説明

吊り下げ式伸縮扉

【課題】 伸縮扉全体の前後幅を小さくでき、回転収納時の伸縮扉体の出っ張りを少なくできると共に、伸縮扉体が前後を透視可能な場合でも外観上の見栄えを良好にでき、しかも収縮状態の伸縮扉体を容易且つ安全に回転収納できるようにする。
【解決手段】 ガイドレール3に沿って走行する戸車5と、戸車5により吊り下げられた伸縮扉体4とを備え、ガイドレール3の吊り元側に、収縮状態の伸縮扉体4を吊り下げた状態で吊り元側のヒンジ手段6廻りに回転収納可能な回転レール23を備え、伸縮扉体4は吊り元側にヒンジ手段6により回転自在に枢着された吊り元側端枠8を備え、回転レール23は伸縮扉体4と略同一面上でその吊り元端側を吊り元側端枠8の上端部に片持ち状に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールに沿って走行する戸車により伸縮扉体を吊り下げて成る吊り下げ式伸縮扉、取り分けその伸縮扉体の回転収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吊り下げ式伸縮扉において、吊り元支柱、戸当たり支柱の上部間に上枠を介してガイドレールを架設し、このガイドレールに沿って走行する複数個の戸車と、この各戸車により吊り下げられたパンタグラフ機構付き等の伸縮扉体とを備え、ガイドレールを固定レールと、この固定レールの吊り元側に配置され且つ固定レールとの接続位置と後方の回転収納位置との間で吊り元側の縦軸廻りに回転可能な回転レールとに分割し、伸縮扉体を吊り元側で収縮させた後、その収縮状態の伸縮扉体を回転レールに吊り下げた状態で回転収納位置へと回転させて収納するようにしたものがある(非特許文献1)。
【0003】
この吊り下げ式伸縮扉は、伸縮扉体の吊り元側の後側に縦長矩形状の回転枠体を配置し、この回転枠体の吊り元端側を吊り元支柱に縦軸により回転自在に枢着し、回転枠体の上端部の前面に左右方向に回転レールを装着して、回転枠体により回転レールを支持するようにしている。
【非特許文献1】四国化成工業発行「ユニットホールディングゲート」の取付・取扱説明書(NO960315−001)第19頁「15回転枠の操作方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吊り下げ式伸縮扉は、伸縮扉体の後側に回転枠体を配置し、この回転枠体で回転レールを支持する構成を採用しているため、伸縮扉体と回転枠体とが前後に並び、伸縮扉全体の前後幅が大きくなり、回転収納位置に収納した場合にも、回転枠体があるため回転扉体が出入口側等に出っ張るという欠点がある。
【0005】
また伸縮扉体がパンタグラフ式等のように前後を透視可能な場合は、伸縮扉体を伸長させたときに、その伸縮扉体を介して前側から背後の回転枠体が見えることになり、外観上の見栄えの点でも問題がある。
【0006】
更にパンタグラフ式の伸縮扉体の場合には、通常、伸縮扉体の吊り元側端枠を吊り元支柱等に連結して、伸縮扉体の伸縮操作時にその吊り元側端枠が移動しないようにするのが通例である。しかし、従来の吊り下げ式伸縮扉は、伸縮扉体の後側に回転枠体があり、この回転枠体が吊り元支柱に対して縦軸廻りに回転するため、吊り元側端枠を吊り元支柱に連結できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、伸縮扉全体の前後幅を小さくでき、回転収納時の伸縮扉体の出っ張りを少なくできると共に、伸縮扉体が前後を透視可能な場合でも外観上の見栄えを良好にでき、しかも収縮状態の伸縮扉体を容易且つ安全に回転収納できる吊り下げ式伸縮扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガイドレール3に沿って走行する戸車5と、該戸車5により吊り下げられた伸縮扉体4とを備え、前記ガイドレール3の吊り元側に、収縮状態の前記伸縮扉体4を吊り下げた状態で前記吊り元側のヒンジ手段6廻りに回転収納可能な回転レール23を備えた吊り下げ式伸縮扉において、前記伸縮扉体4は吊り元側に前記ヒンジ手段6により回転自在に枢着された吊り元側端枠8を備え、前記回転レール23は前記伸縮扉体4と略同一面上でその吊り元端側を前記吊り元側端枠8の上端部に片持ち状に固定したしたものである。
【0009】
前記吊り元側端枠8と前記回転レール23との接続部を補強する補強具54,55を設けてもよい。前記補強具54と前記回転レール23、前記補強具54と前記吊り元側端枠8の少なくとも一方に、前記吊り元側端枠8に対する前記回転レール23の取り付け角度を調整する角度調整手段58を設けてもよい。
【0010】
前記回転レール23を取り付けるレール取り付け部54bと前記吊り元側端枠8を取り付ける枠取り付け部54cとを有し且つ前記回転レール23の前後の車輪走行部20間の開口部21に嵌合する主補強具54と、前記回転レール23の前後両側で該回転レール23と前記吊り元側端枠8の側壁部8bとの間に介在される副補強具55とを備えてもよい。前記回転レール23を固定レール22に接続する接続位置Bで該回転レール23の遊端側を受けるレール受け具38を設けてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、伸縮扉体4は吊り元側にヒンジ手段6により回転自在に枢着された吊り元側端枠8を備え、回転レール23は伸縮扉体4と略同一面上でその吊り元端側を吊り元側端枠8の上端部に片持ち状に固定しているので、従来の回転枠体を使用するものに比して伸縮扉全体の前後幅を小さくでき、回転収納時の伸縮扉体4の出っ張りを少なくできると共に、伸縮扉体4が前後を透視可能な場合でも外観上の見栄えを良好にでき、しかも収縮状態の伸縮扉体4を容易且つ安全に回転収納できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1乃至図20は本発明に係る吊り下げ式伸縮扉の第1の実施例を例示する。
【0013】
