台湾グリーンプロポリス抽出物を含む薬剤および栄養補給剤
【課題】がんの進行を遅延させるとともに、がん患者のQOLを改善することができる薬剤および栄養補給剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、がんを処置するための薬剤に関する。また、本発明は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む栄養補給剤に関する。
【解決手段】本発明は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、がんを処置するための薬剤に関する。また、本発明は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む栄養補給剤に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台湾グリーンプロポリス抽出物を含む薬剤および栄養補給剤に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、重大で悪性の疾病である。衛生条件の改善と、人類の寿命の延長、そして科学診断機器の進歩に伴い、がんと診断される患者数は年を追って増加している。がん患者には、手術のほか、化学療法が最もよく使用され、化学療法剤ががん細胞の成長を停止させるか、がん細胞を破壊して、がん治療の効果を達する。化学療法剤は、薬剤の作用方式に基づいて、アルキル化薬、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管重合阻害薬等に分けることができる。現在常用される抗がん剤には、リポソーム化ドキソルビシン(liposomal doxorubicin)、トポテカン(topotecan;商品名ハイカムチン(登録商標))、パクリタキセル(paclitaxel;商品名タキソール(登録商標))等の薬剤がある。
【0003】
従来の化学療法剤の効果には限りがあり、また顕著な副作用を引き起こし、患者のQOL(Quality of Life)を低下させ、かつ患者の生存率の上昇にも限りがある。このため、多くの新世代の分子標的抗がん剤が開発・販売されるようになっており、これらの分子標的抗がん剤は顕著な抗がん活性があり、同時に副作用が比較的抑えられるが、全体的に見ると、患者の寿命延長に対してはやはり満足のいく効果は得られていない。これらの分子標的抗がん剤は作用メカニズムの違いに基づいて、血管新生阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、分化誘導剤、免疫治療剤等に分けることができる(Nygren P et al. J Intern Med.2003;253(1):46−75.)。
【0004】
血管新生阻害剤(angiogenesis inhibitor)はすでに多くの薬剤が販売されており、例えばベバシズマブ(bevacizumab;商品名アバスチン(登録商標))はヒトモノクローナル抗体である(Willett CG et al. Nat Med.2004;10(2):145−7.)。またサリドマイド(thalidomide)は一種の鎮静剤であり、血管新生阻害剤でもある(Bosch ME et al. J Pharm Biomed Anal.2008; 46(1):9−17.)。もう一種類はマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase)阻害剤で、例えばバチマスタット(Batimastat)及びマリマスタット(Marimastat)等の薬剤である(Gialeli C et al. FEBS J. 2011; 278(1):16−27.)。血管新生阻害剤は主に腫瘍血管の生成を阻害し、腫瘍が多くの栄養物質を取得することと廃棄物の除去を阻害する。腫瘍は絶え間なく供給される血液養分がないと成長することができない。このため、腫瘍血管の新生を阻害することで、腫瘍の成長を効果的に抑制し、抗がんの目的を達することができる。
【0005】
チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor)(Soria JC et al. Ann Oncol. 2011.)はすでに、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、トラスツズマブ(Trastuzumab;商品名ハーセプチン(登録商標))、ラパチニブ(Lapatinib;商品名ゼローダ(登録商標))、イマチニブ(Imatinib;商品名 グリベック(登録商標))等の薬剤を含む、10種類以上の薬剤が販売されている。これらの薬剤は主にシグナル伝達を阻害して、がん細胞の増殖を抑制し、抗がんの目標を達する。グリベック(Gleevec)(登録商標)はこれらの薬剤のうち最も早期に販売されており、薬価も相当高額である。また、EGF(Epidermal growth factor、上皮成長因子)受容体ファミリーHER2/neuの関与する乳がんは、ハーセプチン(Herceptin)(登録商標)を使用して治療することができる(Soria JC et al. Ann Oncol. 2011.)。現在の研究で、これらの薬剤はほかのメカニズムの抗がん剤と組み合わせた使用にも適しており、治療効果を高めることができることもわかっている。
【0006】
分化誘導剤(differentiation inducer)には二種類ある。一つは全トランス型レチノイン酸(all trans retinoic acid、ATRA)で、主に血液のがんに用いられる(Tsukada N et al. Intern Med. 1996; 35(1):10〜4.)。もう一つはepigenetic調整剤で、主にDMT(DNA Methyltransferase)阻害剤及びHDAC(Histone deacetylase)阻害剤の二種類がある(Lyko F et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97(20):1 498−506.及びOkmanovic M et al. Mol Cancer Res. 2007; 5(10):981−9.)。DMTは現在販売されている薬剤として、アザシチジン(azacytidine;商品名Vidaza(登録商標))及びデシタビン(decitabine;商品名ダコジェン(登録商標))があり、主に骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)の治療に用いられる(Stresemann C et al. Int J Cancer. 2008; 123(1):8−13.)。HDAC阻害剤は現在二種類の薬剤が販売されており、それぞれスベロイラニリドハイドロザミック酸(SAHA;商品名ゾリンザ(登録商標))及びイストダックス(ISTODAX)(登録商標)が皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T cell lymphoma;CTCL)の治療に応用されている(Duvic M et al. Blood. 2007; 109(1):31−9.)。これらの薬剤はがん細胞の制御不能なエピジェネティクス(epigenetic)の作用を調整することができ、がん細胞の増殖を阻害し、がん細胞の分化を促進したり、細胞のアポトーシスを誘導して抗がんの目的を達する。
【0007】
免疫治療剤(immunotherapy)は現在既に販売されている薬剤として前立腺がんのワクチン(PROVENGE)(登録商標)があり、主に患者の自己免疫力により前立腺がん前期の治療に用いられる(Small EJ et al. J Clin Oncol. 2000; 18(23):3894−903.)。前立腺がんは米国男性のがんで第二位となっており、2009年に新たに診断された患者数は192,000人、死亡者数は27,000人となっている。
【0008】
以上の四つの分類の分子標的抗がん剤は、顕著な治療効果があり、副作用も比較的低いが、がん患者の生存率を大幅に高めることはできない。このため、がん治療においては、より効果的で副作用が低い治療法を開発し、それにより抗がん効果を増強し、患者の寿命を延長すると共に、がん患者のQOLを高める必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nygren P et al. J Intern Med.2003;253(1):46−75.
【非特許文献2】Willett CG et al. Nat Med.2004;10(2):145−7.
【非特許文献3】Bosch ME et al. J Pharm Biomed Anal.2008; 46(1):9−17.
【非特許文献4】Gialeli C et al. FEBS J. 2011; 278(1):16−27.
【非特許文献5】Soria JC et al. Ann Oncol. 2011.
【非特許文献6】Tsukada N et al. Intern Med. 1996; 35(1):10〜4.
【非特許文献7】Lyko F et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97(20):1 498−506.
【非特許文献8】Okmanovic M et al. Mol Cancer Res. 2007; 5(10):981−9.
【非特許文献9】Stresemann C et al. Int J Cancer. 2008; 123(1):8−13.
【非特許文献10】Duvic M et al. Blood. 2007; 109(1):31−9.
【非特許文献11】Small EJ et al. J Clin Oncol. 2000; 18(23):3894−903.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、がんの進行を遅延させるとともに、がん患者のQOL(Quality of Life)を改善することができる薬剤および栄養補給剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下を提供する:
(1)台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、がんを処置するための薬剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化1】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化2】
であり、
R4はH、
【化3】
であり、
R5はOH、H、
【化4】
であり、
R7はH、
【化5】
である)。
(2)ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、上記(1)記載の薬剤。
(3)1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の薬剤と、1以上の抗がん剤または抗がん成分とを含む、がんを処置するためのキット。
(5)台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、免疫機能を調節するための薬剤、ここで、プロポリンは上記(1)に定義のとおりである。
(6)台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、栄養補給剤、ここで、プロポリンは上記(1)に定義のとおりである。
(7)ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、上記(6)記載の栄養補給剤。
(8)1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、上記(6)または(7)記載の栄養補給剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、腫瘍の成長を抑制して、がんの進行を遅延させ、患者の寿命を延長することができる。また、本発明の薬剤および栄養補給剤は、他の抗がん剤や抗がん成分と併用すると、それらの効果を増強することができ、これにより抗がん剤の使用量を減少させ、治療期間を短縮し、副作用を軽減することができる。本発明の薬剤および栄養補給剤は、がん治療およびがん患者のQOLの改善に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】EF−2製剤と化学療法剤とを組み合わせて使用した効果を示すグラフである。「*」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.05)があり、「**」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.01)があり、「***」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.001)があることを表す。
【図2】乳がんヌードマウスにEF−1製剤を投与したときの32日目の比較写真である。
【図3】乳がんヌードマウスにEF−1製剤を投与したときの腫瘍の成長抑制を示すグラフである。
【図4】EF−1製剤を投与したヌードマウスの体重の変化を示すグラフである。星印:試験を102日まで行なったとき、コントロール群のマウスが全て死亡した。
【図5】EF−1製剤がヌードマウスの寿命を顕著に延長できることを示すグラフである。
【図6】投与6週後のEF−2製剤群とコントロール群の肝臓がん腫瘍の成長抑制の比較写真である。
【図7】EF−2製剤(加水分解ローヤルゼリー粉または未加水分解ローヤルゼリー粉を含む)による肝臓がん腫瘍の成長抑制を示すグラフである。「*」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.05)があり、「**」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.01)があり、「***」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.001)があることを表す。
