合成樹脂製の滑り軸受
【課題】自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が定期的又は不定期的に実施された場合であっても、洗浄水の内部への侵入を極力防止でき、洗浄水の内部への侵入に起因する不具合を生じることのない合成樹脂製の滑り軸受を提供すること。
【解決手段】合成樹脂製の滑り軸受1は、取付部材を介して車体側に固定される合成樹脂製の上部ケース2と、上部ケース2に対して軸心Oの回りで円周方向Rに回転自在となるように上部ケース2に重ね合わされている合成樹脂製の下部ケース3と、上部ケース2及び下部ケース3間の空間4に配されている合成樹脂製の滑り軸受片5とを具備している。
【解決手段】合成樹脂製の滑り軸受1は、取付部材を介して車体側に固定される合成樹脂製の上部ケース2と、上部ケース2に対して軸心Oの回りで円周方向Rに回転自在となるように上部ケース2に重ね合わされている合成樹脂製の下部ケース3と、上部ケース2及び下部ケース3間の空間4に配されている合成樹脂製の滑り軸受片5とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の滑り軸受、とくに四輪自動車におけるスタラット型サスペンション(マクファーソン式)の滑り軸受として組込まれて好適な滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スタラット型サスペンションは、主として四輪自動車の前輪に用いられ、主軸と一体となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにサスペンションコイルばねを組合せたものである。斯かるサスペンションには、ストラットの軸線に対してコイルばねの軸線を積極的にオフセットさせ、ストラットに内蔵されたショックアブソーバのピストンロッドの摺動を円滑に行わせる構造のものと、ストラットの軸線に対してコイルばねの軸線を一致させて配置する構造のものとがある。いずれの構造においても、ステアリング操作によりストラットアッセンブリがサスペンションコイルばねとともに回転する際、当該回転を円滑に許容するべく車体の取付部材とサスペンションコイルばねの上部ばね座部材との間に、ボール若しくはニードルを使用したころがり軸受又は合成樹脂製の滑り軸受が配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−293589号公報
【特許文献2】特開2009−250278号公報
【0004】
ところで、上記軸受が配される上部ばね座部材は通常、板金製であるために比較的重く、また板金製の上部ばね座部材には防錆用の塗装を施す必要があるため、自動車の足回りの軽量化、低価格化を図るべく高価なころがり軸受に代えて滑り軸受を用いても上部ばね座部材の重量、製造費、組付け費用等によって斯かる軽量化、低価格化には限界がある。
【0005】
特許文献1においては、車体側の車体側座面及び環状下面を有した合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに当該上部ケースの軸心回りで回転自在となるように重ね合わされると共に上部ケースの環状下面に対面した環状上面を有した合成樹脂製の下部ケースと、環状下面及び環状上面間に介在されている合成樹脂製の環状のスラスト滑り軸受片とを具備しており、車体側座面及びスラスト滑り軸受片よりも外周側の下部ケースの部位には、サスペンションコイルばね用のばね座面が一体的に形成されている滑り軸受が提案されている。
【0006】
また、特許文献2においては、車体側用の車体側座面及び環状下面を有した合成樹脂製の上部ケースと、環状下面に対面する環状上面及びサスペンションコイルばね用のばね座面が一体的に形成されていると共に上部ケースの軸心回りで回転自在となるように当該上部ケースに重ね合わされる合成樹脂製の下部ケースと、環状下面及び環状上面間の環状隙間に配されると共に環状下面及び環状上面のうちの少なくとも一方に滑動自在に当接する環状のスラスト滑り軸受面を有したスラスト滑り軸受片とを具備しており、車体側座面、スラスト滑り軸受面及びばね座面は、軸方向において互いに並んで配されているスラスト滑り軸受が提案されている。
【0007】
これらの滑り軸受によれば、下部ケースにサスペンションコイルばね用のばね座面を有しているために、板金製のばね座部材を省略することができ、板金製の上部ばね座部材に起因する重量増加及び板金製の上部ばね座部材の製造、塗装及び組付け等に起因する価格増加をなくし得て、自動車の足回りの軽量化、低価格化を図ることができるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記滑り軸受において、板金製のばね座部材が省かれることにより、例えば、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が定期的又は不定期的に実施された場合、高圧噴水による洗浄水が滑り軸受の内部に侵入してグリース等の潤滑油剤を流出させて摺動性を低下させるなどの不具合を生じる虞がある。
【0009】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が定期的又は不定期的に実施された場合であっても、洗浄水の内部への侵入を極力防止でき、洗浄水の内部への侵入に起因する不具合を生じることのない合成樹脂製の滑り軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに対して軸心の回りで円周方向に回転自在となるように、当該上部ケースに重ね合わされている合成樹脂製の下部ケースと、上部ケース及び下部ケース間の空間に配されている合成樹脂製の滑り軸受片とを具備しており、上部ケースは、軸方向において円環状下面を有した円環状の上部ケース基部とこの上部ケース基部の径方向の内周端部から垂下した内周側円筒垂下部と、上部ケース基部の径方向の外周端部から垂下した外周側円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の内面と協働して円環状凹部を形成すると共に円環状下面から垂下する中間円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の端部の内周面から径方向の内方に向かって突出する係合フック部とを一体的に有しており、下部ケースは、軸方向において円環状上面を有した円環状の下部ケース基部と、下部ケース基部の円環状上面から軸方向の上方に向かって突出した中央円筒状突出部と、下部ケース基部の円環状下面の内周部から軸方向の下方に向かって突出した円筒部と、中央円筒状突出部の円環状上面の外周縁から軸方向の上方に向かって突出した中間円筒突部と、中央円筒状突出部の外周面に該中間円筒突部の外周面と協働して外側円環状凹部を形成するように当該中央円筒状突出部の外周面から径方向の外方に突出すると共に外周面に軸方向の下方に向かうに従って漸次拡径する拡径テーパ面、該拡径テーパ面に連接すると共に当該拡径テーパ面と協働して被係合フック部を形成して軸方向の下方に向かうに従って漸次縮径する縮径テーパ面及び縮径テーパ面に連接した湾曲凹面を備えた外側円筒状突出部と、上面が湾曲凹面に連接して径方向の外方に伸びると共に下面を下部ケース基部の円環状下面と面一にして中央円筒状突出部の外周面に形成された幅広の円環状鍔部とを一体的に有しており、滑り軸受片は、軸方向における円環状の上面及び径方向の円筒状の内周面で上部ケース基部の円環状下面及び内周側円筒垂下部の径方向の外周面に夫々摺動自在に接触する一方、軸方向における円環状の下面及び径方向の円筒状の外周面で中央円筒状突出部の軸方向における円環状上面及び径方向の中央円筒状突出部の円筒状内周面に夫々接触するように、前記空間において上部ケース基部の円環状下面及び中央円筒状突出部の円環状上面間の円環状空間及び内周側円筒垂下部の外周面及び中央円筒状突出部の円筒状内周面間の円筒状空間に配されており、上部ケースは、その中間円筒垂下部を下部ケースの外側円環状凹部に、その円環状凹部に下部ケースの外側円筒状突出部の軸方向の上端部を配してラビリンス作用をなす外側密封部を形成すると共に係合フック部を被係合フック部に弾性装着させて下部ケースに軸心の回りで円周方向に回転自在となるように重ね合わされており、係合フック部と被係合フック部との弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される隙間は、軸方向の下方に関して、下部ケースの幅広の円環状鍔部によって覆われていることを特徴とする。
【0011】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受によれば、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、内部への侵入口となる弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される環状の隙間は、軸方向の下方に関して、下部ケースの幅広の円環状鍔部によって覆われているので、高圧噴水による洗浄水が直接内部に侵入することは極力防止されるので、内部に充填されたグリース等の潤滑油剤の軸受外部への流出はなく、潤滑油剤の流出に起因する軸受性能の低下は極力防止される。
【0012】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受において、上部ケースは、内周側円筒垂下部の軸方向の下部と中央円筒状突出部の内周面との間にラビリンス作用をなす内側密封部を形成して下部ケースに重ね合わされていてもよい。
【0013】
斯かる滑り軸受によれば、内周側円筒垂下部の軸方向の下部と中央円筒状突出部の内周面との間にラビリンス作用をなす内側密封部が形成されているので、斯かる内側密封部によって内周側から内部に高圧噴水による洗浄水が浸入することが極力防止され、内部に充填されたグリース等の潤滑油剤の軸受外部への流出はなく、潤滑油剤の流出に起因する軸受性能の低下は極力防止される。
