合成樹脂製の折り畳み箱
【課題】接続部に上方からの荷重が作用しても、接続部が変形して重なり代吸収用突部の外面側から剥離するのを防止できる。
【解決手段】略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうちの一方の側板1の端部に重なり代吸収用突部8を突設する。隣接する側板1の外面に側板連結ヒンジ部2を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結する。接続部18の下端部に係止部60を設ける。箱形状に組み立てた状態で底片4の接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設ける。箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止する。
【解決手段】略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうちの一方の側板1の端部に重なり代吸収用突部8を突設する。隣接する側板1の外面に側板連結ヒンジ部2を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結する。接続部18の下端部に係止部60を設ける。箱形状に組み立てた状態で底片4の接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設ける。箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の折り畳み箱と同様に折り畳んだり箱状に組み立てたりすることができる合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備え、更に、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうちの一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部を上下方向の全長にわたって突設し、重なり代吸収用突部と隣接する側板の外面側とを側板連結ヒンジ部で連結するに当って、隣接する側板の外面に側板連結ヒンジ部を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部の先端部に設けた接続部を重なり代吸収用突部の外面側に重複して連結手段により連結した合成樹脂製の折り畳み箱が特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例にあっては、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で上下に多段に積み重ねた場合、上段の折り畳み箱の荷重が下段の折り畳み箱の側板、重なり代吸収用突部、接続部を介して下方に伝えられるのであるが、上方からの荷重が下方に伝わる際、接続部は隣接する側板に対しては側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結し、重なり代吸収用突部の外面側に重複して連結手段により連結しているだけなので、重なり代吸収用突部の外面から離れる方向に変形しようとする力が作用し、接続部と重なり代吸収用突部との連結部分が破損したり、接続部が重なり代吸収用突部の外面側から剥離しやすいという問題があった。
【特許文献1】特開2006−160344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てて収納物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて、接続部に上方からの荷重が作用しても、接続部が変形して接続部と重なり代吸収用突部との連結部分が破損するのを防止し、接続部が重なり代吸収用突部の外面側から剥離するのを防止できる合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6とで構成された合成樹脂製の折り畳み箱において、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうちの一方の側板1の端部に4枚の側板1が偏平に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部8を突設し、上記重なり代吸収用突部8と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結するに当って、隣接する側板1の外面に側板連結ヒンジ部2を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結し、接続部18の下端部に係止部60を設け、箱形状に組み立てた状態で底片4の上記接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止して成ることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成とすることで、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3を略平行四辺形に折り畳むことを経て偏平となるように折り畳むことで、対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態で折り畳むことができ、しかも、この場合、折り畳み箱7が合成樹脂製であるにもかかわらず、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができるものであり、しかも、箱形状に組み立てて収納物を収納した状態で上下多段に積み重ねた場合、上方からの荷重が接続部18に作用して、接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れる力が作用しても、箱形状に組み立てた状態で底片4の上記接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止してあるので、接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れるように変形するのが防止される。
【0007】
また、接続部18の下端部を重なり代吸収用突部8の下端部よりも下方に突出して下向き突部62を形成すると共に該下向き突部62から内側に向けて横向き突片部63を突設し、該横向き突片部63の上面部の突出基部に重なり代吸収用突部8の下端部を載設し、横向き突片部63の重なり代吸収用突部8を載設した部分より先端側寄りに係止部60を設け、箱形状に組み立てた状態で底片4の上記接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設け、係止部60と被係止部61とを上下方向から嵌め込んで係止することが好ましい。
【0008】
このような構成とすることで、接続部18を伝わる荷重及び重なり代吸収用突部8を伝わる荷重をすべて横向き突片部63に集めて横向き突片部63の下面から下方の折り畳み箱や設置面に伝達でき、安定して確実に上方からの荷重を下方に伝達できると共に、重なり代吸収用突部8を伝わる荷重が接続部18の下端に設けた下向き突部62の下端部から内側に向けて横向き突片部63に伝わるので、接続部18が重なり代吸収用突部8から離れようとする力が作用せず、よりいっそう接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れるように変形するのが防止される。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、上記のように、接続部の下端部に係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で底片の上記接続部の下端部に対向する部位に被係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部と被係止部とを着脱自在に係止してあるので、折り畳み箱を箱形状に組み立てて収納物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて、接続部に上方からの荷重が作用しても、係止部と被係止部との係止により接続部が外側に変形するのが防止され、これにより接続部が変形して接続部と重なり代吸収用突部との連結部分が破損することがないと共に、接続部が重なり代吸収用突部の外面側から剥離することがなく、安定して上下に積み重ねることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱7は図3に示すように、少なくとも合成樹脂よりなる角筒状側壁構成部3と合成樹脂よりなる底板構成部6とを備えたものである。
