説明

取引予約案内装置及びプログラム並びにシステム

【課題】 取引項目と時間帯の予約による窓口取引の混雑の緩和を図り、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減をはかる。
【解決手段】 制御装置10は、利用者によって表示入力装置11を介して入力される取引項目と取引時間帯からなる取引予約情報を記憶装置12に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置11に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引予約案内装置及びプログラム並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行には、簡易金融取引を行うATM(Automated Teller Machine)コーナと、専門的な金融取引を行う窓口コーナとが配置されている。利用者は、ATMだけで取引が済む場合は、待ち時間が比較的短く、かつ営業時間が長いATMコーナに並んだ方が都合がよいと考えるのが普通である。しかしながら、取引内容によっては窓口コーナでなければ処理できないものがある。
【0003】
窓口コーナは、銀行店内に設けられ、1台以上の窓口端末と、番号札発行装置とが設置される。窓口端末は、カウンタ内に設置され、銀行のオペレータにより操作される。オペレータは、一定の金額を越える振り込み、相談、あるいは新規口座開設、通帳繰越等の専門的な取引を行い、カウンタを挟んで対面する利用者に対してATMを補完する役割を担う。
【0004】
窓口コーナにおける取引の効率化を図り、順番待ちに対する利用者の不満感を減らすための提案が従来から多数提案されている。例えば、待ち時間と順番を表示する利用者案内システム(特許文献1)、利用者の受付順の進行状況を確認できるようにした順番表示システム(特許文献2)、待ち時間に他のサービスを提供する整理番号発行装置(特許文献3)、取引目的を一元管理し、複数の取引目的を利用者に選択させ、利用者を誘導する受付処理装置(特許文献4)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−147187号公報
【特許文献2】特開2002−312474号公報
【特許文献3】特開2003−331039号公報
【特許文献4】特開2008−226274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、窓口に呼ばれる利用者の順番は番号札発行装置により発行される整理番号によって管理される。利用者は、発行される番号札と、別途表示される現在処理中の番号とを見比べることにより、自分に割り当てられた順番の待ち時間を勝手に予測することになる。このため、待ち時間に余裕がある場合、銀行を出て書店に立ち寄る等、他の用事を済ますことがある。その用事によっては自分に割り当てられた順番を逸することがあり、用事が済んだ再来店時には、自分より後の順番に割り当てられた利用者の取引が処理されていることがある。この場合、不満が募ると共にトラブルの原因になることが多々あった。
【0007】
又、銀行側のオペレータにしても、窓口取引が混雑する時間帯と空き時間帯とがあり、このため、窓口取引の集中を分散して混雑時の滞留客の減少をはかり、利用者に与える不満感を解消させたいという要望がある。しかしながら、上記した特許文献1〜4のいずれにも、利用者に取引目的を選択させる記載はあっても、その時間帯まで含む予約ではないため、依然として窓口取引が集中する時間帯の分散はできず、このため、利用者の待ちに対する不満感の解消には至らない。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、取引項目と時間帯の予約による窓口取引の混雑の緩和を図り、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減をはかった、取引予約案内装置及びプログラム並びにシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の取引予約案内装置は、制御装置によって制御される、少なくとも、表示入力装置と、記憶装置とを備え、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目毎の予約案内を行う取引予約案内装置であって、前記制御装置は、前記表示入力装置に前記取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す利用者インタフェース提供手段と、利用者により前記表示入力装置を介して入力される前記取引予約情報を前記記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、前記予約待ち行列と前記記憶装置に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて前記取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して前記表示入力装置に表示する表示内容更新制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、制御装置は、利用者によって表示入力装置を介して入力される取引項目と取引時間帯からなる取引予約情報を記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置に表示する。