合成樹脂製のかぎホック
【課題】強い圧力がかかる部分にも使用可能な合成樹脂製のかぎホックを提供する。
【解決手段】合成樹脂製のフック2と合成樹脂製のアイ3を生地に接着させてなるかぎホック1である。前記フック2は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部21と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部22とを有する。前記アイ3は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケットと、裏面側の支持部とを有する。
【解決手段】合成樹脂製のフック2と合成樹脂製のアイ3を生地に接着させてなるかぎホック1である。前記フック2は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部21と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部22とを有する。前記アイ3は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケットと、裏面側の支持部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服等において使用する合成樹脂製のかぎホックに関する。
【背景技術】
【0002】
衣服等の開閉部に取り付けられるかぎホックは、フック(雄部)とアイ(雌部)からなる周知の部材であり、通常は金属で形成されている。金属部品を生地に取り付けるためには糸による取付が必要であって、コストの上昇をもたらすと共に、使用中に糸がほどけるようなことがあった。また、そのような金属製のかぎホックは洗濯中に他の衣服を傷つけることもあった。
【0003】
それを避けるためにブラジャーなどでは合成樹脂製のかぎホックも使用されるようになってきた(特開2004−176220参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、たとえばズボンやスカートなどのように腹圧が強くかかる部分に使用するかぎホックとしては、出願人の知る限り、合成樹脂製のかぎホックは登場していない。その理由は、おそらく強度が十分に確保できないのが理由と思われる。
【0005】
本発明は、この問題を解決して強い圧力がかかる部分にも使用可能な合成樹脂製のかぎホックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明は、合成樹脂製のフック2と合成樹脂製のアイ3を生地に接着させてなるかぎホック1であって、前記フック2は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部21と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部22とを有し、前記アイ3は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケット33と、裏面側の支持部とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0007】
好ましくは、前記フックの延長部22の内部表面に位置固定用の第1係合部23が形成されており、前記アイのポケット正面板の内部表面に前記第1係合部と係合する第2係合部が形成されていることである(請求項2)。
【0008】
好ましくは、前記生地はテープであり、前記フック及び前記アイは一定間隔で複数個形成されたものである(請求項3)。
【0009】
前記テープに前記フック及び前記アイを接着させるとき、前記延長部が前記テープの長手方向に向くように前記フックを前記テープに対して接着し、前記ポケット開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイを前記テープに対して接着するのが普通である(請求項4)。
【0010】
別法として、前記延長部が前記テープの幅方向に向くように前記フックを前記テープに対して接着し、前記ポケット開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイを前記テープに対して接着してもよい(請求項5)。
【0011】
本発明のかぎホックは一対の合成樹脂製のフックと合成樹脂製のアイを同一の生地に接着させてなる衣服のウエストサイズ延長具としても使用することができる。この延長具は、前記フックは、前記生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部とを有し、前記アイは、前記生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケットと、裏面側の支持部とを有し、前記フックと前記アイの前記各正面側が、生地のそれぞれ表裏に位置するように取り付けられていることを特徴とする(請求項6)。生地は弾性体であることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のかぎホックは、合成樹脂により成型するので、金属のものと較べて、糸による取付が不要であり、厚みを薄くすることも厚くすることも自由に設計できる。
【0013】