【0012】
角筒状側壁構成部3は、図3乃至図8に示すように、前後左右にそれぞれ対向する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図11に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図6に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0013】
また、上記前後左右の4枚の硬質合成樹脂よりなる側板1の下辺から図3、図8に示すようにそれぞれ軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5を介して一体に硬質合成樹脂よりなる底片4を連出してあり、この4枚の底片4により底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図6に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0014】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図5に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1(1a、1b)のうちの一方の側板1aの端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1aと一体に該側板1aに直角に重なり代吸収用突部8となる硬質合成樹脂よりなる突片を一体に立設してあり、該重なり吸収用突部8の上端部は側板1aの上端と同じ高さで、且つ、重なり吸収用突部8の下端部は側板1aの下端部より少し下方に突出していて、該下方突出部が載置部8aとなっている。上記重なり代吸収用突部8の側板1aの内面に対して直交する方向の突出長さは、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1aの内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。また、重なり代吸収用突部8を突設した側板1aの側端部の上端と重なり代吸収用突部8の突出先端の上端とが連結部37により一体に連結してある。
【0015】
上記硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収用突部8と隣接する硬質合成樹脂よりなる側板1bの外面側とを軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で連結するに当って、隣接する側板1bの外面に軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2bを固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた硬質合成樹脂よりなる板状をした接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結することで、側板1aの重なり代吸収用突部8側の端部と隣接する側板1bの端部とを側板連結ヒンジ部2bを介して折り畳み自在に連結するように構成してある。
【0016】
図1、図2、図3、図5、図14等に示すように、接続部18の下端部は隣接する側板1bの下端よりも下方に向けて突出している。そして、この側板1bの下端部より下方に突出した部分は更に上記した重なり代吸収用突部8の下端部よりも下方に突出しており、この接続部18の下端部の下方への突出部分が下向き突部62となっている。下向き突部62から内側に向けて横向き突片部63を突設してあり、この横向き突片部63の突出基部の上面が載置面部64となっており、横向き突片部63の載置面部64よりも突出先端側にずれた位置に係止部60となる孔が形成してある。
【0017】
また、側板1bの上端部には被止め部36が設けてある。
【0018】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部(重なり吸収用突部8側の側部)は側板1aの下辺側の端部から突出方向に上記重なり吸収用突部8の突出長さにほぼ等しい長さだけ側板1aの下辺に対して直角となり、該一側部のそれよりも先の部分は側板1aの下辺に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜している。この底片4aの一側部の傾斜部分には箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。また、図2(b)、図16等に示すように、この底片4aの一側部の側板1aの下辺に対して直角になった部分の下面側が下方に開口する凹所66となっていて該凹所66の上底から下方に向けて一体に突片が垂設してあって被係止部61が構成してある。この被係止部61の下端面は底片4aの下面と同一レベルとなっている。
【0019】
そして、図12に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。
【0020】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0021】
また、1乃至複数の側板1の上辺には蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が折り畳み自在に連出してある。
【0022】
添付図面に示す実施形態では4つの側板1の対向する二対の側板1のうち重なり代吸収用突部8を突設した方の一対の側板1a(図では長辺側の側板1a)の上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの上の蓋片15aを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出し、重なり代吸収用突部8を突設しない方の他の一対の側板1bの上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの下の蓋片15bを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出してある。
【0023】
一対の蓋片15aの先端縁の片側半分は上面が段落した載置用凹部32が設けてあると共に先端縁の他の片側半分は下面が段落した載置用突片部33が設けてあり、一方の蓋片15aに設けた載置用凹部32が他方の蓋片15aに設けた載置用突片部33に対向すると共に一方の蓋片15aに設けた載置用突片部33が他方の蓋片15aに設けた載置用凹部32に対向するような位置関係となっていて、一対の蓋片15aを横に倒して上開口を閉じた際に対向する蓋片15同士が互いに載置用凹部32に載置用突片部33が重複載置する関係となっている。一対の蓋片15aの一側部から軟質合成樹脂よりなる帯材34が一体に突設してあり、該帯材34の先端部に硬質合成樹脂よりなる止め具35を一体に形成することで構成してある。
【0024】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱7は合成樹脂の一体成形により形成した図13、図15に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0025】
