説明

収納トレイ

【課題】良好な意匠性を呈してキャビネットに上下反転させて取り付けできる収納トレイを提供する。
【解決手段】深い収納面P1と浅い収納面P2が裏表に形成され、左右側面には、キャビネット側の溝に差し込み固定するための左右の突起6,6が形成されてなる収納トレイ1であって、左右の突起6,6は、収納トレイの前板2の高さ方向中央部に形成されて、上下反転させて取り付ける際に、キャビネット側と前板2間に隙間等が生ずることのないように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深い収納面と浅い収納面が裏表に形成された収納トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、深い収納面と浅い収納面が裏表に形成されて、ミラーキャビネットの溝内に嵌合される左右のレール部を備え、上下反転させて使用できる収納トレイが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3675400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている収納トレイでは、収納トレイの上端縁から左右のレール部が左右に突設されたものであるため、収納トレイを上下反転させてミラーキャビネットの溝に取り付けると、レイアウトが変わってしまい、ミラーキャビネット底面と収納トレイの下部との間に隙間が生じてしまう等の問題点があった。
また、図13の斜視図で、図14の縦断面図で示すような、上端側の左右に突起6,6を有する従来の収納トレイ1においても、図15のように、ミラーキャビネット12に形成されている溝16,16内に突起6,6を差し込んで、ミラーキャビネット12に取り付けることができるが、図16に示すように、上下反転させて逆向きにして下端側の収納トレイ1を、溝16,16内に突起6,6を差し込んで取り付けると、図16のように、ミラーキャビネット12の底面15aと収納トレイ1の前板2の下端との間に隙間Sが形成されてしまい、意匠的および衛生的に問題が生ずるものであった。
また、従来の収納トレイ1では、内部に仕切りがないため、小物が乱雑に収納されてしまうという問題点があり、特に、化粧筆,口紅等の高さの低い収納物を取り出す際には、前板2に引っ掛かって取り出しにくいという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、キャビネットに隙間が生ずることなく上下を反転させて取り付けることができ、また、使い勝手が良好となる収納トレイの提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、深い収納面と浅い収納面が裏表に形成され、左右側面には、キャビネット側の溝に差し込み固定するための左右の突起が形成されてなる収納トレイであって、前記左右の突起は、前記収納トレイの高さ方向中央部に形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の収納トレイの左右の突起は、収納トレイの高さ方向中央部に形成されているため、収納トレイを上下反転させてキャビネットの溝に差し込み取り付けた場合でも、収納トレイの上下方向の位置は変わらないために、キャビネットの底面と収納トレイの下部に隙間が生じることはなく、意匠的および衛生的に良好な取り付け状態が得られるものとなり、収納トレイを上下反転させて取り付け、ユーザーの使い勝手に応じて深い収納面あるいは浅い収納面の何れかを使い分けることができるものとなる。
【0007】
また、本発明の収納トレイにおいて、前記浅い収納面には、前後および/または左右方向に仕切りとなるリブが形成されているものとすることもできる。
こうすれば、リブが小物を収納する際の仕切りとなり、異なる収納小物を前後あるいは左右方向で整理できるため、ユーザーの使い勝手が向上するものとなる。
【0008】
また、本発明の収納トレイにおいて、前記浅い収納面には、前端側および後端側が立ち上がり該前端側と後端側を凹曲面で繋いだ形状のリブが前後方向に形成されているものとすることもできる。
こうすれば、化粧用の筆あるいは口紅等を収納トレイから手前に取り出す際に、収納トレイの前板に引っ掛かることなく、リブの凹曲面に沿ってスムーズに取り出すことができ、ユーザーの使い勝手が向上するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】収納トレイの斜視構成図である。