この吊り下げ式伸縮扉は左右両側に開閉する左右対称な両開き式であって、図1及び図2に示すように、出入口等の地面g側の左右両側に立設された左右一対の吊り元支柱1と、この吊り元支柱1の上部間に左右方向に架設された上枠2と、この上枠2の下側に左右方向に装着されたガイドレール3と、左右の吊り元支柱1間にガイドレール3に沿って左右方向に伸縮自在に配置された左右一対の伸縮扉体4と、ガイドレール3に沿って左右方向に走行し且つ各伸縮扉体4を吊り下げ状に支持する複数個の戸車5とを備え、各伸縮扉体4は吊り元側に収縮させた収縮状態でヒンジ手段6廻りに内外方向(伸縮扉の前後方向)の内側(後方)の回転収納位置A(図2参照)に回転収納可能である。
【0014】
各伸縮扉体4は左右方向に1個又は複数個、例えば2個の扉面体7を接続して成り、その一端側にはヒンジ手段6により吊り元支柱1に連結された吊り元側端枠8が設けられ、また他端側には施錠側端枠である移動側端枠9が設けられている。吊り元側端枠8、移動側端枠9は、その内外方向の中央が扉面体7の中央と略一致するように、伸縮扉体4の略同一面上に設けられている。
【0015】
各扉面体7は、各左右方向に伸縮自在に構成された上下二列のパンタグラフ機構10と、このパンタグラフ機構10の内外両側に左右方向に等間隔をおいて配置され且つパンタグラフ機構10に連結された複数本の縦桟11とを有する。伸縮扉体4の各扉面体7の対向端側の縦桟11は帯状の連結部材12を介して連結され、その連結部材12に、伸長状態の中間位置で地面g側の落とし孔13に係脱自在に係合する落とし棒14が設けられている。
【0016】
両伸縮扉体4の移動側端枠9は左右方向の略中央で互いに当接可能であり、その各移動側端枠9には開閉用の把手15、当接状態で互いに施錠する施錠手段の他に、最大伸長位置(図1の実線状態)、吊り元側の収縮位置(図2の一点鎖線状態)、及び回転収納位置Aで地面g側の落とし孔16等に係脱自在に係合する落とし棒17が設けられている。
【0017】
ガイドレール3は図4、図5及び図10に示すように断面角形C字状等であって、上壁部18と、この上壁部18の前後両端から下方に延びる前後一対の側壁部19と、各側壁部19の下端から内外方向に内向きに屈曲する前後一対の車輪走行部20と、両車輪走行部20の間に設けられた開口部21とを左右方向(長手方向)の全長に備えている。
【0018】
そして、このガイドレール3は左右方向の中間の固定レール22と、この固定レール22の左右方向の両端側で各吊り元支柱1側に配置された回転レール23とを備えている。固定レール22は上枠2の前端下部のリブ状の突出部24に固定され、また突出部24は上枠2の左右方向の全長にわたって一体に設けられており、吊り元端側では回転レール23のストッパーとして機能する。なお、固定レール22は図11に示すように、回転レール23との対向端縁は、前側が吊り元支柱1側となり、後側がそれと反対側となるように斜め方向に傾斜している。
【0019】
回転レール23は図3〜図7に示すように、その吊り元側が吊り元側端枠8の上端部に片持ち状に固定され、また吊り元側端枠8は吊り元支柱1に対してヒンジ手段6により縦軸心廻りに回転自在に枢支されている。そして、回転レール23は、固定レール22に対して略一直線状に接続する接続位置B(図2、図11参照)と、吊り元支柱1の後方側の回転収納位置Aとの間でヒンジ手段6廻りに回転自在である。なお、回転レール23の回転範囲は、この実施例では略90度程度であるが、回転収納位置Aの設定如何で適宜決定すればよい。
【0020】
吊り元支柱1は角筒状等であり、この吊り元支柱1の伸縮扉体4側の側面に、内外両側に突出するヒンジ手段6と回転止め手段26を介して吊り元側端枠8が装着されている。ヒンジ手段6は図5、図6、図8に示すように、上下に配置された固定ブラケット27及び可動ブラケット28と、その端部同士を回転自在に枢着する縦軸25とを備え、各ブラケット27,28が吊り元支柱1及び吊り元側端枠8の対向面に固定されている。ヒンジ手段6は吊り元側端枠8の上下方向に所定の間隔をおいて複数個設けられている。
【0021】
回転止め手段26は吊り元側端枠8を回転レール23の接続位置B側に保持するためのもので、伸縮扉体4がヒンジ手段6の縦軸25廻りに回転収納位置A側へと回転したときに離脱し、逆に接続位置B側へと回転したときに係合するように双方向係脱式になっている。
【0022】
そして、この回転止め手段26は図5、図6、図8に示すように吊り元側端枠8に固定され且つ先端部の上面側に係合凹部30aが形成された固定ブラケット30と、この固定ブラケット30の上側で吊り元側端枠8に固定された可動ブラケット31と、可動ブラケット31の先端部に組み込まれた係合球等の係合子32及びバネ33とを有する。
【0023】
係合凹部30aは固定ブラケット30の先端部の受け部30bに設けられている。可動ブラケット31は先端に筒状部31aを有し、その筒状部31aに、下側に突出して係合凹部30aに係脱自在に係合する係合子32と、この係合子32を下方(係合方向)に付勢するバネ33とが上下に着脱自在に組み込まれており、その上側に筒状部31aを塞ぐプラグ31bが着脱自在に螺合されている。受け部30bの上端部の外周には、係合子32が係合凹部30aに係合し易くなるようにテーパー状等の案内部を設けてもよい。
【0024】
戸車5は図10及び図11に示すように、左右方向に長い戸車枠34と、この戸車枠34の前後左右に配置され且つガイドレール3の車輪走行部20上を左右方向に転動する4個(複数個)の車輪35とを備えている。戸車枠34には、車輪走行部20間の開口部21を経てガイドレール3の下側に突出するボルト等の吊り具36が中央に設けられ、この吊り具36が伸縮扉体4の移動側端枠9側の前後一対の縦桟11、及び中間の前後一対の縦桟11の上端間に装着された金具37の中央部に固定されている。
【0025】
従って、戸車5は伸縮扉体4の内外方向の略中央に、戸車5を案内する回転レール23は伸縮扉体4の略中央に夫々配置されており、回転レール23は伸縮扉体4の略中心を通る平面上に設けられている。なお、伸縮扉体4は中間部に配置された2個の戸車5と、移動側端枠9上の戸車5とによりガイドレール3に吊り下げられている。
