説明

受動型赤外線センサの警戒範囲調整方法

【課題】受動型赤外線センサにおいて、警戒範囲の調整を、容易に、且つ複雑な構成を用いることなく行うことができるようにする。
【解決手段】第1光学系11と、第2光学系21の2つの集光光学系を備えており、これら2つの集光光学系は何れも複数のフレネルレンズで構成されている。第1、第2光学系11、21に対応して、それぞれ第1、第2素子12、22が配置されている。これらの素子と集光光学系により、ゾーン形成面には検知ゾーンが所定の通り配置される。警戒範囲を調整する際には、第1光学系11の所望のフレネルレンズ、及び/または第2光学系21の所望のフレネルレンズをマスク部材Mによりマスキングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される熱線を検知して、警戒範囲内に物体が存在するか否かを検知する受動型赤外線センサに係り、特に、物体の存否を検知しようとする警戒範囲を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受動型赤外線センサ(以下、単にセンサと記す。)は、焦電素子等の熱線の波長領域に感度を有する赤外線検知素子を用い、集光光学系によって物体から放射される熱線を赤外線検知素子に集光し、その赤外線検知素子の出力に基づく熱線のエネルギーの変動量が所定のレベルを越えたときに、人体等の移動物体の存在を検知するように構成されており、自動ドアの開閉や、防犯警備システムにおいて侵入者の検知のために広く用いられている。
【0003】
センサの設計に際しては、警戒範囲は予め定められるのは当然である。なお、本明細書において警戒範囲とは、センサから当該センサが検知できる物体までの最長検知距離は勿論として、赤外線検知素子と集光光学系とによって形成される検知ゾーンの配置形態をも含むものとする。
【0004】
しかし、実際にセンサを設置する箇所の状況に応じて求められる警戒範囲は、センサ設計時に定められた警戒範囲とは異なるのが現実である。そこで、センサにおいては、その設置個所の状況に応じて、警戒範囲が調整できるようになされている。そのための手段としては、集光光学系として反射鏡を用いたセンサにおいては反射鏡の角度を調整可能としているのが通常であるが、赤外線検知素子と集光光学系との相対的位置を調整可能(例えば、特許文献1参照)としたり、あるいは、切替スイッチにより、必要に応じて、集光光学系、赤外線検知素子、及び赤外線検知素子の後段の回路系を使用したり、使用しなかったりできるようにしているのもある(例えば、特許文献2の[0020]段参照)。
【特許文献1】特許第3086406号明細書
【特許文献2】特開2000−283839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、反射鏡の角度を調整可能としたり、特許文献1のように赤外線検知素子と集光光学系との相対的位置を調整可能とした場合には、そのための角度調整機構を設ける必要があり、構成が複雑になるばかりでなく、これらの調整機構を搭載するためにセンサの筐体が大きくなってしまうという問題があり、更に、コスト上昇の要因ともなっていた。特許文献2のようにした場合にも同様であり、集光光学系、赤外線検知素子、及び赤外線検知素子の後段の回路系を切り替えるための特別な構成が必要であり、コスト上昇につながるものである。
【0006】
そこで、本発明は、警戒範囲の調整を、容易に、且つ複雑な構成を用いることなく行うことができる受動型赤外線センサの警戒範囲調整方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明の受動型赤外線センサの警戒範囲調整方法は、ツイン素子を用いた第1の赤外線検知素子と、ツイン素子を用いた第2の赤外線検知素子と、第1の赤外線検知素子に対応して配置され、複数のフレネルレンズからなる第1の集光光学系と、第2の赤外線検知素子に対応して配置され、複数のフレネルレンズからなる第2の集光光学系を少なくとも備え、第1の赤外線検知素子及び第1の集光光学系で形成される検知ゾーン列及び検知ゾーンと、第2の赤外線検知素子及び第2の集光光学系で形成される検知ゾーン列及び検知ゾーンは、互いに重なることなく形成されると共に、検知方向に対して前後に形成された検知ゾーン列の各検知ゾーンは、互いに異なる赤外線検知素子とそれに対応した集光光学系で形成され、且つ、互いに隣接する検知ゾーン列に含まれるそれぞれの検知ゾーンは、これらの検知ゾーン列の受動型赤外線センサからの距離で見たとき、同じ距離の位置には無いように配置され、更に、これらの検知ゾーン列及び検知ゾーンは、ある一つの検知ゾーンに注目したとき、当該検知ゾーンが含まれる検知ゾーン列に隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンより受動型赤外線センサから遠方にある最寄りの検知ゾーンから対応する赤外線検知素子への光路が、被検知物体が検知方向に沿って移動した場合には当該被検知物体によって横切られ、且つ小動物によっては横切られない高さにあるように配置されている受動型赤外線センサにおける警戒範囲調整方法であって、第1の集光光学系の所望のフレネルレンズ及び/または第2の集光光学系の所望のフレネルレンズを熱線を透過しないマスク部材によりマスキングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来におけるように複雑な機構を用いることなく、マスク部材によって第1の集光光学系の所望のフレネルレンズ及び/または第2の集光光学系の所望のフレネルレンズをマスキングするという簡単な構成によって警戒範囲の調整を行うことができ、警戒範囲の調整を行うための操作も容易である。