【図8】6週間のEF−2製剤投与が肝臓がんヌードマウスの体重減少を生じないことを示すグラフである。
【図9】EF−2製剤による大腸がん腫瘍の成長抑制を示すグラフである。
【図10】4週間のEF−2製剤投与が大腸がんヌードマウスの体重減少を生じないことを示すグラフである。
【図11】台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物または加水分解ローヤルゼリーの単独投与、およびEF−2製剤の投与による腫瘍の成長抑制効果を評価した結果を示すグラフである。
【図12】台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物または加水分解ローヤルゼリーの単独投与、およびEF−2製剤の投与によるヌードマウス体重に対する影響を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別途明示がある場合を除き、本願明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野において通常の技術者に一般的に理解される意味を有する。
【0015】
本明細書で使用する「1」という用語は、特に明示がある場合を除き、少なくとも1つ(1つまたは2つ以上)の数量を指す。
【0016】
本明細書で使用する「抽出物」という用語は、溶剤を使用して原料を抽出し、得た産物を意味する。溶剤としては、水およびエタノール等のアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用する「台湾グリーンプロポリス」(Taiwanese green propolis)という用語は、5〜8月をシーズンとする、台湾で産出される緑色のプロポリスを指す。台湾グリーンプロポリスは豊富なプロポリン(Propolin)を含有する。
【0018】
本発明における「台湾グリーンプロポリス抽出物」とは、台湾グリーンプロポリスから溶剤を使用して抽出された産物を意味する。溶剤は、好ましくはエタノールであり、より好ましくは70〜95%エタノールであり、最も好ましくは95%エタノールである。
【0019】
本発明における「プロポリン(Propolin)」という語は、下記式(I)で示される化合物およびその水和物を意味する:
【化6】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化7】
であり、
R4はH、
【化8】
であり、
R5はOH、H、
【化9】
であり、
R7はH、
【化10】
である)。
【0020】
「プロポリン」には、以下の化合物およびその水和物が含まれるが、これらに限定されない。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0021】
本明細書における「水和物」という用語は、水化物とも称され、水を含有する化合物を意味し、そのうち水は配位でその他部分と結合するか、共有結合で相互に結合することができ、化合物と水分子が水素結合により結晶を形成するものである。本発明における「水和物」には、分子水が側鎖の末端に形成された一個の第三級アルコールを含有する化合物が含まれ、例えばプロポリンA(propolin A)、プロポリンB(propolin B)、プロポリンE(propolin E)等の水和物が挙げられる。
【0022】
本発明における「レンゲソウ抽出物」とは、レンゲソウから溶剤を使用して抽出された産物を意味する。溶剤は、好ましくはエタノールであり、より好ましくは20〜50%エタノールであり、最も好ましくは30%エタノールである。
【0023】
本発明における「ローヤルゼリー」としては、生ローヤルゼリーを凍結乾燥その他の方法により乾燥させた乾燥ローヤルゼリーが好適に用いられる。ローヤルゼリーは、酵素処理によりタンパク質を加水分解したものであってもよい。
【0024】
本発明における「がん」という用語は、あらゆる異常な細胞または組織の成長を意味する。例えば腫瘍は、悪性、前癌状態、または非悪性を問わず、制御されない細胞の増殖を特徴とする。「がん」という語は、肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、すい臓がん、および口腔がんを含むが、これらに限られない。
【0025】
本発明における「処置」という用語は、疾患の治療および予防を包含し、疾患の進行の停止および遅延、症状の軽減および緩解など、あらゆる管理を含む。「QOLの改善」とは、治療過程における痛みや副作用を軽減することにより、患者の生活をより平常に近付けることを意味する。
【0026】
本明細書における「栄養補給剤」という用語は、日常の飲食品以外の補充品を指し、その形態は、カプセル、錠剤、丸剤、懸濁液、顆粒剤、食品、飲料品を含むが、これらに限られない。
【0027】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルなどの動物およびヒトに用いられる。本発明の薬剤および栄養補給剤は、特にヒトに好適である。
【0028】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンに加えて、ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含むことができる。ある態様において、本発明の薬剤および栄養補給剤は、10〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、40〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含み、好ましくは、15〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、50〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含む。別の態様において、本発明の薬剤および栄養補給剤は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物を、1〜10:3〜30:1〜10、好ましくは1.5:7:1.5の組成比率(重量)で含む。
【0029】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用してもよい。本明細書における「抗がん剤または抗がん成分」という語は、がん細胞の成長または増殖を阻害する効果を備えた薬剤または有効成分を指し、この技術分野で既知のあらゆる抗がん剤または抗がん効果を備えた成分、物質、天然物、抽出物、組成物、漢方薬の単方または複方、あるいはタンパク質等を含む。「抗がん剤または抗がん成分」としては、例えば以下のものが例示される:ローヤルゼリー、レンゲソウ抽出物、リポソーム化ドキソルビシン、パクリタキセル、トポテカン(topotecan)、アバスチン(Avastin)、バチマスタット(Batimastat)、マリマスタット(Marimastat)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハーセプチン(Herceptin)、ゼローダ(Xeloda)、グリベック(Gleevec)、ビダザ(Vidaza)、ダコジェン(Dacogen)、ヴォリノスタット(Vorinostat; Zolinza)、イストダックス(Istodax)、前立腺がんワクチン(Provenge)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、スーテント(Sutent)、イクサベピロン(Ixabepione)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)、ドセタキセル(Docetaxel)、イダルビシン(Idarubicin)、ダウノルビシン(Daunorubicin)、アラビノシチジン(Cytarabine)、シスプラチン(Cisplatin)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、エンドスタチン(endostatin)、スクアラミン(squalamine)、タムスタチン(tumstatin)、アタメスタン(atamestane)、ファドロゾール(fadrozole)、レトロゾール(letrozole)、ログレチミド(rogletimide)、ボロゾール(vorozole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、イホスファミド(ifosfamide)、テモゾロマイド(temozolomide;temodar)、エトポシド(etoposide)、イリノテカン(irinotecan)、カンプトテシン(camptothecin)、ビンブラスチン(vinblastine)、メトトレキセート(methotrexate)、タモキシフェン(tamoxifen)、およびヴォリノスタット(vorinostat)。
【0030】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、医薬上または生理上許容される担体をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、好ましくは経口で投与または摂取される。
【0032】
本発明の薬剤は、患者の免疫機能を調節することができる。本発明の薬剤は、特異的免疫応答または非特異的免疫応答の調節に用いることができる。
【0033】
本発明は、本発明の薬剤と、1以上の抗がん剤または抗がん成分とを含む、がんを処置するためのキットを提供する。
【0034】
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者は、上記説明に基づいて本発明を最も広範に利用できることができる。上記説明および以下の実施例は単なる例示であり、いかなる意味においても本願明細書の開示内容を制限するものではない。
【実施例】
【0035】
材料と方法
ローヤルゼリーの製造
新鮮なローヤルゼリー約4.0キログラムを、2009年10月に台湾花蓮の養蜂場から採集した。そのうち2キログラムを冷凍乾燥し、約700グラムのローヤルゼリー粉を取得し、使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。別途、2キログラムのローヤルゼリーに5キログラムの純水を加えて充分に混合し、さらに遠心分離(4000rpm、10分間、4℃)した。遠心分離後の上清液にプロテアーゼ(Protease A)(2mg/mL)を加え、温度約50℃、回転速度150rpmの振とうインキュベーターで約2時間作用させ、ローヤルゼリーのタンパク加水分解を行なった。その後、90℃の高温でプロテアーゼAの活性除去を行い、さらに減圧濃縮を実施した。得られた濃縮液と遠心分離後の沈殿物とを混合し、さらに冷凍乾燥を行なって、約640グラムの加水分解ローヤルゼリー粉を得た。得られた加水分解ローヤルゼリー粉は使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。
【0036】
台湾グリーンプロポリス抽出物の製造
台湾グリーンプロポリス約2キログラムを、2009年7月に台湾花蓮の養蜂場で採集した。台湾グリーンプロポリスを脱ロウし、95%エタノールを使用して約3週間抽出を行なった。抽出液を濾過して異物を除去し、減圧濃縮して台湾グリーンプロポリス抽出物約1.5キログラムを取得した。得られた台湾グリーンプロポリス抽出物は使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。HPLC分析により抽出物中の活性化合物の含量を測定した。
【0037】
レンゲソウ抽出物の製造
レンゲソウ約1キログラムを、2010年1月に台北市の漢方薬局で購入した。レンゲソウを30%エタノールに約3日間浸漬し、抽出液を濾過して残渣を除去し、濾過液を減圧濃縮機で濃縮し、レンゲソウ抽出物約300グラムを取得した。得られたレンゲソウ抽出物は、使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。レンゲソウ抽出物中の多糖類の総含量を測定した。
【0038】
台湾グリーンプロポリス抽出物の特異的免疫調節機能試験
被験動物は8週齢のオスのBALB/cマウスであり、BioLASCO Taiwan Co., Ltd.(楽斯科生物科技股▲ふん▼有限公司)より購入した。連続的に8週間、胃ゾンデにより試験物質を強制投与した後、マウスを犠牲死させ、検体を採取し、分析を行なった。第4週と第6週に、卵白アルブミン(OVA)に完全フロイントアジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)を加えて混合し、腹腔内に注入した。被験動物は、滅菌水の正常コントロール群(NC)と、試験物質(台湾グリーンプロポリス抽出物)の投与量が異なる3群、すなわち15mg/kgの低用量群(TAL)、45mg/kgの中用量群(TAM)、90mg/kgの高用量群(TAH)の全4群に分け、各組の被験動物はそれぞれ10匹とした。試験前及び試験期間の第4週、第5週、第6週、第7週に眼窩採血方式で、そして第8週に犠牲死方式で、血液試料を採取した。試験終了後、CO2麻酔下で被験動物の腹部を切開し脾臓を採集し、重量を測定した。脾臓細胞懸濁液を作製して氷上に置き、サイトカイン分析、脾臓細胞表面マーカー分析、血液中の抗OVA IgG、IgM、IgG1b及びIgG2a抗体含量分析に使用した。
【0039】