箱半体12は、図13、図15の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結すると共に、一方の側板1aの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収用突部8を側板1aの側端に沿って突設し、更に、他方の側板1bの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に接続部18を設け、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4aの隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。添付図面では更に側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。上記構成の箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により一体に形成されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、重なり代吸収用突部8、止め具35が、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部または全部、帯材34が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0026】
上記のように合成樹脂により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収用突部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収用突部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結する。これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0027】
重なり代吸収用突部8と側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂製の側板1bの端部の外面に軟質合成樹脂製の側板連結ヒンジ部2bの一端部を重複一体化すると共に、軟質合成樹脂製の側板連結ヒンジ部2bの先端部の内面側に硬質合成樹脂製の板状をした接続部18を重複一体化してあり、この硬質合成樹脂製の接続部18を硬質合成樹脂製の重なり代吸収用突部8の外面に重複して連結手段16により連結する。
【0028】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図13、図15に示すように重なり代吸収用突部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(接続部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。また、この係合による連結と溶着とを併用してもよい。
【0029】
上記のように重なり代吸収用突部8の外面側と側板1bの外面側とを接続部18を介して側板連結ヒンジ部2bで連結することで、重なり代吸収用突部8を側板1と平行な展延状態から直角となる折り畳み状態に回動自在としてある。
【0030】
なお、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部は前述のように側板連結ヒンジ部2aで折り畳み自在に連結してある(つまり、箱半体12において隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士は側板連結ヒンジ部2aで連結してある)。
【0031】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱7を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底片4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱7を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0032】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱7を形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。
【0033】
なお、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図12に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0034】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱7は4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0035】
この箱状に組み立てた状態で、接続部18の下端部の重なり代吸収用突部8の下端部よりも下方に突出した下向き突部62から内側に向けて突設した横向き突片部63の突出基部の上面の載置面部64に重なり代吸収用突部8の下端部の載置部8aが載置されると共に、横向き突片部63に設けた係止部60を構成する孔に底片4aに設けた被係止部61を構成する突片を上方から嵌め込んで係止して底片4aに対して接続部18の下端が外側方に離れないようにしてある。
【0036】
また、この箱形状に組み立てた状態で、図2に示すように、下向き突部62の下面、横向き突片部63の下面が底片4aの下面はいずれも接地面となるように面一、つまり、同一レベルとなっている。また、実施形態では被係止部61を構成する突片の下端面も底片4aの下面と同一レベルとなっている。
【0037】
このように箱形状に組み立てた状態で内部に収納物を収納し、一対の上の蓋片15aを倒してそれぞれ下の蓋片15bの上に載せた状態で両一対の蓋片15aにより折り畳み箱7の上開口を図4のように閉じる。
【0038】
その後、止め具35を被止め部36に係止する。この場合、帯材34が軟質合成樹脂により形成してあるため、帯材34は可撓性とある程度の弾性(伸縮性)を有しており、したがって、帯材34を曲げて下方に引っ張って伸ばした状態で止め具35を被止め部36に係止することで容易に蓋片15a側に設けた止め具35を側板1b側に設けた被止め部36に係止することができると共に帯材34の弾性を利用して伸ばした状態で止めているので係止状態が確実に保持されることになる。係止を解除するには止め具35を指で摘んで更に下方に引くことで更に帯材34が伸ばされて止め具35が被止め部36から解除されるので、係止を解除することができる。
【0039】
上記のように箱形状に組み立てて内部に収納物を収納し、上開口を蓋片15により塞いだ状態で折り畳み箱7を搬送したり、保管したりするのである。上記のように箱状に組み立てて搬送や保管に当たっては折り畳み箱7を上下多段に積み重ねる。
【0040】
ここで、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で蓋片15で上開口を閉じた折り畳み箱7を上下に多段に積み重ねた場合、下段の折り畳み箱7の4つのコーナ部分に上方からの荷重が集中して作用してコーナ部分から下方に荷重が伝達される。
【0041】
この場合、重なり代吸収用突部8を設けた方の一対の対角部のコーナ部分においては、重なり代吸収用突部8と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結するに当って、隣接する側板1の外面に側板連結ヒンジ部2を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結してあるので、重なり代吸収用突部8に上方からの荷重がかかる際、同時に接続部18にも荷重がかかることになる。そして、重なり代吸収用突部8は側板1aと一体に形成してあるため、上方からの荷重を受けても重なり代吸収用突部8が変形したりしないようになっている。一方、側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18は重なり代吸収用突部8の外面に連結手段により連結してあるが、接続部18に上方から荷重がかかると、重なり代吸収用突部8の下端部が外面から離れるように変形しようとする力が作用し、連結手段による連結を破壊(例えば溶着部分が剥離したり、係合部分が外れたりする)して接続部18が重なり代吸収用突部8から外れるおそれがある。
