合成樹脂製の折り畳み箱
【課題】内容物が入っていない状態や、軽い内容物が入っている状態で手で持った際に両側板に外側から内側に向かって力が作用しても、底片が上向きに回動しない。
【解決手段】合成樹脂製の折り畳み箱13である。底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部7aを設ける。箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部5を介して底片4を連結した側板1と直角な角度を介して隣接する側板1の内面下端部に浮き上がり防止突起7bを設ける。箱状に組み立てた状態で上記係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止する。
【解決手段】合成樹脂製の折り畳み箱13である。底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部7aを設ける。箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部5を介して底片4を連結した側板1と直角な角度を介して隣接する側板1の内面下端部に浮き上がり防止突起7bを設ける。箱状に組み立てた状態で上記係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の折り畳み箱と同様に折り畳んだり箱状に組み立てたりすることができる合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱が特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例は、箱形状に組み立てた折り畳み箱を両手で持つ場合、箱を対向する一対の側板と底板構成部の対向する両端部とのなす角部分に両手をかけて両腕で対向する一対の側板を抱くようして持つのが一般的である。このように箱形状に組み立てた折り畳み箱を両手で持つ場合に、内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で、組み立て箱を持つと、両腕で押されるため上記対向する一対の側板に外側から内側に向かって力が加わり、折り畳み箱は折り畳まれようとして底片が底片連結ヒンジ部を中心にして上向きに回動しるように浮き上がろうとし、このため折り畳み箱に剛性がなくなって不安定となることで箱形状を確保することができなくなるという問題があり、しかも、内容物が入っている場合は、内容物が底片で挟まれたり、場合によっては底片間から内容物が脱落するといった問題点がある。
【特許文献1】特開2006−160344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、箱形状に組み立てた状態で、簡単な構成で箱形状の保持ができ、内容物が入っていない状態や、軽い内容物が入っている状態で両手で持つ際に対向する両側板に外側から内側に向かって力が作用しても、底片が上向きに回動しないようにできる合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱13であって、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部7aを設けると共に、箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部5を介して底片4を連結した側板1と直角な角度を介して隣接する側板1の内面下端部に浮き上がり防止突起7bを設け、箱状に組み立てた状態で上記係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止して成ることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成とすることで、段ボール製の折り畳み箱と同様に扁平に折り畳んだり、箱形状に組み立てたりすることができるボトムロック式の合成樹脂製の折り畳み箱13とすることができて、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができるのみらず、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部7aを設けると共に、箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部5を介して底片4を連結した側板1と直角な角度を介して隣接する側板1の内面下端部に浮き上がり防止突起7bを設け、箱状に組み立てた状態で上記係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止するので、箱形状に組み立てた折り畳み箱13を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、対向する一対の側板1に外側から内側に向かって力が加わり、この外側から内側に向けて作用する力で底片4が底片連結ヒンジ部5を中心にして上向きに回動しようとするのを、係止部7aが浮き上がり防止突起7bの下面側に係止することにより防止することができ、この場合、更に、側板1に外側から内側に向かって加わる力が浮き上がり防止突起7bが係止部7aから外れない方向の力として作用し、よりいっそう底片4の浮き上がりを防止することができる。
【0007】
また、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱であって、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板1のうち一方の側板1の端部に4枚の側板1が偏平に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収部8を設け、上記重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する側板1を折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結し、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止突起7dを設け、箱状に組み立てて側板1に対して底片4を直角姿勢とした状態で、係止突起7dを上記小間隙7cに着脱自在に係止して成ることを特徴とするものであってもよい。
【0008】
このような構成とすることで、ダンボール箱と同様に扁平に折り畳んだり、箱形状に組み立てたりすることができ、しかも、折り畳み箱13が合成樹脂製であるにもかかわらず、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収部8により吸収して、無理無く折り畳むことができるボトムロック式の合成樹脂製の折り畳み箱13とすることができて、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができるのみならず、重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する側板1を折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結し、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止突起7dを設け、箱状に組み立てて側板1に対して底片4を直角姿勢とした状態で、係止突起7dを上記小間隙7cに着脱自在に係止するので、箱形状に組み立てた折り畳み箱13を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、対向する一対の側板1に外側から内側に向かって力が加わり、この外側から内側に向けて作用する力で底片4が底片連結ヒンジ部5を中心にして上向きに回動しようとするのを、係止突起7dを上記小間隙7cに係止することにより防止することができ、この場合、更に、側板1に外側から内側に向かって加わる力が係止突起7dが上記小間隙7cから外れない方向の力として作用し、よりいっそう底片4の浮き上がりを防止することができる。しかも、小間隙7cは重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるためのものであり、この小間隙7cを利用して係止突起7dを係止する部材を兼用できて係止突起7dを係止する専用の被係止部を特別に設ける必要がない。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように、箱形状に組み立てた折り畳み箱を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、底片が底片連結ヒンジ部を中心にして上向きに回動しようとするのを、係止部が浮き上がり防止突起の下面側に係止することにより防止することができ、この場合、更に、側板に外側から内側に向かって加わる力が浮き上がり防止突起が係止部から外れない方向の力として作用し、よりいっそう確実に底片の浮き上がりを防止することができ、この結果、合成樹脂製の折り畳み箱を箱状に組み立てた状態における剛性を確保できて箱形状を安定して確保することができ、また、内容物が入っている場合に、内容物が底片で挟まれたり、内容物が底片間から脱落するといったことが生じないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱13は図3に示すように、少なくとも合成樹脂よりなる角筒状側壁構成部3と合成樹脂よりなる底板構成部6とを備えたものである。
