説明

受信状態監視装置

【課題】瞬時のビットエラーを検出可能な受信状態監視装置を提供する。
【解決手段】設定入力部12がデジタル放送の受信状態を示すBER(PRE)、BER(POST)のいずれを取り出すのか設定を入力し、監視部13が設定されたBER(PRE)、BER(POST)のいずれかを連続して取得する。これにより、瞬時のビットエラーを見逃さずに検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送データの受信状態を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ブロードバンドサービスの進展に伴い、光ネットワークを利用してデジタル放送をそのまま伝送する方式(RF方式)が広まっている。RF方式によるデジタル放送の再送信サービスでは、ユーザ宅内のONU(Optical Network Unit)まで光信号で伝送され、ONUで電気信号に変換される。電気信号に変換されたRF映像信号は、ユーザ宅内の同軸ケーブル、ブースタ、分配器等を経由してテレビに伝送される。
【0003】
デジタル放送データの受信状態が悪い場合はブロックノイズ、ブラックアウトが発生する。このような故障発生時には、ユーザ宅内の同軸ケーブル区間の様々な箇所で、デジタル放送の受信状態を示すレベル、BER(Bit Error Rate:ビット誤り率)、CNR(Carrier to Noise Ratio:搬送波対雑音比)をRF信号測定器で測定して故障箇所を特定する(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「フレッツ・テレビ故障切分けツールの開発」、NTT技術ジャーナル、日本電信電話株式会社、2011年、第23巻、第1号、p.58-59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のRF信号測定器では瞬時(例えば1秒以下)のビットエラー(BERでエラーがあることと同等)が検出できない場合があった。これは、例えば従来のRF信号測定器でエラー訂正後のBER(POST)の連続測定によりビットエラーの発生を確認しようとする場合、内蔵するチューナからエラー訂正前のBER(PRE)とエラー訂正後のBER(POST)を交互に取り出しているために、エラー訂正前のBER(PRE)測定中はエラー訂正後のBER(POST)の測定ができないためであった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、瞬時のビットエラーを検出可能な受信状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る受信状態監視装置は、デジタル放送の受信状態を監視する受信状態監視装置であって、デジタル放送を受信するチューナと、エラー訂正前のビット誤り率とエラー訂正後のビット誤り率のいずれを監視するかの設定を含む設定情報を入力する入力手段と、前記設定情報に従って前記チューナから前記受信状態を取得する監視手段と、前記監視手段が取得した受信状態を記録する記録手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、瞬時のビットエラーを検出可能な受信状態監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態における受信状態監視装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】記録されるログの例を示す図である。
【図3】本実施の形態における受信状態監視装置をユーザ宅に設置した様子を示す模式図である。
【図4】2つの受信状態監視装置の監視結果とトラブルが想定される区間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態における受信状態監視装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す受信状態監視装置1は、チューナ11、設定入力部12、監視部13、エラーカウント部14、出力部15、および記録部16を備える。
【0012】
チューナ11は、デジタル放送のRF信号を受信して受信状態を測定する。測定する受信状態の項目としては、レベル、BER(PRE)、BER(POST)、CNRなどがある。
【0013】
設定入力部12は、設定情報を入力してチューナ11、監視部13に通知する。入力する設定情報としては、監視するチャンネル、監視部13がチューナ11から取り出す情報の指定があり、BER(PRE)、BER(POST)のいずれを連続して取得するのか設定できる。従来のRF信号測定器はBER(PRE)とBER(POST)を交互に取得していたため瞬時のビットエラーが検出できない場合があったが、本実施の形態における受信状態監視装置1は、BER(PRE)、BER(POST)のいずれかを指定して連続して取得するので、瞬時のビットエラーを見逃さずに検出することが可能となる。
【0014】
監視部13は、チューナ11からデジタル放送の受信状態を示す情報を取得して記録部16に記録する。
【0015】