サイトカイン分析は次のように行なった。脾臓細胞懸濁液の定量後5×105細胞/ウェルを取り、24ウェルの平底細胞培養プレートにそれぞれ入れて、細胞培養培地、細胞マイトジェンCon A及びOVAを加え、CO2インキュベーター中で48時間培養した。サイトカイン検体として各ウェル中の細胞培養液を取り出して新しい1.5ml微量遠心管に入れ、遠心分離(1200rpm、4℃、10分間)後に上清液を採取し、ELISA Cytokine assay kit(eBioscienceから購入したCat. No.88−7024(インターロイキン−2、IL−2)、88-7044(インターロイキン−4、IL−4)、88-7121(腫瘍壊死因子、TNF−α)、88-7314(インターフェロンγ、IFN−γ)、88-7334(顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte−macrophage colony stimulating factor)、GM−CSF)により、脾臓細胞サイトカイン分泌状況を測定した。
【0040】
血液中の抗OVA IgG、IgM、IgG1b及びIgG2a抗体含量の測定方法は次の通りである。被験動物から眼窩採血で得た血液試料(約80〜100μl)を遠心(3600rpm、10分間)後、血清を採取し、測定まで−80℃の冷蔵庫に保存した。血清中に含有されるOVA抗体濃度は、ELISA方式で測定した。ELISA単位(E.U.)=(試料OD値−コントロール群OD値)/(血清OD値−コントロール群OD値)(OD:Optical Density)である。「試料OD値」とは、OVAで免疫し試験物質を投与した試験群の血清OD値、「血清OD値」とはOVAで免疫し滅菌水を投与した正常コントロール群の血清OD値、「コントロール群OD値」とは、OVAで免疫していないコントロール群の血清OD値である。
【0041】
脾臓細胞の細胞表面マーカーの分析は次のように行なった。脾臓細胞懸濁液において、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、PE−Cry5蛍光染色モノクローナル抗体(eBioscienceより購入)を利用して細胞表面抗原の発現量を計算した。リンパ細胞の定量後、同じ細胞数(5×105)を取り、蛍光染色、洗浄及び固定を経た後、フローサイトメトリーを利用して分析を行なった。データは、実験結果の平均値(Mean)±標準偏差(standard deviation S.D.)で表す。
【0042】
台湾グリーンプロポリス抽出物の非特異的免疫調節機能の試験
被験動物は8週齢のオスBALB/cマウスであり、BioLASCO Taiwan Co.,Ltd.(楽斯科生物科技股▲ふん▼有限公司)より購入した。連続的に6週間、胃ゾンデにより試験物質を強制投与し、試験終了後マウスを犠牲死させ、検体を採取し、免疫機能の評価分析を行なった。被験マウスは、滅菌水を投与した正常コントロール群(NC)、試験物質(台湾グリーンプロポリス抽出物)の投与量が異なる低用量群(15mg/kg、TAL)、中用量群(45mg/kg、TAM)、高用量群(90mg/kg、TAH)の全4群に分け、各群の試験動物数はそれぞれ10匹とした。試験前及び第3週に眼窩採血方式で、試験終了時に犠牲死方式で、血液試料を収集した。試験終了後、CO2麻酔下で被験動物の腹部を切開し脾臓を採集し、サイトカイン分析、血液中抗体含量分析、ナチュラルキラー細胞活性分析を行なった。
【0043】
サイトカイン分析は次のように実施した。脾臓細胞懸濁液の定量後5×105細胞/ウェルを取り、24ウェルの平底細胞培養プレートにそれぞれ入れて、細胞培養培地、細胞マイトジェンCon A、LPSを加え、CO2インキュベーター中で48時間培養した。各ウェルの細胞培養液を取り出して新しい1.5ml微量遠心管に入れ、遠心(250×g、4℃、10分間)を行なった。上清液を取り出し、ELISA Cytokine assay kit(eBioscienceより購入、Cat. No.88-7024(インターロイキン-2、IL−2)、88-7044(インターロイキン-4、IL−4)、88-7121(腫瘍壊死因子、TNF−α)、88−7314(インターフェロンγ、IFN−γ)、88−7334(顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte−macrophage colony stimulating factor)、GM−CSF))により脾臓細胞サイトカイン分泌状況を測定した。
【0044】
血液中の抗体含量は次のように分析した。実験動物の眼窩または犠牲死から採血して得た血液試料を遠心(250×g、10分間)し、その血清を取り、Mouse IgM、IgE及びIgG ELISA定量キット(Bethyより購入、Cat. No.E90〜101、E90〜115、E90〜131)方式で血清中の抗体濃度を測定した。
【0045】
ナチュラルキラー細胞活性分析は次のように実施した。脾臓から得た細胞(ナチュラルキラー細胞を含む)で、YAC−1細胞株をナチュラルキラー細胞の標的細胞として、一定のナチュラルキラー細胞:標的細胞の割合(6.25:1、12.5:1)で混合し、約4時間作用させ、キラー細胞が標的細胞を殺す能力を測定した。まずYAC−1細胞を定量し、市販のPKH67キット(Sigmaより購入、Cat No. PKH67−GL)を利用して染色し、YAC−1細胞表面にFICT蛍光を具備させ、定量済みの脾臓細胞を加えて一定比率で作用させ、37℃のCO2インキュベーターに入れて4時間培養した。作用時間に到達した後、50μlのPI溶液を加えて10分間作用させ、フローサイトメトリーを利用して分析を行なった。データは実験結果の平均値(Mean)±標準偏差(standard deviation S.D.)で表す。
【0046】
EF(epigenetic formula)製剤の混合
95%エタノールを使用して台湾グリーンプロポリス抽出物を溶解し、必要な量を取得した。レンゲソウ抽出物を30%エタノールで溶解し、必要な量を取得した。これらの二者を混合し、溶解剤を加え、さらに減圧濃縮でエタノールを除去した。この混合物にさらに純水、甘味料及び必要量のローヤルゼリー粉または加水分解ローヤルゼリー粉を加え、本発明の製剤を得た。EF−1の製剤中、台湾グリーンプロポリス抽出物、ローヤルゼリー粉、レンゲソウ抽出物の組成(重量)比率は、1.5:3:1.2であり、EF−1の製剤中には約26wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物が含有される。EF−2の製剤中、台湾グリーンプロポリス抽出物、ローヤルゼリー粉、レンゲソウ抽出物の組成(重量)比率が1.5:6:1.2であり、EF−2製剤中には約17wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物が含有される。
【0047】
EF−2製剤と化学療法剤との組み合わせによる、腫瘍の成長抑制
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全32匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(1.6×108細胞の乳がん細胞を3,840μlのL15/10%FBSに分散し、960μlのマトリゲルと混合した)。約3週間後(ヌードマウスの腫瘍の大きさは約100mm3)、グループ分けを行なった。すべてのヌードマウスをランダムに、(1)コントロール群(担体のみ)、(2)EF−2製剤(担体、加水分解ローヤルゼリー、台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物)を水ボトルの中に入れ、ヌードマウスに自然に飲用させて投与した試験群、(3)化学療法剤−パクリタキセル(10mg/kg)を腹腔内注射で二日に一回連続六週投与した試験群、(4)EF−2製剤と化学療法剤を組み合わせて使用した群、の4群に分けた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、加水分解ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0048】
EF−1製剤の乳がん動物試験
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全26匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(1.3×108細胞の乳がん細胞を3.2mLのL15/10%FBSに分散し、0.8mLのマトリゲルと混合した)。3週間後(腫瘍の大きさは約150mm3)、グループ分けを行なった。担体(水、溶解剤及び甘味料)のみを含むコントロール群の飲用水、及びEF−1の製剤(担体、ローヤルゼリー粉、台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物を含む)を含む試験群の飲用水を、それぞれコントロール群と試験群のヌードマウスに提供し、自然に飲用させた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約1000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで(約180日間)三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0049】
EF−2製剤肝臓がん動物試験
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全12匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト肝臓がん細胞株HepG2(1.0×107細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(1.2×108細胞の肝臓がん細胞を1440μlのDMEM/10%FBSに分散し、360μlのマトリゲルと混合した)。約4週間後(腫瘍の大きさは約105mm3)、ランダムに(1)飲用水が担体のみを含むコントロール群、(2)飲用水がEF−2製剤(加水分解ローヤルゼリーで調製)を含む試験群、及び(3)飲用水がEF−2製剤(非加水分解ローヤルゼリーで調製)を含む試験群に分け、コントロール群及び試験群のヌードマウスにそれぞれ自然に飲用させた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで(約42日間)三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0050】
EF−2製剤大腸がん動物試験
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全16匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト大腸がん細胞株HT29(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(8×107細胞の大腸がん細胞を1,920μlのRPMI/10%FBSに分散し、480μlのマトリゲルと混合した)。約1.5週間後(腫瘍の大きさは約120mm3)、(1)飲用水が担体のみを含むコントロール群、(2)飲用水がEF−2製剤を含む試験群にランダムにグループ分けし、コントロール群と試験群のヌードマウスに自然に飲用させた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0051】
EF−2製剤と台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物、加水分解ローヤルゼリータンパク質の腫瘍成長抑制活性の比較
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全40匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(2×108細胞の乳がん細胞を4,800μlのL15/10%FBSに分散し、1,200μlのマトリゲルと混合した)。約2週間後ヌードマウスの腫瘍の大きさが約100mm3になり、グループ分けを開始した。すべてのヌードマウスをランダムに、(1)コントロール群(担体のみ)、(2)台湾グリーンプロポリス抽出物を投与した試験群、(3)レンゲソウ抽出物を投与した試験群、(4)加水分解ローヤルゼリータンパク質を投与した試験群、(5)EF−2製剤を投与した試験群、の5群に分けた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用剤量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。(2)、(3)、(4)群中の成分の含量は、EF2製剤の単独成分の用量に相当する。飲用水は試験が終了するまで三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0052】
生物統計
台湾グリーンプロポリス抽出物の特異的及び非特異的免疫調節効果は、SPSSコンピュータ統計ソフトウェアを使用して、各試験群のデータをまずワンウェイ分散計算分析(One−way analysis of variance、 ANOVA)で検定し、さらにダンカン(Duncan)テストで各群間に差異性があるか否かを比較した。p値が0.05より小さければ2つの試験群間に統計上有意な差異があることを表す。
【0053】
その他の動物試験データはstudent t−testでコントロール群と試験群の統計を行った。p値が0.05より小さいと統計的有意差がある。
【0054】
「*」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p < 0.05)があり、「**」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p < 0.01)があり、「***」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p < 0.001)があることをそれぞれ表す。
【0055】
[実施例1]
EF−2製剤との組み合せによる化学療法剤の腫瘍成長抑制効果の増進
