合成ガス製造装置への金属混入抑制方法
【課題】GTL(Gas−To−Liquid)プロセスの合成ガス製造工程に用いる合成ガス製造装置(リフォーマー)への金属成分の混入を防ぐ。
【解決手段】天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスとを合成ガス製造装置内で改質反応して合成ガスを製造する合成ガス製造工程を含むGTLプロセスの合成ガス製造装置への金属混入抑制方法であって、該合成ガス製造工程で製造された該合成ガス中の炭酸ガスを分離回収し、分離回収された該炭酸ガスを該合成ガス製造工程における改質反応の原料ガスにリサイクルする際に、該リサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルの濃度が0.05ppmv以下であることを特徴とする合成ガス製造装置への金属混入抑制方法。
【解決手段】天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスとを合成ガス製造装置内で改質反応して合成ガスを製造する合成ガス製造工程を含むGTLプロセスの合成ガス製造装置への金属混入抑制方法であって、該合成ガス製造工程で製造された該合成ガス中の炭酸ガスを分離回収し、分離回収された該炭酸ガスを該合成ガス製造工程における改質反応の原料ガスにリサイクルする際に、該リサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルの濃度が0.05ppmv以下であることを特徴とする合成ガス製造装置への金属混入抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガス製造装置への金属混入抑制方法に関する。特に本発明は、GTL(Gas−To−Liquid)プロセスの合成ガス製造工程における合成ガス製造装置へのニッケル成分の混入を防ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油資源の将来的枯渇が危惧されて久しい。この間、石油資源への依存度を少しでも下げるために、天然ガスや石炭あるいはバイオマスといった他の炭素源を原料にして、ナフサや灯軽油など各種炭化水素油を製造する技術の研究が進められてきた。そうした中で、GTLプロセスは技術として一応実用化の域に達したものといえ、天然ガスを豊富に産出する地域において実用的規模のプラントが既に運転を開始している。そして、同様なプラントは今後もさらに建設が進められる状況にある。
【0003】
GTLプロセスは、メタン(CH4)を主成分とする天然ガスを改質することにより水素(H2)と一酸化炭素(CO)とを主成分とする合成ガスを製造し、この合成ガスを原料としてフィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)合成(FT合成)を行うことにより重質炭化水素を含む各種炭化水素油の混合物である所謂フィッシャー・トロプシュ油(FT油)を製造し、得られたFT油をアップグレーディング(Upgrading)して精製することによりナフサ、灯油、軽油などの各種石油製品を製造するものである。このようにGTLプロセスは、大きく分けて合成ガス製造工程(改質工程)、フィッシャー・トロプシュ油製造工程(FT工程)、およびアップグレーディング工程(UG工程)の3工程からなる。
【0004】
合成ガスの製造では、まず、原料である天然ガスに含有される硫黄化合物は脱硫装置において脱硫される。その後、脱硫された天然ガスにスチームおよび/または炭酸ガスを添加した後、合成ガス製造装置(以下、「リフォーマー」ともいう)に導入して加熱することにより、リフォーマー内に充填された改質触媒の触媒作用によって改質反応が進行し、合成ガスが製造される。改質反応としては、スチームを用いる水蒸気改質法が主に用いられるが、近年では炭酸ガスによる炭酸ガス改質法も実用化されている。炭酸ガス改質法を用いると、天然ガス中に含まれる炭酸ガスを改質反応前に分離除去する必要がないため、合成ガス製造工程の効率化や低コスト化が図れるという利点がある。また、製造された合成ガス中に含まれる未反応炭酸ガスや生成炭酸ガスは分離回収して合成ガスの製造工程にリサイクルし、炭酸ガス改質法に再利用することができるため、炭酸ガスのさらなる資源化が図れる。
【0005】
ところで、合成ガス製造工程では、天然ガスを改質して生成する合成ガス中に含まれている炭酸ガスを化学吸収法によって炭酸ガス分離回収装置で分離回収した後、この炭酸ガスを天然ガス改質の原料ガスとして合成ガス製造装置にリサイクルしている。化学吸収法により炭酸ガスを分離回収する工程では、炭酸ガス分離回収装置に貯留されている吸収液が炭酸ガスを吸収する。通常、炭酸ガス分離回収装置の吸収塔や再生塔の充填材料にはニッケルを含むステンレス材料が使用されてきた。また、通常、吸収液としては第一級アミンを含む水溶液が用いられてきた。しかしながら、炭酸ガスを分離回収する条件次第では、炭酸ガスを吸収した第一級アミン水溶液は炭酸ガス分離回収装置の充填材料であるニッケル含有のステンレス材料の腐食を引き起こすことを本発明者らは見出した。合成ガスには一酸化炭素が含まれているため、腐食で溶解したニッケル成分や炭酸ガス分離回収装置の充填材料と一酸化炭素とが反応して、ニッケルカルボニルが生成する。
【0006】
