合成樹脂製の折り畳み箱
【課題】 両手で箱の六面体のどの辺部分を手で掴んで持っても滑ることなく確実に掴んで安定して持つことができる。
【解決手段】 硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結した角筒状側壁構成部3と、複数の側板1の下辺に底片連結ヒンジ部5を介して硬質合成樹脂よりなる底片4を折り畳み自在に連結して構成した底板構成部6と、複数の側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片15を折り畳み自在に連結して構成した蓋構成部7とを備えた箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となる合成樹脂製の折り畳み箱である。六面体の辺を介して直角に隣接する面の一方又は両方の面の該辺近傍に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設ける。滑り止め部を六面体のすべての辺の近傍に設ける。
【解決手段】 硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結した角筒状側壁構成部3と、複数の側板1の下辺に底片連結ヒンジ部5を介して硬質合成樹脂よりなる底片4を折り畳み自在に連結して構成した底板構成部6と、複数の側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片15を折り畳み自在に連結して構成した蓋構成部7とを備えた箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となる合成樹脂製の折り畳み箱である。六面体の辺を介して直角に隣接する面の一方又は両方の面の該辺近傍に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設ける。滑り止め部を六面体のすべての辺の近傍に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、前後左右の各側面の隣接する側端部同士を折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるように構成した段ボール製の折り畳み箱が特許文献1により知られている。上記の形態の折り畳み箱は折り畳んだ状態で前後左右の各側面の内面が重なるように折り畳まれるためコンパクトに折り畳むことができて、非使用状態で狭いスペースに収納することができ、また、折り畳みに当たっては上記のように一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むだけで、簡単に折り畳むことができると共に、箱状にするに当たっては、上記と逆の手順で対向する隅部が直角となるようにするだけで箱状にすることができ、折り畳みや組み立てが容易であるという特徴がある。
【0003】
しかしながら段ボール製の折り畳み箱は強度が弱くて破れ易く、また、汚れ易く、汚れたら汚れが落ち難く、洗浄もできず、これらの理由により通常の使用形態においては段ボール製の折り畳み箱は1回だけの使い捨てという使用形態が取られており、省資源という観点から好ましくない。また、仮に段ボール製の折り畳み箱を再使用するとしても、上記のように強度が弱く、汚れ易くて一旦汚れたら汚れが落ちにくく、洗浄もできないため、せいぜい3〜5回しか再使用できない。また、段ボール製の折り畳み箱は、通常下面の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つのであるが、段ボール製の折り畳み箱の外面は滑り易い平滑となっているため、手が滑りやすくて持ち難いという問題がある。また、上記以外の持ち方をした場合、例えば、一方の手で下面の一辺部分を掴み、他方の手で箱の対角線状にある上面の一辺部分を掴んで持ったりするといった持ち方をした場合には段ボール製の箱の姿勢が不安定であるため、よりいっそう滑り易くて持ちにくくなる。また、段ボール製の折り畳み箱は上下を逆にしたり、前後、左右を逆にしたりして手で掴んだり、あるいは六面体の角を手で掴んでもったりというように様々な姿勢で上記のようにして両手で持つのであるが、段ボール製の折り畳み箱は上下を逆にしたり、前後、左右を逆にしたりという何れの場合でも手が滑りやすくて持ち難いのに変りはない。更に、段ボール製の折り畳み箱に紐を掛ける場合も、紐が滑り易くて紐が位置ずれしたり、しっかりとした結束ができなかったりするという問題がある。この場合、紐が滑り難いようにするには必要以上に強く結束して紐を段ボール製の折り畳み箱に食い込ませればよいが、これだと段ボール製の折り畳み箱を傷付けてしまうという問題がある。しかも、段ボール製の折り畳み箱の非使用時には、段ボール製の折り畳み箱は偏平に折り畳んで横に倒した状態で上下に多数枚積み重ねた状態で保管したり、搬送したりするのであるが、段ボール製の折り畳み箱は折り畳んだ状態で外端部に比べ中央部が少し折り畳み高さが高くなるように折り畳まれるので、折り畳んだ形状が安定せず、上下に積み重ねた状態で中央部を中心に上の段ボール製の折り畳み箱が一方の側端部側に傾いた状態で載置されるおそれがあって、載置が安定せず、更に、段ボール製であるため、滑り易く、これらの理由により折り畳んだ状態で多数段積み重ねた場合も荷崩れしやすいという問題がある。更に、段ボール製の折り畳み箱を箱形状に組み立てて内部に内容物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて保管したり、搬送したりする場合も、上段の折り畳み箱が下段の折り畳み箱に対して滑りやすくて荷崩れする恐れがある。
【0004】
また、段ボール製の折り畳み箱と同じような折り畳み及び箱形状への組み立てができて段ボール製の折り畳み箱との互換性がある折り畳み箱として合成樹脂製の折り畳み箱が特許文献2により提案されている。この特許文献2に示された合成樹脂製の折り畳み箱は、ヒンジ部を含めて全体が硬質合成樹脂により形成してあり、ヒンジ部は硬質合成樹脂の薄肉部となっている。
【0005】
上記特許文献2に示された段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱は、従来の段ボール製の折り畳み箱と同じような使用ができながら、段ボール製の折り畳み箱に比べて強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができるという特徴を有している。この段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱は、段ボール製の折り畳み箱と同様に通常下端の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つのであるが、この手で掴む部分が硬質合成樹脂であるため、段ボール製の折り畳み箱よりも更に滑り易くて持ち難いという問題があり、また、上記以外の持ち方をした場合には合成樹脂製の折り畳み箱の姿勢が不安定であるため、よりいっそう滑り易いものであり、しかも、段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱は、段ボール製の折り畳み箱と同様に、上下を逆にしたり、前後、左右を逆にしたりして手で掴んだり、あるいは六面体の角を手で掴んでもったりというように様々な姿勢で上記のようにして手で掴んで持つものであり、この何れの姿勢の場合でも上記のように手が滑り易くて持ち難いのに変りはない。更に、合成樹脂製の折り畳み箱に紐を掛ける場合も、合成樹脂製であるため紐がいっそう滑り易くて紐が位置ずれしたり、しっかりとした結束ができなかったりするという問題がある。しかも、合成樹脂製の折り畳み箱も段ボール製の折り畳み箱と同じように偏平となるように折り畳むものであるから、折り畳んだ形状が安定せず、搬送や保管に当たって、段ボール製の折り畳み箱と同じように偏平となるように折り畳んで横に倒した状態で上下に多段に積み重ねて保管したり、搬送したりすると、安定した積み重ねができず、特に、上下段の折り畳み箱は硬質合成樹脂により形成した側板同士が接触して上下に積み重ねられるため、段ボールの場合よりも更に滑り易く、多数段積み重ねた場合、よりいっそう荷崩れしやすいという問題がある。また、合成樹脂製の折り畳み箱は箱形状に組み立て内部に内容物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて保管したり、搬送したりするのであるが、合成樹脂製の折り畳み箱は、上記のように段ボール製の折り畳み箱よりも更に滑り易いため、上段の折り畳み箱が下段の折り畳み箱に対して滑りやすくて荷崩れする恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献2に示される従来の合成樹脂製の折り畳み箱は、全体を合成樹脂の一体成形により形成した1パーツのものであるので、大型の折り畳み箱の場合、金型が大型化してコストアップの原因となる。
【0007】
また、1枚の底面となるパネルの4辺にヒンジ要素を介してそれぞれ側面となるパネルを連出し、更に側面となるパネルにヒンジ要素を介して蓋面となるパネルを連出した合成樹脂製の組み立て箱も特許文献3により知られている。
【0008】
この特許文献3の組み立て箱は、第一プラスチック材料を用いて第一の射出成形金型により複数のヒンジ要素をネットとして一体成形し、このネットを第二の射出成形金型内に配置した状態で、第二の射出成形金型内に第二プラスチック材料を射出して箱の各面を成形することで、ネットの各片の両側部を第二プラスチック材料よりなる箱の各面となるパネルの端部の内部にインサート成形して得たもので、ネットに設けた凸状突出部の突出先端が第二プラスチック材料よりなる箱の各面となるパネルの端部の外面に点状に僅かに突出し、この僅かに点状に突出した部分により付加的な摩擦が作られて箱が互いに滑るのを防止するように構成してある。
【0009】
しかしながら、この特許文献3示されたものは、箱の六面体の面を構成するパネル外面に滑り止めが設けてあると言えども、パネルの端部の肉厚内に埋設したネットから突出した凸状突出部の突出先端が点状に露出して滑り止めとなっているに過ぎないので、滑り止めとなる部分の露出面積がごく僅かでしかなく、滑り止め効果が十分に発揮できないという問題がある。特に、六面体となった箱を手で掴んで持つ場合、持つ位置が種々異なるだけでなく、持つ人の手や指の大きさ、長さ、指を掛ける際の手や指の曲げ具合等により手や指が当たる位置が種々変り、このため、点状の滑り止めに手や指が確実に掛かるとは言えず、また、うまく手や指が点状の滑り止めに当たったとしても、点状でしかないため、手や指のごく一部にごく僅かな摩擦が作用するのみであるから箱を手で掴んで持つ場合の十分な滑り止め効果が得られない。
【0010】
ここで、特許文献3において、凸状突出部の面積を大きくし、パネルの外面に露出する凸条突出部の先端の露出部分の面積を大きくして手や指に広い面積で接触して摩擦による滑り止め効果を向上させることも考えられるが、特許文献3においては、ネットの各片の両側部を第二プラスチック材料よりなる箱の各面となるパネルの端部の内部にインサート成形するものであるから、凸状突出部の面積を大きくすると、第二プラスチック材料を射出した際に第二プラスチック材料の流れを阻害し、凸状突出部の射出点と反対側に廻り込み難くてこの部分への第二プラスチック材料の充填が十分にできず、正確にインサート成形できないという問題があり、このため、凸状突出部の面積を大きくして突出先端の滑り止めとなる部分の面積を大きくすることはできない。したがって、上記のように箱を手で掴んで持つ場合の十分な滑り止め効果が得られない。
【0011】
また、特許文献3の組み立て箱は、非使用時に箱を分解した状態ではネットを介して接続した複数のパネルが平面状に連続するように展開されるものであって、箱をコンパクトに折り畳むものではない。したがって、平面状に分解した状態で保管したり、搬送する際の平面積が大きく、広いスペースが必要となるという問題があり、組み立てや分解にあたっても手間がかかるという問題がある。しかも、上記のように非使用時には平面状に分解するものであるから、パネルの各内面が外部に露出し、パネル内面が汚れるという問題があり、再使用に当たって、箱の内面が汚れているため、内容物を汚すという問題がある。
【0012】
また、特許文献3にあっては、複数のヒンジ要素を一体成形したネットを別の射出成形金型で箱の面を形成する際にインサート成形することで得た組み立て箱であるため、射出成形金型としてネットを成形するための第一の射出成形金型と、インサート成形するための第二の射出成形金型との二種類の射出成形金型が必要で、ネットを第二の射出成形金型内の所定位置に位置決め保持するのが難しく、成形にも時間がかかり、また、成形コストが高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開平8−169436号公報
【特許文献2】特開平8−282648号公報
【特許文献3】特許第3547763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、六面体のすべての辺の近傍に手や指の滑り止めが確実にできる比較的広い面積を持った軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を簡単な構成で形成できて、両手で箱の六面体のどの辺部分を手で掴んで持っても滑ることなく確実に掴んで安定して持つことができ、紐が滑らないように確実に紐掛けをすることができ、また、強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができ、また、偏平に折り畳んだ状態や箱形状に組み立てた状態で上下に多段に積み重ねても簡単な構成で荷崩れするのを防止できる段ボール製の折り畳み箱との互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右の各側面を構成する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるように構成した角筒状側壁構成部3と、複数の側板1の下辺に底片連結ヒンジ部5を介して硬質合成樹脂よりなる底片4を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の底面となる底板構成部6と、複数の側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片15を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の上面である蓋となる蓋構成部7とを備えた箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となる合成樹脂製の折り畳み箱であって、上記側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10が軟質合成樹脂よりなり、上記各ヒンジ部の両端部がそれぞれ硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15の外面に面一又は外面から突出するように合成樹脂の二色成形により重複一体化され、上記各ヒンジ部の硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15の外面に重複一体化した軟質合成樹脂を六面体の箱に組み立てた状態で六面体の辺を介して直角に隣接する一方又は両方の面の該辺近傍において外方に露出させて滑り止め部13とし、該滑り止め部を六面体のすべての辺の近傍に設けて成ることを特徴とするものである。
【0015】
このような構成とすることで、段ボール製の折り畳み箱と同じように折り畳むことができると共に同じように箱形状に組み立てることができて、段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱Aが提供でき、しかもこのように段ボール製の折り畳み箱と互換性がありながら、合成樹脂製であるため強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができ、また、偏平に折り畳んだ状態で各側板1の内面が外部に露出せずに汚れることがなく、再使用の際に内部の収納物が汚れることがない。しかも、上記のように段ボール製の折り畳み箱との互換性がある合成樹脂製の折り畳み箱Aにおいては、両手で掴んで持つ場合手が滑り易いのであるが、六面体の辺を介して直角に隣接する面の一方又は両方の面の該辺近傍に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設け、該滑り止め部13を六面体のすべての辺の近傍に設けてあるので、折り畳み箱Aのどの辺を手で掴んで持っても滑らないように確実且つ安定して持つことができ、特に、軟質合成樹脂よりなる各ヒンジ部の両端部を硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15の外面と面一又は外面から突出するように合成樹脂の二色成形により重複一体化し、該二色成形で外面に重複一体化した軟質合成樹脂を滑り止め部13としてあるので、六面体のすべての辺の近傍において面接触による摩擦により手や指の滑り止めが確実にできる比較的広い面積を持った軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を簡単に構成でき、手や指の大きさや長さの違う人が、両手で箱の六面体のどの辺部分を手で掴んで持っても、また、持つ際の手や指の曲げ具合が異なっても確実に滑り止め部13に手や指が面接触して滑り止めがなされ、確実に滑り止めできる。また、合成樹脂製の折り畳み箱Aは箱形状に組み立てた状態で紐掛けをした場合、紐がすべりやすいのであるが、六面体のすべての辺近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあるので、比較的広い面積の滑り止め部13に紐が線接触してすべらないようにでき、紐を掛けて結束した位置がずれない。また、合成樹脂製でありながら、搬送や保管に当たって、偏平に折り畳んだ状態で上下に多段に積み重ねても、偏平に折り畳んだ上下の合成樹脂製の折り畳み箱A同士の重なり部分に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が存在することになって滑り止めがなされ、この結果、合成樹脂製の折り畳み箱Aを偏平に折り畳んだ状態で上下に多段に積み重ねても荷崩れが防止され、更に、偏平に折り畳んだ状態で上下に多少ずれて積み重ねられたり、あるいは向きを変えて積み重ねられても、滑り止め部13により確実に滑り止めができて安定した積み重ねができることになる。また、箱形状に組み立てた状態で滑り止め部13が上面や下面に位置するようにした場合には、箱形状に組み立てた状態で上下に積み重ねた際の滑り止めがなされ、荷崩れが防止できる。
