説明

収穫装置

【課題】安全でかつ軽量で、収穫物の根切りを容易に作業することができ、根切り位置を容易に一定にすることができる根切り機を提供することである。
【解決手段】2つの車輪23を有するフレーム20に保持部10が固設され、フレーム20の側面部に根切り刃30が設けられる。根切り刃30は、刃先31が水平面においてフレーム20の側面部からフレーム20の進行方向と垂直な方向に延在するととともに、鉛直面においてフレーム20の進行方向に対して下方向に湾曲したR形状を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉物野菜、大和マナまたは軟弱野菜等の収穫作業時に使用する根切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、田畑の葉物野菜、大和マナ(アブラナ科植物)または軟弱野菜等の収穫時には、作業者が収穫すべき野菜を傷付けないように一方の手で押さえた上で、他方の手に持った鎌等により根切りを行っていた(図13(a)参照)。
【0003】
しかしながら、このような手作業による収穫作業は、中腰の姿勢で行われることから腰痛の原因となり易いという問題があり、種々の開発が行われている。
【0004】
特許文献1には、ホウレンソウなどの葉物野菜の刈取り作業を軽減することのできる葉物野菜刈取機について開示されている。
【0005】
特許文献1記載の葉物野菜刈取機においては、台車と、台車から側方に延出する切断刃部材とを有し、切断刃部材は、高さ調整機構によって台車との相対高さを調整することができるものである。また、切断刃部材は、突出量調整機構によって、台車から側方への突出量を調整することができる。刈取機を畝に沿って押し進めると、畝に植えた一連のホウレンソウの根の上端が切断刃部材の切り刃によって次々に切断される。
【0006】
特許文献2には、ホウレンソウ等の軟弱野菜を収穫するにあたり、露地圃場や施設内での操作が容易で、根切り作業を立位姿勢で行うことができ、野菜の根部を高能率に切断することができる小型かつ軽量な野菜根切り収穫機について開示されている。
【0007】
特許文献2記載の野菜根切り収穫機においては、フレームが、車輪の両端において車輪の中心軸に固定されている。動力原付き駆動軸にはスプロケットが固定され、スプロケットはチェーンによりスプロケットと連結している。スプロケットは軸を介して軸変スプロケットと連結しており、軸変スプロケットは、中心から約2cm離れた位置にある連結軸によって金属棒と連結している。金属棒は軸変スプロケットと反対側にある軸を介して、フレームにベアリングで固定されている切断刃の柄の先端と連結している。傾斜板が、フレームの先端に地面との高さ調節が可能なように取り付けられている。
【特許文献1】特願平11-225541号公報
【特許文献1】特開2005-304446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2のいずれにおいても、使用場所が田畑であるため、地面においては凸凹面がかならずあり、この凸凹面を吸収しつつ、収穫物の根切り位置を一定にすることは困難である。すなわち、収穫物の均一化が求められる中、凸凹面による影響で、刃物が上下にばらつくので、収穫物の根切り位置がばらつく結果となる。さらに直線状に延在する刃物により収穫作業を行うため、当該刃物が土中深く突き刺さることにより抵抗が大きくなり、作業者の負担が増大する問題がある。
【0009】
また、近年のビニールハウス等においては、敷地面積を有効利用するため、畝をほとんど設けず、最小限スペースの移動部分しか設けられていない。したがって、特許文献1記載の葉物野菜刈取機では、4輪からなる台車の幅があるため、葉物野菜刈取機の走行領域を確保することが困難である。
【0010】
さらに、特許文献2記載の野菜根切り収穫機においては、動力原付きであるため、装置重量が重くなり、高齢者の作業者には操作が困難である。さらに、ビニールハウスなどの密閉された空間では、長時間の使用による悪臭や酸欠症状等も考えられ、使用に十分な注意力が必要となる。
【0011】
本発明の目的は、安全でかつ軽量で、収穫物の根切りを容易に作業することができ、根切り位置を容易に一定にすることができる根切り機を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、安全でかつ軽量で、収穫物の根切りを安定して作業することができる根切り機を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
(1)
本発明に係る収穫装置は、軟弱野菜の収穫物の根切りを行う収穫装置であって、一輪車を含むフレームと、フレームに固設された棒状部および把持部を有する保持部と、フレームの側面部に設けられた根切り刃とを含み、根切り刃は、刃先が水平面においてフレームの側面部からフレームの進行方向と垂直な方向に延在するととともに、鉛直面において鉛直下方向に湾曲したR形状を有するものである。
【0014】
本発明に係る収穫装置においては、一輪車を有するフレームに保持部が固設され、フレームの側面部に根切り刃が設けられる。根切り刃は、刃先が水平面においてフレームの側面部からフレームの進行方向と垂直な方向に延在するととともに、鉛直面において車輪の回転によるフレームの進行方向に対して鉛直下方向に湾曲したR形状を有するものである。なお、根切り刃は、フレームの進行方向と垂直な方向に延在する場合のみならず、フレームに固定された根切り刃の一端が進行方向に位置させ、根切り刃の他端が一端よりも後退方向に位置させてもよい。すなわち、収穫物に対して傾斜角をもって根切り刃を当てるようにしてもよい。
【0015】
この場合、収穫装置は一輪車からなるので、自由に傾斜させることができる。だから、作業中に畝に凸凹があっても即座に刃先の上下調整を行うことが可能であり、収穫物の根切り位置を一定に調整することができる。また、ビニールハウス等の畝の領域が狭い場合でも、一輪車であるため、作業者の歩行領域より狭い範囲の移動領域で済む。さらに、フレームに取り付けられた刃先がフレームの進行方向に対して側方に延在するとともに、上下に湾曲しているため、フレームが傾斜した場合でも、収穫物に対して適切に刃先を差込み、根切り作業を行うことができる。
【0016】
(2)
フレームは、フレームの側面部に設けられた根切り刃を収納可能な収納部をフレームの側面部に有してもよい。
【0017】
この場合、フレームの側面部に根切り刃を収納することができるので、根切り刃を使用しない場合に、根切り刃をフレームの側面部に収納することができる。そのため、根切り刃の不使用時において作業者に対して安全を与えることができる。
【0018】
(3)