【0026】
固定レール22と回転レール23との接続部の近傍には、図3に示すように接続位置Bの回転レール23を下側から受けるレール受け具38と、回転レール23を接続位置Bで回転不能にロックするレールロック手段39とが、ガイドレール3の内外両側に設けられている。また回転レール23には、移動端側の戸車5を回転レール23に対して移動不能にロックする戸車ロック手段40が設けられ、この戸車ロック手段40に対応して戸車ロック操作手段41が設けられている。
【0027】
レール受け具38は図9及び図10に示すように、回転レール23の遊端側を下側から受ける受け部38aと、この受け部38aの前端から起立する取り付け部38bとを一体に備え、固定レール22から回転レール23側に突出した状態でその取り付け部38bが固定レール22の前面にネジ、リベット等により固定されている。そして、回転レール23はヒンジ手段6の縦軸25廻りの回転によりレール受け具38の受け部38aに対して後側から係脱自在である。なお、レール受け具38の後端部には、回転レール23を受け部38a上へと案内する傾斜案内部38cが設けられている。
【0028】
レールロック手段39は図9〜図11に示すように、固定レール22の後面にネジ、リベット等の固定具により固定された被係合具43と、回転レール23の後面にネジ、リベット等により固定された支持具44と、この支持具44上に前後方向の支軸46により上下動自在に枢支され且つ被係合具43に対して上側から係脱自在に係合する係合具45とを備え、ガイドレール3の後側に配置されている。
【0029】
係合具45は下側の幅が薄くなるV字状等の楔状であって、ガイドレール3と略平行に左右方向に配置され、吊り元側端部が支軸46により支持具44の吊り元側端部に上下動自在に枢着されている。そして、被係合具43、支持具44は係合具45が上側から係脱自在に係合するV字状等の受け溝43b,44bを有し、また支持具44には支軸46と被係合具43との略中央等の中間部分に、係合具45の下側で上下方向に貫通する係合孔等の係合部44a が形成されている。
【0030】
戸車ロック手段40は図9〜図11に示すように、支持具44の吊り元側の上側近傍で回転レール23に固定された保持体48と、この保持体48に前後方向に摺動自在に挿通され且つ先端部が戸車5に後側から係脱自在に係合するロックピン49と、ロックピン49を係合方向に付勢するバネ50とを備えている。保持体48及びロックピン49は、戸車枠34の上側近傍で左右の車輪35間に対応して配置されている。ロックピン49は先端が回転レール23の後側の側壁部19を貫通して左右の車輪35間に出退し、また後端が保持体48から後方に突出している。バネ50はコイル状であり、保持体48内でロックピン49に套嵌されている。
【0031】
戸車ロック操作手段41は図9〜図11に示すように、回転レール23を接続位置Bから回転収納位置A側へと回転させたときに戸車ロック手段40をロック操作し、回転レール23を接続位置Bに戻したときに戸車ロック手段40をアンロック操作するためのものであり、ロックピン49の突出端部に固定された円板状、その他の被押圧部材51と、回転レール23の上側で上枠2の下面に固定され且つ回転レール23から後方に突出する押圧部材52とを備えている。
【0032】
押圧部材52は板材等の突起から成り、保持体48の上側で被押圧部材51の上部と対応しており、回転レール23が接続位置Bのときに被押圧部材51を介してロックピン49をアンロック位置に押圧する。なお、押圧部材52の後端には、回転レール23を押圧部材52の下側へと案内する傾斜案内部52aが設けられている。
【0033】
吊り元側端枠8は図4〜図6に示すように、吊り元支柱1と反対側が開放する平面コ字状であって、吊り元支柱1に対応する端壁部8aと、この端壁部8aの前後両端から吊り元支柱1と反対側に向かって屈曲する前後一対の側壁部8bとを備え、各側壁部8bの開放端側に吊り元側の前後一対の縦桟11を一体に備えている。そして、この吊り元側端枠8は、上端部等の各ヒンジ手段6、回転止め手段26に対応する部分がその内面に沿って屈曲する平面コ字状の補強板53により補強されている。
【0034】
回転レール23は図5及び図6に示すように、前後一対の側壁部8bとの間に所定の間隔を置いて吊り元側端枠8の上端部の略中央に嵌合状に配置され、その吊り元側が吊り元側端枠8の上端部に片持ち状に固定されている。そして、吊り元側端枠8と回転レール23との接続部分は、回転レール23の中央に配置された主補強具54と、回転レール23の前後両側に配置された前後一対の副補強具55とにより補強されている。
【0035】
主補強具54は図4〜図6に示すように略直角三角形状又はL字状であって、ガイドレール3の開口部21に嵌合する前後厚さの本体部54aを有し、その上側に回転レール23に対応するレール取り付け部54bが、外側に吊り元側端枠8に対応する枠取り付け部54cが互いに略直角方向に設けられている。本体部54aは板材を枠取り付け部54c側で連結するようにコ字状に屈曲したものであって、その上側に外へと屈曲するレール取り付け部54bが設けられている。
【0036】
そして、主補強具54は本体部54aを回転レール23の開口部21に嵌め込んだ状態で、各レール取り付け部54bが左右方向に複数本(3本)のネジ56により回転レール23の上壁部18に固定され、また枠取り付け部54cが上下方向の複数本(2本)のネジ57a,57bにより補強板53を介して吊り元側端枠8の端壁部8aに固定されている。
【0037】
主補強具54の枠取り付け部54cと吊り元側端枠8との間には、回転レール23を接続位置Bから回転収納位置A側へと回転したとき、即ち回転レール23がレール受け具38から外れたときに伸縮扉体4の重量で回転レール23が下がっても略水平状態を維持できるように、吊り元側端枠8に対する回転レール23の取り付け角度を上向き勝手に調整可能な角度調整手段58が設けられている。
【0038】
