説明

受信装置

【課題】 本発明の目的は、チャンネルを切り替えて視聴する前に、当該チャンネルで放送している内容を把握しやすくする技術を提供することにある。
【解決手段】
所定の周波数の放送波を受信する放送波受信手段と、前記放送波受信手段により受信した放送波に付帯するデジタル放送のチャンネル情報を取得するチャンネル情報受信手段と、前記チャンネル情報受信手段により取得した前記チャンネル情報に応じたジャンル情報を取得するジャンル情報取得手段と、前記ジャンル情報取得手段により取得したジャンル情報を、前記チャンネル情報に対応付けて出力する出力手段と、を備えることを特徴とする受信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、受信装置において、HD(Hybrid Digital)ラジオ等、一つの周波数のアナログ信号帯域およびそのサイドバンドにデジタル信号が付加された複数のチャンネルを受信する場合には、受信可能なチャンネルを示して選択を受け付けることが可能である。特許文献1には、このようなラジオ受信の制御装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−333370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなHDラジオ等においては、受信する地域に応じて、有効なチャンネルやそのチャンネルで放送しているコンテンツのジャンルが変化する。そのため、同一の帯域であっても、視聴しているチャンネル以外のチャンネルの放送内容を視聴前にあらかじめ把握することは難しい。そのため、上記のようなラジオ受信の制御装置では、チャンネルを切り替えて視聴しなければその内容を把握することはできない。
【0005】
本発明の目的は、チャンネルを切り替えて視聴する前に、当該チャンネルで放送している内容を把握しやすくする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る受信装置は、所定の周波数の放送波を受信する放送波受信手段と、前記放送波受信手段により受信した放送波に付帯するデジタル放送のチャンネル情報を取得するチャンネル情報受信手段と、前記チャンネル情報受信手段により取得した前記チャンネル情報に応じたジャンル情報を取得するジャンル情報取得手段と、前記ジャンル情報取得手段により取得したジャンル情報を、前記チャンネル情報に対応付けて出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】リンクテーブルの構成を示す図である。
【図3】HDラジオ放送データのデータ構造を示す図である。
【図4】演算処理部の機能構成図である。
【図5】ジャンル表示処理のフロー図である。
【図6】ジャンル表示処理の出力画面例を示す図である。
【図7】受信状態表示処理のフロー図である。
【図8】受信状態表示処理の表示の変化の例を示す図である。
【図9】受信状態表示処理の表示の変化の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態を適用した電波受信装置であるナビゲーション装置100について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1に、ナビゲーション装置100の構成図を示す。ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、HDラジオ放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、を備えている。
【0010】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、HDラジオ放送受信装置10等から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0011】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、現在地あるいはユーザから指示された出発地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、演算処理部1は、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0012】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0013】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0014】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0015】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200が記憶されている。
【0016】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0017】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の管理番号である路線番号を示す路線番号227、リンクを含む道路の渋滞度合いを特定する渋滞度228、などを含んでいる。
【0018】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。