収穫装置は、根切り刃を収納部に収納するための回転操作部と、根切り刃を側面部から進行方向と垂直方向に延在させた位置で固定する固定具と、をさらに有してもよい。
【0019】
この場合、回転操作部は、保持部に設けられ、回転操作部を回動させることにより、根切り刃を延在させた位置および収納部に収納された位置のいずれか一方に移動させることができ、固定具は、根切り刃を延在させた位置および収納部に収納された位置の夫々の位置で根切り刃を貫通することによりフレームに対して根切り刃を固定できる。その結果、作業者は、腰をかがめて根切り刃の出し入れを行うことなく、保持部に設けられた回転操作部を回動させるとともに、固定具を動作させることで、根切り刃の出し入れを安全に行うことができる。また、根切り作業を行う場合には、根切り刃が固定具により固定されるので根切り作業時に根切り刃が収納されることなく、確実に根切り作業を行うことができる。なお、回転操作部としては、具体的にレバー、スイッチ等を用いてもよい。
【0020】
(4)
本発明に係る収穫装置は、野菜の収穫物の根切りを行う収穫装置であって、一輪車を含むフレームと、フレームに固設された棒状部および把持部を有する保持部と、フレームの前方部に設けられた根切り刃と、根切り刃をフレームに固定させるための一対の刃物保持部とを含み、根切り刃は、根切り刃の一端が一対の刃物保持部の一方の端部に固設され、根切り刃の他端が一対の刃物保持部の他方の端部に固設され、鉛直下方向に湾曲したR形状を有する湾曲したR形状を有するものである。
【0021】
本発明に係る収穫装置においては、一輪車を有するフレームに保持部が固設され、フレームの前方部に一対の刃物保持部が形成され、一対の刃物保持部に根切り刃が設けられる。根切り刃は、フレームの進行方向に対して垂直な方向の鉛直面において下方向に湾曲したR形状を有するものである。
【0022】
この場合、収穫装置は一輪車からなるので、自由に傾斜させることができ、畝に凸凹があっても刃先を適切に収穫物の根にあてることができる。また、ビニールハウス等の畝の領域が狭い場合でも、一輪車であるため、作業者の歩行領域より狭い範囲で作業を行うことができる。さらに、フレームに取り付けられた刃先がフレームの進行方向に対して前方において水平面よりも下側に湾曲しているため、フレームが傾斜した場合でも、収穫すべき対象に対して適切に刃を差込み、根切り作業を行うことができる。例えば、力が必要となるハクサイ等の根切り作業時に対しても容易に力を加えることができる。
【0023】
(5)
保持部は、一対の棒状部を有する棒部材と、把持部を有する棒状部材とを含み、一対の棒状部を有する棒部材の一端側はフレームに固設され、一対の棒状部を有する棒部材の他端側は把持部を有する棒状部材に固設されてもよい。
【0024】
この場合、一対の棒状部を有する棒部材および把持部を有する棒状部材により、収穫装置を容易に移動させて、収穫作業を行うことができる。例えば、一対の棒状部を有する棒部材は、把持部を有する棒状部材に直交して取り付けられることにより、水平に配設された棒状部材を作業者が押すことによりフレームに取り付けられた根切り刃を進行方向に移動させることができる。
【0025】
(6)
保持部は、補助把持部材をさらに含み、補助把持部材は、補助把持部を有する部材からなり、一対の棒状部を有する棒部材に取り付けられてもよい。
【0026】
この場合、作業者が補助把持部を把持し、棒状部材を作業者の体または腕に接触させることにより、収穫装置を容易に移動させることができる。また、補助把持部は、一対の棒部材からなってもよく、またはコ字状の一部材からなってもよい。また、例えば自転車のエアロバーのように、腕全体または上半身全体を棒状部材に支持させて力を与え、補助把持部からも力を加えて収穫作業を行うこともできる。この場合、作業者の力を加える部分が分散されるので、疲労度を低減することができる。
【0027】
(7)
補助把持部材は、一対の把持部を有する棒状部材からなり、一対の把持部を有する棒状部材の一端側が、一対の棒状部を有する棒部材に取り付けられ、一対の把持部を有する棒状部材の他端側が進行方向に延在するように取り付けられてもよい。
【0028】
この場合、作業者が両方の掌で補助把持部を把持し、棒状部材を作業者の体または腕に接触させることにより、作業者は全体重を収穫装置に加えることができ、収穫装置をさらに容易に移動させることができる。また、棒状部材の他端側が、進行方向に配設されていることにより、把持部を有する棒状部材および補助把持部材の両方に力を分散することができる。
【0029】
(8)
補助把持部材は、一対の棒状部を有する棒部材の長手方向を軸として回動調整可能に取り付けられてもよい。
【0030】
この場合、作業者の体格または趣向に合わせて補助把持部を回動調整できるので、力の分散方向について作業者の趣向に合わせることができ、収穫作業の効率を高めることができる。
【0031】
(9)
根切り刃および一対の刃物保持部は、取り外し可能に設けられてもよい。
【0032】
この場合、根切り刃および一対の刃物保持部は、取り外し可能に設けられるので、例えば、力が必要となるハクサイ等の根切り作業時には、根切り刃および一対の刃物保持部を取り付け、力が必要とならない根切り作業時には、根切り刃および一対の刃物保持部を取り外すことができる。それにより、多品種の収穫物の根切り作業に使用することができる。
【0033】
(10)
根切り刃は、その長手方向に沿って所定の領域ごとに複数の色分けが施されるとともに、湾曲したR形状の底部から両端部方向にかけて底部を中心として対称となる所定の領域に同色の色分けが施されていることが好ましい。
【0034】
この場合、根切り刃に色分けがされているので、作業者に対して根切り刃がどれだけ土中に入っているのかを容易に認識させることができる。
【0035】
また、根切り刃に対して水平面において段階的に色を変更させることにより根切り刃の土中に入っている刃の量および刃の姿勢を判定することができる。それにより、収穫物の根切り位置を調整することができる。
【0036】
(11)
根切り刃は、湾曲したR形状の先端部において鉛直上方向に延在する棒針形状が設けられてもよい。
【0037】
この場合、根切り刃の全体が土中に埋没した場合でも、鉛直上方向に延在する棒針形状が土中から突出しているので、土中の刃の位置を容易に認識することができる。すなわち、根切り刃の土中に入っている刃の量および刃の姿勢を判定することができる。また、棒針形状であるので、根切り刃の全体が土中に埋没した場合であっても、作業中に発生する刃の土中移動の負荷を低減することができる。
【0038】
(12)