こうして、炭酸ガス分離回収装置内で生成したニッケルカルボニルが、天然ガスを改質させる原料ガスとしてリサイクルされる炭酸ガスと共に、リフォーマーへ供給される。そして、リフォーマーに供給されたニッケルカルボニルは、リフォーマー内に充填された改質触媒上に付着し、改質反応の副反応であるカーボンを析出・堆積させる。その結果、改質触媒の触媒活性を低下させることが懸念される。さらには、ニッケルカルボニルが分解しリサイクルラインに設置されたコンプレッサーなどの回転機器や熱交換器にニッケル金属として付着し、こうした機器の長期安定運転ができなくなることも懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−342003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、炭酸ガス分離回収工程から合成ガス製造工程へリサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルを可能な限り抑制し、合成ガス製造工程のリフォーマー内でニッケルがカーボン生成反応を促進することで改質触媒を被毒するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスとを合成ガス製造装置内で改質反応して合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、該合成ガス製造工程で製造された合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応させた後、フィッシャー・トロプシュ反応生成物からガス状生成物を分離してフィッシャー・トロプシュ油を製造するフィッシャー・トロプシュ油製造工程と、該フィッシャー・トロプシュ油製造工程で製造されたフィッシャー・トロプシュ油を水素化処理および蒸留して各種炭化水素油を製造するアップグレーディング工程とからなるGTL(Gas−to−liquid)プロセスの合成ガス製造装置への金属混入抑制方法であって、該合成ガス製造工程で製造された該合成ガス中の炭酸ガスを分離回収し、分離回収された該炭酸ガスを該合成ガス製造工程における改質反応の原料ガスにリサイクルする際に、該リサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルの濃度が0.05ppmv以下であることを特徴とする合成ガス製造装置への金属混入抑制方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、GTLプロセスの合成ガス製造工程のリフォーマーにリサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニル濃度が可能な限り抑制されるため、リフォーマー内に充填された合成ガス製造用改質触媒の表面へのカーボン析出・堆積が抑制(防止)され、改質触媒の触媒活性の低下を防ぐことができる。また、合成ガス製造工程内の機器、例えばコンプレッサーや熱交換器へのニッケルの付着を抑制(防止)し、こうした機器の長期安定運転ができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るGTLプロセスの第1の実施形態における合成ガス製造工程のプロセスフローを示す。
【図2】本発明に係るGTLプロセスの第2の実施形態における合成ガス製造工程のプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係るGTLプロセスの実施形態における合成ガス製造工程のプロセスフローを示すものである。なお、図1は、当該合成ガス製造工程のプロセスフローの全てを示すものではなく、主に、合成ガス製造工程内のCO2の流通に関わる主なフローを示すものである。したがって、例えば、合成ガス製造工程で製造する合成ガスに含まれるスチームを分離するフローなどは示されていない点に注意すべきである。
【0014】
図1において、合成ガス製造工程は、主に、脱硫装置1を備える脱硫工程、合成ガス製造装置2、および脱炭酸装置5を備える脱炭酸工程からなる。脱硫装置1は、天然ガスに含まれる硫黄成分を除去する。合成ガス製造装置2は、脱硫装置1から導入される天然ガスをスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスと改質反応させて、合成ガスを製造する。改質反応とは、天然ガスをスチームおよび/または二酸化炭素と反応させて、主に水素および一酸化炭素からなる合成ガスを生成する反応をいう。
【0015】
合成ガス製造工程に導入されるガスは原料である炭化水素由来の炭素モル数をCで表したとき、炭素1モル当たりのスチーム(H2O)の比であるH2O/Cモル比が0.1〜3.0および/または炭素1モル当たりの炭酸ガス(CO2)の比であるCO2/Cモル比が0.1〜3.0、好ましくはH2O/Cモル比が0.3〜2.0および/またはCO2/Cモル比が0.3〜1.0となるよう、スチームおよび/または炭酸ガスが添加される。
【0016】
ここで、水蒸気改質法とは、天然ガスにスチームを添加して以下の反応式(1)に従って合成ガスを生成するものであり、炭酸ガス改質法とは、天然ガスに炭酸ガスを添加するかまたは天然ガスに含まれる炭酸ガスを使用して以下の反応式(2)に従って合成ガスを生成するものである。なお、下記の式では天然ガス中に主に含まれるメタンの改質反応を例として示している。
式(1): CH4 + H2O → CO + 3H2
式(2): CH4 + CO2 → 2CO + 2H2
【0017】
