説明

受信装置、スケルチレベル設定方法、プログラム

【課題】簡便に適切にスケルチレベルを設定できる受信装置、スケルチレベル設定方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】受信装置100は、アンテナ101で変調信号を受信して復調回路102で復調し、復調信号を出力する。また、受信装置100の制御部110は、復調信号に含まれる受信信号の強度と、変調信号に含まれる雑音成分の強度とを計測する。受信装置100は、また、復調回路102で出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ104を備える。制御部110は、受信信号の強度と、雑音成分の強度との差分に基づいてスイッチ104が復調信号の外部への出力をオン又はオフするように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケルチ機能を備える受信装置、スケルチレベル設定方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線信号に含まれる雑音信号の電圧値(スケルチ強度)に基づいて、音声スピーカへの無線信号の出力をオン又はオフに切り替える機能(以下、「スケルチ機能」という)を備える無線機がある。スケルチ機能には、雑音が発生すると、その雑音を除去する為に最適なスケルチ強度を手動で探すマニュアルスケルチや、ユニットの製作段階で予めスケルチ強度を設定した回路を組み込むプリセットスケルチ等がある。また、他のスケルチ機能として、入力信号の強度に応じてオン又はオフを切り替えるスケルチ強度を設定するスケルチ制御方法が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている無線機は、受信信号強度を一定周期で計測し、計測した受信信号強度がスケルチオープンレベルを上回り、且つ、前回計測した受信信号強度を上回る場合に、固定値であるスケルチオープンレベルと可変値であるスケルチクローズレベルとの差であるヒステリシスを、今回計測した受信信号強度に対応する大きさに変更する。
また、今回計測した受信信号強度がスケルチオープンレベルを上回り、且つ、前回計測した受信信号強度を下回るがその差が一定のレベル以内のときの場合には、ヒステリシスを、今回計測した受信信号強度に対応する大きさに変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−232306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先ず、マニュアルスケルチでは、最適なスケルチ強度の設定を手動で行わなければならず、操作が面倒であるばかりでなく、設定値が適正か否かの判断は、設定後のスケルチ動作をユーザが確認することになるため、設定値が適正でなければ再度調整する必要がある。
また、プリセットスケルチでは、予め設定したレベルまでのスケルチ強度は得られるが、それを超えると、たちまち雑音が発生してしまうし、また、プリセットされる設定値は、ある程度の状況変化でも誤作動しないように感度を落とした設定値であるなど、適切なスケルチレベルの設定が困難である。
また、特許文献1の無線機では、スケルチクローズレベルは受信信号強度に応じて変更するものの、スケルチオープンレベルを高く設定すれば感度が下がり、スケルチオープンレベルを低く設定すれば誤動作が増え、適切なスケルチレベルが設定できなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて為されたもので、面倒な操作を必要とせず、適切にスケルチレベルを設定できる受信装置、スケルチレベル設定方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の第1の観点に係る受信装置は、
受信信号を復調し、復調信号を出力する信号復調手段と、
前記受信信号の強度を計測する信号強度計測手段と、
前記受信信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測手段と、
前記信号復調手段が出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ手段と、
前記信号強度計測手段が計測した受信信号の強度と、前記雑音強度計測手段が計測した雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオンし、前記受信信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオフするように制御する制御手段と、
前記制御手段が前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時手段と、
前記計時手段が計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較手段と、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較手段が第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数手段と、
前記計数手段が計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正手段と、を備える
ことを特徴とする。
【0008】
例えば、前記スケルチレベル補正手段は、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より小さい場合に、スケルチレベルを変更するための閾値である評価点に第1の点数を加算し、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より大きい場合に、前記評価点に第2の点数を減算し、
前記評価点が第3の点数より高得点である場合に前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を減算し、
前記評価点が第4の点数より低得点である場合に前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算してもよい。
【0009】
例えば、前記スケルチレベル補正手段は、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より小さい場合に、スケルチレベルを変更するための閾値である評価点に第1の点数を加算し、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より大きい場合に、前記評価点に第2の点数を減算し、
前記評価点が第3の点数より高得点である場合に前記受信信号の強度に所定のオフセット値を加算し、
前記評価点が第4の点数より低得点である場合に前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算してもよい。
【0010】
