収納ケース
【課題】バルク仕様のテープカートリッジの収納ケースにおいて、ケースの稜の部分が大きく破断するのを防止する。
【解決手段】テープカートリッジTを整列させた状態で収納する収納ケース1である。互いに突き合わせて接合する一対の部材2,2を備える。各部材2は、矩形枠状の周壁11と底壁12とを含む箱形状のケース部10を有している。ケース部10の稜線部20は複数のリブ16で区切られていて、稜17における突出量の異なる、第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とが交互に並んでいる。
【解決手段】テープカートリッジTを整列させた状態で収納する収納ケース1である。互いに突き合わせて接合する一対の部材2,2を備える。各部材2は、矩形枠状の周壁11と底壁12とを含む箱形状のケース部10を有している。ケース部10の稜線部20は複数のリブ16で区切られていて、稜17における突出量の異なる、第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とが交互に並んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数のテープカートリッジをまとめて輸送する場合などに好適な収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクカートリッジやテープカートリッジ等、記憶媒体のカートリッジ(単に、カートリッジともいう)は、ホストコンピュータのバックアップなどで大量にまとめて交換されることがある。そのような場合、カートリッジを個別にケースに収納した包装形態であると取り扱いが面倒であるため、例えば20個等の複数のカートリッジを1つのケースにまとめて収納するバルク仕様の包装形態が好まれる。
【0003】
そのようなバルク仕様のケースの1つとして、本発明者らによるケースが開示されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1のケースは、互いに接合される上下2つのケースで構成されている。詳しくは、上側のケースは、下面が開口する矩形箱状の容器本体と、その開口の周りに張り出すフランジとを備えている。下側のケースは同形態にして上面が開口している。各ケースの容器本体には、収納する個々のカートリッジを支持し、その接触を防ぐ複数のリブが一定の間隔で内側に膨出するように形成されている。各ケースのフランジの四隅には、いずれも上面側に突出する凸部が形成されている。
【0005】
下ケースに複数のカートリッジを収納した後、凸部の内外面を嵌合させながら上下のケースを突き合わせ、各ケースのフランジを接合して上下のケースを一体化する。複数のカートリッジを収納したケースは、更に段ボール箱に収納して梱包され、その状態で物流の下におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−286425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のようなケースの多くは、一般に、プラスチックシートを真空成形して製造されている。カートリッジ自体は比較的軽量であるため、数個程度であればそのようなケースでも強度は十分であるが、バルク仕様のように多数になるとその重量も相当なものになるため、輸送時や取り扱い時にそのケースを落下した場合、カートリッジの重さに耐えきれず、ケースが破損することがある。
【0008】
図12に示すように、特に、ケース100の稜の部分(例えば、底面と側面とが交わって形成される線状のエッジ部分)から落下した場合には、その稜の部分が直線状に大きく破断し、割れ目101が形成されることがある。ケースにこのような大きな割れ目101が形成されると、見た目が悪い上に、取り扱い時にその割れ目101からカートリッジTが抜け落ちるおそれがある。さらに、ケースに割れ目101が形成されるのと同時に、ケースの稜部に近接しているカートリッジの角部にも落下衝撃が直接加わるため、カートリッジが変形・破損するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ケースの稜の部分が大きく破断するのを効果的に防ぐことのできる収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、収納ケースの稜の部分の構造を工夫した。
【0011】
具体的には、本発明の収納ケースは、記憶媒体のカートリッジを整列させた状態で収納する収納ケースであって、互いに突き合わせて接合することにより、前記カートリッジを収納する収納空間が形成される一対の部材を備え、前記一対の部材のうち少なくとも一方は、それぞれが対向する一対の側壁及び一対の端壁で構成された矩形枠状の周壁と、前記周壁の底面を塞ぐ底壁とを含む箱形状のケース部を有し、前記底壁と前記周壁とで形成される稜を含む前記ケース部の稜線部に、外側から窪んで内側に突出する複数のリブが形成され、前記複数のリブは前記稜に沿って並んで設けられ、これら複数のリブによって前記稜線部が、少なくとも第1部分稜線部及び第2部分稜線部を含む複数の部分稜線部に区切られていて、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで、前記稜における突出量が異なっている収納ケースである。
【0012】
かかる構成の収納ケースであれば、収納ケースの稜の部分(底壁と周壁とで形成される稜を含むケース部の稜線部)が、複数のリブで複数の部分稜線部に区切られていて、そこには稜における突出量が異なる部分(第1部分稜線部と第2部分稜線部)が存在している。従って、その突出量の大小により、稜の部分には、床面等に衝突し易い部分と衝突し難い部分とが生じる。その結果、稜の部分の一部が破損して小さな割れを生じることはあっても、大部分が破損して直線状の大きな割れを生じることは効果的に阻止できる。
【0013】
より具体的には、前記稜が延びる方向から見て、前記複数の部分稜線部のそれぞれは、隅部に優弧状の膨出部を有し、前記第1部分稜線部の前記膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記膨出部の内側に位置しているようにするのが好ましい。
【0014】
そうすれば、隅部を構造的に強化できる。すなわち、稜の部分に外力が加わった場合には、その外力が効果的に分散し、局所に集中するのを抑制できるので、強度を向上させることができる。また、カートリッジをがたつくことなく収容できる。すなわち、カートリッジの隅部がほぼ直角に形成されていても、その隅部を膨出部に受け入れることができるので、カートリッジとケース部との密着度合いが高まって、カートリッジをがたつくことなく収容できる。
【0015】
また、前記稜が延びる方向から見て、前記複数の部分稜線部のそれぞれは、前記底壁における前記周壁との連結部分に半円状の第2膨出部を有し、前記第1部分稜線部の前記第2膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記第2膨出部の内側に位置しているようにしてあってもよい。
【0016】