このため、利用者は、表示入力装置に、取引項目と取引希望時間帯からなる取引予約情報を入力するだけで、表示されるマーカによって該当の取引項目の該当の時間帯の混雑の度合いを知ることが出来、従って、自分の都合の良い時間帯に取引予約を入れることが出来る。又、オペレータにしても自身の処理能力範囲内で取引スケジュールが決定され、かつ、利用者の予約により自然に取引が集中する時間帯が分散されるため窓口取引の混雑の緩和を図ることができる。その結果、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減がはかれる。
【0011】
上記発明において、前記表示内容更新制御手段は、前記処理能力情報が変更された場合に前記比較を行い、その結果によっては前記マーカを更新して前記表示入力装置に表示することを特徴とする。本発明によれば、処理能力情報の変更に追従して窓口取引の混雑の程度を示すマーカ表示が更新されるため、利用者は、最新の取引予約状況に従い自身の取引予約を入れることができる。
【0012】
上記発明において、前記表示内容更新制御手段は、前記オペレータが操作する取引終了釦の押下を検知した場合に、前記比較を行い、その結果によって前記マーカを更新して前記表示入力装置に表示することを特徴とする。本発明によれば、窓口取引を行うオペレータの人数の変更に追従して窓口取引の混雑の程度を示すマーカ表示が更新されるため、利用者は、最新の取引予約状況に従い自身の取引予約を入れることができる。
【0013】
上記発明において、前記取引予約情報による予約が受け付けられた場合に生成される、予約コードが付与された整理券を印刷する印刷装置を備え、前記表示内容更新制御手段は、利用者端末から通信ネットワーク経由で前記予約コードに基づく閲覧要求を受信した場合に、前記記憶装置を参照して前記マーカを含む最新の取引予約状況を取得し、前記閲覧要求のあった利用者端末に返信することを特徴とする。本発明によれば、予約コードに基づく取引項目の最新の予約状況の閲覧が可能になりマーカ表示の変化によって待ち行列の取引の処理状況を知ることが出来、待ちに対する不満感の解消に役立つ。
【0014】
上記発明において、整理券を発行する印刷装置を備え、前記表示内容更新制御部は、前記取引予約情報による受付が不可の場合、前記表示入力装置を介して利用者の来店可能週間スケジュールを取得し、利用者が希望する日時に予約を優先して受付けることを示すファストパス整理券を前記印刷装置に印刷出力することを特徴とする。本発明によれば、利用者が来店時に予約できなかった場合にファストパス整理券を発行してもらうことで、後日来店時に他に優先して予約が可能になり、窓口取引の混雑が緩和されると共に利用者に利便性を提供できる。
【0015】
本発明の取引予約案内プログラムは、コンピュータ上で実行され、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目毎に予約案内を行う取引予約案内プログラムであって、前記コンピュータに、前記取引項目を表示入力装置に表示し、利用者に対し、希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す処理と、利用者により前記表示入力装置を介して入力される前記取引予約情報を記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、前記予約待ち行列と前記記憶装置に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて前記取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して前記表示入力装置に表示する処理と、を実行させることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、コンピュータは、予めプログラムされた内容に基づき、利用者によって表示入力装置を介して入力される取引項目と取引時間帯からなる取引予約情報を記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置に表示する処理を実行する。このため、利用者は、表示入力装置に、取引項目と取引希望時間帯からなる取引予約情報を入力するだけで、表示されるマーカによって該当の取引項目の該当の時間帯の混雑の度合いを知ることが出来、従って、自分の都合の良い時間帯に取引予約を入れることが出来る。又、オペレータにしても自身の処理能力範囲内で取引スケジュールが決定され、かつ、利用者の予約により自然に取引が集中する時間帯が分散されるため窓口取引の混雑の緩和を図ることができる。その結果、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減がはかれる。