【0009】
また、マスク部材としてシールを用いるにしても、樹脂の成型品を用いるにしても、これらの厚みは1mm以下でもマスキングの効果は十分得られるので、この警戒範囲調整方法は筐体の大きさに殆ど影響しないものである。
【0010】
更に、この受動型赤外線センサでは、第1の赤外線検知素子及び第1の集光光学系で形成される検知ゾーン列及び検知ゾーンと、第2の赤外線検知素子及び第2の集光光学系で形成される検知ゾーン列及び検知ゾーンは、互いに重なることなく形成されると共に、検知方向に対して前後に形成された検知ゾーン列の各検知ゾーンは、互いに異なる赤外線検知素子とそれに対応した集光光学系で形成され、且つ、互いに隣接する検知ゾーン列に含まれるそれぞれの検知ゾーンは、これらの検知ゾーン列の受動型赤外線センサからの距離で見たとき、同じ距離の位置には無いように配置され、更に、これらの検知ゾーン列及び検知ゾーンは、ある一つの検知ゾーンに注目したとき、当該検知ゾーンが含まれる検知ゾーン列に隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンより受動型赤外線センサから遠方にある最寄りの検知ゾーンから対応する赤外線検知素子への光路が、被検知物体が検知方向に沿って移動した場合には当該被検知物体によって横切られ、且つ小動物によっては横切られない高さにあるように配置されているので、小動物及び外乱光を人体と誤検知してしまうことを非常に少なくできるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ発明の実施の形態について説明するが、まず、本発明による警戒範囲調整方法を適用して好適なセンサの実施の形態について図1を参照して説明する。図1はそのセンサの外観の例の概略を模式的に示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は正面図を示し、図中、Sはセンサ、11は第1集光光学系(以下、単に第1光学系という)、12は第1赤外線検知素子(以下、単に第1素子という)、21は第2集光光学系(以下、単に第2光学系という)、22は第2赤外線検知素子(以下、単に第2素子という)、Fij(ただし、i,jは何れも自然数でi=1〜8,j=1〜3)はそれぞれフレネルレンズを示す。なお、第1素子12、第2素子22はセンサSの内部に収納されているが、第1光学系11、第2光学系21との関係を示すために図1ではそれぞれ破線で示している。
【0012】
図1において、第1素子12、第2素子22はセンサSの内部の所定の位置にそれぞれ配置されており、第1素子12、第2素子22のそれぞれに対応して第1光学系11、第2光学系21がセンサSの表面に配置されている。第1光学系11、第2光学系21には、それぞれ、3(図1(b)の縦方向)×4(図1(b)の横方向)の計12のフレネルレンズが形成されている。即ち、第1光学系11、及び第2光学系21は何れもフレネルレンズ群からなる集光光学系であり、第1光学系11には、F11、F12、F13、F31、F32、F33、F51、F52、F53、F71、F72、F73の12のフレネルレンズが形成され、第2光学系21には、F21、F22、F23、F41、F42、F43、F61、F62、F63、F81、F82、F83の12のフレネルレンズが形成されている。
【0013】
次に、当該センサSのブロック構成を図2を参照して説明する。このセンサSは、図2に示すように、何れもフレネルレンズ群からなる第1光学系11、第2光学系21と、第1光学系11に対応して配置された第1素子12と、第2光学系21に対応して配置された第2素子22と、信号処理回路16、26と、判定手段30とを備えている。
【0014】
信号処理回路16は、第1素子12の出力に対して所定の処理を施して、第1素子12の出力が所定レベル以上である場合にパルス信号を出力するものであり、ここでは、第1素子12の出力を増幅する増幅回路13、増幅回路13の出力から不要な周波数成分を除いて所定の周波数成分の信号のみを出力する帯域フィルタ14と、帯域フィルタ14の出力を所定の閾値と比較して、当該閾値以上の信号があった場合にパルス信号を出力する比較回路15とを備えるものとしている。
【0015】
信号処理回路26は、第2素子22の出力に対して所定の処理を施して、第2素子22の出力が所定レベル以上である場合にパルス信号を出力するものであり、ここでは、第2素子22の出力を増幅する増幅回路23、増幅回路23の出力から不要な周波数成分を除いて所定の周波数成分の信号のみを出力する帯域フィルタ24と、帯域フィルタ24の出力を所定の閾値と比較して、当該閾値以上の信号があった場合にパルス信号を出力する比較回路25とを備えるものとしている。
