説明

収納装置およびその制御方法

【課題】除霜時間を短縮できるショーケースを提供する。
【解決手段】ショーケース1は、陳列室3と、供給ダクト21と、吸引ダクト22と、吸引ダクト22と供給ダクト21とを接続する接続ダクト23とを有する。接続ダクト23は、エバポレータ31と、送風用のファン32とを含み、ショーケース1はコンデンサ42およびコンプレッサ41と、ホットガスバイパス弁35と、接続ダクト23の底面に配置された電気ヒータ33aおよび33bとをさらに有する。ショーケース1は、除霜モードにおいて、送風用のファン32を停止するとともに、コンプレッサ41を駆動し、ホットガスバイパス弁35を開いてエバポレータ31を加熱し、かつ、電気ヒータ33aおよび33bをオンにすることにより接続ダクト23を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を冷却または冷凍した状態で展示するのに適したショーケースなどの収納装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平型冷凍冷蔵オープンショーケースにおいて、冷却器に除霜ヒータを付設し、除霜運転を除霜ヒータへの通電を行なう除霜動作と該除霜動作終了後の水切り動作とで構成することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、冷蔵室用冷却器の除霜運転を行なう際に、冷蔵室用ファンも運転して、特に、過着霜状態となった場合におけるアルミ箔ヒータの熱容量の不足を、冷蔵室用ファンの運転によって効果的に補い、除霜時間を短縮することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−277145号公報
【特許文献2】特開2002−81844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却器により冷却された空気を、冷蔵庫あるいは冷凍庫へ供給するためのファンを、除霜時も駆動させることにより、除霜用のヒータにより暖められた空気が循環するので、除霜時間を短縮できる。しかしながら、その一方で、除霜用のヒータにより暖められた空気が冷蔵庫あるいは冷凍庫へも供給されるので、庫内温度が上昇する。庫内温度が上昇すると、冷蔵保存あるいは冷凍保存された商品に影響がでる可能性がある。除霜時間を短時間にすることにより庫内温度の上昇を限定し、冷蔵保存あるいは冷凍保存された商品に対する影響を最小限に抑えたとしても、除霜により上昇した庫内温度を、除霜終了後に下げる必要があり、そのために余分なエネルギーを消費する。
【0005】
アイスクリームケースなどの平型の冷凍オープンショーケースにおいては、エアーカーテンを作る際に大量の外気も吸い込むので、冷却器に霜が着きやすい。したがって、除霜運転を頻繁に行なう必要があり、除霜中の庫内温度の上昇をできるだけ抑えることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、商品を冷蔵および/または冷凍した状態で陳列するための陳列室と、陳列室に冷気を供給するための供給ダクトと、陳列室から空気を吸引するための吸引ダクトと、吸引ダクトおよび供給ダクトを接続する接続ダクトとを有する収納装置である。接続ダクトは、吸引された空気を冷却するためのエバポレータと、送風用のファンとを少なくとも内蔵する。さらに、収納装置は、冷媒を冷却するためのコンデンサと、冷媒を圧縮し、エバポレータに対し、コンデンサにより冷却された冷媒を供給するためのコンプレッサとを有する。この収納装置は、さらに、陳列室へ冷気を供給する冷気供給モードと、エバポレータの除霜を行う除霜モードとを繰り返して制御することを含む制御ユニットを有し、この制御ユニットは、送風用のファンおよびコンプレッサを駆動することを含む冷気供給制御機能と、送風用のファンを停止することを含む除霜制御機能とを備えている。
【0007】
この収納装置においては、制御ユニットの除霜制御機能により、除霜するときに、送風用のファンを停止する。冷気を陳列室へ供給する送風用のファンを強制的に停止することにより、除霜の際に接続ダクト内において温度が上昇する空気が陳列室へ供給されることを抑制できる。