【0017】
本発明の取引予約案内システムは、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目の予約案内を行う取引予約案内装置と、この取引予約案内装置とは通信ネットワーク経由で接続され、最新の予約状況を閲覧可能な前記通信ネットワークへの接続環境を有する複数の利用者端末とから成る取引予約案内システムであって、前記取引予約案内装置は、表示入力装置に前記取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促し、利用者により前記表示入力装置を介して入力される前記取引予約情報を前記記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加し、前記予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較して前記取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して前記表示入力装置に表示すると共に、前記取引予約情報による予約が受け付けられた場合に生成される予約コードが付与された整理券を印刷装置に印刷する制御装置、を備え、前記利用者端末から前記通信ネットワーク経由で前記予約コードに基づく閲覧要求を受信した場合に、前記記憶装置を参照して前記マーカを含む最新の取引予約状況を取得し、前記閲覧要求のあった利用者端末に返信することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、取引予約案内装置は、利用者端末から通信ネットワーク経由で予約コードに基づく閲覧要求を受信した場合に、記憶装置を参照してマーカを含む最新の取引予約状況を取得し、閲覧要求のあった利用者端末に返信する。このため、利用者は、例えば銀行にいるかいないかに拘わらず、出向いたときに発行された予約コードに基づく取引項目の最新の予約状況の閲覧が可能になり、従って、マーカ表示の変化によって待ち行列の取引の処理状況を知ることが出来る。このため、所要で銀行を出たときの戻るタイミングを知ることが出来、従って、待ちに対する不満感の解消に役立ち、トラブル解消にも役立つ。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、取引項目と時間帯の予約による窓口取引の混雑の緩和を図り、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減をはかった、取引予約案内装置及びプログラム並びにシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る取引予約案内装置の構成を示すブロク図である。
【図2】本発明の実施形態に係る取引予約案内装置の基本処理動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る取引予約案内装置の出力データのデータ形式の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る取引予約案内装置の入力データのデータ形式を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る取引予約案内装置により表示される利用者のスケジュール管理表の表示形式を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る取引予約案内装置のスケジュール割り当て管理テーブル(SAT)の更新及び閲覧手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る取引予約案内システムの接続構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0022】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る取引予約案内装置の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態に係る取引予約案内装置1は、制御装置10と、表示入力装置11と、記憶装置12と、通信制御装置13と、印刷装置14と、取引項目(窓口カウンタ)毎に設置される取引終了釦15と、により構成される。
【0023】
制御装置10は、例えば、マイクロプロセッサで構成され、記憶装置12のプログラム領域121に記憶されてあるプログラムに従い、後述する取引予約案内他、接続される表示入力装置11、通信制御装置13、印刷装置14の制御を行う。表示入力装置11は、例えば、タッチパネルで構成され、LCD(Liquid Crystal Display)による表示、並びにLCD表面にマトリクス状に実装されたタブレットによりボインティング操作が行われる、表示・入力兼用の入出力デバイスである。尚、表示入力装置11を、表示と入力毎に別々のデバイスで構成しても良い。
