説明

合成樹脂製パレット

【課題】低コストで曲げ強度が強く、成形性も優れる。最外周端にフォークの先端等が衝突したり、落下して衝撃が加わっても破損し難い。
【解決手段】載置物を載置するためのデッキ部1と、複数の桁部2とを備え、桁部2間がフォーク挿入部3となった合成樹脂製のパレット4である。パレット4の桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ強度の強い合成樹脂製パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から合成樹脂製のパレットにおいて、パレット下部を強化するものが特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示される従来例は、合成樹脂製のパレットの下部の全面部にタルクを添加することで補強するようにしている。しかしながら、この従来例においては、パレットにおいて、最も強度(曲げ強度)が必要な部分のみを補強するものではなく、下部全面を補強するものであるから、不必要な箇所も補強することになって、コストが高くなり、また、タルクを添加した成形材料は流れが悪いため、この流れの悪い成形材料で下部全面を成形する従来例は成形性が悪くなると共に重くなるという問題がある。
【0004】
また、上記特許文献1に示された従来例にあっては、下部の全面部にタルクを添加した成形材料で成形しているため、下部の最外周端もタルクを添加した成形材料で成形してある。ところで、タルクを添加した成形材料で成形した部位は曲げ強度は強いが耐衝撃性が劣り、このため、フォークの先端などが最外周端に衝突したり、パレットが落下した場合に最外周端に衝撃が加わると最外周端が破損し易いという問題がある。また、タルクを添加した成形材料で成形した部位は、もろくなり、自動倉庫のチェーンコンベア等の搬送装置でパレットを搬送すると、パレットが削れて塵の発生に繋がる。
【特許文献1】特開平11−268740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、低コストで曲げ強度が強く、成形性も優れ、更に、最外周端にフォークの先端等が衝突したり、落下して衝撃が加わっても破損し難く、チェーンコンベア等で削れ難い合成樹脂製パレットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る合成樹脂製パレットは、載置物を載置するためのデッキ部1と、複数の桁部2とを備え、桁部2間がフォーク挿入部3となった合成樹脂製のパレット4において、該パレット4の桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】
このようにパレット4において最も強い曲げ強度が求められる部位である桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けることで、例えば、自動倉庫のチェーンコンベアやローラコンベア等の搬送装置上にパレット4を載せて、左右の二箇所で支持する際に曲げ強度補強部5により効果的に補強ができるものであり、また、全面を曲げ強度の強い成形材料で成形するのではなく、桁部2間を繋ぐ部位を曲げ強度の強い成形材料を用いて成形するので、高価な曲げ強度の強い成形材料の使用量が少なくてコストを低減できると共に、曲げ強度の強い成形材料は流動性が悪いが使用量が少ないので、成形性が悪くなるのを抑制できる。
【0008】
また、桁部2を繋ぐ部位を成形するための成形材料中に補強材が添加してあることが好ましい。
【0009】
このような構成とすることで、タルクのような補強材を添加するという簡単な構成で、パレット4の桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けることができる。
【0010】
また、桁部2間を繋ぐ曲げ強度補強部5は、桁部2の一部を含ませて一体に成形してあることが好ましい。
【0011】
このように、桁部2間を繋ぐ曲げ強度補強部5は、桁部2の一部を含ませて一体に成形してあるので、高価な曲げ強度の強い成形材料の使用量をできるだけ少なくしながら桁部2間を繋ぐ部位をより曲げ強度の強い部位とすることができる。また、パレット4表面から荷重が掛かっても、桁部2の外側(フォーク挿入部3側)が基点になって曲って破損することがない。
【0012】
また、曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5の端部がパレット4の最外周端よりパレット4の内側方向に引き込んだ位置であることが好ましい。
【0013】