フレームは、L字鋼を平行に配置し、それらを部材で連結することにより矩形状に形成される土台部と、一輪車と、一輪車を支持する軸と、土台部と一輪車とを連結する支持部と、を含み、支持部を調整することにより一輪車の軸高さと土台部との矩形状の面高さとを相対的に調整できてもよい。なお、フレームは、L字鋼に限定されず、丸鋼、コ字状鋼、角鋼、平板鋼等の任意の部材のうち一または複数を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
この場合、収穫物の種類によって、畝の高さまたは根の高さが異なるため、支持部を調整することにより土台部と一輪車との高さを相対的に調整することができる。その結果、フレームに取り付けられた根切り刃の高さを収穫物の種類によって調整することができる。
【0040】
(13)
一輪車は、2個の車輪を同軸で近接して設けてもよい。
【0041】
この場合、2個の車輪を同軸で近接して設けることにより、自由に傾斜させることができ、畝に凸凹があっても刃先を適切に収穫物の根にあてることができる。また、同軸で形成されない2輪車または4輪車と比較して、狭い範囲で作業を行うことができ、また1個の車からなる一輪車よりも安定度を高めることができる。また、ビニールハウス等の畝の領域が狭い場合でも、同軸で近接した2個の車輪であるため、作業者の歩行領域より狭い範囲で作業を行うことができる。なお、必ず2個の車輪が必要となるのではなく、1個の車輪から形成されてもよい。
【0042】
(14)
一輪車の進行方向と逆側に設けられた補助接地部材をさらに含み、補助接地部材は、土台部に固設されてもよい。
【0043】
この場合、補助接地部材が一輪車の進行方向後ろ側に設けられるので、補助接地部材により土台部が地面に対して安定して移動し、収穫装置を容易に使用することができる。その結果、作業者の負担を軽減することができる。また、収穫装置の移動の際に、力の分散が行われるので、一輪車が地面にもぐりこむことを防止することができる。
【0044】
(15)
補助接地部材は、土台部に対し衝撃吸収部材を介して固設されてもよい。
【0045】
この場合、衝撃吸収部材により土台部と補助接地部材との間における振動を低減することができる。また、補助接地部材は、土台部と一対の棒状部を有する棒状部材との間に設けてもよい。それにより作業者に対する振動を防止することができる。なお、衝撃吸収部材は、受動的構造および能動的構造のいずれであってもよく、例えば、弾性体のみ、または弾性体と振動減衰体とからなる構造を有してもよい。ここで、弾性体とは、バネ、スプリング等であり、振動減衰体とは、ゴム、ダンパー、オイルダンパー等である。
【0046】
(16)
補助接地部材は、対接地面を有する板部材からなってもよい。
【0047】
この場合、補助接地部材は、対接地面を有する板部材からなるので、収穫装置を安定して移動させることができる。特に、板部材がそり形状からなることにより、田畑において地面上を容易に移動させることができるとともに、車輪が地中にもぐりこむことを防止することができる。
【0048】
(17)
補助接地部材は、補助車輪を含んでもよい。
【0049】
この場合、補助接地部材は、補助車輪を含むので、収穫装置を安定して移動させることができる。すなわち、一輪車と補助車輪とから構成させてもよい。さらに、補助接地部材は、板部材に設けた長孔部に補助車輪を介挿して配設させることとしてもよいので、板部材により地中へのもぐりこみを防止しつつ、車輪により移動を容易にすることができる。
【0050】
(18)
フレームは、一輪車の軸部分に回動可能に設けられた補助保持部をさらに有し、保持部の把持部および補助保持部によりフレームを容易に移動できるようにしたものである。
【0051】
この場合、作業者は、保持部の把持部および補助保持部を持って収穫装置を容易に移動させることができる。そのため、軽量化されている装置の重量をさらに、保持部と補助保持部とに分配させることができるので、移動作業を円滑にかつ容易に行うことができる。
【0052】
(19)
フレームは、根切り刃の進行方向に対して後方に収穫物収納部を有し、収穫物収納部は、格子状の部材からなり、根切り刃により収穫された収穫物を保持できるように設けられてもよい。
【0053】
この場合、根切り刃で根切りを行った収穫物を収穫物収納部に載置させることができる。そのため、作業者に対して収穫物を個々に収集させる必要がなくなり、作業負担を軽減させることができる。また、格子状の部材を用いることにより収穫物に付着した土や砂を落下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0055】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図2は図1の収穫装置の正面図であり、図3は図1の収穫装置の側面図である。
【0056】
図1、図2および図3に示すように、収穫装置100は、保持部10、フレーム20、根切り刃30、補助保持部40および収穫物収納網50を含む。保持部10は、ハンドル部11、一対の保持棒12および強度保持棒13を含む。また、フレーム20は、一対のL字鋼21、一対の保持部材22、車輪23、車輪軸24(図2参照)および一対の保持部25、26を含む。
【0057】
図1および図2に示すように、フレーム20は、一対のL字鋼21および保持部25、26により矩形状の枠が形成される。なお、一対のL字鋼21は、これに限定されず、他の任意の板状鋼、角パイプ、丸パイプ、コ字状パイプ等他の任意のパイプまたは鋼を用いてもよい。その矩形状の枠の内部に車輪軸24が設けられ、2つの車輪23が同軸上に近接して設けられる。本実施の形態においては、安定度確保のため、2つの車輪23を同軸上に近接して設けることとしたが、これに限定されず、1つの車輪23を設けることとしてもよい。
【0058】
次に、図1のハンドル部11には、一対の保持棒12の一端側が取り付けられる。また、一対の保持棒12の他端側には、一対のL字鋼21の一端側が取り付けられ、一対の保持棒12の他端には、保持部材22が設けられる。それにより、図3に示すように、保持部材22、一対の保持棒12の一部および一対のL字鋼21により三角形が形成される。それにより、保持部10およびフレーム20間の強度が保持される。
【0059】