【0019】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0020】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージを音声信号として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0021】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0022】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0023】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0024】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROM(Read Only Memory)や、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0025】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地を検出するために使用されるものである。
【0026】
車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。
【0027】
ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。
【0028】
GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0029】
HDラジオ放送受信装置10は、HDラジオ等のFM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などや、FM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0030】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0031】
図3は、HDラジオ放送データ300の構造を示す図である。HDラジオ放送データ300は、チャンネルごとに放送される。HDラジオ放送データ300は、周波数帯情報301と、周波数情報302と、放送波情報303と、受信チャンネルのジャンルコードおよびその表示情報304と、受信チャンネルの文字情報305と、HD放送波の情報306と、HD放送波に含まれるジャンルコード及び表示情報307と、受信チャンネル情報308と、を含む。
【0032】
周波数帯情報301には、受信している放送波の周波数帯を特定する情報が格納される。具体的には、AM/FMの別を特定する情報が格納される。ここでは、HDラジオ放送波はFM波であるから、FMを特定する情報が格納される。
【0033】
周波数情報302には、受信している放送波の周波数を特定する情報が格納される。例えば、「98.4MHz(メガヘルツ)」等、周波数の情報が格納される。
【0034】
放送波情報303には、放送波に関連する情報が格納される。例えば、ステレオ情報の有無などを示す情報が格納される。
【0035】
受信チャンネルのジャンルコードおよびその表示情報304には、受信しているチャンネルに割り当てられたジャンルコードおよびその表示情報が格納される。例えば、ジャンルコード「1」について、「News」の表示情報が格納される。当該ジャンルコードは、RBDS(Radio Broadcast Data System)等のRDS(Radio Data System)に基づく。
【0036】
受信チャンネルの文字情報305には、受信しているチャンネルに関する文字データが格納される。例えば、受信しているチャンネルで扱われているニュースヘッドライン情報や、フットボールゲームの得失点情報等を示す文字情報が格納される。
【0037】
HD放送波の情報306には、受信している放送波に付帯するサブチャンネルの情報等の情報が格納される。その下位情報として、HD放送波に含まれるジャンルコード及び表示情報307がある。HD放送波に含まれるジャンルコード及び表示情報307は、受信している周波数の放送波に付帯するチャンネルについて、受信チャンネルに関わらず、各チャンネルのジャンルコードおよび表示情報が格納される。なお、一つの周波数のアナログ放送波に対して、複数のデジタル放送のチャンネルが付帯されているが、有効なチャンネルおよび無効なチャンネルは、周波数により、または放送地域により異なる。さらには、あるチャンネルが有効であるか無効であるかについては、統一された基準はなく、有効なチャンネルの次のチャンネルに無効なチャンネルがある場合もあれば、有効なチャンネルの次のチャンネルに有効なチャンネルがある場合もある。なお、このようなチャンネルの構造から、有効なチャンネルから一つチャンネルをチューンアップすると、無効なチャンネルはスキップされて有効なチャンネルが受信される受信装置が存在する。
【0038】
受信チャンネル情報308には、受信中のチャンネルを特定する情報が格納される。例えば、受信しているチャンネルを特定するチャンネル番号等の情報が格納される。
【0039】
すなわち、HDラジオ放送データ300には、受信しているチャンネルに関する情報(受信チャンネルのジャンルコードおよびその表示情報304と、受信チャンネルの文字情報305と、受信チャンネル情報308)と、受信しているチャンネル以外に同一周波数帯域に付帯するチャンネルに関する情報(HD放送波の情報306と、HD放送波に含まれるジャンルコード及び表示情報307)と、受信している周波数帯に関する情報(周波数帯情報301と、周波数情報302と、放送波情報303)と、を含む情報が含まれているといえる。