【0016】
判定手段30は、信号処理回路16と信号処理回路26からの2つのパルス信号が所定時間差の範囲内に出力された場合に検知論理が成立したと判定し、その検知論理の成立が予め定めた所定回数発生した場合に人体を検知したと判断して検知信号を出力するものである。
【0017】
ここで、このセンサSでは、第1素子12、第2素子22として、何れもツイン素子を用いる。ツイン素子は、周知の通り、2つの焦電素子を互いに逆極性に直列に差動接続したものであり、プラス(+)極性の焦電素子の出力信号と、マイナス(−)極性の焦電素子の出力信号との合成信号を出力するようにしたものである。
【0018】
このように、第1素子12、第2素子22にツイン素子を用いるのは、ツイン素子は外乱光等の背景雑音に強く、外乱光による誤報が少ないからである。即ち、例えば外乱光が、ツイン素子の2つの焦電素子の両方に入射した場合、2つの焦電素子の出力は互いに相殺され、誤報を防止できることはよく知られた事項である。
【0019】
次に、このセンサSによって形成される警戒範囲について説明する。まず、何の調整も行わない場合の警戒範囲について説明するが、説明の都合上、ここでいくつかの用語について定義しておく。
【0020】
いま、一つの赤外線検知素子があり、その赤外線検知素子に対応して一つのフレネルレンズが配置されているとすると、このフレネルレンズの焦点距離等の光学特性、及び赤外線検知素子とフレネルレンズとの位置関係によって、当該フレネルレンズによって当該赤外線検知素子に入射する熱線の光路が一つ定まる。そして、このような、熱線がフレネルレンズによって集光されて赤外線検知素子に入射する光路が警戒範囲の床面や地面(本明細書ではこれらを総称してゾーン形成面と称す)に達した位置を検知ゾーンと称する。従って、このセンサSの第1光学系11には12のフレネルレンズがあるので、第1光学系11と第1素子12とによって12の検知ゾーンが形成され、同様に、第2光学系21と第2素子22とによって12の検知ゾーンが形成される。
【0021】
また、上方からゾーン形成面を見たとき、複数の検知ゾーンがセンサSの位置から延びる直線上に形成、配置されているとき、これら複数の検知ゾーンは一つの検知ゾーン列を構成している、あるいは、この検知ゾーン列はこれらの検知ゾーンを含む等と称する。なお、その他の用語については、必要に応じてその都度説明する。
【0022】
さて、このセンサSの第1光学系11、及び第2光学系21の各フレネルレンズは、後述するように、検知ゾーンがセンサSを中心として斜め下方向に扇状に配置されるようになされている。図3に、ゾーン形成面における第1素子12による検知ゾーン列及び検知ゾーン、及び第2素子22による検知ゾーン列及び検知ゾーンを上から見た平面図を示す。
【0023】
図3において、破線で示す一つ一つの矩形がそれぞれ一つ一つの検知ゾーンを示している。図3では、それぞれの検知ゾーンには実線で示す矩形が2つ示されているが、一方の実線矩形は第1素子12または第2素子22のツイン素子の一方の焦電素子の領域であり、他方の実線矩形はツイン素子の他方の焦電素子の領域である。なお、各検知ゾーンを示す破線の矩形は仮想的なものであるが、説明の便宜上図示しているものである。
【0024】
図3では、各検知ゾーンにはZij(ただし、i,jは何れも自然数で、i=1〜8,j=1〜3)の符号を付しているが、検知ゾーンZijは、図1(b)に示すフレネルレンズFijによって形成されることを示している。即ち、例えば、検知ゾーンZ11は、第1光学系11のフレネルレンズF11と第1素子12によって形成されるのである。その他の検知ゾーンについても同様である。
【0025】
図3では、3つの検知ゾーンZ11、Z12、Z13は、センサSから延びる一直線上に形成、配置されている。従って、これらの3つの検知ゾーンZ11、Z12、Z13は一つの検知ゾーン列を構成している。ここでは、検知ゾーン列の符号として、検知ゾーン列を構成している検知ゾーンの符号のiの値を用いてZiとする。従って、3つの検知ゾーンZ11、Z12、Z13が構成している検知ゾーン列はZ1である。その他についても同様である。即ち、図1に示すセンサSでは、第1光学系11、第2光学系21の縦一列に並んだフレネルレンズで一つの検知ゾーン列が形成されているのである。
【0026】
このように、図3に示す警戒範囲では、センサSを中心として扇状に複数の検知ゾーン列が延びており、各検知ゾーン列には複数の検知ゾーンが含まれているのである。なお、図3に示す各検知ゾーン列の枠は実際にはゾーン形成面に形成されるものではないが、理解を容易にするために図3では略扇状の枠として図示しているものである。
【0027】