【0016】
また、側板1同士を折り畳み自在に連結する軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、側板1と底片4とを折り畳み自在に連結する軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5、側板1と蓋片15とを折り畳み自在に連結する軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部10をそれぞれ滑り止め部13として兼用できて、構成が簡略化し、しかも、硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15と、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10とが合成樹脂の二色成形により一体に成形してあるので、側板1、底片4、蓋片15と、滑り止め部13を兼用する側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10とが強固に一体化して滑り止め部13が側板1や底片4や蓋片15から剥離したりせず、また、硬質合成樹脂の薄肉のヒンジに比べて軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10は繰り返し使用しても破損し難くて寿命が長い。
【0017】
また、軟質合成樹脂よりなる帯状の滑り止め部13が辺の全長又は略全長に沿って設けてあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、箱形状に組み立てた状態で下端の対向する一対の辺を両手で掴む際に、該一対の辺の長手方向のどの部分に手を掛けて掴んでも帯状をした滑り止め部13部分のいずれかの部分に手を面接触状態となるように押し当てて確実に掴むことができて、どのような持ち方をしても手が滑らないように持つことができる。また、紐掛けする際も辺の長手方向のどの位置に紐をかけても紐が滑り止め部13部分でかけられて紐がすべらないようにできる。更に、帯状の滑り止め部13が辺の全長又は略全長に沿って設けてあるので、偏平に折り畳んだり、箱形状に組み立てた状態で上下多段に積み重ねた場合に多少横ずれして積み重ねても確実に滑り止めができる。
【0019】
また、辺の全長又は略全長に沿って設けた軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13の辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾となっていることが好ましい。
【0020】
このような構成とすることで、箱形状に組み立てた状態で下端の対向する一対の辺を両手で掴む際に、最も一般的に手を掛けて掴む位置において軟質合成樹脂の滑り止め部13が巾広となっているため、手を滑り止め部13に面接触状態で押し当てる面積が大きくなって確実に滑り止め部13に手を掛けて掴むことができ、しかも、軟質合成樹脂は高価であるが、辺の全長にそって滑り止め部13を巾広にする場合に比べ高価な軟質合成樹脂の使用量を少なくできてコストダウンが図れる。
【0021】
また、六面体のコーナ部分の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けることが好ましい。
【0022】
このように、六面体のコーナ部分の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けることで、図15に示すように、六面体のコーナ部を手で掴んで持つような場合でも確実に手が滑らないようにできる。
【0023】
また、4枚の側板1の各外面の4辺の近傍にそれぞれ滑り止め部13を設けることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることで、4枚の側板1の4辺のどの部分に手を掛けても手が滑ることなく確実に掴むことができる。
【0025】
また、側板1の外面の4辺の全長にわたって外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けると共に側板1の外面のコーナ部に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けてコーナ部の滑り止め部13を介して隣接する辺に沿った滑り止め部13を一体に連続させて側板1の外面の外周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部13を形成することが好ましい。
【0026】
このような構成とすることで、4枚の側板1の4辺及び各コーナ部分のどの部分に手を掛けても手が滑ることなく確実に掴むことができると共に、4辺に沿った各滑り止め部13がコーナ部分で一体に連続しているので、滑り止め部13の捲れを確実に防止することができる。
【0027】
また、2つの箱半体12を連結して折り畳み箱Aを形成し、上記箱半体12が硬質合成樹脂と軟質合成樹脂との二色成形(二色成形法あるいは二色成形機による異素材成形法とも言われる)により一体に成形されたもので、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2により一側端同士を一体に連続した硬質合成樹脂よりなる2つの側板1と、上記1又は2つの側板1の下辺から軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5を介して一体に連続した底片4と、上記1又は2つの側板1の上辺から軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部10を介して一体に連続した蓋片15とを備え、一方の箱半体12の2つの側板1の他側端部に他方の箱半体12の2つの側板1の他側端部を折り畳み自在に連結して4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を構成し、2つの箱半体12に設けた底片4により底板構成部6を構成し、2つの箱半体12に設けた蓋片15により蓋構成部7を構成することが好ましい。
【0028】
このような構成とすることで、硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15と軟質合成樹脂よりなるヒンジ部とを合成樹脂の二色成形により一体成形した箱半体12を2つ組合せ連結することで本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成することができ、合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成するための金型を小型化でき、製作費のコストダウンが図れる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、段ボール製の折り畳み箱との互換性がありながら、段ボールよりも強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができ、また、偏平に折り畳んだ状態で側板内面が汚れず、しかも、六面体のすべての辺の近傍に手や指に対して面接触による摩擦で滑り止めを確実に行うことができる比較的広い面積を持った軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を簡単な構成で形成できて、合成樹脂製の折り畳み箱のどの辺を手で掴んでも滑ることなく確実に安定して持つことができ、また、紐を掛ける場合も線接触により滑らないように確実に安定して紐掛けができ、更に、合成樹脂製の折り畳み箱でありながら、偏平に折り畳んだ状態や箱形状に組み立てた状態で上下に多段に積み重ねた場合に、軟質合成樹脂製の滑り止め部により確実に滑り止めができて安定して積み重ねることができ、荷崩れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0031】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aは、角筒状側壁構成部3、底板構成部6、蓋構成部7により主体が構成してある。
【0032】
角筒状側壁構成部3は、図1乃至図3に示すように、前後左右の各側面を構成する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図9に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図5、図8に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0033】
また、上記前後左右の各側面を構成する4枚の硬質合成樹脂よりなる側板1の下辺に図2、図4に示すようにそれぞれ軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5を介して一体に硬質合成樹脂よりなる底片4を折り畳み自在に連結してあり、この4枚の硬質合成樹脂よりなる底片4により合成樹脂製の底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図8に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0034】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図8に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1(1a、1b)のうちの一方の側板1aの端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1aと一体に該側板1aに直角に重なり代吸収用突部8となる突片を該側板1の高さ方向に沿って立設してある。
【0035】
上記重なり代吸収用突部8は、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。
【0036】
また、図12に示すように、上記側板1aの上端部と重なり代吸収用突部8の上端部とのなすコーナ部分がコーナ連結部30で一体に連結してあり、コーナ連結部30の上面は後述の蓋片15を閉じた状態で蓋片15の一部を載置するための支持部となっている。このコーナ連結部30は平面視略直角三角形状をしていて重なり代吸収用突部8の先端にまで至らせてある。
【0037】
また、側板1bの上端部には被止め部36が設けてある。
【0038】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部には、箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した軟質合成樹脂よりなる傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。
【0039】
そして、図10に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。
【0040】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0041】
また、複数の硬質合成樹脂よりなる側板1の上辺には軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部10を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片15を折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で箱の上面である蓋となる蓋構成部7を構成してある。
【0042】
添付図面に示す実施形態では4つの側板1の対向する二対の側板1のうち重なり代吸収用突部8を突設した方の一対の側板1a(図では長辺側の側板1a)の上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの上の蓋片15aを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出し、重なり代吸収用突部8を突設しない方の他の一対の側板1bの上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの下の蓋片15bを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出してある。
【0043】
一対の蓋片15aの先端縁の片側半分は上面が段落した載置用凹部32が設けてあると共に先端縁の他の片側半分は下面が段落した載置用突片部33が設けてあり、一方の蓋片15aに設けた載置用凹部32が他方の蓋片15aに設けた載置用突片部33に対向すると共に一方の蓋片15aに設けた載置用突片部33が他方の蓋片15aに設けた載置用凹部32に対向するような位置関係となっていて、一対の蓋片15aを横に倒して上開口を閉じた際に対向する蓋片15a同士が互いに載置用凹部32に載置用突片部33が重複載置する関係となっている。一対の蓋片15aの一側部から軟質合成樹脂よりなる帯材34が一体に突設してあり、該帯材34の先端部に硬質合成樹脂よりなる止め具35を一体に形成することで構成してある。
【0044】
上記のような角筒状側壁構成部3と底板構成部6と蓋構成部7とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱Aは、箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となるものであるが、本発明においては、この硬質合成樹脂により主体が構成された折り畳み箱Aの六面体のすべての辺(8つの辺)の近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出して設け、更に、この軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とをそれぞれ連結する軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の側板1、底片4、重複片11、蓋片15の外面への重複一体化した部分により構成したことに特徴がある。つまり、軟質合成樹脂よりなる各ヒンジ部の側板1、底片4、重複片11、蓋片15の外面に重複一体化した部分が滑り止め部13となっているため、手や指を掛けた場合に手や指に面接触して摩擦により滑り止めを行うのに十分な面積を持った滑り止め部13を形成できる。
【0045】
添付図面に示す実施形態では、前述のように4側面を構成する4枚の側板1の外面の上下左右の4辺近傍に各辺の全長に沿って帯状をした軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあり、また、各側板1のコーナ部の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けてコーナ部の滑り止め部13を介して隣接する辺に沿った滑り止め部13を一体に連続させて側板1の外面の外周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部13を形成してある。更に、各側板1の下辺の全長又は略全長に沿って設けた帯状の滑り止め部13は、辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾な幅広滑り止め部13aとなっている。また、各底片4の外面(下面)の側板1と隣接する側の辺近傍に該辺に沿って帯状の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあり、更に各蓋片15の外面(上面)の側板1と隣接する側の辺近傍に該辺に沿って帯状の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてある。