この場合、側壁側は膨出していないので、成形が容易になる利点がある。例えば、真空成形で金型から成形した部材を抜き取る際には、通常、底壁と直交する方向に部材は抜き取られる。その際、側壁側は膨出していないので無理抜きにならず、容易に抜き取ることができ、生産性に優れる。特に衝突し易い底壁側に第2膨出部が形成されているので、破損を効率よく阻止できる。カートリッジを収納する際には第2膨出部が邪魔にならないので、カートリッジのがたつきも抑制できる。
【0017】
特に、前記稜線部が、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで構成され、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とが前記稜に沿って交互に設けられているようにするのが好ましい。
【0018】
そうすれば、破損し易い部分稜線部と破損し難い部分稜線部とがバランス良く配置されているので、稜線部全体としての強度に優れる。しかも、破損したとしても、破損し易い部分稜線部が断続的に破損するので、小さい割れ目しか生じ得ず、取り扱い時におけるカートリッジの抜け落ちも確実性をもって阻止できる。
【0019】
例えば、前記一対の部材のそれぞれは、前記ケース部を有する同一形状の部材からなり、前記複数のリブは、前記一対の側壁の側において前記底壁を挟んで対向する一対の稜線部のそれぞれに形成され、前記一対の稜線部において、一方の稜線部の前記第1部分稜線部は、他方の稜線部の前記第2部分稜線部と対向するように配置されているようにすればよい。
【0020】
そうすれば、一対の部材のそれぞれを共用できるので、生産性に優れ、取り扱いも楽になる。しかも、突出量の大きい部分稜線部どうしが対向しないように収納ケースを積み重ねることができるので、複数の収納ケースを積み重ねる時に収納ケース間の隙間を小さくできる。
【0021】
この場合、前記底壁の外面に、嵌合部が形成されており、2つの前記底壁は、これらの外面を突き合わせることにより、一方の底壁の前記嵌合部と他方の底壁の前記嵌合部とが嵌合可能とされ、前記2つの嵌合部を嵌合した状態において、前記2つの底壁間の距離よりも、前記第1部分稜線部の前記外面からの突出量と、前記第2部分稜線部の前記外面からの突出量との総量の方が小さく設定されているようにすることができる。
【0022】
そうすれば、複数の収納ケースを積み重ねる時に、各収納ケースの稜線部が接触しないので、嵌合部をしっかりと嵌合させることができるうえに、積み重ねた後も、2つの収納ケースの稜線部どうしの接触を確実性をもって避けることができるので、例えば、擦れ合いによる摩耗や潰れ等を効果的に防ぐことができ、利便性や耐久性に優れる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の収納ケースによれば、収納ケースの稜の部分が大きく破断するのを効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の収納ケースの部材(半身ケース)を示す概略斜視図である。
【図2】(a)は半身ケースの正面図、(b)は半身ケースの平面図、(c)は半身ケースの底面図である。
【図3】収納ケースの要部を示す概略斜視図である。
【図4】図3で矢印で示す稜が延びる方向から収納ケースの稜線部を見た図である。
【図5】図4における概略断面図である。
【図6】(a)は収納ケースを積み重ねた状態を示す概略側面図である。(b)は(a)における2点鎖線で示す部分の概略図である。
【図7】収納ケースを梱包する過程を示す概略図である。
【図8】梱包された収納ケースの落下の様子を示す概略図である。
【図9】収納ケースの変形例を示す概略平面図である。
【図10】図9の収納ケースを底側から見た概略斜視図である。
【図11】(a),(b)は稜線部の変形例を示す概略図である。
【図12】従来の収納ケースにおいて破損した状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0026】
図1に、本実施形態の収納ケース1の一部(半身ケース2)を示す。この収納ケース1は、それぞれが同一形状の部材である一対の半身ケース2,2で構成されている。各半身ケース2,2に同一形状の部材を使用することで、生産性に優れ、取り扱いも楽になる。これら半身ケース2,2を上下に接合して形成される収納空間には、6個のテープカートリッジT,T,…を整列させた状態で収納することができる。
【0027】
各半身ケース2は、例えば、PETやPP等の合成樹脂のシートを加熱して軟化させた後、真空引きにより所定形状の金型に密着させて成形する、いわゆる真空成形により一体成形されている。本実施形態の各半身ケース2の素材には、透明性に優れたPET(ポリエチレンテレフタレート)が用いられている。そうすることで、収納ケース1の外から収納したテープカートリッジTをはっきりと視認でき、例えば、テープカートリッジTにバーコードが貼り付けられている場合には、収納ケース1を通してバーコードを読み取ることができるため、利便性に優れる。
【0028】
図2にも示すように、各半身ケース2は、1つの面に開口を有する矩形(長方形)箱形状をしたケース部10と、ケース部10の開口の縁から全周にわたって外方に張り出したフランジ部30とを備えている。
【0029】
フランジ部30の四隅の部分には、それぞれ係合部31a,31a,31b,31bが形成されている。詳しくは、フランジ部30の一方の対角位置に、それぞれ開口側の面に突出する凸部31a,31aが形成され、他方の対角位置にそれぞれ、逆向きに突出して凸部31a,31aと嵌合する凹部31b,31bが形成されている。従って、一対の半身ケース2,2を開口側から突き合わせることで、各凹部31aと各凸部31bとが嵌合し、フランジ部30どうしを密着させることができる。そうして2つの半身ケース2,2を接合することで略密閉された収納ケース1が得られる。
【0030】
ケース部10は、長方形枠状の周壁11と、これの底面を塞ぐ長方形板状の底壁12とを有している。詳しくは、周壁11は、底壁12と一体に形成されていて、互いに対向する一対の側壁11a,11a(長辺側)と、これら側壁11a,11aと直交して互いに対向する一対の端壁11b,11b(短辺側)とで構成されている。
【0031】
底壁12の中央部には、長辺に沿って一定間隔で並ぶ底リブ13が複数(本実施形態では7つ)形成されている。各底リブ13は、短寸の畝形状を呈し、底壁12がケース部10の内側に隆起して短辺に沿って延びるように形成されている。両端の底リブ13のそれぞれは、一部が端壁11bと一体に形成されている。
【0032】
底壁12には、2つの半身ケース2,2をその底壁12側から突き合わせて着脱可能に接合するために、第1及び第2の嵌合リブ14,15(嵌合部)が横並びに形成されている。これら嵌合リブ14,15は、平面視で四角形環状に形成され、底壁12の内側から窪んで外側に帯状に突出している。平面視で第1の嵌合リブ14は第2の嵌合リブ15よりもひとまわり大きく形成されている。各嵌合リブ14,15は、底面の中心に対して点対称な位置に配置されている。各嵌合リブ14,15を向かい合わせた状態で、2つの半身ケース2,2のそれぞれの底壁12,12の外面を突き合わせることによって両嵌合リブ14,15が嵌合する。これにより、収納ケース1は、連結しながら上下に積み重ねることができる(図6参照)。
【0033】