【0012】
角筒状側壁構成部3は、図2乃至図6に示すように、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図13に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図12に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0013】
また、上記前後左右の4枚の側板1の下辺から図3、図6に示すようにそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して一体に底片4を連出してあり、この4枚の底片4により底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図12に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0014】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図4に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板1(1a、1b)のうち一方の側板1a(長辺側の側板1a)の端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1と一体に重なり代吸収部8となる柱状突出部を該側板1の高さ方向に沿って立設してある。
【0015】
つまり、長辺側の側板1aの一端部から短辺側の側板1b側に向けて重なり代吸収部8となる柱状突出部が突出しており、重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する短辺側の側板1bを折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結してある(図1、図5参照)。
【0016】
この短辺側の側板1bの内面下端部の上記小間隙7c付近には図1、図5、図8(a)に示すように、浮き上がり防止突起7bが突設してあり、浮き上がり防止突起7bの上面には側板1bの内面から浮き上がり防止突起7bの上面突出先端側に向けて下り傾斜する案内用傾斜リブ29が設けてある。
【0017】
上記重なり代吸収部8は、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。
【0018】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板1a、1bのうち一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部には、箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。
【0019】
そして、図15に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。したがって、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4a、4bは、折り畳み状態、折り畳み状態から箱形状に組み立てる際、箱形状をしている状態、箱形状から折り畳む際、重複片11と底片4aとの結合部分でスライドしながら連結状態を維持し続ける構成となっている。
【0020】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4(底片4a、4b)同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0021】
ここで、上記長辺側の側板1aの下端に底片連結ヒンジ部5を介して連結した底片4aは図5に示すように直角台形状をしており、この底片4aの側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁の先端部(底片連結ヒンジ部5から離れる方向の先端部)付近に係止部7aが設けてあり(図1、図8(a)、図16、図17参照)、この係止部7aは、折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で、前述の短辺側の側板1bの内面下端部に設けた浮き上がり防止突起7bの下面側に係止して底片4aが上方に浮き上がるのを防止するようになっている。この係止部7aとしては上記縁部の一部を係止部7aとしてもよく、また、縁部から外側方に突片を突出して係止突起7aとしてもよい。
【0022】
また、この底片4aの係止部7aを設けた縁部には係止部7aを設ける部分よりも更に先端側に係止突起7dが外側方に向けて突設してあり(図1、図5、図8(b)、図16、図17参照)、この係止突起7dは折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で、前述の重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面との間に形成される折り畳み時の干渉防止用の小間隙7cにはめ込まれて係止することで、底片4aが上方に浮き上がるのを防止するようになっている。
【0023】
また、添付図面に示す実施形態では図2、図4に示すように、1乃至複数の側板1の上辺には蓋連結ヒンジ部10を介して蓋片15が折り畳み自在に連出してある。なお、この蓋片15は設けない場合もある。
【0024】
添付図面に示す実施形態においては、上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱13は合成樹脂の一体成形により形成した図16、図17に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0025】
箱半体12は、図16、図17の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結し、一方の側板1a(長辺側の側板1a)の側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収部8となる柱状突出部を側板1aの側端に沿って突設し、更に、他方の側板1b(短辺側の側板1b)の側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に連結部18を設けてあり、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4a(長辺側の側板1aから連出した底片4a)の隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。
【0026】
短辺側の側板1bの内面下端部の側板連結ヒンジ部2b付近には図16に示すように浮き上がり防止突起7bが突設してある。
【0027】
また、直角台形状をした側板1aの側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁の先端部付近に係止部7aが設けてあり、係止部7aを設けた縁部には更に先端側に係止突起7dが突設してある。
【0028】
添付図面では更に側板1の上辺に蓋連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。
【0029】
上記構成の箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により一体に形成されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、係止部7a、浮き上がり防止突起7b、係止突起7dが、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10の一部または全部が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0030】
上記のように合成樹脂により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた連結部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた連結部18を重ねて連結する。この場合、重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する側板1を折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で連結する。
【0031】
これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0032】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱13を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底板4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱13を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0033】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱13を形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。
【0034】