さらに、アイ及びフックは生地に対して強固に接着されるので、ズボンやスカートの開閉部などのように腹圧が強くかかる部分にも十分使用可能であることがわかった。測定によると、生地に対して平行方向には10kg、垂直方向には5kgの耐久性能を示した。
【0014】
請求項2に記載の第1,第2係合部を設けることにより、その部分で「カチッ」とスナップ嵌めされ位置が仮固定される。この仮固定は指で引っ張れば簡単に解除される程度のものである。
【0015】
請求項3に記載のようにテープにアイ及びフックをそれぞれ複数個配置させると、一度に多数のものが成形できる。また、一対ずつ切り出さないでも、ベルトやカーテンなどに使用するときはテープ形状のまま使用することもできる。
【0016】
請求項4に記載のようにフック及びアイを配置すると製造が容易である。請求項4に記載のようにフック及びアイを配置すると製品によっては後加工が容易となる。
【0017】
請求項6によれば、本発明のかぎホックの一使用法が提供される。すなわち、一対の合成樹脂製のフックと合成樹脂製のアイを同一の生地に接着させてなる衣服のウエストサイズ延長具としても使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施例で使用するフック(雄部)とアイ(雌部)の(a)係合前の斜視図である。
【図2】本発明実施例で使用するフックとアの(a)係合前、(b)係合中を示す断面図である。
【図3】本発明実施例1で使用するフックの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図4】本発明実施例1で使用するフックの正面側斜視図である。
【図5】本発明実施例1で使用するフックの背面側斜視図である。
【図6】本発明実施例1で使用するフックの(a)拡大正面図、(b)拡大側面図、(c)拡大背面図、(d)X−X断面図、(e)Y−Y断面図である。
【図7】本発明実施例1で使用するアイの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図8】本発明実施例1で使用するアイの正面側斜視図である。
【図9】本発明実施例1で使用するアイの背面側斜視図である。
【図10】本発明実施例1で使用するアイの(a)拡大正面図、(b)拡大側面図、(c)拡大背面図、(d)X−X断面図、(e)Y−Y断面図である。
【図11】本発明実施例2で使用するフックの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図12】本発明実施例2で使用するアイの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図13】実施例3に係る、衣服のウエストサイズ延長具の斜視図である。
【図14】実施例3で使用する、衣服のウエストサイズ延長具の(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図15】実施例3の、衣服のウエストサイズ延長具の使用法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1,図2に示すように、本実施例のカギホック1は、一対のフック(雄部)2及びアイ(雌部)3としてそれぞれ合成樹脂により形成され、生地4、5に接合している。使用方法は、図2に示すように、指でフック2先端をアイ3に挿入して係合させるだけであり、従来と同様である。以下、それぞれの部品について詳細に説明する。
【0021】
図3〜6はフック2の実施例を示す。図3は(a)正面図、(b)背面図であって、テープ4上に同一間隔で複数個が合成樹脂の射出成形により成形されている。
【0022】
テープ4生地としては、溶融されることなく溶融樹脂が透過する生地であることが必要で、織物でも編物でもよく、例えばポリエステル生地等を採用することができる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、例えばポリアセタール溶融樹脂を使用することができる。120℃程度の耐熱性を持たせたものであることが好ましい。
【0023】
フック2はテープの正面側と背面側が同一輪郭であって、双方共にテープ幅方向に伸びる基部21と、この基部から垂直方向に伸びる先細りの延長部22からなる。図4、図6に示すように正面側は延長部22がテープから浮き上がっており、使用時にはこの延長部22がアイ3に挿入される。背面側は全面的に生地に付着している。背面側は正面側を支持するのが目的であるから、それさえできれば形状や大きさは問わない。
【0024】
さらに後記する目的で、正面側の浮き上がった延長部22の内部表面にテープの幅方向に直線状に伸びる筋状突起23(図5、図6)が形成されている。
【0025】
フック2を成形する際には、フック成形用空間を形成した上下金型(図示せず)間に、溶融樹脂が成形圧力によって通過浸透する前記生地テープ4を配設する。ついでフック2の係合突起内側に位置するくぼみ部分24の生地テープ4を前記上下金型で挟み込み固定する。その後、合成樹脂を前記成形空間内に射出し、生地テープ両面に形成されるフックの表面部側と裏面部側とを生地テープを透過する合成樹脂によって一体化させる。
【0026】
図7〜10はアイ3の実施例を示す。図3は(a)正面図、(b)背面図であって、テープ5上に同一間隔で複数個が合成樹脂の射出成形により成形されている。
【0027】