ケース部10の内側における底壁12から両側壁11a,11aのそれぞれにわたる部分には、縦リブ16がそれぞれ7つずつ形成されている。詳しくは、底壁12と側壁11aとで形成される稜17(底壁12と側壁11aとが交わって形成される線分、エッジ)を含むケース部10のその稜に沿った部分(稜線部20)に、外側から窪んで内側に突出する複数の縦リブ16が形成されている。各縦リブ16は、各側壁11aの内面を底壁12から開口に向かって延びるように形成され、先端側に向かって次第に窄まるように形成されている。各縦リブ16は、底リブ13と同じ幅寸法で形成されている。
【0034】
各縦リブ16は、稜17に沿って底リブ13と同じ間隔で並んで設けられ、底壁12を挟んでそれぞれ対向している。対向する一対の縦リブ16,16とその間に位置する底リブ13とは一直線状に並んでいる(リブ列ともいう)。これらリブ列が並ぶ間隔はテープカートリッジTの幅寸法に合わせて設定されていて、隣接する2つのリブ列の間にテープカートリッジTを1つずつ挿入して支持させることができる。これらリブ列により、複数のテープカートリッジTは互いに接触することなく整列した状態で支持され、また、ケース部10は構造的に強化されている。
【0035】
ケース部10における側壁11a側の稜線部20は、これら複数の縦リブ16によって複数(本実施形態では6つ)の部分(部分稜線部)に区切られている。
【0036】
従来、これら部分稜線部に相当する部分の隅部(稜、角の部分)はテープカートリッジTの隅部形状に合わせてほぼ直角に形成され、更に、これらの稜は同一直線上に位置するように形成されていたため、稜に沿って直線状に大きく破断することがあった(図12参照)。そこで、本実施形態では、そのような破断を防止できるように稜線部の形状を工夫している。
【0037】
すなわち、図3、図4に示すように、稜17の部分の突出量がそれぞれ異なる第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とを交互に設けた。詳しくは、第1部分稜線部21の稜17の部分よりも第2部分稜線部22の稜17の部分は外側に大きく突出しており、これら第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とが稜17に沿って交互に並ぶように配置されている。一方の部分稜線部21(22)は他方の部分稜線部22(21)とそれぞれ隣接している。なお、これによる作用効果については後述する。
【0038】
図4に示すように、稜17が延びる方向から見た場合に、本実施形態の各部分稜線部21,22は、隅部に優弧状の膨出部23を有している。これら膨出部23の大部分は、それぞれの部分稜線部20における底壁12と側壁11aの外郭線よりも外側に位置している。そして、第1部分稜線部21の膨出部23が隙間S1を隔て第2部分稜線部22の膨出部23の内側に位置している。つまり、第1部分稜線部21の膨出部23は第2部分稜線部22の膨出部23よりも小さく形成されている。
【0039】
図5は、その概略断面図である。同図に示すように、膨出部23を設けることで、テープカートリッジTをがたつくことなく収容することができる。すなわち、テープカートリッジTの隅部がほぼ直角に形成されていても、その隅部を膨出部23に受け入れることができるので、テープカートリッジTの外面をケース部10の底壁12及び側壁11aで隙間無く受け止めることができる。従って、収納時にはテープカートリッジTとケース部10との密着度合いが高まって、テープカートリッジTをがたつくことなく収容でき、余計な荷重が隅部に加わるのを防ぐことができる。
【0040】
更に、優弧状に形成することで、隅部を構造的に強化できる。すなわち、稜17の部分に外力が加わった場合には、その外力が効果的に分散し、局所に集中するのを抑制できるので、強度を向上させることができる。つまりクッション性が得られる。
【0041】
図2に示したように、底壁12を挟んで対向している一対の稜線部20,20において、一方の稜線部20の第1部分稜線部21は、他方の稜線部20の第2部分稜線部22と対向するように配置するのが好ましい。そうすれば、収納ケース1を積み重ねる際、例えば、収納ケース1の短辺側を同じ向きにした状態で一方の収納ケース1の長辺側を反転させて2つの収納ケース1を接合したとすると、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21は他方の収納ケース1の第2部分稜線部22と上下に対向し、突出量の大きい第2部分稜線部22どうしが対向せずに済む。従って、収納ケース1を積み重ねる時に、収納ケース1間の隙間を小さくできる。
【0042】
本実施形態では、上述した嵌合リブ14,15が設けられているので、2つの収納ケース1,1は、例えば、収納ケース1の短辺側を逆向きにした状態で一方の収納ケース1の長辺側を反転させて2つの収納ケース1が接合される。
【0043】
そのため、本実施形態の収納ケース1では、更に、底壁12を挟んで対向している一対の稜線部20,20のそれぞれにおいて、第1部分稜線部21及び第2部分稜線部22を交互に並べ、かつ、両端に位置する部分稜線部が、それぞれ第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とになるように配置している。そうすることで、先と同様に収納ケース1を積み重ねる際、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21は他方の収納ケース1の第2部分稜線部22と上下に対向するので、突出量の大きい第2部分稜線部22どうしが対向せずに済む。
【0044】
図6に、2つの収納ケース1を積み重ねて連結した状態を示す。同図に示すように、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21は他方の収納ケース1の第2部分稜線部22と上下に対向するので、収納ケース1間の隙間を小さくできる。
【0045】
このとき、対向している2つの収納ケース1の底壁12,12間の距離L1よりも、第1部分稜線部21における底壁12の外面からの突出量L2と、第2部分稜線部22における底壁12の外面からの突出量L3との総量の方が小さくなるように設定するのが好ましい。なお、突出量は底壁12に直交する方向の突出量である。そうすれば、嵌合リブ14,15をしっかりと嵌合させることができるうえに、2つの収納ケース1の稜線部20どうし、詳しくは、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21と他方の収納ケース1の第2部分稜線部22との接触を確実性をもって避けることができるので、例えば、擦れ合いによる摩耗や潰れ等を効果的に防ぐことができる。
【0046】
収納ケース1の使用時には、一方の半身ケース2にテープカートリッジT,T,…を入れ込んだ後、被せ付けるようにして他方の半身ケース2を接合する。そうして複数のテープカートリッジT,T,…を収納した収納ケース1は、図7に示すように、外包材である段ボール箱3に収納して梱包され、物流下におかれる。
【0047】
図8に示すように、物流の過程では、例えば、荷崩れや取り扱い時の不注意により、段ボール箱3がその稜側から床面等Fに落下する場合がある。その場合、段ボール箱3は容易に変形するため、その衝突の衝撃のほとんどは梱包されている収納ケース1に作用する。
【0048】
従来の収納ケース1であれば、部分稜線部20に相当する部分の突出量は同じであったために、これらが同じように床等に衝突した場合には、直線状の大きな割れを生じることがあった。
【0049】