本実施形態においては、水蒸気改質法と炭酸ガス改質法を同時に行い、生成するCOとH2の比率を調整することができる。本発明のフィッシャー・トロプシュ反応において好ましい比率であるH2/CO=2.0に近づけることが可能となり、その後の調整の手間が省けるため好ましい。
【0018】
合成ガス製造装置2内には、上記改質反応を促進させる改質触媒を充填した多数の反応管が配置されている。改質触媒としては、アルカリ土類金属酸化物担体上にVIII族金属などの触媒金属を担持したものが好適に用いられる。合成ガス製造装置2には燃料(通常は天然ガス)と空気とを供給してバーナー燃焼させることにより、合成ガス製造装置2内に配置した反応管群を外部より加熱する。反応管群は合成ガス製造装置2内で加熱され、反応管内を流通する天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスは、改質触媒の存在下で改質反応され、水素および一酸化炭素からなる合成ガスが生成される。
【0019】
合成ガス製造装置2の反応管群で製造された合成ガスは、廃熱ボイラー3および合成ガス冷却器4により冷却された後、脱炭酸装置5の炭酸ガス吸収塔6に導入される。脱炭酸装置5は、炭酸ガス吸収塔6と再生塔7とを備え、合成ガス製造装置2で製造された合成ガス中に含まれる炭酸ガスを分離回収する。炭酸ガス吸収塔6は、炭酸ガス吸収塔6内に貯留されたアミン系の吸収液により、合成ガス冷却器4から供給される合成ガス中の炭酸ガスを吸収する。
【0020】
アミン水溶液による炭酸ガス吸収反応は以下の反応式(3)に従って炭酸水素イオンとして吸収される。
式(3): R-NH2 + CO2 + H2O → R-NH3+ + HCO3-
【0021】
炭酸ガスを吸収した吸収液は再生塔7に導入される。再生塔7は、炭酸ガス吸収塔6から供給される吸収液をスチームで加熱してストリッピング処理することにより、式(3)の逆反応で炭酸ガスを放散させ、吸収液を再生する。吸収液に使用されるアミン類としては、モノエタノールアミンのような第一級アミン、ジグリコールアミンのような第二級アミン、メチルジエタノールアミン(MDEA)のような第三級アミンなどを含む水溶液が使用可能であるが、第三級アミン、特に金属材料の腐食性の弱いMDEAを含む水溶液を用いることが好ましい。こうして、脱炭酸装置5は合成ガス中に含まれる炭酸ガスを分離回収する。その後、炭酸ガスが分離除去された合成ガスはFT工程に送られる。炭酸ガスを取り除いた吸収液は、炭酸ガス吸収塔6に再供給され、炭酸ガス吸収塔6の吸収液としてリサイクルされる。
【0022】
炭酸ガス吸収塔6および再生塔7の充填物の材料としてはニッケルを含まない材料を用いることが好ましい。例えばSUS410のようなニッケルを含まないステンレス、チタン、セラミックスなどを単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることが好ましい。
【0023】
脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガスは、再生塔7から合成ガス製造装置2に導入され、改質反応の原料ガスとして再利用される。すなわち、炭酸ガス成分は合成ガス製造工程内で天然ガスを改質させる物質として再利用される。
【0024】
合成ガス製造装置2へリサイクルする脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルの濃度はニッケル金属換算で0.05ppmv以下であることが望ましい。ニッケルカルボニルの濃度がニッケル金属換算で0.05ppmv以上であると合成ガス改質触媒の活性を低下させるため好ましくない。
【0025】
脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルの濃度がニッケル金属換算で0.05ppmv以上のときは、図2に示すように脱炭酸装置5から合成ガス製造装置2への炭酸ガスリサイクルラインの途中にニッケルカルボニルの吸着装置8を設置して炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルを0.05ppmv以下まで除去することが望ましい。ニッケルカルボニルの吸着装置としては、活性炭を主成分とした吸着剤を充填した装置を用いることが好ましい。吸着装置での操作条件としては、温度は250℃〜400℃、圧力は0.02〜3.0MPaG、ガス空間速度(GHSV)は500〜3,000h−1である。
【0026】
活性炭を主成分とする吸着剤を用いて上記操作条件でニッケルカルボニルの吸着を実施した場合、ニッケルカルボニルはニッケル金属として活性炭上に分解吸着されるため、長時間安定して吸着操作を行うことができる。
【0027】
脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルの濃度は、例えば、分離回収された炭酸ガスの水分を塩化カルシウムで除去した後、トリクロロエチレンおよびドライアイスで冷却したヨウ素−エタノール溶液でニッケルカルボニルを吸収し、得られた吸収液を誘導結合プラズマ質量分析計で測定することができる。
【0028】
かかる構成とすることにより、脱炭酸装置5で分離回収され、合成ガス製造装置2へリサイクルされる炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度は、ニッケル金属換算で0.05ppmv以下となるので、ニッケルが合成ガス製造装置に導入されるのを防ぐことができ、合成ガス改質触媒の劣化を回避できる。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、これらの実施例はなんら本発明を限定するものではない。