桁部2を繋ぐ部位に曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けるといえども、上記のように、パレット4の最外周端が耐衝撃性の劣る曲げ強度の強い材料で成形してないので、フォークの先端などが最外周端に衝突したり、パレットが落下して最外周端に衝撃が加わっても最外周端が破損し難いものである。また、パレット4の一部を持ち上げてパレット4を引きずりながら移動しても、削れて塵が発生し難いものである。つまり、自動倉庫で利用の際の曲げ強度が強く、しかも、最外周端に衝撃が作用しても破損し難く削れ難いパレット4を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、高価な曲げ強度の強い成形材料の使用量を少なくして、自動倉庫で支持する際に強い曲げ強度を効果的に発揮することができ、また、高価な曲げ強度の強い成形材料の使用量が少なくてコストを低減できると共に、曲げ強度の強い成形材料は流動性が悪いが使用量が少ないので、成形性が悪くならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0016】
合成樹脂製のパレット4は載置物を載置するためのデッキ部1と、複数の桁部2とを備えたもので、桁部2間がフォーク挿入部3となっている。
【0017】
ここで、合成樹脂製のパレット4としては、全体を合成樹脂の一体成形により成形する一体成形型のパレット4と、上半体4aと、下半体4bとを別々に成形して上半体4aと下半体4bとを溶着一体化して成形する溶着タイプのパレット4とに大別でき、更に、一体成形型のパレット4、溶着タイプのパレット4のいずれのタイプも、上面部のみが載置物を載置するためのデッキ部となり、下面部に開口部を形成した片面使用タイプと、上面部及び下面部がいずれもデッキ部となり、上下反転することで、いずれも面もデッキ部として使用できる両面使用タイプのものとがある。
【0018】
そして、本発明においては、パレット4の桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けたことに特徴があり、パレット4のタイプとしては上記のいずれのタイプのパレット4であってもかまわない。また、パレット4の桁部2間を繋ぐ部位に設ける曲げ強度補強部5は、パレット4の上面側のみに設けても、下面側のみに設けても、また、上面側と下面側の両方に設けてもよい。
【0019】
以下添付図面に示す実施形態では、溶着タイプのパレット4で両面使用タイプの例(つまり上下両面がデッキ部1となっている例)を示して説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、合成樹脂により一体成形した上半体4aは、上面がデッキ部1(1a)となり、デッキ部1aの下面に複数の筒状をした上桁部2aを一体に垂設して構成してあり、合成樹脂により一体成形した下半体4bは、下面がデッキ部1(1b)となり、デッキ部1bの上面に複数の筒状をした下桁部2bを上方に向けて一体に突設して構成してあり、上記の上半体4aの上桁部2aの下端面部と下半体4bの下桁部2bの上端面部とを熱溶着して上桁部2aと下桁部2bとで桁部2を一体化することでパレット4を構成してある。
【0021】
上記上半体4aと下半体4bとは同じ形状をしていて同じ成形金型により成形したものであってもよく、あるいは、異なる形状をしていて異なる成形金型により成形したものであってもよい。
【0022】
なお、以下の説明では特別区別する必要がある場合を除き、デッキ部1a、デッキ部1bはいずれも単にデッキ部1と表現し、上桁部2a、下桁部2bはいずれも単に桁部2として表現して説明する。
【0023】
添付図面に示す実施形態ではパレット4の上面部と下面部とにおける桁部2を繋ぐ部位に曲げ強度補強部5を設けた例が示してある。
【0024】
桁部2間を繋ぐ部位にはデッキ部1の裏面側(デッキ部1aの下面側、デッキ部1bの上面側)に複数の補強リブ6が設けてあり、図1乃至図5に示す実施形態では、この桁部2間を繋ぐ部位において、補強リブ6の一部とデッキ部1の一部が、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5となっている。作図上曲げ強度の強い材料で成形した曲げ強度補強部5を多数のドットを施して描いている。
【0025】
パレット4の上記曲げ強度補強部5以外の部位は、例えば、通常のポリプロピレンにより成形し、曲げ強度補強部5は上記通常のポリプロピレンよりも曲げ強度が強い物性のポリプロピレンや、あるいは、通常のポリプロピレンにタルクを添加した成形材料を使用して成形してある。パレット4の曲げ強度補強部5を成形するための曲げ強度の強い成形材料はバージン材を用いるが、曲げ強度補強部5を成形する部分以外の部位を成形するための成形材料はバージン、再生材のいずれであってもよい。
【0026】
ところで、曲げ強度の強い成形材料はタルクを添加したりして高価で流動性が悪いが、上記のように、桁部2間を繋ぐ部位にのみ少量使用するだけであるから、コストが高くなるのを抑え、且つ、成形性の低下も防止できる。なお、タルクを添加することによって重量が増すものの、少量使用するに過ぎないので、それほど重くならない。また、パレット4の桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けることで、自動倉庫においてパレット4を取り扱う際に、最も曲げ強度を必要とする箇所は、桁部2間を繋ぐ部位であるため、この部分を重点的に補強することで、全体として曲げ強度の強い成形材料の使用料を少なくして高い曲げ強度を有するパレット4を提供できることになる。
【0027】