重なり代吸収部8と側板連結用ヒンジ部2bの先端部に設けた連結部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収部8に重複して連結される連結部18としては、軟質合成樹脂の側板連結用ヒンジ部2bと同様に軟質合成樹脂製であってもよいが、軟質合成樹脂の側板連結用ヒンジ部2bの先端部に硬質合成樹脂の連結部18を設けてもよい(添付図面に示す実施形態では硬質合成樹脂の連結部18を設けたもので、軟質合成樹脂の側板連結用ヒンジ部2bの先端の軟質部分内面又は外面に硬質合成樹脂製の連結部18を重複一体化した例が示してある)。
【0035】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図16、図17に示すように重なり代吸収部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(連結部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。
【0036】
また、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図15に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0037】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱13は4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0038】
本願においては、合成樹脂製の折り畳み箱13を上記のように箱形状に組み立てた状態で、折り畳み箱13の底は図5に示すように、折り畳み箱13の上開口から見て2つの底片4aのみが見えるように構成してある。
【0039】
すなわち、折り畳みに当たって鈍角となるように折り畳まれる隅部の両側の側板1a、1bのうち一方の側板1a(長辺側の側板1a)の下辺に底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4aは、図16、図17に示すように、底片連結ヒンジ部5に沿って連続する直角台形状をした直角台形片部21と略平行四辺形状をした段落ち重複片部22とで構成してある。
【0040】
直角台形片部21は直角台形状をしており、その下底(つまり直角台形の下底)が底片連結ヒンジ部5に沿っており、また、直角台形片部21はその下底の一端が側板1aの下辺の鈍角となるように折り畳まれる隅部側の端部に位置して上記直角台形片部21の垂直辺が側板1aの下辺の鈍角となるように折り畳まれる隅部側の端部に位置すると共に該垂直辺の長さを上記隅部の両側の側板1a、1bのうち他方の側板1bの下辺の長さに等しくし設定してある。直角台形片部21の下底の他端(つまり直角台形の下底と斜辺とが交わる点)は側板1aの他端(実施形態では重なり代吸収部8側の端部)から側板1aの一端側に所定寸法ずれて位置している。また、直角台形片部21の斜辺は下底に対して45°の傾斜となっている。
【0041】
直角台形片部21の斜辺から段落ち重複片部22が一体に連設してあり、この段落ち重複片部22は略平行四辺形状をしていて略平行四辺形の鈍角を挟んだ一辺が直角台形片部21の斜辺の底片連結ヒンジ部5側の端部から全長さの1/2の部分までの範囲で一体に連出してあり、略平行四辺形状をした段落ち重複片部22も略平行四辺形の鈍角を挟んだ他辺が底片連結ヒンジ部5を介して側板1aに折りたたみ自在に連結してある。段落ち重複片部22の上面は直角台形片部21の上面よりも下方に段落ちしている。
【0042】
段落ち重複片部22の直角台形片部21の斜辺と対向する斜辺から傾斜ヒンジ部9を介して直角二等辺三角形状をした重複片11が連出してある。
【0043】
段落ち重複片部22の一側縁部とこれと対向する重複片11の一側縁部とを傾斜ヒンジ部9で連結してあるが、段落ち重複片部22の一側縁部の底片連結ヒンジ部5から離れた方の端部付近の一部及びこれと対向する重複片11の一側縁部の端部付近の一部は傾斜ヒンジ部9で連結しない部分となっており、この対向する両側縁部のうち傾斜ヒンジ部9で連結しない部分は傾斜ヒンジ部9の折り畳み中心線の延長線上において互いに当接又は小間隙を介して対向している。
【0044】
直角二等辺三角形状をした重複片11の直角を挟む2辺のうち一辺は図16、図17に示すように展開状態で略平行四辺形状をした段落ち重複片部22の底片連結ヒンジ部5と対向する辺と一直線となるように設定してあり、また、直角二等辺三角形状をした重複片11の直角を挟む2辺のうち他の1辺は展開状態で重なり代吸収部8の内面と平面視で略一直線状となるように設定してある。
【0045】
直角台形片部21の下面側は下面のレベルが異なる3つの部位に区分される。一つは箱形状に組み立てた状態で下面側に露出する部位21aで、段落ち重複片部22に隣接した部位で段落ち重複片部22下面と同じレベルとなっている。他の一つは箱形状に組み立てた状態で下面側に重複片11の上面が重なる部位21bで、この部位21bの下面は上記部位21aの下面よりも上方に位置している。更に他の一つは箱形状に組み立てた状態で底片4bの重複片11と重複していない部位の上面が重なる部位21cで、この部位21c下面は上記部位21aの下面よりも上方に位置し且つ上記部位21bの下面より下方に位置している。下面側において上記のようにレベルの異なる3つの部位を形成するには、例えば図11に示すように直角台形片部21の下面に垂下長の異なる底リブ28a、28bを垂設することで、垂下長の長い底リブ28aを垂設した部位を箱形状に組み立てた状態で最もレベルが低い下面側に露出する部位21aとし、垂下長の短い底リブ28bを垂設した部位を箱形状に組み立てた状態で次にレベルが低い底片4bの重複片11と重複していない部位の上面が重なる部位21cとし、底リブを垂設しない部位又は最も垂下長さの短い底リブを垂設した部位を箱形状に組み立てた状態で最もレベルが高い下面側に重複片11の上面が重なる部位21bとしている。図11には上記直角台形片部21の下面の3段の段差となった3つの部位21a、21b、21cの下端の位置関係の関係を示している。
【0046】
上記部位21aの下端と部位21cの下端とのレベル差は底片4bの厚みと同一又は略等しくなっており、部位21aの下端と部位21bの下端とのレベル差は底片4bの厚みと重複片11の厚みとの合計と同一又は略等しくなっている。また、部位21aの下端と部位21bの下端とのレベル差は段落ち重複片部22の厚みと同一又は略等しくなっている。
【0047】
そして、折り畳み箱13を箱形状に組み立てて上記のように2つの直角台形片部21の斜辺同士を当接又は近接させて2つの直角台形片部21の上面を面一に連続させて箱の上開口から見た場合の底面を形成した状態で、図9に示すように、一方の直角台形片部21の下面の部位21bに、この底片4aと対向する別の底片4aの段落ち重複片部22と傾斜ヒンジ部9と重複片11が嵌り込んでそれぞれ直角台形片部21の下面の部位21bに重複する。ここで、重複片11の下面側には底片4bの片側半分が重複し、該底片4bの下面が底片4aの段落ち重複片部22の下面と面一(つまり同一レベル)となる。
【0048】
また、図10に示すように、直角台形片部21の下面の部位21cには底片4bの重複片11と重複していない片側半部の上面が重なり、底片4bの重複片11と重複していない片側半部の下面が底片4aの直角台形片部21の下面の露出する部位21aと面一(つまり同一レベル)となる。
【0049】
このようにして折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で、折り畳み箱13の底は図5に示すように、折り畳み箱13の上開口から見て2つの底片4aのみが見えるようになる。
【0050】
この場合、図1、図5、図8に示すように、底片4aに設けた係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止し、また、係止突起7dが重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面との間の小間隙7cに嵌まり込んで係止される。
【0051】
このように係止部7aが浮き上がり防止突起7bの下面側に係止し、また、係止突起7dが小間隙7cに嵌まり込んで係止することで、箱形状に組み立てた折り畳み箱13を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、対向する一対の短辺側の側板1aに外側から内側に向かって力が加わっても、この外側から内側に向けて作用する力(図1においてFで示す)により底片4が底片連結ヒンジ部5を中心にして図1の矢印イのように上向きに回動しようとするのを防止することができる。この結果、合成樹脂製の折り畳み箱13を箱状に組み立てた状態における剛性を確保できて箱形状を安定して確保することができ、また、内容物が入っている場合に、内容物が底片4で挟まれたり、内容物が底片4間から脱落するといったことが生じない。
【0052】
ここで、2つの箱半体12にはいずれも、箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により係止部7a、浮き上がり防止突起7b、係止突起7d、小間隙7cを有するように一体に形成されており、しかも、各箱半体12に設けた係止部7a、係止突起7dはそれぞれ同じ箱半体12に設けた浮き上がり防止突起7b、小間隙7cに係止するようになっており、このため、2つの箱半体12を組み合わせ結合して組み立て箱13を形成しているにもかかわらず、1つの箱半体12における係止部7aと浮き上がり防止突起7bとの位置関係、係止突起7dと小間隙7cとの位置関係を正確な位置関係となるように成形でき、この結果、2つの箱半体12を組み合わせ結合した際に組み立て誤差が生じても、この誤差に関係なく、係止部7aと浮き上がり防止突起7bとの係止、係止突起7dと小間隙7cとの係止が確実にできる。