図1にEF−2製剤を化学療法剤と組み合わせて使用した効果を示す。化学療法剤パクリタキセルの単独投与またはEF−2製剤を化学療法剤と組み合わせて使用した群の腫瘍の成長速度はいずれも顕著に抑制され、4週目の測定時はコントロール群と比較してそれぞれ32%及び40%の抑制が見られた。4〜6週目のデータから、EF−2製剤を化学療法剤と組み合わせて使用すると、化学療法剤パクリタキセルを単独投与した場合より9〜13%抑制効果が増進されることが示された。この結果から、化学療法剤とEF−2製剤の組み合わせは、腫瘍の成長抑制において化学療法剤の単独投与より優れていることが示された。
【0056】
[実施例2]
台湾グリーンプロポリス抽出物の特異的免疫調節効果
免疫細胞のサイトカイン分泌を誘発する試験において、台湾グリーンプロポリス抽出物は、免疫細胞のCon A刺激下におけるIL−2、TFN−α及びIFN−γの分泌量を増加し、IL−4の分泌量を減少することが示された(表1参照)。卵白アルブミン(OVA)を使用して免疫を行なったマウスにおいて、台湾グリーンプロポリス抽出物は血清中の特異的抗体OVA−IgG、OVA−IgG2a及びOVA−IgMの生成を促進でき(表2参照)、且つ台湾グリーンプロポリス抽出物はT細胞のCD4の発現率を促進し、活性化の面でも明らかな増加の状況が見られた(表3参照)。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例3]
台湾グリーンプロポリス抽出物の非特異的免疫調節効果
本試験において、台湾グリーンプロポリス抽出物は、免疫細胞のCon A刺激下におけるIL−2およびIFN−γの分泌量を増加し、かつTFN−α及びIL−4の分泌量を調節し(表4参照)、ナチュラルキラー細胞の活性を促進する(表5参照)と同時に、血清抗体IgM含量を高める(表6参照)ことが示された。この結果から、台湾グリーンプロポリス抽出物は免疫機能中の非特異的免疫能力を調節する効果を備えていることがわかる。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
[実施例4]
EF−1製剤は毒性がなく、乳がん腫瘍の成長を抑制できる
乳がんヌードマウスにEF−1製剤を投与して32日後から腫瘍の大きさの測定を開始した。その結果、EF−1製剤服用群のヌードマウスの腫瘍成長は比較的緩慢で約20%の抑制が見られた(図2及び図3参照)。74日間の製剤の投与後、コントロール群のヌードマウスはすでに12匹が大量死亡して一匹のみ存命していたが、EF−1製剤群はわずか2匹が死亡したのみであり、まだ10匹のマウスが存命していた。この結果から、EF−1製剤は効果的に腫瘍の成長を抑制できることが分かった。ヌードマウスにEF−1製剤を投与して53日後、体重は若干コントロール群より低かったが、ヌードマウスの体重はいずれも約22.5グラムに維持された。その後試験終了まで、EF−1製剤群の体重は持続的に成長した。これは、本製剤に毒性がなく、製剤投与の前期は口に合わないことが問題で若干の体重減少が生じた可能性があることを示している(図4参照)。
【0065】
[実施例5]
EF−1製剤は乳がんヌードマウスの寿命を延長する
EF−1製剤を投与すると、乳がんヌードマウスの免疫力を強化でき、かつ乳がんヌードマウスの寿命を延長することができる(図5参照)。コントロール群のヌードマウスは50〜65日に集中して大量に死亡したが、EF−1製剤群の死亡は65〜160日に集中しており、180日で試験を終了するまで生存していたEF−1製剤群のヌードマウスも3匹いた。統計によると、コントロール群の生存期間は約60日間であり、EF−1製剤群の生存期間は約116日間であった。この結果から分かるように、EF−1製剤には明らかな毒性はなく、腫瘍の成長を抑制するだけでなく、乳がんヌードマウスの寿命を大幅に延長することができる。
【0066】
[実施例6]
EF−2製剤は毒性がなく、肝臓がん腫瘍の成長を抑制する
さらに、ヒト肝臓がん細胞株を使用してEF−2製剤の試験を行なった。EF−2製剤がEF−1製剤と相違する点は、ローヤルゼリー粉の量がEF−1製剤の2倍であることであり、その他の組成は変わらない。結果によると、加水分解または未加水分解を問わずローヤルゼリーで調製したEF−2製剤はいずれも腫瘍の成長抑制に有効であることが示された(図6及び図7参照)。この結果はEF−1製剤と類似しているが、EF−2製剤はEF−1製剤より更に有効なようである。EF−2製剤はEF−1製剤に類似しており、明らかな毒性はなく、ヌードマウスの体重にも明らかな減少は見られなかった(図8参照)。
【0067】
[実施例7]
EF−2製剤は大腸がん腫瘍の成長を抑制できる
ヒト大腸がん細胞株(HT−29)を使用してEF−2製剤の試験を行なった。結果によると、EF−2製剤服用群のヌードマウスの腫瘍成長は比較的緩慢であり、2週目に約22%の抑制が見られ、4週目にはEF−2製剤群ヌードマウスの腫瘍成長はいずれもコントロール群より緩慢であることが観察された(図9参照)。体重に明らかな減少は見られなかった(図10参照)。この結果から、EF−2製剤は腫瘍の成長を効果的に抑制でき、且つ明らかな毒性がなく、ヌードマウスの体重にも顕著な減少はないことが示された。
【0068】
[実施例8]
台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物、加水分解ローヤルゼリータンパク質及びEF−2製剤の腫瘍の成長抑制活性の比較
単独の台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物、或いは加水分解ローヤルゼリータンパク質が腫瘍の成長を効果的に抑制できるか試験した。ヌードマウスにヒト乳がん細胞(MDA−MB−231)を植え込み、腫瘍を100mm3まで成長させてからグループ分けをして、試験物質の投与を行なった。図11に示すように、人体服用量500ミリグラムに相当する台湾グリーンプロポリス抽出物の単独投与は効果がないことが分かった。人体服用量400ミリグラムに相当するレンゲソウ抽出物の単独投与は効果がないことが分かった。また人体服用量2,000ミリグラムに相当する加水分解ローヤルゼリータンパク質の単独投与も効果がないことが分かった。しかしながら、EF−2製剤(台湾グリーンプロポリス抽出物+レンゲソウ抽出物+加水分解ローヤルゼリータンパク質)は4〜5週間の投与で腫瘍抑制効果が25%に達し(図11参照)、且つヌードマウスの体重に明らかな減少は見られなかった(図12参照)。この結果から、EF−2製剤には顕著な腫瘍成長抑制活性があり、製剤の構成成分の単独投与にはいずれも効果がないことが分かった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、台湾グリーンプロポリス抽出物を含む薬剤および栄養補給剤に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、重大で悪性の疾病である。衛生条件の改善と、人類の寿命の延長、そして科学診断機器の進歩に伴い、がんと診断される患者数は年を追って増加している。がん患者には、手術のほか、化学療法が最もよく使用され、化学療法剤ががん細胞の成長を停止させるか、がん細胞を破壊して、がん治療の効果を達する。化学療法剤は、薬剤の作用方式に基づいて、アルキル化薬、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管重合阻害薬等に分けることができる。現在常用される抗がん剤には、リポソーム化ドキソルビシン(liposomal doxorubicin)、トポテカン(topotecan;商品名ハイカムチン(登録商標))、パクリタキセル(paclitaxel;商品名タキソール(登録商標))等の薬剤がある。
【0003】
従来の化学療法剤の効果には限りがあり、また顕著な副作用を引き起こし、患者のQOL(Quality of Life)を低下させ、かつ患者の生存率の上昇にも限りがある。このため、多くの新世代の分子標的抗がん剤が開発・販売されるようになっており、これらの分子標的抗がん剤は顕著な抗がん活性があり、同時に副作用が比較的抑えられるが、全体的に見ると、患者の寿命延長に対してはやはり満足のいく効果は得られていない。これらの分子標的抗がん剤は作用メカニズムの違いに基づいて、血管新生阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、分化誘導剤、免疫治療剤等に分けることができる(Nygren P et al. J Intern Med.2003;253(1):46−75.)。
【0004】
血管新生阻害剤(angiogenesis inhibitor)はすでに多くの薬剤が販売されており、例えばベバシズマブ(bevacizumab;商品名アバスチン(登録商標))はヒトモノクローナル抗体である(Willett CG et al. Nat Med.2004;10(2):145−7.)。またサリドマイド(thalidomide)は一種の鎮静剤であり、血管新生阻害剤でもある(Bosch ME et al. J Pharm Biomed Anal.2008; 46(1):9−17.)。もう一種類はマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase)阻害剤で、例えばバチマスタット(Batimastat)及びマリマスタット(Marimastat)等の薬剤である(Gialeli C et al. FEBS J. 2011; 278(1):16−27.)。血管新生阻害剤は主に腫瘍血管の生成を阻害し、腫瘍が多くの栄養物質を取得することと廃棄物の除去を阻害する。腫瘍は絶え間なく供給される血液養分がないと成長することができない。このため、腫瘍血管の新生を阻害することで、腫瘍の成長を効果的に抑制し、抗がんの目的を達することができる。
【0005】
チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor)(Soria JC et al. Ann Oncol. 2011.)はすでに、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、トラスツズマブ(Trastuzumab;商品名ハーセプチン(登録商標))、ラパチニブ(Lapatinib;商品名ゼローダ(登録商標))、イマチニブ(Imatinib;商品名 グリベック(登録商標))等の薬剤を含む、10種類以上の薬剤が販売されている。これらの薬剤は主にシグナル伝達を阻害して、がん細胞の増殖を抑制し、抗がんの目標を達する。グリベック(Gleevec)(登録商標)はこれらの薬剤のうち最も早期に販売されており、薬価も相当高額である。また、EGF(Epidermal growth factor、上皮成長因子)受容体ファミリーHER2/neuの関与する乳がんは、ハーセプチン(Herceptin)(登録商標)を使用して治療することができる(Soria JC et al. Ann Oncol. 2011.)。現在の研究で、これらの薬剤はほかのメカニズムの抗がん剤と組み合わせた使用にも適しており、治療効果を高めることができることもわかっている。
【0006】
分化誘導剤(differentiation inducer)には二種類ある。一つは全トランス型レチノイン酸(all trans retinoic acid、ATRA)で、主に血液のがんに用いられる(Tsukada N et al. Intern Med. 1996; 35(1):10〜4.)。もう一つはepigenetic調整剤で、主にDMT(DNA Methyltransferase)阻害剤及びHDAC(Histone deacetylase)阻害剤の二種類がある(Lyko F et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97(20):1 498−506.及びOkmanovic M et al. Mol Cancer Res. 2007; 5(10):981−9.)。DMTは現在販売されている薬剤として、アザシチジン(azacytidine;商品名Vidaza(登録商標))及びデシタビン(decitabine;商品名ダコジェン(登録商標))があり、主に骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)の治療に用いられる(Stresemann C et al. Int J Cancer. 2008; 123(1):8−13.)。HDAC阻害剤は現在二種類の薬剤が販売されており、それぞれスベロイラニリドハイドロザミック酸(SAHA;商品名ゾリンザ(登録商標))及びイストダックス(ISTODAX)(登録商標)が皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T cell lymphoma;CTCL)の治療に応用されている(Duvic M et al. Blood. 2007; 109(1):31−9.)。これらの薬剤はがん細胞の制御不能なエピジェネティクス(epigenetic)の作用を調整することができ、がん細胞の増殖を阻害し、がん細胞の分化を促進したり、細胞のアポトーシスを誘導して抗がんの目的を達する。
【0007】
免疫治療剤(immunotherapy)は現在既に販売されている薬剤として前立腺がんのワクチン(PROVENGE)(登録商標)があり、主に患者の自己免疫力により前立腺がん前期の治療に用いられる(Small EJ et al. J Clin Oncol. 2000; 18(23):3894−903.)。前立腺がんは米国男性のがんで第二位となっており、2009年に新たに診断された患者数は192,000人、死亡者数は27,000人となっている。
【0008】
以上の四つの分類の分子標的抗がん剤は、顕著な治療効果があり、副作用も比較的低いが、がん患者の生存率を大幅に高めることはできない。このため、がん治療においては、より効果的で副作用が低い治療法を開発し、それにより抗がん効果を増強し、患者の寿命を延長すると共に、がん患者のQOLを高める必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nygren P et al. J Intern Med.2003;253(1):46−75.