例えば、前記受信信号の強度又は前記雑音成分の強度に任意のオフセット値を加算、又は、減算するスケルチレベル調整手段をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の第2の観点に係るスケルチレベル設定方法は、
受信信号を復調し、復調信号を出力する信号復調ステップと、
前記受信信号の強度を計測する信号強度計測ステップと、
前記受信信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測ステップと、
前記信号復調ステップで出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチステップと、
前記信号強度計測ステップで計測した受信信号の強度と、前記雑音強度計測ステップで計測した雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチステップで前記復調信号の外部への出力をオンし、前記受信信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチステップで前記復調信号の外部への出力をオフするように制御する制御ステップと、
前記制御ステップで前記スイッチステップに前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時ステップと、
前記計時ステップで計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較ステップと、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較ステップで第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正ステップと、を備える、
ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
受信信号を復調し、復調信号を出力する信号復調手段と、前記信号復調手段が出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ手段とを備えるコンピュータを、
前記受信信号の強度を計測する信号強度計測手段、
前記受信信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測手段、
前記信号強度計測手段が計測した受信信号の強度と、前記雑音強度計測手段が計測した雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオンし、前記受信信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオフするように制御する制御手段、
前記制御手段が前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時手段、
前記計時手段が計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較手段、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較手段が第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数手段、
及び、前記計数手段が計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の受信装置によれば、調整ツマミなどによる手動でのスケルチレベルの調整を行うことなく、運用環境や空間状況の変化に対して適切にスケルチレベルを設定できる。
また、調整ツマミの必要が無い為、機能パネル面の省スペース化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る受信装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるスケルチ設定情報を説明するための表である。
【図3】受信装置の動作を説明するための図である。
【図4】スケルチ開閉処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】第1の実施形態におけるスケルチ補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】第2の実施形態におけるスケルチ設定情報を説明するための表である。
【図7】第2の実施形態における評価点導出処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施形態におけるスケルチ補正処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る受信装置100を説明する。受信装置100は、変調信号を受信して復調し、復調信号を音声信号として出力する。
また、受信装置100は、受信信号の強度と、それに含まれるノイズの強度とに基づいてスケルチの開閉を行う。
また、受信装置100は、スケルチの開閉における誤動作を検出することによってスケルチの開閉を最適なものにする。
【0016】
受信装置100は、図1に示すように、アンテナ101と、復調回路102と、第1BPF(Band-Pass Filter)103と、スイッチ104と、音声スピーカ105と、第2BPF106と、検波器107と、A/D変換器108と、A/D変換器109と、制御部110と、記憶部111と、表示部112と、操作部113と、から構成される。
【0017】
復調回路102は、アンテナ101を介して受信した変調信号を復調して、復調信号を第1BPF103と第2BPF106とA/D変換器109とに供給する。
【0018】
第1BPF(Band-Pass Filter)103は、復調回路102より供給された復調信号の内の音声信号の周波数に該当する所定の周波数帯域の信号だけを通過させてスイッチ104に供給する。それ以外の周波数の信号は減衰させる。
【0019】
スイッチ104は、制御部110の制御のもと、第1BPF103より供給された復調信号の音声スピーカ105への出力のオン及びオフを切り替える。以下、スイッチ104をオンにすることを、スケルチを開くと述べ、スイッチ104をオフにすることを、スケルチを閉じると述べる。
【0020】
音声スピーカ105は、スイッチ104より供給された復調信号を音声信号として出力する。
【0021】
第2BPF(Band-Pass Filter)106は、復調回路102より供給された復調信号の内の雑音信号の周波数に該当する所定の周波数帯域の信号だけを通過させて、検波器107に供給する。それ以外の周波数の信号は減衰させる。
【0022】
検波器107は、第2BPF106より供給された雑音信号を交流から直流に整流して、A/D変換器108に供給する。
【0023】
A/D変換器108は、検波器107より供給された雑音信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、制御部110に供給する。なお、制御部110に供給される雑音信号は8bitで表される。