【0024】
記憶装置12には、プログラム領域121の他に、作業領域122が一部領域に割り当てられ記憶される。作業領域122には、スケジュール割り当て管理テーブル(SAT)、窓口取引予約情報の待ち行列、取引綱目毎の取引能力情報他、表示メモリ(VRAM:Video RAM)等が一部領域に割り当てられ記憶される。
【0025】
通信制御装置13は、取引予約案内装置1が接続されるインターネット等のオープンネットワークとの接続環境を提供するもので、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が実装される。印刷装置14は、主に整理券発行用のプリンタであり、ここでは整理券に、更に後述するQRコード(登録商標)が印刷され出力される。尚、取引終了釦15は、オペレータが窓口カウンタを離れる際に押下される釦である。
【0026】
制御装置10は、実行するプログラムの構造が機能展開されて示されているように、主制御部100と、利用者インタフェース部101と、スケジュール生成部102と、比較部103と、スケジュール更新部104と、表示制御部105と、印刷情報生成部106とを含む。
【0027】
利用者インタフェース部101は、表示入力装置11に取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す機能を有する。スケジュール生成部102は、利用者により表示入力装置を介して入力される取引予約情報を記憶装置12の作業領域122の一部領域に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、後述するSATを生成する機能を有する。
【0028】
比較部103は、予約待ち行列と、記憶装置102の作業領域122に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果をスケジュール更新部104並びに印刷情報生成部106に出力する機能を有する。スケジュール更新部104は、比較部103による比較結果により、スケジュール生成部102により生成されるSATの内容を更新する機能を有する。尚、処理能力情報が変更された場合、あるいは取引終了釦15の押下を検知した場合にも比較部103による比較が行われ、スケジュール更新部104は、比較結果によってはマーカを更新する。
【0029】
表示制御部105は、スケジュール生成部102が生成する最新のSATの内容に基づき、例えば、図3(a)に示す当日の窓口取引項目予約状況の画面情報を生成して記憶装置12の作業領域122の一部領域に割り当てられるVRAMに書き込み、表示入力装置11の表示タイミングに同期して読み出し、表示入力装置11に表示する機能を有する。
【0030】
印刷情報生成部106は、スケジュール生成部102が生成する最新のSATの内容に基づき、例えば、図3(c)に示す整理券の印刷情報を生成する機能を有する。整理券情報には、取引予約情報による予約が受け付けられた場合に付与される予約コードであるQRコード(登録商標)も含む。利用者はこのQRコード(登録商標)により、最新の予約状況を閲覧することが可能になる。又、印刷情報生成部106は、取引予約情報による受付が不可の場合に、利用者が希望する日時に予約を優先して受付けることを示すファストパス整理券についての印刷情報を生成することもある。
【0031】
尚、SATは、図3(a)に示す窓口取引項目予約状況を表示するために必要なデータテーブルであり、日付情報、取引対象項目情報、時間帯情報、及び取引対象項目情報と時間帯情報とのマトリクス毎に付与されるマーカ情報とから構成される。
【0032】
主制御部100は、制御部10が、表示入力装置11に前記取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促し、利用者により表示入力装置11を介して入力される取引予約情報を記憶装置12に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、予約待ち行列と記憶装置12に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置11に表示する機能を実現するように、上記した利用者インタフェース部101、スケジュール生成部102、比較部103、スケジュール更新部104、表示制御部105、印刷情報生成部106のシーケンス制御を行う。
【0033】
このため、主制御部100と利用者インタフェース部101が協働して動作することにより、「表示入力装置に取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す利用者インタフェース提供手段」としての機能を実現し、主制御部100と、スケジュール生成部102、比較部103、スケジュール更新部104、表示制御部105が協働して動作することにより、「利用者により表示入力装置を介して入力される取引予約情報を記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、予約待ち行列と記憶装置に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置に表示する表示内容更新制御手段」としての機能を実現する。