角度調整手段58は、枠取り付け部54cの下端部に吊り元支柱1と反対側から進退自在に螺合された調整ネジ58aを有する。この調整ネジ58aは先端が補強板53を介して吊り元側端枠8の端壁部8aに当接しており、ドライバ等の工具により回転操作したときに進退して、枠取り付け部54cと吊り元側端枠8の端壁部8aとの下端部側の隙間を調整するようになっている。なお、調整ネジ58aの上側の2本のネジ57a,57bは、調整ネジ58aとは逆に吊り元支柱1側から吊り元側端枠8の端壁部8a、補強板53を貫通して枠取り付け部54cに螺合されている。
【0039】
各副補強具55は外側起立部55aと内側起立部55bとを有する側面視U字状であって、回転レール23の前後両側でその側壁部19と吊り元側端枠8の各側壁部8bとの間に介在され、夫々に対してネジ60、ボルト61等で固定されている。ネジ60は吊り元側端枠8の側壁部8bの挿通孔60a、補強板53の側壁部53aの挿通孔60bを経て副補強具55の外側起立部55aのネジ孔60cに螺合する。ボルト61は副補強具55の内側起立部55bの挿通孔61a、回転レール23の側壁部19の挿通孔61bを経て、回転レール23の側壁部19の内側の当て板62のネジ孔61cに螺合している。挿通孔60a,60b,61a,61b等は、回転レール23の角度調整に支障を来さないようにネジ60、ボルト61の直径に比して適度な遊びを有する大きさとなっている。なお、挿通孔60a,60b,61a,61bは、最上位のネジ57aを中心とする円弧状の長孔に形成してもよいし、斜め方向に真っ直ぐな長孔にしてもよい。
【0040】
移動側端枠9は図12〜図15に示すように、開放側に前後一対の縦桟11が形成されたコ字状の連結部9aと、連結部9aの中央部分から突出する角筒状の当接枠部9bとを一体に備えている。移動側端枠9の当接枠部9bには、レールロック手段39をロック・アンロック操作し、レールロック手段39がアンロック状態のときに回転レール23側に係合するレールロック操作手段63と、移動側端枠9を所定位置に固定するための落とし棒17とが設けられている。
【0041】
レールロック操作手段63は図12及び図14に示すように、把手15の上側で移動側端枠9の当接枠部9bに上下方向に装着された溝付きの保持部材65と、この保持部材65により伸縮扉体4に対して上下方向に摺動自在に保持された操作ロッド66と、この操作ロッド66の下端部に操作軸67を介して設けられた操作摘まみ68と、操作ロッド66を上昇位置及び下降位置に保持する保持手段69とを備え、移動側端枠9の後側に設けられている。
【0042】
操作ロッド66は操作摘まみ68の上下方向の操作により、支持具44の係合部44aに下側から係脱自在であると共に、その上側の係合具45を下側から押して上下方向に係脱操作可能である。操作軸67は操作ロッド66に前後方向に摺動自在に挿入され、その後端側に操作摘まみ68が固定されている。
【0043】
保持手段69は、保持部材65の溝底側に形成された上下2個の係合部65a,65bと、操作軸67の先端に形成され且つ係合部65a,65bに係脱自在に係合する係合突部67aと、操作ロッド66と係合突部67aとの間で操作軸67に套嵌され且つ係合突部67aを係合方向に付勢するコイル状のバネ70とを備えている。そして、この保持手段69は、係合具45が被係合具43から離脱し且つ操作ロッド66が支持具44の係合部44aに係合する上昇位置(図9の2点鎖線位置)と、係合具45が被係合具43に係合し且つ操作ロッド66が支持具44の係合部44aから下方に離脱する下降位置(図9の実線位置)とに操作ロッド66を択一的に保持可能である。
【0044】
上下2個の係合部65a,65bの内、その上側の係合部65aには、操作ロッド66が支持具44の係合部44aを貫通して係合具45を離脱位置(図9の2点鎖線位置)まで押し上げたときに係合突部67aが係合し、また下側の係合部65bには、操作ロッド66が支持具44の係合部44aから下方に離脱する離脱位置まで下降したときに係合突部67aが係合して、操作ロッド66を各位置に保持するようになっている。
【0045】
落とし棒17は図13及び図15に示すように、把手15の下側で移動側端枠9の当接枠部9b内に上下方向に配置され、中間の案内部材72と下端の案内金具73とにより上下方向に摺動自在に支持されている。落とし棒17の上端部には、操作軸74を介して当接枠部9bの前後両側に操作摘まみ75が設けられ、また操作軸74又は操作摘まみ75は当接枠部9bに形成された上下方向の長孔76内で上下動自在である。
【0046】
落とし棒17には係合部17aとその上側の偏平部17bとが上下方向に形成され、また案内部材72には係合部17aに係脱自在に係合して落とし棒17を上昇位置に保持する板バネ77が設けられている。案内部材72は取り付け台72aを介して当接枠部9bの内部に固定されている。
【0047】
板バネ77は上下方向の中間部に弾性突部77aを有し、案内部材72内に上下方向に配置され、その上下両端がネジ78等で案内部材72に固定されている。弾性突部77aは落とし棒17を上昇位置に上昇させたときに係合部17aに係合して、落とし棒17を上昇位置に保持するようになっている。なお、弾性突部77aは落とし棒17を下方に落としたときに偏平部17bに摺動自在に当接する。
【0048】
前後の連結部材12は図16〜図18に示すように、その両者間に介在された上下方向に複数個の連結金具80にネジ等により固定されている。中間の落とし棒14は、前後の連結部材12間の略中央で下部側の複数個(2個)の連結金具80により上下動自在に保持されている。落とし棒14の上端部には、前後方向の操作軸81を介して各連結部材12の外側に操作摘まみ82が設けられ、また操作軸81は連結部材12に形成された上下方向の長孔83内で上下動自在である。
【0049】
各連結部材12は隣り合う縦桟11に左右方向の内側から当接して間隔を規制する規制部12aが設けられ、この各規制部12aに、図16〜図18に示すように操作軸81に下側から係脱自在に係合して落とし棒14を上昇位置に保持する板バネ84が相対向して設けられている。板バネ84は上下方向の中間部に弾性突部84aを有し、その上下両端がリベット85等で規制部12aに固定されている。弾性突部84aは落とし棒14を上昇位置まで上昇させたときに操作軸81に下側から係合して、落とし棒14を上昇位置に保持する。