図1乃至図5、図6乃至図16には桁部2と桁部2との間を繋ぐ部位に、曲げ強度補強部5を設ける位置の各例を示してある。
【0028】
図1乃至図5には、4方差しのパレット4において、図2、図4の縦方向、横方向に隣合う桁部2と桁部2とを繋ぐ部分をそれぞれ他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形して曲げ強度補強部5を設けた例が示してある。
【0029】
また、図6には、4方差しのパレット4において、図6の縦方向、横方向に隣合う桁部2と桁部2とを繋ぐ部分をそれぞれ他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5とすることに加え、外周に位置するすべての桁部2を繋ぐ部分と外周に位置する桁部2の一部が連続するように曲げ強度補強部5の一部がロ字状部となっている例が示してある。この実施形態では外周部にロ字状部が形成してあるため、全体としての曲げ強度がより強固となる。
【0030】
また、図7には4方差しのパレット4において、縦方向、横方向にそれぞれ隣合う桁部2と桁部2を繋ぐ部位にそれぞれ複数本の曲げ強度補強部5を設けた例が示してある。
【0031】
また、図8には4方差しのパレット4において、縦方向、横方向にそれぞれ隣合う桁部2と桁部2を繋ぐ部位にそれぞれ曲げ強度補強部5を設けるに当たって、曲げ強度補強部5の端部が桁部2からやや離れた位置にある例が示してある。
【0032】
また、図9には4方差しのパレット4において、縦方向、横方向にそれぞれ隣合う桁部2と桁部2を繋ぐ部位にそれぞれ複数本の曲げ強度補強部5を設けると共に、更に、パレット4の上面部と下面部とに設けた曲げ強度補強部5の位置が上面部と下面部とで平面視においてずれている例であり、図9の実施形態では上面部に設けた曲げ強度補強部5Aと下面部に設けた曲げ曲げ強度補強部5Bとが内外方向にずれている例が示してある。
【0033】
上記の各例は4方差しパレット4において、縦方向、横方向にそれぞれ隣合う桁部2と桁部2を繋ぐ縦方向、横方向の繋ぎ部位のすべてに曲げ強度補強部5を設けた例を示したが、図10、図11のように4方差しパレット4において、外周に位置する隣接する桁部2同士を繋ぐ部位に曲げ強度補強部5で設けても良い。ここで、図10は外周に位置する隣接する桁部2と桁部2との間の部位のみに設けたものを示し、図11は外周に位置するすべての桁部2を繋ぐ部分と外周に位置する桁部2の一部が連続するように曲げ強度補強部5がロ字状部となっている例が示してある。
【0034】
また、図12には4方差しパレット4において、四隅の桁部2と中央の桁部2とをそれぞれ繋ぐ部位に曲げ強度補強部5を設けた例を示している。
【0035】
また、図13には4方差しパレット4において、左右における縦方向の中間の桁部2と中央の桁部2を繋ぐ部位、及び、前後における横方向の中間の桁部2と中央の桁部2を繋ぐ部位にそれぞれ曲げ強度補強部5を設けた例が示してある。
【0036】
また、図14には4方差しパレット4において、左右における縦方向の中間の桁部2と中央の桁部2を繋ぐ部位、及び、前後における横方向の中間の桁部2と中央の桁部2を繋ぐ部位にそれぞれ曲げ強度補強部5を設けると共に、中央の桁部2部分にも上記曲げ強度補強部5と連続するように曲げ強度補強部5を一体に設けた例が示してある。
【0037】
また、図15には2方差しパレット4において、桁部2間を繋ぐ部位のほぼ全領域に巾広の曲げ強度補強部5を設けた例である。
【0038】
また、図16には2方差しパレット4において、桁部2間を繋ぐ部位の一部に複数の曲げ強度補強部5を設けた例である。
【0039】
また、他の成形材料と曲げ強度補強部5の境界線を、直線の組み合わせの凹凸や曲線の組み合わせの波状や直線と曲線の組み合わせとしてもよい。
【0040】
更に、金型の形状に左右されず、曲げ強度の強い成形材料を垂れ流すようにして成形することも可能である。
【0041】
上記図1乃至図16の各実施形態に示すように、曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5の端部はいずれも、パレット4の最外周端よりパレット4の内側方向に引き込んだ位置となっており、パレット4の最外周端は曲げ強度の強い成形材料では成形してなく、他の成形材料(曲げ強度補強部5以外の部位を成形する通常のパレット成形材料)により成形してある。つまり、本発明において最外周端に曲げ強度の強い成形材料を用いて桁間の曲げ強度を向上させることもできるが、曲げ強度の強い材料は曲げ強度は強いが耐衝撃性に劣るため、曲げ強度補強部5の端部がパレット4の最外周端まで至っていると、パレット4の最外周端にフォークの先端が衝突したり、パレット4が落下してパレット4の最外周端に衝撃が加わったりした場合、曲げ強度補強部5の端部がパレット4の最外周端まで至った部分が破損し易いという問題がある。よって、上記のように、パレット4の最外周端は曲げ強度の強い成形材料では成形してなく、曲げ強度補強部5以外の部位を成形する成形材料で成形することで、曲げ強度が向上したパレット4であると共に、耐衝撃の低下を防止できて、衝撃により破損し難いパレット4を提供できることになる。また、パレット4のフォーク挿入部3の湾曲部も、曲げ強度の強い成形材料では成形してなく、他の成形材料により成形することによって、フォークの先端が衝突しても破損し難いものである。