テープ5生地としては、溶融されることなく溶融樹脂が透過する生地であることが必要で、織物でも編物でもよく、例えばポリエステル生地等を採用することができる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、例えばポリアセタール溶融樹脂を使用することができる。120℃程度の耐熱性を持たせたものであることが好ましい。
【0028】
アイ3はテープ5の正面側と背面側が異形輪郭である。正面側は左右端部31がやや盛り上がっており、浮き上がった正面板32と、上部と内部の開放空間によりポケット33を形成している。「ポケット」という用語は、この実施例のようにポケット底部が閉鎖されているものだけでなく、ポケット空間が上下貫通しているものを含むものとする。図8、図10に示すように、使用時にはこのポケットにフックが挿入される。背面側は角の取れた四角形の板状であって全面的に生地5に付着した支持部36となっている。背面側支持部36は正面側を支持するのが目的であるから、それさえできれば形状や大きさは問わない。
【0029】
さらに、正面側の浮き上がった正面板32の内部表面にテープの幅方向に直線状に伸びる筋状溝34が形成されている。フック2がアイ3に挿入されたとき、フックの筋状突起23(図10)とこのアイの筋状溝34が「カチッ」とスナップ嵌めされ、その位置で係合が仮固定されて安定する。
【0030】
アイ3を成形する際には、アイ成形用空間を形成した上下金型(図示せず)間に、溶融樹脂が成形圧力によって通過浸透する前記生地テープを配設する。ついでアイ3の係合突起内側に位置するくぼみ部分35の生地テープを前記上下金型で挟み込み固定する。その後、合成樹脂を前記成形空間内に射出し、生地テープ両面に形成されるアイの表面部側と裏面部側とを生地テープを透過する合成樹脂によって一体化させる。
【0031】
このかぎホック1の使用方法は図1及び図2に関して説明したとおりである。図3及び図7の状態のテープからフック及びアイを一対使用するときにはそれぞれ切り取って使用する。
【0032】
単一のフック及び複数のアイを使用して長さ調節のできるベルトやカーテンとして使用することもできる。
【実施例2】
【0033】
テープ状のフック2A及びアイ3Aから一対のものを切り取り、後加工するときには、フック及びアイは図11及び図12に示す向きに形成する方が好ましい。すなわち、延長部22Aがテープの幅方向に向くようにフック2Aがテープに対して接着され、ポケット33Aの上部開口がテープの長手方向に向くようにアイ3Aがテープに対して接着されている。しかし、成型品を幅方向に引き抜かなければならないから金型の配置や成型品の取り出しはより困難となる。
【実施例3】
【0034】
図13〜15は本発明の第3実施例である。この実施例では、図13に示すように、フック2Bとアイ3Bが一片のテープ6にやや距離を置いて向かい合って取り付けられる。フック2Bおよびアイ3Bそれぞれは前記実施例1および2と同じものである。そのため、添付図面において前記実施例1および2と同じ符号に「B」を付することにより、各部品の詳細な説明を省略する。
【0035】
フック2Bおよびアイ3Bの取り付け方は、両者の正面側がテープ6の表裏に位置する関係にある。すなわち、図13、図14に示すように、フック2Bの正面側がテープ6正面に取り付けられ、アイ3Bの正面側がテープ6の裏面に取り付けられる。
【0036】
このような雌雄部材を併存させた一片のテープ6を製造するには、図14に示すように長尺ものとして製造した後で、一点鎖線に沿って各テープに裁断するのが経済的である。
【0037】
この雌雄部材を併存させた一片のテープ6には、いろいろな用途が考えられるが、たとえば、図15に示すような衣服のウエストサイズ延長具1Bとして使用することができる。
【0038】
たとえば、食事中・食後や運動中に一時的に胴回りが増加したとき、ズボンやスカートの本来のウエストサイズでは対応しきれなくなることがある。そのようなとき、この延長具1Bを使用することにより、事実上衣服のウエストサイズを増加させることができる。
【0039】
この延長具1Bをズボンに取り付けるには、図15に示すように、本来のホック7に延長具1Bのアイ3Bを係合させるだけでよい。本来のホック7はもはや開口部の連結には使用できなくなっているが、延長具1Bのホック2Bがその役割を果たし、本来のアイ8と連結可能である。この延長具1Bが本来のホック7とアイ8の間を介在するので、延長具の分だけズボンのウエストサイズが延長される。
【0040】
好ましくは、延長具1Bを構成するテープを弾性体、たとえばゴムバンドとすることにより、それ自身も延長可能となり、二重の延長効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2004−176220
【符号の説明】
【0042】
1 かぎホック
1B 衣服のウエストサイズ延長具
2,2A,2B フック
21,21B 基部
22,22B 延長部
23 第1係合部(筋状突起)
24 くぼみ部分
3,3A,3B アイ
31 左右端部
32,32B 正面板
33 ポケット
34 第2係合部(筋状溝)
35 くぼみ部分
36 支持部
4 生地(テープ)
5 生地(テープ)
6 雌雄部材を併存させた一片のテープ
7 本来のフック
8 本来のアイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服等において使用する合成樹脂製のかぎホックに関する。