【0030】
[実施例1]
天然ガスにH2O/Cモル比が1.1およびCO2/Cモル比が0.4となるようスチームおよび炭酸ガスを添加して、アルカリ土類金属酸化物担体上にVIII族金属を担持した改質触媒を充填したリフォーマーに、入口温度500℃、出口温度880℃、圧力2.0MPaG、GHSV3,000h-1の条件で導入し、合成ガスを製造した。得られた合成ガス(H2:58%、CO:28%、CO2:7%、CH4:7%)からCO2を分離回収するため、炭酸ガス吸収塔6に温度40℃、圧力2MPaGの条件で導入した。炭酸ガス吸収塔6はニッケルを含有しないステンレス材料SUS410のカスケードミニリングが充填された充填塔形式のものであり、導入された合成ガスは第三級アミンのMDEAを含む水溶液と向流で気液接触され、炭酸ガスが吸収除去された。炭酸ガスを吸収した吸収液は、再生塔7から炭酸ガス吸収塔へリサイクルされる高温の吸収液と熱交換された後、SUS410の充填物が充填されている再生塔7に温度100℃、圧力0.1MPaGで導入され、吸収液中の炭酸ガスがストリッピングされた。ストリッピングされた炭酸ガスは0.08MPaG、40℃に冷却された。この回収された炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度はニッケル金属換算で0.04ppmvであった。
【0031】
[比較例1]
実施例1と同じ合成ガス製造工程で得られた合成ガス(H2:58%、CO:28%、CO2:7%、CH4:7%)からCO2を分離回収するため、炭酸ガス吸収塔6に温度40℃、圧力2MPaGの条件で導入した。炭酸ガス吸収塔6はニッケルを含有するステンレス材料SUS304のカスケードミニリングが充填されており、導入された合成ガスは第一級アミンのモノエタノールアミンを含む水溶液と向流で気液接触され、炭酸ガスが吸収除去された。炭酸ガスを吸収した吸収液は、再生塔7から炭酸ガス吸収塔へリサイクルされる高温の吸収液と熱交換された後、SUS304の充填物が充填されている再生塔7に温度100℃、圧力0.1MPaGで導入され、吸収液中の炭酸ガスがストリッピングされた。ストリッピングされた炭酸ガスは0.08MPaG、40℃に冷却された。この回収された炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度はニッケル金属換算で2.0ppmvであった。
【0032】
[実施例2]
比較例1で回収された炭酸ガス(ニッケルカルボニル濃度がニッケル金属換算で2.0ppmv)を2.2MPaGまで昇圧後、250℃に昇温し、ニッケルカルボニル吸着材(商品名:Actisorb400、ズードケミー触媒社製)を充填した吸着装置にGHSV1,500h-1の空間速度で通過させたところ、炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度はニッケル金属換算で0.02ppmvに低減した。
【符号の説明】
【0033】
1.脱硫装置
2.合成ガス製造装置
3.廃熱ボイラー
4.合成ガス冷却器
5.脱炭酸装置
6.炭酸ガス吸収塔
7.再生塔
8.吸着装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガス製造装置への金属混入抑制方法に関する。特に本発明は、GTL(Gas−To−Liquid)プロセスの合成ガス製造工程における合成ガス製造装置へのニッケル成分の混入を防ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油資源の将来的枯渇が危惧されて久しい。この間、石油資源への依存度を少しでも下げるために、天然ガスや石炭あるいはバイオマスといった他の炭素源を原料にして、ナフサや灯軽油など各種炭化水素油を製造する技術の研究が進められてきた。そうした中で、GTLプロセスは技術として一応実用化の域に達したものといえ、天然ガスを豊富に産出する地域において実用的規模のプラントが既に運転を開始している。そして、同様なプラントは今後もさらに建設が進められる状況にある。
【0003】
GTLプロセスは、メタン(CH4)を主成分とする天然ガスを改質することにより水素(H2)と一酸化炭素(CO)とを主成分とする合成ガスを製造し、この合成ガスを原料としてフィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)合成(FT合成)を行うことにより重質炭化水素を含む各種炭化水素油の混合物である所謂フィッシャー・トロプシュ油(FT油)を製造し、得られたFT油をアップグレーディング(Upgrading)して精製することによりナフサ、灯油、軽油などの各種石油製品を製造するものである。このようにGTLプロセスは、大きく分けて合成ガス製造工程(改質工程)、フィッシャー・トロプシュ油製造工程(FT工程)、およびアップグレーディング工程(UG工程)の3工程からなる。
【0004】
合成ガスの製造では、まず、原料である天然ガスに含有される硫黄化合物は脱硫装置において脱硫される。その後、脱硫された天然ガスにスチームおよび/または炭酸ガスを添加した後、合成ガス製造装置(以下、「リフォーマー」ともいう)に導入して加熱することにより、リフォーマー内に充填された改質触媒の触媒作用によって改質反応が進行し、合成ガスが製造される。改質反応としては、スチームを用いる水蒸気改質法が主に用いられるが、近年では炭酸ガスによる炭酸ガス改質法も実用化されている。炭酸ガス改質法を用いると、天然ガス中に含まれる炭酸ガスを改質反応前に分離除去する必要がないため、合成ガス製造工程の効率化や低コスト化が図れるという利点がある。また、製造された合成ガス中に含まれる未反応炭酸ガスや生成炭酸ガスは分離回収して合成ガスの製造工程にリサイクルし、炭酸ガス改質法に再利用することができるため、炭酸ガスのさらなる資源化が図れる。
