え、前記係合対を係合させた状態で前記第1の底面と前記第2の底面との間に前記壁面が貫通する間隙が形成される反射部材。
【請求項2】
前記係合対は、前記第1及び第2の底面における前記第1及び第2の折り曲げ線と反対側の端部から第3及び第4の折り曲げ線を挟んで延出した第1及び第2の延出部と、前記第1の底面に前記第3の折り曲げ線から所定距離離れて形成された第1の孔部と、前記第3の折り曲げ線に沿う方向の幅が前記第1の孔部より狭い第2の孔部であって前記第1の孔部から前記第1の延出部に連続する第2の孔部と、前記第2の延出部内に形成され前記第4の折り曲げ線側を挟んで前記第2の底部から延出する係合片であって前記第1及び第2の孔部に前記第1の底面の外側から内側に向かって貫通する係合片と、を含む請求項1に記載の反射部材。
【請求項3】
前記第1及び第2の側面は、前記先端部から前記基部までの長さが等しい平面で構成されたる請求項1又は2に記載の反射部材。
【請求項4】
前記第1及び第2の底面は、前記第1及び第2の折り曲げ線と平行な第5及び第6の折り曲げ線であって前記第1及び第2の折り曲げ線と逆方向に折り曲げられる第5及び第6の折り曲げ線を備えた請求項1乃至3の何れかに記載の反射部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−96975(P2010−96975A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267435(P2008−267435)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】