【非特許文献2】Willett CG et al. Nat Med.2004;10(2):145−7.
【非特許文献3】Bosch ME et al. J Pharm Biomed Anal.2008; 46(1):9−17.
【非特許文献4】Gialeli C et al. FEBS J. 2011; 278(1):16−27.
【非特許文献5】Soria JC et al. Ann Oncol. 2011.
【非特許文献6】Tsukada N et al. Intern Med. 1996; 35(1):10〜4.
【非特許文献7】Lyko F et al. J Natl Cancer Inst. 2005; 97(20):1 498−506.
【非特許文献8】Okmanovic M et al. Mol Cancer Res. 2007; 5(10):981−9.
【非特許文献9】Stresemann C et al. Int J Cancer. 2008; 123(1):8−13.
【非特許文献10】Duvic M et al. Blood. 2007; 109(1):31−9.
【非特許文献11】Small EJ et al. J Clin Oncol. 2000; 18(23):3894−903.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、がんの進行を遅延させるとともに、がん患者のQOL(Quality of Life)を改善することができる薬剤および栄養補給剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下を提供する:
(1)台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、がんを処置するための薬剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化1】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化2】
であり、
R4はH、
【化3】
であり、
R5はOH、H、
【化4】
であり、
R7はH、
【化5】
である)。
(2)ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、上記(1)記載の薬剤。
(3)1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、上記(1)または(2)に記載の薬剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の薬剤と、1以上の抗がん剤または抗がん成分とを含む、がんを処置するためのキット。
(5)台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、免疫機能を調節するための薬剤、ここで、プロポリンは上記(1)に定義のとおりである。
(6)台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、栄養補給剤、ここで、プロポリンは上記(1)に定義のとおりである。
(7)ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、上記(6)記載の栄養補給剤。
(8)1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、上記(6)または(7)記載の栄養補給剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、腫瘍の成長を抑制して、がんの進行を遅延させ、患者の寿命を延長することができる。また、本発明の薬剤および栄養補給剤は、他の抗がん剤や抗がん成分と併用すると、それらの効果を増強することができ、これにより抗がん剤の使用量を減少させ、治療期間を短縮し、副作用を軽減することができる。本発明の薬剤および栄養補給剤は、がん治療およびがん患者のQOLの改善に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】EF−2製剤と化学療法剤とを組み合わせて使用した効果を示すグラフである。「*」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.05)があり、「**」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.01)があり、「***」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.001)があることを表す。
【図2】乳がんヌードマウスにEF−1製剤を投与したときの32日目の比較写真である。
【図3】乳がんヌードマウスにEF−1製剤を投与したときの腫瘍の成長抑制を示すグラフである。
【図4】EF−1製剤を投与したヌードマウスの体重の変化を示すグラフである。星印:試験を102日まで行なったとき、コントロール群のマウスが全て死亡した。
【図5】EF−1製剤がヌードマウスの寿命を顕著に延長できることを示すグラフである。
【図6】投与6週後のEF−2製剤群とコントロール群の肝臓がん腫瘍の成長抑制の比較写真である。
【図7】EF−2製剤(加水分解ローヤルゼリー粉または未加水分解ローヤルゼリー粉を含む)による肝臓がん腫瘍の成長抑制を示すグラフである。「*」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.05)があり、「**」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.01)があり、「***」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p<0.001)があることを表す。
【図8】6週間のEF−2製剤投与が肝臓がんヌードマウスの体重減少を生じないことを示すグラフである。
【図9】EF−2製剤による大腸がん腫瘍の成長抑制を示すグラフである。
【図10】4週間のEF−2製剤投与が大腸がんヌードマウスの体重減少を生じないことを示すグラフである。
【図11】台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物または加水分解ローヤルゼリーの単独投与、およびEF−2製剤の投与による腫瘍の成長抑制効果を評価した結果を示すグラフである。
【図12】台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物または加水分解ローヤルゼリーの単独投与、およびEF−2製剤の投与によるヌードマウス体重に対する影響を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別途明示がある場合を除き、本願明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野において通常の技術者に一般的に理解される意味を有する。
【0015】
本明細書で使用する「1」という用語は、特に明示がある場合を除き、少なくとも1つ(1つまたは2つ以上)の数量を指す。
【0016】
本明細書で使用する「抽出物」という用語は、溶剤を使用して原料を抽出し、得た産物を意味する。溶剤としては、水およびエタノール等のアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用する「台湾グリーンプロポリス」(Taiwanese green propolis)という用語は、5〜8月をシーズンとする、台湾で産出される緑色のプロポリスを指す。台湾グリーンプロポリスは豊富なプロポリン(Propolin)を含有する。
【0018】
本発明における「台湾グリーンプロポリス抽出物」とは、台湾グリーンプロポリスから溶剤を使用して抽出された産物を意味する。溶剤は、好ましくはエタノールであり、より好ましくは70〜95%エタノールであり、最も好ましくは95%エタノールである。
【0019】
本発明における「プロポリン(Propolin)」という語は、下記式(I)で示される化合物およびその水和物を意味する:
【化6】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化7】
であり、
R4はH、
【化8】
であり、
R5はOH、H、
【化9】
であり、
R7はH、
【化10】
である)。
【0020】
「プロポリン」には、以下の化合物およびその水和物が含まれるが、これらに限定されない。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0021】
本明細書における「水和物」という用語は、水化物とも称され、水を含有する化合物を意味し、そのうち水は配位でその他部分と結合するか、共有結合で相互に結合することができ、化合物と水分子が水素結合により結晶を形成するものである。本発明における「水和物」には、分子水が側鎖の末端に形成された一個の第三級アルコールを含有する化合物が含まれ、例えばプロポリンA(propolin A)、プロポリンB(propolin B)、プロポリンE(propolin E)等の水和物が挙げられる。
【0022】
本発明における「レンゲソウ抽出物」とは、レンゲソウから溶剤を使用して抽出された産物を意味する。溶剤は、好ましくはエタノールであり、より好ましくは20〜50%エタノールであり、最も好ましくは30%エタノールである。
【0023】
本発明における「ローヤルゼリー」としては、生ローヤルゼリーを凍結乾燥その他の方法により乾燥させた乾燥ローヤルゼリーが好適に用いられる。ローヤルゼリーは、酵素処理によりタンパク質を加水分解したものであってもよい。
【0024】
本発明における「がん」という用語は、あらゆる異常な細胞または組織の成長を意味する。例えば腫瘍は、悪性、前癌状態、または非悪性を問わず、制御されない細胞の増殖を特徴とする。「がん」という語は、肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、すい臓がん、および口腔がんを含むが、これらに限られない。
【0025】
本発明における「処置」という用語は、疾患の治療および予防を包含し、疾患の進行の停止および遅延、症状の軽減および緩解など、あらゆる管理を含む。「QOLの改善」とは、治療過程における痛みや副作用を軽減することにより、患者の生活をより平常に近付けることを意味する。
【0026】
本明細書における「栄養補給剤」という用語は、日常の飲食品以外の補充品を指し、その形態は、カプセル、錠剤、丸剤、懸濁液、顆粒剤、食品、飲料品を含むが、これらに限られない。
【0027】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルなどの動物およびヒトに用いられる。本発明の薬剤および栄養補給剤は、特にヒトに好適である。
【0028】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンに加えて、ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含むことができる。ある態様において、本発明の薬剤および栄養補給剤は、10〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、40〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含み、好ましくは、15〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、50〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含む。別の態様において、本発明の薬剤および栄養補給剤は、台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物を、1〜10:3〜30:1〜10、好ましくは1.5:7:1.5の組成比率(重量)で含む。
【0029】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用してもよい。本明細書における「抗がん剤または抗がん成分」という語は、がん細胞の成長または増殖を阻害する効果を備えた薬剤または有効成分を指し、この技術分野で既知のあらゆる抗がん剤または抗がん効果を備えた成分、物質、天然物、抽出物、組成物、漢方薬の単方または複方、あるいはタンパク質等を含む。「抗がん剤または抗がん成分」としては、例えば以下のものが例示される:ローヤルゼリー、レンゲソウ抽出物、リポソーム化ドキソルビシン、パクリタキセル、トポテカン(topotecan)、アバスチン(Avastin)、バチマスタット(Batimastat)、マリマスタット(Marimastat)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハーセプチン(Herceptin)、ゼローダ(Xeloda)、グリベック(Gleevec)、ビダザ(Vidaza)、ダコジェン(Dacogen)、ヴォリノスタット(Vorinostat; Zolinza)、イストダックス(Istodax)、前立腺がんワクチン(Provenge)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、スーテント(Sutent)、イクサベピロン(Ixabepione)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)、ドセタキセル(Docetaxel)、イダルビシン(Idarubicin)、ダウノルビシン(Daunorubicin)、アラビノシチジン(Cytarabine)、シスプラチン(Cisplatin)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、エンドスタチン(endostatin)、スクアラミン(squalamine)、タムスタチン(tumstatin)、アタメスタン(atamestane)、ファドロゾール(fadrozole)、レトロゾール(letrozole)、ログレチミド(rogletimide)、ボロゾール(vorozole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、イホスファミド(ifosfamide)、テモゾロマイド(temozolomide;temodar)、エトポシド(etoposide)、イリノテカン(irinotecan)、カンプトテシン(camptothecin)、ビンブラスチン(vinblastine)、メトトレキセート(methotrexate)、タモキシフェン(tamoxifen)、およびヴォリノスタット(vorinostat)。