【0050】
このような構成の吊り下げ式伸縮扉では、各伸縮扉体4の移動側端枠9の把手15を把持して左右方向に操作すれば、ガイドレール3に沿って複数個の戸車5が走行して、その戸車5を介して吊り下げ状態の伸縮扉体4が左右方向に伸縮する。このため出入口等を容易に開閉できる。
【0051】
出入口等を閉鎖する場合には、各伸縮扉体4の移動側端枠9同士を当接させた後、両移動側端枠9を施錠手段で施錠する。また必要に応じて各落とし棒17を地面g側の落とし孔16に落とし込んで、各伸縮扉体4をロックする。出入口等を開放する場合には、図2に一点鎖線で示すように各伸縮扉体4を吊り元支柱1側へと移動させて収縮させるか、又は図2に2点鎖線で示すように収縮状態の伸縮扉体4をヒンジ手段6の縦軸25廻りに回転収納位置Aまで回転させて後方に収納する。
【0052】
通常、回転レール23は図11に示すように固定レール22と接続する接続位置Bにあり、その接続位置Bでレールロック手段39によりロックされている。即ち、レールロック手段39の係合具45が被係合具43に上側から係合して、回転レール23が縦軸25廻りに不安定に回転しないように固定している。特に係合具45が楔状であって、この係合具45が被係合具43のV字状の受け溝43bに係合するため、回転レール23の前後方向のガタツキを防止できる。このため各戸車5は固定レール22と回転レール23との相互間で自由に走行でき、伸縮扉体4の開閉に何等支障を来すことはない。
【0053】
回転レール23は吊り元側端枠8の上端部に片持ち状に固定しているため、回転レール23の遊端側に上下方向の枠部材等がなく、前側から見た場合にも外観上の体裁が非常に良好である。また回転レール23の遊端側はレール受け具38上に乗っているので、後述のように回転レール23が吊り元側端枠8に対して片持ち状であるにも拘わらず、回転レール23の遊端側の垂れ下がり等を未然に防止できる。
【0054】
更に回転レール23が接続位置Bにあるときは、図10に示すように戸車ロック操作手段41の被押圧部材51が押圧部材52に当接しているため、ロックピン49がバネ50に抗して後側に押圧されてアンロック位置にある。このため戸車5は戸車ロック手段40に関係なく回転レール23上を走行できる。
【0055】
伸縮扉体4の回転収納に際しては、先ず伸縮扉体4を図3に示すように吊り元支柱1側で最小状態まで収縮させる。すると伸縮扉体4の3個の戸車5が全て回転レール23側に移動し、伸縮扉体4が戸車5を介して回転レール23に吊り下がった状態となる。
【0056】
そこで、次にレールロック操作手段63の操作摘まみ68を上側へと操作し、操作ロッド66を下降位置(図9の実線位置)から上昇位置(図9の二点鎖線位置)へと上昇させる。このとき操作ロッド66の上端が、図9に二点鎖線で示すように支持具44の係合部44aに係合し、この伸縮扉体4の移動側端枠9を操作ロッド66、支持具44を介して回転レール23に移動不能にロックする。
【0057】
このため操作ロッド66が係合部44aに係合した後に、誤操作等により移動側端枠9に伸長方向の外力が加わっても、移動側端枠9が移動して戸車5が回転レール23から離脱したり、収縮状態の伸縮扉体4が不測に伸長する等の問題はない。また移動側端枠9が操作ロッド66、支持具44を介して回転レール23に移動不能にロックされているため、回転レール23が吊り元側端枠8に対して片持ちであるにも拘わらず、回転レール23と伸縮扉体4の移動側端枠9とを一体的に回転させることができる。
【0058】
操作ロッド66が図9の二点鎖線位置まで上昇すると、その上端でレールロック手段39の係合具45を押し上げるので、係合具45が図9に二点鎖線で示すように支軸46廻りに回動して上昇し、被係合具43から離脱する。これによってレールロック手段39がアンロック状態となり、係合具45による回転レール23の接続位置Bでのロックを解除でき、回転レール23はヒンジ手段6の縦軸25廻りに回転収納位置Aへと回転可能な状態となる。しかし、回転止め手段26が伸縮扉体4の吊り元側端枠8を接続位置Bに保持しているので、回転レール23が不安定に回転することはない。
【0059】
そして、操作ロッド66が上昇すると、操作軸67の係合突部67aが上側の係合部65aに係合するため、保持手段69により操作ロッド66を上昇位置に保持できる。従って、操作ロッド66を上昇させてレールロック手段39をアンロック操作すれば、保持手段69により操作ロッド66を介して係合具45をアンロック状態に維持でき、誤操作等により操作ロッド66が下降しない限り係合具45が下がることはない。
【0060】
レールロック手段39のアンロック操作後、伸縮扉体4の移動側端枠9側を回転収納位置A側へと図2、図19のa矢示方向に操作すると、図19に示すように回転レール23の遊端側がレール受け具38から外れると共に、回転レール23の回転に伴って戸車ロック操作手段41が戸車ロック手段40をロック操作する。即ち、回転レール23が図19に示すように後方へとa矢示方向に回転すると、戸車ロック操作手段41の被押圧部材51が押圧部材52から後方に離れて行くため、戸車ロック手段40のロックピン49が、図19に示すようにバネ50に押されて移動端側の戸車5側へと前進し一対の車輪35間に挿入される。
【0061】
このように回転レール23を後方へと回転させると、直ちに戸車ロック手段40により回転レール23に対して移動端側の戸車5を略移動不能にロックできる。従って、回転レール23が接続位置Bから後方側へと回転した状態において、仮に誤操作で操作ロッド66が下降して支持具44の係合部44aから外れるようなことがあっても、移動側端枠9を吊り下げる戸車5が移動不能であるため、戸車5が回転レール23から離脱して伸縮扉体4が伸長するような惧れはなく、伸縮扉体4の回転時の安全性が著しく向上する。
【0062】