次いで、一対のL字鋼21の先端には、根切り刃30が設けられる。なお、図1においては、進行方向に対して右側に根切り刃30を設けることとしたが、これに限定されず、左右に設けてもよく、左側に設けてもよい。根切り刃30はフレーム20の一対のL字鋼21に対して水平面において垂直に側方に沿って設けられている。すなわち、収穫装置100の進行方向と垂直な方向に延在して設けられる。この根切り刃30の詳細形状については後述する。根切り刃30は、収納可能に設けられており、L字鋼21の鉛直下面に沿って収納される。具体的には、ハンドル部11に設けられたレバー11aを操作することにより、根切り刃30がL字鋼21の鉛直下面から回転して突出し、さらにレバー11aを押すことにより根切り刃30に設けられた固定孔35(図4参照)に固定金具が貫通されて根切り刃30が固定される。また、収納時には、ハンドル部11に設けられたレバー11aを操作することにより根切り刃30に設けられた固定孔35(図4参照)から固定金具が引き抜かれ、さらにレバー11aを操作することにより根切り刃30がL字鋼21に収納される。なお、本実施の形態においてはレバー11aを用いることとしたが、これに限定されず、スイッチ等を用いてもよい。この効果については、後述する。
【0060】
続いて、図1に示すように、収穫装置100の進行方向に対して根切り刃30の後ろ側には、収穫物収納網50が設けられる。収穫物収納網50は、格子状からなる金属部材からなり、L字鋼21および保持棒12に設けられた係止部に係止される。この収穫物収納網50は、取り外し可能に設けられる。根切り刃30により収穫された収穫物が、収穫物収納網50上に載置され、所定の量の収穫物を一箇所に集めることができる。また、収穫物収納網50は、格子状からなるので収穫物に付着した土、砂等を格子状の隙間から下方に落下させることができる。
【0061】
次に、図1に示すように、車輪軸24には、回転可能な状態で補助保持部40が取り付けられている。この補助保持部40は、収穫装置100を運搬する際に矢印R1の方向に回転(図3参照)させて使用される。その結果、収穫装置100の重量がハンドル部11と補助保持部40とに分配されるため、作業者が年配の場合でも容易に収穫装置100を移動させることができる。
【0062】
次に、図4および図5は根切り刃30の形状の一例を示す模式図である。また、図6および図7は根切り刃30の形状の効果を示す模式図である。
【0063】
図4に示すように、根切り刃30は、刃先31、刃地32、回転軸孔33、目釘孔34および固定孔35を備える。根切り刃30は、回転軸孔33を軸として収穫装置100のフレーム20のL字鋼21の鉛直下面に沿って回転可能に設けられる。そして、レバー11a(図1参照)を操作することにより、固定金具が固定孔35を貫通し、根切り刃30が完全に固定される。
【0064】
また、根切り刃30は、図5に示すように、刃地32および刃先31の部分が鉛直下方向に湾曲してR形状に形成されている。この場合、図6(a)に示すように、根切り刃30zが直線の場合、車輪23zが傾斜すれば畝に刃先31zの先端が深く潜りこむこととなる(図中距離L)。それにより、収穫装置100の抵抗が増大することとなる。しかし、図6(b)に示すように、根切り刃30がR形状からなる場合、車輪23が傾斜しても、刃先31の先端が一定深さ(図中距離l<距離L)以上の潜り込みを防止することができる。したがって、収穫装置100の抵抗を一定量に抑制することができる。
【0065】
さらに、図7(a)に示すように、根切り刃30Zが直線の場合、車輪23zが傾斜すれば、収穫物に根切り刃30zがあたり、収穫物の損傷を発生させることとなるが、図7(b)に示すように、根切り刃30がR形状からなる場合、車輪23が傾斜しても、根切り刃30の先端が収穫物に与える損傷を抑制することができる。
【0066】
次に、図8および図9は根切り刃30の形状の他の例を示す模式図である。図8は刃物先端部の根切り刃30の他の例を示した模式的上面図であり、図9は刃物先端部の根切り刃30の他の例を示した模式的側面図である。
【0067】
図8に示すように、根切り刃30aは、刃地32および刃先31の色を所定の領域毎に変更させている。例えば、図8および図9に示すように、根切り刃30aの面36から下方向に1cm下がるまでの領域32a,32gを赤とし、次に根切り刃30aの面36から下方向に1cm以上、2cm下がるまでの領域32b,32fを青、次に根切り刃30aの面36から下方向に2cm以上、3cm下がるまでの領域32c,32eを黄、次に根切り刃30aの面36から下方向に3cm以上、4cm下がるまでの領域32dを緑、の着色を行う。それにより、作業者に対して土中にどれだけ刃先31が入り込んでいるかを判定させることができる。なお、本実施の形態においては、刃地32に色を着色することとしたが、これに限定されず、刃地32の構造自体に着色させるものとしてもよい。この場合、継続使用による擦傷によって色調が損失することを防止することができる。
【0068】
次に、図10および図11は根切り刃30の形状のさらに他の例を示す模式図である。図10は刃物先端部の30の他の例を示した模式的上面図であり、図11は刃物先端部の30の他の例を示した模式的側面図である。
【0069】
図10および図11に示すように、根切り刃30bは、根切り刃30bの面36と反対側の一端に目印針37を設ける。この目印針37は、根切り刃30bの刃先および刃地が土中に埋まっている場合でも、地表に出現する長さで設けられる。それにより、作業者に対して土中にどれだけ刃先31が入り込んでいるかを判定させることができる。なお、本実施の形態においては、目印針37を新たに設けることとしたが、これに限定されず、刃地32を鉛直上向きに折り曲げるように形成してもよい。それにより、新たな部品の削減を行うことができる。
【0070】
続いて、第1の実施の形態に係る収穫装置100の効果について説明する。図12は収穫装置100を畝に適用した状態を示す図であり、図13は収穫装置100を使用した場合の効果を示す図である。
【0071】
図12に示すように、本実施の形態における収穫装置100は、畝に沿って移動させることにより、軟弱野菜等の収穫物200の根を切断することができる。すなわち、作付けされた収穫物に対して、根切り刃30が畝の中に進入して移動されるため、適切に根切りを行うことができる。
【0072】
また、図13(a)および(b)に示すように、根切り作業を行う場合、図13(a)に示すように、従来は、作業者が片手に収穫物200を把持して他方の手で鎌を持って収穫していたのに対し、本実施の形態においては図13(b)に示すように、立位姿勢で収穫装置100を移動させることで、収穫物200の根切り作業を行うことができるため、腰痛等の発生を低減させることができる。
【0073】
(第2の実施の形態)
図14は、本発明に係る第2の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図15は図14の収穫装置の正面図であり、図16は図14の収穫装置の側面図である。
【0074】
図14、図15および図16に示す収穫装置100aは、第1の実施の形態に係る収穫装置100を構成する部品をそのまま使用したものであり、一対のL字鋼21の取り付け位置および一対の保持部材22の取り付け位置を変更させたものである。