【0046】
ここで、側板1、底片4、蓋片15の各外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出して設ける場合、添付図面に示す実施形態では側板1、蓋片15においてはそれぞれ外面から滑り止め部13が外方に突出するように構成してあって、滑り止め効果、緩衝効果がより発揮できるようにしてある。また、底片4は外面に滑り止め部13が露出しているが、硬質合成樹脂よりなる底片4の外面に段面を形成して該段面に滑り止め部13が露出していて底片4の最下端よりも僅かに上にずれた位置に位置しているが、底片4においても外面に露出するように設けた滑り止め部13が底片4の外面よりも下方(外方)に突出するように設けてもよい。また、側板1、底片4、蓋片15のすべてまたは一部において滑り止め部13を側板1、底片4、蓋片15の外面と面一としてもよい。
【0047】
添付図面に示す実施形態においては、上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱Aは合成樹脂の一体成形により成形した図12、図13に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0048】
箱半体12は、図12、図13の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結し、一方の側板1aの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収用突部8を側板1aの側端に沿って突設すると共に該重なり代吸収用突部8の上端と側板1aの上端とのなすコーナ部分をコーナ連結部30で一体に連結し、更に、他方の側板1bの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に接続部18を設け、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4aの隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。添付図面では更に側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。上記構成の箱半体12は合成樹脂の二色射出成形により一体に成形されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、重なり代吸収用突部8、コーナ連結部30、止め具35が、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0049】
箱半体12を合成樹脂の二色射出成形により一体に成形するには、例えば図16に示すような射出成形用金型装置40を用いて、図16〜図19の順序で成形するものである。
【0050】
図16に示す射出成形用金型装置40は、金型部41に設けた前進、後退自在なスライドコア42と、硬質合成樹脂43を射出するための第一のゲート44と、軟質合成樹脂45を射出するための第二のゲート46とを備えている。
【0051】
金型部41としては固定金型部41aと可動金型部41bとがあり、可動金型部41bの固定金型部41aと対向する面に凹所49が設けてあって、該凹所49にスライドコア42が前進、後退自在に内装してある(図16において矢印イが前進方向、矢印ロが後退方向を示す)。
【0052】
本発明においては、可動金型部41bは固定金型部41aに対して横方向(水平方向)又は上下方向(垂直方向)に移動自在となっており、可動金型部41bを移動することで型閉めしたり、型開きしたりするようになっている。また、スライドコア42は可動金型部41bに対して可動金型部41bの可動方向と同方向に移動自在となっている。
【0053】
上記固定金型部41aと可動金型部41bとを型閉めすると共にスライドコア42を前進させた状態で、固定金型部41aと可動金型部41bと前進させたスライドコア42とで囲まれた空間が一次射出成形用キャビティ部47として形成される。上記の一次射出成形用キャビティ部47としては、図20のようにそれぞれ独立した2つの側板成形用キャビティ部47a、47bと、2つの底片成形用キャビティ部47c、47dと、2つの蓋片成形用キャビティ部47e、47fと、1つの重複成形片用キャビティ部47gと、1つの接続部成形用キャビティ部47hと、1つのロック部材成形用キャビティ部47iとがあり、これらの各一次射出成形用キャビティ部47は、隣接する一次射出成形用キャビティ部47同士がヒンジ部となる分の巾と同じ距離を隔てて形成してある。
【0054】
そして、図16に示すように、スライドコア42は上記距離を隔てて形成された隣接する一次射出成形用キャビティ部47の端部間に跨るもので、スライドコア42の前面の中央部が、固定金型部41aの上記一次射出成形用キャビティ部47の端部の間の部位41a1に対向すると共に、スライドコア42の前面の両側部がそれぞれ一次射出成形用キャビティ部47の端部の片側の内面を構成している。
【0055】
上記複数の一次射出成形用キャビティ部47は、固定金型部41a乃至可動金型部41bの対向面のいずれか一方又は両方に複数のキャビティ形成用凹部48を設けることで形成されるものであり、添付図面の実施形態では固定金型部41aに複数のキャビティ形成用凹部48を形成した例が示してある。
【0056】
また、固定金型部41aと可動金型部41bとを型閉めした状態でスライドコア42のみを後退させることで、各一次射出成形用キャビティ部47(側板成形用キャビティ部47a、47b、底片成形用キャビティ部47c、47d、蓋片成形用キャビティ部47e、47f、重複片成形用キャビティ部47g、接続部成形用キャビティ部47h、ロック部材成形用キャビティ部47i)内にそれぞれ成形された硬質合成樹脂成形部(側板1a、1b、底片4a、4b、蓋片15a、15b、接続部18、止め具35)の外面の端部がそれぞれ露出して、この各硬質合成樹脂成形部の露出した面と金型部41とスライドコア42とにより囲まれた二次射出成形用キャビティ部50となる空間が形成されるように構成してある。
【0057】
第一のゲート44、第二のゲート46はそれぞれ固定金型部41aに設けてあり、第一のゲート44は各一次射出成形用キャビティ部47毎に少なくとも1つ以上設けてあり、また、第二のゲート46は固定金型部41aの上記隣接する一次射出成形用キャビティ部47間にそれぞれ設けてあり、金型部41を型閉めすると共にスライドコア42を前進させた状態でスライドコア42の前端面が第二のゲート46に当接して閉じるようになっており、金型部41を型閉めすると共にスライドコア42を後退させて二次射出成形用キャビティ部50を形成した状態で第二のゲート46が二次射出成形用キャビティ部50に開口するように構成してある。
【0058】
上記のような射出成形用金型装置40を用いて箱半体12を成形するには以下のようにして行うものである。
【0059】
まず、図16に示すように複数の金型部41を型閉めすると共にスライドコア42を前進させて複数の一次射出成形用キャビティ部47を形成し、この複数の一次射出成形用キャビティ部47に図17に示すように、第一のゲート44から硬質合成樹脂43を一次射出成形により射出して側板1a、1b、底片4a、4b、蓋片15a、15b、重複片11、接続部18、止め具35を成形する一次射出工程を実施する。
【0060】
次に、図18に示すように複数の金型部41を型閉めしたままの状態でスライドコア42を後退させて側板1a、1b、底片4a、4b、蓋片15a、15b、重複片11、接続部18、止め具35の各外面の端部を露出させ、隣合う露出面と、後退したスライドコア42と、金型部41とで囲まれた複数の二次射出成形用キャビティ部50を形成する。
【0061】
次に、上記のようにして形成した二次射出成形用キャビティ部50に図19に示すように、第二のゲート46から軟質合成樹脂45を二次射出成形により射出して側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34を成形すると共に、側板連結ヒンジ部2aの両端部をそれぞれ側板1a、1bの隣接する端部外面に重複一体化し、側板連結ヒンジ部2bの両端部をそれぞれ側板1bの他端部外面と接続部18の外面に重複一体化し、各底片連結ヒンジ部5の両端部をそれぞれ側板1の端部外面と底片4の端部外面とに重複一体化し、傾斜ヒンジ部9の両端部をそれぞれ底片4の端部外面と重複片11の端部外面とに重複一体化し、各蓋片連結ヒンジ部10の両端部をそれぞれ側板1の端部外面と蓋片15の端部外面とに重複一体化し、帯材34の両端部をそれぞれ蓋片15aの端部外面と止め具35の外面とに重複一体化する。
【0062】
上記のようにして二次射出成形を実行した後、射出成形用金型装置40を型開きして図12、図13に示すような箱半体12を取出す離型工程を実行する。
【0063】
これらの射出成形用金型装置40における一連の型閉めから、一次射出成形、二次射出成形、離型工程という一連の工程は制御部(図示せず)の制御により実行するものである。
【0064】
上記のように硬質合成樹脂を一次射出成形して側板1、底片4、重複片11、蓋片15、止め具35を成形し、その後、同一金型内で軟質合成樹脂を二次射出成形して、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34の両端部をそれぞれ側板1、底片4、重複片11、蓋片15、止め具35の外面側に重複一体化することで、該軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34の両端部をそれぞれ側板1、底片4、重複片11、蓋片15、止め具35の外面側に外方に露出するように設けることができる。これにより角筒状側壁構成部3、底板構成部6、蓋構成部7により主体を構成した合成樹脂製の折り畳み箱Aは、箱形状に組み立てた状態、つまり六面体の箱を構成した状態で、六面体の各面を構成する各側板1、底片4、蓋片15の外面の、側板1においては4辺の近傍、底片4においては側板1と隣接する側の辺近傍、蓋片15においては側板1と隣接する側の辺近傍に、それぞれ軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10の端部の重複一体化部分が露出するのでこの部分を軟質合成樹脂部分の滑り止め部13として兼用することができると共に、滑り止め部13を帯状に形成して手や指を掛けた場合に確実に面接触することができる大きさのものとすることができる。
【0065】
上記のように同一金型内で硬質合成樹脂、軟質合成樹脂を射出する二色成形により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収用突部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収用突部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結する。これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0066】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱Aを構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底片4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱Aを構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0067】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。もちろん本発明においては、合成樹脂製の折り畳み箱Aを組み合せ形成するための2つの箱半体12が同一形状のものでなくてもよく、異なる成形金型により成形した異なる形状の2つの箱半体12を組合せ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成してもよい。
【0068】
重なり代吸収用突部8と側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収用突部8に重複して連結される接続部18としては、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bと同様に軟質合成樹脂製であってもよいが、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bの先端部に硬質合成樹脂の接続部18を設けてもよい(添付図面に示す実施形態では硬質合成樹脂の接続部18を設けたもので、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bの先端の軟質部分内面又は外面に硬質合成樹脂製の接続部18を重複一体化した例が示してある)。
【0069】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図12、図13に示すように重なり代吸収用突部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(接続部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。
【0070】
また、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図10に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0071】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱Aは4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0072】
このように箱形状に組み立てた状態で合成樹脂製の折り畳み箱A内に種々の収納物を収納し、次に、蓋片15を倒して折り畳み箱Aの上開口を図2のように閉じる。この場合、折り畳み箱Aのコーナ部分においては、上の蓋片15aの端部の基部が、重なり代吸収用突部8の上端と側板1aの上端とのなすコーナ部を一体に連結するコーナ連結部30の上面の支持部に載置される。
【0073】
その後、止め具35を被止め部36に係止する。この場合、帯材34が軟質合成樹脂により成形してあるため、帯材34は可撓性とある程度の弾性(伸縮性)を有しており、したがって、帯材34を曲げて下方に引っ張って伸ばした状態で止め具35を被止め部36に係止することで容易に蓋片15側に設けた止め具35を側板1b側に設けた被止め部36に係止することができると共に帯材34の弾性を利用して伸ばした状態で止めているので係止状態が確実に保持されることになる。係止を解除するには止め具35を指で摘んで更に下方に引くことで更に帯材34が伸ばされて止め具35が被止め部36から解除されるので、係止を解除することができる。
【0074】
上記のように箱形状に組み立てて内部に収納物を収納し、上開口を蓋片15により塞いだ状態で折り畳み箱Aを手で掴んで持ち運ぶものである。このように折り畳み箱Aを箱形状に組み立てた状態で手で持つ場合、通常は段ボール製の折り畳み箱と同様に、図14に示すように、下端部の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つのであるが、この場合、辺の近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあるので、両手が辺近傍の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13部分を掴むことになって、手が滑ることなく確実且つ安定して折り畳み箱Aを持つことができる。このように下端部の対向する一対の辺を両手で掴む場合は通常辺の長手方向の略中央部を掴むものであるが、下端部の各辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾な幅広滑り止め部13aとなっているので、幅広滑り止め部13a部分を手で掴むことになって、より確実に手で掴むことができ、しかも、対向する2対の側板1のうちどの対の側板1の下端部を両手で掴んでも幅広滑り止め部13aを手で掴むことになる。
【0075】
また、上記した図14に示すような通常の持ち方で折り畳み箱Aを両手で持った場合、折り畳み箱Aを持つ作業者の腕が上端部の左右の辺近傍に設けた滑り止め部13部分が当たって、この部分でも滑り止めがなされ、更に、作業者の腹部に対向する折り畳み箱Aの上下の各辺近傍に設けた滑り止め部13が作業者の腹部に当たって滑り止めがなされることになって安定して折り畳み箱Aを持つことができる。
【0076】
また、折り畳み箱Aの六面のうちどの面が下面となるような姿勢であっても(つまり、折り畳み箱Aの前後、左右が逆になったり、上下が逆になったりという様々な姿勢であっても)上記のようにして下端部の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つ場合、本発明においては、六面体のすべての辺の近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けてあるので、上記と同じようにして滑ることなく、確実且つ安定して持つことができる。