また回転レール23が後方へと回転するときに、回転止め手段26の係合子32が受け部30bにより押圧されて上昇し係合凹部30aから離脱する。このため回転止め手段26を備えているにも拘わらず、そのレールロック手段39のアンロック操作後、直ちに回転レール23の回転動作に移行でき、操作性が向上する。
【0063】
その後、収縮状態の伸縮扉体4を回転レール23により吊り下げた状態のままで、回転レール23、吊り元側端枠8と一体に伸縮扉体4をヒンジ手段6の縦軸25廻りに回転収納位置Aまで回転させる。このとき伸縮扉体4の移動側端枠9に備えた操作ロッド66が支持具44の係合部44aに貫通しているので、単に戸車5を介して移動側端枠9を吊り下げただけの場合に比較して、回転レール23の下側での伸縮扉体4の揺れ等を少なくでき、回転収納位置Aへとスムーズに回転させることができる。そして、回転収納位置Aまで回転すれば、必要に応じて落とし棒17により伸縮扉体4をロックする。
【0064】
回転収納位置Aから伸縮扉体4を戻す場合には、ヒンジ手段6廻りに図19の反a矢示方向へと回転させる。このとき回転レール23が接続位置Bに接近すれば、その遊端側がレール受け具38上に乗り上がる。このため接続位置Bでは、回転レール23を吊り元側端枠8とレール受け具38とで両持ち状に支持できる。従って、回転レール23は吊り元側端枠8と一体にヒンジ手段6の縦軸25廻りに回転可能であるにも拘わらず、固定レール22に接続した状態で安定的に支持でき、伸縮扉体4の重量等による遊端側の垂れ下がり等を防止できる。
【0065】
回転レール23が接続位置Bに接近すれば、戸車ロック操作手段41の被押圧部材51が上枠2側の押圧部材52に当接し、この押圧部材52によって被押圧部材51がバネ50に抗して後方へと押圧されるので、回転レール23の回転に伴って戸車ロック手段40のロックピン49が後方へと移動し、戸車5の一対の車輪35間から後方へと離脱する。このため回転レール23を接続位置Bへと戻すだけで戸車ロック操作手段41により戸車ロック手段40をアンロック操作でき、戸車ロック手段40がアンロック状態となる。従って、各戸車5は回転レール23に沿って走行可能な状態となる。
【0066】
回転レール23が接続位置Bに到達すると、上枠2の突出部24に当接して、固定レール22と接続した状態で停止する。また回転止め手段26の係合子32が受け部30bの上端に案内されたバネ33に抗しながら上昇し、受け部30bの外周を乗り越えて係合凹部30aに係合し、伸縮扉体4、回転レール23を接続位置Bに保持する。
【0067】
その後、レールロック操作手段63をアンロック操作して、その操作ロッド66を下降位置まで引き下げる。これによってレールロック手段39の係合具45が支軸46廻りに下方へと回動して被係合具43に係合するため、回転レール23をレールロック手段39により接続位置Bで再度ロックでき、回転レール23、固定レール22の相互間で戸車5が自在に走行可能な状態になる。
【0068】
また係合具45が被係合具43に係合した後、操作ロッド66が支持具44の係合部44aから離脱して、操作ロッド66による回転レール23と移動側端枠9とのロックを解除でき、移動側端枠9が左右方向に自由に移動可能な状態となる。このため回転レール23を接続位置Bに戻し、レールロック操作手段63をアンロック操作すれば、ガイドレール3に沿って伸縮扉体4を自由に伸縮させることができる。
【0069】
この実施例では、伸縮扉体4の一端側の吊り元側端枠8を吊り元支柱1に対してヒンジ手段6廻りに回転自在に枢着し、その吊り元側端枠8の上端部に、ガイドレール3の一部の回転レール23を片持ち状に取り付けているので、伸縮扉体4の収縮状態の如何に関係なく、吊り元側端枠8を含む伸縮扉体4と回転レール23を略同一面上に配置できる。このため吊り下げ式伸縮扉全体の内外方向の寸法を小さくできるので、少ないスペースに設置できると共に、回転収納時の伸縮扉体4の厚さも薄くできる。
【0070】
また回転レール23の吊り元側を吊り元側端枠8の上端部に各補強具54,55を介して取り付けているため、伸縮扉体4と回転レール23とが略同一平面上で片持ち状であるにも拘わらず、吊り元側端枠8に対して回転レール23を強固に固定できる。特に主補強具54と吊り元側端枠8との間には、吊り元側端枠8に対する回転レール23の取り付け角度を調整する角度調整手段58があり、この角度調整手段58により回転レール23を上向き勝手に調整できるので、回転レール23単独で伸縮扉体4を支持するときにも、その重量によって回転レール23が水平状態よりも下方に垂れ下がらないように維持できる。
【0071】
角度調整手段58による取り付け角度の調整時には、先ず図20に示すように主補強具54の枠取り付け部54cの最上位のネジ57aを締め付け、その下側のネジ57bを緩めておき、その状態で調整ネジ58aをドライバ等の工具で回転操作する。すると調整ネジ58aの先端が補強板53に対して吊り元側端枠8の端壁部8aに当接するため、図20に示すように最上位のネジ57aの締め付け部分を支点として主補強具54の角度が変化し、吊り元側端枠8に対する回転レール23の取り付け角度を調整できる。
【0072】
そして、伸縮扉体4の重量、回転レール23の剛性等を考慮して、回転レール23がレール受け具38から離脱し、収縮状態の伸縮扉体4側の重量を回転レール23で支持する状態において、回転レール23が略水平状態となる角度に調整した後、下側のネジ57bを締め付けて固定する。このようにすれば角度調整手段58の構造を簡単にでき、しかも回転レール23の吊り元側端枠8に対する角度を容易に調整でき、ガイドレール3に伸縮扉体4を吊り下げた後での調整も可能である。
【0073】
伸縮扉体4を地面g側にロックする場合には、落とし棒14,17を上昇位置から下方へと操作して落とし孔13,16等に落とし込む。各落とし棒14,17は板バネ77,84により上昇位置で弾性的に維持することにより、簡単な保持構造により落とし棒14,17を上昇位置に容易且つ確実に保持できる。
【0074】