【0008】
除霜制御機能により送風用のファンを停止することにより除霜ヒータに加温された空気を用いてエバポレータなどを全体的に除霜することが難しくなる。逆に、送風用のファンを停止することにより温風が陳列室に供給されにくくなるので、除霜が必要な個々の要素、例えば、エバポレータとダクトの所定の部分(領域或いは場所)とを個別に加熱して、限られた範囲を高温にすることができる。したがって、短時間で除霜が可能となり、除霜中に陳列室の温度が上昇することも抑制できる。
【0009】
このため、収納装置は、接続ダクトの底面の少なくとも一部を加熱するための第1の電気ヒータを、さらに有し、制御ユニットの冷気供給制御機能は、第1の電気ヒータをオフし、除霜制御機能は、第1の電気ヒータをオンにすることが好ましい。第1の電気ヒータの一例は、接続ダクトの底面の一部の外側または内側に配置されたヒータである。第1の電気ヒータの他の1つの例は、接続ダクトの底面に輻射熱が達するように配置されたシーズヒータである。エバポレータを除霜する際に集中的に加熱する1つの例は、コンプレッサにより圧縮され、コンデンサにより冷却される前の冷媒をエバポレータに導くためのホットガスバイパス弁を設けることである。エバポレータを集中的に加熱する他の1つの例は、冷凍サイクルを逆転させることである(リバースサイクル)。エバポレータを集中的に加熱するさらに他の1つの例は、エバポレータに輻射熱が到達するように配置されたシーズヒータである。
【0010】
この収納装置は、さらに、吸引ダクトの吸引口の近傍の少なくとも一部を加熱するための第2の電気ヒータを有することが望ましく、制御ユニットの冷気供給制御機能は、第2の電気ヒータをオフし、除霜制御機能は、第2の電気ヒータをオンすることが好ましい。除霜中に送風用のファンを駆動しないので、流動する空気によりダクト内を除霜することは難しい。その一方で、空気が流動しないので、ダクト内において霜が着きやすいところはヒータで温度を上げて急激に除霜しても、陳列室の温度上昇の直接の要因にはならない。吸引ダクトの吸引口の近傍は、外気が侵入した際に急激に冷却される部分であり、吸引ダクトにおいて霜が着きやすいところの1つである。したがって、その部分に第2の電気ヒータを設置することにより、限られた領域を高温にして、除霜を効率よく短時間に行なうことができる。
【0011】
制御ユニットは、さらに、コンプレッサを停止するとともに、送風用のファンを駆動することを含む水切り制御機能を備えていることが望ましい。送風用のファンを回して、除霜制御機能により加温されている部分を、それらに付着した水分を蒸発させて潜熱を奪うことにより、水切りとともにそれらを急激に冷却することができる。この段階で、陳列室に加温された空気が供給される可能性があるが、除霜中に加温された部分の温度が下がるのを待って冷気供給制御を開始するよりは、短時間で冷気を供給するサービスを開始でき、陳列室内の条件を維持し易い。
【0012】
エバポレータは、複数の管部を備えており、長手方向および周方向に断続した形状の間欠型のフィンがそれぞれの管部の半径方向に突き出ているものであることが望ましい。このような管は、スパインフィン型チューブとも称されており、霜あるいは氷は、フィンの先端に付着し、成長する。したがって、プレートフィンあるいはコルゲートフィンのように、フィンの間が氷で詰まる可能性は少なく、性能が維持し易い。それとともに、ホットガスによりエバポレータを急激に加熱したときに、チューブの回りの氷が部分的に融けてフィン上部の氷がフィン下部に積み重なってしまうというような現象も発生しにくく、急速除霜が可能なタイプのエバポレータである。
【0013】
陳列室の一形態は、一部が開口になったオープンショーケースであり、特に、上方が開口している断面がコ字形の平型である。この平型のショーケースにおいては、供給ダクトの供給口および吸引ダクトの吸引口は、陳列室の対峙する壁の上部に配置されている。オープンショーケースにおいては、エアーカーテンを形成する際に、外気を吸い込むのでエバポレータおよび/またはダクトに霜が着きやすく、除霜を頻繁に行なう可能性が高い。したがって、オープンショーケースは、本発明により除霜時間を短縮可能であり、冷気供給時間を延ばすことができるので、商品の品質を長時間にわたり維持し易くなる。