【0024】
A/D変換器109は、復調回路102より供給された復調信号(以下、RSSI信号)をアナログ信号からデジタル信号に変換し、制御部110に供給する。なお、制御部110に供給される受信信号の強度を示すRSSI(Received Signal Strength Indicator)信号は8bitで表される。
【0025】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)から構成されており、記憶部111に格納されるプログラムに従い、受信装置100全体を制御する。
例えば、制御部110は、RSSI信号電圧と、雑音信号電圧とに基づいてスケルチの開閉を行う。
また、受信装置100は、スケルチの開閉における誤動作を検出することによって雑音信号のオフセット値を増減させ、スケルチの開閉を最適なものにする。
【0026】
記憶部111は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)等から構成され、制御部110のワークメモリとして機能する。また、記憶部111は、制御部110の動作プログラムや図2に示すようなスケルチ設定情報111a等を記憶する。なお、動作プログラムの詳細は後述する。
【0027】
スケルチ設定情報111aは、図2に示すように、RSSI信号の電圧値に加算するオフセット値であるRSSIオフセット値の項目と、雑音信号の電圧値に加算するオフセット値であるノイズオフセット値の項目と、スケルチの開閉が誤動作であるか否かを判別するための誤動作判定時間の項目と、誤動作を測定する時間である誤動作測定時間の項目と、スケルチの開閉において誤動作したとみなされた回数である誤動作回数の項目と、ノイズオフセット値を変更するための誤動作回数閾値の項目と、から構成される。
【0028】
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111aのRSSIオフセット値が「2」であれば、RSSI信号電圧値にオフセット値「2」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111aのノイズオフセット値が「1」であれば、雑音信号電圧値にオフセット値「1」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111aの誤動作判定時間が「5msec」であれば、スケルチがオープンになっている時間、つまり、スイッチ104がオンになっている時間(以下、スケルチオープン時間)が「5msec」以下のときに誤作動が起きたと判定する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111aの誤動作測定時間が「20sec」であれば、「20sec」の間、誤作動が起きた回数(誤動作回数)を計数する。
例えば、制御部110が、スケルチの開閉において誤動作を検出すると誤動作回数に「1」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111aの誤動作回数閾値が「2」であれば、誤動作回数が「2」以上のときにノイズオフセット値に「1」を加算する。
【0029】
なお、スケルチ設定情報111aは、ユーザの操作部113を介した要求に応じて変更可能である。
【0030】
表示部112は、ドットマトリクスタイプのLCD(液晶表示)パネルとドライバ回路等から構成され、操作に必要な任意の画像を表示する。
【0031】
操作部113は、ユーザが指示やデータを入力するための各種のキー若しくはボタンを備え、制御部110への各種の指示やデータを入力する。
【0032】
以下、上記構成を有する受信装置100の動作を説明する。
【0033】
先ず、図3に示すグラフを参照しながら、受信装置100におけるスケルチの開閉の一連の処理の一例を説明する。
【0034】
受信装置100は、電源が投入されると、変調信号を受信して復調し、復調信号の出力を開始する。受信装置100は、RSSI信号電圧が雑音信号電圧以上になった場合にスケルチを開き、RSSIオフセット値を「0」から「2」に設定する。そして、RSSIオフセット値が「2」であるRSSI信号電圧が雑音信号電圧未満になった場合にスケルチを閉じ、RSSIオフセット値を「2」から「0」に設定する。
【0035】
また、受信装置100は、同時にスケルチの開閉に関する誤動作を検出し、誤動作回数に応じてノイズオフセット値を変更する。
【0036】
受信装置100は、スケルチオープン時間を計時し、スケルチオープン時間が誤動作判定時間より短い場合に誤動作と判定する。そして、受信装置100は、誤動作計測時間内に誤動作を判定した回数である誤動作回数を計数し、誤動作回数が誤動作回数閾値より大きい場合にノイズオフセット値に「1」を加算する。
【0037】
次に、受信装置100が実際に行う各処理を、図4,5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図4,5に示される各処理は、時分割処理を用いて実行される。
【0038】
先ず、受信装置100が行うスケルチ開閉処理を説明する。簡単に説明すると、受信装置100は、RSSI信号電圧と雑音信号電圧との大小に基づいてスケルチの開閉を行う。
【0039】
以下、図4に示すフローチャートを参照しながら、スケルチ開閉処理を詳細に説明する。なお、電源投入時においてRSSIオフセット値とノイズオフセット値は「0」にプリセットされる。
【0040】
電源が投入されると、受信装置100の制御部110は、RSSI信号電圧が雑音信号電圧以上であるか否かを判別する(ステップS11)。
【0041】
RSSI信号電圧が雑音信号電圧以上であると判別すると(S11;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111aのRSSIオフセット値を「2」に設定し(ステップS12)、スケルチを開き(ステップS13)、処理をステップS11に戻す。
【0042】
RSSI信号電圧が雑音信号電圧未満であると判別すると(S11;NO)、制御部110は、スケルチ設定情報111aのRSSIオフセット値を「0」に設定し(ステップS14)、スケルチを閉じ(ステップS15)、処理をステップS11に戻す。
【0043】
このようにして、スケルチ開閉処理によれば、受信装置100は、RSSI信号電圧と雑音信号電圧との大小に基づいてスケルチの開閉を行うことができる。また、スケルチが開いている間のRSSI信号電圧にオフセット値を加えることによってヒステリシス特性を持たせることができ、スケルチが短時間で開いたり閉じたりする、所謂、バタつきを防ぐことができる。
【0044】
次に、受信装置100が行うスケルチ補正処理を説明する。簡単に説明すると、受信装置100は、スケルチオープン時間が誤動作判定時間以下の場合に誤動作が起きたと判別する。そして、誤動作計測時間内に誤動作が起きた回数を計数し、その回数に応じてノイズオフセット値を変更する。ノイズオフセット値を変更することによってスケルチの開閉の度合を変更することができる。