【0075】
具体的には、一対の保持棒12の他端に、一対のL字鋼21の一端側が取り付けられ、一対の保持棒12の他端側には、保持部材22の一端が設けられ、保持部材22の他端が一対のL字鋼21の一端に取り付けられる。それにより、図16に示すように、保持部材22、一対の保持棒12の一部および一対のL字鋼21により三角形が形成される。それにより、保持部10およびフレーム20間の強度が保持される。なお、この場合、図3に示したフレーム20の根切り刃30と車輪23の底部との相対距離に対して、図16に示したフレーム20の根切り刃30bと車輪23の底部との相対距離の方が短い。すなわち、第2の実施の形態に係る収穫装置100aは、ビニールハウス等の畝が形成されていない場所で使用するのに適している。
【0076】
このように、第1の実施の形態に係る収穫装置100の保持部材22の取付け位置を変更することにより一般の屋外における根切り作業およびビニールハウス等の屋内における根切り作業のいずれも一台の収穫装置で対応することができる。
【0077】
(第3の実施の形態)
図17は、第3の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図18は図17の収穫装置の正面図であり、図19は図17の収穫装置の側面図である。
【0078】
図17に示すように、収穫装置100bは、第1の実施の形態における収穫装置100に、さらに一対の保持部材60および根切り刃30cを含む。
【0079】
図17に示す収穫装置100bは、一対のL字鋼21の一端側(収穫装置100bの進行方向)の個々に、一対の保持部材60の一端側がそれぞれ取り付けられる。一対の保持部材60の他端側には、根切り刃30cが設けられる。
【0080】
図17〜図19に示す収穫装置100bは、ハクサイ等の収穫物の根切り作業に力が必要な場合に有効な装置である。すなわち、収穫装置100bを前方に押し出すことにより根切り刃30cがハクサイの根を容易に切ることができる。
【0081】
また、一対の保持部材60および根切り刃30cは、それぞれ取り外すことができ、取り外すことにより第1の実施の形態に係る収穫装置100と同一の装置にすることもできる。なお、一対の保持部材60は、途中でねじりにより形成されている。すなわち、一対のL字鋼21の鉛直面に前記一対の保持部材60の一端側が取り付けられ、一対の保持部材60の他端側が略水平面に形成され、根切り刃30cが設けられる。このねじりにより一対の保持部材60の剛性が高められている。なお、当該ねじりに関わらず、焼入れ処理等により剛性を高めてもよい。
【0082】
次に、図20および図21は根切り刃30cの形状の一例を示す模式図である。
【0083】
図20に示すように、根切り刃30cは、刃先31、刃地32、複数の固定孔33cを備える。根切り刃30cは、図21に示すように、刃地32および刃先31の部分が鉛直下方向に湾曲してR形状に形成されている。それにより、ハクサイの形状に沿った形で損傷を与えることなく、容易にハクサイの根切りを行うことができる。
【0084】
(第4の実施の形態)
図22は、第4の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図23は図22の収穫装置の正面図であり、図24は図22の収穫装置の側面図である。
【0085】
図22に示すように、収穫装置100cは、保持部10c、フレーム20cおよび根切り刃30を含む。保持部10cは、ハンドル部11および一対の保持棒12を含む。また、フレーム20cは、一本のL字鋼21c、車輪23cおよび車輪軸24cを含む。
【0086】
図22,図23および図24に示すように、フレーム20cは、L字鋼21cのみから形成される。そのL字鋼21cの中央部には、車輪軸24cが設けられており、当該車輪軸24には、車輪23cが設けられる。また、L字鋼21cの一端側には、保持部10cが設けられる。さらに、L字鋼21cの他端には、根切り刃30が設けられる。
【0087】
この場合、図24に示すように、収穫装置100cの軽量化を実現することができる。また、ビニールハウス等の狭い領域に対しても収穫装置100c自体の大きさを小さくすることができるので、有効に根切りを行うことができる。
【0088】
(第5の実施の形態)
図25は、第5の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図26は図25の収穫装置の正面図である。
【0089】
図25および図26に示すように、収穫装置100dは、第1の実施の形態における収穫装置100の補助保持部40および収穫物収納網50の代わりに把持部15を含む。
【0090】
図25および図26に示すように、ハンドル部11には、一対の保持棒12の一端側が取り付けられる。また、一対の保持棒12の他端側には、一対のL字鋼21の一端側が取り付けられ、一対の保持棒12の他端には、保持部材22が設けられる。また、一対の保持棒12の中央部には、強度保持棒13が設けられる。それにより、一対の保持棒12の剛性が高められている。また、図25および図26に示すように、一対の保持棒12には、それぞれ把持部15が取り付けられている。この把持部15は、収穫装置100dの進行方向に対して前方に延在するように配設されている。
【0091】
このように、本実施の形態に係る収穫装置100dにおいては、作業者が両手の掌により把持部15を把持し、ハンドル部11を作業者の腹部または腕で支えることにより収穫装置100dを移動させることができる。その結果、作業者が収穫装置100dに与える力を分散させることができ、容易に収穫装置100dの移動を行うことができる。
【0092】
図27は、図25および図26の把持部15の模式的拡大図である。
【0093】
図27に示すように、把持部15は、一対の保持棒12に固設されている。なお、これらの把持部15は、それぞれ矢印Rの方向に回転調整を行うことが可能なように取り付けられる。そして、把持部15は、回転調整後、ねじ等により一対の保持棒12に固定可能に設けられている。
【0094】
以上のように、第5の実施の形態に係る収穫装置100dによれば、把持部15により下方向に力を加えることができるので、根切り刃30により容易に収穫作業を行うことができる。
【0095】
また、把持部15を収穫装置100dのハンドル部11よりも進行方向に対して広がった形状で配置させることができるので、作業者の好趣に応じた角度で把持部15を取り付けることができる。
【0096】
(第6の実施の形態)
図28は、第6の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図29は図28の収穫装置の正面図である。