【0053】
また、側板連結ヒンジ部2が軟質合成樹脂製であると、小間隙7cの奥底が軟質合成樹脂製の側板連結ヒンジ部2により構成されることとなって、小間隙7cの幅の多少の広がりが可能で、小間隙7cの位置や幅寸法、係止突起7dの位置が大きさに多少の寸法誤差が寸法誤差が生じていてもこれらの寸法誤差を吸収して確実に係止突起7dを小間隙7cに係止することができる。
【0054】
上記した添付図面に示す実施形態では、係止部7aと浮き上がり防止突起7bとの係止、係止突起7dと小間隙7cとの係止の双方により底片4aの浮き上がりを防止しているが、係止部7aと浮き上がり防止突起7bとによる係止、又は、係止突起7dと小間隙7cとの係止のいずから一方のみの係止であってもよい。
【0055】
なお、添付図面に示す実施形態においては、箱形状に組み立てた状態で重複片11にスライド自在に結合した底片4bの底片連結ヒンジ部5から離れた方の先端部を隣接する他の底片4に支持させる支持手段14を設けてあり、添付面に示す実施形態では、底片4bの先端部に底片4bと平行な被支持片14aを設け、隣接する他の底片4aに上記被支持片14aの下面を支持するための支持部14bを設け、被支持片14aと支持部14bとで支持手段14を構成している。図14に示すように、折り畳み箱13を折り畳むことで上記被支持片14aの下面の支持部14bへの支持が解除される。
【0056】
このようにして折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で重複片11の下面側に重複した状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合した底片4bの先端部を被支持片14aと支持部14bとよりなる支持手段14により両側に隣接する各底片4aに支持させるようになっていて、組み立て状態で荷重を受けても底片4bの先端部が下方に撓まないようになっており、スライド結合手段17部分に大きな荷重が作用してこの部分が損傷しないようになっている。
【0057】
また、箱の底の上面及び下面はいずれも段差のない面一状態となり、箱の底の上面は2つの直角台形片部21の斜辺同士を当接又は近接させて2つの直角台形片部21の上面を面一に連続させて形成してあるので、箱の内面を見た場合の底が綺麗で、収納物を入れた場合に引っ掛かったりせず、また、底片4bの先端が下方に撓まないので下面にも他の物が引っ掛かったりせず、取り扱いが容易となる。
【0058】
ここで、図示を省略しているが、箱形状に組み立てた状態で、対向する底片4aの一部と底片4aの一部とが上下に重複する部分、隣接する底片4aの一部と底片4b一部とが上下に重複する部分において、対向する底片4a、4a同士、隣接する底片4a、4b同士が面方向にずれるのを防止する手段を設けてもよい。このものは例えば、上記重複する底片4の一方側に嵌め込み部を、他方側に被嵌め込み部を設け、組み立てて底片4の一部同士を上下に重複する際に、上下方向からの嵌め込み操作により嵌め込み部を被嵌め込み部に嵌め込み、これにより底片4同士が面方向にずれるのを防止する。このように箱形状に組み立てた状態で底片4同士が面方向にずれるのを防止して底板構成部6が平面視で長方形又は正方形に保持されるので、被支持片14aの下面が支持部14bで支持されている状態を維持できることになる。
【0059】
なお、添付図面に示す実施形態においては、合成樹脂製の2つのパーツ(すなわち2つの箱半体12)を組み合わせ結合して合成樹脂製の折り畳み箱13を形成した例を示したが、合成樹脂製の3つ以上のパーツを組み合わせ結合して合成樹脂製の折り畳み箱13を形成してもよい。また、折り畳み箱13全体を合成樹脂製の1パーツで形成し、これを組み立ててもよい。
【0060】
ところで、添付図面に示す実施形態では、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10の一部又は全部を軟質合成樹脂により形成した例を示したが、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10を側板1や底片4、重複片11等と同じ硬質合成樹脂製の薄肉ヒンジ部として側板1や底片4等と一体に形成してもよい。
【0061】
また、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10等を側板1、底片4、重複片11、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10等を一体に形成することなく別々に形成し、上記別体の各ヒンジ部を介して連結手段により側板1同士、側板1と底片4、底片4と重複片11をそれぞれ折り畳み自在に連結してもよい。この場合は上記各ヒンジ部が合成樹脂製であっても金属製であってもよい。
【0062】
なお、蓋片15を設けた場合、折り畳み箱13を折りたたんで扁平にした状態で、各蓋片15が各側板1と平行に面一となるようにするが、蓋片15を側板1の内面に沿って重ねるように内側に折り畳んだりするものであってもよい。
【0063】
収納物を入れない非使用時には、図2、図3、図5、図6のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図13に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図12に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。この場合、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の要部斜視図である。
【図2】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図3】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図4】同上の折り畳んだ状態の斜視図である。
【図5】同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図である。
【図6】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図7】同上の図5のX−X線の断面図である。
【図8】(a)は同上の係止部が浮き上がり防止突起の下面側に係止している状態を示す断面図であり、(b)は係止突起が上記小間隙に嵌まり込んで係止している状態を示す平面図である。
【図9】(a)は同上の図6のY1−Y1線の断面図であり、(b)は同上のY2−Y2線の断面図である。
【図10】(a)は同上の図6のZ1−Z1線の断面図であり、(b)は同上のZ2−Z2線の断面図である。
【図11】同上の直角台形片部の下面が3段の段差となっていることを示す断面図である。
【図12】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図13】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図14】同上の折り畳んだ状態において被係止片が傾斜ヒンジ部の折り畳み中心線の延長線を越えて突出している状態を示す斜視図である。
【図15】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図16】同上の箱半体の展開状態を示す上から見た斜視図である。
【図17】同上の箱半体の展開状態を示す下から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
3 角筒状側壁構成部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7a 係止部
7b 浮き上がり防止突起
7c 小間隙
7d 係止突起
8 重なり代吸収部
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の折り畳み箱と同様に折り畳んだり箱状に組み立てたりすることができる合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱が特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例は、箱形状に組み立てた折り畳み箱を両手で持つ場合、箱を対向する一対の側板と底板構成部の対向する両端部とのなす角部分に両手をかけて両腕で対向する一対の側板を抱くようして持つのが一般的である。このように箱形状に組み立てた折り畳み箱を両手で持つ場合に、内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で、組み立て箱を持つと、両腕で押されるため上記対向する一対の側板に外側から内側に向かって力が加わり、折り畳み箱は折り畳まれようとして底片が底片連結ヒンジ部を中心にして上向きに回動しるように浮き上がろうとし、このため折り畳み箱に剛性がなくなって不安定となることで箱形状を確保することができなくなるという問題があり、しかも、内容物が入っている場合は、内容物が底片で挟まれたり、場合によっては底片間から内容物が脱落するといった問題点がある。