【0042】
しかしながら、本発明においては、箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止してあるので、接続部18の下端部が外側に向けて離れようとする変形が生じないように底片4により規制することができる。したがって、接続部18に上方からの荷重がかかっても接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れるように変形するのが防止されることになる。
【0043】
しかも、図2に示すように、接続部18の下端部に設けた下向き突部62から内側に向けて横向き突片部63を突設し、横向き突片部63の上面部の突出基部に重なり代吸収用突部8の下端部を載設しているので、重なり代吸収用突部8に上方から作用した荷重はすべて横向き突片部63に伝わり、横向き突片部63を重なり代吸収用突部8が強い力で押付けていることになり、この結果、接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れように変形するのがより一層防止されることになる。しかも、接続部18にかかる上方からの荷重及び横向き突片部63にかかる上方からの荷重はすべて接続部18の下端部の下向き突部62及びこれと一体になった横向き突片部63に集中して下方の折り畳み箱や設置面に伝達されるので、上方からの荷重の伝達を下方にスムーズに伝達できることになる。
【0044】
一方、収納物を入れない非使用時には、図3、図4、図7、図8のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図11に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図6に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。図1(a)は箱形状に組み立てた状態で係止部60が被係止部61に係止しているが、折り畳み操作をすることで、図1(b)のように係止部60と被係止部61との係止が解除され、図1(c)のように係止が解除された状態で折り畳まれることになる。この折り畳み状態において、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の係止部と被係止部とが係止している部分の斜視図であり、(b)は箱形状に組み立てている途中(又は扁平に折り畳んでいる途中)の係止部部分の斜視図であり、(c)は扁平に折り畳んだ状態の係止部部分の斜視図である。
【図2】(a)は本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の重なり代吸収用突部と接続部とを連結した部分の断面図であり、(b)は同上の(a)のX部分の拡大断面図である。
【図3】(a)は同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図であり、(b)は(a)のY1部分の拡大斜視図である。
【図4】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図5】(a)は同上の折り畳んだ状態の斜視図であり、(b)は(a)のY2部分の拡大斜視図である。
【図6】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図7】同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図である。
【図8】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図9】同上の図7のZ1−Z1線の断面図である。
【図10】同上の図7のZ2−Z2線の断面図である。
【図11】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図12】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図13】同上の箱半体の展開状態を示す上から見た斜視図である。
【図14】同上の図13のA部分の拡大図である。
【図15】同上の箱半体の展開状態を示す下から見た斜視図である。
【図16】同上の図15のB部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
3 角筒状側壁構成部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7 折り畳み箱
8 重なり代吸収用突部
18 接続部
60 係止部
61 被係止部
62 下向き突部
63 横向き突片部
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の折り畳み箱と同様に折り畳んだり箱状に組み立てたりすることができる合成樹脂製の折り畳み箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とを備え、更に、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうちの一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部を上下方向の全長にわたって突設し、重なり代吸収用突部と隣接する側板の外面側とを側板連結ヒンジ部で連結するに当って、隣接する側板の外面に側板連結ヒンジ部を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部の先端部に設けた接続部を重なり代吸収用突部の外面側に重複して連結手段により連結した合成樹脂製の折り畳み箱が特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例にあっては、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で上下に多段に積み重ねた場合、上段の折り畳み箱の荷重が下段の折り畳み箱の側板、重なり代吸収用突部、接続部を介して下方に伝えられるのであるが、上方からの荷重が下方に伝わる際、接続部は隣接する側板に対しては側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結し、重なり代吸収用突部の外面側に重複して連結手段により連結しているだけなので、重なり代吸収用突部の外面から離れる方向に変形しようとする力が作用し、接続部と重なり代吸収用突部との連結部分が破損したり、接続部が重なり代吸収用突部の外面側から剥離しやすいという問題があった。
【特許文献1】特開2006−160344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てて収納物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて、接続部に上方からの荷重が作用しても、接続部が変形して接続部と重なり代吸収用突部との連結部分が破損するのを防止し、接続部が重なり代吸収用突部の外面側から剥離するのを防止できる合成樹脂製の折り畳み箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製の折り畳み箱は、前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板1の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部3と、4枚の側板1の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部5を介して底片4を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部3を箱形状に組み立てた状態で底片4同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部6とで構成された合成樹脂製の折り畳み箱において、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1のうちの一方の側板1の端部に4枚の側板1が偏平に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部8を突設し、上記重なり代吸収用突部8と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結するに当って、隣接する側板1の外面に側板連結ヒンジ部2を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結し、接続部18の下端部に係止部60を設け、箱形状に組み立てた状態で底片4の上記接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止して成ることを特徴とするものである。