【0014】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受において、幅広の円環状鍔部の外周縁側には、円周方向に沿って複数個の貫通孔が形成されていてもよい。
【0015】
幅広の円環状鍔部の外周縁側に複数個の貫通孔を形成することにより、高圧洗浄器による高圧噴水が車体の取付部材側に衝突し、その反射した噴水が円環状鍔部の貫通孔から排水されるようにしたもので、該貫通孔は、噴水が円環状鍔部の上面に滞留するのを防ぐ排水溝の役割を果たすものである。
【0016】
滑り軸受片は、上部ケース基部の円環状下面に摺動自在に接触する円環状の上面及び中央円環状突部の円環状上面に接触する円環状の下面を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部と、一端部でスラスト軸受片部の一端部から軸方向下方に伸びて当該一端部に一体的に形成されていると共に内周側円筒垂下部の外周面に摺動自在に接触する円筒状の内周面及び中央円筒状突出部の内周面に接触する円筒状の外周面を夫々有した円筒状のラジアル滑り軸受片部とを具備していてもよい。
【0017】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面の内周側に形成された円環状溝と、円環状溝に一端で開口している一方、他端でその外周面に開口していると共にその上面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の径方向溝とを有していてもよく、ラジアル滑り軸受片部は、両端で開口して円筒状の内周面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝を有していてもよく、これら円環状溝及び複数個の径方向溝は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となる。
【0018】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向に少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部及び外側凹部を有していてもよく、斯かる内側凹部と外側凹部とは、互いに円周方向に位相差をもって配列されていてもよい。
【0019】
複数個の内側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、内側円弧状壁面及び該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、該外側円弧状壁面及び該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されていてもよく、また複数個の外側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、当該内側円弧状壁面及び当該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、当該内側円弧状壁面、当該外側円弧状壁面及び当該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されていてもよい。
【0020】
複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合は、20〜50%、好ましくは30〜40%である。
【0021】
グリース等の潤滑油剤を保持するこれら内側凹部及び外側凹部において、潤滑油剤の低摩擦性を良好に発揮させるために、複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合が、少なくとも20%であるとよく、これが、50%を超えるとスラスト滑り軸受片部の強度低下を来たし、クリープ等の塑性変形が生じやすくなる。
【0022】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、好ましくは、四輪自動車におけるストラット型サスペンションのスラスト滑り軸受として用いられる。
【0023】
上部ケースを形成する合成樹脂は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂であってもよく、また、下部ケースを形成する合成樹脂は、ガラス繊維、炭素繊維等の補強繊維を含有したポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂であってもよく、滑り軸受片を形成する合成樹脂は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂などの熱可塑性合成樹脂などを好ましい例として挙げることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、下部ケース基部の中央円筒状突出部の外周面に一体的に形成された幅広の円環状鍔部が、内部への侵入口となる弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される環状の隙間を覆っているので、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、洗浄水の内部への侵入を極力防止でき、洗浄水の内部への侵入に起因する不具合が生じることのない合成樹脂製の滑り軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の好ましい例の図2に示すI−I線矢視断面説明図である。
【図2】図2は、図1に示す例の平面説明図である。
【図3】図3は、図1に示す例の正面説明図である。
【図4】図4は、図1に示す例の一部拡大断面説明図である。
【図5】図5は、図1に示す例の上部ケースの断面説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例の図5に示す上部ケースの一部拡大断面説明図である。
【図7】図7は、図1に示す例の下部ケースの平面説明図である。
【図8】図8は、図7に示す下部ケースのVIII−VIII線矢視断面説明図である。
【図9】図9は、図8に示す下部ケースの一部拡大断面説明図である。
【図10】図10は、図7に示す下部ケースのX−X線矢視断面説明図である。
【図11】図11は、図7に示す下部ケースの一部拡大平面説明図である。
【図12】図12は、図7に示す下部ケースの斜視説明図である。
【図13】図13は、図14に示す滑り軸受片のXIII−XIII線矢視断面説明図である。
【図14】図14は、図1に示す滑り軸受片の平面説明図である。
【図15】図15は、図1に示す滑り軸受片の底面説明図である。
【図16】図16は、図14に示す滑り軸受片のXVI−XVI線矢視断面説明図である。
【図17】図17は、図14に示す滑り軸受片のXVII−XVII線矢視断面説明図である。
【図18】図18は、図1に示す例の滑り軸受片の他の実施の形態の図19に示すXVIII−XVIII線矢視断面説明図である。
【図19】図19は、図18に示す滑り軸受片の平面説明図である。
【図20】図20は、図18に示す滑り軸受片の底面説明図である。
【図21】図21は、図18に示す滑り軸受片の一部拡大平面説明図である。
【図22】図22は、図19に示す滑り軸受のXXII−XXII線矢視断面説明図である。
【図23】図23は、図19に示す滑り軸受のXXIII−XXIII線矢視断面説明図である。
【図24】図24は、図1に示す滑り軸受をストラット型サスペンションに組込んだ断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から図4において、四輪自動車におけるストラット型サスペンションに用いるための本例の合成樹脂製の滑り軸受1は、取付部材を介して車体側に固定される合成樹脂製の上部ケース2と、上部ケース2に対して軸心Oの回りで円周方向Rに回転自在となるように上部ケース2に重ね合わされている合成樹脂製の下部ケース3と、上部ケース2及び下部ケース3間の空間4に配されている合成樹脂製の滑り軸受片5とを具備している。
【0027】
上部ケース2は、特に、図5及び図6に示すように、軸方向Yにおいて円環状下面6を有した円環状の上部ケース基部7と、上部ケース基部7の径方向Xの内周端部8から垂下した内周側円筒垂下部9と、上部ケース基部7の径方向Xの外周端部10から垂下した外周側円筒垂下部11と、外周側円筒垂下部11の内周面12と協働して円環状凹部13を形成すると共に円環状下面6の径方向Xの外周側円筒垂下部11側の部位から軸方向Yの下方に垂下する中間円筒垂下部14と、上部ケース基部7の円環状上面15の径方向Xの中央部に突出して形成された円環状の台座部16とを一体的に有している。
【0028】
内周側円筒垂下部9は、上端部17で上部ケース基部7の径方向Xの内周端部8に連接された厚肉円筒部18と、厚肉円筒部18の円環状端面19の外周側から軸方向Yの下方に突出すると共に厚肉円筒部18の外周面20に連接する外周面を有した外側円筒突部21と、外側円筒突部21の内周面28及び円環状端面19と協働して円環状凹部22を形成するように円環状端面19の内周側から軸方向Yの下方に突出すると共に先端部23が外側円筒突部21の先端部24よりも下方に位置した内側円筒突部25とを有しており、内側円筒突部25の内周面26は、段部円環状面27を介して縮径して厚肉円筒部18の内周面28に連接されている。
【0029】
上部ケース2は、内周面12において外周側円筒垂下部11の端部の内周面29から径方向Xの内方に向かって突出する円環状の係合フック部30を外周側円筒垂下部11と共に更に一体的に有している。
【0030】