【特許文献1】特開2006−160344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、箱形状に組み立てた状態で、簡単な構成で箱形状の保持ができ、内容物が入っていない状態や、軽い内容物が入っている状態で両手で持つ際に対向する両側板に外側から内側に向かって力が作用しても、底片が上向きに回動しないようにできる合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱13であって、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部7aを設けると共に、箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部5を介して底片4を連結した側板1と直角な角度を介して隣接する側板1の内面下端部に浮き上がり防止突起7bを設け、箱状に組み立てた状態で上記係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止して成ることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成とすることで、段ボール製の折り畳み箱と同様に扁平に折り畳んだり、箱形状に組み立てたりすることができるボトムロック式の合成樹脂製の折り畳み箱13とすることができて、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができるのみらず、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部7aを設けると共に、箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部5を介して底片4を連結した側板1と直角な角度を介して隣接する側板1の内面下端部に浮き上がり防止突起7bを設け、箱状に組み立てた状態で上記係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止するので、箱形状に組み立てた折り畳み箱13を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、対向する一対の側板1に外側から内側に向かって力が加わり、この外側から内側に向けて作用する力で底片4が底片連結ヒンジ部5を中心にして上向きに回動しようとするのを、係止部7aが浮き上がり防止突起7bの下面側に係止することにより防止することができ、この場合、更に、側板1に外側から内側に向かって加わる力が浮き上がり防止突起7bが係止部7aから外れない方向の力として作用し、よりいっそう底片4の浮き上がりを防止することができる。
【0007】
また、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱であって、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板1のうち一方の側板1の端部に4枚の側板1が偏平に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収部8を設け、上記重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する側板1を折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結し、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止突起7dを設け、箱状に組み立てて側板1に対して底片4を直角姿勢とした状態で、係止突起7dを上記小間隙7cに着脱自在に係止して成ることを特徴とするものであってもよい。
【0008】
このような構成とすることで、ダンボール箱と同様に扁平に折り畳んだり、箱形状に組み立てたりすることができ、しかも、折り畳み箱13が合成樹脂製であるにもかかわらず、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収部8により吸収して、無理無く折り畳むことができるボトムロック式の合成樹脂製の折り畳み箱13とすることができて、強度が強く、耐久性に富み、汚れ難く、洗浄ができるので何度でも再利用ができて経済的で且つ省資源化を図ることができるのみならず、重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する側板1を折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結し、底片4の側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止突起7dを設け、箱状に組み立てて側板1に対して底片4を直角姿勢とした状態で、係止突起7dを上記小間隙7cに着脱自在に係止するので、箱形状に組み立てた折り畳み箱13を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、対向する一対の側板1に外側から内側に向かって力が加わり、この外側から内側に向けて作用する力で底片4が底片連結ヒンジ部5を中心にして上向きに回動しようとするのを、係止突起7dを上記小間隙7cに係止することにより防止することができ、この場合、更に、側板1に外側から内側に向かって加わる力が係止突起7dが上記小間隙7cから外れない方向の力として作用し、よりいっそう底片4の浮き上がりを防止することができる。しかも、小間隙7cは重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるためのものであり、この小間隙7cを利用して係止突起7dを係止する部材を兼用できて係止突起7dを係止する専用の被係止部を特別に設ける必要がない。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように、箱形状に組み立てた折り畳み箱を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、底片が底片連結ヒンジ部を中心にして上向きに回動しようとするのを、係止部が浮き上がり防止突起の下面側に係止することにより防止することができ、この場合、更に、側板に外側から内側に向かって加わる力が浮き上がり防止突起が係止部から外れない方向の力として作用し、よりいっそう確実に底片の浮き上がりを防止することができ、この結果、合成樹脂製の折り畳み箱を箱状に組み立てた状態における剛性を確保できて箱形状を安定して確保することができ、また、内容物が入っている場合に、内容物が底片で挟まれたり、内容物が底片間から脱落するといったことが生じないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱13は図3に示すように、少なくとも合成樹脂よりなる角筒状側壁構成部3と合成樹脂よりなる底板構成部6とを備えたものである。
【0012】
角筒状側壁構成部3は、図2乃至図6に示すように、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図13に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図12に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0013】
また、上記前後左右の4枚の側板1の下辺から図3、図6に示すようにそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して一体に底片4を連出してあり、この4枚の底片4により底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図12に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0014】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図4に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板1(1a、1b)のうち一方の側板1a(長辺側の側板1a)の端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1と一体に重なり代吸収部8となる柱状突出部を該側板1の高さ方向に沿って立設してある。
【0015】
つまり、長辺側の側板1aの一端部から短辺側の側板1b側に向けて重なり代吸収部8となる柱状突出部が突出しており、重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する短辺側の側板1bを折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結してある(図1、図5参照)。
【0016】
この短辺側の側板1bの内面下端部の上記小間隙7c付近には図1、図5、図8(a)に示すように、浮き上がり防止突起7bが突設してあり、浮き上がり防止突起7bの上面には側板1bの内面から浮き上がり防止突起7bの上面突出先端側に向けて下り傾斜する案内用傾斜リブ29が設けてある。
【0017】
上記重なり代吸収部8は、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。