【0006】
このような構成とすることで、4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3を略平行四辺形に折り畳むことを経て偏平となるように折り畳むことで、対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態で折り畳むことができ、しかも、この場合、折り畳み箱7が合成樹脂製であるにもかかわらず、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができるものであり、しかも、箱形状に組み立てて収納物を収納した状態で上下多段に積み重ねた場合、上方からの荷重が接続部18に作用して、接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れる力が作用しても、箱形状に組み立てた状態で底片4の上記接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止してあるので、接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れるように変形するのが防止される。
【0007】
また、接続部18の下端部を重なり代吸収用突部8の下端部よりも下方に突出して下向き突部62を形成すると共に該下向き突部62から内側に向けて横向き突片部63を突設し、該横向き突片部63の上面部の突出基部に重なり代吸収用突部8の下端部を載設し、横向き突片部63の重なり代吸収用突部8を載設した部分より先端側寄りに係止部60を設け、箱形状に組み立てた状態で底片4の上記接続部18の下端部に対向する部位に被係止部61を設け、係止部60と被係止部61とを上下方向から嵌め込んで係止することが好ましい。
【0008】
このような構成とすることで、接続部18を伝わる荷重及び重なり代吸収用突部8を伝わる荷重をすべて横向き突片部63に集めて横向き突片部63の下面から下方の折り畳み箱や設置面に伝達でき、安定して確実に上方からの荷重を下方に伝達できると共に、重なり代吸収用突部8を伝わる荷重が接続部18の下端に設けた下向き突部62の下端部から内側に向けて横向き突片部63に伝わるので、接続部18が重なり代吸収用突部8から離れようとする力が作用せず、よりいっそう接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れるように変形するのが防止される。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、上記のように、接続部の下端部に係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で底片の上記接続部の下端部に対向する部位に被係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部と被係止部とを着脱自在に係止してあるので、折り畳み箱を箱形状に組み立てて収納物を収納した状態で上下に多段に積み重ねて、接続部に上方からの荷重が作用しても、係止部と被係止部との係止により接続部が外側に変形するのが防止され、これにより接続部が変形して接続部と重なり代吸収用突部との連結部分が破損することがないと共に、接続部が重なり代吸収用突部の外面側から剥離することがなく、安定して上下に積み重ねることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本発明の合成樹脂製の折り畳み箱7は図3に示すように、少なくとも合成樹脂よりなる角筒状側壁構成部3と合成樹脂よりなる底板構成部6とを備えたものである。
【0012】
角筒状側壁構成部3は、図3乃至図8に示すように、前後左右にそれぞれ対向する硬質合成樹脂よりなる4枚の側板1の隣接する側端部同士を軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で折り畳み自在に連結して構成してあり、この角筒状側壁構成部3は、箱状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形となり、且つ、折り畳みに当たって図11に示すように、一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て図6に示すように偏平に折り畳むことができるように構成してある。添付図面に示す実施形態では箱状に組み立てた状態で平面視長方形状となる例を示しているが、箱状に組み立てた状態で平面視正方形状のものであってもよい。
【0013】
また、上記前後左右の4枚の硬質合成樹脂よりなる側板1の下辺から図3、図8に示すようにそれぞれ軟質合成樹脂よりなる底片連結ヒンジ部5を介して一体に硬質合成樹脂よりなる底片4を連出してあり、この4枚の底片4により底板構成部6が構成してある。各底片4は角筒状側壁構成部3を略平行四辺形状に折り畳んで行く際に側板1の内面側に近づくように底片連結ヒンジ部5部分を中心に回動して折り畳みの最終段階で図6に示すように側板1の内面に重なるように折り畳まれるようになっている。
【0014】
角筒状側壁構成部3は上記のように平面視長方形又は正方形に(つまり四角筒状に)組み立てた状態から略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができるようになっているが、この場合、図5に示すように上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1(1a、1b)のうちの一方の側板1aの端部(上記鋭角となるように折り畳まれる方の隅部側の端部)の内面側に該側板1aと一体に該側板1aに直角に重なり代吸収用突部8となる硬質合成樹脂よりなる突片を一体に立設してあり、該重なり吸収用突部8の上端部は側板1aの上端と同じ高さで、且つ、重なり吸収用突部8の下端部は側板1aの下端部より少し下方に突出していて、該下方突出部が載置部8aとなっている。上記重なり代吸収用突部8の側板1aの内面に対して直交する方向の突出長さは、4枚の側板1が略平行四辺形に折り畳まれ且つ各底片4が各側板1aの内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する長さに設定してある。また、重なり代吸収用突部8を突設した側板1aの側端部の上端と重なり代吸収用突部8の突出先端の上端とが連結部37により一体に連結してある。
【0015】
上記硬質合成樹脂よりなる重なり代吸収用突部8と隣接する硬質合成樹脂よりなる側板1bの外面側とを軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2で連結するに当って、隣接する側板1bの外面に軟質合成樹脂よりなる側板連結ヒンジ部2bを固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた硬質合成樹脂よりなる板状をした接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結することで、側板1aの重なり代吸収用突部8側の端部と隣接する側板1bの端部とを側板連結ヒンジ部2bを介して折り畳み自在に連結するように構成してある。