それに対し、本実施形態の収納ケース1では、部分稜線部の突出量が異なっているので、突出量の大小により、床面等Fに衝突し易い部分稜線部(第2部分稜線部22)と衝突し難い部分稜線部(第1部分稜線部21)とが生じる。その結果、稜線部20の一部(第2部分稜線部22)が破損することはあっても、大部分(第1部分稜線部21及び第2部分稜線部22)が破損して直線状の大きな割れを生じることは阻止できる。
【0050】
しかも、各稜線部20には膨出部23を設けて構造的に強化してあるので、破損それ自体が発生し難くなっている。
【0051】
特に、第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とを交互に設けることで、一方の部分稜線部21(22)は他方の部分稜線部22(21)とそれぞれ隣接するため、第1部分稜線部21はよりいっそう破損し難くなり、また、第2部分稜線部22が破損しても小さい割れ目しか生じ得ないので、取り扱い時にテープカートリッジTが抜け落ちるのを確実性をもって阻止できる。
【0052】
(変形例)
図9及び図10に、収納ケース1の変形例を示す。この収納ケース1では、先の実施形態の半身ケース2,2を2つ、その長辺側の一端で連結して一体化し、1つの半身ケースを構成している(第2の半身ケース2A)。この場合、テープカートリッジTは2列で計12個収容することができる。連結する半身ケース2を増やせば、収納できるテープカートリッジ数を増やすことができる。
【0053】
この場合、隣接する2つのケース部10,10の間で対向している2つの稜線部20a,20aについては、衝突によって大きな外力が作用する虞がないので、従来の収納ケースのように突出量は同じにしてあってもよい。
【0054】
また、稜17が延びる方向にケース部10を延ばして、テープカートリッジTの収納量を増やしてもよい。
【0055】
図11に、稜線部20の形状に関する変形例を示す。
【0056】
同図の(a)では、底壁12側にのみ膨出部23を形成している(第2膨出部23A)。具体的には、稜17が延びる方向から見て、各部分稜線部21,22の底壁12における側壁11aとの連結部分に、外側に膨出する半円状の第2膨出部23Aを形成している。そして、第1部分稜線部21の第2膨出部23Aが、隙間S2を隔て第2部分稜線部22の第2膨出部23Aの内側に位置している。
【0057】
この場合、側壁11a側は膨出していないので、成形が容易になる利点がある。すなわち、真空成形では、金型から成形した半身ケース2を抜き取る際には、通常、底壁12と直交する方向に抜き取るので、無理抜きにならず、容易に抜き取ることができ、生産性に優れる。
【0058】
特に衝突し易い底壁12側に第2膨出部23Aが形成されているので、破損を効率よく阻止できる。収納したテープカートリッジTのがたつきも抑制できる。
【0059】
同図の(b)では、稜17が延びる方向から見た隅部の形状を、従来の収納ケース1の稜線部20のように略直角に形成している。図示はしないが、隅部は端面処理を施して劣弧状のアールを形成してあってもよい。但し、第1部分稜線部21における隅部は、隙間を隔て第2部分稜線部22における隅部の内側に位置するように構成している。
【0060】
この場合でも、第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とで衝突のし易さを異ならせることができるので、大きな割れの発生を抑制することができる。
【0061】
なお、本発明にかかる収納ケース1は、前記の実施形態や変形例に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0062】
例えば、収納ケース1は、ケース部10を有する容器状の部材と、蓋状の部材とで構成してあってもよい。複数の部分稜線部20は、突出量が異なる3つ以上の部分稜線部を含むものであってもよい。その並びも必ずしも交互である必要はなく、様々に設定できる。嵌合リブの形状や数、配置等は、必要に応じて適宜変形可能である。必ずしもテープカートリッジTは1つずつ分けて収納する必要はなく、例えば、数個のテープカートリッジTごとに収納してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 収納ケース
2 半身ケース(部材)
10 ケース部
11 周壁
11a 側壁
11b 端壁
12 底壁
16 縦リブ(リブ)
17 稜
20 稜線部
21 第1部分稜線部
22 第2部分稜線部
23 膨出部
30 フランジ部
T テープカートリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数のテープカートリッジをまとめて輸送する場合などに好適な収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクカートリッジやテープカートリッジ等、記憶媒体のカートリッジ(単に、カートリッジともいう)は、ホストコンピュータのバックアップなどで大量にまとめて交換されることがある。そのような場合、カートリッジを個別にケースに収納した包装形態であると取り扱いが面倒であるため、例えば20個等の複数のカートリッジを1つのケースにまとめて収納するバルク仕様の包装形態が好まれる。
【0003】
そのようなバルク仕様のケースの1つとして、本発明者らによるケースが開示されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1のケースは、互いに接合される上下2つのケースで構成されている。詳しくは、上側のケースは、下面が開口する矩形箱状の容器本体と、その開口の周りに張り出すフランジとを備えている。下側のケースは同形態にして上面が開口している。各ケースの容器本体には、収納する個々のカートリッジを支持し、その接触を防ぐ複数のリブが一定の間隔で内側に膨出するように形成されている。各ケースのフランジの四隅には、いずれも上面側に突出する凸部が形成されている。
【0005】
下ケースに複数のカートリッジを収納した後、凸部の内外面を嵌合させながら上下のケースを突き合わせ、各ケースのフランジを接合して上下のケースを一体化する。複数のカートリッジを収納したケースは、更に段ボール箱に収納して梱包され、その状態で物流の下におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−286425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のようなケースの多くは、一般に、プラスチックシートを真空成形して製造されている。カートリッジ自体は比較的軽量であるため、数個程度であればそのようなケースでも強度は十分であるが、バルク仕様のように多数になるとその重量も相当なものになるため、輸送時や取り扱い時にそのケースを落下した場合、カートリッジの重さに耐えきれず、ケースが破損することがある。
【0008】