【0097】
図28および図29に示すように、収穫装置100eは、第2の実施の形態における収穫装置100aの補助保持部40の代わりに把持部15を含む。
【0098】
以上のように、第6の実施の形態に係る収穫装置100eによれば、把持部15により下方向に力を加えることができるので、根切り刃30により容易に収穫作業を行うことができる。
【0099】
このように、本実施の形態に係る収穫装置100eにおいては、作業者が両手の掌により把持部15を把持し、ハンドル部11を作業者の腹部または腕で支えることにより収穫装置100eを移動させることができる。その結果、作業者が収穫装置100eに与える力を分散させることができ、容易に収穫装置100eの移動を行うことができる。
【0100】
(第7の実施の形態)
図30は、第7の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図31は図30の収穫装置の正面図である。
【0101】
図30および図31に示すように、収穫装置100fは、第3の実施の形態における収穫装置100bにさらに把持部15を含む。
【0102】
以上のように、第7の実施の形態に係る収穫装置100fによれば、把持部15により下方向に力を加えることができるので、根切り刃30により容易に収穫作業を行うことができる。
【0103】
このように、本実施の形態に係る収穫装置100fにおいては、作業者が両手の掌により把持部15を把持し、ハンドル部11を作業者の腹部または腕で支えることにより収穫装置100fを移動させることができる。その結果、作業者が収穫装置100fに与える力を分散させることができ、容易に収穫装置100fの移動を行うことができる。
【0104】
(第8の実施の形態)
図32は、第8の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、
図33は図32の収穫装置の側面図である。
【0105】
図32および図33に示すように、収穫装置100gは、第6の実施の形態における収穫装置100eにさらに車輪80を含む。
【0106】
車輪80は、車輪23の車輪軸24と平行な軸により支持される。また、当該軸は、車輪軸24と同様に、一対のL字鋼21が延在された部分により保持される。
【0107】
なお、本実施の形態においては、車輪80は、車輪23と同様の大きさの車輪を用いた場合について説明するが、これに限定されず、車輪80は、車輪23よりも大きな車輪であってもよく、車輪23よりも小さな車輪であってもよい。
【0108】
次に、図34は、収穫装置100gを使用した場合の効果を示す図である。
【0109】
図34に示すように、作業者は、把持部15を両手で把持し、ハンドル部11を腕に当接させながら立位姿勢で収穫装置100gを移動させることができる。また、作業者は、把持部15を両手で把持し、ハンドル部11を腹部に当接させながら立位姿勢で収穫装置100gを移動させることができる。これらは、収穫装置100gに限定されるものではなく、把持部15を設けた上述した第5の実施の形態から後述する第13の実施の形態においても同様の効果を得ることができる。
【0110】
なお、図32〜図34に示すように、収穫装置100gは、車輪80を備えるので、ハンドル部11および把持部15からの力を車輪23および車輪80の複数の車輪からの反力で受け止めることができる。その結果、作業者は、収穫装置100gをより安定して移動させつつ、収穫作業を行うことができる。
【0111】
(第9の実施の形態)
図35は、第9の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図36は図35の収穫装置の側面図である。
【0112】
図35および図36に示すように、収穫装置100hは、第7の実施の形態における収穫装置100fにさらに車輪80を含む。
【0113】
車輪80は、車輪23の車輪軸24と平行な軸により支持される。また、当該軸は、車輪軸24と同様に、一対のL字鋼21が延在された部分により保持される。
【0114】
なお、本実施の形態においては、車輪80は、車輪23と同様の大きさの車輪を用いた場合について説明するが、これに限定されず、車輪80は、車輪23よりも大きな車輪であってもよく、車輪23よりも小さな車輪であってもよい。
【0115】
なお、図35,図36に示すように、収穫装置100fは、車輪80を備えるので、ハンドル部11および把持部15からの力を車輪23および車輪80の複数の車輪からの反力で受け止めることができる。その結果、作業者は、収穫装置100fをより安定して移動させつつ、収穫作業を行うことができる。
【0116】
(第10の実施の形態)
図37は、第10の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図38は図37の収穫装置の側面図である。
【0117】
図37および図38に示すように、収穫装置100iは、第9の実施の形態における収穫装置100hの車輪80にさらにショックアブソーバ82を含む。
【0118】
車輪80は、ショックアブソーバ82を介して一対の保持棒12に取り付けられる。それにより、一対の保持棒12の上下移動に対して車輪80の上下運動を防止することができる。
【0119】
なお、車輪23の車輪軸24に対してショックアブソーバ82を用いてもよい。しかし、一対のL字鋼21の先端には、根切り刃30の相対的位置変化を抑制できるように、ダンパーを硬く設定することが好ましい。
【0120】
本実施の形態においては、ショックアブソーバ82を使用する場合について説明したが、これに限定されず、他の任意の巻きバネ、スプリング、ゴム、オイルダンパー等、任意の弾性体または/および減衰部材を用いてもよい。
【0121】
(第11の実施の形態)
図39は、第11の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図40は図39の収穫装置の側面図である。
【0122】
図39および図40に示すように、収穫装置100jは、第9の実施の形態における収穫装置100hの車輪80の代わりにそり85にさらに含む。
【0123】
そり85は、車輪軸24の進行方向に対して後ろ側に設けられる。そり85は、車輪軸24の方向に対して滑走可能なように形成される。
【0124】
この場合、図39,図40に示すように、収穫装置100jは、そり85を備えるので、ハンドル部11および把持部15からの力を車輪23およびそり85の複数からの反力で受け止めることができる。その結果、作業者は、収穫装置100jをより安定して移動させつつ、収穫作業を行うことができる。
【0125】
(第12の実施の形態)