【0016】
図1、図2、図3、図5、図14等に示すように、接続部18の下端部は隣接する側板1bの下端よりも下方に向けて突出している。そして、この側板1bの下端部より下方に突出した部分は更に上記した重なり代吸収用突部8の下端部よりも下方に突出しており、この接続部18の下端部の下方への突出部分が下向き突部62となっている。下向き突部62から内側に向けて横向き突片部63を突設してあり、この横向き突片部63の突出基部の上面が載置面部64となっており、横向き突片部63の載置面部64よりも突出先端側にずれた位置に係止部60となる孔が形成してある。
【0017】
また、側板1bの上端部には被止め部36が設けてある。
【0018】
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板1a、1bのうちの一方の側板1(添付図面においては長辺側の側板1a)から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4aと称する)の一側部(重なり吸収用突部8側の側部)は側板1aの下辺側の端部から突出方向に上記重なり吸収用突部8の突出長さにほぼ等しい長さだけ側板1aの下辺に対して直角となり、該一側部のそれよりも先の部分は側板1aの下辺に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜している。この底片4aの一側部の傾斜部分には箱形状に組み立てた状態で平面視で上記両側板1a、1bの下辺に対してそれぞれ鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を突出してある。また、図2(b)、図16等に示すように、この底片4aの一側部の側板1aの下辺に対して直角になった部分の下面側が下方に開口する凹所66となっていて該凹所66の上底から下方に向けて一体に突片が垂設してあって被係止部61が構成してある。この被係止部61の下端面は底片4aの下面と同一レベルとなっている。
【0019】
そして、図12に示すように、上記重複片11を上記隣接する他方の側板1bの下辺から底片連結ヒンジ部5を介して連出した底片4(以下底片4bと称する)に重複状態でスライド結合手段17によりスライド自在に結合してある。
【0020】
また、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士は非連結であって、相互にフリーの関係となっている。
【0021】
また、1乃至複数の側板1の上辺には蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が折り畳み自在に連出してある。
【0022】
添付図面に示す実施形態では4つの側板1の対向する二対の側板1のうち重なり代吸収用突部8を突設した方の一対の側板1a(図では長辺側の側板1a)の上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの上の蓋片15aを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出し、重なり代吸収用突部8を突設しない方の他の一対の側板1bの上端縁に該上端縁の長さと同じ長さの下の蓋片15bを蓋片連結ヒンジ部10を介して折り畳み自在に連出してある。
【0023】
一対の蓋片15aの先端縁の片側半分は上面が段落した載置用凹部32が設けてあると共に先端縁の他の片側半分は下面が段落した載置用突片部33が設けてあり、一方の蓋片15aに設けた載置用凹部32が他方の蓋片15aに設けた載置用突片部33に対向すると共に一方の蓋片15aに設けた載置用突片部33が他方の蓋片15aに設けた載置用凹部32に対向するような位置関係となっていて、一対の蓋片15aを横に倒して上開口を閉じた際に対向する蓋片15同士が互いに載置用凹部32に載置用突片部33が重複載置する関係となっている。一対の蓋片15aの一側部から軟質合成樹脂よりなる帯材34が一体に突設してあり、該帯材34の先端部に硬質合成樹脂よりなる止め具35を一体に形成することで構成してある。
【0024】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱7は合成樹脂の一体成形により形成した図13、図15に示すような箱半体12を2つ組み合わせ結合して構成してある。
【0025】
箱半体12は、図13、図15の展開図に示すように、隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士を側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2aと称する)で連結すると共に、一方の側板1aの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に内面側に向けて重なり代吸収用突部8を側板1aの側端に沿って突設し、更に、他方の側板1bの側板連結ヒンジ部2aで連結していない方の側端に別の側板連結ヒンジ部2(以下側板連結ヒンジ部2bと称する)を設けてあり、該側板連結ヒンジ部2bの先端部に接続部18を設け、また、隣接する一対の側板1a、1bの各下辺から底片連結ヒンジ部5を介してそれぞれ底片4a、4bを連出し、更に、両隣接する底片4a、4bのうち一方の底片4aの隣接する他方の底片4bと反対側の側端に該底片4aを連出している底片連結ヒンジ部5に対して鋭角(実施形態では45°)に傾斜した傾斜ヒンジ部9を介して重複片11を連出することで構成してある。添付図面では更に側板1の上辺に蓋片連結ヒンジ部10を介して蓋片15が連出してある。上記構成の箱半体12は合成樹脂の2色射出成形により一体に形成されるもので、側板1、底片4、重複片11、蓋片15、重なり代吸収用突部8、止め具35が、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂等の硬質樹脂により成形してあり、また、側板1と側板1、側板1と底片4、底片4と重複片11、側板1と蓋片15とはそれぞれ側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10により折り畳み自在に一体に連結してあるが、この側板連結ヒンジ部2a、2b、底片連結ヒンジ部5、傾斜ヒンジ部9、蓋片連結ヒンジ部10の一部または全部、帯材34が例えば、TPE(エラストマー)、LDPE(低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等の軟質樹脂により成形してある。
【0026】
上記のように合成樹脂により一体成形した箱半体12を2個用いて、一方の箱半体12の一方の側板1aの側端に設けた重なり代吸収用突部8に、他方の箱半体12の他方の側板1bの側端に設けた別の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結手段16により連結し、同様にして他方の箱半体12の重なり代吸収用突部8に一方の箱半体12の側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18を重ねて連結する。これにより、2個の側板連結ヒンジ部2aが一対の対角部に位置し且つ他の2個の側板連結ヒンジ部2bが他の一対の対角部に位置し、組み立て状態で平面視長方形又は正方形となり且つ折り畳みに当たって側板連結ヒンジ部2bが鋭角に、側板連結ヒンジ部2aが鈍角となる略平行四辺形となるように折り畳まれる角筒状側壁構成部3が構成される。
【0027】
重なり代吸収用突部8と側板連結ヒンジ部2bの先端部に設けた接続部18とは上記のように連結手段16により連結するのであるが、この場合、硬質合成樹脂製の側板1bの端部の外面に軟質合成樹脂製の側板連結ヒンジ部2bの一端部を重複一体化すると共に、軟質合成樹脂製の側板連結ヒンジ部2bの先端部の内面側に硬質合成樹脂製の板状をした接続部18を重複一体化してあり、この硬質合成樹脂製の接続部18を硬質合成樹脂製の重なり代吸収用突部8の外面に重複して連結手段16により連結する。