【0077】
ここで、本発明においては、折り畳み箱Aを箱形状に組み立てた状態で、図1、図2に示すように、六面体の3面が交差するコーナ部分において、当該コーナ部分を構成する3面のコーナに隣接する部位の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出するように設けてある。このコーナ部分に滑り止め部13を設けるには、六面体の各辺に沿って側板1や底片4や蓋片15の端縁の全長に滑り止め部13を形成して、該全長にわたって形成した滑り止め部13が六面体のコーナ部分まで至るように構成することで、コーナ部分に滑り止め部13を設けることができる。上記例では六面体の3面が交差するコーナ部分において当該コーナ部分を構成する3面のコーナに隣接する部位の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出するように設けた例を示したが、コーナ部分を構成する3面のうち1面又は2面のコーナに隣接する部位の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出するように設けてもよい。
【0078】
この六面体のコーナ部に滑り止め部13を設けるに当たって、前述のように側板1のコーナ部の外面に設けた滑り止め部13を介して側板1の隣接する辺に沿った滑り止め部13同士を一体に連続させて側板1の外面の4周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部13を形成すると、側板1の各辺に沿って外面に設けた滑り止め部13が互いに一体にロ字状に連続し、滑り止め部13が剥がれないように構成できる。
【0079】
また、添付図面に示す実施形態のように、各側板1の4辺の全長にわたって滑り止め部13を設けて各側板1の外面の4周にロ字状に連続する滑り止め部13を形成するとロ字状の角部が六面体のコーナ部に位置するため、六面体のコーナ部に確実に滑り止め部13を設けることができ、また、図15に示すように、六面体のコーナ部を手で掴んで持つような場合でも確実に手が滑らないようにできる。
【0080】
これにより折り畳み箱Aを両手で持つ場合、上記のように下端部の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つだけでなく、六面体の12の辺のうち異なる任意の辺を両手で掴んで持つ場合、あるいは、六面体のコーナ部を手で掴んで持つ場合等、どこを持っても滑り止め部13部分を手で掴むので滑らず、持ちやすいものである。
【0081】
また、折り畳み箱Aを箱形状に組み立てた状態で搬送や保管するに当たっては折り畳み箱Aを上下多段に積み重ねる。ここで、前述の実施形態のように底片4や蓋片15の外面の側板1側の辺近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けることで、上下多段に積み重ねても上段の折り畳み箱Aが下段の折り畳み箱Aに対して滑ってに崩れするのが防止できる。また、折り畳み箱Aをパレットやコンベアに直置きした場合も滑り止めがなされる。更に、冷凍室に入れている場合、冷凍室の床やパレット等の表面が氷結していても折り畳み箱Aが滑り難い。また、冷凍室に入れた場合、外面に設けた滑り止め部13が軟質合成樹脂製であるため、低温でも硬くなり難くて軟質を保持しており、このため折り畳み箱Aの隅部の破損緩衝効果がある。
【0082】
また、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で蓋片15で上開口を閉じた折り畳み箱Aを上下に多段に積み重ねた場合、下段の折り畳み箱Aのコーナ部分に上方からの荷重が集中して作用してコーナ部分から下方に荷重が伝達されていくのであるが、上記のように、重なり代吸収用突部8の上端と重なり代吸収用突部8を突設した側板1の上端とのなすコーナ部をコーナ連結部30で一体に連結すると共に、コーナ連結部30の上面を箱形状に組み立てて蓋片15を閉じた状態で蓋片15の一部が載置支持される支持部としてあるので、コーナ部分で蓋片15が確実に支持されて下方に沈み込むように撓むことがない。これにより折り畳み箱Aを上下に多段に積み重ねても荷崩れすることなく安定して積み重ねることができる。
【0083】
一方、収納物を入れない非使用時には、図1、図2、図3、図4のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図9に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図7、図8に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。この場合、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【0084】
このように折り畳み箱Aを偏平に折り畳んで図11に示すように上下に多段に積み重ねた場合、側板1の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあるので、この部分で偏平に折り畳んだ上下の折り畳み箱Aが重なることになって、硬質合成樹脂製の側板1が硬質構成樹脂製の側板1上に直接重なって滑り落ち易い積み重ねとなるということがない。また、軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13部分で上下に接触して滑り止めするので、上段の折り畳み箱Aが下段の折り畳み箱Aに対して正確に積み重ねてなくてずれて積み重ねられたり、異なる方向に積み重ねられても滑り止め部13に接触している限り確実に滑り止めがなされて安定して積み重ねができる。
【0085】
また、本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aは図5に示すように、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳まれるので、非使用時に、側板1の内面が露出せず、また、底片4が側板1の内面に沿って折り畳まれて側板1間に介在されることで外部に露出せず、また、蓋片15も蓋片15の内面同士が向き合うに重なることで内面の露出部分が少ないものであり、したがって、折り畳み状態の折り畳み箱Aの内面が外部に露出して汚れたり、あるいは、上下に多数積み重ねた場合に折り畳み箱Aの内面に他の折り畳み箱Aの外面が接触して汚れたりするのが防止でき、このように収納物を入れる内面部分が汚れないので、繰り返し使用に当たって有利である。
【0086】
また、本発明においては、合成樹脂製の折り畳み箱Aであるので、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができることになる。
【0087】
また、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように組み立てたり、あるいは、略平行四辺形に折り畳んだりする際、本発明においては、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1aから連出した底片4aの一側部に、箱形状に組み立てた状態で上記両側板1に対して鋭角に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出し、該重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4bに重複状態でスライド自在に結合してあるので、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるようにしたり、略平行四辺形状に折り畳んだりする際、重複片11が底片4bに対して重複状態を保ちながらスライドすることで、底片4aが底片連結ヒンジ部5を介して側板1aに対して回動し且つ該側板1aに対して重複片11が傾斜ヒンジ部9を介して回動し、同時に、底片4bが重複片11に対して重複状態でスライドしながら底片連結ヒンジ部5を介して側板1bに対して回動し、これにより4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるようにするだけで4つの底片4を自動的に回動しながら該4つの底片4よりなる底板構成部6により箱の底を自動的に且つスムーズに形成したり、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を略平行四辺形になるように折り畳むことで、自動的に各底片4をそれぞれ各側板1の内面に沿うようにスムーズに折り畳むことができる。
【0088】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aは、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部又は全部を軟質合成樹脂により成形してあることで、箱形状に組み立てた状態で積み重ねたり、略平行四辺形状に折り畳んだ状態で積み重ねたり、コンベアに載せて搬送したり、あるいは箱形状に組み立てた状態で床やコンベアやトラックの荷台やあるいは他の合成樹脂製の折り畳み箱A等の載置部に載置した場合、軟質合成樹脂よりなるヒンジ部が載置部に接触することになってヒンジ部が滑り止め機能を発揮して、折り畳み箱Aが滑ったり、ずれたりするのを防止することができるものであり、また、衝撃が加わった際に軟質樹脂よりなるヒンジ部が衝撃の緩衝作用をするものである。この場合、軟質合成樹脂よりなるヒンジ部の外面が側板1や底片4や重複片11、蓋片15の外面より少し外に突出するように構成しておくとよりいっそう滑り止め効果が発揮できる。
【0089】
本発明において、側板1、底片4、蓋片15を成形するための硬質合成樹脂として透明又は半透明の樹脂を用いた場合、折り畳み箱A内の内容物の有無や量を外から視認することができる。この場合、少なくとも一対の側板1を透明又は半透明とするのが好ましい。もちろん、すべての側板1を透明又は半透明の硬質合成樹脂により成形してもよく、更に、側板1に加えて、底片4、蓋片15も透明又は半透明の硬質合成樹脂により成形してもよい。透明、半透明とする場合、着色透明、着色半透明であってもよい。
【0090】
また、滑り止め部13、ヒンジ部を成形するための軟質合成樹脂として硬質合成樹脂と異なる色のものを用いると、硬質合成樹脂の部分と軟質合成樹脂の部分が色分けされて外観が良くなる。この場合、軟質合成樹脂として暗い所でも見易い明るい色のものを用いると、暗い所で六面体の辺位置が判りやすくて六面体の輪郭が視認でき手で六面体の辺部分を確実に掴んで持つことができ、また、暗い所を移動する際も、六面体の輪郭が視認できるので、他の物に当てたりするのが防止できる。
【0091】
また、添付図面に示す実施形態においては、少なくとも側板1の外周部の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13(ヒンジ部の側端部)を重複一体化する平坦面部を残して波状縦リブ21を設けてあって上方向からの荷重による側板1の変形防止を行い、また、他のものが衝突した場合の破損防止をおこなっているが、図のような波状縦リブ21に限定されず、縦リブであれば他の形状であってもよい。側板1だけでなく、底片4や蓋片15にもリブを設けてもよい。
【0092】
また、添付図面に示す実施形態においては、偏平に折り畳んだ状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれるようにしたいわゆるボトムロック式の合成樹脂製の折り畳み箱Aの例を説明したが、合成樹脂製の折り畳み箱Aを偏平に折り畳んだ場合に底片4を側板1に対して略面一に連続するように展延するようなタイプのものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図2】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図3】同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図である。
【図4】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図5】同上の折り畳んだ状態の斜視図である。
【図6】同上の図3のX−X線の断面図である。
【図7】同上の図3のY−Y線の断面図である。
【図8】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図9】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図10】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図11】同上の偏平に折り畳んだ状態で上下に多段に積み重ねた状態を示す一部省略拡大断面図である。
【図12】同上の箱半体の成形状態を示す表から見た斜視図である。
【図13】同上の箱半体の成形状態を示す裏から見た斜視図である。
【図14】同上の折り畳み箱を手で持つ一例を示す正面図である。
【図15】同上の折り畳み箱を手で持つ他例を示す斜視図である。
【図16】図12、図13に示す合成樹脂製の箱半体を二色成形するための射出成形金型装置の型閉め状態の断面図である。
【図17】同上の一次射出成形用キャビティ部に一次射出成形により硬質合成樹脂を充填して主体部及びロック部材を成形した状態の射出成形金型装置の断面図である。
【図18】同上の二次射出成形用キャビティ部を形成した段階の射出成形金型装置の断面図である。
【図19】同上の二次射出成形用キャビティ部に二次射出成形により軟質合成樹脂を充填してヒンジ部及び帯材を成形した段階の射出成形金型装置の断面図である。
【図20】同上の複数の一次射出成形用キャビティ部の配置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7 蓋構成部
10 蓋片連結ヒンジ部
13 滑り止め部
15 蓋片
A 折り畳み箱
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、前後左右の各側面の隣接する側端部同士を折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるように構成した段ボール製の折り畳み箱が特許文献1により知られている。上記の形態の折り畳み箱は折り畳んだ状態で前後左右の各側面の内面が重なるように折り畳まれるためコンパクトに折り畳むことができて、非使用状態で狭いスペースに収納することができ、また、折り畳みに当たっては上記のように一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むだけで、簡単に折り畳むことができると共に、箱状にするに当たっては、上記と逆の手順で対向する隅部が直角となるようにするだけで箱状にすることができ、折り畳みや組み立てが容易であるという特徴がある。
【0003】
しかしながら段ボール製の折り畳み箱は強度が弱くて破れ易く、また、汚れ易く、汚れたら汚れが落ち難く、洗浄もできず、これらの理由により通常の使用形態においては段ボール製の折り畳み箱は1回だけの使い捨てという使用形態が取られており、省資源という観点から好ましくない。また、仮に段ボール製の折り畳み箱を再使用するとしても、上記のように強度が弱く、汚れ易くて一旦汚れたら汚れが落ちにくく、洗浄もできないため、せいぜい3〜5回しか再使用できない。また、段ボール製の折り畳み箱は、通常下面の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つのであるが、段ボール製の折り畳み箱の外面は滑り易い平滑となっているため、手が滑りやすくて持ち難いという問題がある。また、上記以外の持ち方をした場合、例えば、一方の手で下面の一辺部分を掴み、他方の手で箱の対角線状にある上面の一辺部分を掴んで持ったりするといった持ち方をした場合には段ボール製の箱の姿勢が不安定であるため、よりいっそう滑り易くて持ちにくくなる。また、段ボール製の折り畳み箱は上下を逆にしたり、前後、左右を逆にしたりして手で掴んだり、あるいは六面体の角を手で掴んでもったりというように様々な姿勢で上記のようにして両手で持つのであるが、段ボール製の折り畳み箱は上下を逆にしたり、前後、左右を逆にしたりという何れの場合でも手が滑りやすくて持ち難いのに変りはない。更に、段ボール製の折り畳み箱に紐を掛ける場合も、紐が滑り易くて紐が位置ずれしたり、しっかりとした結束ができなかったりするという問題がある。この場合、紐が滑り難いようにするには必要以上に強く結束して紐を段ボール製の折り畳み箱に食い込ませればよいが、これだと段ボール製の折り畳み箱を傷付けてしまうという問題がある。しかも、段ボール製の折り畳み箱の非使用時には、段ボール製の折り畳み箱は偏平に折り畳んで横に倒した状態で上下に多数枚積み重ねた状態で保管したり、搬送したりするのであるが、段ボール製の折り畳み箱は折り畳んだ状態で外端部に比べ中央部が少し折り畳み高さが高くなるように折り畳まれるので、折り畳んだ形状が安定せず、上下に積み重ねた状態で中央部を中心に上の段ボール製の折り畳み箱が一方の側端部側に傾いた状態で載置されるおそれがあって、載置が安定せず、更に、段ボール製であるため、滑り易く、これらの理由により折り畳んだ状態で多数段積み重ねた場合も荷崩れしやすいという問題がある。更に、段ボール製の折り畳み箱を箱形状に組み立てて内部に内容物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて保管したり、搬送したりする場合も、上段の折り畳み箱が下段の折り畳み箱に対して滑りやすくて荷崩れする恐れがある。