【0040】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、基本制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、HDラジオ受信制御部104と、オーディオ制御部105と、を有する。
【0041】
基本制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、各種センサ、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング処理およびデッドレコニング処理等を行って現在地と車両の正面が向いている方向である車両方位を特定する。また、随時、走行した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各処理部からの要求に応じて、現在時刻を出力する。また、現在地またはユーザから指示された出発地と、目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索し、推奨経路から逸脱しないよう、スピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0042】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力された使用者からの指示を受け付け、その要求内容を基本制御部101へ送信する。
【0043】
出力処理部103は、表示させる画面情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するための信号に変換してディスプレイ2に対して描画する指示を行う。
【0044】
HDラジオ受信制御部104は、HDラジオ放送データ300を含む放送波の受信および受信情報の制御を行う処理部である。本実施形態においては、HDラジオ受信制御部104は、所定の周波数帯域の放送波を受信すると、放送波のアナログ波に重畳されている音声情報等をオーディオ制御部105へ受け渡す。また、HDラジオ受信制御部104は、放送波に付帯するデジタル放送データであるHDラジオ放送データ300およびを受信すると、後述する図5に示すジャンル表示処理を実施する。そして、HDラジオ受信制御部104は、受信したHDラジオ放送データ300に含まれる情報を用いて、図6に示すチューナー画面400を表示するよう出力処理部103へ指示する。
【0045】
オーディオ制御部105は、音声情報および動画等の画像情報を用いて楽曲や映画等の情報を再生し、スピーカ42やディスプレイ2へ出力するよう出力処理部103へ指示を行う処理部である。
【0046】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち基本制御部101、入力受付部102、出力処理部103、HDラジオ受信制御部104、オーディオ制御部105は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0047】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0048】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0049】
[動作の説明]次に、ナビゲーション装置100の動作について説明する。図5は、HDラジオ放送データ300を受信した場合に実施されるジャンル表示処理のフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が稼働している状態において実施されるナビゲーション装置100のHDラジオ放送データ300の表示処理において開始される。
【0050】
まず、HDラジオ受信制御部104は、指定された周波数のHDラジオ放送波を受信する(ステップS001)。HDラジオ受信制御部104が受信する周波数は、使用者等により入力受付部102を介して受け付けた所定の周波数である。当該所定の周波数としては、プリセットされた周波数であってもよいし、使用者の操作により指定された周波数であってもよい。
【0051】
そして、HDラジオ受信制御部104は、受信した放送波からジャンルコードを取得可能であるか否かを判定する(ステップS002)。具体的には、HDラジオ受信制御部104は、ステップS001にて受信した放送波に付帯するHDラジオ放送データ300を取得した場合には、受信した放送波からジャンルコードを取得可能であると判定し、HDラジオ放送データ300を取得しなかった場合には、受信した放送波からジャンルコードを取得可能でないと判定する。受信した放送波からジャンルコードを取得可能でない場合には、HDラジオ受信制御部104は、ステップS001へ制御を戻す。
【0052】
受信した放送波からジャンルコードを取得可能である場合(ステップS002にて「Yes」である場合)には、HDラジオ受信制御部104は、受信したチャンネルごとにジャンルコードおよびジャンル表示情報を特定する(ステップS003)。具体的には、HDラジオ受信制御部104は、受信した放送波に付帯するHDラジオ放送データ300を取得して、受信したHD放送波に含まれるジャンルコード及び表示情報307を特定する。