【0028】
連結手段16としては特に限定はないが、例えは、接着、溶着、あるいは係合による連結、固着具による連結等を挙げることができる。係合による連結の場合、例えば図13、図15に示すように重なり代吸収用突部8に係合部16aを設けると共に側板連結ヒンジ部2b(接続部18)側に被係合部16bを設けて係合部16aを被係合部16bに係合するようにしてもよい。また、この係合による連結と溶着とを併用してもよい。
【0029】
上記のように重なり代吸収用突部8の外面側と側板1bの外面側とを接続部18を介して側板連結ヒンジ部2bで連結することで、重なり代吸収用突部8を側板1と平行な展延状態から直角となる折り畳み状態に回動自在としてある。
【0030】
なお、上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部は前述のように側板連結ヒンジ部2aで折り畳み自在に連結してある(つまり、箱半体12において隣接する一対の側板1a、1bの側端部同士は側板連結ヒンジ部2aで連結してある)。
【0031】
また、一方の箱半体12の重複片11と他方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合し、同様に、他方の箱半体12の重複片11と一方の箱半体12の重複片11を連出していない方の底片4bとを重複すると共にスライド結合手段17により重複状態でスライド自在に結合する。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱7を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4a、4b同士が傾斜ヒンジ部9、重複片11を介してスライド可能に連結してある。また、各箱半体12の成形時に一体に成形された底片4同士は非連結とし、相互にフリーの関係とする。つまり、2つの箱半体12を上記のように結合して折り畳み箱7を構成した場合、略平行四辺形状に折り畳んだ際に鈍角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部において隣接する両底片4同士を非連結とするのである。このようにして底片連結ヒンジ部5を介して4枚の底片4が各側板1の内面に重なるように折り畳み自在となった底板構成部6が構成される。
【0032】
このように、2つの箱半体12を組み合わせ結合することで合成樹脂製の折り畳み箱7を形成することができる。なお、本実施形態では組み合わせる2つの箱半体12は同一形状のものを用いてあり、共通の成形金型により成形することが可能となる。
【0033】
なお、重複片11と底片4bとを重複状態でスライド自在に結合するスライド結合手段17は、例えば、図12に示すように、重複片11又は底片4bの一方にスライド突起19を突設し、他方にスライド突起19がスライド自在に差し込まれるスライド突起19よりも大きなスライド孔20を形成し、スライド孔20にスライド突起19がスライド孔20から抜けないようにするための抜け止め部20aを設けて構成してある。
【0034】
上記の構成の合成樹脂製の折り畳み箱7は4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となるように(つまり四角筒状に)組み立てた状態で、4つの底片4a、4bは、重複片11と底片4bとがスライド自在に重複連結した状態のまま各側板1に対して直角となって四角筒状の底を形成し、上方が開口した箱が組み立てられる。
【0035】
この箱状に組み立てた状態で、接続部18の下端部の重なり代吸収用突部8の下端部よりも下方に突出した下向き突部62から内側に向けて突設した横向き突片部63の突出基部の上面の載置面部64に重なり代吸収用突部8の下端部の載置部8aが載置されると共に、横向き突片部63に設けた係止部60を構成する孔に底片4aに設けた被係止部61を構成する突片を上方から嵌め込んで係止して底片4aに対して接続部18の下端が外側方に離れないようにしてある。
【0036】
また、この箱形状に組み立てた状態で、図2に示すように、下向き突部62の下面、横向き突片部63の下面が底片4aの下面はいずれも接地面となるように面一、つまり、同一レベルとなっている。また、実施形態では被係止部61を構成する突片の下端面も底片4aの下面と同一レベルとなっている。
【0037】
このように箱形状に組み立てた状態で内部に収納物を収納し、一対の上の蓋片15aを倒してそれぞれ下の蓋片15bの上に載せた状態で両一対の蓋片15aにより折り畳み箱7の上開口を図4のように閉じる。
【0038】
その後、止め具35を被止め部36に係止する。この場合、帯材34が軟質合成樹脂により形成してあるため、帯材34は可撓性とある程度の弾性(伸縮性)を有しており、したがって、帯材34を曲げて下方に引っ張って伸ばした状態で止め具35を被止め部36に係止することで容易に蓋片15a側に設けた止め具35を側板1b側に設けた被止め部36に係止することができると共に帯材34の弾性を利用して伸ばした状態で止めているので係止状態が確実に保持されることになる。係止を解除するには止め具35を指で摘んで更に下方に引くことで更に帯材34が伸ばされて止め具35が被止め部36から解除されるので、係止を解除することができる。
【0039】
上記のように箱形状に組み立てて内部に収納物を収納し、上開口を蓋片15により塞いだ状態で折り畳み箱7を搬送したり、保管したりするのである。上記のように箱状に組み立てて搬送や保管に当たっては折り畳み箱7を上下多段に積み重ねる。
【0040】
ここで、箱形状に組み立てて内部に収納物を収納した状態で蓋片15で上開口を閉じた折り畳み箱7を上下に多段に積み重ねた場合、下段の折り畳み箱7の4つのコーナ部分に上方からの荷重が集中して作用してコーナ部分から下方に荷重が伝達される。
【0041】
この場合、重なり代吸収用突部8を設けた方の一対の対角部のコーナ部分においては、重なり代吸収用突部8と隣接する側板1の外面側とを側板連結ヒンジ部2で連結するに当って、隣接する側板1の外面に側板連結ヒンジ部2を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18を重なり代吸収用突部8の外面側に重複して連結手段により連結してあるので、重なり代吸収用突部8に上方からの荷重がかかる際、同時に接続部18にも荷重がかかることになる。そして、重なり代吸収用突部8は側板1aと一体に形成してあるため、上方からの荷重を受けても重なり代吸収用突部8が変形したりしないようになっている。一方、側板連結ヒンジ部2の先端部に設けた接続部18は重なり代吸収用突部8の外面に連結手段により連結してあるが、接続部18に上方から荷重がかかると、重なり代吸収用突部8の下端部が外面から離れるように変形しようとする力が作用し、連結手段による連結を破壊(例えば溶着部分が剥離したり、係合部分が外れたりする)して接続部18が重なり代吸収用突部8から外れるおそれがある。
【0042】
しかしながら、本発明においては、箱形状に組み立てた状態で係止部60と被係止部61とを着脱自在に係止してあるので、接続部18の下端部が外側に向けて離れようとする変形が生じないように底片4により規制することができる。したがって、接続部18に上方からの荷重がかかっても接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れるように変形するのが防止されることになる。
【0043】
しかも、図2に示すように、接続部18の下端部に設けた下向き突部62から内側に向けて横向き突片部63を突設し、横向き突片部63の上面部の突出基部に重なり代吸収用突部8の下端部を載設しているので、重なり代吸収用突部8に上方から作用した荷重はすべて横向き突片部63に伝わり、横向き突片部63を重なり代吸収用突部8が強い力で押付けていることになり、この結果、接続部18の下端部が重なり代吸収用突部8の外面から離れように変形するのがより一層防止されることになる。しかも、接続部18にかかる上方からの荷重及び横向き突片部63にかかる上方からの荷重はすべて接続部18の下端部の下向き突部62及びこれと一体になった横向き突片部63に集中して下方の折り畳み箱や設置面に伝達されるので、上方からの荷重の伝達を下方にスムーズに伝達できることになる。