下部ケース3は、特に、図7から図12に示すように、軸方向Yにおいて円環状上面31を有した円環状の下部ケース基部32と、下部ケース基部32の円環状上面31から軸方向Yの上方に向かって突出した中央円筒状突出部33と、下部ケース基部31の円環状下面34の内周部35から軸方向Yの下方に向かって突出すると共に下部ケース基部32の内周面36よりも拡径した内周面37を有する円筒部38と、円筒部38の端面39から軸方向Yの下方に向かって突出した円環状の突出部40と、中央円筒状突出部33の円環状上面41の外周縁から軸方向Yの上方に向かって突出した中間円筒突部42とを一体的に有しており、円筒部38と下部ケース基部32とは、サスペンションコイルばね用のばね座となり、円環状下面34は、サスペンションコイルばね用の円環状のばね座面となり、円筒部38の外周面は、当該サスペンションコイルばねを中心位置決めするようになっている。
【0031】
下部ケース3は、中央円筒状突出部33の外周面43に中間円筒突部42の外周面44と協働して外側円環状凹部45を形成するように当該中央円筒状突出部33の外周面43から径方向Xの外方に突出すると共に外周面46に軸方向Xの下方に向かうに従って漸次拡径する拡径テーパ面47、拡径テーパ面47に連接すると共に当該拡径テーパ面47と協働して径方向Xの外方に突出する円環状の被係合フック部48を形成して軸方向Yの下方に向かうに従って漸次縮径する縮径テーパ面49及び縮径テーパ面49に連接した湾曲凹面50を備えた外側円筒状突出部51と、上面52が湾曲凹面50に連接して径方向Xの外方に伸びると共に下面53を下部ケース基部32の円環状下面34と面一にして中央円筒状突出部33の外周面43に形成された幅広の円環状鍔部54とを更に一体的に有している。
【0032】
幅広の円環状鍔部54の上面52は、湾曲凹面50に連接する円環状平面部55と、円環状平面部55と連接すると共に円環状鍔部54の外周面56に向かって伸びる下り勾配のテーパ面部57とを具備しており、円環状鍔部54の下面53は、下面53に向かって伸びる下り勾配のテーパ面部58を介して該外周面56に連接している。
【0033】
幅広の円環状鍔部54の外周縁側には、一方の端部60がテーパ面部57で開口する一方、他方の端部61が下面53で開口する貫通孔62が円周方向Rに沿って複数個形成されており、貫通孔62は、図示するように平面視方形状であっても、その他平面視円形、楕円形等であってもよい。
【0034】
中央円筒状突出部33は、その円環状上面41に連接した径方向Xの円筒状の内周面63と、円筒状の内周面63の下端に連接すると共に円周方向Rにおいて断続した湾曲凹面部64とを具備しており、下部ケース3は、中央円筒状突出部33よりも径方向の内側に位置すると共に下部ケース基部32の円環状上面31から軸方向Yの上方に向かって突出した円筒状の内側円筒状突部65を更に有している。
【0035】
中央円筒状突出部33の円環状上面41には、円周方向Rに沿って複数個の穴部66が軸方向Yの下方に向かって形成されており、円形開口部67で開口した穴部66は、底面68と、円形開口部67から底面68にかけて先細りとなる截頭円錐截頭円錐面69で規定されており、これら穴部66は、下部ケース3の中央円筒状突出部33の肉厚と下部ケース3のその他の部位の肉厚とを均肉にして成形時のヒケ等の不具合を極力低下させるために設けられている。
【0036】
空間4に配された合成樹脂製の滑り軸受片5は、特に、図13から図17に示すように、上部ケース基部7の円環状下面6に摺動自在に接触する軸方向Yにおける円環状の上面70及び中央円筒状突出部33の円環状上面41に接触する軸方向Yにおける円環状の下面71を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部72と、円環状の一端部でスラスト滑り軸受片部72の円環状の一端部から軸方向Yの下方に伸びて当該一端部に一体的に形成されていると共に内周側円筒垂下部9の厚肉円筒部18の外周面20に摺動自在に接触する径方向Xの円筒状の内周面73及び中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63に接触する径方向Xの円筒状の外周面74を有している円筒状のラジアル滑り軸受片部75とを具備している。
【0037】
空間4において上部ケース基部7の円環状下面6及び中央円筒状突出部33の円環状上面41間の円環状空間4aに配されたスラスト滑り軸受片部72は、円環状の上面70の内周側に設けられた円環状溝76と、円環状溝76に一端77で開口している一方、他端78で外周面79に開口していると共に上面70に円周方向Rに沿って等間隔に離間して形成された複数個の径方向溝80とを有しており、空間4において内周側円筒垂下部9の厚肉円筒部18の外周面20及び中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63間の円筒状空間4bに配されたラジアル滑り軸受片部75は、両端で開口して円筒状の内周面73に円周方向Rに沿って等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝81を有しており、これら円環状溝76、径方向溝80及び軸方向溝81は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となっている。
【0038】
上部ケース2は、中間円筒垂下部14を下部ケース3のの外側円環状凹部45に、円環状凹部13に外側円筒状突出部51の軸方向Yの上端部51aを夫々配してラビリンス作用をなす外側密封部を形成する一方円環状凹部22に円環状突部65を配して内周側円筒垂下部18の軸方向Yの下部と中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63との間にラビリンス作用をなす内側密封部を形成すると共に係合フック部30を被係合フック部48に弾性装着させて下部ケース3に軸心Oの周りで円周方向Rに回転自在となるように重ね合わされており、係合フック部30と被係合フック部48との弾性装着部における湾曲凹面50と係合フック部30とで形成される円環状の隙間Cは、軸方向Yの下方に関して、下部ケース3の幅広の円環状鍔部54によって覆われている。
【0039】
斯かる滑り軸受1によれば、上部ケース2に対する下部ケース3の円周方向Rの相対回転を、上部ケース基部7の円環状下面6に対するスラスト滑り軸受片部72の上面70及び厚肉円筒部18の外周面20に対するラジアル滑り軸受片部75の内周面73の夫々の円周方向Rの相対的な摺動でもって許容するようになっている。
【0040】
湾曲凹面50と係合フック部30とで形成される円環状の隙間Cは、幅広の円環状鍔部54によって軸方向Yに関して覆われているので、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、洗浄水の滑り軸受1の内部である円環状空間4aへの侵入が極力防止され、洗浄水の滑り軸受1の内部への侵入に起因する不具合が生じることがない。
【0041】
ところで、図18から図23に示すように、上部ケース基部7の円環状下面6に摺動自在に接触する円環状の上面70及び下部ケース3の中央円筒状突出部33の円環状上面41に接触する円環状の下面71を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部72と、円環状の一端部でスラスト滑り軸受片部72の円環状の一端部に一体的に形成されて軸方向Yの下方に伸びていると共に上部ケース2の内周側円筒垂下部9の厚肉円筒部18の外周面20に摺動自在に接触する円筒状の内周面73及び下部ケース3の中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63に接触する円筒状の外周面74を有した円筒状のラジアル滑り軸受片部75とを具備している合成樹脂製の滑り軸受片5において、スラスト滑り軸受片部72は、円環状の上面70に円周方向Rに沿うと共に径方向Xに少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部82及び外側凹部83を有していてもよい。
【0042】
内側列に形成された複数個の内側凹部82の夫々は、軸心Oを中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面84と、内側円弧状壁面84に対して径方向Xの外方で軸心Oを中心として円弧状に伸びた、即ち、内側円弧状壁面84に対して径方向Xに拡径された外側円弧状壁面85と、内側円弧状壁面84及び外側円弧状壁面85の夫々に連接されていると共に互いに円周方向Rにおいて対面する一対の半円弧状壁面86と、内側円弧状壁面84、外側円弧状壁面85及び一対の半円弧状壁面86の夫々に連接された底壁面82aとで規定されている。
【0043】
外側列に形成された外側凹部83の夫々は、軸心Oを中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面87と、内側円弧状壁面87に対して径方向Xの外方で軸心Oを中心として円孔状に伸びた、即ち、内側円弧状壁面87に対して径方向Xに拡径された外側円弧状壁面88と、内側円弧状壁面84及び外側円弧状壁面88の夫々に連接されていると共に互いに円周方向Rにおいて対面する一対の半円弧状壁面89と、内側円弧状壁面87、外側円弧状壁面88及び一対の半円弧状で壁面89の夫々に連接された底壁面83aとで規定されており、外側凹部83は、内側列に形成された内側凹部82間の円周方向Rの夫々の切れ目90に対応する位置に配列されており、而して、内側凹部82と外側凹部83とは、互いに円周方向Rに位相差をもって配列されている。
【0044】
円周方向Rに沿って各60°間隔で配列された小円形部91は、滑り軸受片5の成形時の突き出しピン位置を示し、内側凹部82には配列されていない。
【0045】
スラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70に円周方向Rに沿うと共に径方向Xに内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部82及び外側凹部83は、内側凹部82及び外側凹部83の開口面92とスラスト滑り軸受面であるスラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70とを合わせた総面積に占める内側凹部82及び外側凹部83の開口面92の総面積の割合が20〜50%、好ましくは30〜40%となるように配列されている。