ここで、一般的に音声通信で送信を行う場合、その情報伝達に必要な時間、つまり、送信して送話し、受信に戻す時間は概ね1秒以上は必要であると考えられる。RSSI信号電圧と雑音信号電圧が、スケルチをオープンするための条件を満たすような場合であっても、その条件の持続時間が非常に短い時間であれば、受信を希望する信号を受信したのではないと判断して良いので、これを誤動作として判断し、誤動作計測時間内の誤動作回数を計測することで、現時点で設定されているスケルチレベルが適切であるか否かを判断し、適切で無い場合はスケルチ補正処理を行うことで適切なスケルチレベルの設定を可能とするものである。
【0045】
以下、図5に示すフローチャートを参照しながらスケルチ補正処理を詳細に説明する。スケルチ補正処理は定期的に実行される。
【0046】
先ず、受信装置100の制御部110は、スケルチ設定情報111aの誤動作回数を「0」に設定する(ステップS101)。そして、制御部110は、スケルチ設定情報111aに記載された誤動作測定時間の計時を開始する。
【0047】
制御部110は、スケルチが開いているか否かを判別する(ステップS102)。
【0048】
スケルチが閉じていると判別すると(S102;NO)、制御部110は、処理をステップS107に進める。
【0049】
スケルチが開いていると判別すると(S102;YES)、制御部110は、スケルチオープン時間の計時を開始した後に、スケルチが閉じているか否かを判別する(ステップS103)。
【0050】
スケルチが開いていると判別すると(S103;NO)、制御部110は、誤動作測定時間が経過したか否かを判別する(ステップS105)。
【0051】
誤動作測定時間が経過したと判別すると(S105;YES)、制御部110は、処理をステップS108に進める。
【0052】
誤動作測定時間が経過していないと判別すると(S105;NO)、制御部110は、処理をステップS103に戻す。
【0053】
スケルチが閉じていると判別すると(S103;YES)、制御部110は、ステップS102においてスケルチが開いてからステップS103でスケルチが閉じるまでの時間であるスケルチオープン時間が誤動作判定時間以下であるか否かを判別する(ステップS104)。
【0054】
スケルチオープン時間が誤動作判定時間以下であると判別すると(S104;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111aの誤動作回数に「1」を加算し(ステップS106)、処理をステップS107に進める。
【0055】
スケルチオープン時間が誤動作判定時間より長いと判別すると(S104;NO)、制御部110は、処理をステップS107に進める。
【0056】
ステップS107において、制御部110は、誤動作測定時間が経過したか否かを判別する(ステップS107)。
【0057】
誤動作測定時間が経過していないと判別すると(S107;NO)、制御部110は、処理をステップS102に戻す。
【0058】
誤動作測定時間が経過したと判別すると(S107;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111aの誤動作回数が誤動作回数閾値以上であるか否かを判別する(ステップS108)。
【0059】
誤動作回数が誤動作回数閾値以上であると判別すると(S108;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111aのノイズオフセット値に「1」を加算し(ステップS109)、処理を終了する。
【0060】
誤動作回数が誤動作回数閾値未満であると判別すると(S108;NO)、制御部110は、処理を終了する。
【0061】
このようにして、スケルチ補正処理によれば、受信装置100は、スケルチオープン時間に基づいて誤動作を検出し、誤動作回数を計数し、誤動作回数に基づいてノイズオフセット値を変更することができる。そして、ノイズオフセット値を変更することによってスケルチを開きにくくすることができる。
【0062】
以上、本発明の第1の実施形態に係る受信装置100は、RSSI信号電圧と雑音信号電圧との大小に基づいてスケルチの開閉を行う。また、スケルチが開いている間はRSSI信号電圧にオフセット値を加えることによってヒステリシス特性を持たせることができる。また、誤動作を検出し、その回数に基づいて雑音信号電圧へのオフセット値を変更し、スケルチの開閉の度合を変更することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態において、受信装置100は、誤動作回数と閾値との関係に基づいて雑音信号電圧へのオフセット値を変更したが、第2の実施形態においては、誤動作回数に基づいて点数を減点又は加点し、その点数に基づいて雑音信号電圧へのオフセット値を変更するようにしてもよい。
【0064】
第2の実施形態に係る受信装置の構成は、第1の実施形態と同様である。ただし、記憶部111は、スケルチ設定情報111aではなく、スケルチ設定情報111bを記憶している。
【0065】
スケルチ設定情報111bは、図6に示すように、RSSI信号の電圧値に加算するオフセット値であるRSSIオフセット値の項目と、雑音信号の電圧値に加算するオフセット値であるノイズオフセット値の項目と、スケルチの開閉が誤動作であるか否かを判別するための誤動作判定時間の項目と、誤動作を測定する時間である誤動作測定時間の項目と、誤動作測定を行う回数である誤動作測定回数の項目と、誤動作測定を行った回数である測定回数の項目と、誤動作測定を行う間隔である測定間隔の項目と、スケルチの開閉において誤動作したとみなされた回数である誤動作回数の項目と、後述する評価点を変更するための誤動作回数閾値の項目二つと、評価点の項目と、誤動作回数に応じて行う加点又は減点の点数の項目二つと、ノイズオフセット値を変更するための評価点閾値の項目二つと、から構成される。
【0066】
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bのRSSIオフセット値が「2」であれば、RSSI信号電圧値にRSSIオフセット値「2」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bのノイズオフセット値が「1」であれば、雑音信号電圧値にノイズオフセット値「1」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作判定時間が「5msec」であれば、スケルチが開いている時間、つまり、スイッチ104がオンになっている時間(以下、スケルチオープン時間)が「5msec」以下のときに誤作動が起きたと判定する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作測定時間が「30sec」であれば、「30sec」の間、誤作動が起きた回数を計数する。