【0034】
(実施形態の動作)
図2は、本実施形態に係る取引予約案内装置10の基本動作を示すフローチャートである。以下、図2のフローチャート、及び図3〜図5を参照しながら本実施形態に係る取引予約案内装置1の動作について詳細に説明する。
【0035】
表示入力装置11には、制御装置10の利用者インタフェース部101による制御の下で図3(a)に示す「窓口取引項目予約状況画面」が表示されている(ステップS101)。図3(a)に示されるように、「窓口取引項目予約状況画面」は、取引対象項目と来店当日の時間帯からなるマトリクス上に、窓口取引の混雑の程度を示すマークが表示される画面であり、スケジュール生成部102により生成される画面情報である。これを確認した利用者が、画面右下に割り当てられ表示されている「予約入力」釦を押下することにより、表示入力装置11に表示される画面は、図3(b)に示す「取引予約入力画面」に遷移する。
【0036】
利用者は、「取引予約入力画面」に従い、取引希望項目と取引希望時間帯にチェックマーマを入れて「予約」釦を押下する。制御部10(主制御部100)がこれを検知すると(ステップS102“YES”)、主制御部100は、図4(a)に取引予約情報の入力データ形式の一例が示されているように、整理番号を自動採番し、そのときのタイムスタンプと共に、入力された取引項目と取引希望時間帯を示す取引予約情報を待ち行列として、記憶装置12の作業領域122の一部領域に格納する(ステップS103)。尚、本実施形態では、点頭の表示入力装置11の「予約入力」釦を押下することにより予約入力を受付けることとするが、他に、通信接続環境を有するPCや携帯電話による予約入力も受付可能である。
【0037】
続いて、主制御部100は、比較部103による、利用者インタフェース部101を介して取り込まれた取引予約情報と、予め記憶装置12に格納されてある処理能力情報との比較操作を起動する(ステップS104)。尚、処理能力情報のデータ形式は、図4(b)に示されているように、取引項目と、時間あたりのオペレータの処理能力情報(件/H)からなり、主制御部100により付加される変更フラグと共に記憶部12の作業領域122に格納されている。
【0038】
比較部103は、取引予約情報と処理能力情報とを比較した結果を、スケジュール更新部104及び印刷情報生成部106に引き渡す。スケジュール更新部104は、比較結果に従いスケジュール生成部102により生成されたSATの内容を更新する。例えば、取引項目毎のオペレータの処理能力情報が5名/Hであったときの予約待ち行列が0〜2名/時、3〜6名/時であった場合に予約受付可と判定して(ステップS105“YES”)、SATのデータ項目の一つであるマーカ(予約状況の混雑の程度を示す)を、それぞれ、○、△表示するように設定、あるいは更新し、更に、表示制御部105により、表示入力装置11へのマーカ表示を更新する(ステップS106)。尚、予約キャンセルがあった場合についても同様にマーカを、それぞれ、○、△表示するように設定し、あるいは更新し、更新されたマーカ表示がなされる。
【0039】
尚、変更フラグがONになって処理能力情報が変更された場合、あるいは主制御部100が、オペレータによる「取引終了」釦15の押下を検知した場合にも比較部103による比較操作が行われ、スケジュール更新部104は、その比較結果に従い、表示制御部105により、マーカ表示を更新する。
【0040】
続いて、印刷情報生成部106は、印刷装置14が整理券を発行するための印刷情報を生成し、印刷装置14を介して印刷出力する(ステップS107)。この印刷情報の中には、図3(c)に示されるように、QRコード(登録商標)が含まれている。このQRコード(登録商標)は、利用者が追って取引予約状況の処理の進捗を確認するめに必要なURL(Uniform Resource Locator)付きの予約コードである。
【0041】
一方、ステップS105の予約受付判定処理において、例えば、取引項目毎のオペレータの処理能力情報が5名/Hであったときの予約待ち行列が7以上であって予約受付不可であると判定されると(ステップS105“NO”)、窓口取引項目予約状況画面には該当箇所に×のマーカが表示される。このとき、主制御部100は、利用者インタフェース部101を介して表示入力装置11に、ファストパスの発行希望があるか否かを問い合わせるメッセージを表示する。ここで、表示入力装置11を操作して利用者がファストパス発行希望ありと意思表示すると(ステップS108“YES”)、表示入力装置11は、続いて利用者の週間スケジュール入力画面を表示する。週間スケジュール入力画面の一例が図5に示されている。
【0042】