【0004】
また、段ボール製の折り畳み箱と同じような折り畳み及び箱形状への組み立てができて段ボール製の折り畳み箱との互換性がある折り畳み箱として合成樹脂製の折り畳み箱が特許文献2により提案されている。この特許文献2に示された合成樹脂製の折り畳み箱は、ヒンジ部を含めて全体が硬質合成樹脂により形成してあり、ヒンジ部は硬質合成樹脂の薄肉部となっている。
【0005】
上記特許文献2に示された段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱は、従来の段ボール製の折り畳み箱と同じような使用ができながら、段ボール製の折り畳み箱に比べて強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができるという特徴を有している。この段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱は、段ボール製の折り畳み箱と同様に通常下端の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つのであるが、この手で掴む部分が硬質合成樹脂であるため、段ボール製の折り畳み箱よりも更に滑り易くて持ち難いという問題があり、また、上記以外の持ち方をした場合には合成樹脂製の折り畳み箱の姿勢が不安定であるため、よりいっそう滑り易いものであり、しかも、段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱は、段ボール製の折り畳み箱と同様に、上下を逆にしたり、前後、左右を逆にしたりして手で掴んだり、あるいは六面体の角を手で掴んでもったりというように様々な姿勢で上記のようにして手で掴んで持つものであり、この何れの姿勢の場合でも上記のように手が滑り易くて持ち難いのに変りはない。更に、合成樹脂製の折り畳み箱に紐を掛ける場合も、合成樹脂製であるため紐がいっそう滑り易くて紐が位置ずれしたり、しっかりとした結束ができなかったりするという問題がある。しかも、合成樹脂製の折り畳み箱も段ボール製の折り畳み箱と同じように偏平となるように折り畳むものであるから、折り畳んだ形状が安定せず、搬送や保管に当たって、段ボール製の折り畳み箱と同じように偏平となるように折り畳んで横に倒した状態で上下に多段に積み重ねて保管したり、搬送したりすると、安定した積み重ねができず、特に、上下段の折り畳み箱は硬質合成樹脂により形成した側板同士が接触して上下に積み重ねられるため、段ボールの場合よりも更に滑り易く、多数段積み重ねた場合、よりいっそう荷崩れしやすいという問題がある。また、合成樹脂製の折り畳み箱は箱形状に組み立て内部に内容物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて保管したり、搬送したりするのであるが、合成樹脂製の折り畳み箱は、上記のように段ボール製の折り畳み箱よりも更に滑り易いため、上段の折り畳み箱が下段の折り畳み箱に対して滑りやすくて荷崩れする恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献2に示される従来の合成樹脂製の折り畳み箱は、全体を合成樹脂の一体成形により形成した1パーツのものであるので、大型の折り畳み箱の場合、金型が大型化してコストアップの原因となる。
【0007】
また、1枚の底面となるパネルの4辺にヒンジ要素を介してそれぞれ側面となるパネルを連出し、更に側面となるパネルにヒンジ要素を介して蓋面となるパネルを連出した合成樹脂製の組み立て箱も特許文献3により知られている。
【0008】
この特許文献3の組み立て箱は、第一プラスチック材料を用いて第一の射出成形金型により複数のヒンジ要素をネットとして一体成形し、このネットを第二の射出成形金型内に配置した状態で、第二の射出成形金型内に第二プラスチック材料を射出して箱の各面を成形することで、ネットの各片の両側部を第二プラスチック材料よりなる箱の各面となるパネルの端部の内部にインサート成形して得たもので、ネットに設けた凸状突出部の突出先端が第二プラスチック材料よりなる箱の各面となるパネルの端部の外面に点状に僅かに突出し、この僅かに点状に突出した部分により付加的な摩擦が作られて箱が互いに滑るのを防止するように構成してある。
【0009】
しかしながら、この特許文献3示されたものは、箱の六面体の面を構成するパネル外面に滑り止めが設けてあると言えども、パネルの端部の肉厚内に埋設したネットから突出した凸状突出部の突出先端が点状に露出して滑り止めとなっているに過ぎないので、滑り止めとなる部分の露出面積がごく僅かでしかなく、滑り止め効果が十分に発揮できないという問題がある。特に、六面体となった箱を手で掴んで持つ場合、持つ位置が種々異なるだけでなく、持つ人の手や指の大きさ、長さ、指を掛ける際の手や指の曲げ具合等により手や指が当たる位置が種々変り、このため、点状の滑り止めに手や指が確実に掛かるとは言えず、また、うまく手や指が点状の滑り止めに当たったとしても、点状でしかないため、手や指のごく一部にごく僅かな摩擦が作用するのみであるから箱を手で掴んで持つ場合の十分な滑り止め効果が得られない。
【0010】
ここで、特許文献3において、凸状突出部の面積を大きくし、パネルの外面に露出する凸条突出部の先端の露出部分の面積を大きくして手や指に広い面積で接触して摩擦による滑り止め効果を向上させることも考えられるが、特許文献3においては、ネットの各片の両側部を第二プラスチック材料よりなる箱の各面となるパネルの端部の内部にインサート成形するものであるから、凸状突出部の面積を大きくすると、第二プラスチック材料を射出した際に第二プラスチック材料の流れを阻害し、凸状突出部の射出点と反対側に廻り込み難くてこの部分への第二プラスチック材料の充填が十分にできず、正確にインサート成形できないという問題があり、このため、凸状突出部の面積を大きくして突出先端の滑り止めとなる部分の面積を大きくすることはできない。したがって、上記のように箱を手で掴んで持つ場合の十分な滑り止め効果が得られない。
【0011】
また、特許文献3の組み立て箱は、非使用時に箱を分解した状態ではネットを介して接続した複数のパネルが平面状に連続するように展開されるものであって、箱をコンパクトに折り畳むものではない。したがって、平面状に分解した状態で保管したり、搬送する際の平面積が大きく、広いスペースが必要となるという問題があり、組み立てや分解にあたっても手間がかかるという問題がある。しかも、上記のように非使用時には平面状に分解するものであるから、パネルの各内面が外部に露出し、パネル内面が汚れるという問題があり、再使用に当たって、箱の内面が汚れているため、内容物を汚すという問題がある。
【0012】
また、特許文献3にあっては、複数のヒンジ要素を一体成形したネットを別の射出成形金型で箱の面を形成する際にインサート成形することで得た組み立て箱であるため、射出成形金型としてネットを成形するための第一の射出成形金型と、インサート成形するための第二の射出成形金型との二種類の射出成形金型が必要で、ネットを第二の射出成形金型内の所定位置に位置決め保持するのが難しく、成形にも時間がかかり、また、成形コストが高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開平8−169436号公報
【特許文献2】特開平8−282648号公報
【特許文献3】特許第3547763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、六面体のすべての辺の近傍に手や指の滑り止めが確実にできる比較的広い面積を持った軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を簡単な構成で形成できて、両手で箱の六面体のどの辺部分を手で掴んで持っても滑ることなく確実に掴んで安定して持つことができ、紐が滑らないように確実に紐掛けをすることができ、また、強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができ、また、偏平に折り畳んだ状態や箱形状に組み立てた状態で上下に多段に積み重ねても簡単な構成で荷崩れするのを防止できる段ボール製の折り畳み箱との互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右の各側面を構成する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるように構成した角筒状側壁構成部3と、複数の側板1の下辺に底片連結ヒンジ部5を介して硬質合成樹脂よりなる底片4を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の底面となる底板構成部6と、複数の側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片15を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の上面である蓋となる蓋構成部7とを備えた箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となる合成樹脂製の折り畳み箱であって、上記側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10が軟質合成樹脂よりなり、上記各ヒンジ部の両端部がそれぞれ硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15の外面に面一又は外面から突出するように合成樹脂の二色成形により重複一体化され、上記各ヒンジ部の硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15の外面に重複一体化した軟質合成樹脂を六面体の箱に組み立てた状態で六面体の辺を介して直角に隣接する一方又は両方の面の該辺近傍において外方に露出させて滑り止め部13とし、該滑り止め部を六面体のすべての辺の近傍に設けて成ることを特徴とするものである。
【0015】
このような構成とすることで、段ボール製の折り畳み箱と同じように折り畳むことができると共に同じように箱形状に組み立てることができて、段ボール製の折り畳み箱と互換性のある合成樹脂製の折り畳み箱Aが提供でき、しかもこのように段ボール製の折り畳み箱と互換性がありながら、合成樹脂製であるため強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができ、また、偏平に折り畳んだ状態で各側板1の内面が外部に露出せずに汚れることがなく、再使用の際に内部の収納物が汚れることがない。しかも、上記のように段ボール製の折り畳み箱との互換性がある合成樹脂製の折り畳み箱Aにおいては、両手で掴んで持つ場合手が滑り易いのであるが、六面体の辺を介して直角に隣接する面の一方又は両方の面の該辺近傍に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設け、該滑り止め部13を六面体のすべての辺の近傍に設けてあるので、折り畳み箱Aのどの辺を手で掴んで持っても滑らないように確実且つ安定して持つことができ、特に、軟質合成樹脂よりなる各ヒンジ部の両端部を硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15の外面と面一又は外面から突出するように合成樹脂の二色成形により重複一体化し、該二色成形で外面に重複一体化した軟質合成樹脂を滑り止め部13としてあるので、六面体のすべての辺の近傍において面接触による摩擦により手や指の滑り止めが確実にできる比較的広い面積を持った軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を簡単に構成でき、手や指の大きさや長さの違う人が、両手で箱の六面体のどの辺部分を手で掴んで持っても、また、持つ際の手や指の曲げ具合が異なっても確実に滑り止め部13に手や指が面接触して滑り止めがなされ、確実に滑り止めできる。また、合成樹脂製の折り畳み箱Aは箱形状に組み立てた状態で紐掛けをした場合、紐がすべりやすいのであるが、六面体のすべての辺近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあるので、比較的広い面積の滑り止め部13に紐が線接触してすべらないようにでき、紐を掛けて結束した位置がずれない。また、合成樹脂製でありながら、搬送や保管に当たって、偏平に折り畳んだ状態で上下に多段に積み重ねても、偏平に折り畳んだ上下の合成樹脂製の折り畳み箱A同士の重なり部分に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が存在することになって滑り止めがなされ、この結果、合成樹脂製の折り畳み箱Aを偏平に折り畳んだ状態で上下に多段に積み重ねても荷崩れが防止され、更に、偏平に折り畳んだ状態で上下に多少ずれて積み重ねられたり、あるいは向きを変えて積み重ねられても、滑り止め部13により確実に滑り止めができて安定した積み重ねができることになる。また、箱形状に組み立てた状態で滑り止め部13が上面や下面に位置するようにした場合には、箱形状に組み立てた状態で上下に積み重ねた際の滑り止めがなされ、荷崩れが防止できる。
【0016】
また、側板1同士を折り畳み自在に連結する軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、側板1と底片4とを折り畳み自在に連結する軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5、側板1と蓋片15とを折り畳み自在に連結する軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部10をそれぞれ滑り止め部13として兼用できて、構成が簡略化し、しかも、硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15と、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10とが合成樹脂の二色成形により一体に成形してあるので、側板1、底片4、蓋片15と、滑り止め部13を兼用する側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10とが強固に一体化して滑り止め部13が側板1や底片4や蓋片15から剥離したりせず、また、硬質合成樹脂の薄肉のヒンジに比べて軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10は繰り返し使用しても破損し難くて寿命が長い。
【0017】
また、軟質合成樹脂よりなる帯状の滑り止め部13が辺の全長又は略全長に沿って設けてあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、箱形状に組み立てた状態で下端の対向する一対の辺を両手で掴む際に、該一対の辺の長手方向のどの部分に手を掛けて掴んでも帯状をした滑り止め部13部分のいずれかの部分に手を面接触状態となるように押し当てて確実に掴むことができて、どのような持ち方をしても手が滑らないように持つことができる。また、紐掛けする際も辺の長手方向のどの位置に紐をかけても紐が滑り止め部13部分でかけられて紐がすべらないようにできる。更に、帯状の滑り止め部13が辺の全長又は略全長に沿って設けてあるので、偏平に折り畳んだり、箱形状に組み立てた状態で上下多段に積み重ねた場合に多少横ずれして積み重ねても確実に滑り止めができる。
【0019】
また、辺の全長又は略全長に沿って設けた軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13の辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾となっていることが好ましい。
【0020】
このような構成とすることで、箱形状に組み立てた状態で下端の対向する一対の辺を両手で掴む際に、最も一般的に手を掛けて掴む位置において軟質合成樹脂の滑り止め部13が巾広となっているため、手を滑り止め部13に面接触状態で押し当てる面積が大きくなって確実に滑り止め部13に手を掛けて掴むことができ、しかも、軟質合成樹脂は高価であるが、辺の全長にそって滑り止め部13を巾広にする場合に比べ高価な軟質合成樹脂の使用量を少なくできてコストダウンが図れる。
【0021】
また、六面体のコーナ部分の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けることが好ましい。
【0022】
このように、六面体のコーナ部分の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けることで、図15に示すように、六面体のコーナ部を手で掴んで持つような場合でも確実に手が滑らないようにできる。
【0023】