【0030】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、医薬上または生理上許容される担体をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の薬剤および栄養補給剤は、好ましくは経口で投与または摂取される。
【0032】
本発明の薬剤は、患者の免疫機能を調節することができる。本発明の薬剤は、特異的免疫応答または非特異的免疫応答の調節に用いることができる。
【0033】
本発明は、本発明の薬剤と、1以上の抗がん剤または抗がん成分とを含む、がんを処置するためのキットを提供する。
【0034】
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者は、上記説明に基づいて本発明を最も広範に利用できることができる。上記説明および以下の実施例は単なる例示であり、いかなる意味においても本願明細書の開示内容を制限するものではない。
【実施例】
【0035】
材料と方法
ローヤルゼリーの製造
新鮮なローヤルゼリー約4.0キログラムを、2009年10月に台湾花蓮の養蜂場から採集した。そのうち2キログラムを冷凍乾燥し、約700グラムのローヤルゼリー粉を取得し、使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。別途、2キログラムのローヤルゼリーに5キログラムの純水を加えて充分に混合し、さらに遠心分離(4000rpm、10分間、4℃)した。遠心分離後の上清液にプロテアーゼ(Protease A)(2mg/mL)を加え、温度約50℃、回転速度150rpmの振とうインキュベーターで約2時間作用させ、ローヤルゼリーのタンパク加水分解を行なった。その後、90℃の高温でプロテアーゼAの活性除去を行い、さらに減圧濃縮を実施した。得られた濃縮液と遠心分離後の沈殿物とを混合し、さらに冷凍乾燥を行なって、約640グラムの加水分解ローヤルゼリー粉を得た。得られた加水分解ローヤルゼリー粉は使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。
【0036】
台湾グリーンプロポリス抽出物の製造
台湾グリーンプロポリス約2キログラムを、2009年7月に台湾花蓮の養蜂場で採集した。台湾グリーンプロポリスを脱ロウし、95%エタノールを使用して約3週間抽出を行なった。抽出液を濾過して異物を除去し、減圧濃縮して台湾グリーンプロポリス抽出物約1.5キログラムを取得した。得られた台湾グリーンプロポリス抽出物は使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。HPLC分析により抽出物中の活性化合物の含量を測定した。
【0037】
レンゲソウ抽出物の製造
レンゲソウ約1キログラムを、2010年1月に台北市の漢方薬局で購入した。レンゲソウを30%エタノールに約3日間浸漬し、抽出液を濾過して残渣を除去し、濾過液を減圧濃縮機で濃縮し、レンゲソウ抽出物約300グラムを取得した。得られたレンゲソウ抽出物は、使用時まで−20℃の冷蔵庫に保管した。レンゲソウ抽出物中の多糖類の総含量を測定した。
【0038】
台湾グリーンプロポリス抽出物の特異的免疫調節機能試験
被験動物は8週齢のオスのBALB/cマウスであり、BioLASCO Taiwan Co., Ltd.(楽斯科生物科技股▲ふん▼有限公司)より購入した。連続的に8週間、胃ゾンデにより試験物質を強制投与した後、マウスを犠牲死させ、検体を採取し、分析を行なった。第4週と第6週に、卵白アルブミン(OVA)に完全フロイントアジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)を加えて混合し、腹腔内に注入した。被験動物は、滅菌水の正常コントロール群(NC)と、試験物質(台湾グリーンプロポリス抽出物)の投与量が異なる3群、すなわち15mg/kgの低用量群(TAL)、45mg/kgの中用量群(TAM)、90mg/kgの高用量群(TAH)の全4群に分け、各組の被験動物はそれぞれ10匹とした。試験前及び試験期間の第4週、第5週、第6週、第7週に眼窩採血方式で、そして第8週に犠牲死方式で、血液試料を採取した。試験終了後、CO2麻酔下で被験動物の腹部を切開し脾臓を採集し、重量を測定した。脾臓細胞懸濁液を作製して氷上に置き、サイトカイン分析、脾臓細胞表面マーカー分析、血液中の抗OVA IgG、IgM、IgG1b及びIgG2a抗体含量分析に使用した。
【0039】
サイトカイン分析は次のように行なった。脾臓細胞懸濁液の定量後5×105細胞/ウェルを取り、24ウェルの平底細胞培養プレートにそれぞれ入れて、細胞培養培地、細胞マイトジェンCon A及びOVAを加え、CO2インキュベーター中で48時間培養した。サイトカイン検体として各ウェル中の細胞培養液を取り出して新しい1.5ml微量遠心管に入れ、遠心分離(1200rpm、4℃、10分間)後に上清液を採取し、ELISA Cytokine assay kit(eBioscienceから購入したCat. No.88−7024(インターロイキン−2、IL−2)、88-7044(インターロイキン−4、IL−4)、88-7121(腫瘍壊死因子、TNF−α)、88-7314(インターフェロンγ、IFN−γ)、88-7334(顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte−macrophage colony stimulating factor)、GM−CSF)により、脾臓細胞サイトカイン分泌状況を測定した。
【0040】
血液中の抗OVA IgG、IgM、IgG1b及びIgG2a抗体含量の測定方法は次の通りである。被験動物から眼窩採血で得た血液試料(約80〜100μl)を遠心(3600rpm、10分間)後、血清を採取し、測定まで−80℃の冷蔵庫に保存した。血清中に含有されるOVA抗体濃度は、ELISA方式で測定した。ELISA単位(E.U.)=(試料OD値−コントロール群OD値)/(血清OD値−コントロール群OD値)(OD:Optical Density)である。「試料OD値」とは、OVAで免疫し試験物質を投与した試験群の血清OD値、「血清OD値」とはOVAで免疫し滅菌水を投与した正常コントロール群の血清OD値、「コントロール群OD値」とは、OVAで免疫していないコントロール群の血清OD値である。
【0041】
脾臓細胞の細胞表面マーカーの分析は次のように行なった。脾臓細胞懸濁液において、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、PE−Cry5蛍光染色モノクローナル抗体(eBioscienceより購入)を利用して細胞表面抗原の発現量を計算した。リンパ細胞の定量後、同じ細胞数(5×105)を取り、蛍光染色、洗浄及び固定を経た後、フローサイトメトリーを利用して分析を行なった。データは、実験結果の平均値(Mean)±標準偏差(standard deviation S.D.)で表す。
【0042】
台湾グリーンプロポリス抽出物の非特異的免疫調節機能の試験
被験動物は8週齢のオスBALB/cマウスであり、BioLASCO Taiwan Co.,Ltd.(楽斯科生物科技股▲ふん▼有限公司)より購入した。連続的に6週間、胃ゾンデにより試験物質を強制投与し、試験終了後マウスを犠牲死させ、検体を採取し、免疫機能の評価分析を行なった。被験マウスは、滅菌水を投与した正常コントロール群(NC)、試験物質(台湾グリーンプロポリス抽出物)の投与量が異なる低用量群(15mg/kg、TAL)、中用量群(45mg/kg、TAM)、高用量群(90mg/kg、TAH)の全4群に分け、各群の試験動物数はそれぞれ10匹とした。試験前及び第3週に眼窩採血方式で、試験終了時に犠牲死方式で、血液試料を収集した。試験終了後、CO2麻酔下で被験動物の腹部を切開し脾臓を採集し、サイトカイン分析、血液中抗体含量分析、ナチュラルキラー細胞活性分析を行なった。
【0043】
サイトカイン分析は次のように実施した。脾臓細胞懸濁液の定量後5×105細胞/ウェルを取り、24ウェルの平底細胞培養プレートにそれぞれ入れて、細胞培養培地、細胞マイトジェンCon A、LPSを加え、CO2インキュベーター中で48時間培養した。各ウェルの細胞培養液を取り出して新しい1.5ml微量遠心管に入れ、遠心(250×g、4℃、10分間)を行なった。上清液を取り出し、ELISA Cytokine assay kit(eBioscienceより購入、Cat. No.88-7024(インターロイキン-2、IL−2)、88-7044(インターロイキン-4、IL−4)、88-7121(腫瘍壊死因子、TNF−α)、88−7314(インターフェロンγ、IFN−γ)、88−7334(顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte−macrophage colony stimulating factor)、GM−CSF))により脾臓細胞サイトカイン分泌状況を測定した。
【0044】
血液中の抗体含量は次のように分析した。実験動物の眼窩または犠牲死から採血して得た血液試料を遠心(250×g、10分間)し、その血清を取り、Mouse IgM、IgE及びIgG ELISA定量キット(Bethyより購入、Cat. No.E90〜101、E90〜115、E90〜131)方式で血清中の抗体濃度を測定した。
【0045】
ナチュラルキラー細胞活性分析は次のように実施した。脾臓から得た細胞(ナチュラルキラー細胞を含む)で、YAC−1細胞株をナチュラルキラー細胞の標的細胞として、一定のナチュラルキラー細胞:標的細胞の割合(6.25:1、12.5:1)で混合し、約4時間作用させ、キラー細胞が標的細胞を殺す能力を測定した。まずYAC−1細胞を定量し、市販のPKH67キット(Sigmaより購入、Cat No. PKH67−GL)を利用して染色し、YAC−1細胞表面にFICT蛍光を具備させ、定量済みの脾臓細胞を加えて一定比率で作用させ、37℃のCO2インキュベーターに入れて4時間培養した。作用時間に到達した後、50μlのPI溶液を加えて10分間作用させ、フローサイトメトリーを利用して分析を行なった。データは実験結果の平均値(Mean)±標準偏差(standard deviation S.D.)で表す。
【0046】
EF(epigenetic formula)製剤の混合
95%エタノールを使用して台湾グリーンプロポリス抽出物を溶解し、必要な量を取得した。レンゲソウ抽出物を30%エタノールで溶解し、必要な量を取得した。これらの二者を混合し、溶解剤を加え、さらに減圧濃縮でエタノールを除去した。この混合物にさらに純水、甘味料及び必要量のローヤルゼリー粉または加水分解ローヤルゼリー粉を加え、本発明の製剤を得た。EF−1の製剤中、台湾グリーンプロポリス抽出物、ローヤルゼリー粉、レンゲソウ抽出物の組成(重量)比率は、1.5:3:1.2であり、EF−1の製剤中には約26wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物が含有される。EF−2の製剤中、台湾グリーンプロポリス抽出物、ローヤルゼリー粉、レンゲソウ抽出物の組成(重量)比率が1.5:6:1.2であり、EF−2製剤中には約17wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物が含有される。
【0047】
EF−2製剤と化学療法剤との組み合わせによる、腫瘍の成長抑制
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全32匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(1.6×108細胞の乳がん細胞を3,840μlのL15/10%FBSに分散し、960μlのマトリゲルと混合した)。約3週間後(ヌードマウスの腫瘍の大きさは約100mm3)、グループ分けを行なった。すべてのヌードマウスをランダムに、(1)コントロール群(担体のみ)、(2)EF−2製剤(担体、加水分解ローヤルゼリー、台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物)を水ボトルの中に入れ、ヌードマウスに自然に飲用させて投与した試験群、(3)化学療法剤−パクリタキセル(10mg/kg)を腹腔内注射で二日に一回連続六週投与した試験群、(4)EF−2製剤と化学療法剤を組み合わせて使用した群、の4群に分けた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、加水分解ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0048】
EF−1製剤の乳がん動物試験
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全26匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(1.3×108細胞の乳がん細胞を3.2mLのL15/10%FBSに分散し、0.8mLのマトリゲルと混合した)。3週間後(腫瘍の大きさは約150mm3)、グループ分けを行なった。担体(水、溶解剤及び甘味料)のみを含むコントロール群の飲用水、及びEF−1の製剤(担体、ローヤルゼリー粉、台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物を含む)を含む試験群の飲用水を、それぞれコントロール群と試験群のヌードマウスに提供し、自然に飲用させた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約1000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで(約180日間)三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0049】
EF−2製剤肝臓がん動物試験
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全12匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト肝臓がん細胞株HepG2(1.0×107細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(1.2×108細胞の肝臓がん細胞を1440μlのDMEM/10%FBSに分散し、360μlのマトリゲルと混合した)。約4週間後(腫瘍の大きさは約105mm3)、ランダムに(1)飲用水が担体のみを含むコントロール群、(2)飲用水がEF−2製剤(加水分解ローヤルゼリーで調製)を含む試験群、及び(3)飲用水がEF−2製剤(非加水分解ローヤルゼリーで調製)を含む試験群に分け、コントロール群及び試験群のヌードマウスにそれぞれ自然に飲用させた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで(約42日間)三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0050】