【背景技術】
【0002】
衣服等の開閉部に取り付けられるかぎホックは、フック(雄部)とアイ(雌部)からなる周知の部材であり、通常は金属で形成されている。金属部品を生地に取り付けるためには糸による取付が必要であって、コストの上昇をもたらすと共に、使用中に糸がほどけるようなことがあった。また、そのような金属製のかぎホックは洗濯中に他の衣服を傷つけることもあった。
【0003】
それを避けるためにブラジャーなどでは合成樹脂製のかぎホックも使用されるようになってきた(特開2004−176220参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、たとえばズボンやスカートなどのように腹圧が強くかかる部分に使用するかぎホックとしては、出願人の知る限り、合成樹脂製のかぎホックは登場していない。その理由は、おそらく強度が十分に確保できないのが理由と思われる。
【0005】
本発明は、この問題を解決して強い圧力がかかる部分にも使用可能な合成樹脂製のかぎホックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明は、合成樹脂製のフック2と合成樹脂製のアイ3を生地に接着させてなるかぎホック1であって、前記フック2は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部21と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部22とを有し、前記アイ3は、生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケット33と、裏面側の支持部とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0007】
好ましくは、前記フックの延長部22の内部表面に位置固定用の第1係合部23が形成されており、前記アイのポケット正面板の内部表面に前記第1係合部と係合する第2係合部が形成されていることである(請求項2)。
【0008】
好ましくは、前記生地はテープであり、前記フック及び前記アイは一定間隔で複数個形成されたものである(請求項3)。
【0009】
前記テープに前記フック及び前記アイを接着させるとき、前記延長部が前記テープの長手方向に向くように前記フックを前記テープに対して接着し、前記ポケット開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイを前記テープに対して接着するのが普通である(請求項4)。
【0010】
別法として、前記延長部が前記テープの幅方向に向くように前記フックを前記テープに対して接着し、前記ポケット開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイを前記テープに対して接着してもよい(請求項5)。
【0011】
本発明のかぎホックは一対の合成樹脂製のフックと合成樹脂製のアイを同一の生地に接着させてなる衣服のウエストサイズ延長具としても使用することができる。この延長具は、前記フックは、前記生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部とを有し、前記アイは、前記生地を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケットと、裏面側の支持部とを有し、前記フックと前記アイの前記各正面側が、生地のそれぞれ表裏に位置するように取り付けられていることを特徴とする(請求項6)。生地は弾性体であることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のかぎホックは、合成樹脂により成型するので、金属のものと較べて、糸による取付が不要であり、厚みを薄くすることも厚くすることも自由に設計できる。
【0013】
さらに、アイ及びフックは生地に対して強固に接着されるので、ズボンやスカートの開閉部などのように腹圧が強くかかる部分にも十分使用可能であることがわかった。測定によると、生地に対して平行方向には10kg、垂直方向には5kgの耐久性能を示した。
【0014】
請求項2に記載の第1,第2係合部を設けることにより、その部分で「カチッ」とスナップ嵌めされ位置が仮固定される。この仮固定は指で引っ張れば簡単に解除される程度のものである。
【0015】
請求項3に記載のようにテープにアイ及びフックをそれぞれ複数個配置させると、一度に多数のものが成形できる。また、一対ずつ切り出さないでも、ベルトやカーテンなどに使用するときはテープ形状のまま使用することもできる。
【0016】
請求項4に記載のようにフック及びアイを配置すると製造が容易である。請求項4に記載のようにフック及びアイを配置すると製品によっては後加工が容易となる。
【0017】
請求項6によれば、本発明のかぎホックの一使用法が提供される。すなわち、一対の合成樹脂製のフックと合成樹脂製のアイを同一の生地に接着させてなる衣服のウエストサイズ延長具としても使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施例で使用するフック(雄部)とアイ(雌部)の(a)係合前の斜視図である。