【図2】収納トレイの側面構成図である。
【図3】収納トレイの縦断面構成図である。
【図4】仕切りリブを設けた収納トレイの斜視構成図である。
【図5】図4の収納トレイの平面構成図である。
【図6】前後方向の仕切りリブを有する収納トレイの斜視構成図である。
【図7】仕切りリブと凹曲面リブを有する収納トレイの斜視構成図である。
【図8】凹曲面リブを有する収納トレイの斜視構成図である。
【図9】洗面化粧台の斜視構成図である。
【図10】収納空間内に溝が形成されたミラーキャビネットの正面拡大構成図である。
【図11】図10のミラーキャビネットの溝に収納トレイの突起を差し込んで収納トレイを取り付けた状態のミラーキャビネットの正面拡大構成図である。
【図12】収納トレイを上下反転させて取り付けた状態のミラーキャビネットの正面拡大構成図である。
【図13】従来の収納トレイの斜視構成図である。
【図14】従来の収納トレイの縦断面構成図である。
【図15】ミラーキャビネットの溝に従来の収納トレイの突起を差し込んで従来の収納トレイを取り付けた状態のミラーキャビネットの正面拡大構成図である。
【図16】従来の収納トレイを上下反転させて取り付けた状態のミラーキャビネットの正面拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、収納トレイの斜視構成図であり、図2は、収納トレイの側面構成図であり、図3は、収納トレイの縦断面構成図である。
この収納トレイ1は、前板2の裏側の左右端側から後方側に向かって左右の側板3,3が延び、左右の側板3,3の後端が前板2と平行な背板4で連結されて構成されており、左右の側板3,3の外側には、前板2の高さ方向中央部の位置に、外側へ突出して左右の突起6,6が形成されている。この各突起6は、前端側および後端側に傾斜した弾性片部6a,6bを有している。
【0011】
この収納トレイ1は、図3に縦断面を示すように、底板5の上方側に、前板2の高さの高い深い収納面P1が形成されており、底板5の下方側には、前板2の高さの低い浅い収納面P2が形成されている。
【0012】
図4は、収納トレイ1の変更例を示すものであり、収納トレイ1を上下反転させて浅い収納面P2側を上から見た斜視構成図であり、この図4の収納トレイ1の平面図は図5に示す。
収納トレイ1の浅い収納面P2には、左右方向に仕切りリブ7が設けられており、この仕切りリブ7の上端は、前板2の上端の高さと同等の高さに設定されており、この仕切りリブ7により、浅い収納面P2が前側と後側の収納部に区画されている。
【0013】
次に、図6において斜視図で示す収納トレイ1は、浅い収納面P2の中央部に、前板2から背板4に至る仕切りリブ7aを前後方向に形成させたものである。この仕切りリブ7aにより浅い収納面P2は左側と右側の収納部に区画されている。
【0014】
さらに図7で示す収納トレイ1は、浅い収納面P2に、左右方向に仕切りリブ7を立設し、仕切りリブ7の前側の収納部に、前板2から仕切りリブ7に至る前後方向の凹曲線リブ8,8,8を左右方向に所定間隔で形成し、更に仕切りリブ7の後側の収納部においても、仕切りリブ7から背板4に至る前後方向の凹曲線リブ8,8,8を左右方向に所定間隔で形成させたものである。
【0015】
この各凹曲線リブ8は、前端側および後端側が立ち上がり、前端側と後端側を凹曲線で繋いで形成したものであり、各凹曲線リブ8の上面は凹曲線状に湾曲しており、この上に、例えば化粧用の筆や口紅等を置くことができ、化粧筆等を取り出す際には、この凹曲線リブ8の凹曲線に沿って手前側へ取り出すことができるものであり、化粧筆等をスムーズに前板2に引っ掛かることなく取り出すことができ、使用勝手が良好なものとなる。
【0016】
なお、図8に示す収納トレイ1では、浅い収納面P2に、前板2から背板4に亘り前後方向に延びる凹曲線リブ8を左右方向に間隔をおいて複数形成したものである。
このような複数の凹曲線リブ8上には、前述したように化粧筆等を置いて、前板2に引っ掛かることなくスムーズに取り出すことができるものである。
【0017】
このように図1〜図8に示すような形態の収納トレイ1においては、深い収納面P1を上にして用いる場合には、深い収納面P1内に高さの高い小物を良好に収納しておくことができ、また、反転させて浅い収納面P2を上側にして用いる場合には、浅い収納面P2内に高さの低い化粧小物等を収納させることができ、収納物の高さに応じて深い収納面P1と浅い収納面P2を使い分けることができ、ユーザーの使い勝手が向上するものとなる。
【0018】