【0046】
図18から図23に示すラジアル滑り軸受片部75も、軸方向Yの両端で開口して円筒状の内周面73に円周方向Rに等間隔に離間して設けられた複数個の軸方向溝81を有していてもよい。
【0047】
スラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70に円周方向Rに沿うと共に径方向Xに少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部82及び外側凹部83並びに軸方向溝81は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となる。
【0048】
このように形成された滑り軸受片5のスラスト滑り軸受片部72によれば、円環状の上面70に内側凹部82及び外側凹部83が形成されているために、スラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70と上部ケース基部7の円環状下面6との軸心Oの回りでの円周方向Rの相対回転において、スラスト滑り軸受面であって摺動面となる円環状の上面70と相手材、すなわち上部ケース基部7の円環状下面6との接触面積を減少させて、円環状の上面70に作用する面圧(単位面積あたりの荷重)を高めることができ、合成樹脂同士の摩擦による低摩擦化と内側凹部82及び外側凹部83に充填された潤滑油剤の摺動面への介在による低摩擦化とが相俟って一層の低摩擦化を図ることができる。
【0049】
例えば、図24に示すように、車体側の取付部材93の車体側座面94に上部ケース2の台座部16を当接させ、サスペンションコイルばね95の上端部にばね座面としての下部ケース基部32の円環状下面34を当接させて、本例の合成樹脂製の滑り軸受1を車体側の取付部材93の車体側座面94とサスペンションコイルばね95の上端部との間に配して、当該本例の合成樹脂製の滑り軸受1を四輪自動車におけるストラット型サスペンションに適用してもよい。
【0050】
図24に示すストラット型サスペンションでは、車体側の取付部材93に対するサスペンションコイルばね95の円周方向Rの相対回転は、滑り軸受1において、上部ケース基部7の円環状下面6に対するスラスト滑り軸受片部72の上面70及び厚肉円筒部18の外周面20に対するラジアル滑り軸受片部75の内周面73の夫々の円周方向Rの相対的な摺動で許容される。
【0051】
また、弾性装着部における湾曲凹面50と係合フック部30とで形成される環状の隙間Cは、中央円筒状突出部33の外周面44に一体的に形成された幅広の円環状鍔部54によって軸方向Xに関して覆われているので、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、洗浄水の滑り軸受1の内部である空間4、特に円環状空間4aへの侵入が極力防止され、洗浄水の滑り軸受1の内部への侵入に起因する不具合が生じることがない。
【符号の説明】
【0052】
1 滑り軸受
2 上部ケース
3 下部ケース
4 空間
5 滑り軸受片
54 円環状鍔部
C 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の滑り軸受、とくに四輪自動車におけるスタラット型サスペンション(マクファーソン式)の滑り軸受として組込まれて好適な滑り軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スタラット型サスペンションは、主として四輪自動車の前輪に用いられ、主軸と一体となった外筒の中に油圧式ショックアブソーバを内蔵したストラットアッセンブリにサスペンションコイルばねを組合せたものである。斯かるサスペンションには、ストラットの軸線に対してコイルばねの軸線を積極的にオフセットさせ、ストラットに内蔵されたショックアブソーバのピストンロッドの摺動を円滑に行わせる構造のものと、ストラットの軸線に対してコイルばねの軸線を一致させて配置する構造のものとがある。いずれの構造においても、ステアリング操作によりストラットアッセンブリがサスペンションコイルばねとともに回転する際、当該回転を円滑に許容するべく車体の取付部材とサスペンションコイルばねの上部ばね座部材との間に、ボール若しくはニードルを使用したころがり軸受又は合成樹脂製の滑り軸受が配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−293589号公報
【特許文献2】特開2009−250278号公報
【0004】
ところで、上記軸受が配される上部ばね座部材は通常、板金製であるために比較的重く、また板金製の上部ばね座部材には防錆用の塗装を施す必要があるため、自動車の足回りの軽量化、低価格化を図るべく高価なころがり軸受に代えて滑り軸受を用いても上部ばね座部材の重量、製造費、組付け費用等によって斯かる軽量化、低価格化には限界がある。
【0005】
特許文献1においては、車体側の車体側座面及び環状下面を有した合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに当該上部ケースの軸心回りで回転自在となるように重ね合わされると共に上部ケースの環状下面に対面した環状上面を有した合成樹脂製の下部ケースと、環状下面及び環状上面間に介在されている合成樹脂製の環状のスラスト滑り軸受片とを具備しており、車体側座面及びスラスト滑り軸受片よりも外周側の下部ケースの部位には、サスペンションコイルばね用のばね座面が一体的に形成されている滑り軸受が提案されている。
【0006】
また、特許文献2においては、車体側用の車体側座面及び環状下面を有した合成樹脂製の上部ケースと、環状下面に対面する環状上面及びサスペンションコイルばね用のばね座面が一体的に形成されていると共に上部ケースの軸心回りで回転自在となるように当該上部ケースに重ね合わされる合成樹脂製の下部ケースと、環状下面及び環状上面間の環状隙間に配されると共に環状下面及び環状上面のうちの少なくとも一方に滑動自在に当接する環状のスラスト滑り軸受面を有したスラスト滑り軸受片とを具備しており、車体側座面、スラスト滑り軸受面及びばね座面は、軸方向において互いに並んで配されているスラスト滑り軸受が提案されている。
【0007】
これらの滑り軸受によれば、下部ケースにサスペンションコイルばね用のばね座面を有しているために、板金製のばね座部材を省略することができ、板金製の上部ばね座部材に起因する重量増加及び板金製の上部ばね座部材の製造、塗装及び組付け等に起因する価格増加をなくし得て、自動車の足回りの軽量化、低価格化を図ることができるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記滑り軸受において、板金製のばね座部材が省かれることにより、例えば、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が定期的又は不定期的に実施された場合、高圧噴水による洗浄水が滑り軸受の内部に侵入してグリース等の潤滑油剤を流出させて摺動性を低下させるなどの不具合を生じる虞がある。
【0009】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が定期的又は不定期的に実施された場合であっても、洗浄水の内部への侵入を極力防止でき、洗浄水の内部への侵入に起因する不具合を生じることのない合成樹脂製の滑り軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに対して軸心の回りで円周方向に回転自在となるように、当該上部ケースに重ね合わされている合成樹脂製の下部ケースと、上部ケース及び下部ケース間の空間に配されている合成樹脂製の滑り軸受片とを具備しており、上部ケースは、軸方向において円環状下面を有した円環状の上部ケース基部とこの上部ケース基部の径方向の内周端部から垂下した内周側円筒垂下部と、上部ケース基部の径方向の外周端部から垂下した外周側円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の内面と協働して円環状凹部を形成すると共に円環状下面から垂下する中間円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の端部の内周面から径方向の内方に向かって突出する係合フック部とを一体的に有しており、下部ケースは、軸方向において円環状上面を有した円環状の下部ケース基部と、下部ケース基部の円環状上面から軸方向の上方に向かって突出した中央円筒状突出部と、下部ケース基部の円環状下面の内周部から軸方向の下方に向かって突出した円筒部と、中央円筒状突出部の円環状上面の外周縁から軸方向の上方に向かって突出した中間円筒突部と、中央円筒状突出部の外周面に該中間円筒突部の外周面と協働して外側円環状凹部を形成するように当該中央円筒状突出部の外周面から径方向の外方に突出すると共に外周面に軸方向の下方に向かうに従って漸次拡径する拡径テーパ面、該拡径テーパ面に連接すると共に当該拡径テーパ面と協働して被係合フック部を形成して軸方向の下方に向かうに従って漸次縮径する縮径テーパ面及び縮径テーパ面に連接した湾曲凹面を備えた外側円筒状突出部と、上面が湾曲凹面に連接して径方向の外方に伸びると共に下面を下部ケース基部の円環状下面と面一にして中央円筒状突出部の外周面に形成された幅広の円環状鍔部とを一体的に有しており、滑り軸受片は、軸方向における円環状の上面及び径方向の円筒状の内周面で上部ケース基部の円環状下面及び内周側円筒垂下部の径方向の外周面に夫々摺動自在に接触する一方、軸方向における円環状の下面及び径方向の円筒状の外周面で中央円筒状突出部の軸方向における円環状上面及び径方向の中央円筒状突出部の円筒状内周面に夫々接触するように、前記空間において上部ケース基部の円環状下面及び中央円筒状突出部の円環状上面間の円環状空間及び内周側円筒垂下部の外周面及び中央円筒状突出部の円筒状内周面間の円筒状空間に配されており、上部ケースは、その中間円筒垂下部を下部ケースの外側円環状凹部に、その円環状凹部に下部ケースの外側円筒状突出部の軸方向の上端部を配してラビリンス作用をなす外側密封部を形成すると共に係合フック部を被係合フック部に弾性装着させて下部ケースに軸心の回りで円周方向に回転自在となるように重ね合わされており、係合フック部と被係合フック部との弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される隙間は、軸方向の下方に関して、下部ケースの幅広の円環状鍔部によって覆われていることを特徴とする。