【0018】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板1a、1bのうち一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部には、箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。
【0019】
そして、図15に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。したがって、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4a、4bは、折り畳み状態、折り畳み状態から箱形状に組み立てる際、箱形状をしている状態、箱形状から折り畳む際、重複片11と底片4aとの結合部分でスライドしながら連結状態を維持し続ける構成となっている。
【0020】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4(底片4a、4b)同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0021】
ここで、上記長辺側の側板1aの下端に底片連結ヒンジ部5を介して連結した底片4aは図5に示すように直角台形状をしており、この底片4aの側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁の先端部(底片連結ヒンジ部5から離れる方向の先端部)付近に係止部7aが設けてあり(図1、図8(a)、図16、図17参照)、この係止部7aは、折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で、前述の短辺側の側板1bの内面下端部に設けた浮き上がり防止突起7bの下面側に係止して底片4aが上方に浮き上がるのを防止するようになっている。この係止部7aとしては上記縁部の一部を係止部7aとしてもよく、また、縁部から外側方に突片を突出して係止突起7aとしてもよい。
【0022】
また、この底片4aの係止部7aを設けた縁部には係止部7aを設ける部分よりも更に先端側に係止突起7dが外側方に向けて突設してあり(図1、図5、図8(b)、図16、図17参照)、この係止突起7dは折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で、前述の重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面との間に形成される折り畳み時の干渉防止用の小間隙7cにはめ込まれて係止することで、底片4aが上方に浮き上がるのを防止するようになっている。
【0023】
また、添付図面に示す実施形態では図2、図4に示すように、1乃至複数の側板1の上辺には蓋連結ヒンジ部10を介して蓋片15が折り畳み自在に連出してある。なお、この蓋片15は設けない場合もある。
【0024】
添付図面に示す実施形態においては、上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱13は合成樹脂の一体成形により形成した図16、図17に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0025】
箱半体12は、図16、図17の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結し、一方の側板1a(長辺側の側板1a)の側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収部8となる柱状突出部を側板1aの側端に沿って突設し、更に、他方の側板1b(短辺側の側板1b)の側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に連結部18を設けてあり、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4a(長辺側の側板1aから連出した底片4a)の隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。
【0026】
短辺側の側板1bの内面下端部の側板連結ヒンジ部2b付近には図16に示すように浮き上がり防止突起7bが突設してある。
【0027】
また、直角台形状をした側板1aの側縁のうち底片連結ヒンジ部5と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁の先端部付近に係止部7aが設けてあり、係止部7aを設けた縁部には更に先端側に係止突起7dが突設してある。
【0028】
添付図面では更に側板1の上辺に蓋連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。
【0029】
上記構成の箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により一体に形成されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、係止部7a、浮き上がり防止突起7b、係止突起7dが、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10の一部または全部が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0030】
上記のように合成樹脂により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた連結部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた連結部18を重ねて連結する。この場合、重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面との間に、重なり代吸収部8に対して隣接する側板1を折り畳んだ際に重なり代吸収部8の側端面と隣接する側板1の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙7cを介して重なり代吸収部8の外面側と隣接する側板1の外面側とを軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で連結する。
【0031】
これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0032】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱13を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底板4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱13を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0033】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱13を形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。
【0034】
重なり代吸収部8と側板連結用ヒンジ部2bの先端部に設けた連結部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収部8に重複して連結される連結部18としては、軟質合成樹脂の側板連結用ヒンジ部2bと同様に軟質合成樹脂製であってもよいが、軟質合成樹脂の側板連結用ヒンジ部2bの先端部に硬質合成樹脂の連結部18を設けてもよい(添付図面に示す実施形態では硬質合成樹脂の連結部18を設けたもので、軟質合成樹脂の側板連結用ヒンジ部2bの先端の軟質部分内面又は外面に硬質合成樹脂製の連結部18を重複一体化した例が示してある)。
【0035】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図16、図17に示すように重なり代吸収部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(連結部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。
【0036】
また、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図15に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0037】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱13は4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0038】
本願においては、合成樹脂製の折り畳み箱13を上記のように箱形状に組み立てた状態で、折り畳み箱13の底は図5に示すように、折り畳み箱13の上開口から見て2つの底片4aのみが見えるように構成してある。
【0039】
すなわち、折り畳みに当たって鈍角となるように折り畳まれる隅部の両側の側板1a、1bのうち一方の側板1a(長辺側の側板1a)の下辺に底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4aは、図16、図17に示すように、底片連結ヒンジ部5に沿って連続する直角台形状をした直角台形片部21と略平行四辺形状をした段落ち重複片部22とで構成してある。
【0040】