【0053】
そして、HDラジオ受信制御部104は、チャンネルごとにジャンル表示情報を重畳表示する(ステップS004)。具体的には、HDラジオ受信制御部104は、当該放送波に付帯しているデジタル放送のチャンネルを特定し、当該チャンネルにジャンル表示情報を対応付けて、出力処理部103へ出力する情報として受け渡す。
【0054】
以上が、ジャンル表示処理の処理内容である。ジャンル表示処理によれば、受信対象の周波数に関連するデジタル放送のチャンネルごとに、当該チャンネルで放送される放送コンテンツのジャンルを特定し、表示することができる。すなわち、チャンネルを切り替えて視聴する前に、当該チャンネルで放送している内容を把握しやすくすることができるといえる。
【0055】
図6に、HDラジオ放送波のチューナー画面400の表示例を示す。当該画面は、出力処理部103によりディスプレイ2に表示される。チューナー画面400には、受信している放送波についての情報(周波数や周波数帯、受信チャンネルのテキストデータの例である楽曲のアーティスト名やタイトル名称等)が表示される。このような情報は、HDラジオ受信制御部104が受信した放送波に付帯するHDラジオ放送データ300から得た情報を出力処理部103が出力する。
【0056】
チューナー画面400には、さらに、受信するアナログ波に付帯するデジタル放送のチャンネルおよび当該チャンネルの放送内容のジャンルを示すジャンル情報410〜412が表示される。例えば、「チャンネル番号:ジャンル名称」等の形式で表示される。当該ジャンル情報410〜412は、ジャンル表示処理において特定されたチャンネルとジャンル表示情報が出力処理部103により出力される。当該ジャンル情報410〜412のそれぞれは、指定入力を受け付けるボタンとして表示され、当該ボタンへの指定入力は当該チャンネルを再生対象とする指定として受け付けられる。なお、チューナー画面400には、その他に、受信する周波数の指定を受け付ける操作用のボタンが表示される。当該操作用のボタンには、一定以上の感度で受信可能な周波数を探索する命令を受け付けるスキャンボタンや、基本制御部101により特定した現在地に応じて、あらかじめ設定されたプリセット局を選択する命令を受け付けるプリセット自動設定ボタンが含まれる。
【0057】
図7は、HDラジオ放送波を受信した場合に実施される受信状態表示処理のフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が稼働している状態において実施されるナビゲーション装置100のHDラジオ放送波の表示処理において開始される。
【0058】
まず、HDラジオ受信制御部104は、指定された周波数のHDラジオ放送波を受信する(ステップS101)。HDラジオ受信制御部104が受信する周波数は、使用者等により入力受付部102を介して受け付けた所定の周波数である。当該所定の周波数としては、プリセットされた周波数であってもよいし、使用者の操作により指定された周波数であってもよい。
【0059】
そして、HDラジオ受信制御部104は、受信した放送波に付帯するチャンネルのうち、利得が低いチャンネルがあるか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、HDラジオ受信制御部104は、受信した放送波に付帯するチャンネルごとに、受信感度(例えば、電界強度)を特定し、所定以下の受信感度であるチャンネルが含まれる場合には、利得が低いチャンネルがあると判定する。
【0060】
受信した放送波に利得が低いチャンネルが含まれない場合(ステップS102にて「No」の場合)には、HDラジオ受信制御部104は、全チャンネルのジャンル情報410〜412を表示するよう出力処理部103に指示する(ステップS103)。そして、HDラジオ受信制御部104は、制御をステップS101に戻す。
【0061】
受信した放送波に利得が低いチャンネルが含まれる場合(ステップS102にて「Yes」の場合)には、HDラジオ受信制御部104は、利得が低いチャンネルのボタンをシャドウ表示し、計時開始していない場合には計時を開始する(ステップS104)。具体的には、HDラジオ受信制御部104は、利得が低いチャンネルのジャンル情報410〜412の色合いを利得が低いことを示す表示状態で表示するよう表示情報を作成して出力処理部103へ出力を指示する。そして、HDラジオ受信制御部104は、すでに計時を開始している場合を除き、計時を開始する。
【0062】
そして、HDラジオ受信制御部104は、所定時間以上シャドウ表示されたチャンネルのボタンを表示から削除し、当該ボタンにかかる計時を終了する(ステップS105)。具体的には、HDラジオ受信制御部104は、ステップS104における計時開始からの経過時間が所定以上(例えば、10秒以上)となったチャンネルのジャンル情報410〜412を表示対象でないものとし、当該チャンネルについての計時を終了させる。そして、HDラジオ受信制御部104は、制御をステップS101へ戻す。
【0063】
以上が、受信状態表示処理の処理内容である。受信状態表示処理によれば、受信対象の周波数に関連するデジタル放送のチャンネルのうち、所定の時間の間利得が低いチャンネルに関するジャンルを特定する情報の表示を、チューナー画面400から除去することができる。すなわち、チャンネルを切り替えて視聴する前に、視聴可能なチャンネルを把握しやすくすることができるといえる。
【0064】