【図2】本発明実施例で使用するフックとアの(a)係合前、(b)係合中を示す断面図である。
【図3】本発明実施例1で使用するフックの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図4】本発明実施例1で使用するフックの正面側斜視図である。
【図5】本発明実施例1で使用するフックの背面側斜視図である。
【図6】本発明実施例1で使用するフックの(a)拡大正面図、(b)拡大側面図、(c)拡大背面図、(d)X−X断面図、(e)Y−Y断面図である。
【図7】本発明実施例1で使用するアイの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図8】本発明実施例1で使用するアイの正面側斜視図である。
【図9】本発明実施例1で使用するアイの背面側斜視図である。
【図10】本発明実施例1で使用するアイの(a)拡大正面図、(b)拡大側面図、(c)拡大背面図、(d)X−X断面図、(e)Y−Y断面図である。
【図11】本発明実施例2で使用するフックの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図12】本発明実施例2で使用するアイの(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図13】実施例3に係る、衣服のウエストサイズ延長具の斜視図である。
【図14】実施例3で使用する、衣服のウエストサイズ延長具の(a)正面図、(b)背面図であって、テープ上に複数個成形されている。
【図15】実施例3の、衣服のウエストサイズ延長具の使用法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面に基づき本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1,図2に示すように、本実施例のカギホック1は、一対のフック(雄部)2及びアイ(雌部)3としてそれぞれ合成樹脂により形成され、生地4、5に接合している。使用方法は、図2に示すように、指でフック2先端をアイ3に挿入して係合させるだけであり、従来と同様である。以下、それぞれの部品について詳細に説明する。
【0021】
図3〜6はフック2の実施例を示す。図3は(a)正面図、(b)背面図であって、テープ4上に同一間隔で複数個が合成樹脂の射出成形により成形されている。
【0022】
テープ4生地としては、溶融されることなく溶融樹脂が透過する生地であることが必要で、織物でも編物でもよく、例えばポリエステル生地等を採用することができる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、例えばポリアセタール溶融樹脂を使用することができる。120℃程度の耐熱性を持たせたものであることが好ましい。
【0023】
フック2はテープの正面側と背面側が同一輪郭であって、双方共にテープ幅方向に伸びる基部21と、この基部から垂直方向に伸びる先細りの延長部22からなる。図4、図6に示すように正面側は延長部22がテープから浮き上がっており、使用時にはこの延長部22がアイ3に挿入される。背面側は全面的に生地に付着している。背面側は正面側を支持するのが目的であるから、それさえできれば形状や大きさは問わない。
【0024】
さらに後記する目的で、正面側の浮き上がった延長部22の内部表面にテープの幅方向に直線状に伸びる筋状突起23(図5、図6)が形成されている。
【0025】
フック2を成形する際には、フック成形用空間を形成した上下金型(図示せず)間に、溶融樹脂が成形圧力によって通過浸透する前記生地テープ4を配設する。ついでフック2の係合突起内側に位置するくぼみ部分24の生地テープ4を前記上下金型で挟み込み固定する。その後、合成樹脂を前記成形空間内に射出し、生地テープ両面に形成されるフックの表面部側と裏面部側とを生地テープを透過する合成樹脂によって一体化させる。
【0026】
図7〜10はアイ3の実施例を示す。図3は(a)正面図、(b)背面図であって、テープ5上に同一間隔で複数個が合成樹脂の射出成形により成形されている。
【0027】
テープ5生地としては、溶融されることなく溶融樹脂が透過する生地であることが必要で、織物でも編物でもよく、例えばポリエステル生地等を採用することができる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、例えばポリアセタール溶融樹脂を使用することができる。120℃程度の耐熱性を持たせたものであることが好ましい。
【0028】
アイ3はテープ5の正面側と背面側が異形輪郭である。正面側は左右端部31がやや盛り上がっており、浮き上がった正面板32と、上部と内部の開放空間によりポケット33を形成している。「ポケット」という用語は、この実施例のようにポケット底部が閉鎖されているものだけでなく、ポケット空間が上下貫通しているものを含むものとする。図8、図10に示すように、使用時にはこのポケットにフックが挿入される。背面側は角の取れた四角形の板状であって全面的に生地5に付着した支持部36となっている。背面側支持部36は正面側を支持するのが目的であるから、それさえできれば形状や大きさは問わない。
【0029】
さらに、正面側の浮き上がった正面板32の内部表面にテープの幅方向に直線状に伸びる筋状溝34が形成されている。フック2がアイ3に挿入されたとき、フックの筋状突起23(図10)とこのアイの筋状溝34が「カチッ」とスナップ嵌めされ、その位置で係合が仮固定されて安定する。