この週間スケジュール入力画面を確認した利用者が、表示入力装置11を操作して来店に都合の良い曜日と時間帯が交差する箇所にマーク○を入力すると、利用者インタフェース部がその情報を取り込み(ステップS109)、スケジュール生成部102により生成されるSATに反映させる(ステップS106)。ここでは、他に優先してその予約が割り当てられるように配慮される。そして、印刷情報生成部102では、ファストパス整理券を発行するための印刷情報を生成し、印刷装置14から出力される(ステップS107)。
【0043】
図6に、SATの更新及び閲覧手順がフローチャートで示されている。図6によれば、更新トリガが発生した場合(ステップS201“YES”)、即ち、マーカ表示の変更、又は処理能力情報が更新され、あるいは取引終了釦15が押下された場合に、「待ち行列理論」に基づくSATの更新処理が実行される(ステップS202)。ここで、「待ち行列理論」とは、利用者がサービス提供を受けるために行列に並ぶような確率的に挙動するシステムの混雑状況について数理モデルを用いて解析する理論である。ここでは、簡単化のために、待ち行列である取引項目毎の予約入力情報と取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、例えば、後者が5名/Hであったときの予約待ち行列を、0〜2名/H、3〜6名/H、7名/H以上とする3段階に分けて管理し、それぞれに、○(予約受付可であり、比較的空いている状態)、△(予約受付可能であるが、やや混雑して状態)、×(予約受付不可)マーカを割り付けることで区別する方法を例示した。
【0044】
ここで、待ち行列が増え、スケジュール更新部104がスケジュール生成部102で生成したSATを更新し、マーカを○から△へ、あるいは△から×へ変更する必要が生じた際に(ステップS203“YES”)、表示制御部105は、表示入力部11へマーカの更新表示を行う(ステップS204)。
【0045】
ステップS201の更新トリガ有無判定処理において、「更新トリガ無し」と判定された場合(ステップS201“NO”)、主制御部100は、通信制御装置13を介した閲覧要求の有無を判定する(ステップS205)。ここでいう閲覧要求とは、利用者が、所有するカメラ付き携帯電話で、整理券に印刷されたQRコード(登録商標)を撮影してインターネット経由でアクセスすることにより生成される取引処理の進捗状況の問い合わせである。このとき、取引予約案内装置1(制御装置10)は、インターネットのアクセスサイトとして動作する。主制御部100は、この閲覧要求を受信すると、記憶装置12の作業領域122に格納されてあるSATを検索してマーカを含む最新の取引予約状況を取得し、閲覧要求のあった利用者端末に返信する(ステップS206)。尚、最新の取引予約状況として、初めて予約する場合と同じ「○」、「×」、「△」によるマーク表示だけでなく、「あと何人」、「今、何番対応中」といったメッセージも付加して送信すれば、利用者に一層の利便性を提供することができる。
【0046】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る取引予約案内装置1によれば、制御装置10は、利用者によって表示入力装置11を介して入力される取引項目と取引時間帯からなる取引予約情報を記憶装置12(作業領域122)に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカ等を更新して表示入力装置11に表示する。このため、利用者は、表示入力装置11に、取引項目と取引希望時間帯からなる取引予約情報を入力するだけで、表示されるマーカによって該当の取引項目の該当の時間帯の混雑の度合いを知ることが出来、従って、自分の都合の良い時間帯に取引予約を入れることが出来る。又、オペレータにしても自身の処理能力範囲内で取引スケジュールが決定され、かつ、利用者の予約により自然に取引が集中する時間帯が分散されるため窓口取引の混雑の緩和を図ることができる。その結果、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減がはかれる。
【0047】
又、処理能力情報の変更に追従して窓口取引の混雑の程度を示すマーカ表示が更新されるため、利用者は、最新の取引予約状況に従い自身の取引予約を入れることができる。更に、窓口取引を行うオペレータの人数の変更に追従して窓口取引の混雑の程度を示すマーカ表示が更新されるため、利用者は、最新の取引予約状況に従い自身の取引予約を入れることができる。
【0048】
又、本実施形態に係る取引予約案内装置1によれば、QRコード(登録商標)に基づく取引項目の最新の予約状況の閲覧が可能になりマーカ表示の変化によって待ち行列の取引の処理状況を知ることが出来、待ちに対する不満感の解消に役立つ。更に、利用者が来店時に予約できなかった場合にファストパス整理券を発行してもらうことで、後日来店時に他に優先して予約が可能になり、窓口取引の混雑が緩和されると共に利用者に利便性を提供できる。
【0049】
(取引予約案内システム)