直角台形片部21は直角台形状をしており、その下底(つまり直角台形の下底)が底片連結ヒンジ部5に沿っており、また、直角台形片部21はその下底の一端が側板1aの下辺の鈍角となるように折り畳まれる隅部側の端部に位置して上記直角台形片部21の垂直辺が側板1aの下辺の鈍角となるように折り畳まれる隅部側の端部に位置すると共に該垂直辺の長さを上記隅部の両側の側板1a、1bのうち他方の側板1bの下辺の長さに等しくし設定してある。直角台形片部21の下底の他端(つまり直角台形の下底と斜辺とが交わる点)は側板1aの他端(実施形態では重なり代吸収部8側の端部)から側板1aの一端側に所定寸法ずれて位置している。また、直角台形片部21の斜辺は下底に対して45°の傾斜となっている。
【0041】
直角台形片部21の斜辺から段落ち重複片部22が一体に連設してあり、この段落ち重複片部22は略平行四辺形状をしていて略平行四辺形の鈍角を挟んだ一辺が直角台形片部21の斜辺の底片連結ヒンジ部5側の端部から全長さの1/2の部分までの範囲で一体に連出してあり、略平行四辺形状をした段落ち重複片部22も略平行四辺形の鈍角を挟んだ他辺が底片連結ヒンジ部5を介して側板1aに折りたたみ自在に連結してある。段落ち重複片部22の上面は直角台形片部21の上面よりも下方に段落ちしている。
【0042】
段落ち重複片部22の直角台形片部21の斜辺と対向する斜辺から傾斜ヒンジ部9を介して直角二等辺三角形状をした重複片11が連出してある。
【0043】
段落ち重複片部22の一側縁部とこれと対向する重複片11の一側縁部とを傾斜ヒンジ部9で連結してあるが、段落ち重複片部22の一側縁部の底片連結ヒンジ部5から離れた方の端部付近の一部及びこれと対向する重複片11の一側縁部の端部付近の一部は傾斜ヒンジ部9で連結しない部分となっており、この対向する両側縁部のうち傾斜ヒンジ部9で連結しない部分は傾斜ヒンジ部9の折り畳み中心線の延長線上において互いに当接又は小間隙を介して対向している。
【0044】
直角二等辺三角形状をした重複片11の直角を挟む2辺のうち一辺は図16、図17に示すように展開状態で略平行四辺形状をした段落ち重複片部22の底片連結ヒンジ部5と対向する辺と一直線となるように設定してあり、また、直角二等辺三角形状をした重複片11の直角を挟む2辺のうち他の1辺は展開状態で重なり代吸収部8の内面と平面視で略一直線状となるように設定してある。
【0045】
直角台形片部21の下面側は下面のレベルが異なる3つの部位に区分される。一つは箱形状に組み立てた状態で下面側に露出する部位21aで、段落ち重複片部22に隣接した部位で段落ち重複片部22下面と同じレベルとなっている。他の一つは箱形状に組み立てた状態で下面側に重複片11の上面が重なる部位21bで、この部位21bの下面は上記部位21aの下面よりも上方に位置している。更に他の一つは箱形状に組み立てた状態で底片4bの重複片11と重複していない部位の上面が重なる部位21cで、この部位21c下面は上記部位21aの下面よりも上方に位置し且つ上記部位21bの下面より下方に位置している。下面側において上記のようにレベルの異なる3つの部位を形成するには、例えば図11に示すように直角台形片部21の下面に垂下長の異なる底リブ28a、28bを垂設することで、垂下長の長い底リブ28aを垂設した部位を箱形状に組み立てた状態で最もレベルが低い下面側に露出する部位21aとし、垂下長の短い底リブ28bを垂設した部位を箱形状に組み立てた状態で次にレベルが低い底片4bの重複片11と重複していない部位の上面が重なる部位21cとし、底リブを垂設しない部位又は最も垂下長さの短い底リブを垂設した部位を箱形状に組み立てた状態で最もレベルが高い下面側に重複片11の上面が重なる部位21bとしている。図11には上記直角台形片部21の下面の3段の段差となった3つの部位21a、21b、21cの下端の位置関係の関係を示している。
【0046】
上記部位21aの下端と部位21cの下端とのレベル差は底片4bの厚みと同一又は略等しくなっており、部位21aの下端と部位21bの下端とのレベル差は底片4bの厚みと重複片11の厚みとの合計と同一又は略等しくなっている。また、部位21aの下端と部位21bの下端とのレベル差は段落ち重複片部22の厚みと同一又は略等しくなっている。
【0047】
そして、折り畳み箱13を箱形状に組み立てて上記のように2つの直角台形片部21の斜辺同士を当接又は近接させて2つの直角台形片部21の上面を面一に連続させて箱の上開口から見た場合の底面を形成した状態で、図9に示すように、一方の直角台形片部21の下面の部位21bに、この底片4aと対向する別の底片4aの段落ち重複片部22と傾斜ヒンジ部9と重複片11が嵌り込んでそれぞれ直角台形片部21の下面の部位21bに重複する。ここで、重複片11の下面側には底片4bの片側半分が重複し、該底片4bの下面が底片4aの段落ち重複片部22の下面と面一(つまり同一レベル)となる。
【0048】
また、図10に示すように、直角台形片部21の下面の部位21cには底片4bの重複片11と重複していない片側半部の上面が重なり、底片4bの重複片11と重複していない片側半部の下面が底片4aの直角台形片部21の下面の露出する部位21aと面一(つまり同一レベル)となる。
【0049】
このようにして折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で、折り畳み箱13の底は図5に示すように、折り畳み箱13の上開口から見て2つの底片4aのみが見えるようになる。
【0050】
この場合、図1、図5、図8に示すように、底片4aに設けた係止部7aが浮き上がり防止突起7bを乗り越えて浮き上がり防止突起7bの下面側に係止し、また、係止突起7dが重なり代吸収部8の側端面と隣接する短辺側の側板1bの側端面との間の小間隙7cに嵌まり込んで係止される。
【0051】
このように係止部7aが浮き上がり防止突起7bの下面側に係止し、また、係止突起7dが小間隙7cに嵌まり込んで係止することで、箱形状に組み立てた折り畳み箱13を内部に収納物が入っていない状態又は軽い内容物を収納した状態で両手で抱えるようにして持った場合に、対向する一対の短辺側の側板1aに外側から内側に向かって力が加わっても、この外側から内側に向けて作用する力(図1においてFで示す)により底片4が底片連結ヒンジ部5を中心にして図1の矢印イのように上向きに回動しようとするのを防止することができる。この結果、合成樹脂製の折り畳み箱13を箱状に組み立てた状態における剛性を確保できて箱形状を安定して確保することができ、また、内容物が入っている場合に、内容物が底片4で挟まれたり、内容物が底片4間から脱落するといったことが生じない。
【0052】
ここで、2つの箱半体12にはいずれも、箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により係止部7a、浮き上がり防止突起7b、係止突起7d、小間隙7cを有するように一体に形成されており、しかも、各箱半体12に設けた係止部7a、係止突起7dはそれぞれ同じ箱半体12に設けた浮き上がり防止突起7b、小間隙7cに係止するようになっており、このため、2つの箱半体12を組み合わせ結合して組み立て箱13を形成しているにもかかわらず、1つの箱半体12における係止部7aと浮き上がり防止突起7bとの位置関係、係止突起7dと小間隙7cとの位置関係を正確な位置関係となるように成形でき、この結果、2つの箱半体12を組み合わせ結合した際に組み立て誤差が生じても、この誤差に関係なく、係止部7aと浮き上がり防止突起7bとの係止、係止突起7dと小間隙7cとの係止が確実にできる。
【0053】
また、側板連結ヒンジ部2が軟質合成樹脂製であると、小間隙7cの奥底が軟質合成樹脂製の側板連結ヒンジ部2により構成されることとなって、小間隙7cの幅の多少の広がりが可能で、小間隙7cの位置や幅寸法、係止突起7dの位置が大きさに多少の寸法誤差が寸法誤差が生じていてもこれらの寸法誤差を吸収して確実に係止突起7dを小間隙7cに係止することができる。
【0054】
上記した添付図面に示す実施形態では、係止部7aと浮き上がり防止突起7bとの係止、係止突起7dと小間隙7cとの係止の双方により底片4aの浮き上がりを防止しているが、係止部7aと浮き上がり防止突起7bとによる係止、又は、係止突起7dと小間隙7cとの係止のいずから一方のみの係止であってもよい。
【0055】
なお、添付図面に示す実施形態においては、箱形状に組み立てた状態で重複片11にスライド自在に結合した底片4bの底片連結ヒンジ部5から離れた方の先端部を隣接する他の底片4に支持させる支持手段14を設けてあり、添付面に示す実施形態では、底片4bの先端部に底片4bと平行な被支持片14aを設け、隣接する他の底片4aに上記被支持片14aの下面を支持するための支持部14bを設け、被支持片14aと支持部14bとで支持手段14を構成している。図14に示すように、折り畳み箱13を折り畳むことで上記被支持片14aの下面の支持部14bへの支持が解除される。
【0056】
このようにして折り畳み箱13を箱形状に組み立てた状態で重複片11の下面側に重複した状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合した底片4bの先端部を被支持片14aと支持部14bとよりなる支持手段14により両側に隣接する各底片4aに支持させるようになっていて、組み立て状態で荷重を受けても底片4bの先端部が下方に撓まないようになっており、スライド結合手段17部分に大きな荷重が作用してこの部分が損傷しないようになっている。
【0057】