【0042】
更に、パレット4の一部を持ち上げて引きずりながら移動しても、削れて塵が発生し難いものである。
【0043】
また、上記各実施形態において、桁部2間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けるに当たり、桁部2間を繋ぐ曲げ強度補強部5は、桁部2の一部を含ませて一体に成形してもよい。このように桁部2の一部2cを桁部2間を繋ぐ部位と一体に曲げ強度の強い材料で成形して曲げ強度補強部5を形成してあることで、高価な曲げ強度の強い成形材料の使用量をできるだけ少なくしながら曲げ強度補強部5の曲げ強度を向上させることができる。
【0044】
ここで、図5の実施形態のように、桁部2における桁部2間を繋ぐ部位に隣接した部位の上下全長で且つ全厚みを曲げ強度の強い成形材料により成形して曲げ強度補強部5を形成してもよい。
【0045】
また、図17(a)、(c)の実施形態のように、桁部2における桁部2間を繋ぐ部位に隣接した部位の上下全長で且つ厚み巾の略半分厚を曲げ強度の強い成形材料により成形して曲げ強度補強部5を形成してもよい。この形状の上半体4aと、下半体4bとを溶着すると、フォーク挿入部3を囲むようにロ字状になり、より一層曲げ強度が向上する。
【0046】
また、図17(d)に示す実施形態のように、桁部2における桁部2間を繋ぐ部位に隣接した部位の補強リブ6の上下高さに対応した部位(つまり桁部2の上下長さの略半分)で且つ全厚み巾を曲げ強度の強い成形材料により成形して曲げ強度補強部5を形成してもよい。
【0047】
もちろん、桁部2間を繋ぐ部位の一部と、桁部2の一部を上記のように曲げ強度の強い成形材料により一体に成形して曲げ強度補強部5を形成するもののみに限定されず、図17(b)に示すように、桁部2の外側(フォーク挿入部3側)に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けてもよい。また、図17(b)(d)に示す実施形態の上半体4aと、下半体4bとを溶着すると、タルク入り等の曲げ強度に強い成形材料とは異なる他の成形材料同士が溶着されることになり、溶着強度が劣ることはない。
【0048】
更に、上記各実施形態では、桁部2間を繋ぐ部位に曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けるに当たって、該当する部位の補強リブ6に加え該当する部位のデッキ部1の全厚み巾を曲げ強度の強い成形材料で成形して曲げ強度補強部5を設けた例を示したが、図17(c)に示すように該当する部位の補強リブ6に加え該当する部位のデッキ部1の厚み巾の裏面側の略半分を曲げ強度の強い成形材料で成形して曲げ強度補強部5を設けてもよい。このように、該当するデッキ部1の裏面側の略半分を曲げ強度の強い成形材料で成形することで、デッキ部1の表面に曲げ強度の強い成形材料が露出せず、したがって、デッキ部1の表面に衝撃が加わっても、破損しないようにできる。また、自動倉庫のチェーンコンベア等の搬送装置でパレット4を搬送しても、パレット4が削れて塵の発生に繋がらないことや、パレット4の一部を持ち上げて引きずりながら移動しても、削れて塵が発生し難いものである。ここで、図示を省略しているが、図5、図17(a)(b)(d)の各実施形態等においてもデッキ部1においてはデッキ部1の厚み巾の裏面側の略半分を曲げ強度の強い成形材で成形するようにしてもよい。
【0049】
また、曲げ強度に強い成形材料が桁部2及び一部の桁部2を含む図17(a)(c)(d)の各実施形態は、パレット4上面からの荷重によって、補強リブが下方に変形する基点の桁部2と補強リブ6の連結部分に、曲げ強度に強い成形材料が成形されているので、より一層曲げ強度が向上する。なお、一箇所の曲げ強度補強部5に図17(a)(b)(c)(d)を組み合わせてもよい。
【0050】
桁部2間を繋ぐ部位に曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けるに当たっては、二色成形、サンドイッチ成形、インサート成形等種々の成形方法により成形することができる。また、パレット4の主体を通常のパレット成形材料により成形し、この主体とは別に主体を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で曲げ強度補強部5を成形し、この別に成形した曲げ強度補強部5をパレット4の主体の桁部2を繋ぐ部位に、嵌合、接着、溶着等の固着手段により固着してもよい。更に、パレット4の主体の成形後、補強リブ6間に曲げ強度の強い成形材料を注入(ホットメルト形式)することで、曲げ強度補強部5を成形してもよい。
【0051】
また、曲げ強度の強い成形材料と、他の部位を成形する成形材料との色は同じ色であってもよく、異なる色であってもよい。
【0052】
図18、図19には桁部2間を繋ぐ部位に曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部5を設けるための金型装置10の一実施形態が示してある。