例えば、制御部110が、スケルチの開閉において誤動作を検出すると誤動作回数に「1」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作回数閾値1が「2」であれば、誤動作回数が「2」以上のときに評価点に、点数1に設定された点数を加算する。この実施形態においては、点数1は「−2」であるので、評価点に「2」を減算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作回数閾値2が「1」であれば、誤動作回数が「1」のときに評価点に、点数2に設定された点数を加算する。この実施形態においては、点数2は「1」であるので、評価点に「1」を加算する。
例えば、制御部110は、誤動作回数に応じて評価点に点数を加算・減算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bの評価点閾値1が「−2」であれば、評価点が「−2」以下のときにノイズオフセット値に「1」を加算する。
例えば、制御部110は、スケルチ設定情報111bの評価点閾値2が「5」であれば、評価点が「5」以上のときにノイズオフセット値に「1」を減算する。
【0067】
なお、スケルチ設定情報111bは、ユーザの操作部113を介した要求に応じて変更可能である。
【0068】
以下、第2の実施形態に係る受信装置100の動作を説明する。なお、スケルチ開閉処理は、第1の実施形態と同様である。また、各処理は、時分割処理によって行われる。なお、受信装置100の電源投入時に、RSSIオフセット値、ノイズオフセット値、測定回数、誤動作回数、評価点は、「0」にプリセットされる。
【0069】
先ず、受信装置100が行う評価点導出処理を説明する。簡単に説明すると、受信装置100は、誤動作回数に応じて評価点を加点・減点する。
【0070】
以下、図7に示すフローチャートを参照しながら、評価点導出処理を詳細に説明する。なお、評価点導出処理は定期的に実行される。
【0071】
先ず、受信装置100の制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作回数及び測定回数を「0」に設定する(ステップS201)。
【0072】
制御部110は、スケルチ設定情報111bに記載された誤動作測定時間と測定間隔との計時を開始した後に、スケルチが開いているか否かを判別する(ステップS202)。
【0073】
スケルチが閉じていると判別すると(S202;NO)、制御部110は、処理をステップS207に進める。
【0074】
スケルチが開いていると判別すると(S202;YES)、制御部110は、スケルチオープン時間の計時を開始した後に、スケルチが閉じているか否かを判別する(ステップS203)。
【0075】
スケルチが開いていると判別すると(S203;NO)、制御部110は、誤動作測定時間が経過したか否かを判別する(ステップS205)。
【0076】
誤動作測定時間が経過したと判別すると(S205;YES)、制御部110は、処理をステップS208に進める。
【0077】
誤動作測定時間が経過していないと判別すると(S205;NO)、制御部110は、処理をステップS203に戻す。
【0078】
スケルチが閉じていると判別すると(S203;YES)、制御部110は、ステップS202においてスケルチが開いてからステップS203でスケルチが閉じるまでの時間であるスケルチオープン時間が誤動作判定時間以下であるか否かを判別する(ステップS204)。
【0079】
スケルチオープン時間が誤動作判定時間以下であると判別すると(S204;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作回数に「1」を加算し(ステップS206)、処理をステップS207に進める。
【0080】
スケルチオープン時間が誤動作判定時間より長いと判別すると(S204;NO)、制御部110は、処理をステップS207に進める。
【0081】
ステップS207において、制御部110は、誤動作測定時間が経過したか否かを判別する(ステップS207)。
【0082】
誤動作測定時間が経過していないと判別すると(S207;NO)、制御部110は、処理をステップS202に戻す。
【0083】
誤動作測定時間が経過したと判別すると(S207;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111bの誤動作回数が誤動作回数閾値1以上であるか否かを判別する(ステップS208)。
【0084】
誤動作回数が誤動作回数閾値1以上であると判別すると(S208;YES)、制御部110は、スケルチ設定情報111bの評価点に点数1を加算する(ステップS209)。ここでは、評価点に、点数1として設定されている「−2」を加算する。
【0085】
次に、制御部110は、スケルチ設定情報111bの測定回数に「1」を加算し(ステップS212)、処理をステップS213に進める。
【0086】
誤動作回数が誤動作回数閾値1未満であると判別すると(S208;NO)、制御部110は、誤動作回数が誤動作回数閾値2と等しいか否かを判別する(ステップS210)。
【0087】
誤動作回数が誤動作回数閾値2と等しいと判別すると(S210;YES)、制御部110は、評価点に点数2を加算し(ステップS211)、スケルチ設定情報111bの測定回数に「1」を加算し(ステップS212)、処理をステップS213に進める。ここでは、評価点に、点数2として設定されている「1」を加算する。
【0088】
誤動作回数が誤動作回数閾値2と等しくないと判別すると(S210;NO)、制御部110は、スケルチ設定情報111bの測定回数に「1」を加算し(ステップS212)、処理をステップS213に進める。
【0089】
ステップS213において、制御部110は、測定回数が誤動作測定回数に達したか否かを判別する(ステップS213)。
【0090】
測定回数が誤動作測定回数に達したと判別すると(S213;YES)、制御部110は、処理を終了する。
【0091】
測定回数が誤動作測定回数に達していないと判別すると(S213;NO)、制御部110は、測定間隔が経過するまで待機し、測定間隔が経過するとスケルチ設定情報111bの誤動作回数を「0」に初期化し(ステップS214)、処理をステップS202に戻す。
【0092】
このようにして、評価点導出処理によれば、誤動作回数に応じた点数を導出することができる。
【0093】
次に、受信装置100が行うスケルチ補正処理を説明する。簡単に説明すると、受信装置100は、評価点と閾値との大小に基づいてノイズオフセット値を増減させる。
【0094】
以下、図8に示されるフローチャートを参照しながら、スケルチ補正処理を詳細に説明する。なお、スケルチ補正処理は定期的に実行される。
【0095】
先ず、受信装置100の制御部110は、スケルチ設定情報111bの評価点が評価点閾値1以下であるか否かを判別する(ステップS301)。
【0096】
評価点が評価点閾値1以下であると判別すると(S301;YES)、制御部110は、スケルチ情報111bのノイズオフセット値に「1」を加算し、処理を終了する。