ところで、赤外線検知素子としてツイン素子を用いた場合、移動物体を検知できる検知方向は、検知ゾーンにおいて、ツイン素子のプラス極性の焦電素子の領域からマイナス極性の焦電素子の領域を横切る方向、あるいはその逆に横切る方向となる。そして、図3に示す警戒範囲では、各検知ゾーンでの第1素子12または第2素子22のプラス極性とマイナス極性の2つの焦電素子の領域は、検知ゾーン列が延びる方向とは略直交する方向に並ぶようになされている、言い換えれば、検知ゾーン列を横切る方向に並ぶようになされている。従って、図3に示す警戒範囲における物体の検知方向は、検知ゾーン列を横切る方向、即ち、図3の下方向から上方向に移動する方向、またはその逆方向となる。この検知方向は、当該警戒範囲で物体が移動するであろうと想定される方向、または移動する物体を検知したい方向に設定することは当然である。
【0028】
そして、図3に示す検知ゾーン列及び検知ゾーンの配置においては、隣接する検知ゾーン列は互いに重なることなく形成され、更に、隣接する検知ゾーン列の各検知ゾーンは、互いに異なる赤外線検知素子とそれに対応した集光光学系とで形成されている。上述したところから明らかなように、図3では、Z1、Z3、Z5及びZ7の検知ゾーン列の各検知ゾーンは第1素子12と第1光学系11で形成され、Z2、Z4、Z6及びZ8で示す検知ゾーン列の各検知ゾーンは第2素子22と第2光学系21で形成されている。
【0029】
このように、このセンサSでは、隣接する検知ゾーン列の各検知ゾーンは、異なる赤外線検知素子とそれに対応した集光光学系で形成されているのであり、これは、言い換えれば、検知方向に対して前後に形成された検知ゾーン列の各検知ゾーンは異なる赤外線検知素子とそれに対応した集光光学系で形成されているということである。
【0030】
そして、互いに隣接する検知ゾーン列に含まれるそれぞれの検知ゾーンは、これらの検知ゾーン列のセンサSからの距離で見たとき、同じ距離の位置には無いように配置される。換言すれば、ある検知ゾーン列に含まれる検知ゾーンは、何れも、それに隣接する検知ゾーン列に含まれる検知ゾーンとは、センサSから同じ距離には配置しないようにするのである。即ち、図3において、検知ゾーン列Z1と検知ゾーン列Z2は互いに隣接する検知ゾーン列であり、検知ゾーン列Z1の検知ゾーンZ11、Z12のそれぞれの検知ゾーンのセンサSからの距離の位置は、検知ゾーン列Z2の検知ゾーンZ21、Z22、及びZ23のセンサSからの距離の位置とは同じではなく、異なっている。これが、上記の、互いに隣接する検知ゾーン列に含まれるそれぞれの検知ゾーンは、これらの検知ゾーン列のセンサSからの距離で見たとき、同じ距離の位置には無いように配置される、ということである。その他の互いに隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンの配置についても同様である。
【0031】
なお、図3に示す検知ゾーン列及び検知ゾーン配置の例では、ある検知ゾーン列の検知ゾーンは、それに隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンが形成されていない位置、即ち、隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンと検知ゾーンの間に丁度入るように配置されているので、第1光学系11と第1素子12とで形成される検知ゾーンと、第2光学系21と、第2素子22とで形成される検知ゾーンとは、全体として略市松模様状に配置されているということができる。
【0032】
図4は、図3においてaで示す矢印の方向から見た側面図であって、Z1とZ2の2つの検知ゾーン列の検知ゾーンから、それぞれ対応する赤外線検知素子に入射する熱線の光路(以下、単に、検知ゾーンから対応する素子への光路というように称することにする。この点に関して以下同じ。)を示す側面図であり、図4において灰色で塗り潰した領域は、第1光学系11により検知ゾーン列Z1の各検知ゾーンから対応する第1素子12への光路を示しており、斜線を付した領域は、第2光学系21により検知ゾーン列Z2の各検知ゾーンから対応する第2素子22への光路を示している。なお、図4ではセンサSは壁面に取り付けるものとしている。
【0033】
そして、更に、これらの検知ゾーン列及び検知ゾーンは、ある一つの検知ゾーンに注目したとき、当該検知ゾーンが含まれる検知ゾーン列に隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンよりセンサSから遠方にある最寄りの検知ゾーンから対応する素子への光路が、被検知物体である人体が検知方向に沿って移動した場合には当該人体によって横切られ、且つ小動物によっては横切られない高さにあるように配置される。ここで、人体としては、検知しようとしている最も低い身長の人体を想定すればよく、小動物としては検知しないようにする最も高い背高の小動物を想定すればよい。
【0034】
ただし、センサSから最も遠くに位置する検知ゾーンを注目検知ゾーンとした場合はこの限りではない。なぜなら、図3に示す場合、図中、Z21、Z41、Z61、及びZ81で示す検知ゾーンはセンサSから最も遠くに位置する検知ゾーンであるが、これらの検知ゾーンを注目検知ゾーンとした場合、これらの検知ゾーンが含まれる検知ゾーン列に隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンよりセンサSから遠方にある最寄りの検知ゾーンは存在しないからである。
【0035】