図8は、受信状態表示処理によりジャンル情報410〜412の表示が変化する例を示す図である。なお、図8においては、受信するアナログ放送波にはデジタルのチャンネル1、2、4が付帯しているものとし、他のチャンネル3および5〜8は放送局の割り当てがないものとする。また、チャンネル1のジャンルは「ROCK(ロック)」、チャンネル2のジャンルは「Information(情報)」、チャンネル4のジャンルは「News(ニュース)」であるものとする。また、チャンネル1の「ROCK」にて放送される内容は、受信するアナログ放送波に重畳されている内容と同様の内容である。
【0065】
図8(a)においては、チャンネル1、2、4のすべての放送を受信している状態の受信状態表示が例示されている。これは、図6に示したチューナー画面400のジャンル情報410〜412に相当する表示である。すなわち、チャンネル1(受信中のため強調表示されている)を示すジャンル情報421と、チャンネル2を示すジャンル情報422と、チャンネル3を示すジャンル情報423と、が選択可能な状態で表示されている。
【0066】
図8(b)においては、チャンネル2、4の受信状態が悪化し、チャンネル1のみ受信している状態であって、かつ、受信状態が悪化してから所定の時間が未経過の場合の受信状態表示の例が示されている。すなわち、チャンネル2を示すジャンル情報422と、チャンネル4を示すジャンル情報423とは、利得が低いことを示す表示状態にある。本実施形態においては、斜線で当該ジャンル情報を表示しているが、これに限られず、例えば灰色を重畳させて正常受信状態と区別可能に示してもよいし、表示色の濃度を変更して区別可能としてもよい。
【0067】
図8(c)においては、チャンネル2、4の受信状態が悪化し、チャンネル1のみ受信している状態であって、かつ、受信状態が悪化してから所定の時間が経過した場合の受信状態表示の例が示されている。すなわち、チャンネル2を示すジャンル情報422と、チャンネル4を示すジャンル情報423とは、表示が除去された状態にある。本実施形態においては、チャンネル2のジャンル情報422およびチャンネル4のジャンル情報423の表示を除去している例を示しているが、これに限らず、輪郭を点線として当該ジャンル情報を表示してもよいし、黒色を重畳させて正常受信状態と区別可能に示してもよいし、表示色の濃度を変更して区別可能としてもよい。
【0068】
図9は、受信状態表示処理によりジャンル情報410〜412の表示が変化する例を示す図である。なお、図9においては、受信するアナログ放送波にはデジタルのチャンネル1、2、4が付帯しているものとし、他のチャンネル3および5〜8は放送局の割り当てがないものとする。また、チャンネル1のジャンルは「ROCK(ロック)」、チャンネル2のジャンルは「Information(情報)」、チャンネル4のジャンルは「News(ニュース)」であるものとする。また、チャンネル1の「ROCK」にて放送される内容は、受信するアナログ放送波に重畳されている内容と同様の内容である。
【0069】
図9(a)においては、チャンネル1、2、4のすべての放送を受信している状態の受信状態表示が例示されている。これは、図6に示したチューナー画面400のジャンル情報410〜412に相当する表示である。すなわち、チャンネル1(受信中のため強調表示されている)を示すジャンル情報421と、チャンネル2を示すジャンル情報422と、チャンネル3を示すジャンル情報423と、が選択可能な状態で表示されている。
【0070】
図9(b)においては、チャンネル1、2、4の受信状態が悪化した状態であって、かつ、受信状態が悪化してから所定の時間が未経過の場合の受信状態表示の例が示されている。すなわち、チャンネル1を示すジャンル情報421と、チャンネル2を示すジャンル情報422と、チャンネル4を示すジャンル情報423とは、利得が低いことを示す表示状態にある。本実施形態においては、斜線で当該ジャンル情報を表示しているが、これに限られず、例えば灰色を重畳させて正常受信状態と区別可能に示してもよいし、表示色の濃度を変更して区別可能としてもよい。
【0071】
図9(c)においては、チャンネル1、2、4の受信状態が悪化した状態であって、かつ、受信状態が悪化してから所定の時間が経過した場合の受信状態表示の例が示されている。すなわち、チャンネル1を示すジャンル情報421と、チャンネル2を示すジャンル情報422と、チャンネル4を示すジャンル情報423とは、表示が除去された状態にある。本実施形態においては、チャンネル1のジャンル情報422と、チャンネル2のジャンル情報422およびチャンネル4のジャンル情報423の表示を除去している例を示しているが、これに限らず、輪郭を点線として当該ジャンル情報を表示してもよいし、黒色を重畳させて正常受信状態と区別可能に示してもよいし、表示色の濃度を変更して区別可能としてもよい。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0073】
本発明の一実施形態によると、ナビゲーション装置100は、使用者がチャンネルを切り替えて視聴する前に、当該チャンネルで放送している内容を把握しやすくすることができるといえる。
【0074】