【0005】
ところで、合成ガス製造工程では、天然ガスを改質して生成する合成ガス中に含まれている炭酸ガスを化学吸収法によって炭酸ガス分離回収装置で分離回収した後、この炭酸ガスを天然ガス改質の原料ガスとして合成ガス製造装置にリサイクルしている。化学吸収法により炭酸ガスを分離回収する工程では、炭酸ガス分離回収装置に貯留されている吸収液が炭酸ガスを吸収する。通常、炭酸ガス分離回収装置の吸収塔や再生塔の充填材料にはニッケルを含むステンレス材料が使用されてきた。また、通常、吸収液としては第一級アミンを含む水溶液が用いられてきた。しかしながら、炭酸ガスを分離回収する条件次第では、炭酸ガスを吸収した第一級アミン水溶液は炭酸ガス分離回収装置の充填材料であるニッケル含有のステンレス材料の腐食を引き起こすことを本発明者らは見出した。合成ガスには一酸化炭素が含まれているため、腐食で溶解したニッケル成分や炭酸ガス分離回収装置の充填材料と一酸化炭素とが反応して、ニッケルカルボニルが生成する。
【0006】
こうして、炭酸ガス分離回収装置内で生成したニッケルカルボニルが、天然ガスを改質させる原料ガスとしてリサイクルされる炭酸ガスと共に、リフォーマーへ供給される。そして、リフォーマーに供給されたニッケルカルボニルは、リフォーマー内に充填された改質触媒上に付着し、改質反応の副反応であるカーボンを析出・堆積させる。その結果、改質触媒の触媒活性を低下させることが懸念される。さらには、ニッケルカルボニルが分解しリサイクルラインに設置されたコンプレッサーなどの回転機器や熱交換器にニッケル金属として付着し、こうした機器の長期安定運転ができなくなることも懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−342003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、炭酸ガス分離回収工程から合成ガス製造工程へリサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルを可能な限り抑制し、合成ガス製造工程のリフォーマー内でニッケルがカーボン生成反応を促進することで改質触媒を被毒するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスとを合成ガス製造装置内で改質反応して合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、該合成ガス製造工程で製造された合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応させた後、フィッシャー・トロプシュ反応生成物からガス状生成物を分離してフィッシャー・トロプシュ油を製造するフィッシャー・トロプシュ油製造工程と、該フィッシャー・トロプシュ油製造工程で製造されたフィッシャー・トロプシュ油を水素化処理および蒸留して各種炭化水素油を製造するアップグレーディング工程とからなるGTL(Gas−to−liquid)プロセスの合成ガス製造装置への金属混入抑制方法であって、該合成ガス製造工程で製造された該合成ガス中の炭酸ガスを分離回収し、分離回収された該炭酸ガスを該合成ガス製造工程における改質反応の原料ガスにリサイクルする際に、該リサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルの濃度が0.05ppmv以下であることを特徴とする合成ガス製造装置への金属混入抑制方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、GTLプロセスの合成ガス製造工程のリフォーマーにリサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニル濃度が可能な限り抑制されるため、リフォーマー内に充填された合成ガス製造用改質触媒の表面へのカーボン析出・堆積が抑制(防止)され、改質触媒の触媒活性の低下を防ぐことができる。また、合成ガス製造工程内の機器、例えばコンプレッサーや熱交換器へのニッケルの付着を抑制(防止)し、こうした機器の長期安定運転ができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るGTLプロセスの第1の実施形態における合成ガス製造工程のプロセスフローを示す。
【図2】本発明に係るGTLプロセスの第2の実施形態における合成ガス製造工程のプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係るGTLプロセスの実施形態における合成ガス製造工程のプロセスフローを示すものである。なお、図1は、当該合成ガス製造工程のプロセスフローの全てを示すものではなく、主に、合成ガス製造工程内のCO2の流通に関わる主なフローを示すものである。したがって、例えば、合成ガス製造工程で製造する合成ガスに含まれるスチームを分離するフローなどは示されていない点に注意すべきである。
【0014】