図12に示すように、特に、ケース100の稜の部分(例えば、底面と側面とが交わって形成される線状のエッジ部分)から落下した場合には、その稜の部分が直線状に大きく破断し、割れ目101が形成されることがある。ケースにこのような大きな割れ目101が形成されると、見た目が悪い上に、取り扱い時にその割れ目101からカートリッジTが抜け落ちるおそれがある。さらに、ケースに割れ目101が形成されるのと同時に、ケースの稜部に近接しているカートリッジの角部にも落下衝撃が直接加わるため、カートリッジが変形・破損するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ケースの稜の部分が大きく破断するのを効果的に防ぐことのできる収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、収納ケースの稜の部分の構造を工夫した。
【0011】
具体的には、本発明の収納ケースは、記憶媒体のカートリッジを整列させた状態で収納する収納ケースであって、互いに突き合わせて接合することにより、前記カートリッジを収納する収納空間が形成される一対の部材を備え、前記一対の部材のうち少なくとも一方は、それぞれが対向する一対の側壁及び一対の端壁で構成された矩形枠状の周壁と、前記周壁の底面を塞ぐ底壁とを含む箱形状のケース部を有し、前記底壁と前記周壁とで形成される稜を含む前記ケース部の稜線部に、外側から窪んで内側に突出する複数のリブが形成され、前記複数のリブは前記稜に沿って並んで設けられ、これら複数のリブによって前記稜線部が、少なくとも第1部分稜線部及び第2部分稜線部を含む複数の部分稜線部に区切られていて、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで、前記稜における突出量が異なっている収納ケースである。
【0012】
かかる構成の収納ケースであれば、収納ケースの稜の部分(底壁と周壁とで形成される稜を含むケース部の稜線部)が、複数のリブで複数の部分稜線部に区切られていて、そこには稜における突出量が異なる部分(第1部分稜線部と第2部分稜線部)が存在している。従って、その突出量の大小により、稜の部分には、床面等に衝突し易い部分と衝突し難い部分とが生じる。その結果、稜の部分の一部が破損して小さな割れを生じることはあっても、大部分が破損して直線状の大きな割れを生じることは効果的に阻止できる。
【0013】
より具体的には、前記稜が延びる方向から見て、前記複数の部分稜線部のそれぞれは、隅部に優弧状の膨出部を有し、前記第1部分稜線部の前記膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記膨出部の内側に位置しているようにするのが好ましい。
【0014】
そうすれば、隅部を構造的に強化できる。すなわち、稜の部分に外力が加わった場合には、その外力が効果的に分散し、局所に集中するのを抑制できるので、強度を向上させることができる。また、カートリッジをがたつくことなく収容できる。すなわち、カートリッジの隅部がほぼ直角に形成されていても、その隅部を膨出部に受け入れることができるので、カートリッジとケース部との密着度合いが高まって、カートリッジをがたつくことなく収容できる。
【0015】
また、前記稜が延びる方向から見て、前記複数の部分稜線部のそれぞれは、前記底壁における前記周壁との連結部分に半円状の第2膨出部を有し、前記第1部分稜線部の前記第2膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記第2膨出部の内側に位置しているようにしてあってもよい。
【0016】
この場合、側壁側は膨出していないので、成形が容易になる利点がある。例えば、真空成形で金型から成形した部材を抜き取る際には、通常、底壁と直交する方向に部材は抜き取られる。その際、側壁側は膨出していないので無理抜きにならず、容易に抜き取ることができ、生産性に優れる。特に衝突し易い底壁側に第2膨出部が形成されているので、破損を効率よく阻止できる。カートリッジを収納する際には第2膨出部が邪魔にならないので、カートリッジのがたつきも抑制できる。
【0017】
特に、前記稜線部が、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで構成され、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とが前記稜に沿って交互に設けられているようにするのが好ましい。
【0018】
そうすれば、破損し易い部分稜線部と破損し難い部分稜線部とがバランス良く配置されているので、稜線部全体としての強度に優れる。しかも、破損したとしても、破損し易い部分稜線部が断続的に破損するので、小さい割れ目しか生じ得ず、取り扱い時におけるカートリッジの抜け落ちも確実性をもって阻止できる。
【0019】
例えば、前記一対の部材のそれぞれは、前記ケース部を有する同一形状の部材からなり、前記複数のリブは、前記一対の側壁の側において前記底壁を挟んで対向する一対の稜線部のそれぞれに形成され、前記一対の稜線部において、一方の稜線部の前記第1部分稜線部は、他方の稜線部の前記第2部分稜線部と対向するように配置されているようにすればよい。
【0020】
そうすれば、一対の部材のそれぞれを共用できるので、生産性に優れ、取り扱いも楽になる。しかも、突出量の大きい部分稜線部どうしが対向しないように収納ケースを積み重ねることができるので、複数の収納ケースを積み重ねる時に収納ケース間の隙間を小さくできる。
【0021】
この場合、前記底壁の外面に、嵌合部が形成されており、2つの前記底壁は、これらの外面を突き合わせることにより、一方の底壁の前記嵌合部と他方の底壁の前記嵌合部とが嵌合可能とされ、前記2つの嵌合部を嵌合した状態において、前記2つの底壁間の距離よりも、前記第1部分稜線部の前記外面からの突出量と、前記第2部分稜線部の前記外面からの突出量との総量の方が小さく設定されているようにすることができる。
【0022】
そうすれば、複数の収納ケースを積み重ねる時に、各収納ケースの稜線部が接触しないので、嵌合部をしっかりと嵌合させることができるうえに、積み重ねた後も、2つの収納ケースの稜線部どうしの接触を確実性をもって避けることができるので、例えば、擦れ合いによる摩耗や潰れ等を効果的に防ぐことができ、利便性や耐久性に優れる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の収納ケースによれば、収納ケースの稜の部分が大きく破断するのを効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の収納ケースの部材(半身ケース)を示す概略斜視図である。
【図2】(a)は半身ケースの正面図、(b)は半身ケースの平面図、(c)は半身ケースの底面図である。
【図3】収納ケースの要部を示す概略斜視図である。
【図4】図3で矢印で示す稜が延びる方向から収納ケースの稜線部を見た図である。
【図5】図4における概略断面図である。
【図6】(a)は収納ケースを積み重ねた状態を示す概略側面図である。(b)は(a)における2点鎖線で示す部分の概略図である。
【図7】収納ケースを梱包する過程を示す概略図である。
【図8】梱包された収納ケースの落下の様子を示す概略図である。
【図9】収納ケースの変形例を示す概略平面図である。
【図10】図9の収納ケースを底側から見た概略斜視図である。
【図11】(a),(b)は稜線部の変形例を示す概略図である。
【図12】従来の収納ケースにおいて破損した状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0026】