図7は、本実施形態に係る取引予約案内システム200の接続構成を示す図である。図7に示されるように、本実施形態に係る取引予約案内システム200は、1以上の取引予約案内装置1と、複数のATM装置2と、複数の利用者端末3と、銀行サーバ6により構成される。銀行サーバ6は、オープンネットワークであるIP網4と、クローズドネットワークである銀行の専用回線網5の両方に接続され、IP網4経由で接続される、銀行の窓口コーナに設置される取引予約案内装置1と、利用者が所持する利用者端末3、専用回線網5経由で接続される、銀行のATMコーナに設置されるATM装置2との間で各種金融取引を実行する。
【0050】
取引予約案内装置1は、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目の予約案内を行うものであり、図1に示す表示入力装置11に取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促し、利用者により表示入力装置11を介して入力される取引予約情報を記憶装置12に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加し、予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較して取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置11に表示すると共に、取引予約情報による予約が受け付けられた場合に生成される予約コードが付与された整理券を印刷装置14に印刷する制御装置10を備える。
【0051】
そして、利用者端末3からIP網4等の通信ネットワーク経由でQRコード(登録商標)に基づく閲覧要求を受信した場合に、記憶装置12(作業領域122)を参照して、マーカを含む最新の取引予約状況を取得し、IP網4経由で閲覧要求のあった利用者端末3に返信する。このため、利用者は、例えば、銀行にいるかいないかに拘わらず、銀行に出向いたときに発行されたQRコード(登録商標)に基づく取引項目の最新の予約状況の閲覧が可能になり、従って、マーカ表示の変化によって待ち行列の取引の処理状況を知ることが出来る。このため、所要で銀行を出たときの戻るタイミングを知ることが出来、従って、待ちに対する不満感の解消に役立ち、トラブル解消にも役立つ。
【0052】
(取引予約案内プログラム)
本実施形態に係る取引予約案内プログラムは、コンピュータ(取引予約案内装置1)上で実行され、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目毎に予約案内を行う取引予約案内プログラムであって、例えば、記憶装置12のプログラム領域121に格納される。そして、取引予約案内装置1(制御部10)に、例えば、図2のフローチャートに示されるように、取引項目を表示入力装置11に表示し、利用者に対し、希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す処理(S101、S102)と、利用者により表示入力装置11を介して入力される取引予約情報を記憶装置12に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に(S103)、予約待ち行列と記憶装置12に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し(S104)、その結果に応じて取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して表示入力装置11に表示する処理(S105、S106)と、を実行させる。
【0053】
本実施形態に係る取引予約案内プログラムによれば、利用者は、表示入力装置に、取引項目と取引希望時間帯からなる取引予約情報を入力するだけで、表示されるマーカによって該当の取引項目の該当の時間帯の混雑の度合いを知ることが出来、従って、自分の都合の良い時間帯に取引予約を入れることが出来る。又、オペレータにしても自身の処理能力範囲内で取引スケジュールが決定され、かつ、利用者の予約により自然に取引が集中する時間帯が分散されるため窓口取引の混雑の緩和を図ることができる。その結果、滞留利用者の減少による利用者の不満感の軽減がはかれる。
【0054】
尚、本実施形態に係る取引予約案内装置及びプログラムならびにシステムによれば、銀行等金融機関の利用者による待ち行列に適用する場合についてのみ説明したが、銀行に限らず、病院や役所等の公共機関、遊園地等の待ち行列にも適用することが可能である。
【0055】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1 取引予約案内装置
2 ATM装置
3 利用者端末
4 IP網
5 専用回線網
6 銀行サーバ
10 制御装置
11 表示入力装置
12 記憶装置
13 通信制御装置
14 印刷装置
15 取引終了釦
100 主制御部
101 利用者インタフェース部
102 スケジュール生成部
103 比較部
104 スケジュール更新部
105 表示制御部
106 印刷情報生成部
121 プログラム領域
122 作業領域