【0097】
評価点が評価点閾値1より大きいと判別すると(S301;NO)、制御部110は、評価点が評価点閾値2以上であるか否かを判別する(ステップS303)。
【0098】
評価点が評価点閾値2以上であると判別すると(S303;YES)、制御部110は、スケルチ情報111bのノイズオフセット値に「1」を減算し、処理を終了する。
【0099】
評価点が評価点閾値2未満であると判別すると(S303;NO)、制御部110は、処理を終了する。
【0100】
このようにして、評価点導出処理とスケルチ補正処理によれば、誤動作回数に応じて評価点を加点・減点し、その評価点に応じてノイズオフセット値を変更することができる。このような方法を取ることにより、適切にスケルチの開閉を自動補正することができる。
【0101】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形及び応用が可能である。
【0102】
上記実施形態において、受信装置は、スケルチが開いているときにRSSI信号に所定のオフセット値を加算するようにしたが、雑音信号に所定のオフセット値を減算するようにしてもよい。
【0103】
また、第1の実施形態において、受信装置は、誤動作回数が閾値以上のときに雑音信号のオフセット値に所定値を加算したが、RSSI信号のオフセット値に所定値を減算するようにしてもよい。
【0104】
また、第2の実施形態において、受信装置は、評価点が閾値以下のときに雑音信号のオフセット値に所定値を加算し、評価点が閾値以上のときに雑音信号のオフセット値に所定値を減算したが、評価点が閾値以下のときにRSSI信号のオフセット値に所定値を減算し、評価点が閾値以上のときにRSSI信号のオフセット値に所定値を加算するようにしてもよい。
【0105】
また、ユーザが操作部を介して操作することによって、RSSI信号及び/又は雑音信号のオフセット値を変更できるようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態で使用した各種数値は任意であり、その他、具体的な細部についても適宜変更可能である。
【0107】
なお、本発明に係る受信装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、無線信号を受信し、復調する機能を備えるコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する受信装置を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有するストレージに当該プログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで受信装置を構成してもよい。
【0108】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合などには、アプリケーション部分のみを記録媒体やストレージに格納してもよい。
【0109】
(付記1)
変調信号を受信して復調し、復調信号を出力する信号復調手段と、
前記信号復調手段が出力した復調信号の強度を計測する信号強度計測手段と、
前記変調信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測手段と、
前記信号復調手段が出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ手段と、
前記信号強度計測手段が計測した復調信号の強度と、前記雑音強度計測手段が計測した雑音成分の強度との差分に基づいて前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオン又はオフするように制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオンし、前記復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオフするように制御し、
前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせた場合に、前記復調信号の強度に所定のオフセット値を加算するか又は前記雑音成分の強度から所定のオフセット値を減算し、
前記所定のオフセット値を前記復調信号の強度に加算している場合において該所定のオフセット値を加算している復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記復調信号の強度への前記所定のオフセット値の加算を中止し、
前記所定のオフセット値を前記雑音成分の強度から減算している場合において前記復調信号の強度と前記所定のオフセット値が減算された雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記雑音成分の強度からの前記所定のオフセット値の減算を中止する、
ことを特徴とする受信装置。
【0110】
(付記2)
前記制御手段が前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時手段と、
前記計時手段が計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較手段と、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較手段が第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数手段と、
前記計数手段が計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記復調信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正手段と、を備える、
ことを特徴とする付記1に記載の受信装置。
【0111】
(付記3)
前記スケルチレベル補正手段は、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より小さい場合に、スケルチレベルを変更するための閾値である評価点に第1の点数を加算し、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より大きい場合に、前記評価点に第2の点数を減算し、
前記評価点が第3の点数より高得点である場合に前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を減算し、
前記評価点が第4の点数より低得点である場合に前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算する、
ことを特徴とする付記2に記載の受信装置。
【0112】
(付記4)