図1に、本実施形態の収納ケース1の一部(半身ケース2)を示す。この収納ケース1は、それぞれが同一形状の部材である一対の半身ケース2,2で構成されている。各半身ケース2,2に同一形状の部材を使用することで、生産性に優れ、取り扱いも楽になる。これら半身ケース2,2を上下に接合して形成される収納空間には、6個のテープカートリッジT,T,…を整列させた状態で収納することができる。
【0027】
各半身ケース2は、例えば、PETやPP等の合成樹脂のシートを加熱して軟化させた後、真空引きにより所定形状の金型に密着させて成形する、いわゆる真空成形により一体成形されている。本実施形態の各半身ケース2の素材には、透明性に優れたPET(ポリエチレンテレフタレート)が用いられている。そうすることで、収納ケース1の外から収納したテープカートリッジTをはっきりと視認でき、例えば、テープカートリッジTにバーコードが貼り付けられている場合には、収納ケース1を通してバーコードを読み取ることができるため、利便性に優れる。
【0028】
図2にも示すように、各半身ケース2は、1つの面に開口を有する矩形(長方形)箱形状をしたケース部10と、ケース部10の開口の縁から全周にわたって外方に張り出したフランジ部30とを備えている。
【0029】
フランジ部30の四隅の部分には、それぞれ係合部31a,31a,31b,31bが形成されている。詳しくは、フランジ部30の一方の対角位置に、それぞれ開口側の面に突出する凸部31a,31aが形成され、他方の対角位置にそれぞれ、逆向きに突出して凸部31a,31aと嵌合する凹部31b,31bが形成されている。従って、一対の半身ケース2,2を開口側から突き合わせることで、各凹部31aと各凸部31bとが嵌合し、フランジ部30どうしを密着させることができる。そうして2つの半身ケース2,2を接合することで略密閉された収納ケース1が得られる。
【0030】
ケース部10は、長方形枠状の周壁11と、これの底面を塞ぐ長方形板状の底壁12とを有している。詳しくは、周壁11は、底壁12と一体に形成されていて、互いに対向する一対の側壁11a,11a(長辺側)と、これら側壁11a,11aと直交して互いに対向する一対の端壁11b,11b(短辺側)とで構成されている。
【0031】
底壁12の中央部には、長辺に沿って一定間隔で並ぶ底リブ13が複数(本実施形態では7つ)形成されている。各底リブ13は、短寸の畝形状を呈し、底壁12がケース部10の内側に隆起して短辺に沿って延びるように形成されている。両端の底リブ13のそれぞれは、一部が端壁11bと一体に形成されている。
【0032】
底壁12には、2つの半身ケース2,2をその底壁12側から突き合わせて着脱可能に接合するために、第1及び第2の嵌合リブ14,15(嵌合部)が横並びに形成されている。これら嵌合リブ14,15は、平面視で四角形環状に形成され、底壁12の内側から窪んで外側に帯状に突出している。平面視で第1の嵌合リブ14は第2の嵌合リブ15よりもひとまわり大きく形成されている。各嵌合リブ14,15は、底面の中心に対して点対称な位置に配置されている。各嵌合リブ14,15を向かい合わせた状態で、2つの半身ケース2,2のそれぞれの底壁12,12の外面を突き合わせることによって両嵌合リブ14,15が嵌合する。これにより、収納ケース1は、連結しながら上下に積み重ねることができる(図6参照)。
【0033】
ケース部10の内側における底壁12から両側壁11a,11aのそれぞれにわたる部分には、縦リブ16がそれぞれ7つずつ形成されている。詳しくは、底壁12と側壁11aとで形成される稜17(底壁12と側壁11aとが交わって形成される線分、エッジ)を含むケース部10のその稜に沿った部分(稜線部20)に、外側から窪んで内側に突出する複数の縦リブ16が形成されている。各縦リブ16は、各側壁11aの内面を底壁12から開口に向かって延びるように形成され、先端側に向かって次第に窄まるように形成されている。各縦リブ16は、底リブ13と同じ幅寸法で形成されている。
【0034】
各縦リブ16は、稜17に沿って底リブ13と同じ間隔で並んで設けられ、底壁12を挟んでそれぞれ対向している。対向する一対の縦リブ16,16とその間に位置する底リブ13とは一直線状に並んでいる(リブ列ともいう)。これらリブ列が並ぶ間隔はテープカートリッジTの幅寸法に合わせて設定されていて、隣接する2つのリブ列の間にテープカートリッジTを1つずつ挿入して支持させることができる。これらリブ列により、複数のテープカートリッジTは互いに接触することなく整列した状態で支持され、また、ケース部10は構造的に強化されている。
【0035】
ケース部10における側壁11a側の稜線部20は、これら複数の縦リブ16によって複数(本実施形態では6つ)の部分(部分稜線部)に区切られている。
【0036】
従来、これら部分稜線部に相当する部分の隅部(稜、角の部分)はテープカートリッジTの隅部形状に合わせてほぼ直角に形成され、更に、これらの稜は同一直線上に位置するように形成されていたため、稜に沿って直線状に大きく破断することがあった(図12参照)。そこで、本実施形態では、そのような破断を防止できるように稜線部の形状を工夫している。
【0037】
すなわち、図3、図4に示すように、稜17の部分の突出量がそれぞれ異なる第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とを交互に設けた。詳しくは、第1部分稜線部21の稜17の部分よりも第2部分稜線部22の稜17の部分は外側に大きく突出しており、これら第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とが稜17に沿って交互に並ぶように配置されている。一方の部分稜線部21(22)は他方の部分稜線部22(21)とそれぞれ隣接している。なお、これによる作用効果については後述する。
【0038】
図4に示すように、稜17が延びる方向から見た場合に、本実施形態の各部分稜線部21,22は、隅部に優弧状の膨出部23を有している。これら膨出部23の大部分は、それぞれの部分稜線部20における底壁12と側壁11aの外郭線よりも外側に位置している。そして、第1部分稜線部21の膨出部23が隙間S1を隔て第2部分稜線部22の膨出部23の内側に位置している。つまり、第1部分稜線部21の膨出部23は第2部分稜線部22の膨出部23よりも小さく形成されている。
【0039】
図5は、その概略断面図である。同図に示すように、膨出部23を設けることで、テープカートリッジTをがたつくことなく収容することができる。すなわち、テープカートリッジTの隅部がほぼ直角に形成されていても、その隅部を膨出部23に受け入れることができるので、テープカートリッジTの外面をケース部10の底壁12及び側壁11aで隙間無く受け止めることができる。従って、収納時にはテープカートリッジTとケース部10との密着度合いが高まって、テープカートリッジTをがたつくことなく収容でき、余計な荷重が隅部に加わるのを防ぐことができる。
【0040】
更に、優弧状に形成することで、隅部を構造的に強化できる。すなわち、稜17の部分に外力が加わった場合には、その外力が効果的に分散し、局所に集中するのを抑制できるので、強度を向上させることができる。つまりクッション性が得られる。
【0041】