【0011】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受によれば、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、内部への侵入口となる弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される環状の隙間は、軸方向の下方に関して、下部ケースの幅広の円環状鍔部によって覆われているので、高圧噴水による洗浄水が直接内部に侵入することは極力防止されるので、内部に充填されたグリース等の潤滑油剤の軸受外部への流出はなく、潤滑油剤の流出に起因する軸受性能の低下は極力防止される。
【0012】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受において、上部ケースは、内周側円筒垂下部の軸方向の下部と中央円筒状突出部の内周面との間にラビリンス作用をなす内側密封部を形成して下部ケースに重ね合わされていてもよい。
【0013】
斯かる滑り軸受によれば、内周側円筒垂下部の軸方向の下部と中央円筒状突出部の内周面との間にラビリンス作用をなす内側密封部が形成されているので、斯かる内側密封部によって内周側から内部に高圧噴水による洗浄水が浸入することが極力防止され、内部に充填されたグリース等の潤滑油剤の軸受外部への流出はなく、潤滑油剤の流出に起因する軸受性能の低下は極力防止される。
【0014】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受において、幅広の円環状鍔部の外周縁側には、円周方向に沿って複数個の貫通孔が形成されていてもよい。
【0015】
幅広の円環状鍔部の外周縁側に複数個の貫通孔を形成することにより、高圧洗浄器による高圧噴水が車体の取付部材側に衝突し、その反射した噴水が円環状鍔部の貫通孔から排水されるようにしたもので、該貫通孔は、噴水が円環状鍔部の上面に滞留するのを防ぐ排水溝の役割を果たすものである。
【0016】
滑り軸受片は、上部ケース基部の円環状下面に摺動自在に接触する円環状の上面及び中央円環状突部の円環状上面に接触する円環状の下面を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部と、一端部でスラスト軸受片部の一端部から軸方向下方に伸びて当該一端部に一体的に形成されていると共に内周側円筒垂下部の外周面に摺動自在に接触する円筒状の内周面及び中央円筒状突出部の内周面に接触する円筒状の外周面を夫々有した円筒状のラジアル滑り軸受片部とを具備していてもよい。
【0017】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面の内周側に形成された円環状溝と、円環状溝に一端で開口している一方、他端でその外周面に開口していると共にその上面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の径方向溝とを有していてもよく、ラジアル滑り軸受片部は、両端で開口して円筒状の内周面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝を有していてもよく、これら円環状溝及び複数個の径方向溝は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となる。
【0018】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向に少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部及び外側凹部を有していてもよく、斯かる内側凹部と外側凹部とは、互いに円周方向に位相差をもって配列されていてもよい。
【0019】
複数個の内側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、内側円弧状壁面及び該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、該外側円弧状壁面及び該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されていてもよく、また複数個の外側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、当該内側円弧状壁面及び当該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、当該内側円弧状壁面、当該外側円弧状壁面及び当該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されていてもよい。
【0020】
複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合は、20〜50%、好ましくは30〜40%である。
【0021】
グリース等の潤滑油剤を保持するこれら内側凹部及び外側凹部において、潤滑油剤の低摩擦性を良好に発揮させるために、複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合が、少なくとも20%であるとよく、これが、50%を超えるとスラスト滑り軸受片部の強度低下を来たし、クリープ等の塑性変形が生じやすくなる。
【0022】
本発明の合成樹脂製の滑り軸受は、好ましくは、四輪自動車におけるストラット型サスペンションのスラスト滑り軸受として用いられる。
【0023】
上部ケースを形成する合成樹脂は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂であってもよく、また、下部ケースを形成する合成樹脂は、ガラス繊維、炭素繊維等の補強繊維を含有したポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂であってもよく、滑り軸受片を形成する合成樹脂は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂などの熱可塑性合成樹脂などを好ましい例として挙げることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、下部ケース基部の中央円筒状突出部の外周面に一体的に形成された幅広の円環状鍔部が、内部への侵入口となる弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される環状の隙間を覆っているので、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、洗浄水の内部への侵入を極力防止でき、洗浄水の内部への侵入に起因する不具合が生じることのない合成樹脂製の滑り軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の好ましい例の図2に示すI−I線矢視断面説明図である。
【図2】図2は、図1に示す例の平面説明図である。
【図3】図3は、図1に示す例の正面説明図である。
【図4】図4は、図1に示す例の一部拡大断面説明図である。
【図5】図5は、図1に示す例の上部ケースの断面説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例の図5に示す上部ケースの一部拡大断面説明図である。
【図7】図7は、図1に示す例の下部ケースの平面説明図である。
【図8】図8は、図7に示す下部ケースのVIII−VIII線矢視断面説明図である。
【図9】図9は、図8に示す下部ケースの一部拡大断面説明図である。
【図10】図10は、図7に示す下部ケースのX−X線矢視断面説明図である。
【図11】図11は、図7に示す下部ケースの一部拡大平面説明図である。
【図12】図12は、図7に示す下部ケースの斜視説明図である。
【図13】図13は、図14に示す滑り軸受片のXIII−XIII線矢視断面説明図である。
【図14】図14は、図1に示す滑り軸受片の平面説明図である。
【図15】図15は、図1に示す滑り軸受片の底面説明図である。
【図16】図16は、図14に示す滑り軸受片のXVI−XVI線矢視断面説明図である。
【図17】図17は、図14に示す滑り軸受片のXVII−XVII線矢視断面説明図である。
【図18】図18は、図1に示す例の滑り軸受片の他の実施の形態の図19に示すXVIII−XVIII線矢視断面説明図である。
【図19】図19は、図18に示す滑り軸受片の平面説明図である。
【図20】図20は、図18に示す滑り軸受片の底面説明図である。
【図21】図21は、図18に示す滑り軸受片の一部拡大平面説明図である。
【図22】図22は、図19に示す滑り軸受のXXII−XXII線矢視断面説明図である。
【図23】図23は、図19に示す滑り軸受のXXIII−XXIII線矢視断面説明図である。
【図24】図24は、図1に示す滑り軸受をストラット型サスペンションに組込んだ断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から図4において、四輪自動車におけるストラット型サスペンションに用いるための本例の合成樹脂製の滑り軸受1は、取付部材を介して車体側に固定される合成樹脂製の上部ケース2と、上部ケース2に対して軸心Oの回りで円周方向Rに回転自在となるように上部ケース2に重ね合わされている合成樹脂製の下部ケース3と、上部ケース2及び下部ケース3間の空間4に配されている合成樹脂製の滑り軸受片5とを具備している。
【0027】