図1において、合成ガス製造工程は、主に、脱硫装置1を備える脱硫工程、合成ガス製造装置2、および脱炭酸装置5を備える脱炭酸工程からなる。脱硫装置1は、天然ガスに含まれる硫黄成分を除去する。合成ガス製造装置2は、脱硫装置1から導入される天然ガスをスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスと改質反応させて、合成ガスを製造する。改質反応とは、天然ガスをスチームおよび/または二酸化炭素と反応させて、主に水素および一酸化炭素からなる合成ガスを生成する反応をいう。
【0015】
合成ガス製造工程に導入されるガスは原料である炭化水素由来の炭素モル数をCで表したとき、炭素1モル当たりのスチーム(H2O)の比であるH2O/Cモル比が0.1〜3.0および/または炭素1モル当たりの炭酸ガス(CO2)の比であるCO2/Cモル比が0.1〜3.0、好ましくはH2O/Cモル比が0.3〜2.0および/またはCO2/Cモル比が0.3〜1.0となるよう、スチームおよび/または炭酸ガスが添加される。
【0016】
ここで、水蒸気改質法とは、天然ガスにスチームを添加して以下の反応式(1)に従って合成ガスを生成するものであり、炭酸ガス改質法とは、天然ガスに炭酸ガスを添加するかまたは天然ガスに含まれる炭酸ガスを使用して以下の反応式(2)に従って合成ガスを生成するものである。なお、下記の式では天然ガス中に主に含まれるメタンの改質反応を例として示している。
式(1): CH4 + H2O → CO + 3H2
式(2): CH4 + CO2 → 2CO + 2H2
【0017】
本実施形態においては、水蒸気改質法と炭酸ガス改質法を同時に行い、生成するCOとH2の比率を調整することができる。本発明のフィッシャー・トロプシュ反応において好ましい比率であるH2/CO=2.0に近づけることが可能となり、その後の調整の手間が省けるため好ましい。
【0018】
合成ガス製造装置2内には、上記改質反応を促進させる改質触媒を充填した多数の反応管が配置されている。改質触媒としては、アルカリ土類金属酸化物担体上にVIII族金属などの触媒金属を担持したものが好適に用いられる。合成ガス製造装置2には燃料(通常は天然ガス)と空気とを供給してバーナー燃焼させることにより、合成ガス製造装置2内に配置した反応管群を外部より加熱する。反応管群は合成ガス製造装置2内で加熱され、反応管内を流通する天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスは、改質触媒の存在下で改質反応され、水素および一酸化炭素からなる合成ガスが生成される。
【0019】
合成ガス製造装置2の反応管群で製造された合成ガスは、廃熱ボイラー3および合成ガス冷却器4により冷却された後、脱炭酸装置5の炭酸ガス吸収塔6に導入される。脱炭酸装置5は、炭酸ガス吸収塔6と再生塔7とを備え、合成ガス製造装置2で製造された合成ガス中に含まれる炭酸ガスを分離回収する。炭酸ガス吸収塔6は、炭酸ガス吸収塔6内に貯留されたアミン系の吸収液により、合成ガス冷却器4から供給される合成ガス中の炭酸ガスを吸収する。
【0020】
アミン水溶液による炭酸ガス吸収反応は以下の反応式(3)に従って炭酸水素イオンとして吸収される。
式(3): R-NH2 + CO2 + H2O → R-NH3+ + HCO3-
【0021】
炭酸ガスを吸収した吸収液は再生塔7に導入される。再生塔7は、炭酸ガス吸収塔6から供給される吸収液をスチームで加熱してストリッピング処理することにより、式(3)の逆反応で炭酸ガスを放散させ、吸収液を再生する。吸収液に使用されるアミン類としては、モノエタノールアミンのような第一級アミン、ジグリコールアミンのような第二級アミン、メチルジエタノールアミン(MDEA)のような第三級アミンなどを含む水溶液が使用可能であるが、第三級アミン、特に金属材料の腐食性の弱いMDEAを含む水溶液を用いることが好ましい。こうして、脱炭酸装置5は合成ガス中に含まれる炭酸ガスを分離回収する。その後、炭酸ガスが分離除去された合成ガスはFT工程に送られる。炭酸ガスを取り除いた吸収液は、炭酸ガス吸収塔6に再供給され、炭酸ガス吸収塔6の吸収液としてリサイクルされる。
【0022】
炭酸ガス吸収塔6および再生塔7の充填物の材料としてはニッケルを含まない材料を用いることが好ましい。例えばSUS410のようなニッケルを含まないステンレス、チタン、セラミックスなどを単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることが好ましい。
【0023】
脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガスは、再生塔7から合成ガス製造装置2に導入され、改質反応の原料ガスとして再利用される。すなわち、炭酸ガス成分は合成ガス製造工程内で天然ガスを改質させる物質として再利用される。
【0024】
合成ガス製造装置2へリサイクルする脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルの濃度はニッケル金属換算で0.05ppmv以下であることが望ましい。ニッケルカルボニルの濃度がニッケル金属換算で0.05ppmv以上であると合成ガス改質触媒の活性を低下させるため好ましくない。
【0025】
脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルの濃度がニッケル金属換算で0.05ppmv以上のときは、図2に示すように脱炭酸装置5から合成ガス製造装置2への炭酸ガスリサイクルラインの途中にニッケルカルボニルの吸着装置8を設置して炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルを0.05ppmv以下まで除去することが望ましい。ニッケルカルボニルの吸着装置としては、活性炭を主成分とした吸着剤を充填した装置を用いることが好ましい。吸着装置での操作条件としては、温度は250℃〜400℃、圧力は0.02〜3.0MPaG、ガス空間速度(GHSV)は500〜3,000h−1である。
【0026】
活性炭を主成分とする吸着剤を用いて上記操作条件でニッケルカルボニルの吸着を実施した場合、ニッケルカルボニルはニッケル金属として活性炭上に分解吸着されるため、長時間安定して吸着操作を行うことができる。
【0027】
脱炭酸装置5で分離回収された炭酸ガス中に含まれるニッケルカルボニルの濃度は、例えば、分離回収された炭酸ガスの水分を塩化カルシウムで除去した後、トリクロロエチレンおよびドライアイスで冷却したヨウ素−エタノール溶液でニッケルカルボニルを吸収し、得られた吸収液を誘導結合プラズマ質量分析計で測定することができる。
【0028】
かかる構成とすることにより、脱炭酸装置5で分離回収され、合成ガス製造装置2へリサイクルされる炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度は、ニッケル金属換算で0.05ppmv以下となるので、ニッケルが合成ガス製造装置に導入されるのを防ぐことができ、合成ガス改質触媒の劣化を回避できる。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、これらの実施例はなんら本発明を限定するものではない。
【0030】
[実施例1]
天然ガスにH2O/Cモル比が1.1およびCO2/Cモル比が0.4となるようスチームおよび炭酸ガスを添加して、アルカリ土類金属酸化物担体上にVIII族金属を担持した改質触媒を充填したリフォーマーに、入口温度500℃、出口温度880℃、圧力2.0MPaG、GHSV3,000h-1の条件で導入し、合成ガスを製造した。得られた合成ガス(H2:58%、CO:28%、CO2:7%、CH4:7%)からCO2を分離回収するため、炭酸ガス吸収塔6に温度40℃、圧力2MPaGの条件で導入した。炭酸ガス吸収塔6はニッケルを含有しないステンレス材料SUS410のカスケードミニリングが充填された充填塔形式のものであり、導入された合成ガスは第三級アミンのMDEAを含む水溶液と向流で気液接触され、炭酸ガスが吸収除去された。炭酸ガスを吸収した吸収液は、再生塔7から炭酸ガス吸収塔へリサイクルされる高温の吸収液と熱交換された後、SUS410の充填物が充填されている再生塔7に温度100℃、圧力0.1MPaGで導入され、吸収液中の炭酸ガスがストリッピングされた。ストリッピングされた炭酸ガスは0.08MPaG、40℃に冷却された。この回収された炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度はニッケル金属換算で0.04ppmvであった。
【0031】
[比較例1]
実施例1と同じ合成ガス製造工程で得られた合成ガス(H2:58%、CO:28%、CO2:7%、CH4:7%)からCO2を分離回収するため、炭酸ガス吸収塔6に温度40℃、圧力2MPaGの条件で導入した。炭酸ガス吸収塔6はニッケルを含有するステンレス材料SUS304のカスケードミニリングが充填されており、導入された合成ガスは第一級アミンのモノエタノールアミンを含む水溶液と向流で気液接触され、炭酸ガスが吸収除去された。炭酸ガスを吸収した吸収液は、再生塔7から炭酸ガス吸収塔へリサイクルされる高温の吸収液と熱交換された後、SUS304の充填物が充填されている再生塔7に温度100℃、圧力0.1MPaGで導入され、吸収液中の炭酸ガスがストリッピングされた。ストリッピングされた炭酸ガスは0.08MPaG、40℃に冷却された。この回収された炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度はニッケル金属換算で2.0ppmvであった。
【0032】
[実施例2]
比較例1で回収された炭酸ガス(ニッケルカルボニル濃度がニッケル金属換算で2.0ppmv)を2.2MPaGまで昇圧後、250℃に昇温し、ニッケルカルボニル吸着材(商品名:Actisorb400、ズードケミー触媒社製)を充填した吸着装置にGHSV1,500h-1の空間速度で通過させたところ、炭酸ガス中のニッケルカルボニル濃度はニッケル金属換算で0.02ppmvに低減した。
【符号の説明】
【0033】
1.脱硫装置
2.合成ガス製造装置
3.廃熱ボイラー
4.合成ガス冷却器
5.脱炭酸装置
6.炭酸ガス吸収塔
7.再生塔
8.吸着装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスとを合成ガス製造装置内で改質反応して合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、該合成ガス製造工程で製造された合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応させた後、フィッシャー・トロプシュ反応生成物からガス状生成物を分離してフィッシャー・トロプシュ油を製造するフィッシャー・トロプシュ油製造工程と、該フィッシャー・トロプシュ油製造工程で製造されたフィッシャー・トロプシュ油を水素化処理および蒸留して各種炭化水素油を製造するアップグレーディング工程とからなるGTL(Gas−to−liquid)プロセスの合成ガス製造装置への金属混入抑制方法であって、