【0030】
アイ3を成形する際には、アイ成形用空間を形成した上下金型(図示せず)間に、溶融樹脂が成形圧力によって通過浸透する前記生地テープを配設する。ついでアイ3の係合突起内側に位置するくぼみ部分35の生地テープを前記上下金型で挟み込み固定する。その後、合成樹脂を前記成形空間内に射出し、生地テープ両面に形成されるアイの表面部側と裏面部側とを生地テープを透過する合成樹脂によって一体化させる。
【0031】
このかぎホック1の使用方法は図1及び図2に関して説明したとおりである。図3及び図7の状態のテープからフック及びアイを一対使用するときにはそれぞれ切り取って使用する。
【0032】
単一のフック及び複数のアイを使用して長さ調節のできるベルトやカーテンとして使用することもできる。
【実施例2】
【0033】
テープ状のフック2A及びアイ3Aから一対のものを切り取り、後加工するときには、フック及びアイは図11及び図12に示す向きに形成する方が好ましい。すなわち、延長部22Aがテープの幅方向に向くようにフック2Aがテープに対して接着され、ポケット33Aの上部開口がテープの長手方向に向くようにアイ3Aがテープに対して接着されている。しかし、成型品を幅方向に引き抜かなければならないから金型の配置や成型品の取り出しはより困難となる。
【実施例3】
【0034】
図13〜15は本発明の第3実施例である。この実施例では、図13に示すように、フック2Bとアイ3Bが一片のテープ6にやや距離を置いて向かい合って取り付けられる。フック2Bおよびアイ3Bそれぞれは前記実施例1および2と同じものである。そのため、添付図面において前記実施例1および2と同じ符号に「B」を付することにより、各部品の詳細な説明を省略する。
【0035】
フック2Bおよびアイ3Bの取り付け方は、両者の正面側がテープ6の表裏に位置する関係にある。すなわち、図13、図14に示すように、フック2Bの正面側がテープ6正面に取り付けられ、アイ3Bの正面側がテープ6の裏面に取り付けられる。
【0036】
このような雌雄部材を併存させた一片のテープ6を製造するには、図14に示すように長尺ものとして製造した後で、一点鎖線に沿って各テープに裁断するのが経済的である。
【0037】
この雌雄部材を併存させた一片のテープ6には、いろいろな用途が考えられるが、たとえば、図15に示すような衣服のウエストサイズ延長具1Bとして使用することができる。
【0038】
たとえば、食事中・食後や運動中に一時的に胴回りが増加したとき、ズボンやスカートの本来のウエストサイズでは対応しきれなくなることがある。そのようなとき、この延長具1Bを使用することにより、事実上衣服のウエストサイズを増加させることができる。
【0039】
この延長具1Bをズボンに取り付けるには、図15に示すように、本来のホック7に延長具1Bのアイ3Bを係合させるだけでよい。本来のホック7はもはや開口部の連結には使用できなくなっているが、延長具1Bのホック2Bがその役割を果たし、本来のアイ8と連結可能である。この延長具1Bが本来のホック7とアイ8の間を介在するので、延長具の分だけズボンのウエストサイズが延長される。
【0040】
好ましくは、延長具1Bを構成するテープを弾性体、たとえばゴムバンドとすることにより、それ自身も延長可能となり、二重の延長効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2004−176220
【符号の説明】
【0042】
1 かぎホック
1B 衣服のウエストサイズ延長具
2,2A,2B フック
21,21B 基部
22,22B 延長部
23 第1係合部(筋状突起)
24 くぼみ部分
3,3A,3B アイ
31 左右端部
32,32B 正面板
33 ポケット
34 第2係合部(筋状溝)
35 くぼみ部分
36 支持部
4 生地(テープ)
5 生地(テープ)
6 雌雄部材を併存させた一片のテープ
7 本来のフック
8 本来のアイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のフック(2)と合成樹脂製のアイ(3)をそれぞれ生地(4,5)に接着させてなるかぎホック(1)であって、
前記フック(2)は、前記生地(4)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部(21)と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部(22)とを有し、
前記アイ(3)は、前記生地(5)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケット(33)と、裏面側の支持部(36)とを有することを特徴とするかぎホック(1)。
【請求項2】
前記フック(2)の延長部(22)の内部表面に位置固定用の第1係合部(23)が形成されており、前記アイ(3)の前記ポケット(33)の内部表面に前記第1係合部(23)と係合する第2係合部(34)が形成されている請求項1記載のかぎホック。
【請求項3】
前記生地(4,5)がテープであり、前記フック(2)及び前記アイ(3)が一定間隔で複数個形成されたものである請求項1又は2記載のかぎホック。
【請求項4】