【0053】
金型装置10は、固定金型11と、固定金型11に対して移動自在な可動金型12と、固定金型11又は可動金型12に移動に設けたリングコア13をにより構成してある。
【0054】
図18の実施形態では固定金型11に凹部14を設け、凹部14にリングコア13を移動自在に嵌め込んだ例を示している。可動金型12を固定金型11側に移動して型締めすることで可動金型12と固定金型11との対向面にキャビティ15が形成される。リングコア13の先端部にはリング状をした凸部17が設けてあり、図19(a)のようにリングコア13を前進させて凸部17を可動金型12に当接してリング状の凸部17によりキャビティ15の一部(桁部2間を繋ぐ部位の一部)を囲った状態で、図19(b)のようにキャビティ15の凸部17により囲われいる部分以外の部分に一次成形材料である成形材料20を射出する一次射出を行なう。この一次射出終了後に、図19(c)のように、リングコア13を後退させて凸部17の先端面でキャビティ15の内面の一部を構成させて上記一次射出により射出した成形材料20の側端面を凸部17により囲っていたキャビティ15の未充填部分とを連通させ、次に、このキャビティ15の未充填部分に図19(d)のように上記成形材料20よりも曲げ強度の強い二次成形材料である成形材料21を射出して図20に示すように桁部2間を繋ぐ部位に曲げ強度補強部5を成形する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のパレットの一実施形態の斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の図2のX−X線の断面図である。
【図4】同上の図3のY−Y線又はY−Y線の断面図である。
【図5】同上の曲げ強度補強部と桁部との関係を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示し、該他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図10】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図11】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図12】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図13】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図14】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図15】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図16】本発明の更に他の実施例を示し、該更に他の実施例を図2のY−Y線又はY−Y線に対応した部分で切断した断面図である。
【図17】(a)(b)(c)(d)はそれぞれ本発明の他の実施形態における曲げ強度補強部と桁部との関係を示す拡大断面図である。
【図18】本発明のパレットを製造するための金型装置の一例を示す要部断面図である。
【図19】(a)(b)(c)(d)は同上の金型装置を用いた成形順序を示す説明図である。
【図20】同上の曲げ強度補強部を設けた位置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 デッキ部
2 桁部
3 フォーク挿入部
4 パレット
5 曲げ強度補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置物を載置するためのデッキ部と、複数の桁部とを備え、桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂製のパレットにおいて、該パレットの桁部間を繋ぐ部位に、他の部位を成形する成形材料よりも曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部を設けて成ることを特徴とする合成樹脂製パレット。
【請求項2】
桁部間を繋ぐ部位を成形するための成形材料中に補強材が添加してあることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製パレット。
【請求項3】
桁部間を繋ぐ曲げ強度補強部は、桁部の一部を含ませて一体に成形してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の合成樹脂製パレット。
【請求項4】
曲げ強度の強い成形材料で成形した曲げ強度補強部の端部がパレットの最外周端よりパレットの内側方向に引き込んだ位置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の合成樹脂製パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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