200 取引予約案内シテスム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置によって制御される、少なくとも、表示入力装置と、記憶装置とを備え、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目毎の予約案内を行う取引予約案内装置であって、
前記制御装置は、
前記表示入力装置に前記取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す利用者インタフェース提供手段と、
利用者により前記表示入力装置を介して入力される前記取引予約情報を前記記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、前記予約待ち行列と前記記憶装置に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて前記取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して前記表示入力装置に表示する表示内容更新制御手段と、
を有することを特徴とする取引予約案内装置。
【請求項2】
前記表示内容更新制御手段は、
前記処理能力情報が変更された場合に前記比較を行い、その結果によっては前記マーカを更新して前記表示入力装置に表示することを特徴とする請求項1記載の取引予約案内装置。
【請求項3】
前記表示内容更新制御手段は、
前記オペレータが操作する取引終了釦の押下を検知した場合に、前記比較を行い、その結果によって前記マーカを更新して前記表示入力装置に表示することを特徴とする請求項1記載の取引予約案内装置。
【請求項4】
前記取引予約情報による予約が受け付けられた場合に生成される、予約コードが付与された整理券を印刷する印刷装置を備え、
前記表示内容更新制御手段は、
利用者端末から通信ネットワーク経由で前記予約コードに基づく閲覧要求を受信した場合に、前記記憶装置を参照して前記マーカを含む最新の取引予約状況を取得し、前記閲覧要求のあった利用者端末に返信することを特徴とする請求項1記載の取引予約案内装置。
【請求項5】
整理券を発行する印刷装置を備え、
前記表示内容更新制御部は、
前記取引予約情報による受付が不可の場合、前記表示入力装置を介して利用者の来店可能週間スケジュールを取得し、利用者が希望する日時に予約を優先して受付けることを示すファストパス整理券を前記印刷装置に印刷出力することを特徴とする請求項1記載の取引予約案内装置。
【請求項6】
コンピュータ上で実行され、金融機関が窓口でサービス提供する取引項目毎に予約案内を行う取引予約案内プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記取引項目を表示入力装置に表示し、利用者に対し、希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促す処理と、
利用者により前記表示入力装置を介して入力される前記取引予約情報を記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加すると共に、前記予約待ち行列と前記記憶装置に予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較し、その結果に応じて前記取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して前記表示入力装置に表示する処理と、
を実行させることを特徴とする取引予約案内プログラム。
【請求項7】
金融機関が窓口でサービス提供する取引項目の予約案内を行う取引予約案内装置と、この取引予約案内装置とは通信ネットワーク経由で接続され、最新の予約状況を閲覧可能な前記通信ネットワークへの接続環境を有する複数の利用者端末とから成る取引予約案内システムであって、
前記取引予約案内装置は、表示入力装置に前記取引項目を表示して、利用者に対し希望する取引項目と取引希望時間帯とからなる取引予約情報の入力を促し、利用者により前記表示入力装置を介して入力される前記取引予約情報を前記記憶装置に格納して該当の取引項目毎の予約待ち行列に追加し、前記予約待ち行列と予め設定登録されてある取引項目毎のオペレータの処理能力情報とを比較して前記取引項目毎の予約の混雑の程度を示すマーカを更新して前記表示入力装置に表示すると共に、前記取引予約情報による予約が受け付けられた場合に生成される予約コードが付与された整理券を印刷装置に印刷する制御装置、を備え、
前記利用者端末から前記通信ネットワーク経由で前記予約コードに基づく閲覧要求を受信した場合に、前記記憶装置を参照して前記マーカを含む最新の取引予約状況を取得し、前記閲覧要求のあった利用者端末に返信することを特徴とする取引予約案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−38173(P2012−38173A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179046(P2010−179046)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)