EF−2製剤大腸がん動物試験
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全16匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト大腸がん細胞株HT29(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(8×107細胞の大腸がん細胞を1,920μlのRPMI/10%FBSに分散し、480μlのマトリゲルと混合した)。約1.5週間後(腫瘍の大きさは約120mm3)、(1)飲用水が担体のみを含むコントロール群、(2)飲用水がEF−2製剤を含む試験群にランダムにグループ分けし、コントロール群と試験群のヌードマウスに自然に飲用させた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。飲用水は試験が終了するまで三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0051】
EF−2製剤と台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物、加水分解ローヤルゼリータンパク質の腫瘍成長抑制活性の比較
4週齢のオスBALB/cヌードマウス全40匹を台湾国家動物中心から購入した。ヌードマウスを二週間飼育した後、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231(5×106細胞/匹)をヌードマウスの背部に移植した(2×108細胞の乳がん細胞を4,800μlのL15/10%FBSに分散し、1,200μlのマトリゲルと混合した)。約2週間後ヌードマウスの腫瘍の大きさが約100mm3になり、グループ分けを開始した。すべてのヌードマウスをランダムに、(1)コントロール群(担体のみ)、(2)台湾グリーンプロポリス抽出物を投与した試験群、(3)レンゲソウ抽出物を投与した試験群、(4)加水分解ローヤルゼリータンパク質を投与した試験群、(5)EF−2製剤を投与した試験群、の5群に分けた。ヌードマウスは一日に約3.5ミリリットルの水を飲用すると見積もり、これに基づいて毎日の人体の服用剤量(60キログラムの成人)は、ローヤルゼリー粉約2000ミリグラム、台湾グリーンプロポリス抽出物約500ミリグラム、レンゲソウ抽出物約400ミリグラムと換算した。(2)、(3)、(4)群中の成分の含量は、EF2製剤の単独成分の用量に相当する。飲用水は試験が終了するまで三日に一回調製し直し、毎週ヌードマウスの体重と腫瘍の大きさを測定した。
【0052】
生物統計
台湾グリーンプロポリス抽出物の特異的及び非特異的免疫調節効果は、SPSSコンピュータ統計ソフトウェアを使用して、各試験群のデータをまずワンウェイ分散計算分析(One−way analysis of variance、 ANOVA)で検定し、さらにダンカン(Duncan)テストで各群間に差異性があるか否かを比較した。p値が0.05より小さければ2つの試験群間に統計上有意な差異があることを表す。
【0053】
その他の動物試験データはstudent t−testでコントロール群と試験群の統計を行った。p値が0.05より小さいと統計的有意差がある。
【0054】
「*」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p < 0.05)があり、「**」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p < 0.01)があり、「***」はコントロール群と比較して統計上の有意差(p < 0.001)があることをそれぞれ表す。
【0055】
[実施例1]
EF−2製剤との組み合せによる化学療法剤の腫瘍成長抑制効果の増進
図1にEF−2製剤を化学療法剤と組み合わせて使用した効果を示す。化学療法剤パクリタキセルの単独投与またはEF−2製剤を化学療法剤と組み合わせて使用した群の腫瘍の成長速度はいずれも顕著に抑制され、4週目の測定時はコントロール群と比較してそれぞれ32%及び40%の抑制が見られた。4〜6週目のデータから、EF−2製剤を化学療法剤と組み合わせて使用すると、化学療法剤パクリタキセルを単独投与した場合より9〜13%抑制効果が増進されることが示された。この結果から、化学療法剤とEF−2製剤の組み合わせは、腫瘍の成長抑制において化学療法剤の単独投与より優れていることが示された。
【0056】
[実施例2]
台湾グリーンプロポリス抽出物の特異的免疫調節効果
免疫細胞のサイトカイン分泌を誘発する試験において、台湾グリーンプロポリス抽出物は、免疫細胞のCon A刺激下におけるIL−2、TFN−α及びIFN−γの分泌量を増加し、IL−4の分泌量を減少することが示された(表1参照)。卵白アルブミン(OVA)を使用して免疫を行なったマウスにおいて、台湾グリーンプロポリス抽出物は血清中の特異的抗体OVA−IgG、OVA−IgG2a及びOVA−IgMの生成を促進でき(表2参照)、且つ台湾グリーンプロポリス抽出物はT細胞のCD4の発現率を促進し、活性化の面でも明らかな増加の状況が見られた(表3参照)。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例3]
台湾グリーンプロポリス抽出物の非特異的免疫調節効果
本試験において、台湾グリーンプロポリス抽出物は、免疫細胞のCon A刺激下におけるIL−2およびIFN−γの分泌量を増加し、かつTFN−α及びIL−4の分泌量を調節し(表4参照)、ナチュラルキラー細胞の活性を促進する(表5参照)と同時に、血清抗体IgM含量を高める(表6参照)ことが示された。この結果から、台湾グリーンプロポリス抽出物は免疫機能中の非特異的免疫能力を調節する効果を備えていることがわかる。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
[実施例4]
EF−1製剤は毒性がなく、乳がん腫瘍の成長を抑制できる
乳がんヌードマウスにEF−1製剤を投与して32日後から腫瘍の大きさの測定を開始した。その結果、EF−1製剤服用群のヌードマウスの腫瘍成長は比較的緩慢で約20%の抑制が見られた(図2及び図3参照)。74日間の製剤の投与後、コントロール群のヌードマウスはすでに12匹が大量死亡して一匹のみ存命していたが、EF−1製剤群はわずか2匹が死亡したのみであり、まだ10匹のマウスが存命していた。この結果から、EF−1製剤は効果的に腫瘍の成長を抑制できることが分かった。ヌードマウスにEF−1製剤を投与して53日後、体重は若干コントロール群より低かったが、ヌードマウスの体重はいずれも約22.5グラムに維持された。その後試験終了まで、EF−1製剤群の体重は持続的に成長した。これは、本製剤に毒性がなく、製剤投与の前期は口に合わないことが問題で若干の体重減少が生じた可能性があることを示している(図4参照)。
【0065】
[実施例5]
EF−1製剤は乳がんヌードマウスの寿命を延長する
EF−1製剤を投与すると、乳がんヌードマウスの免疫力を強化でき、かつ乳がんヌードマウスの寿命を延長することができる(図5参照)。コントロール群のヌードマウスは50〜65日に集中して大量に死亡したが、EF−1製剤群の死亡は65〜160日に集中しており、180日で試験を終了するまで生存していたEF−1製剤群のヌードマウスも3匹いた。統計によると、コントロール群の生存期間は約60日間であり、EF−1製剤群の生存期間は約116日間であった。この結果から分かるように、EF−1製剤には明らかな毒性はなく、腫瘍の成長を抑制するだけでなく、乳がんヌードマウスの寿命を大幅に延長することができる。
【0066】
[実施例6]
EF−2製剤は毒性がなく、肝臓がん腫瘍の成長を抑制する
さらに、ヒト肝臓がん細胞株を使用してEF−2製剤の試験を行なった。EF−2製剤がEF−1製剤と相違する点は、ローヤルゼリー粉の量がEF−1製剤の2倍であることであり、その他の組成は変わらない。結果によると、加水分解または未加水分解を問わずローヤルゼリーで調製したEF−2製剤はいずれも腫瘍の成長抑制に有効であることが示された(図6及び図7参照)。この結果はEF−1製剤と類似しているが、EF−2製剤はEF−1製剤より更に有効なようである。EF−2製剤はEF−1製剤に類似しており、明らかな毒性はなく、ヌードマウスの体重にも明らかな減少は見られなかった(図8参照)。
【0067】
[実施例7]
EF−2製剤は大腸がん腫瘍の成長を抑制できる
ヒト大腸がん細胞株(HT−29)を使用してEF−2製剤の試験を行なった。結果によると、EF−2製剤服用群のヌードマウスの腫瘍成長は比較的緩慢であり、2週目に約22%の抑制が見られ、4週目にはEF−2製剤群ヌードマウスの腫瘍成長はいずれもコントロール群より緩慢であることが観察された(図9参照)。体重に明らかな減少は見られなかった(図10参照)。この結果から、EF−2製剤は腫瘍の成長を効果的に抑制でき、且つ明らかな毒性がなく、ヌードマウスの体重にも顕著な減少はないことが示された。
【0068】
[実施例8]
台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物、加水分解ローヤルゼリータンパク質及びEF−2製剤の腫瘍の成長抑制活性の比較
単独の台湾グリーンプロポリス抽出物、レンゲソウ抽出物、或いは加水分解ローヤルゼリータンパク質が腫瘍の成長を効果的に抑制できるか試験した。ヌードマウスにヒト乳がん細胞(MDA−MB−231)を植え込み、腫瘍を100mm3まで成長させてからグループ分けをして、試験物質の投与を行なった。図11に示すように、人体服用量500ミリグラムに相当する台湾グリーンプロポリス抽出物の単独投与は効果がないことが分かった。人体服用量400ミリグラムに相当するレンゲソウ抽出物の単独投与は効果がないことが分かった。また人体服用量2,000ミリグラムに相当する加水分解ローヤルゼリータンパク質の単独投与も効果がないことが分かった。しかしながら、EF−2製剤(台湾グリーンプロポリス抽出物+レンゲソウ抽出物+加水分解ローヤルゼリータンパク質)は4〜5週間の投与で腫瘍抑制効果が25%に達し(図11参照)、且つヌードマウスの体重に明らかな減少は見られなかった(図12参照)。この結果から、EF−2製剤には顕著な腫瘍成長抑制活性があり、製剤の構成成分の単独投与にはいずれも効果がないことが分かった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台湾グリーンプロポリス抽出物を含む、がんを処置するための薬剤。
【請求項2】
プロポリンを含む、がんを処置するための薬剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化1】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化2】
であり、
R4はH、
【化3】
であり、
R5はOH、H、
【化4】
であり、
R7はH、
【化5】
である)。
【請求項3】
2.5〜25wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、請求項1または2記載の薬剤。
【請求項4】
ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【請求項5】
15〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、50〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含む、請求項4記載の薬剤。
【請求項6】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1〜10:3〜30:1〜10である、請求項4記載の薬剤。
【請求項7】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1.5:7:1.5である、請求項6記載の薬剤。
【請求項8】
1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、請求項1〜7のいずれかに記載の薬剤。
【請求項9】
1以上の抗がん剤または抗がん成分が以下からなる群から選択される、請求項8記載の薬剤:ローヤルゼリー、レンゲソウ抽出物、リポソーム化ドキソルビシン、パクリタキセル、トポテカン(topotecan)、アバスチン(Avastin)、バチマスタット(Batimastat)、マリマスタット(Marimastat)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハーセプチン(Herceptin)、ゼローダ(Xeloda)、グリベック(Gleevec)、ビダザ(Vidaza)、ダコジェン(Dacogen)、ヴォリノスタット(vorinostat;Zolinza)、イストダックス(Istodax)、前立腺がんワクチン(Provenge)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、スーテント(Sutent)、イクサベピロン(Ixabepione)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ドセタキセル(Docetaxel)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、アラビノシチジン(cytarabine)、シスプラチン(cisplatin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エンドスタチン(endostatin)、スクアラミン(squalamine)、タムスタチン(tumstatin)、アタメスタン(atamestane)、ファドロゾール(fadrozole)、レトロゾール(letrozole)、ログレチミド(rogletimide)、ボロゾール(vorozole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、イホスファミド(ifosfamide)、テモゾロマイド(temozolomide;temodar)、エトポシド(etoposide)、イリノテカン(irinotecan)、カンプトテシン(camptothecin)、ビンブラスチン(vinblastine)、メトトレキセート(methotrexate)、タモキシフェン(tamoxifen)、およびヴォリノスタット(vorinostat)。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の薬剤と、1以上の抗がん剤または抗がん成分とを含む、がんを処置するためのキット。