【0014】
本発明の他の形態は、収納装置の制御方法である。収納装置は、商品を冷蔵および/または冷凍した状態で陳列するための陳列室と、陳列室に冷気を供給するための供給ダクトと、陳列室から空気を吸引するための吸引ダクトと、吸引ダクトと供給ダクトとを接続する接続ダクトとを有する。接続ダクトは、吸引された空気を冷却するためのエバポレータと、送風用のファンとを少なくとも内蔵する。さらに、収納装置は、エバポレータに対し、コンデンサにより冷却された冷媒を供給するためのコンプレッサを有する。そして、本発明の他の形態の制御方法は、送風用のファンおよびコンプレッサを駆動することを含む冷気供給モードと、送風用のファンを停止することを含む除霜モードとを有する。
【0015】
収納装置は、さらに、接続ダクトの底面の少なくとも一部を加熱するための第1の電気ヒータを有し、冷気供給モードでは、第1の電気ヒータをオフし、除霜モードでは、第1の電気ヒータをオンにすることが好ましい。
【0016】
また、収納装置は、さらに、吸引ダクトの吸引口およびその近傍の少なくとも一部を加熱するための第2の電気ヒータを有し、冷気供給モードでは、第2の電気ヒータをオフし、除霜モードでは、第2の電気ヒータをオンにすることが好ましい。
【0017】
また、コンプレッサを停止するとともに、送風用のファンを駆動することを含む水切りモードを有することが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に、本発明の実施形態に係る収納装置の概略構成を断面図により示している。この収納装置1は、アイスクリーム、冷凍食品などを収納および陳列販売するのに適したオープンタイプの冷凍ショーケースであり、床置き型で上部が開口2になった平型(平らな直方体状)のハウジング10を有し、このハウジング10の中央が、上方が開いた断面がほぼコ字形の陳列室(貯蔵空間)3となっている。ショーケース1は、さらに、陳列室3に対し冷気Aを循環させるダクトシステム20を備えており、このダクトシステム20は、陳列室3を構成する内壁5と、ハウジング10との間に配置されている。
【0019】
ダクトシステム20は、陳列室3に冷気Aを供給するための供給ダクト21と、陳列室3から空気を吸引するための吸引ダクト22と、吸引ダクト22と供給ダクト21とを接続し、吸引された空気を冷却するためのエバポレータ31と、送風用のファン(送風ファン)32とを内蔵した接続ダクト23とを備えている。接続ダクト23は、陳列室3を構成する内壁5の底部5bの反対側に、底部5bに沿って延びており、供給ダクト21および吸引ダクト22は、内壁5の側部(側壁)5aおよび5cに沿って立ち上がっている。そして、供給ダクト21および吸引ダクト22は、対峙する側壁5aおよび5cの上部に設けられた供給口25および吸引口26にそれぞれ繋がり、冷気Aにより、陳列室3の上部開口にエアーカーテンを形成できるようになっている。
【0020】
ショーケース1は、さらに、接続ダクト23の下側に配置された排熱部40を有する。排熱部40は、エバポレータ31に供給される冷媒を圧縮するためのコンプレッサ41と、圧縮された冷媒を冷却するためのコンデンサ42と、外気を導入してコンデンサ42を冷却するための放熱用のファン43とを備えている。また、排熱部40には、ドレンを自己蒸発するためのドレンパン44が設けられており、接続ダクト23からドレン管39を介してドレンを受け入れられるようになっている。
【0021】