また、4枚の側板1の各外面の4辺の近傍にそれぞれ滑り止め部13を設けることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることで、4枚の側板1の4辺のどの部分に手を掛けても手が滑ることなく確実に掴むことができる。
【0025】
また、側板1の外面の4辺の全長にわたって外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けると共に側板1の外面のコーナ部に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けてコーナ部の滑り止め部13を介して隣接する辺に沿った滑り止め部13を一体に連続させて側板1の外面の外周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部13を形成することが好ましい。
【0026】
このような構成とすることで、4枚の側板1の4辺及び各コーナ部分のどの部分に手を掛けても手が滑ることなく確実に掴むことができると共に、4辺に沿った各滑り止め部13がコーナ部分で一体に連続しているので、滑り止め部13の捲れを確実に防止することができる。
【0027】
また、2つの箱半体12を連結して折り畳み箱Aを形成し、上記箱半体12が硬質合成樹脂と軟質合成樹脂との二色成形(二色成形法あるいは二色成形機による異素材成形法とも言われる)により一体に成形されたもので、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2により一側端同士を一体に連続した硬質合成樹脂よりなる2つの側板1と、上記1又は2つの側板1の下辺から軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5を介して一体に連続した底片4と、上記1又は2つの側板1の上辺から軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部10を介して一体に連続した蓋片15とを備え、一方の箱半体12の2つの側板1の他側端部に他方の箱半体12の2つの側板1の他側端部を折り畳み自在に連結して4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を構成し、2つの箱半体12に設けた底片4により底板構成部6を構成し、2つの箱半体12に設けた蓋片15により蓋構成部7を構成することが好ましい。
【0028】
このような構成とすることで、硬質合成樹脂よりなる側板1、底片4、蓋片15と軟質合成樹脂よりなるヒンジ部とを合成樹脂の二色成形により一体成形した箱半体12を2つ組合せ連結することで本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成することができ、合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成するための金型を小型化でき、製作費のコストダウンが図れる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、段ボール製の折り畳み箱との互換性がありながら、段ボールよりも強度が強く、汚れが落ち易く、洗浄ができ、何回でも再使用ができ、また、偏平に折り畳んだ状態で側板内面が汚れず、しかも、六面体のすべての辺の近傍に手や指に対して面接触による摩擦で滑り止めを確実に行うことができる比較的広い面積を持った軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を簡単な構成で形成できて、合成樹脂製の折り畳み箱のどの辺を手で掴んでも滑ることなく確実に安定して持つことができ、また、紐を掛ける場合も線接触により滑らないように確実に安定して紐掛けができ、更に、合成樹脂製の折り畳み箱でありながら、偏平に折り畳んだ状態や箱形状に組み立てた状態で上下に多段に積み重ねた場合に、軟質合成樹脂製の滑り止め部により確実に滑り止めができて安定して積み重ねることができ、荷崩れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0031】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aは、角筒状側壁構成部3、底板構成部6、蓋構成部7により主体が構成してある。
【0032】
角筒状側壁構成部3は、図1乃至図3に示すように、前後左右の各側面を構成する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図9に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図5、図8に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0033】
また、上記前後左右の各側面を構成する4枚の硬質合成樹脂よりなる側板1の下辺に図2、図4に示すようにそれぞれ軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5を介して一体に硬質合成樹脂よりなる底片4を折り畳み自在に連結してあり、この4枚の硬質合成樹脂よりなる底片4により合成樹脂製の底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図8に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0034】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図8に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1(1a、1b)のうちの一方の側板1aの端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1aと一体に該側板1aに直角に重なり代吸収用突部8となる突片を該側板1の高さ方向に沿って立設してある。
【0035】
上記重なり代吸収用突部8は、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。
【0036】
また、図12に示すように、上記側板1aの上端部と重なり代吸収用突部8の上端部とのなすコーナ部分がコーナ連結部30で一体に連結してあり、コーナ連結部30の上面は後述の蓋片15を閉じた状態で蓋片15の一部を載置するための支持部となっている。このコーナ連結部30は平面視略直角三角形状をしていて重なり代吸収用突部8の先端にまで至らせてある。
【0037】
また、側板1bの上端部には被止め部36が設けてある。
【0038】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部には、箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した軟質合成樹脂よりなる傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。
【0039】
そして、図10に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。
【0040】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0041】
また、複数の硬質合成樹脂よりなる側板1の上辺には軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部10を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片15を折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で箱の上面である蓋となる蓋構成部7を構成してある。
【0042】
添付図面に示す実施形態では4つの側板1の対向する二対の側板1のうち重なり代吸収用突部8を突設した方の一対の側板1a(図では長辺側の側板1a)の上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの上の蓋片15aを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出し、重なり代吸収用突部8を突設しない方の他の一対の側板1bの上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの下の蓋片15bを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出してある。
【0043】
一対の蓋片15aの先端縁の片側半分は上面が段落した載置用凹部32が設けてあると共に先端縁の他の片側半分は下面が段落した載置用突片部33が設けてあり、一方の蓋片15aに設けた載置用凹部32が他方の蓋片15aに設けた載置用突片部33に対向すると共に一方の蓋片15aに設けた載置用突片部33が他方の蓋片15aに設けた載置用凹部32に対向するような位置関係となっていて、一対の蓋片15aを横に倒して上開口を閉じた際に対向する蓋片15a同士が互いに載置用凹部32に載置用突片部33が重複載置する関係となっている。一対の蓋片15aの一側部から軟質合成樹脂よりなる帯材34が一体に突設してあり、該帯材34の先端部に硬質合成樹脂よりなる止め具35を一体に形成することで構成してある。
【0044】
上記のような角筒状側壁構成部3と底板構成部6と蓋構成部7とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱Aは、箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となるものであるが、本発明においては、この硬質合成樹脂により主体が構成された折り畳み箱Aの六面体のすべての辺(8つの辺)の近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出して設け、更に、この軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とをそれぞれ連結する軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の側板1、底片4、重複片11、蓋片15の外面への重複一体化した部分により構成したことに特徴がある。つまり、軟質合成樹脂よりなる各ヒンジ部の側板1、底片4、重複片11、蓋片15の外面に重複一体化した部分が滑り止め部13となっているため、手や指を掛けた場合に手や指に面接触して摩擦により滑り止めを行うのに十分な面積を持った滑り止め部13を形成できる。
【0045】
添付図面に示す実施形態では、前述のように4側面を構成する4枚の側板1の外面の上下左右の4辺近傍に各辺の全長に沿って帯状をした軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあり、また、各側板1のコーナ部の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けてコーナ部の滑り止め部13を介して隣接する辺に沿った滑り止め部13を一体に連続させて側板1の外面の外周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部13を形成してある。更に、各側板1の下辺の全長又は略全長に沿って設けた帯状の滑り止め部13は、辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾な幅広滑り止め部13aとなっている。また、各底片4の外面(下面)の側板1と隣接する側の辺近傍に該辺に沿って帯状の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあり、更に各蓋片15の外面(上面)の側板1と隣接する側の辺近傍に該辺に沿って帯状の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてある。
【0046】
ここで、側板1、底片4、蓋片15の各外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出して設ける場合、添付図面に示す実施形態では側板1、蓋片15においてはそれぞれ外面から滑り止め部13が外方に突出するように構成してあって、滑り止め効果、緩衝効果がより発揮できるようにしてある。また、底片4は外面に滑り止め部13が露出しているが、硬質合成樹脂よりなる底片4の外面に段面を形成して該段面に滑り止め部13が露出していて底片4の最下端よりも僅かに上にずれた位置に位置しているが、底片4においても外面に露出するように設けた滑り止め部13が底片4の外面よりも下方(外方)に突出するように設けてもよい。また、側板1、底片4、蓋片15のすべてまたは一部において滑り止め部13を側板1、底片4、蓋片15の外面と面一としてもよい。
【0047】
添付図面に示す実施形態においては、上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱Aは合成樹脂の一体成形により成形した図12、図13に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0048】
箱半体12は、図12、図13の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結し、一方の側板1aの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収用突部8を側板1aの側端に沿って突設すると共に該重なり代吸収用突部8の上端と側板1aの上端とのなすコーナ部分をコーナ連結部30で一体に連結し、更に、他方の側板1bの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に接続部18を設け、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4aの隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。添付図面では更に側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。上記構成の箱半体12は合成樹脂の二色射出成形により一体に成形されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、重なり代吸収用突部8、コーナ連結部30、止め具35が、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0049】
箱半体12を合成樹脂の二色射出成形により一体に成形するには、例えば図16に示すような射出成形用金型装置40を用いて、図16〜図19の順序で成形するものである。
【0050】
図16に示す射出成形用金型装置40は、金型部41に設けた前進、後退自在なスライドコア42と、硬質合成樹脂43を射出するための第一のゲート44と、軟質合成樹脂45を射出するための第二のゲート46とを備えている。
【0051】
金型部41としては固定金型部41aと可動金型部41bとがあり、可動金型部41bの固定金型部41aと対向する面に凹所49が設けてあって、該凹所49にスライドコア42が前進、後退自在に内装してある(図16において矢印イが前進方向、矢印ロが後退方向を示す)。
【0052】
本発明においては、可動金型部41bは固定金型部41aに対して横方向(水平方向)又は上下方向(垂直方向)に移動自在となっており、可動金型部41bを移動することで型閉めしたり、型開きしたりするようになっている。また、スライドコア42は可動金型部41bに対して可動金型部41bの可動方向と同方向に移動自在となっている。
【0053】
上記固定金型部41aと可動金型部41bとを型閉めすると共にスライドコア42を前進させた状態で、固定金型部41aと可動金型部41bと前進させたスライドコア42とで囲まれた空間が一次射出成形用キャビティ部47として形成される。上記の一次射出成形用キャビティ部47としては、図20のようにそれぞれ独立した2つの側板成形用キャビティ部47a、47bと、2つの底片成形用キャビティ部47c、47dと、2つの蓋片成形用キャビティ部47e、47fと、1つの重複成形片用キャビティ部47gと、1つの接続部成形用キャビティ部47hと、1つのロック部材成形用キャビティ部47iとがあり、これらの各一次射出成形用キャビティ部47は、隣接する一次射出成形用キャビティ部47同士がヒンジ部となる分の巾と同じ距離を隔てて形成してある。
【0054】
そして、図16に示すように、スライドコア42は上記距離を隔てて形成された隣接する一次射出成形用キャビティ部47の端部間に跨るもので、スライドコア42の前面の中央部が、固定金型部41aの上記一次射出成形用キャビティ部47の端部の間の部位41a1に対向すると共に、スライドコア42の前面の両側部がそれぞれ一次射出成形用キャビティ部47の端部の片側の内面を構成している。
【0055】
上記複数の一次射出成形用キャビティ部47は、固定金型部41a乃至可動金型部41bの対向面のいずれか一方又は両方に複数のキャビティ形成用凹部48を設けることで形成されるものであり、添付図面の実施形態では固定金型部41aに複数のキャビティ形成用凹部48を形成した例が示してある。