図2に示したように、底壁12を挟んで対向している一対の稜線部20,20において、一方の稜線部20の第1部分稜線部21は、他方の稜線部20の第2部分稜線部22と対向するように配置するのが好ましい。そうすれば、収納ケース1を積み重ねる際、例えば、収納ケース1の短辺側を同じ向きにした状態で一方の収納ケース1の長辺側を反転させて2つの収納ケース1を接合したとすると、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21は他方の収納ケース1の第2部分稜線部22と上下に対向し、突出量の大きい第2部分稜線部22どうしが対向せずに済む。従って、収納ケース1を積み重ねる時に、収納ケース1間の隙間を小さくできる。
【0042】
本実施形態では、上述した嵌合リブ14,15が設けられているので、2つの収納ケース1,1は、例えば、収納ケース1の短辺側を逆向きにした状態で一方の収納ケース1の長辺側を反転させて2つの収納ケース1が接合される。
【0043】
そのため、本実施形態の収納ケース1では、更に、底壁12を挟んで対向している一対の稜線部20,20のそれぞれにおいて、第1部分稜線部21及び第2部分稜線部22を交互に並べ、かつ、両端に位置する部分稜線部が、それぞれ第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とになるように配置している。そうすることで、先と同様に収納ケース1を積み重ねる際、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21は他方の収納ケース1の第2部分稜線部22と上下に対向するので、突出量の大きい第2部分稜線部22どうしが対向せずに済む。
【0044】
図6に、2つの収納ケース1を積み重ねて連結した状態を示す。同図に示すように、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21は他方の収納ケース1の第2部分稜線部22と上下に対向するので、収納ケース1間の隙間を小さくできる。
【0045】
このとき、対向している2つの収納ケース1の底壁12,12間の距離L1よりも、第1部分稜線部21における底壁12の外面からの突出量L2と、第2部分稜線部22における底壁12の外面からの突出量L3との総量の方が小さくなるように設定するのが好ましい。なお、突出量は底壁12に直交する方向の突出量である。そうすれば、嵌合リブ14,15をしっかりと嵌合させることができるうえに、2つの収納ケース1の稜線部20どうし、詳しくは、一方の収納ケース1の第1部分稜線部21と他方の収納ケース1の第2部分稜線部22との接触を確実性をもって避けることができるので、例えば、擦れ合いによる摩耗や潰れ等を効果的に防ぐことができる。
【0046】
収納ケース1の使用時には、一方の半身ケース2にテープカートリッジT,T,…を入れ込んだ後、被せ付けるようにして他方の半身ケース2を接合する。そうして複数のテープカートリッジT,T,…を収納した収納ケース1は、図7に示すように、外包材である段ボール箱3に収納して梱包され、物流下におかれる。
【0047】
図8に示すように、物流の過程では、例えば、荷崩れや取り扱い時の不注意により、段ボール箱3がその稜側から床面等Fに落下する場合がある。その場合、段ボール箱3は容易に変形するため、その衝突の衝撃のほとんどは梱包されている収納ケース1に作用する。
【0048】
従来の収納ケース1であれば、部分稜線部20に相当する部分の突出量は同じであったために、これらが同じように床等に衝突した場合には、直線状の大きな割れを生じることがあった。
【0049】
それに対し、本実施形態の収納ケース1では、部分稜線部の突出量が異なっているので、突出量の大小により、床面等Fに衝突し易い部分稜線部(第2部分稜線部22)と衝突し難い部分稜線部(第1部分稜線部21)とが生じる。その結果、稜線部20の一部(第2部分稜線部22)が破損することはあっても、大部分(第1部分稜線部21及び第2部分稜線部22)が破損して直線状の大きな割れを生じることは阻止できる。
【0050】
しかも、各稜線部20には膨出部23を設けて構造的に強化してあるので、破損それ自体が発生し難くなっている。
【0051】
特に、第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とを交互に設けることで、一方の部分稜線部21(22)は他方の部分稜線部22(21)とそれぞれ隣接するため、第1部分稜線部21はよりいっそう破損し難くなり、また、第2部分稜線部22が破損しても小さい割れ目しか生じ得ないので、取り扱い時にテープカートリッジTが抜け落ちるのを確実性をもって阻止できる。
【0052】
(変形例)
図9及び図10に、収納ケース1の変形例を示す。この収納ケース1では、先の実施形態の半身ケース2,2を2つ、その長辺側の一端で連結して一体化し、1つの半身ケースを構成している(第2の半身ケース2A)。この場合、テープカートリッジTは2列で計12個収容することができる。連結する半身ケース2を増やせば、収納できるテープカートリッジ数を増やすことができる。
【0053】
この場合、隣接する2つのケース部10,10の間で対向している2つの稜線部20a,20aについては、衝突によって大きな外力が作用する虞がないので、従来の収納ケースのように突出量は同じにしてあってもよい。
【0054】
また、稜17が延びる方向にケース部10を延ばして、テープカートリッジTの収納量を増やしてもよい。
【0055】
図11に、稜線部20の形状に関する変形例を示す。
【0056】
同図の(a)では、底壁12側にのみ膨出部23を形成している(第2膨出部23A)。具体的には、稜17が延びる方向から見て、各部分稜線部21,22の底壁12における側壁11aとの連結部分に、外側に膨出する半円状の第2膨出部23Aを形成している。そして、第1部分稜線部21の第2膨出部23Aが、隙間S2を隔て第2部分稜線部22の第2膨出部23Aの内側に位置している。
【0057】
この場合、側壁11a側は膨出していないので、成形が容易になる利点がある。すなわち、真空成形では、金型から成形した半身ケース2を抜き取る際には、通常、底壁12と直交する方向に抜き取るので、無理抜きにならず、容易に抜き取ることができ、生産性に優れる。
【0058】
特に衝突し易い底壁12側に第2膨出部23Aが形成されているので、破損を効率よく阻止できる。収納したテープカートリッジTのがたつきも抑制できる。
【0059】
同図の(b)では、稜17が延びる方向から見た隅部の形状を、従来の収納ケース1の稜線部20のように略直角に形成している。図示はしないが、隅部は端面処理を施して劣弧状のアールを形成してあってもよい。但し、第1部分稜線部21における隅部は、隙間を隔て第2部分稜線部22における隅部の内側に位置するように構成している。
【0060】
この場合でも、第1部分稜線部21と第2部分稜線部22とで衝突のし易さを異ならせることができるので、大きな割れの発生を抑制することができる。
【0061】
なお、本発明にかかる収納ケース1は、前記の実施形態や変形例に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0062】
例えば、収納ケース1は、ケース部10を有する容器状の部材と、蓋状の部材とで構成してあってもよい。複数の部分稜線部20は、突出量が異なる3つ以上の部分稜線部を含むものであってもよい。その並びも必ずしも交互である必要はなく、様々に設定できる。嵌合リブの形状や数、配置等は、必要に応じて適宜変形可能である。必ずしもテープカートリッジTは1つずつ分けて収納する必要はなく、例えば、数個のテープカートリッジTごとに収納してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 収納ケース