前記スケルチレベル補正手段は、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より小さい場合に、スケルチレベルを変更するための閾値である評価点に第1の点数を加算し、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より大きい場合に、前記評価点に第2の点数を減算し、
前記評価点が第3の点数より高得点である場合に前記復調信号の強度に所定のオフセット値を加算し、
前記評価点が第4の点数より低得点である場合に前記復調信号の強度に所定のオフセット値を減算する、
ことを特徴とする付記2に記載の受信装置。
【0113】
(付記5)
前記復調信号の強度又は前記雑音成分の強度に任意のオフセット値を加算、又は、減算するスケルチレベル調整手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の受信装置。
【0114】
(付記6)
変調信号を受信して復調し、復調信号を出力する信号復調ステップと、
前記信号復調ステップで出力した復調信号の強度を計測する信号強度計測ステップと、
前記変調信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測ステップと、
前記信号復調ステップで出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチステップと、
前記信号強度計測ステップで計測した復調信号の強度と、前記雑音強度計測ステップで計測した雑音成分の強度との差分に基づいて前記スイッチステップでの前記復調信号の外部への出力をオン又はオフするように制御する制御ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、
前記復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチステップでの前記復調信号の外部への出力をオンし、前記復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチステップでの前記復調信号の外部への出力をオフするように制御し、
前記スイッチステップでの前記復調信号の外部への出力をオンさせた場合に、前記復調信号の強度に所定のオフセット値を加算するか又は前記雑音成分の強度から所定のオフセット値を減算し、
前記所定のオフセット値を前記復調信号の強度に加算している場合において該所定のオフセット値を加算している復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記復調信号の強度への前記所定のオフセット値の加算を中止し、
前記所定のオフセット値を前記雑音成分の強度から減算している場合において前記復調信号の強度と前記所定のオフセット値が減算された雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記雑音成分の強度からの前記所定のオフセット値の減算を中止する、
ことを特徴とするスケルチレベル設定方法。
【0115】
(付記7)
前記制御ステップにおいて前記スイッチステップでの前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時ステップと、
前記計時ステップで計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較ステップと、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較ステップで第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記復調信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正ステップと、を備える、
ことを特徴とする付記6に記載のスケルチレベル設定方法。
【0116】
(付記8)
変調信号を受信して復調し、復調信号を出力する信号復調手段と、前記信号復調手段が出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ手段とを備えるコンピュータを、
前記信号復調手段が出力した復調信号の強度を計測する信号強度計測手段、
前記変調信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測手段、
及び、前記復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオンし、前記復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオフするように制御し、
前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせた場合に、前記復調信号の強度に所定のオフセット値を加算するか又は前記雑音成分の強度から所定のオフセット値を減算し、
前記所定のオフセット値を前記復調信号の強度に加算している場合において該所定のオフセット値を加算している復調信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記復調信号の強度への前記所定のオフセット値の加算を中止し、
前記所定のオフセット値を前記雑音成分の強度から減算している場合において前記復調信号の強度と前記所定のオフセット値が減算された雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記雑音成分の強度からの前記所定のオフセット値の減算を中止する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【0117】
(付記9)
コンピュータを、
前記制御手段が前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時手段、
前記計時手段が計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較手段、
及び、前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較手段が第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数手段、
前記計数手段が計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記復調信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正手段、
として機能させることを特徴とする付記8に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0118】
100 受信装置
101 アンテナ
102 復調回路
103 第1BPF
104 スイッチ
105 音声スピーカ
106 第2BPF
107 検波器
108 A/D変換器
109 A/D変換器
110 制御部
111 記憶部
111a スケルチ設定情報
111b スケルチ設定情報
112 表示部