図41は、第12の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図42は図41の収穫装置の側面図である。
【0126】
図41および図42に示すように、収穫装置100kは、第9の実施の形態における収穫装置100hの車輪80の代わりに車輪付きそり86にさらに含む。
【0127】
車輪付きそり86は、車輪軸24の進行方向に対して後ろ側に設けられる。車輪付きそり86は、車輪軸24の方向に対して滑走可能なように形成される。
【0128】
この場合、図41,図42に示すように、収穫装置100kは、車輪付きそり86を備えるので、ハンドル部11および把持部15からの力を車輪23および車輪付きそり86の複数からの反力で受け止めることができる。その結果、作業者は、収穫装置100kをより安定して移動させつつ、収穫作業を行うことができる。
【0129】
(第13の実施の形態)
図43は、第13の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図であり、図44は図43の収穫装置の側面図である。
【0130】
図43および図44に示すように、収穫装置100Lは、第5の実施の形態の収穫装置100dの把持部15の代わりに把持部15aを含む。
【0131】
把持部15aは、把持部15と同様に、一対の保持棒12の中央部に取り付けられる。この把持部15aは、一対の把持部15を連結したものであり、一対の把持部15aの部位を含むものである。それにより、一対の把持部15と同等の効果を得ることができる。
【0132】
上記第1から第13の実施の形態においては、ホウレンソウ(収穫物200)が軟弱野菜等の収穫物に相当し、収穫装置100が収穫装置に相当し、2つの車輪23が一輪車に相当し、フレーム20がフレームに相当し、保持部10が保持部に相当し、根切り刃30,30a,30b,30cが根切り刃に相当し、刃先31,31a,31b,31cが刃先に相当し、一対のL字鋼21がL字鋼および収納部に相当し、把持部15,15aが補助把持部材に相当し、把持部15が一対の把持部を有する棒状部材に相当し、レバー11aが回転操作部に相当し、固定金具が固定具に相当し、一対の保持部材60が一対の刃物保持部に相当し、目印針37が誘導針形状に相当し、ショックアブソーバ82が衝撃吸収部材に相当し、そり85が補助接地部材に相当し、車輪付きそり86が補助車輪を含む補助接地部材に相当し、保持部25、26が部材に相当し、保持部材22が支持部に相当し、補助保持部40が補助保持部に相当する。
【0133】
本発明は、上記の好ましい第1から第13の実施の形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【0134】
また、例えば、野菜には、ハクサイまたはキャベツ以外にも田畑で栽培される収穫物(ジャガイモ、サツマイモ、ネギなど)が含まれるものとし、軟弱野菜にはホウレンソウ以外にもビニールハウス等で栽培される収穫物またはアブラナ科植物の大和マナが含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図2】図1の収穫装置の正面図
【図3】図1の収穫装置の側面図
【図4】根切り刃の形状の一例を示す模式図
【図5】根切り刃の形状の一例を示す模式図
【図6】根切り刃の形状の効果を示す模式図
【図7】根切り刃の形状の効果を示す模式図
【図8】根切り刃の形状の他の例を示す模式図
【図9】根切り刃の形状の他の例を示す模式図
【図10】根切り刃の形状のさらに他の例を示す模式図
【図11】根切り刃の形状のさらに他の例を示す模式図
【図12】収穫装置を畝に適用した状態を示す図
【図13】収穫装置を使用した場合の効果を示す図
【図14】本発明に係る第2の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図15】図14の収穫装置の正面図
【図16】図14の収穫装置の側面図
【図17】第3の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図18】図17の収穫装置の正面図
【図19】図17の収穫装置の側面図
【図20】根切り刃の形状の一例を示す模式図
【図21】根切り刃の形状の一例を示す模式図
【図22】第4の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図23】図22の収穫装置の正面図
【図24】図22の収穫装置の側面図
【図25】第5の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図26】図25の収穫装置の正面図
【図27】図25および図26の把持部の模式的拡大図
【図28】第6の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図29】図28の収穫装置の正面図
【図30】第7の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図31】図30の収穫装置の正面図
【図32】第8の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図33】図32の収穫装置の側面図
【図34】収穫装置100gを使用した場合の効果を示す図
【図35】第9の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図36】図35の収穫装置の側面図
【図37】第10の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図38】図37の収穫装置の側面図
【図39】第11の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図40】図39の収穫装置の側面図
【図41】第12の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図42】図41の収穫装置の側面図
【図43】第13の実施の形態に係る収穫装置の一例を示す模式的斜視図
【図44】図43の収穫装置の側面図
【符号の説明】
【0136】
10 保持部
11a レバー
15,15a 把持部
20 フレーム
21 一対のL字鋼
22 保持部材
23 2つの車輪(1個の車輪を含む)
25,26 保持部
30,30a,30b,30c 根切り刃
31,31a,31b,31c 刃先
37 目印針
40 補助保持部
60 一対の保持部材
80 車輪
82 ショックアブソーバ
85 そり
86 車輪付きそり
100 収穫装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱野菜の収穫物の根切りを行う収穫装置であって、