ショーケース1は、さらに、接続ダクト23の底面23bに配置された除霜用の電気ヒータ33aおよび33bと、吸引ダクト22の吸引口26の近傍に配置された除霜用の電気ヒータ34aおよび34bとを有する。電気ヒータ33aは、接続ダクト23の底面23bの中のエバポレータ31の下側になる領域に配置されている。電気ヒータ33bは、接続ダクト23の底面23bの中の、送風用のファン32の上流に配置されている。接続ダクト23の底面23bのエバポレータ31の下側は、エバポレータ31で発生した霜あるいは氷が堆積しやすい領域である。また、吸引ダクト22の吸引口26の近傍は、吸引された空気に含まれる湿分が氷結し、霜および/または氷となって付着し易い領域である。特に、陳列室3の一部が開口2になったオープンタイプのショーケース(オープンショーケース)においては、開口2にエアーカーテンを形成する際に、冷気Aのみではなく外気も吸い込むので、外気に含まれる湿分が霜あるいは氷となってエバポレータ31などに付着したり堆積したりする。付着した霜あるいは氷は、熱伝達の妨げになり、また、ダクト内の開口面積を減らすために圧力損失が発生し、陳列室3へ冷気Aを供給する能力が減る要因となる。したがって、風量の低下などの所定の条件に達したとき、および/または定期的に、霜および/または氷を除去する除霜運転を行なう必要がある。
【0022】
図2に、ショーケース1の冷媒サイクルと制御構成とを示している。ショーケース1は、コンプレッサ41、コンデンサ42、エバポレータ31を含む冷媒サイクル45を有する。この冷媒サイクル45は、さらに、コンプレッサ41により圧縮され、コンデンサ42により冷却された冷媒を膨張してエバポレータ31に供給するための膨張弁46と、コンプレッサ41により圧縮され、コンデンサ42により冷却される前の冷媒(ホットガス)をエバポレータ31に導くためのホットガスバイパス弁35とを備えている。ホットガスバイパス弁35は、エバポレータ31を除霜する際に開になり、冷気を供給する通常のサービス状態では閉である。
【0023】
ショーケース1は、さらに、送風用のファン32、コンプレッサ41、排熱用のファン43、ホットガスバイパス弁35、電気ヒータ33a、33b、34aおよび34bを制御する機能を備えた制御ユニット50を有する。制御ユニット50は、冷気供給モードにおける各機器を制御するための冷気供給制御機能51と、除霜モードにおける各機器を制御するための除霜制御機能52と、水切りモードにおける各機器を制御するための水切り制御機能53とを含む。冷気供給モードにおいては、冷気供給制御機能51により、図2に示すように、送風用のファン32、排熱用のファン43およびコンプレッサ41がオンになり、ホットガスバイパス弁35が閉になり、電気ヒータ33a、33b、34aおよび34bはオフとなる。したがって、送風用のファン32の吸引力により吸引口26から吸い込まれた空気は、吸引ダクト22を介して接続ダクト23に導かれ、エバポレータ31により冷却される。そして、冷却された空気(冷気)Aは、供給ダクト21を通って供給口25から陳列室3に供給され、陳列室3を冷却するとともに、開口2にエアーカーテンを形成する。この間、吸引ダクト22の吸引口26の近傍、接続ダクト23の底面23b、エバポレータ31には霜あるいは氷が付着および堆積する。
【0024】
除霜モードにおいては、除霜制御機能52により、送風用のファン32が停止するとともに、排熱用のファン43およびコンプレッサ41が駆動され、ホットガスバイパス弁35が開になりエバポレータ31が加熱される。さらに、電気ヒータ33a、33b、34aおよび34bがオン(通電)になることにより接続ダクト23の底面23bおよび吸引ダクト22の吸引口26の近傍といった着霜または着氷が発生しやすい場所が加熱される。エバポレータ31に付着および/または堆積していた霜あるいは氷は融けてドレン化される。これらのドレンは、接続ダクト23の底面23bを通り、ドレン管39を介してドレンパン44に回収される。また、吸引ダクト22および接続ダクト23に付着および/または堆積していた霜あるいは氷も融けてドレン化される。この際、送風用のファン32は停止しているので、図3に示すように、吸引ダクト22、接続ダクト23および供給ダクト21を含むダクトシステム20の内部の空気の流れ(強制的な流れ)は止まり、陳列室3にはダクトシステム20からは冷風も温風も供給されない。
【0025】