例えば、いま、図3においてZ22で示す検知ゾーンを注目検知ゾーンとする。このとき、当該注目検知ゾーンZ22が含まれる検知ゾーン列Z2に隣接する検知ゾーン列にはZ1及びZ3の2つの検知ゾーン列がある。そして、Z1、Z3の検知ゾーン列に含まれる検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンZ22よりセンサSから遠方にある最寄りの検知ゾーンとしては、Z11とZ31の2つの検知ゾーンがある。
【0036】
そして、検知ゾーンZ31から対応する第1素子12への光路は、被検知物体である人体が、検知方向に沿って注目検知ゾーンZ22の側から当該検知ゾーンZ31の方向に移動した場合には当該人体によって横切られ、且つ小動物によっては横切られない高さにあるように配置されており、同様に、検知ゾーンZ11から対応する第1素子12への光路は、被検知物体である人体が、検知方向に沿って注目検知ゾーンZ22の側から当該検知ゾーンZ11の方向に移動した場合には当該人体によって横切られ、且つ小動物によっては横切られない高さにあるように配置されるのである。
【0037】
このような、注目検知ゾーンZ22と、検知ゾーンZ11から対応する第1素子12への光路と、人体Hと小動物Mの高さの関係、及び、注目検知ゾーンZ22と、検知ゾーンZ31から対応する第1素子12への光路と、人体Hと小動物Mの高さの関係を図5に示す。図5(a)は、図3において、注目検知ゾーンであるZ22を含む検知ゾーン列Z2と、検知ゾーン列Z1の各検知ゾーンから第1素子12への光路と、人体Hと小動物Mの高さの関係を示す図で、図3において矢印aで示す方向から見た側面図であり、注目検知ゾーンZ22が含まれる検知ゾーン列Z2に隣接する検知ゾーン列Z1の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンZ22よりセンサSから遠方にある最寄りの検知ゾーンであるZ11から第1素子12への光路R1は、人体Hによっては横切られ、小動物Mによっては横切られない高さになるように設定されている。
【0038】
図5(b)は、図3において、注目検知ゾーンであるZ22を含む検知ゾーン列Z2と、検知ゾーン列Z3の各検知ゾーンから対応する第1素子12への光路と、人体Hと小動物Mの高さの関係を示す図で、図3において矢印aで示す方向から見た側面図であり、注目検知ゾーンZ22が含まれる検知ゾーン列Z2に隣接する検知ゾーン列Z3の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンZ22よりセンサSから遠方にある最寄りの検知ゾーンであるZ31から対応する第1素子12への光路R3は、人体Hによっては横切られ、小動物Mによっては横切られない高さになるように設定されている。
【0039】
従って、例えば、人体Hが、図3において矢印bで示す方向に移動すれば、人体Hは、先ず、検知ゾーンZ11から第1素子12への光路を横切り、次に検知ゾーンZ22から第2素子22への光路を横切り、更に次には、検知ゾーンZ31から第1素子12への光路を横切ることになる。しかし、小動物Mは、同じように移動したとしても、検知ゾーンZ11から第1素子12への光路も、検知ゾーンZ31から第1素子12への光路も横切ることはないものである。
【0040】
以上は検知ゾーンZ22を注目検知ゾーンとした場合について説明したが、その他の検知ゾーンを注目検知ゾーンとした場合にも同様である。ただし、上述した通り、センサSから最も遠くに位置する検知ゾーンに注目した場合はこの限りではない。
【0041】
このような検知ゾーン列及び検知ゾーンの配置は、センサSの取り付け高さ、どのような距離まで人体を検知するかという最長検知距離に基づいて、第1光学系11及び第2光学系21の各フレネルレンズFijの焦点距離、第1光学系11と第1素子12との位置関係、第2光学系21と第2素子22との位置関係を定めることによって形成することができる。
【0042】
さて、検知ゾーン列及び検知ゾーンが上述したように配置されている場合において、人体が図3の矢印aで示す位置を、検知方向に沿って、検知ゾーン列Z1の側から検知ゾーン列Z8の方向に向けて移動したとする。このとき、まず人体が検知ゾーンZ11の位置に入ると、当該検知ゾーンZ11から第1素子12への光路を横切るので、人体からの熱線が第1素子12で検知され、その出力が信号処理回路16で処理されてパルス信号が出力されることになる。
【0043】
その後、人体は検知ゾーン列Z2を横切ることになるが、このときには人体は検知ゾーンZ21から第2素子22への光路を横切るので、人体からの熱線が第2素子22で検知され、その出力が信号処理回路26で処理されてパルス信号が出力されることになる。そして、信号処理回路16からのパルス信号と、信号処理回路26からのパルス信号とが所定の時間差内であれば、判定手段30は検知論理が成立したと判定する。
【0044】
従って、人体が、判定手段30が検知論理が成立すると判定する時間差に対応する速度以上の速度で、検知方向に沿って移動すれば、隣接する2つの検知ゾーン列から対応する素子への光路を横切る度毎に判定手段30で検知論理が成立したと判定され、検知論理が所定回数発生した時に判定手段30は人体を検知したと判定して検知信号を出力する。