2 半身ケース(部材)
10 ケース部
11 周壁
11a 側壁
11b 端壁
12 底壁
16 縦リブ(リブ)
17 稜
20 稜線部
21 第1部分稜線部
22 第2部分稜線部
23 膨出部
30 フランジ部
T テープカートリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体のカートリッジを整列させた状態で収納する収納ケースであって、
互いに突き合わせて接合することにより、前記カートリッジを収納する収納空間が形成される一対の部材を備え、
前記一対の部材のうち少なくとも一方は、それぞれが対向する一対の側壁及び一対の端壁で構成された矩形枠状の周壁と、前記周壁の底面を塞ぐ底壁とを含む箱形状のケース部を有し、
前記底壁と前記周壁とで形成される稜を含む前記ケース部の稜線部に、外側から窪んで内側に突出する複数のリブが形成され、
前記複数のリブは前記稜に沿って並んで設けられ、これら複数のリブによって前記稜線部が、少なくとも第1部分稜線部及び第2部分稜線部を含む複数の部分稜線部に区切られていて、
前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで、前記稜における突出量が異なっている収納ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ケースにおいて、
前記稜が延びる方向から見て、
前記複数の部分稜線部のそれぞれは、隅部に優弧状の膨出部を有し、
前記第1部分稜線部の前記膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記膨出部の内側に位置している収納ケース。
【請求項3】
請求項1に記載の収納ケースにおいて、
前記稜が延びる方向から見て、
前記複数の部分稜線部のそれぞれは、前記底壁における前記周壁との連結部分に半円状の第2膨出部を有し、
前記第1部分稜線部の前記第2膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記第2膨出部の内側に位置している収納ケース。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の収納ケースにおいて、
前記稜線部が、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで構成され、
前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とが前記稜に沿って交互に設けられている収納ケース。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の収納ケースにおいて、
前記一対の部材のそれぞれは、前記ケース部を有する同一形状の部材からなり、
前記複数のリブは、前記一対の側壁の側において前記底壁を挟んで対向する一対の稜線部のそれぞれに形成され、
前記一対の稜線部において、一方の稜線部の前記第1部分稜線部は、他方の稜線部の前記第2部分稜線部と対向するように配置されている収納ケース。
【請求項6】
請求項5に記載の収納ケースにおいて、
前記底壁の外面に、嵌合部が形成されており、
2つの前記底壁は、これらの外面を突き合わせることにより、一方の底壁の前記嵌合部と他方の底壁の前記嵌合部とが嵌合可能とされ、
前記2つの嵌合部を嵌合した状態において、前記2つの底壁間の距離よりも、前記第1部分稜線部の前記外面からの突出量と、前記第2部分稜線部の前記外面からの突出量との総量の方が小さく設定されている収納ケース。
【請求項1】
記憶媒体のカートリッジを整列させた状態で収納する収納ケースであって、
互いに突き合わせて接合することにより、前記カートリッジを収納する収納空間が形成される一対の部材を備え、
前記一対の部材のうち少なくとも一方は、それぞれが対向する一対の側壁及び一対の端壁で構成された矩形枠状の周壁と、前記周壁の底面を塞ぐ底壁とを含む箱形状のケース部を有し、
前記底壁と前記周壁とで形成される稜を含む前記ケース部の稜線部に、外側から窪んで内側に突出する複数のリブが形成され、
前記複数のリブは前記稜に沿って並んで設けられ、これら複数のリブによって前記稜線部が、少なくとも第1部分稜線部及び第2部分稜線部を含む複数の部分稜線部に区切られていて、
前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで、前記稜における突出量が異なっている収納ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ケースにおいて、
前記稜が延びる方向から見て、
前記複数の部分稜線部のそれぞれは、隅部に優弧状の膨出部を有し、
前記第1部分稜線部の前記膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記膨出部の内側に位置している収納ケース。
【請求項3】
請求項1に記載の収納ケースにおいて、
前記稜が延びる方向から見て、
前記複数の部分稜線部のそれぞれは、前記底壁における前記周壁との連結部分に半円状の第2膨出部を有し、
前記第1部分稜線部の前記第2膨出部が、隙間を隔て前記第2部分稜線部の前記第2膨出部の内側に位置している収納ケース。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の収納ケースにおいて、
前記稜線部が、前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とで構成され、
前記第1部分稜線部と前記第2部分稜線部とが前記稜に沿って交互に設けられている収納ケース。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の収納ケースにおいて、
前記一対の部材のそれぞれは、前記ケース部を有する同一形状の部材からなり、
前記複数のリブは、前記一対の側壁の側において前記底壁を挟んで対向する一対の稜線部のそれぞれに形成され、
前記一対の稜線部において、一方の稜線部の前記第1部分稜線部は、他方の稜線部の前記第2部分稜線部と対向するように配置されている収納ケース。
【請求項6】
請求項5に記載の収納ケースにおいて、
前記底壁の外面に、嵌合部が形成されており、
2つの前記底壁は、これらの外面を突き合わせることにより、一方の底壁の前記嵌合部と他方の底壁の前記嵌合部とが嵌合可能とされ、
前記2つの嵌合部を嵌合した状態において、前記2つの底壁間の距離よりも、前記第1部分稜線部の前記外面からの突出量と、前記第2部分稜線部の前記外面からの突出量との総量の方が小さく設定されている収納ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−162252(P2011−162252A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29822(P2010−29822)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
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