水切りモードにおいては、水切り制御機能53により、コンプレッサ41が停止するとともに、ホットガスバイパス弁35が閉じ、電気ヒータ33a、33b、34aおよび34bがオフになり、送風用のファン32が駆動される。したがって、吸引ダクト22、接続ダクト23および供給ダクト21を含むダクトシステム20の内部に空気が流れる。その空気の流れにより接続ダクト23の底面23b、吸引ダクト22の吸引口26の近傍、エバポレータ31などに残っていたドレンがドレン管39を介して回収され、または、蒸発される。また、ドレンが蒸発する潜熱により、加熱されてドレンが発生していた部分、すなわち、接続ダクト23の底面23b、吸引ダクト22の吸引口26の近傍、およびエバポレータ31が冷却される。
【0026】
所定の時間、水切りモードの運転を続けた後、冷気供給モードに移行する。冷気供給制御機能51により、ダクトシステム20から冷風Aが陳列室3に供給され、陳列室3が冷却される。ダクトシステム20の一部およびエバポレータ31が加熱される除霜モードにおいては、ダクトシステム20から陳列室3に空気は供給されない。したがって、ダクトシステム20の一部およびエバポレータ31が加熱されることによる陳列室3への影響を抑制できる。
【0027】
水切りモードにおいては、エバポレータ31により積極的には温度が制御されていない状態の空気が陳列室3へ供給される。ダクトシステム20の一部およびエバポレータ31は加熱されているので、水切りモードにおいて、特に、水切りモードの初期において温度の高い空気が陳列室3に供給される可能性がある。しかしながら、水切りモードの時間は、冷気供給モードに対して非常に短時間であり、例えば、8時間の冷気供給モードに対して、除霜モードの時間が15分程度、水切りモードの時間が2分間程度と予想される。したがって、このショーケース1においては、8時間の冷気供給に対して、除霜のときは空気(風)が陳列室3に供給されず、水切りの2分程度の間、除霜が終了したダクトシステム20を通過した空気(風)が陳列室3に供給される。
【0028】
図4(a)に、上述した各機器のオンオフの状況を示している。また、図4(b)に、このショーケース1の制御方法において、冷気供給モード55、除霜モード56および水切りモード57が遷移する様子を示している。ショーケース1を起動すると、まず、冷気供給モード55になる。このモードでは、冷気供給制御機能51により、コンプレッサ41および送風ファン32がオンになる。したがって、冷媒サイクル45が動き、エバポレータ31により冷却された冷風がダクトシステム20から陳列室3に供給される。
【0029】
所定のサービス時間T1、例えば8時間が経過すると、除霜モード56に移行する。除霜モード56へ移行するタイミングは、サービス時間T1で管理しても良く、供給ダクト21から供給される冷風の風量低下などの要素により管理しても良い。除霜モード56においては、除霜制御機能52により、送風ファン32が停止し、ホットガスバイパス弁35がオープンし、各ヒータ33a、33b、34aおよび34bがオンになる。したがって、ホットガスと各ヒータ33a、33b、34aおよび34bの熱により、霜あるいは氷が付着する部分、または霜などが付着し易い部分、すなわち、エバポレータ31、ダクトの所定の部分が発熱して温度が上昇し、それらの部分に付着した霜あるいは氷を溶かす。
【0030】
除霜モード56においては、制御ユニット50の除霜制御機能52により、送風ファン32を停止する。ダクトシステム20から陳列室3へ空気(風)を供給する送風ファン32を強制的に停止することにより、除霜の際に接続ダクト23の内部で急激に温度を上げても、陳列室3へ温風が供給されることはない。このため、エバポレータ31はホットガスにより急速加熱でき、接続ダクト23の霜が付着および/または堆積しやすい部分は、電気ヒータ33aおよび33bにより急速に加熱できる。したがって、霜および/または氷が付着または堆積している部分を集中して加熱し、霜および/または氷を急速に溶かすことができる。このため、除霜運転の時間(除霜時間)T2を短縮できる。
【0031】
除霜時間T2、例えば15分が経過すると、水切りモード57へ移行する。水切りモード57においては、水切り制御機能53により、送風ファン32がオンになり、コンプレッサ41がオフになり、ホットガスバイパス弁35、各ヒータ33a、33b、34aおよび34bもオフになる。したがって、冷媒サイクル45は動作しないので冷却はされず、各ヒータ33a、33b、34aおよび34bも発熱しない。この状態で、空気だけがダクトシステム20を循環し、水切りを行なう。