一輪車を含むフレームと、
前記フレームに固設された棒状部および把持部を有する保持部と、
前記フレームの側面部に設けられた根切り刃と、を含み、
前記根切り刃は、刃先が水平面において前記フレームの側面部から前記フレームの進行方向と垂直な方向に延在するととともに、鉛直下方向に湾曲したR形状を有することを特徴とする収穫装置。
【請求項2】
前記フレームは、前記フレームの側面部に設けられた根切り刃を収納可能な収納部を前記フレームの側面部に有することを特徴とする請求項1記載の収穫装置。
【請求項3】
前記根切り刃を前記収納部に収納するための回転操作部と、
前記根切り刃を側面部から前記進行方向と垂直方向に延在させた位置で固定する固定具と、をさらに有し、
前記回転操作部は前記保持部に設けられ、前記回転操作部が回動されることにより前記根切り刃を前記延在させた位置および前記収納部に収納された位置のいずれか一方に移動させることができ、
前記固定具は、前記根切り刃を前記延在させた位置および前記収納部に収納された位置の夫々の位置で前記根切り刃を貫通することにより前記フレームに対して前記根切り刃を固定することができることを特徴とする請求項2記載の収穫装置。
【請求項4】
野菜の収穫物の根切りを行う収穫装置であって、
一輪車を含むフレームと、
前記フレームに固設された棒状部および把持部を有する保持部と、
前記フレームの前方部に設けられた根切り刃と、
前記根切り刃を前記フレームに固定させるための一対の刃物保持部と、を含み、
前記根切り刃は、前記根切り刃の一端が前記一対の刃物保持部の一方の端部に固設され、前記根切り刃の他端が前記一対の刃物保持部の他方の端部に固設され、鉛直下方向に湾曲したR形状を有する湾曲したR形状を有することを特徴とする収穫装置。
【請求項5】
前記保持部は、一対の棒状部を有する棒部材と、把持部を有する棒状部材とを含み、
前記一対の棒状部を有する棒部材の一端側は前記フレームに固設され、前記一対の棒状部を有する棒部材の他端側は前記把持部を有する棒状部材に固設されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項6】
前記保持部は、補助把持部材をさらに含み、
前記補助把持部材は、補助把持部を有する部材からなり、前記一対の棒状部を有する棒部材に取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の収穫装置。
【請求項7】
前記補助把持部材は、一対の把持部を有する棒状部材からなり、前記一対の把持部を有する棒状部材の一端側が、前記一対の棒状部を有する棒部材に取り付けられ、前記一対の把持部を有する棒状部材の他端側が前記進行方向に延在するように取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の収穫装置。
【請求項8】
前記補助把持部材は、
前記一対の棒状部を有する棒部材の長手方向を軸として回動調整可能に取り付けられたことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項9】
前記根切り刃および前記一対の刃物保持部は、取り外し可能に設けられたことを特徴とする請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項10】
前記根切り刃は、その長手方向に沿って所定の領域ごとに複数の色分けが施されるとともに、前記湾曲したR形状の底部から両端部方向にかけて前記底部を中心として対称となる前記所定の領域に同色に色分けが施されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項11】
前記根切り刃は、前記湾曲したR形状の先端部において鉛直上方向に延在する棒針形状が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項12】
前記フレームは、
L字鋼を平行に配置し、それらを部材で連結することにより矩形状に形成される土台部と、
前記一輪車と、
前記一輪車を支持する軸と、
前記土台部と前記一輪車とを連結する支持部と、を含み、
前記支持部を調整することにより前記一輪車の軸高さと前記土台部との矩形状の面高さとを相対的に調整することができることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項13】
前記一輪車は、2個の車輪を同軸で近接して設けたことを特徴とする請求項12に記載の収穫装置。
【請求項14】
前記一輪車の前記進行方向と逆側に設けられた補助接地部材をさらに含み、
前記補助接地部材は、前記土台部に固設されたことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の収穫装置。
【請求項15】
前記補助接地部材は、前記土台部に対し衝撃吸収部材を介して固設されたことを特徴とする請求項14に記載の収穫装置。
【請求項16】
前記補助接地部材は、対接地面を有する板部材からなることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の収穫装置。
【請求項17】
前記補助接地部材は、補助車輪を含むことを特徴とする請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項18】
前記フレームは、前記一輪車の軸部分に回動可能に設けられた補助保持部をさらに有し、
前記保持部の把持部および前記補助保持部により前記フレームを容易に移動できるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の収穫装置。
【請求項19】
前記フレームは、前記根切り刃の進行方向に対して後方に収穫物収納部を有し、
前記収穫物収納部は、格子状の部材からなり、前記根切り刃により収穫された収穫物を保持可能に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の収穫装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2007−295927(P2007−295927A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92055(P2007−92055)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000225142)奈良県 (42)
【出願人】(592081483)三晃精機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】