【0045】
以上のことから、人体はどの位置であれ、検知方向に沿って移動した場合には検知されることになる。
【0046】
これに対して、小動物が上述した人体と同じ動きをした場合の動作は次の通りである。小動物が、ゾーン形成面の検知ゾーン上を直接横切った場合には、小動物からの熱線は、当該検知ゾーンに対応する素子で検知され、その出力が対応する信号処理回路で処理されてパルス信号が出力されることになるが、次に、隣接する検知ゾーン列を横切るときには、当該検知ゾーン列の検知ゾーンから対応する素子への光路は横切ることはないので、小動物からの熱線が、当該隣接する検知ゾーン列に対応する素子で検知されることはない。
【0047】
従って、小動物が隣接する2つの検知ゾーン列を横切る度毎に判定手段30で検知論理が成立したと判定される可能性はなく、その結果、小動物が人体と判断されて判定手段30から検知信号が出力される可能性はないのである。
【0048】
以上のようであるので、このセンサSでは、検知ゾーン列及び検知ゾーンの配列を上述した構成とすることによって、小動物による誤報を回避することができるのである。
【0049】
また、上述した検知ゾーン列及び検知ゾーンの配置は、小動物による誤報を回避できるばかりでなく、外乱光による誤報も回避することができる。以下、このことについて説明する。ところで、ゾーン形成面には、その表面が滑らかでなく、ゾーン形成面での反射光が乱反射する拡散面である場合と、滑らかな平滑面である場合があるが、まず、ゾーン形成面が拡散面である場合について説明する。
【0050】
ゾーン形成面が拡散面である場合には、例えゾーン形成面からの反射光が第1素子12及び/または第2素子22に入射したとしても、ゾーン形成面での反射光は指向性がないために、第1素子12及び/または第2素子22のプラス極性の焦電素子とマイナス極性の焦電素子に入射する光量は同程度となり、プラス極性の焦電素子の出力とマイナス極性の焦電素子の出力は相殺されるので、判定手段30によって検知論理が成立したと判断される可能性は非常に低く、従って外乱光による誤報が生じる可能性は非常に低いものである。
【0051】
次に、ゾーン形成面が滑らかな平滑面である場合について、図6を参照して説明する。図6において、太い実線は外乱光の入射光を示し、太い破線はゾーン形成面からの反射光を示している。
【0052】
図6に示す検知ゾーン列及び検知ゾーンの配置は図3に示すものと同じであり、いま、外乱光が図の太実線で示す方向から、ある角度、ある幅で入射したとする。そして、検知ゾーン列Z7の領域に入射した外乱光は、dで示すように当該検知ゾーン列Z7を構成する一つの検知ゾーンZ71の位置で反射して、太破線で示すように対応する第1素子12に入射したとする。このときには、当該反射光は第1素子12のプラス極性の焦電素子またはマイナス極性の焦電素子の一方に入射することが有り得る。そしてその場合には、第1素子12で検知され、その出力が信号処理回路16で処理されてパルス信号が出力されることになる。
【0053】
しかし、当該検知ゾーン列Z7に隣接する検知ゾーン列Z6に入射した外乱光e、及び検知ゾーン列Z8に入射した外乱光fは、これらの検知ゾーン列のどの位置で反射したとしても対応する第2素子22に入射する可能性は非常に低い。なぜなら、平滑面での反射光は鋭い指向性を有し、入射光と同方向に集中するため、検知ゾーン列Z6及び検知ゾーン列Z8での反射光は図の太破線で示すようにセンサSから外れてしまう。従って、検知ゾーン列Z6、Z8での反射光は、これらの検知ゾーン列に対応する第2素子22には入射せず、信号処理回路26からパルス信号が出力されることはなく、従って判定手段30で検知論理が成立したと判断される可能性は非常に少ないものである。
【0054】
以上のように、このセンサSによれば、外乱光による誤報を従来よりも大幅に低減することが可能である。
【0055】
以上、本発明による警戒範囲調整方法を適用して好適なセンサの実施の形態について説明したが、次に、本発明による警戒範囲調整方法の第1の実施の形態について説明する。まず、以下の説明の都合上、最長検知距離について説明する。図3に示す検知ゾーン配置の場合、即ち警戒範囲の調整を行わない場合、検知ゾーンZ11を注目検知ゾーンとした場合には、当該検知ゾーンZ11が含まれる検知ゾーン列に隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンよりセンサSから遠方にある最寄りの検知ゾーンはZ21となり、この検知ゾーンZ21よりセンサSの遠方には検知ゾーンが形成されていないので、このセンサSの最長検知距離は、人体が検知ゾーンZ11を横切ることができる最も遠い距離ということになる。
【0056】
そして、ここでは、検知ゾーンの全体を人体等の熱源が横切った場合に図2の比較回路15または比較回路25の入力信号のレベルが、比較回路15または比較回路25で設定された閾値を越えるように、増幅回路13、23の利得が設定されているものとすると、熱源が検知ゾーンZ11を横切ったときに比較回路15からパルス信号が出力される最も遠い距離は、熱源の最下部(人体の場合は足)が検知ゾーンZ11の最もセンサS側の位置を横切った場合ということになる。従って、図3に示す場合には、最長検知距離は、図3、図4においてL1で示す距離になる。