【請求項11】
台湾グリーンプロポリス抽出物を含む、免疫機能を調節するための薬剤。
【請求項12】
プロポリンを含む、免疫機能を調節するための薬剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化6】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化7】
であり、
R4はH、
【化8】
であり、
R5はOH、H、
【化9】
であり、
R7はH、
【化10】
である)。
【請求項13】
がん患者の免疫機能を増強するための、請求項11または12記載の薬剤。
【請求項14】
台湾グリーンプロポリス抽出物を含む、栄養補給剤。
【請求項15】
プロポリンを含む、栄養補給剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化11】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化12】
であり、
R4はH、
【化13】
であり、
R5はOH、H、
【化14】
であり、
R7はH、
【化15】
である)。
【請求項16】
2.5〜25wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、請求項14または15記載の栄養補給剤。
【請求項17】
ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、請求項14〜16のいずれかに記載の栄養補給剤。
【請求項18】
15〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、50〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含む、請求項17記載の栄養補給剤。
【請求項19】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1〜10:3〜30:1〜10である、請求項17記載の栄養補給剤。
【請求項20】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1.5:7:1.5である、請求項19記載の栄養補給剤。
【請求項21】
1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、請求項14〜20のいずれかに記載の栄養補給剤。
【請求項22】
1以上の抗がん剤または抗がん成分が以下からなる群から選択される、請求項21記載の栄養補給剤:ローヤルゼリー、レンゲソウ抽出物、リポソーム化ドキソルビシン、パクリタキセル、トポテカン(topotecan)、アバスチン(Avastin)、バチマスタット(Batimastat)、マリマスタット(Marimastat)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハーセプチン(Herceptin)、ゼローダ(Xeloda)、グリベック(Gleevec)、ビダザ(Vidaza)、ダコジェン(Dacogen)、ヴォリノスタット(vorinostat;Zolinza)、イストダックス(Istodax)、前立腺がんワクチン(Provenge)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、スーテント(Sutent)、イクサベピロン(Ixabepione)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ドセタキセル(Docetaxel)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、アラビノシチジン(cytarabine)、シスプラチン(cisplatin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エンドスタチン(endostatin)、スクアラミン(squalamine)、タムスタチン(tumstatin)、アタメスタン(atamestane)、ファドロゾール(fadrozole)、レトロゾール(letrozole)、ログレチミド(rogletimide)、ボロゾール(vorozole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、イホスファミド(ifosfamide)、テモゾロマイド(temozolomide;temodar)、エトポシド(etoposide)、イリノテカン(irinotecan)、カンプトテシン(camptothecin)、ビンブラスチン(vinblastine)、メトトレキセート(methotrexate)、タモキシフェン(tamoxifen)、およびヴォリノスタット(vorinostat)。
【請求項1】
台湾グリーンプロポリス抽出物を含む、がんを処置するための薬剤。
【請求項2】
プロポリンを含む、がんを処置するための薬剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化1】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化2】
であり、
R4はH、
【化3】
であり、
R5はOH、H、
【化4】
であり、
R7はH、
【化5】
である)。
【請求項3】
2.5〜25wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、請求項1または2記載の薬剤。
【請求項4】
ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
【請求項5】
15〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、50〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含む、請求項4記載の薬剤。
【請求項6】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1〜10:3〜30:1〜10である、請求項4記載の薬剤。
【請求項7】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1.5:7:1.5である、請求項6記載の薬剤。
【請求項8】
1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、請求項1〜7のいずれかに記載の薬剤。
【請求項9】
1以上の抗がん剤または抗がん成分が以下からなる群から選択される、請求項8記載の薬剤:ローヤルゼリー、レンゲソウ抽出物、リポソーム化ドキソルビシン、パクリタキセル、トポテカン(topotecan)、アバスチン(Avastin)、バチマスタット(Batimastat)、マリマスタット(Marimastat)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハーセプチン(Herceptin)、ゼローダ(Xeloda)、グリベック(Gleevec)、ビダザ(Vidaza)、ダコジェン(Dacogen)、ヴォリノスタット(vorinostat;Zolinza)、イストダックス(Istodax)、前立腺がんワクチン(Provenge)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、スーテント(Sutent)、イクサベピロン(Ixabepione)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ドセタキセル(Docetaxel)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、アラビノシチジン(cytarabine)、シスプラチン(cisplatin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エンドスタチン(endostatin)、スクアラミン(squalamine)、タムスタチン(tumstatin)、アタメスタン(atamestane)、ファドロゾール(fadrozole)、レトロゾール(letrozole)、ログレチミド(rogletimide)、ボロゾール(vorozole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、イホスファミド(ifosfamide)、テモゾロマイド(temozolomide;temodar)、エトポシド(etoposide)、イリノテカン(irinotecan)、カンプトテシン(camptothecin)、ビンブラスチン(vinblastine)、メトトレキセート(methotrexate)、タモキシフェン(tamoxifen)、およびヴォリノスタット(vorinostat)。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の薬剤と、1以上の抗がん剤または抗がん成分とを含む、がんを処置するためのキット。
【請求項11】
台湾グリーンプロポリス抽出物を含む、免疫機能を調節するための薬剤。
【請求項12】
プロポリンを含む、免疫機能を調節するための薬剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化6】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化7】
であり、
R4はH、
【化8】
であり、
R5はOH、H、
【化9】
であり、
R7はH、
【化10】
である)。
【請求項13】
がん患者の免疫機能を増強するための、請求項11または12記載の薬剤。
【請求項14】
台湾グリーンプロポリス抽出物を含む、栄養補給剤。
【請求項15】
プロポリンを含む、栄養補給剤、ここで、プロポリンは下記式(I)で示される化合物またはその水和物である:
【化11】
(式中、R1、R3、R6はOH、OCH3、OCH2CH3、またはHであり、
R2はH、
【化12】
であり、
R4はH、
【化13】
であり、
R5はOH、H、
【化14】
であり、
R7はH、
【化15】
である)。
【請求項16】
2.5〜25wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリンを含む、請求項14または15記載の栄養補給剤。
【請求項17】
ローヤルゼリーおよびレンゲソウ抽出物をさらに含む、請求項14〜16のいずれかに記載の栄養補給剤。
【請求項18】
15〜30wt%の台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、50〜75wt%のローヤルゼリー、および10〜25wt%のレンゲソウ抽出物を含む、請求項17記載の栄養補給剤。
【請求項19】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1〜10:3〜30:1〜10である、請求項17記載の栄養補給剤。
【請求項20】
台湾グリーンプロポリス抽出物またはプロポリン、ローヤルゼリー、およびレンゲソウ抽出物の組成比率(重量)が、1.5:7:1.5である、請求項19記載の栄養補給剤。
【請求項21】
1以上の抗がん剤または抗がん成分と併用される、請求項14〜20のいずれかに記載の栄養補給剤。
【請求項22】
1以上の抗がん剤または抗がん成分が以下からなる群から選択される、請求項21記載の栄養補給剤:ローヤルゼリー、レンゲソウ抽出物、リポソーム化ドキソルビシン、パクリタキセル、トポテカン(topotecan)、アバスチン(Avastin)、バチマスタット(Batimastat)、マリマスタット(Marimastat)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハーセプチン(Herceptin)、ゼローダ(Xeloda)、グリベック(Gleevec)、ビダザ(Vidaza)、ダコジェン(Dacogen)、ヴォリノスタット(vorinostat;Zolinza)、イストダックス(Istodax)、前立腺がんワクチン(Provenge)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、スーテント(Sutent)、イクサベピロン(Ixabepione)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ドセタキセル(Docetaxel)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、アラビノシチジン(cytarabine)、シスプラチン(cisplatin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エンドスタチン(endostatin)、スクアラミン(squalamine)、タムスタチン(tumstatin)、アタメスタン(atamestane)、ファドロゾール(fadrozole)、レトロゾール(letrozole)、ログレチミド(rogletimide)、ボロゾール(vorozole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ベンダムスチン(bendamustine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、イホスファミド(ifosfamide)、テモゾロマイド(temozolomide;temodar)、エトポシド(etoposide)、イリノテカン(irinotecan)、カンプトテシン(camptothecin)、ビンブラスチン(vinblastine)、メトトレキセート(methotrexate)、タモキシフェン(tamoxifen)、およびヴォリノスタット(vorinostat)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−23498(P2013−23498A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115853(P2012−115853)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(506107726)彦臣生技藥品股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(506107726)彦臣生技藥品股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】
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