【0044】
一方、収納物を入れない非使用時には、図3、図4、図7、図8のように4つの側板1よりなる角筒状側壁構成部3を平面視長方形又は正方形となっている組み立て状態から、図11に示すように4枚の側板1からなる角筒状側壁構成部3が略平行四辺形となるように折り畳むことで、図6に示すように対向する側板1がほぼ平行で且つ側板1の内面に沿って底片4を重ねた状態、つまり偏平状態に折り畳むことができる。図1(a)は箱形状に組み立てた状態で係止部60が被係止部61に係止しているが、折り畳み操作をすることで、図1(b)のように係止部60と被係止部61との係止が解除され、図1(c)のように係止が解除された状態で折り畳まれることになる。この折り畳み状態において、折り畳んだ状態で対向する側板1と、各側板1の内面に沿って重ねた底片4との重なり代を重なり代吸収用突部8により吸収して、無理無く折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の係止部と被係止部とが係止している部分の斜視図であり、(b)は箱形状に組み立てている途中(又は扁平に折り畳んでいる途中)の係止部部分の斜視図であり、(c)は扁平に折り畳んだ状態の係止部部分の斜視図である。
【図2】(a)は本発明の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の重なり代吸収用突部と接続部とを連結した部分の断面図であり、(b)は同上の(a)のX部分の拡大断面図である。
【図3】(a)は同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の下方から見た斜視図であり、(b)は(a)のY1部分の拡大斜視図である。
【図4】同上の合成樹脂製の折り畳み箱を箱形状に組み立てた状態の上方から見た斜視図である。
【図5】(a)は同上の折り畳んだ状態の斜視図であり、(b)は(a)のY2部分の拡大斜視図である。
【図6】(a)は同上の折り畳んだ状態の断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図7】同上の箱形状に組み立てた状態の平断面図である。
【図8】同上の箱形状に組み立てた状態の底面図である。
【図9】同上の図7のZ1−Z1線の断面図である。
【図10】同上の図7のZ2−Z2線の断面図である。
【図11】同上の折り畳み途中の状態を示す下方から見た斜視図である。
【図12】同上のスライド結合手段で重複片と底片とを連結した部分を示し、(a)は断面図であり、(b)は一部破断した斜視図である。
【図13】同上の箱半体の展開状態を示す上から見た斜視図である。
【図14】同上の図13のA部分の拡大図である。
【図15】同上の箱半体の展開状態を示す下から見た斜視図である。
【図16】同上の図15のB部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
1 側板
2 側板連結ヒンジ部
3 角筒状側壁構成部
4 底片
5 底片連結ヒンジ部
6 底板構成部
7 折り畳み箱
8 重なり代吸収用突部
18 接続部
60 係止部
61 被係止部
62 下向き突部
63 横向き突片部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とで構成された合成樹脂製の折り畳み箱において、
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうちの一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部を突設し、
上記重なり代吸収用突部と隣接する側板の外面側とを側板連結ヒンジ部で連結するに当って、隣接する側板の外面に側板連結ヒンジ部を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部の先端部に設けた接続部を重なり代吸収用突部の外面側に重複して連結手段により連結し、
接続部の下端部に係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で底片の上記接続部の下端部に対向する部位に被係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部と被係止部とを着脱自在に係止して成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
接続部の下端部を重なり代吸収用突部の下端部よりも下方に突出して下向き突部を形成すると共に該下向き突部から内側に向けて横向き突片部を突設し、該横向き突片部の上面部の突出基部に重なり代吸収用突部の下端部を載設し、横向き突片部の重なり代吸収用突部を載設した部分より先端側寄りに係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で底片の上記接続部の下端部に対向する部位に被係止部を設け、係止部と被係止部とを上下方向から嵌め込んで係止して成ることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項1】
前後左右にそれぞれ対向する4枚の側板の隣接する側端部同士を側板連結ヒンジ部で折り畳み自在に連結して箱形状に組み立てた状態で平面視長方形又は正方形状となり、且つ、折り畳みに当たって一対の対角部の隅部が鋭角となり且つ他の一対の対角部の隅部が鈍角となるように略平行四辺形状に折り畳むことを経て偏平に折り畳むことができる角筒状側壁構成部と、4枚の側板の各下辺からそれぞれ底片連結ヒンジ部を介して底片を折り畳み自在に連出すると共に、折り畳み状態で各底片が各側板の内面に重なるように折り畳まれ且つ角筒状側壁構成部を箱形状に組み立てた状態で底片同士が重なって箱形状の底を形成するようにした底板構成部とで構成された合成樹脂製の折り畳み箱において、
上記略平行四辺形状に折り畳んだ際に鋭角となるように折り畳まれる方の一対の対角部の隅部の両側の2つの側板のうちの一方の側板の端部に4枚の側板が偏平に折り畳まれ且つ各底片が各側板の内面に重なった折り畳み状態で上記重なり厚みに対応する重なり代吸収用突部を突設し、
上記重なり代吸収用突部と隣接する側板の外面側とを側板連結ヒンジ部で連結するに当って、隣接する側板の外面に側板連結ヒンジ部を固着すると共に、該側板連結ヒンジ部の先端部に設けた接続部を重なり代吸収用突部の外面側に重複して連結手段により連結し、
接続部の下端部に係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で底片の上記接続部の下端部に対向する部位に被係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で係止部と被係止部とを着脱自在に係止して成ることを特徴とする合成樹脂製の折り畳み箱。
【請求項2】
接続部の下端部を重なり代吸収用突部の下端部よりも下方に突出して下向き突部を形成すると共に該下向き突部から内側に向けて横向き突片部を突設し、該横向き突片部の上面部の突出基部に重なり代吸収用突部の下端部を載設し、横向き突片部の重なり代吸収用突部を載設した部分より先端側寄りに係止部を設け、箱形状に組み立てた状態で底片の上記接続部の下端部に対向する部位に被係止部を設け、係止部と被係止部とを上下方向から嵌め込んで係止して成ることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製の折り畳み箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−260569(P2008−260569A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106068(P2007−106068)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
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