【0032】
水切り時間T3、例えば2分が経過すると、冷気供給モード55に移行する。したがって、再び、冷媒サイクル45が動き、エバポレータ31により冷却された冷風がダクトシステム20から陳列室3に供給される。
【0033】
図5に、吸引ダクト22の吸引口26の近傍の構成を拡大して示している。吸引口26の近傍は、エアーカーテンを形成した冷気Aが外気とともに吸い込まれ、外気の温度が冷気Aにより急激に低下する領域になる。したがって、吸引口26の近傍、特に、吸引ダクト22の内部は、外気の湿分が最初に結露し、霜が着きやすい部分である。外気の湿度が高い場合は、霜が付着し易い。従来の除霜運転においては、ファンを駆動してダクトシステム内で空気を循環させている。したがって、吸引口26からは、ダクト内で除霜のために加温された空気または外気が吸い込まれるので、吸引口26の近傍は除霜時に温度が上がり易い部分の1つであり、ヒータなどを設けなくても良好に除霜できる。
【0034】
このショーケース1においては、除霜モード56において、送風ファン32が停止するので、吸引口26から外気あるいは加温された空気は吸い込まれない。このため、吸引ダクト22の吸引口26の近傍をL字型に曲げて、吸引口26の直下のパネル28aの裏面に電気ヒータ34bを設置している。さらに、吸引口26の下方にフラットな領域(水平な部分)29を生成し、そのフラットな領域29に電気ヒータ34aを設置している。
【0035】
このフラットな領域29は霜が堆積しやすく、堆積した霜を除去し易い。すなわち、この例では、吸引ダクト22の特定の場所に霜が堆積しやすい形状を設けて、そこにヒータ34aを設置し、ヒータ34aにより集中加熱することにより、除霜時に霜を除去し易くしている。同時に、フラットな領域29の直上にある吸引口26の近傍もヒータ34bにより暖められる。したがって、吸引口26の近傍に付着した霜も除去することができ、霜を溶かしたドレンはヒータ34aにより加熱されているフラットな領域29に滴化するので再凍結することがなく、霜を良好に除去できる。
【0036】
また、吸引口26の下側のパネルは、吸引口26の直下のパネル28aを、その下のパネル28bよりもダクト22の内側に配置している。吸引口26の直下のパネル28aの外側の面に霜が付いた場合でも、除霜のときに、霜が融けたドレンが吸引ダクト22の内部に滴下する。したがって、陳列室3の内部に収納された商品がドレンで濡れるのを抑制できる。
【0037】
図6に、エバポレータ31の一部の構成を拡大し、断面図により示している。エバポレータ31は、スパインフィン64を備えたチューブ(スパインフィンチューブ)69を、接続ダクト23を横断する方向に折り曲げて複数の管部66を形成したスパインフィン型の熱交換器である。したがって、それぞれのチューブ本体62からは、長手方向および周方向に断続した形状のスパインフィン64が半径方向に突き出ている。スパインフィンチューブ69は、板材に切れ目を入れて短冊状に形成し、板材をΠ状に折り曲げた帯状部材をフィン64としてチューブ本体62に螺旋状に巻きつけて接合することにより製造できる。
【0038】
スパインフィン64の間隔は、根元(チューブ本体62の側)は狭く、先端は広くなっている。したがって、スパインフィンチューブ69を採用したエバポレータ31では、着霜または着氷が進んでも、フィン64の先端が広がっているので閉塞し難く、冷風Aの風量低下を防ぐことができる。さらに、ホットガスにより急速に加熱したときに、フィン64の先端が広がっているので、チューブ本体62から融けて離れた霜あるいは氷がフィン64から離れ易い。したがって、プレートフィンあるいはコルゲートフィンのようにチューブから融けて離れた霜あるいは氷がフィンの間に挟まり、風量の改善が難しくなることは少ない。このため、エバポレータ31にホットガスを流すことにより急激に加熱し、短時間で除霜できる。また、エバポレータ31の温度を上げても、送風ファン32が停止しているので加温された空気が陳列室3に流れ込むことがなく、陳列室3の冷凍食品が融けたり、アイスクリームが軟化したりすることを防ぐことができる。