なお、図9は、洗面化粧台の斜視構成図であり、洗面化粧台10は、洗面器11の上部にミラーキャビネット12が立設されており、このミラーキャビネット12は、上端に照明器13が設けられ、下方側前面に3枚の鏡扉14が配置されたものであり、各鏡扉14の裏側は、図10に拡大して示すように収納空間15となっており、この収納空間15には、左右一対の溝16,16が上下方向に複数段形成されている。
このミラーキャビネット12の溝16,16内に、前方側から左右の突起6,6を差し込んで、突起6,6を介し収納トレイ1を溝16,16に固定させて、図11に示すように、収納空間15内に収納トレイ1を取り付けることができる。
【0019】
図11では、各収納トレイ1の深い収納面P1を上側にして、浅い収納面P2を下向きにして収納トレイ1を取り付けた状態を示している。
この図11の状態から、収納トレイ1を溝16,16から一旦抜き出し、上下反転させて再び突起6,6を溝16,16内に差し込んで、図12のように、上下反転させた状態で収納トレイ1をミラーキャビネット12の収納空間15内に取り付けることができ、図12の状態では、浅い収納面P2が上向きとなり、深い収納面P1が下向きとなる。
【0020】
この図12のように、収納トレイ1の上下を反転させて取り付ける場合でも、各収納トレイ1の突起6,6は、前板2の高さ方向中央部に形成されているものであるため、反転させても上下方向の位置は変わらず、そのため図11の取り付け状態でも、また図12の取り付け状態でも、収納空間15の底面15aと収納トレイ1の前板2の下縁との間に隙間が生ずることはなく、反転させて収納トレイ1を取り付けてもレイアウトは変わらず、意匠的,衛生的に良好な取り付け状態が得られるものである。
【0021】
このようにユーザーの使い勝手に応じて収納トレイ1の上下を反転させて、レイアウトを変更することなくミラーキャビネット12の収納空間15に収納トレイ1を取り付けて、収納物の高さに応じて使用状態を使い分けることができるものとなり、従来の図16で示したような隙間Sが生ずることがないものである。
【0022】
なお、本例の収納トレイ1において、突起6には前後に傾斜状の弾性片部6a,6bが形成されているため、突起6をミラーキャビネットの溝16内に前方側から差し込んで固定する際に、この弾性片部6aの前端が溝16の底面に弾着し、弾性片部6bの後端は溝16の上面に弾着して、溝16の上下面を弾性片部6a,6bで押圧して、強固にがたつくことなく溝16,16に収納トレイ1を固定することができるものである。
【0023】
なお、本例では、深い収納面P1と浅い収納面P2を有する収納トレイ1において凹曲線リブ8,8,8を設けたものを例示しているが、凹曲線リブ8は、図13,図14に示すような従来の収納トレイ1においても複数形成させておくと、化粧筆や口紅等を収納した際に、この凹曲線リブ8の上面の凹曲線に沿って、化粧筆等を前方側へスムーズに前板2に引っ掛かることなく取り出すことができるものとなる。
【符号の説明】
【0024】
1 収納トレイ
2 前板
3 側板
4 背板
5 底板
6 突起
6a,6b 弾性片部
7,7a 仕切りリブ
8 凹曲線リブ
10 洗面化粧台
12 ミラーキャビネット
14 鏡扉
15 収納空間
15a 底面
16 溝
P1 深い収納面
P2 浅い収納面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
深い収納面と浅い収納面が裏表に形成され、左右側面には、キャビネット側の溝に差し込み固定するための左右の突起が形成されてなる収納トレイであって、
前記左右の突起は、前記収納トレイの高さ方向中央部に形成されていることを特徴とする収納トレイ。
【請求項2】
前記浅い収納面には、前後および/または左右方向に仕切りとなるリブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納トレイ。
【請求項3】
前記浅い収納面には、前端側および後端側が立ち上がり該前端側と後端側を凹曲面で繋いだ形状のリブが前後方向に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−85912(P2013−85912A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232299(P2011−232299)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)