図21〜図23は本発明の第2の実施例を例示する。この吊り下げ式伸縮扉は図21〜図23に示すように、上部側のガイドレール3の他に、地面g側に溝状等の下部ガイドレール90を備え、伸縮扉体4の下端部に、その下部ガイドレール90に沿って案内される被案内部91が設けられている。被案内部91は縦軸心廻りに回転する回転ローラ、又は突起等により構成され、伸縮扉体4の移動側端枠9、及びその中間部分の縦桟11等に設けられている。
【0075】
下部ガイドレール90の吊り元端側には、収縮状態の伸縮扉体4が回転収納位置Aへと回転できるように、被案内部91を下部ガイドレール90から後方へ離脱させるための切欠き部92が後壁部90aに形成されている。その他の構成は、第1の実施例と略同じである。このような伸縮扉の場合にも、前述と同様に実施可能である。
【0076】
図24〜図26は本発明の第3の実施例を例示する。この吊り下げ式伸縮扉は図24〜図26に示すように、移動側端枠9に、ガイドレール3により案内され且つ移動側端枠9側の戸車5と協働して移動側端枠9をガイドレール3に沿った施錠姿勢等の所定姿勢に保持する保持部材95が設けられている。移動側端枠9には、ガイドレール3の長手方向に所定の間隔を置いて、その吊り元側に戸車5が、移動端側に保持部材95が夫々配置されている。保持部材95はガイドレール3の前後の車輪走行部20間の開口部21に嵌合して縦軸96廻りに回転自在な案内ローラ97により構成されている。なお、縦軸96はボルト等により構成され、移動側端枠9の上端に上下調整可能に固定されている。
【0077】
このように保持部材95が戸車5と協働して移動側端枠9を施錠姿勢等の所定姿勢に保持するため、移動側端枠9の姿勢保持を目的として複数種類の戸車5を準備する必要がなく、容易且つ安価に実施できる。しかもガイドレール3の開口部21に嵌合して縦軸96廻りに回転する案内ローラ97により保持部材95を構成しているため、構造的に非常に簡単にできる。
【0078】
図27は本発明の第4の実施例を例示する。この回転止め手段26は図27に示すように、固定ブラケット30に、係合凹部30aを有する雄ネジ体98が螺合され、可動ブラケット31に、係合子32及びバネ33を内蔵する雄ネジ体99が螺合されている。各ブラケット30,31の先端側には雌ネジ孔98a,99aが形成され、その雌ネジ孔98a,99aに着脱自在に雄ネジ体98,99が螺合されている。係合子32は雄ネジ体99から離脱しないようになっている。
【0079】
雄ネジ体98は上端部にすり鉢状の係合凹部30aと、その外周のテーパー状等の案内部98bとが形成され、また下端側にドライバー等の工具係合用の操作部98cが設けられている。雄ネジ体99には、その上端側にドライバー等の工具係合用の操作部99cが設けられている。回転止め手段26はこのように構成してもよい。
【0080】
図28〜図31は本発明の第5の実施例を例示する。このレールロック手段39の係合具45は、その前後両側に略平行に形成された垂直状の平坦面45cと、この両平坦面45c間の下側に形成された下向き円弧状の被案内面45dとを有する断面U字状である。被係合具43の受け溝43bは、係合具45の平坦面45c側を前後両側から挟む垂直状の平坦面43cと、係合具45の被案内面45dを下側から受ける円弧状の受け面43dとを有する形状になっている。なお、支持具44には、底壁部44cの後部側の左右両端に係合具45用の支軸46の支持部44dと、係合具45の左右方向の中間部を後側から規制する規制部44eとが設けられている。そして、支持具44の規制部44e、底壁部44c及びその前側の立ち上がり部分は、係合具45の形状に対応して被係合具43の受け溝43bと略同様の形状になっている。
【0081】
従って、係合具45が被係合具43に係合する際には、その被案内面45dを前後の平坦面43cで受け溝43b内へと案内できる。また係合具45が被係合具43に係合した係合状態では、形状的に略一致する係合具45の被案内面45dと被係合具43の受け面43dとが対応しており、これによって回転レール23の前後のガタツキを防止できる。しかも、係合具45及び被係合具43には、その被案内面45d、受け面43dの上側に平坦面45c,43cがあり、その平坦面45c,43cが前後に対向しているので、回転レール23側に前後方向の外力が作用した場合にも、係合具45を支軸46廻りにアンロック方向に回動させるような分力が生じることはなく、レールロック手段39により回転レール23を確実にロック状態に維持できる。
【0082】
図32は本発明の第6の実施例を例示する。この回転止め手段26は図32(A)〜(E)に示すように構成することも可能である。即ち、係合子32は(A)に示すように下向きの半球体32a、(B)に示すように下端に半球部32bを有する円柱体32c、(C)に示すように下端に円錐部32d又は三角錐部を有する円柱体32c、(D)に示すように下端に截頭円錐部32eを有する円柱体32c、(E)に示すように下向きの円錐体、三角錐体等の錐体32f等により構成してもよい。係合凹部30aと、その外周のテーパー状等の案内部98bは、固定ブラケット30に直接形成してもよいし、雄ネジ体98に形成してもよい。
【0083】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば伸縮扉体4は、パンタグラフ機構10に多数の縦桟11を取り付けたものを例示しているが、縦桟11のないものでもよいし、複数枚の扉体をヒンジ手段6でジグザグ状に折り畳み可能に連結して伸縮自在に構成したものでもよい。
【0084】
ガイドレール3、戸車5は、例えば戸車枠34の片側に車輪35を備えた戸車5を採用する等、ガイドレール3に沿って戸車5が走行できるものであれば、他の形式のものでもよい。戸車5の車輪35は戸車枠34の片側又は両側に1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0085】