【0039】
このように、ショーケース1においては、除霜する際に、温風をダクトシステムに循環することによりダクトシステム内に付着または堆積した霜や氷を除去するのではなく、空気の循環を止めて、霜や氷が付着したり、堆積しやすいところを部分的に加熱することにより霜や氷を除去する。したがって、除霜中の熱が陳列室3に及ぶのを防止でき、除霜中に陳列室3の温度が急激に上昇して冷凍食品などの被冷蔵物の品質が低下するのを防ぐことができる。このショーケース1においては、除霜中の空気の循環を止めるために、例えば、吸引ダクト22の吸引口26の近傍などの着霜あるいは着氷が発生しやすい領域あるいは場所には、ヒータを配置し、除霜する必要がある。また、着霜あるいは着氷が発生しやすい領域は、ヒータによる除霜効果を上げるために、積極的に着霜あるいは着氷が発生しやすい場所あるいは形状を設けて、そのような場所にヒータを設置することも有効である。
【0040】
なお、上記のショーケース1では、ヒータをダクトの着霜が問題となると考えられる部分の外側または内側に沿って配置している。ヒータは、それらの部分を加熱できるものであれば良い。例えば、それらの部分に輻射熱が供給されるようにダクト内に配置されたシーズヒータであっても良い。また、上記のショーケース1では、エバポレータを加熱するためにバイパス弁を介して供給されるホットガスを使用しているが、冷凍サイクルを逆転(リバースサイクル)させても良い。さらに、エバポレータを加熱するようにシーズヒータを配置しても良い。
【0041】
除霜後は、適当な時間、送風ファン32も駆動せず、冷媒サイクル45も動かさずに状態を放置して自然にドレンが切れる(水切り)されるようにしても良い。陳列室3に除霜後の熱の影響も及ばないので、その点では好ましい。しかしながら、冷気供給に移行するまでに時間が経過するので、冷風の供給が遅くなる可能性がある。上記のように、水切りモード57を設けて、送風ファン32を駆動してダクトシステム20の内部に空気を循環しても良く、水切りを促進するとともに、ドレンの蒸発を促進し、ドレンの再凝固を防止し、また、蒸発熱(潜熱)を奪うことにより、除霜のために加熱された部分を急速に冷却できる。したがって、除霜後、冷気供給に移行する時間を短縮できる。
【0042】
なお、上記では、平型のオープンショーケースを例に本発明を説明しているが、平型に限らず、正面あるいは背面が開放されたオープンショーケースであっても良い。さらに、ドアなどにより開閉可能な陳列室(収納室、貯蔵室)を備えたクローズドタイプ、あるいは半クローズドタイプのショーケースに対しても本発明を適用することにより、除霜時間を短縮でき、陳列室内に収納された商品の品質劣化を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】平型のショーケースの概略構成を示す断面図。
【図2】図1に示すショーケースの冷媒サイクルおよびシステム構成を示す図であり、冷気供給の状態(冷気供給モード)を説明するための図。
【図3】図1に示すショーケースの冷媒サイクルおよびシステム構成を示す図であり、除霜の状態(除霜モード)を説明するための図。
【図4】図4(a)はそれぞれのモードにおける機器のオンオフ状況を示し、図4(b)は各モードへの移行を示す。
【図5】吸引ダクトの吸引口の近傍の構成を拡大して示す断面図。
【図6】エバポレータの構成を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 ショーケース、 3 陳列室(収納領域)、 5 陳列室の内壁
10 ハウジング
20 ダクトシステム、 21 供給ダクト、 22 吸引ダクト、 23 接続ダクト
25 供給口、 26 吸引口
31 エバポレータ、 32 送風用のファン(送風ファン)
33a、33b、34a、34b ヒータ(電気ヒータ)
35 ホットガスバイパス弁
41 コンプレッサ、 42 コンデンサ