前記延長部(22)が前記テープの長手方向に向くように前記フック(2)が前記テープに対して接着され、前記ポケット(33)の開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイ(3)が前記テープに対して接着されている請求項3記載のかぎホック。
【請求項5】
前記延長部(22A)が前記テープの幅方向に向くように前記フック(2A)が前記テープに対して接着され、前記ポケット(33A)の上部開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイ(3A)が前記テープに対して接着されている請求項3記載のカギホック。
【請求項6】
一対の合成樹脂製のフック(2B)と合成樹脂製のアイ(3B)を同一の生地(6)に接着させてなる衣服のウエストサイズ延長具(1B)であって、
前記フック(2B)は、前記生地(6)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部(21B)と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部(22B)とを有し、
前記アイ(3B)は、前記生地(6)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケット(33B)と、裏面側の支持部(36B)とを有し、
前記フック(2B)と前記アイ(3B)の前記各正面側が、生地(6)のそれぞれ表裏に位置するように取り付けられていることを特徴とする、衣服のウエストサイズ延長具(1B)。
【請求項7】
前記生地(6)が弾性体からなる請求項6記載の衣服のウエストサイズ延長具(1B)。
【請求項1】
合成樹脂製のフック(2)と合成樹脂製のアイ(3)をそれぞれ生地(4,5)に接着させてなるかぎホック(1)であって、
前記フック(2)は、前記生地(4)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部(21)と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部(22)とを有し、
前記アイ(3)は、前記生地(5)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケット(33)と、裏面側の支持部(36)とを有することを特徴とするかぎホック(1)。
【請求項2】
前記フック(2)の延長部(22)の内部表面に位置固定用の第1係合部(23)が形成されており、前記アイ(3)の前記ポケット(33)の内部表面に前記第1係合部(23)と係合する第2係合部(34)が形成されている請求項1記載のかぎホック。
【請求項3】
前記生地(4,5)がテープであり、前記フック(2)及び前記アイ(3)が一定間隔で複数個形成されたものである請求項1又は2記載のかぎホック。
【請求項4】
前記延長部(22)が前記テープの長手方向に向くように前記フック(2)が前記テープに対して接着され、前記ポケット(33)の開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイ(3)が前記テープに対して接着されている請求項3記載のかぎホック。
【請求項5】
前記延長部(22A)が前記テープの幅方向に向くように前記フック(2A)が前記テープに対して接着され、前記ポケット(33A)の上部開口が前記テープの長手方向に向くように前記アイ(3A)が前記テープに対して接着されている請求項3記載のカギホック。
【請求項6】
一対の合成樹脂製のフック(2B)と合成樹脂製のアイ(3B)を同一の生地(6)に接着させてなる衣服のウエストサイズ延長具(1B)であって、
前記フック(2B)は、前記生地(6)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側及び裏面側の基部(21B)と、正面側において、前記生地から浮き上がった状態で前記基部から伸びる延長部(22B)とを有し、
前記アイ(3B)は、前記生地(6)を通過する合成樹脂により一体形成された正面側のポケット(33B)と、裏面側の支持部(36B)とを有し、
前記フック(2B)と前記アイ(3B)の前記各正面側が、生地(6)のそれぞれ表裏に位置するように取り付けられていることを特徴とする、衣服のウエストサイズ延長具(1B)。
【請求項7】
前記生地(6)が弾性体からなる請求項6記載の衣服のウエストサイズ延長具(1B)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−63255(P2013−63255A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173918(P2012−173918)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【出願人】(390003296)尼崎製罐株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000114606)モリト株式会社 (198)
【出願人】(390003296)尼崎製罐株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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