また、箱の底の上面及び下面はいずれも段差のない面一状態となり、箱の底の上面は2つの直角台形片部21の斜辺同士を当接又は近接させて2つの直角台形片部21の上面を面一に連続させて形成してあるので、箱の内面を見た場合の底が綺麗で、収納物を入れた場合に引っ掛かったりせず、また、底片4bの先端が下方に撓まないので下面にも他の物が引っ掛かったりせず、取り扱いが容易となる。
【0058】
ここで、図示を省略しているが、箱形状に組み立てた状態で、対向する底片4aの一部と底片4aの一部とが上下に重複する部分、隣接する底片4aの一部と底片4b一部とが上下に重複する部分において、対向する底片4a、4a同士、隣接する底片4a、4b同士が面方向にずれるのを防止する手段を設けてもよい。このものは例えば、上記重複する底片4の一方側に嵌め込み部を、他方側に被嵌め込み部を設け、組み立てて底片4の一部同士を上下に重複する際に、上下方向からの嵌め込み操作により嵌め込み部を被嵌め込み部に嵌め込み、これにより底片4同士が面方向にずれるのを防止する。このように箱形状に組み立てた状態で底片4同士が面方向にずれるのを防止して底板構成部6が平面視で長方形又は正方形に保持されるので、被支持片14aの下面が支持部14bで支持されている状態を維持できることになる。
【0059】
なお、添付図面に示す実施形態においては、合成樹脂製の2つのパーツ(すなわち2つの箱半体12)を組み合わせ結合して合成樹脂製の折り畳み箱13を形成した例を示したが、合成樹脂製の3つ以上のパーツを組み合わせ結合して合成樹脂製の折り畳み箱13を形成してもよい。また、折り畳み箱13全体を合成樹脂製の1パーツで形成し、これを組み立ててもよい。
【0060】
ところで、添付図面に示す実施形態では、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10の一部又は全部を軟質合成樹脂により形成した例を示したが、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10を側板1や底片4、重複片11等と同じ硬質合成樹脂製の薄肉ヒンジ部として側板1や底片4等と一体に形成してもよい。
【0061】
また、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10等を側板1、底片4、重複片11、側板連結ヒンジ部2、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋連結ヒンジ部10等を一体に形成することなく別々に形成し、上記別体の各ヒンジ部を介して連結手段により側板1同士、側板1と底片4、底片4と重複片11をそれぞれ折り畳み自在に連結してもよい。この場合は上記各ヒンジ部が合成樹脂製であっても金属製であってもよい。
【0062】
なお、蓋片15を設けた場合、折り畳み箱13を折りたたんで扁平にした状態で、各蓋片15が各側板1と平行に面一となるようにするが、蓋片15を側板1の内面に沿って重ねるように内側に折り畳んだりするものであってもよい。
【0063】
収納物を入れない非使用時には、図2、図3、図5、図6のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図13に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図12に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。この場合、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の要部斜視図である。
【図2】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図3】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図4】同上の折り畳んだ状態の斜視図である。
【図5】同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図である。
【図6】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図7】同上の図5のX−X線の断面図である。
【図8】(a)は同上の係止部が浮き上がり防止突起の下面側に係止している状態を示す断面図であり、(b)は係止突起が上記小間隙に嵌まり込んで係止している状態を示す平面図である。
【図9】(a)は同上の図6のY1−Y1線の断面図であり、(b)は同上のY2−Y2線の断面図である。
【図10】(a)は同上の図6のZ1−Z1線の断面図であり、(b)は同上のZ2−Z2線の断面図である。
【図11】同上の直角台形片部の下面が3段の段差となっていることを示す断面図である。
【図12】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図13】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図14】同上の折り畳んだ状態において被係止片が傾斜ヒンジ部の折り畳み中心線の延長線を越えて突出している状態を示す斜視図である。
【図15】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図16】同上の箱半体の展開状態を示す上から見た斜視図である。
【図17】同上の箱半体の展開状態を示す下から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
3 角筒状側壁構成部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7a 係止部
7b 浮き上がり防止突起
7c 小間隙
7d 係止突起
8 重なり代吸収部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱であって、
底片の側縁のうち底片連結ヒンジ部と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部を設けると共に、箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部を介して底片を連結した側板と直角な角度を介して隣接する側板の内面下端部に浮き上がり防止突起を設け、箱状に組み立てた状態で上記係止部が浮き上がり防止突起を乗り越えて浮き上がり防止突起の下面側に係止して成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱であって、
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板のうち一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収部を設け、
上記重なり代吸収部の側端面と隣接する側板の側端面との間に、重なり代吸収部に対して隣接する側板を折り畳んだ際に重なり代吸収部の側端面と隣接する側板の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙を介して重なり代吸収部の外面側と隣接する側板の外面側とを側板連結ヒンジ部で連結し、底片の側縁のうち底片連結ヒンジ部と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止突起を設け、箱状に組み立てて側板に対して底片を直角姿勢とした状態で、係止突起を上記小間隙に着脱自在に係止して成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項1】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱であって、
底片の側縁のうち底片連結ヒンジ部と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止部を設けると共に、箱状に組み立てた状態で底片連結ヒンジ部を介して底片を連結した側板と直角な角度を介して隣接する側板の内面下端部に浮き上がり防止突起を設け、箱状に組み立てた状態で上記係止部が浮き上がり防止突起を乗り越えて浮き上がり防止突起の下面側に係止して成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備えた合成樹脂製の折り畳み箱であって、
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部において両側に隣接する2側板のうち一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収部を設け、
上記重なり代吸収部の側端面と隣接する側板の側端面との間に、重なり代吸収部に対して隣接する側板を折り畳んだ際に重なり代吸収部の側端面と隣接する側板の側端面とが互いに干渉するのを避けるための小間隙を介して重なり代吸収部の外面側と隣接する側板の外面側とを側板連結ヒンジ部で連結し、底片の側縁のうち底片連結ヒンジ部と連結した側縁と直角な角度を介して隣接する側縁に係止突起を設け、箱状に組み立てて側板に対して底片を直角姿勢とした状態で、係止突起を上記小間隙に着脱自在に係止して成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−24330(P2008−24330A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197706(P2006−197706)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]