【0056】
また、固定金型部41aと可動金型部41bとを型閉めした状態でスライドコア42のみを後退させることで、各一次射出成形用キャビティ部47(側板成形用キャビティ部47a、47b、底片成形用キャビティ部47c、47d、蓋片成形用キャビティ部47e、47f、重複片成形用キャビティ部47g、接続部成形用キャビティ部47h、ロック部材成形用キャビティ部47i)内にそれぞれ成形された硬質合成樹脂成形部(側板1a、1b、底片4a、4b、蓋片15a、15b、接続部18、止め具35)の外面の端部がそれぞれ露出して、この各硬質合成樹脂成形部の露出した面と金型部41とスライドコア42とにより囲まれた二次射出成形用キャビティ部50となる空間が形成されるように構成してある。
【0057】
第一のゲート44、第二のゲート46はそれぞれ固定金型部41aに設けてあり、第一のゲート44は各一次射出成形用キャビティ部47毎に少なくとも1つ以上設けてあり、また、第二のゲート46は固定金型部41aの上記隣接する一次射出成形用キャビティ部47間にそれぞれ設けてあり、金型部41を型閉めすると共にスライドコア42を前進させた状態でスライドコア42の前端面が第二のゲート46に当接して閉じるようになっており、金型部41を型閉めすると共にスライドコア42を後退させて二次射出成形用キャビティ部50を形成した状態で第二のゲート46が二次射出成形用キャビティ部50に開口するように構成してある。
【0058】
上記のような射出成形用金型装置40を用いて箱半体12を成形するには以下のようにして行うものである。
【0059】
まず、図16に示すように複数の金型部41を型閉めすると共にスライドコア42を前進させて複数の一次射出成形用キャビティ部47を形成し、この複数の一次射出成形用キャビティ部47に図17に示すように、第一のゲート44から硬質合成樹脂43を一次射出成形により射出して側板1a、1b、底片4a、4b、蓋片15a、15b、重複片11、接続部18、止め具35を成形する一次射出工程を実施する。
【0060】
次に、図18に示すように複数の金型部41を型閉めしたままの状態でスライドコア42を後退させて側板1a、1b、底片4a、4b、蓋片15a、15b、重複片11、接続部18、止め具35の各外面の端部を露出させ、隣合う露出面と、後退したスライドコア42と、金型部41とで囲まれた複数の二次射出成形用キャビティ部50を形成する。
【0061】
次に、上記のようにして形成した二次射出成形用キャビティ部50に図19に示すように、第二のゲート46から軟質合成樹脂45を二次射出成形により射出して側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34を成形すると共に、側板連結ヒンジ部2aの両端部をそれぞれ側板1a、1bの隣接する端部外面に重複一体化し、側板連結ヒンジ部2bの両端部をそれぞれ側板1bの他端部外面と接続部18の外面に重複一体化し、各底片連結ヒンジ部5の両端部をそれぞれ側板1の端部外面と底片4の端部外面とに重複一体化し、傾斜ヒンジ部9の両端部をそれぞれ底片4の端部外面と重複片11の端部外面とに重複一体化し、各蓋片連結ヒンジ部10の両端部をそれぞれ側板1の端部外面と蓋片15の端部外面とに重複一体化し、帯材34の両端部をそれぞれ蓋片15aの端部外面と止め具35の外面とに重複一体化する。
【0062】
上記のようにして二次射出成形を実行した後、射出成形用金型装置40を型開きして図12、図13に示すような箱半体12を取出す離型工程を実行する。
【0063】
これらの射出成形用金型装置40における一連の型閉めから、一次射出成形、二次射出成形、離型工程という一連の工程は制御部(図示せず)の制御により実行するものである。
【0064】
上記のように硬質合成樹脂を一次射出成形して側板1、底片4、重複片11、蓋片15、止め具35を成形し、その後、同一金型内で軟質合成樹脂を二次射出成形して、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34の両端部をそれぞれ側板1、底片4、重複片11、蓋片15、止め具35の外面側に重複一体化することで、該軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10、帯材34の両端部をそれぞれ側板1、底片4、重複片11、蓋片15、止め具35の外面側に外方に露出するように設けることができる。これにより角筒状側壁構成部3、底板構成部6、蓋構成部7により主体を構成した合成樹脂製の折り畳み箱Aは、箱形状に組み立てた状態、つまり六面体の箱を構成した状態で、六面体の各面を構成する各側板1、底片4、蓋片15の外面の、側板1においては4辺の近傍、底片4においては側板1と隣接する側の辺近傍、蓋片15においては側板1と隣接する側の辺近傍に、それぞれ軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、蓋片連結ヒンジ部10の端部の重複一体化部分が露出するのでこの部分を軟質合成樹脂部分の滑り止め部13として兼用することができると共に、滑り止め部13を帯状に形成して手や指を掛けた場合に確実に面接触することができる大きさのものとすることができる。
【0065】
上記のように同一金型内で硬質合成樹脂、軟質合成樹脂を射出する二色成形により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収用突部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収用突部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結する。これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0066】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱Aを構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底片4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱Aを構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0067】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。もちろん本発明においては、合成樹脂製の折り畳み箱Aを組み合せ形成するための2つの箱半体12が同一形状のものでなくてもよく、異なる成形金型により成形した異なる形状の2つの箱半体12を組合せ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱Aを形成してもよい。
【0068】
重なり代吸収用突部8と側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収用突部8に重複して連結される接続部18としては、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bと同様に軟質合成樹脂製であってもよいが、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bの先端部に硬質合成樹脂の接続部18を設けてもよい(添付図面に示す実施形態では硬質合成樹脂の接続部18を設けたもので、軟質合成樹脂の側板連結ヒンジ部2bの先端の軟質部分内面又は外面に硬質合成樹脂製の接続部18を重複一体化した例が示してある)。
【0069】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図12、図13に示すように重なり代吸収用突部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(接続部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。
【0070】
また、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図10に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0071】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱Aは4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0072】
このように箱形状に組み立てた状態で合成樹脂製の折り畳み箱A内に種々の収納物を収納し、次に、蓋片15を倒して折り畳み箱Aの上開口を図2のように閉じる。この場合、折り畳み箱Aのコーナ部分においては、上の蓋片15aの端部の基部が、重なり代吸収用突部8の上端と側板1aの上端とのなすコーナ部を一体に連結するコーナ連結部30の上面の支持部に載置される。
【0073】
その後、止め具35を被止め部36に係止する。この場合、帯材34が軟質合成樹脂により成形してあるため、帯材34は可撓性とある程度の弾性(伸縮性)を有しており、したがって、帯材34を曲げて下方に引っ張って伸ばした状態で止め具35を被止め部36に係止することで容易に蓋片15側に設けた止め具35を側板1b側に設けた被止め部36に係止することができると共に帯材34の弾性を利用して伸ばした状態で止めているので係止状態が確実に保持されることになる。係止を解除するには止め具35を指で摘んで更に下方に引くことで更に帯材34が伸ばされて止め具35が被止め部36から解除されるので、係止を解除することができる。
【0074】
上記のように箱形状に組み立てて内部に収納物を収納し、上開口を蓋片15により塞いだ状態で折り畳み箱Aを手で掴んで持ち運ぶものである。このように折り畳み箱Aを箱形状に組み立てた状態で手で持つ場合、通常は段ボール製の折り畳み箱と同様に、図14に示すように、下端部の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つのであるが、この場合、辺の近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあるので、両手が辺近傍の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13部分を掴むことになって、手が滑ることなく確実且つ安定して折り畳み箱Aを持つことができる。このように下端部の対向する一対の辺を両手で掴む場合は通常辺の長手方向の略中央部を掴むものであるが、下端部の各辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾な幅広滑り止め部13aとなっているので、幅広滑り止め部13a部分を手で掴むことになって、より確実に手で掴むことができ、しかも、対向する2対の側板1のうちどの対の側板1の下端部を両手で掴んでも幅広滑り止め部13aを手で掴むことになる。
【0075】
また、上記した図14に示すような通常の持ち方で折り畳み箱Aを両手で持った場合、折り畳み箱Aを持つ作業者の腕が上端部の左右の辺近傍に設けた滑り止め部13部分が当たって、この部分でも滑り止めがなされ、更に、作業者の腹部に対向する折り畳み箱Aの上下の各辺近傍に設けた滑り止め部13が作業者の腹部に当たって滑り止めがなされることになって安定して折り畳み箱Aを持つことができる。
【0076】
また、折り畳み箱Aの六面のうちどの面が下面となるような姿勢であっても(つまり、折り畳み箱Aの前後、左右が逆になったり、上下が逆になったりという様々な姿勢であっても)上記のようにして下端部の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つ場合、本発明においては、六面体のすべての辺の近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けてあるので、上記と同じようにして滑ることなく、確実且つ安定して持つことができる。
【0077】
ここで、本発明においては、折り畳み箱Aを箱形状に組み立てた状態で、図1、図2に示すように、六面体の3面が交差するコーナ部分において、当該コーナ部分を構成する3面のコーナに隣接する部位の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出するように設けてある。このコーナ部分に滑り止め部13を設けるには、六面体の各辺に沿って側板1や底片4や蓋片15の端縁の全長に滑り止め部13を形成して、該全長にわたって形成した滑り止め部13が六面体のコーナ部分まで至るように構成することで、コーナ部分に滑り止め部13を設けることができる。上記例では六面体の3面が交差するコーナ部分において当該コーナ部分を構成する3面のコーナに隣接する部位の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出するように設けた例を示したが、コーナ部分を構成する3面のうち1面又は2面のコーナに隣接する部位の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を外方に露出するように設けてもよい。
【0078】
この六面体のコーナ部に滑り止め部13を設けるに当たって、前述のように側板1のコーナ部の外面に設けた滑り止め部13を介して側板1の隣接する辺に沿った滑り止め部13同士を一体に連続させて側板1の外面の4周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部13を形成すると、側板1の各辺に沿って外面に設けた滑り止め部13が互いに一体にロ字状に連続し、滑り止め部13が剥がれないように構成できる。
【0079】
また、添付図面に示す実施形態のように、各側板1の4辺の全長にわたって滑り止め部13を設けて各側板1の外面の4周にロ字状に連続する滑り止め部13を形成するとロ字状の角部が六面体のコーナ部に位置するため、六面体のコーナ部に確実に滑り止め部13を設けることができ、また、図15に示すように、六面体のコーナ部を手で掴んで持つような場合でも確実に手が滑らないようにできる。
【0080】
これにより折り畳み箱Aを両手で持つ場合、上記のように下端部の対向する一対の辺を両手で掴んで全体を抱えるようにして持つだけでなく、六面体の12の辺のうち異なる任意の辺を両手で掴んで持つ場合、あるいは、六面体のコーナ部を手で掴んで持つ場合等、どこを持っても滑り止め部13部分を手で掴むので滑らず、持ちやすいものである。
【0081】
また、折り畳み箱Aを箱形状に組み立てた状態で搬送や保管するに当たっては折り畳み箱Aを上下多段に積み重ねる。ここで、前述の実施形態のように底片4や蓋片15の外面の側板1側の辺近傍に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13を設けることで、上下多段に積み重ねても上段の折り畳み箱Aが下段の折り畳み箱Aに対して滑ってに崩れするのが防止できる。また、折り畳み箱Aをパレットやコンベアに直置きした場合も滑り止めがなされる。更に、冷凍室に入れている場合、冷凍室の床やパレット等の表面が氷結していても折り畳み箱Aが滑り難い。また、冷凍室に入れた場合、外面に設けた滑り止め部13が軟質合成樹脂製であるため、低温でも硬くなり難くて軟質を保持しており、このため折り畳み箱Aの隅部の破損緩衝効果がある。
【0082】
また、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で蓋片15で上開口を閉じた折り畳み箱Aを上下に多段に積み重ねた場合、下段の折り畳み箱Aのコーナ部分に上方からの荷重が集中して作用してコーナ部分から下方に荷重が伝達されていくのであるが、上記のように、重なり代吸収用突部8の上端と重なり代吸収用突部8を突設した側板1の上端とのなすコーナ部をコーナ連結部30で一体に連結すると共に、コーナ連結部30の上面を箱形状に組み立てて蓋片15を閉じた状態で蓋片15の一部が載置支持される支持部としてあるので、コーナ部分で蓋片15が確実に支持されて下方に沈み込むように撓むことがない。これにより折り畳み箱Aを上下に多段に積み重ねても荷崩れすることなく安定して積み重ねることができる。
【0083】
一方、収納物を入れない非使用時には、図1、図2、図3、図4のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図9に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図7、図8に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。この場合、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【0084】
このように折り畳み箱Aを偏平に折り畳んで図11に示すように上下に多段に積み重ねた場合、側板1の外面に軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13が設けてあるので、この部分で偏平に折り畳んだ上下の折り畳み箱Aが重なることになって、硬質合成樹脂製の側板1が硬質構成樹脂製の側板1上に直接重なって滑り落ち易い積み重ねとなるということがない。また、軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13部分で上下に接触して滑り止めするので、上段の折り畳み箱Aが下段の折り畳み箱Aに対して正確に積み重ねてなくてずれて積み重ねられたり、異なる方向に積み重ねられても滑り止め部13に接触している限り確実に滑り止めがなされて安定して積み重ねができる。