113 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を復調し、復調信号を出力する信号復調手段と、
前記受信信号の強度を計測する信号強度計測手段と、
前記受信信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測手段と、
前記信号復調手段が出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ手段と、
前記信号強度計測手段が計測した受信信号の強度と、前記雑音強度計測手段が計測した雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオンし、前記受信信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオフするように制御する制御手段と、
前記制御手段が前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時手段と、
前記計時手段が計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較手段と、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較手段が第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数手段と、
前記計数手段が計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正手段と、を備える、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記スケルチレベル補正手段は、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より小さい場合に、スケルチレベルを変更するための閾値である評価点に第1の点数を加算し、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より大きい場合に、前記評価点に第2の点数を減算し、
前記評価点が第3の点数より高得点である場合に前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を減算し、
前記評価点が第4の点数より低得点である場合に前記雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記スケルチレベル補正手段は、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より小さい場合に、スケルチレベルを変更するための閾値である評価点に第1の点数を加算し、
前記計数手段が計数した誤動作回数が所定数より大きい場合に、前記評価点に第2の点数を減算し、
前記評価点が第3の点数より高得点である場合に前記受信信号の強度に所定のオフセット値を加算し、
前記評価点が第4の点数より低得点である場合に前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記受信信号の強度又は前記雑音成分の強度に任意のオフセット値を加算、又は、減算するスケルチレベル調整手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の受信装置。
【請求項5】
受信信号を復調し、復調信号を出力する信号復調ステップと、
前記受信信号の強度を計測する信号強度計測ステップと、
前記受信信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測ステップと、
前記信号復調ステップで出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチステップと、
前記信号強度計測ステップで計測した受信信号の強度と、前記雑音強度計測ステップで計測した雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチステップで前記復調信号の外部への出力をオンし、前記受信信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチステップで前記復調信号の外部への出力をオフするように制御する制御ステップと、
前記制御ステップで前記スイッチステップに前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時ステップと、
前記計時ステップで計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較ステップと、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較ステップで第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正ステップと、を備える、
ことを特徴とするスケルチレベル設定方法。
【請求項6】
受信信号を復調し、復調信号を出力する信号復調手段と、前記信号復調手段が出力した復調信号の外部への出力をオン又はオフするスイッチ手段とを備えるコンピュータを、
前記受信信号の強度を計測する信号強度計測手段、
前記受信信号に含まれる雑音成分の強度を計測する雑音強度計測手段、
前記信号強度計測手段が計測した受信信号の強度と、前記雑音強度計測手段が計測した雑音成分の強度との差分が所定の値以上になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオンし、前記受信信号の強度と前記雑音成分の強度との差分が所定の値未満になった場合に前記スイッチ手段が前記復調信号の外部への出力をオフするように制御する制御手段、
前記制御手段が前記スイッチ手段に前記復調信号の外部への出力をオンさせてからオフさせるまでのスケルチオープン時間を計時する計時手段、
前記計時手段が計時したスケルチオープン時間が第1の時間より短いか否かを判別する時間比較手段、
前記スケルチオープン時間が第1の時間より短いと前記時間比較手段が第2の時間内に判別した回数である誤動作回数を計数する計数手段、
及び、前記計数手段が計数した誤動作回数が閾値よりも大きい場合に、前記受信信号の強度に所定のオフセット値を減算するか、或いは、雑音成分の強度に所定のオフセット値を加算するスケルチレベル補正手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−95365(P2012−95365A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−31270(P2012−31270)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【分割の表示】特願2007−222190(P2007−222190)の分割
【原出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】