該合成ガス製造工程で製造された該合成ガス中の炭酸ガスを分離回収し、分離回収された該炭酸ガスを該合成ガス製造工程における改質反応の原料ガスにリサイクルする際に、該リサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルの濃度が0.05ppmv以下であることを特徴とする合成ガス製造装置への金属混入抑制方法。
【請求項2】
前記合成ガス中の炭酸ガスは、第三級アミンを含む水溶液で分離回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記合成ガス中の炭酸ガスは、ニッケルを含まない材料からなる充填物を充填した脱炭酸装置で分離回収することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記分離回収された炭酸ガスが、温度250℃〜400℃、圧力0.02〜3.0MPaG、GHSV500〜3,000h-1で活性炭を主成分とする吸着剤を有する吸着装置に導入された後、前記合成ガス製造装置に導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
前記合成ガス製造装置に供給するガスのH2O/Cモル比が0.1〜3.0および/またはCO2/Cモル比が0.1〜3.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の方法。
【請求項1】
天然ガスとスチームおよび/または二酸化炭素を含むガスとを合成ガス製造装置内で改質反応して合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、該合成ガス製造工程で製造された合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応させた後、フィッシャー・トロプシュ反応生成物からガス状生成物を分離してフィッシャー・トロプシュ油を製造するフィッシャー・トロプシュ油製造工程と、該フィッシャー・トロプシュ油製造工程で製造されたフィッシャー・トロプシュ油を水素化処理および蒸留して各種炭化水素油を製造するアップグレーディング工程とからなるGTL(Gas−to−liquid)プロセスの合成ガス製造装置への金属混入抑制方法であって、
該合成ガス製造工程で製造された該合成ガス中の炭酸ガスを分離回収し、分離回収された該炭酸ガスを該合成ガス製造工程における改質反応の原料ガスにリサイクルする際に、該リサイクルされる炭酸ガス中に含まれるニッケルの濃度が0.05ppmv以下であることを特徴とする合成ガス製造装置への金属混入抑制方法。
【請求項2】
前記合成ガス中の炭酸ガスは、第三級アミンを含む水溶液で分離回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記合成ガス中の炭酸ガスは、ニッケルを含まない材料からなる充填物を充填した脱炭酸装置で分離回収することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記分離回収された炭酸ガスが、温度250℃〜400℃、圧力0.02〜3.0MPaG、GHSV500〜3,000h-1で活性炭を主成分とする吸着剤を有する吸着装置に導入された後、前記合成ガス製造装置に導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
前記合成ガス製造装置に供給するガスのH2O/Cモル比が0.1〜3.0および/またはCO2/Cモル比が0.1〜3.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の方法。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2012−214529(P2012−214529A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78808(P2011−78808)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504117958)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (101)
【出願人】(509001630)国際石油開発帝石株式会社 (57)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(591090736)石油資源開発株式会社 (70)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504117958)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (101)
【出願人】(509001630)国際石油開発帝石株式会社 (57)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(591090736)石油資源開発株式会社 (70)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(000003285)千代田化工建設株式会社 (162)
【Fターム(参考)】
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