上部ケース2は、特に、図5及び図6に示すように、軸方向Yにおいて円環状下面6を有した円環状の上部ケース基部7と、上部ケース基部7の径方向Xの内周端部8から垂下した内周側円筒垂下部9と、上部ケース基部7の径方向Xの外周端部10から垂下した外周側円筒垂下部11と、外周側円筒垂下部11の内周面12と協働して円環状凹部13を形成すると共に円環状下面6の径方向Xの外周側円筒垂下部11側の部位から軸方向Yの下方に垂下する中間円筒垂下部14と、上部ケース基部7の円環状上面15の径方向Xの中央部に突出して形成された円環状の台座部16とを一体的に有している。
【0028】
内周側円筒垂下部9は、上端部17で上部ケース基部7の径方向Xの内周端部8に連接された厚肉円筒部18と、厚肉円筒部18の円環状端面19の外周側から軸方向Yの下方に突出すると共に厚肉円筒部18の外周面20に連接する外周面を有した外側円筒突部21と、外側円筒突部21の内周面28及び円環状端面19と協働して円環状凹部22を形成するように円環状端面19の内周側から軸方向Yの下方に突出すると共に先端部23が外側円筒突部21の先端部24よりも下方に位置した内側円筒突部25とを有しており、内側円筒突部25の内周面26は、段部円環状面27を介して縮径して厚肉円筒部18の内周面28に連接されている。
【0029】
上部ケース2は、内周面12において外周側円筒垂下部11の端部の内周面29から径方向Xの内方に向かって突出する円環状の係合フック部30を外周側円筒垂下部11と共に更に一体的に有している。
【0030】
下部ケース3は、特に、図7から図12に示すように、軸方向Yにおいて円環状上面31を有した円環状の下部ケース基部32と、下部ケース基部32の円環状上面31から軸方向Yの上方に向かって突出した中央円筒状突出部33と、下部ケース基部31の円環状下面34の内周部35から軸方向Yの下方に向かって突出すると共に下部ケース基部32の内周面36よりも拡径した内周面37を有する円筒部38と、円筒部38の端面39から軸方向Yの下方に向かって突出した円環状の突出部40と、中央円筒状突出部33の円環状上面41の外周縁から軸方向Yの上方に向かって突出した中間円筒突部42とを一体的に有しており、円筒部38と下部ケース基部32とは、サスペンションコイルばね用のばね座となり、円環状下面34は、サスペンションコイルばね用の円環状のばね座面となり、円筒部38の外周面は、当該サスペンションコイルばねを中心位置決めするようになっている。
【0031】
下部ケース3は、中央円筒状突出部33の外周面43に中間円筒突部42の外周面44と協働して外側円環状凹部45を形成するように当該中央円筒状突出部33の外周面43から径方向Xの外方に突出すると共に外周面46に軸方向Xの下方に向かうに従って漸次拡径する拡径テーパ面47、拡径テーパ面47に連接すると共に当該拡径テーパ面47と協働して径方向Xの外方に突出する円環状の被係合フック部48を形成して軸方向Yの下方に向かうに従って漸次縮径する縮径テーパ面49及び縮径テーパ面49に連接した湾曲凹面50を備えた外側円筒状突出部51と、上面52が湾曲凹面50に連接して径方向Xの外方に伸びると共に下面53を下部ケース基部32の円環状下面34と面一にして中央円筒状突出部33の外周面43に形成された幅広の円環状鍔部54とを更に一体的に有している。
【0032】
幅広の円環状鍔部54の上面52は、湾曲凹面50に連接する円環状平面部55と、円環状平面部55と連接すると共に円環状鍔部54の外周面56に向かって伸びる下り勾配のテーパ面部57とを具備しており、円環状鍔部54の下面53は、下面53に向かって伸びる下り勾配のテーパ面部58を介して該外周面56に連接している。
【0033】
幅広の円環状鍔部54の外周縁側には、一方の端部60がテーパ面部57で開口する一方、他方の端部61が下面53で開口する貫通孔62が円周方向Rに沿って複数個形成されており、貫通孔62は、図示するように平面視方形状であっても、その他平面視円形、楕円形等であってもよい。
【0034】
中央円筒状突出部33は、その円環状上面41に連接した径方向Xの円筒状の内周面63と、円筒状の内周面63の下端に連接すると共に円周方向Rにおいて断続した湾曲凹面部64とを具備しており、下部ケース3は、中央円筒状突出部33よりも径方向の内側に位置すると共に下部ケース基部32の円環状上面31から軸方向Yの上方に向かって突出した円筒状の内側円筒状突部65を更に有している。
【0035】
中央円筒状突出部33の円環状上面41には、円周方向Rに沿って複数個の穴部66が軸方向Yの下方に向かって形成されており、円形開口部67で開口した穴部66は、底面68と、円形開口部67から底面68にかけて先細りとなる截頭円錐截頭円錐面69で規定されており、これら穴部66は、下部ケース3の中央円筒状突出部33の肉厚と下部ケース3のその他の部位の肉厚とを均肉にして成形時のヒケ等の不具合を極力低下させるために設けられている。
【0036】
空間4に配された合成樹脂製の滑り軸受片5は、特に、図13から図17に示すように、上部ケース基部7の円環状下面6に摺動自在に接触する軸方向Yにおける円環状の上面70及び中央円筒状突出部33の円環状上面41に接触する軸方向Yにおける円環状の下面71を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部72と、円環状の一端部でスラスト滑り軸受片部72の円環状の一端部から軸方向Yの下方に伸びて当該一端部に一体的に形成されていると共に内周側円筒垂下部9の厚肉円筒部18の外周面20に摺動自在に接触する径方向Xの円筒状の内周面73及び中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63に接触する径方向Xの円筒状の外周面74を有している円筒状のラジアル滑り軸受片部75とを具備している。
【0037】
空間4において上部ケース基部7の円環状下面6及び中央円筒状突出部33の円環状上面41間の円環状空間4aに配されたスラスト滑り軸受片部72は、円環状の上面70の内周側に設けられた円環状溝76と、円環状溝76に一端77で開口している一方、他端78で外周面79に開口していると共に上面70に円周方向Rに沿って等間隔に離間して形成された複数個の径方向溝80とを有しており、空間4において内周側円筒垂下部9の厚肉円筒部18の外周面20及び中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63間の円筒状空間4bに配されたラジアル滑り軸受片部75は、両端で開口して円筒状の内周面73に円周方向Rに沿って等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝81を有しており、これら円環状溝76、径方向溝80及び軸方向溝81は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となっている。
【0038】
上部ケース2は、中間円筒垂下部14を下部ケース3のの外側円環状凹部45に、円環状凹部13に外側円筒状突出部51の軸方向Yの上端部51aを夫々配してラビリンス作用をなす外側密封部を形成する一方円環状凹部22に円環状突部65を配して内周側円筒垂下部18の軸方向Yの下部と中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63との間にラビリンス作用をなす内側密封部を形成すると共に係合フック部30を被係合フック部48に弾性装着させて下部ケース3に軸心Oの周りで円周方向Rに回転自在となるように重ね合わされており、係合フック部30と被係合フック部48との弾性装着部における湾曲凹面50と係合フック部30とで形成される円環状の隙間Cは、軸方向Yの下方に関して、下部ケース3の幅広の円環状鍔部54によって覆われている。
【0039】
斯かる滑り軸受1によれば、上部ケース2に対する下部ケース3の円周方向Rの相対回転を、上部ケース基部7の円環状下面6に対するスラスト滑り軸受片部72の上面70及び厚肉円筒部18の外周面20に対するラジアル滑り軸受片部75の内周面73の夫々の円周方向Rの相対的な摺動でもって許容するようになっている。
【0040】
湾曲凹面50と係合フック部30とで形成される円環状の隙間Cは、幅広の円環状鍔部54によって軸方向Yに関して覆われているので、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、洗浄水の滑り軸受1の内部である円環状空間4aへの侵入が極力防止され、洗浄水の滑り軸受1の内部への侵入に起因する不具合が生じることがない。
【0041】
ところで、図18から図23に示すように、上部ケース基部7の円環状下面6に摺動自在に接触する円環状の上面70及び下部ケース3の中央円筒状突出部33の円環状上面41に接触する円環状の下面71を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部72と、円環状の一端部でスラスト滑り軸受片部72の円環状の一端部に一体的に形成されて軸方向Yの下方に伸びていると共に上部ケース2の内周側円筒垂下部9の厚肉円筒部18の外周面20に摺動自在に接触する円筒状の内周面73及び下部ケース3の中央円筒状突出部33の円筒状の内周面63に接触する円筒状の外周面74を有した円筒状のラジアル滑り軸受片部75とを具備している合成樹脂製の滑り軸受片5において、スラスト滑り軸受片部72は、円環状の上面70に円周方向Rに沿うと共に径方向Xに少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部82及び外側凹部83を有していてもよい。
【0042】
内側列に形成された複数個の内側凹部82の夫々は、軸心Oを中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面84と、内側円弧状壁面84に対して径方向Xの外方で軸心Oを中心として円弧状に伸びた、即ち、内側円弧状壁面84に対して径方向Xに拡径された外側円弧状壁面85と、内側円弧状壁面84及び外側円弧状壁面85の夫々に連接されていると共に互いに円周方向Rにおいて対面する一対の半円弧状壁面86と、内側円弧状壁面84、外側円弧状壁面85及び一対の半円弧状壁面86の夫々に連接された底壁面82aとで規定されている。