【0057】
さて、上述したセンサSにおいて、警戒範囲の調整は、第1光学系11の所望のフレネルレンズまたは第2光学系21の所望のフレネルレンズをマスク部材によってマスキングすることによって行う。その例を図7に示す。
【0058】
図7(a)は、第1光学系11のフレネルレンズのうち、最上段に配置されているF11、F31、F51、F71の4つのフレネルレンズをマスク部材Mによりマスキングした例を示している。ここで、マスク部材Mの材料としては熱線を透過しないものであればどのようなものでもよく、シールでもよく、第1光学系の所望のフレネルレンズに着脱可能になされた樹脂の成型品であってもよい。なお、図7では、マスク部材Mはシールであるとし、マスキングを施したフレネルレンズには斜線を付している。
【0059】
図7(a)に示すように第1光学系11のF11、F31、F51、F71の4つのフレネルレンズにマスク部材Mを貼付してマスキングした場合には、Z11、Z31、Z51、Z71の4つの検知ゾーンは形成されないので、最長検知距離は図3、図4においてL2で示す距離になる。
【0060】
図7(b)は、第1光学系11のフレネルレンズのうち、最上段とその下の段に配置されているF11、F12、F31、F32、F51、F52、F71、F72の8つのフレネルレンズをマスク部材Mによりマスキングした例を示している。この場合には、Z11、Z12、Z31、Z32、Z51、Z52、Z71、Z72の8つの検知ゾーンは形成されないので、最長検知距離は図3、図4においてL3で示す距離になる。
【0061】
図7(c)は、第1光学系11のフレネルレンズのうち、向かって左端側に配置されているF11、F12、F13の3つのフレネルレンズをマスク部材Mによりマスキングした例を示している。この場合には最長検知距離はL1のままであるが、Z11、Z12、Z13の3つの検知ゾーンが形成されない、即ち図3の検知ゾーン列Z1が形成されないので、センサSからの検知ゾーン列の拡がり角度を狭くすることができる。これも警戒範囲の調整の一つの態様である。
【0062】
以上、警戒範囲の調整の態様について3つの場合を説明したが、警戒範囲の調整の態様はこれ以外にも種々にあるものである。例えば、図7に示す例では第1光学系11の所望のフレネルレンズをマスキングしたが、第2光学系21の所望のフレネルレンズをマスキングしてもよく、あるいは、第1光学系11の所望のフレネルレンズと、第2光学系21の所望のフレネルレンズをマスキングすることもできる。
【0063】
例えば、第1光学系11については最下段に配置されているF13、F33、F53、F73の4つのフレネルレンズをマスキングし、且つ第2光学系21については最上段に配置されているF21、F41、F61、F81の4つのフレネルレンズをマスキングすると、Z13、Z33、Z53、Z73、Z21、Z41、Z61、Z81の8つの検知ゾーンが形成されないので、最長検知距離は図3のL4で示す距離となり、且つセンサSの近くを警戒範囲から外すことができる。
【0064】
以上のようであるので、第1光学系11、第2光学系21のどちらの光学系のどのフレネルレンズをマスキングするかは、センサSを設置する箇所求められる警戒範囲を考慮して決定すればよいのである。
【0065】
以上、マスク部材Mとしてシールを用いた場合について説明したが、マスク部材として樹脂の成型品を用いた場合について、図8を参照して説明する。図8において、マスク部材MはセンサSの第1光学系11の外側を、図の矢印で示すセンサSの縦方向、即ち、第1光学系11の最上段から最下段の方向に、あるいはその逆方向にスライド可能となされている。このマスク部材Mが熱線を透過しない材料で成型されていることは当然である。
【0066】
そして、マスク部材Mの縦方向長さは、第1光学系11の2段のフレネルレンズをマスキングできる長さを有しており、縦方向と直交する横方向の幅は、第1光学系11の横方向に並んで配置されている4つのフレネルレンズをマスキングできる幅を有している。そして、このマスク部材Mは、第1光学系11の前面において、次の4つの位置をとることが可能となされている。
【0067】
第1の位置は、図8に示すように第1光学系11のフレネルレンズをマスキングしない位置である。即ち、第1の位置は最も上の位置である。その下の第2の位置は、図7(a)に示すと同様に、第1光学系11の最上段の4つのフレネルレンズF11、F31、F51、F71をマスキングする位置である。第2の位置の下の第3の位置は、図7(b)に示すと同様に、第1光学系11のフレネルレンズのうち、最上段とその下の段に配置されているF11、F12、F31、F32、F51、F52、F71、F72の8つのフレネルレンズをマスキングする位置である。第3の位置の下の第4の位置は、最下段とその上の中段に配置されているF12、F32、F52、F72、F13、F33、F53、F73の8つのフレネルレンズをマスキングする位置である。
【0068】