【0085】
また、本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aは図5に示すように、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳まれるので、非使用時に、側板1の内面が露出せず、また、底片4が側板1の内面に沿って折り畳まれて側板1間に介在されることで外部に露出せず、また、蓋片15も蓋片15の内面同士が向き合うに重なることで内面の露出部分が少ないものであり、したがって、折り畳み状態の折り畳み箱Aの内面が外部に露出して汚れたり、あるいは、上下に多数積み重ねた場合に折り畳み箱Aの内面に他の折り畳み箱Aの外面が接触して汚れたりするのが防止でき、このように収納物を入れる内面部分が汚れないので、繰り返し使用に当たって有利である。
【0086】
また、本発明においては、合成樹脂製の折り畳み箱Aであるので、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができることになる。
【0087】
また、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように組み立てたり、あるいは、略平行四辺形に折り畳んだりする際、本発明においては、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1aから連出した底片4aの一側部に、箱形状に組み立てた状態で上記両側板1に対して鋭角に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出し、該重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4bに重複状態でスライド自在に結合してあるので、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるようにしたり、略平行四辺形状に折り畳んだりする際、重複片11が底片4bに対して重複状態を保ちながらスライドすることで、底片4aが底片連結ヒンジ部5を介して側板1aに対して回動し且つ該側板1aに対して重複片11が傾斜ヒンジ部9を介して回動し、同時に、底片4bが重複片11に対して重複状態でスライドしながら底片連結ヒンジ部5を介して側板1bに対して回動し、これにより4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるようにするだけで4つの底片4を自動的に回動しながら該4つの底片4よりなる底板構成部6により箱の底を自動的に且つスムーズに形成したり、4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を略平行四辺形になるように折り畳むことで、自動的に各底片4をそれぞれ各側板1の内面に沿うようにスムーズに折り畳むことができる。
【0088】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱Aは、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部又は全部を軟質合成樹脂により成形してあることで、箱形状に組み立てた状態で積み重ねたり、略平行四辺形状に折り畳んだ状態で積み重ねたり、コンベアに載せて搬送したり、あるいは箱形状に組み立てた状態で床やコンベアやトラックの荷台やあるいは他の合成樹脂製の折り畳み箱A等の載置部に載置した場合、軟質合成樹脂よりなるヒンジ部が載置部に接触することになってヒンジ部が滑り止め機能を発揮して、折り畳み箱Aが滑ったり、ずれたりするのを防止することができるものであり、また、衝撃が加わった際に軟質樹脂よりなるヒンジ部が衝撃の緩衝作用をするものである。この場合、軟質合成樹脂よりなるヒンジ部の外面が側板1や底片4や重複片11、蓋片15の外面より少し外に突出するように構成しておくとよりいっそう滑り止め効果が発揮できる。
【0089】
本発明において、側板1、底片4、蓋片15を成形するための硬質合成樹脂として透明又は半透明の樹脂を用いた場合、折り畳み箱A内の内容物の有無や量を外から視認することができる。この場合、少なくとも一対の側板1を透明又は半透明とするのが好ましい。もちろん、すべての側板1を透明又は半透明の硬質合成樹脂により成形してもよく、更に、側板1に加えて、底片4、蓋片15も透明又は半透明の硬質合成樹脂により成形してもよい。透明、半透明とする場合、着色透明、着色半透明であってもよい。
【0090】
また、滑り止め部13、ヒンジ部を成形するための軟質合成樹脂として硬質合成樹脂と異なる色のものを用いると、硬質合成樹脂の部分と軟質合成樹脂の部分が色分けされて外観が良くなる。この場合、軟質合成樹脂として暗い所でも見易い明るい色のものを用いると、暗い所で六面体の辺位置が判りやすくて六面体の輪郭が視認でき手で六面体の辺部分を確実に掴んで持つことができ、また、暗い所を移動する際も、六面体の輪郭が視認できるので、他の物に当てたりするのが防止できる。
【0091】
また、添付図面に示す実施形態においては、少なくとも側板1の外周部の軟質合成樹脂よりなる滑り止め部13(ヒンジ部の側端部)を重複一体化する平坦面部を残して波状縦リブ21を設けてあって上方向からの荷重による側板1の変形防止を行い、また、他のものが衝突した場合の破損防止をおこなっているが、図のような波状縦リブ21に限定されず、縦リブであれば他の形状であってもよい。側板1だけでなく、底片4や蓋片15にもリブを設けてもよい。
【0092】
また、添付図面に示す実施形態においては、偏平に折り畳んだ状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれるようにしたいわゆるボトムロック式の合成樹脂製の折り畳み箱Aの例を説明したが、合成樹脂製の折り畳み箱Aを偏平に折り畳んだ場合に底片4を側板1に対して略面一に連続するように展延するようなタイプのものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図2】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図3】同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図である。
【図4】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図5】同上の折り畳んだ状態の斜視図である。
【図6】同上の図3のX−X線の断面図である。
【図7】同上の図3のY−Y線の断面図である。
【図8】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図9】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図10】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図11】同上の偏平に折り畳んだ状態で上下に多段に積み重ねた状態を示す一部省略拡大断面図である。
【図12】同上の箱半体の成形状態を示す表から見た斜視図である。
【図13】同上の箱半体の成形状態を示す裏から見た斜視図である。
【図14】同上の折り畳み箱を手で持つ一例を示す正面図である。
【図15】同上の折り畳み箱を手で持つ他例を示す斜視図である。
【図16】図12、図13に示す合成樹脂製の箱半体を二色成形するための射出成形金型装置の型閉め状態の断面図である。
【図17】同上の一次射出成形用キャビティ部に一次射出成形により硬質合成樹脂を充填して主体部及びロック部材を成形した状態の射出成形金型装置の断面図である。
【図18】同上の二次射出成形用キャビティ部を形成した段階の射出成形金型装置の断面図である。
【図19】同上の二次射出成形用キャビティ部に二次射出成形により軟質合成樹脂を充填してヒンジ部及び帯材を成形した段階の射出成形金型装置の断面図である。
【図20】同上の複数の一次射出成形用キャビティ部の配置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7 蓋構成部
10 蓋片連結ヒンジ部
13 滑り止め部
15 蓋片
A 折り畳み箱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右の各側面を構成する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるように構成した角筒状側壁構成部と、複数の側板の下辺に底片連結ヒンジ部を介して硬質合成樹脂よりなる底片を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の底面となる底板構成部と、複数の側板の上辺に蓋片連結ヒンジ部を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の上面である蓋となる蓋構成部とを備えた箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となる合成樹脂製の折り畳み箱であって、
上記側板連結ヒンジ部、底片連結ヒンジ部、蓋片連結ヒンジ部が軟質合成樹脂よりなり、上記各ヒンジ部の両端部がそれぞれ硬質合成樹脂よりなる側板、底片、蓋片の外面に面一又は外面から突出するように合成樹脂の二色成形により重複一体化され、上記各ヒンジ部の硬質合成樹脂よりなる側板、底片、蓋片の外面に重複一体化した軟質合成樹脂を六面体の箱に組み立てた状態で六面体の辺を介して直角に隣接する一方又は両方の面の該辺近傍において外方に露出させて滑り止め部とし、該滑り止め部を六面体のすべての辺の近傍に設けて成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
軟質合成樹脂よりなる帯状の滑り止め部が辺の全長又は略全長に沿って設けてあることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項3】
辺の全長又は略全長に沿って設けた軟質合成樹脂よりなる滑り止め部の辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項4】
六面体のコーナ部分の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項5】
4枚の側板の各外面の4辺の近傍にそれぞれ滑り止め部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項6】
側板の外面の4辺の全長にわたって外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を設けると共に側板の外面のコーナ部に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を設けてコーナ部の滑り止め部を介して隣接する辺に沿った滑り止め部を一体に連続させて側板の外面の外周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部を形成して成ることを特徴とする請求項5記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項7】
2つの箱半体を連結して折り畳み箱を形成し、上記箱半体が硬質合成樹脂と軟質合成樹脂との二色成形により一体に成形されたもので、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部により一側端同士を一体に連続した硬質合成樹脂よりなる2つの側板と、上記1又は2つの側板の下辺から軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部を介して一体に連続した底片と、上記1又は2つの側板の上辺から軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部を介して一体に連続した蓋片とを備え、一方の箱半体の2つの側板の他側端部に他方の箱半体の2つの側板の他側端部を折り畳み自在に連結して4つの側板よりなる角筒状側壁構成部を構成し、2つの箱半体に設けた底片により底板構成部を構成し、2つの箱半体に設けた蓋片により蓋構成部を構成して成ることを特徴とする請求項6記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項1】
前後左右の各側面を構成する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるように構成した角筒状側壁構成部と、複数の側板の下辺に底片連結ヒンジ部を介して硬質合成樹脂よりなる底片を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の底面となる底板構成部と、複数の側板の上辺に蓋片連結ヒンジ部を介して硬質合成樹脂よりなる蓋片を折り畳み自在に連結して構成した箱形状に組み立てた状態で箱の上面である蓋となる蓋構成部とを備えた箱形状に組み立てた状態で六面体の箱となる合成樹脂製の折り畳み箱であって、
上記側板連結ヒンジ部、底片連結ヒンジ部、蓋片連結ヒンジ部が軟質合成樹脂よりなり、上記各ヒンジ部の両端部がそれぞれ硬質合成樹脂よりなる側板、底片、蓋片の外面に面一又は外面から突出するように合成樹脂の二色成形により重複一体化され、上記各ヒンジ部の硬質合成樹脂よりなる側板、底片、蓋片の外面に重複一体化した軟質合成樹脂を六面体の箱に組み立てた状態で六面体の辺を介して直角に隣接する一方又は両方の面の該辺近傍において外方に露出させて滑り止め部とし、該滑り止め部を六面体のすべての辺の近傍に設けて成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
軟質合成樹脂よりなる帯状の滑り止め部が辺の全長又は略全長に沿って設けてあることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項3】
辺の全長又は略全長に沿って設けた軟質合成樹脂よりなる滑り止め部の辺の長さ方向の中間部に対応する部分が他の部分よりも広巾となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項4】
六面体のコーナ部分の外面に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項5】
4枚の側板の各外面の4辺の近傍にそれぞれ滑り止め部を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項6】
側板の外面の4辺の全長にわたって外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を設けると共に側板の外面のコーナ部に外方に露出する軟質合成樹脂よりなる滑り止め部を設けてコーナ部の滑り止め部を介して隣接する辺に沿った滑り止め部を一体に連続させて側板の外面の外周の全長にわたってロ字状をした滑り止め部を形成して成ることを特徴とする請求項5記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項7】
2つの箱半体を連結して折り畳み箱を形成し、上記箱半体が硬質合成樹脂と軟質合成樹脂との二色成形により一体に成形されたもので、軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部により一側端同士を一体に連続した硬質合成樹脂よりなる2つの側板と、上記1又は2つの側板の下辺から軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部を介して一体に連続した底片と、上記1又は2つの側板の上辺から軟質合成樹脂よりなる蓋片連結ヒンジ部を介して一体に連続した蓋片とを備え、一方の箱半体の2つの側板の他側端部に他方の箱半体の2つの側板の他側端部を折り畳み自在に連結して4つの側板よりなる角筒状側壁構成部を構成し、2つの箱半体に設けた底片により底板構成部を構成し、2つの箱半体に設けた蓋片により蓋構成部を構成して成ることを特徴とする請求項6記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図8】
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【図16】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−39125(P2007−39125A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276521(P2005−276521)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
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