【0043】
外側列に形成された外側凹部83の夫々は、軸心Oを中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面87と、内側円弧状壁面87に対して径方向Xの外方で軸心Oを中心として円孔状に伸びた、即ち、内側円弧状壁面87に対して径方向Xに拡径された外側円弧状壁面88と、内側円弧状壁面84及び外側円弧状壁面88の夫々に連接されていると共に互いに円周方向Rにおいて対面する一対の半円弧状壁面89と、内側円弧状壁面87、外側円弧状壁面88及び一対の半円弧状で壁面89の夫々に連接された底壁面83aとで規定されており、外側凹部83は、内側列に形成された内側凹部82間の円周方向Rの夫々の切れ目90に対応する位置に配列されており、而して、内側凹部82と外側凹部83とは、互いに円周方向Rに位相差をもって配列されている。
【0044】
円周方向Rに沿って各60°間隔で配列された小円形部91は、滑り軸受片5の成形時の突き出しピン位置を示し、内側凹部82には配列されていない。
【0045】
スラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70に円周方向Rに沿うと共に径方向Xに内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部82及び外側凹部83は、内側凹部82及び外側凹部83の開口面92とスラスト滑り軸受面であるスラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70とを合わせた総面積に占める内側凹部82及び外側凹部83の開口面92の総面積の割合が20〜50%、好ましくは30〜40%となるように配列されている。
【0046】
図18から図23に示すラジアル滑り軸受片部75も、軸方向Yの両端で開口して円筒状の内周面73に円周方向Rに等間隔に離間して設けられた複数個の軸方向溝81を有していてもよい。
【0047】
スラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70に円周方向Rに沿うと共に径方向Xに少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部82及び外側凹部83並びに軸方向溝81は、グリース等の潤滑油剤の溜まり部となる。
【0048】
このように形成された滑り軸受片5のスラスト滑り軸受片部72によれば、円環状の上面70に内側凹部82及び外側凹部83が形成されているために、スラスト滑り軸受片部72の円環状の上面70と上部ケース基部7の円環状下面6との軸心Oの回りでの円周方向Rの相対回転において、スラスト滑り軸受面であって摺動面となる円環状の上面70と相手材、すなわち上部ケース基部7の円環状下面6との接触面積を減少させて、円環状の上面70に作用する面圧(単位面積あたりの荷重)を高めることができ、合成樹脂同士の摩擦による低摩擦化と内側凹部82及び外側凹部83に充填された潤滑油剤の摺動面への介在による低摩擦化とが相俟って一層の低摩擦化を図ることができる。
【0049】
例えば、図24に示すように、車体側の取付部材93の車体側座面94に上部ケース2の台座部16を当接させ、サスペンションコイルばね95の上端部にばね座面としての下部ケース基部32の円環状下面34を当接させて、本例の合成樹脂製の滑り軸受1を車体側の取付部材93の車体側座面94とサスペンションコイルばね95の上端部との間に配して、当該本例の合成樹脂製の滑り軸受1を四輪自動車におけるストラット型サスペンションに適用してもよい。
【0050】
図24に示すストラット型サスペンションでは、車体側の取付部材93に対するサスペンションコイルばね95の円周方向Rの相対回転は、滑り軸受1において、上部ケース基部7の円環状下面6に対するスラスト滑り軸受片部72の上面70及び厚肉円筒部18の外周面20に対するラジアル滑り軸受片部75の内周面73の夫々の円周方向Rの相対的な摺動で許容される。
【0051】
また、弾性装着部における湾曲凹面50と係合フック部30とで形成される環状の隙間Cは、中央円筒状突出部33の外周面44に一体的に形成された幅広の円環状鍔部54によって軸方向Xに関して覆われているので、自動車の足回りの泥水等による汚染を取り除くべく高圧洗浄器の高圧噴水による洗浄が実施された場合であっても、洗浄水の滑り軸受1の内部である空間4、特に円環状空間4aへの侵入が極力防止され、洗浄水の滑り軸受1の内部への侵入に起因する不具合が生じることがない。
【符号の説明】
【0052】
1 滑り軸受
2 上部ケース
3 下部ケース
4 空間
5 滑り軸受片
54 円環状鍔部
C 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに対して軸心の回りで円周方向に回転自在となるように、当該上部ケースに重ね合わされている合成樹脂製の下部ケースと、上部ケース及び下部ケース間の空間に配されている合成樹脂製の滑り軸受片とを具備しており、上部ケースは、軸方向において円環状下面を有した円環状の上部ケース基部とこの上部ケース基部の径方向の内周端部から垂下した内周側円筒垂下部と、上部ケース基部の径方向の外周端部から垂下した外周側円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の内面と協働して円環状凹部を形成すると共に円環状下面から垂下する中間円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の端部の内周面から径方向の内方に向かって突出する係合フック部とを一体的に有しており、下部ケースは、軸方向において円環状上面を有した円環状の下部ケース基部と、下部ケース基部の円環状上面から軸方向の上方に向かって突出した中央円筒状突出部と、下部ケース基部の円環状下面の内周部から軸方向の下方に向かって突出した円筒部と、中央円筒状突出部の円環状上面の外周縁から軸方向の上方に向かって突出した中間円筒突部と、中央円筒状突出部の外周面に該中間円筒突部の外周面と協働して外側円環状凹部を形成するように当該中央円筒状突出部の外周面から径方向の外方に突出すると共に外周面に軸方向の下方に向かうに従って漸次拡径する拡径テーパ面、該拡径テーパ面に連接すると共に当該拡径テーパ面と協働して被係合フック部を形成して軸方向の下方に向かうに従って漸次縮径する縮径テーパ面及び縮径テーパ面に連接した湾曲凹面を備えた外側円筒状突出部と、上面が湾曲凹面に連接して径方向の外方に伸びると共に下面を下部ケース基部の円環状下面と面一にして中央円筒状突出部の外周面に形成された幅広の円環状鍔部とを一体的に有しており、滑り軸受片は、軸方向における円環状の上面及び径方向の円筒状の内周面で上部ケース基部の円環状下面及び内周側円筒垂下部の径方向の外周面に夫々摺動自在に接触する一方、軸方向における円環状の下面及び径方向の円筒状の外周面で中央円筒状突出部の軸方向における円環状上面及び径方向の中央円筒状突出部の円筒状内周面に夫々接触するように、前記空間において上部ケース基部の円環状下面及び中央円筒状突出部の円環状上面間の円環状空間及び内周側円筒垂下部の外周面及び中央円筒状突出部の円筒状内周面間の円筒状空間に配されており、上部ケースは、その中間円筒垂下部を下部ケースの外側円環状凹部に、その円環状凹部に下部ケースの外側円筒状突出部の軸方向の上端部を配してラビリンス作用をなす外側密封部を形成すると共に係合フック部を被係合フック部に弾性装着させて下部ケースに軸心の回りで円周方向に回転自在となるように重ね合わされており、係合フック部と被係合フック部との弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される隙間は、軸方向の下方に関して、下部ケースの幅広の円環状鍔部によって覆われていることを特徴とする合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項2】
上部ケースは、内周側円筒垂下部の軸方向の下部と中央円筒状突出部の内周面との間にラビリンス作用をなす内側密封部を形成して下部ケースに組合されている請求項1に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項3】
幅広の円環状鍔部の外周縁側には、円周方向に沿って複数個の貫通孔が形成されている請求項1又は2に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項4】
滑り軸受片は、上部ケース基部の円環状下面に摺動自在に接触する円環状の上面及び中央円環状突部の円環状上面に接触する円環状の下面を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部と、一端部でスラスト軸受片部の一端部から軸方向下方に伸びて当該一端部に一体的に形成されていると共に内周側円筒垂下部の外周面に摺動自在に接触する円筒状の内周面及び中央円筒状突出部の内周面に接触する円筒状の外周面を夫々有した円筒状のラジアル滑り軸受片部とを具備している請求項1から3のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項5】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面の内周側に形成された円環状溝と、円環状溝に一端で開口している一方、他端でその外周面に開口していると共にその上面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の径方向溝とを有しており、ラジアル滑り軸受片部は、両端で開口して円環状の内周面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝を有している請求項4に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項6】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向に少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部及び外側凹部を有しており、内側凹部と外側凹部とは、互いに円周方向に位相差をもって配列されており、ラジアル滑り軸受片部は、両端で開口している円筒状の内周面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝を有している請求項4に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項7】