従って、センサSの設置個所の状況に応じてマスク部材Mの位置を調整することによって、警戒範囲を所望の状態に調整することができることは上述したところから明らかであろう。なお、図3に示す検知ゾーン列及び検知ゾーンの配置はあくまでも一例に過ぎないものであり、これに限定されるものではない。
【0069】
以上の通りであるので、この警戒範囲調整方法によれば、従来におけるように複雑な機構を用いることなく、シールを貼付する、あるいは樹脂の成型品をスライドさせるという簡単な構成によって警戒範囲の調整を行うことができ、警戒範囲の調整を行うための操作も容易である。また、マスク部材としてシールを用いるにしても、樹脂の成型品を用いるにしても、これらの厚みは1mm以下でもマスキングの効果は十分得られるので、この警戒範囲調整方法は筐体の大きさに殆ど影響しないものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による警戒範囲調整方法を適用して好適な受動型赤外線センサの実施の形態の外観を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は正面図である。
【図2】図1に示す受動型赤外線センサのブロック構成を示す図である。
【図3】図1に示す受動型赤外線センサにおいて、検知ゾーン列及び検知ゾーンを、受動型赤外線センサを中心として斜め下方向に扇状に配置するように形成した場合を示す図であり、ゾーン形成面における赤外線検知素子12による検知ゾーン列及び検知ゾーン、及び赤外線検知素子22による検知ゾーン列及び検知ゾーンを上から見た平面図である。
【図4】図3においてaで示す矢印の方向から見た側面図であって、Z1とZ2の2つの検知ゾーン列の検知ゾーンから対応する素子に入射する熱線の光路を示す側面図である。
【図5】注目検知ゾーンZ22と、検知ゾーンZ11から第1素子12への光路と、人体Hと小動物Mの高さの関係、及び、注目検知ゾーンZ22と、検知ゾーンZ31から第1素子12への光路と、人体Hと小動物Mの高さの関係を示す図である。
【図6】図3に示す検知ゾーン列及び検知ゾーンの配置において、ゾーン形成面が平滑面である場合において、外乱光によって誤報が生じる可能性が従来よりも低いことを説明するための図である。
【図7】本発明に係る受動型赤外線センサの警戒範囲調整方法の実施の形態を示す図である。
【図8】マスク部材として樹脂の成型品を用いた場合の本発明の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
11…集光光学系、12…赤外線検知素子、13…増幅回路、14…帯域フィルタ、15…比較回路、16…信号処理回路、21…集光光学系、22…赤外線検知素子、23…増幅回路、24…帯域フィルタ、25…比較回路、26…信号処理回路、30…判定手段、Fij(i,jは何れも自然数でi=1〜8,j=1〜3)…フレネルレンズ、Zij(i,jは何れも自然数でi=1〜8,j=1〜3)…検知ゾーン、M…マスク部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツイン素子を用いた第1の赤外線検知素子と、
ツイン素子を用いた第2の赤外線検知素子と、
第1の赤外線検知素子に対応して配置され、複数のフレネルレンズからなる第1の集光光学系と、
第2の赤外線検知素子に対応して配置され、複数のフレネルレンズからなる第2の集光光学系
を少なくとも備え、
第1の赤外線検知素子及び第1の集光光学系で形成される検知ゾーン列及び検知ゾーンと、第2の赤外線検知素子及び第2の集光光学系で形成される検知ゾーン列及び検知ゾーンは、互いに重なることなく形成されると共に、検知方向に対して前後に形成された検知ゾーン列の各検知ゾーンは、互いに異なる赤外線検知素子とそれに対応した集光光学系で形成され、且つ、互いに隣接する検知ゾーン列に含まれるそれぞれの検知ゾーンは、これらの検知ゾーン列の受動型赤外線センサからの距離で見たとき、同じ距離の位置には無いように配置され、更に、これらの検知ゾーン列及び検知ゾーンは、ある一つの検知ゾーンに注目したとき、当該検知ゾーンが含まれる検知ゾーン列に隣接する検知ゾーン列の検知ゾーンであって、当該注目検知ゾーンより受動型赤外線センサから遠方にある最寄りの検知ゾーンから対応する赤外線検知素子への光路が、被検知物体が検知方向に沿って移動した場合には当該被検知物体によって横切られ、且つ小動物によっては横切られない高さにあるように配置されている
受動型赤外線センサにおける警戒範囲調整方法であって、
第1の集光光学系の所望のフレネルレンズ及び/または第2の集光光学系の所望のフレネルレンズを熱線を透過しないマスク部材によりマスキングする
ことを特徴とする受動型赤外線センサの警戒範囲調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−18750(P2006−18750A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198169(P2004−198169)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】