本発明は、上記一実施形態に制限されない。上記一実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記一実施形態においては、ジャンルコードと表示情報とは、HDラジオ放送データ300のジャンルコードと表示情報307に含まれて放送されるが、これに限られない。例えば、地域別の放送波の周波数ごとにあらかじめ定められたジャンル表示情報を記憶装置3に格納しておき、HDラジオ受信制御部104は、HDラジオ放送データ300からジャンルコードを取得可能かつ表示情報を取得不能な場合においては、基本制御部101により特定した現在地が属する地域を特定し、当該地域に該当するジャンル表示情報を検索して表示情報として取得し、表示するようにしてもよい。このように変形することで、HDラジオ放送データ300の情報の細かさについての規格が異なる地域間を移動する場合であっても、安定してジャンルを表示することができる。
【0075】
また例えば、放送地域が異なる複数の放送局から放送する同一の周波数帯の異なる放送内容の放送波を受信可能な地域等においては、電界強度の強い放送波を選択的に受信することとなるが、電界強度の強弱が時刻に応じて変化する場合や位置に応じて変化する場合等安定しない場合には、異なる放送内容が入り乱れて受信されることがありうる。このような頻繁な放送内容の入れ替わりに伴う表示の頻繁な変更は視聴者にとって望ましくないものである。このような問題に対し、入れ替わった情報が安定的に受信できるようになるまでは、受信状態表示処理において受信中の表示を変更しないように表示の遅延処理を実施するようにしてもよい。このように変形することで、頻繁な放送内容の変更があっても、変更に合わせて表示も頻繁に変更されてしまうことを防ぐことができる。
【0076】
さらに、上記第一の実施形態およびその変形例に記載されたそれぞれの発明技術の全てあるいはいくつかを組み合わせてもよい。
【0077】
以上、本発明について、第一の実施形態について説明した。
【0078】
なお、上記の実施形態では、本発明をナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明はナビゲーション装置に限らず、放送波を受信する装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・ROM装置、7・・・車速センサ、8・・・ジャイロセンサ、9・・・GPS受信装置、10・・・HDラジオ放送受信装置、11・・・ビーコン受信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・I/F、25・・・バス、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・基本制御部、102・・・入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・HDラジオ受信制御部、105・・・オーディオ制御部、200・・・リンクテーブル、300・・・HDラジオ放送データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数の放送波を受信する放送波受信手段と、
前記放送波受信手段により受信した放送波に付帯するデジタル放送のチャンネル情報を取得するチャンネル情報受信手段と、
前記チャンネル情報受信手段により取得した前記チャンネル情報に応じたジャンル情報を取得するジャンル情報取得手段と、
前記ジャンル情報取得手段により取得したジャンル情報を、前記チャンネル情報に対応付けて出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置であって、
前記チャンネル情報受信手段は、前記放送波に重畳されたメタ情報から、前記放送波に付帯する一又は複数のデジタル放送のチャンネル情報を取得する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信装置であって、
前記ジャンル情報取得手段は、前記チャンネル情報により特定されるチャンネルごとに、あらかじめ定められたジャンル表示の情報を取得する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受信装置であって、
前記ジャンル情報取得手段は、前記チャンネル情報に含まれるジャンル表示の情報を、前記チャンネル情報により特定されるチャンネルごとに取得する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の受信装置であって、さらに、
現在地を特定する現在地特定手段と、
地域ごとにあらかじめ定められたチャンネルごとのジャンル表示の情報を格納する格納手段と、
を備えており、
前記ジャンル情報取得手段は、前記チャンネル情報に含まれるジャンル表示の情報を、前記チャンネル情報により特定されるチャンネルおよび前記現在地が属する地域に応じて取得する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の受信装置であって、
前記放送波受信手段は、前記所定の周波数の放送波を受信する際に、電界強度の強い放送波を選択的に受信し、
前記出力手段は、前記放送波受信手段により受信した放送波に変更がある場合には、当該変更後の放送波が安定して受信されるようになるまで出力を変更しない、
ことを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−34074(P2013−34074A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168609(P2011−168609)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】