複数個の内側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、内側円弧状壁面及び該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、該外側円弧状壁面及び該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されている請求項6に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項8】
複数個の外側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、当該内側円弧状壁面及び当該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、当該内側円弧状壁面、当該外側円弧状壁面及び当該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されている請求項6又は7に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項9】
複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合は、20〜50%である請求項6から8のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項1】
合成樹脂製の上部ケースと、上部ケースに対して軸心の回りで円周方向に回転自在となるように、当該上部ケースに重ね合わされている合成樹脂製の下部ケースと、上部ケース及び下部ケース間の空間に配されている合成樹脂製の滑り軸受片とを具備しており、上部ケースは、軸方向において円環状下面を有した円環状の上部ケース基部とこの上部ケース基部の径方向の内周端部から垂下した内周側円筒垂下部と、上部ケース基部の径方向の外周端部から垂下した外周側円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の内面と協働して円環状凹部を形成すると共に円環状下面から垂下する中間円筒垂下部と、外周側円筒垂下部の端部の内周面から径方向の内方に向かって突出する係合フック部とを一体的に有しており、下部ケースは、軸方向において円環状上面を有した円環状の下部ケース基部と、下部ケース基部の円環状上面から軸方向の上方に向かって突出した中央円筒状突出部と、下部ケース基部の円環状下面の内周部から軸方向の下方に向かって突出した円筒部と、中央円筒状突出部の円環状上面の外周縁から軸方向の上方に向かって突出した中間円筒突部と、中央円筒状突出部の外周面に該中間円筒突部の外周面と協働して外側円環状凹部を形成するように当該中央円筒状突出部の外周面から径方向の外方に突出すると共に外周面に軸方向の下方に向かうに従って漸次拡径する拡径テーパ面、該拡径テーパ面に連接すると共に当該拡径テーパ面と協働して被係合フック部を形成して軸方向の下方に向かうに従って漸次縮径する縮径テーパ面及び縮径テーパ面に連接した湾曲凹面を備えた外側円筒状突出部と、上面が湾曲凹面に連接して径方向の外方に伸びると共に下面を下部ケース基部の円環状下面と面一にして中央円筒状突出部の外周面に形成された幅広の円環状鍔部とを一体的に有しており、滑り軸受片は、軸方向における円環状の上面及び径方向の円筒状の内周面で上部ケース基部の円環状下面及び内周側円筒垂下部の径方向の外周面に夫々摺動自在に接触する一方、軸方向における円環状の下面及び径方向の円筒状の外周面で中央円筒状突出部の軸方向における円環状上面及び径方向の中央円筒状突出部の円筒状内周面に夫々接触するように、前記空間において上部ケース基部の円環状下面及び中央円筒状突出部の円環状上面間の円環状空間及び内周側円筒垂下部の外周面及び中央円筒状突出部の円筒状内周面間の円筒状空間に配されており、上部ケースは、その中間円筒垂下部を下部ケースの外側円環状凹部に、その円環状凹部に下部ケースの外側円筒状突出部の軸方向の上端部を配してラビリンス作用をなす外側密封部を形成すると共に係合フック部を被係合フック部に弾性装着させて下部ケースに軸心の回りで円周方向に回転自在となるように重ね合わされており、係合フック部と被係合フック部との弾性装着部における湾曲凹面と係合フック部とで形成される隙間は、軸方向の下方に関して、下部ケースの幅広の円環状鍔部によって覆われていることを特徴とする合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項2】
上部ケースは、内周側円筒垂下部の軸方向の下部と中央円筒状突出部の内周面との間にラビリンス作用をなす内側密封部を形成して下部ケースに組合されている請求項1に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項3】
幅広の円環状鍔部の外周縁側には、円周方向に沿って複数個の貫通孔が形成されている請求項1又は2に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項4】
滑り軸受片は、上部ケース基部の円環状下面に摺動自在に接触する円環状の上面及び中央円環状突部の円環状上面に接触する円環状の下面を夫々有している円環状のスラスト滑り軸受片部と、一端部でスラスト軸受片部の一端部から軸方向下方に伸びて当該一端部に一体的に形成されていると共に内周側円筒垂下部の外周面に摺動自在に接触する円筒状の内周面及び中央円筒状突出部の内周面に接触する円筒状の外周面を夫々有した円筒状のラジアル滑り軸受片部とを具備している請求項1から3のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項5】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面の内周側に形成された円環状溝と、円環状溝に一端で開口している一方、他端でその外周面に開口していると共にその上面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の径方向溝とを有しており、ラジアル滑り軸受片部は、両端で開口して円環状の内周面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝を有している請求項4に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項6】
スラスト滑り軸受片部は、その円環状の上面に円周方向に沿うと共に径方向に少なくとも内側列と外側列の二列にわたって形成された複数個の内側凹部及び外側凹部を有しており、内側凹部と外側凹部とは、互いに円周方向に位相差をもって配列されており、ラジアル滑り軸受片部は、両端で開口している円筒状の内周面に円周方向に等間隔に離間して形成された複数個の軸方向溝を有している請求項4に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項7】
複数個の内側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、内側円弧状壁面及び該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、該内側円弧状壁面、該外側円弧状壁面及び該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されている請求項6に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項8】
複数個の外側凹部の夫々は、軸心を中心として円弧状に伸びた内側円弧状壁面と、該内側円弧状壁面に対して径方向外方で軸心を中心として円弧状に伸びた外側円弧状壁面と、当該内側円弧状壁面及び当該外側円弧状壁面の夫々に連接されていると共に互いに円周方向において対面する一対の半円状壁面と、当該内側円弧状壁面、当該外側円弧状壁面及び当該一対の半円状壁面の夫々に連接された底壁面とによって規定されている請求項6又は7に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【請求項9】
複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面とスラスト滑り軸受片部の円環状の上面とを合わせた面に占める複数個の内側凹部及び外側凹部の開口面の総面積の割合は、20〜50%である請求項6から8のいずれか一項に記載の合成樹脂製の滑り軸受。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図4】
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【図15】
【図16】
【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−96534(P2013−96534A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241702(P2011−241702)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
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