エラーカウント部14は、チューナ11が受信したデジタル放送のビットエラー数をカウントして記録部16に記録する。従来のRF信号測定器ではビットエラー数をカウントしていなかったが、本実施の形態における受信状態監視装置1は、ビットエラー数をカウントすることで瞬時のビットエラーを見逃さずに検出することが可能となる。
【0016】
出力部15は、デジタル放送の受信状態の監視結果を出力する。出力先としては、受信状態監視装置1が備えた表示画面や受信状態監視装置1に接続したパーソナルコンピュータなどがある。
【0017】
記録部16は、監視部13が取得したデジタル放送の受信状態、エラーカウント部14がカウントしたビットエラー数などのログを記録する。記録部16に記録されたログは、受信状態監視装置1に接続したパーソナルコンピュータなどに出力できる。
【0018】
ここで、BERについて説明する。BERとは、ビット誤り率のことで、エラー訂正前のBER(PRE)とエラー訂正後のBER(POST)がある。デジタル放送信号には、誤り訂正符号(リードソロモン符号)が付与されており、テレビのチューナによりエラー訂正される。チューナでエラー訂正しきれないほどデジタル放送信号が乱れるとブロックノイズ等が発生する。
【0019】
BERの計測方法は、誤り訂正ビット数/伝送したビット数で求めることができる。例えば、BERの計測時間を2秒とした場合、約10Mbit(10×106bit)を伝送することになり、その間に30bitのエラーが発生した場合は、30/10×106=3.0×10-6となる。BERの値が大きいほどエラーが多いことを示す。
【0020】
図2に、記録部16に記録されるログの例を示す。同図は、物理チャンネルU27の受信状態を測定した例であり、BERはエラー訂正後の値を取得している。3秒ごとにレベル、CNR、BER(POST)、ビットカウント数などの受信状態の測定結果が記録されている。
【0021】
次に、本実施の形態における受信状態監視装置をユーザ宅に設置する例について説明する。
【0022】
図3は、本実施の形態における受信状態監視装置をユーザ宅に設置した様子を示す模式図である。
【0023】
デジタル放送信号は、光ケーブルにより伝送されてユーザ宅内のONU2でRF信号に変換され、ユーザ宅内に配置された同軸ケーブル3、ブースタ4、分配器5等を経由してテレビ6A,6Bで受信される。
【0024】
ブロックノイズ発生などの障害発生時には故障箇所を特定する必要がある。ONU2又は光ケーブル区間の故障か、同軸ケーブルで接続された区間の故障か、テレビの故障かを切り分けるため、ONU2のRF信号の出力側の同軸ケーブル3とテレビ6Bに入力される同軸ケーブル3に受信状態監視装置1A,1Bを接続して設置する。受信状態監視装置1A,1Bを接続する際には、長期監視を行うため、同軸ケーブル3に分配器を取り付けてRF信号を分配して接続する。
【0025】
図4に、受信状態監視装置1A,1Bの監視結果とトラブルが想定される区間を示す。
【0026】
受信状態監視装置1A,1Bのいずれもビットエラーを検出した場合は、ONU2上部でトラブルが発生したと推定される。受信状態監視装置1Aはビットエラーを検出せず、受信状態監視装置1Bはビットエラーを検出した場合は、ユーザ宅内の同軸ケーブルで接続された区間でトラブルが発生したと推定される。受信状態監視装置1A,1Bのいずれでもビットエラーを検出しない場合は、テレビ6Bのトラブルと推定される。
【0027】
トラブル想定区間がユーザ宅内の同軸ケーブル区間の場合、さらに故障切り分けを行うために、ブースタ4、分配器5の入力端子・出力端子に接続された同軸ケーブル3に受信状態監視装置1A,1Bを接続して受信状態を監視する。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、設定入力部12がデジタル放送の受信状態を示すBER(PRE)、BER(POST)のいずれを取り出すのか設定を入力し、監視部13が設定されたBER(PRE)、BER(POST)のいずれかを連続して取得することにより、瞬時のビットエラーを見逃さずに検出することができる。
【符号の説明】
【0029】
1,1A,1B…受信状態監視装置
11…チューナ
12…設定入力部
13…監視部
14…エラーカウント部
15…出力部
16…記録部
2…ONU
3…同軸ケーブル
4…ブースタ
5…分配器
6A,6B…テレビ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の受信状態を監視する受信状態監視装置であって、
デジタル放送を受信するチューナと、
エラー訂正前のビット誤り率とエラー訂正後のビット誤り率のいずれを監視するかの設定を含む設定情報を入力する入力手段と、
前記設定情報に従って前記チューナから前記受信状態を取得する監視手段と、
前記監視手段が取得した受信状態を記録する記録手段と、
を有することを特徴とする受信状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85024(P2013−85024A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221703(P2011−221703)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【Fターム(参考)】