50 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を冷蔵および/または冷凍した状態で陳列するための陳列室と、
前記陳列室に冷気を供給するための供給ダクトと、
前記陳列室から空気を吸引するための吸引ダクトと、
前記吸引ダクトおよび前記供給ダクトを接続し、吸引された空気を冷却するためのエバポレータおよび送風用のファンを少なくとも内蔵した接続ダクトと、
冷媒を圧縮し、前記エバポレータに対し、コンデンサにより冷却された冷媒を供給するためのコンプレッサと、
前記陳列室へ冷気を供給する冷気供給モードと、前記エバポレータの除霜を行う除霜モードとを繰り返して制御することを含む制御ユニットとを有し、
前記制御ユニットは、前記送風用のファンおよび前記コンプレッサを駆動することを含む冷気供給制御機能と、前記送風用のファンを停止することを含む除霜制御機能とを備えている、収納装置。
【請求項2】
請求項1において、前記接続ダクトの底面の少なくとも一部を加熱するための第1の電気ヒータを、さらに有し、
前記制御ユニットの前記冷気供給制御機能は、前記第1の電気ヒータをオフし、前記除霜制御機能は、前記第1の電気ヒータをオンにする、収納装置。
【請求項3】
請求項2において、前記吸引ダクトの吸引口の近傍の少なくとも一部を加熱するための第2の電気ヒータを、さらに有し、
前記制御ユニットの前記冷気供給制御機能は、前記第2の電気ヒータをオフし、前記除霜制御機能は、前記第2の電気ヒータをオンにする、収納装置。
【請求項4】
請求項1において、前記制御ユニットは、さらに、前記コンプレッサを停止するとともに、前記送風用のファンを駆動することを含む水切り制御機能を備えている、収納装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記エバポレータは、複数の管部を備えており、長手方向および周方向に断続した形状の間欠型のフィンがそれぞれの管部の半径方向に突き出ている、収納装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記陳列室は、上方が開口している断面がコ字形の平型である、収納装置。
【請求項7】
商品を冷蔵および/または冷凍した状態で陳列するための陳列室を有する収納装置の制御方法であって、前記収納装置は、さらに、
前記陳列室に冷気を供給するための供給ダクトと、
前記陳列室から空気を吸引するための吸引ダクトと、
前記吸引ダクトおよび前記供給ダクトを接続し、吸引された空気を冷却するためのエバポレータおよび送風用のファンを少なくとも内蔵した接続ダクトと、
冷媒を圧縮し、前記エバポレータに対し、コンデンサにより冷却された冷媒を供給するためのコンプレッサとを有し、
当該制御方法は、
前記送風用のファンおよび前記コンプレッサを駆動することを含む冷気供給モードと、
前記送風用のファンを停止することを含む除霜モードとを有する、制御方法。
【請求項8】
請求項7において、前記収納装置は、さらに、前記接続ダクトの底面の少なくとも一部を加熱するための第1の電気ヒータを有し、
前記冷気供給モードでは、前記第1の電気ヒータをオフし、前記除霜モードでは、前記第1の電気ヒータをオンにする、制御方法。
【請求項9】
請求項7において、前記収納装置は、さらに、前記吸引ダクトの吸引口およびその近傍の少なくとも一部を加熱するための第2の電気ヒータを有し、
前記冷気供給モードでは、前記第2の電気ヒータをオフし、前記除霜モードでは、前記第2の電気ヒータをオンにする、制御方法。
【請求項10】
請求項7において、さらに、前記コンプレッサを停止するとともに、前記送風用のファンを駆動することを含む水切りモードを有する、制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−151439(P2008−151439A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341071(P2006−341071)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(591150797)GAC株式会社 (69)
【Fターム(参考)】