レールロック手段39の被係合具43は、固定レール22に設ける他、上枠2等の固定側に設けてもよい。レールロック手段39はレールロック操作手段63との関係上、係合具45が被係合具43に対して上側から係脱自在に係合することが望ましいが、被係合具43に対して係合具45が回転レール23側からその長手方向に係脱するように構成する等、他の係脱構造を採用してもよい。この場合、レールロック操作手段63にカム機構を採用する等によって、係合具45を十分に係脱操作することができる。操作ロッド66の保持手段69は、落とし棒14,17と同様に板バネ77,84を使用してもよい。
【0086】
戸車ロック手段40は、ロックピン49を一対の車輪35間に出退させるようにしているが、戸車枠34、車輪35等に係合部を設け、その係合部にロックピン49が係合する等、要するに戸車5を回転レール23に対してロックできるものであればよい。また戸車ロック手段40は戸車5を回転レール23に対して略完全に固定する必要はなく、移動端側の戸車5に対してその前側、即ち固定レール22側にロックピン49を係合させる等により、戸車5が回転レール23から外れないようにすれば十分である。
【0087】
戸車ロック操作手段41は、他の構成のものでもよい。例えば、被押圧部材51をロックピン49から上枠2又は固定レール22に向かって前側へと突出させて設け、上枠2又は固定レール22の後面で被押圧部材51を操作するようにしてもよい。この場合には、上枠2又は固定レール22の後面が押圧部材52として機能する。ロックピン49はその基部を軸で枢支し、回転運動によって戸車5に係脱するようにしてもよい。その場合、ロックピン49は軸に套嵌されたつる巻きバネで付勢してもよいし、引っ張りバネで付勢してもよい。
【0088】
主補強具54はそのレール取り付け部54bの下面に回転レール23を取り付けるようにしてもよい。その場合、主補強具54のレール取り付け部54bの幅を回転レール23に、枠取り付け部54cの幅を吊り元側端枠8の端壁部8aに夫々合わせてもよい。角度調整手段58は主補強具54の枠取り付け部54cと吊り元側端枠8の端壁部8aとの間、レール取り付け部54bと回転レール23との間に夫々設けてもよいし、その何れか一方のみでもよい。
【0089】
回転止め手段26は、伸縮扉体4のヒンジ手段6の縦軸25廻りの双方向の回転時に双方向から係脱する双方向係脱式のものであれば十分である。また係合凹部30aと係合子32とを備えた回転止め手段26を採用する場合にも、実施例とは逆に係合凹部30aを可動ブラケット31の下面に設け、係合子32を固定ブラケット30に上向きに設けてもよい。
【0090】
保持部材95はガイドレール3により案内されながら、移動端側の戸車5と協働して移動側端枠9を所定姿勢に保持するものであれば、案内ローラ97以外のもの、例えばガイドレール3により摺動自在に案内される単なる突起等でもよい。角度調整手段58は主補強具54と回転レール23との間に設けてもよいし、主補強具54と吊り元側端枠8間、及び主補強具54と回転レール23間の両方に設けてもよい。
【0091】
この吊り下げ式伸縮扉は、左右一対の伸縮扉体4が左右両側で伸縮して開閉する両開き式を例示しているが、一方側の伸縮扉体4のみとし、その移動側端枠9(戸当たり側端枠)が戸当たり支柱に当接して施錠する片開き式でもよい。また門扉の他、間仕切り、雨戸、その他に使用する各種のつり下げ式伸縮扉においても応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の概略立面図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の概略平面図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示す収縮状態の立面図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部分の分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部分の側面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部分の平面断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例を示す回転レール取り付け部分の正面断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示す回転止め手段等の側面断面図である。
【図9】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段等を含む要部の一部切欠き正面図である。
【図10】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段、戸車ロック手段等を含む要部の一部切欠き側面図である。
【図11】本発明の第1の実施例を示すレールロック手段、戸車ロック手段等を含む要部の平面断面図である。
【図12】本発明の第1の実施例を示すレールロック操作手段等を含む要部の一部切欠き側面図である。
【図13】本発明の第1の実施例を示す落とし棒等を含む一部切欠き側面図である。
【図14】本発明の第1の実施例を示すレールロック操作手段等を含む要部の平面断面図である。
【図15】本発明の第1の実施例を示す落とし棒等を含む平面断面図である。
【図16】本発明の第1の実施例を示す連結部材、落とし棒等を含む正面断面図である。
【図17】本発明の第1の実施例を示す連結部材、落とし棒等を含む平面断面図である。
【図18】本発明の第1の実施例を示す連結部材、落とし棒等を含む側面断面図である。
【図19】本発明の第1の実施例を示す回転収納途中の平面図である。
【図20】本発明の第1の実施例を示す回転レールの角度調整時の説明図である。
【図21】本発明の第2の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の概略立面図である。
【図22】本発明の第2の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の下部の断面図である。
【図23】本発明の第2の実施例を示す吊り下げ式伸縮扉の下部の断面図である。
【図24】本発明の第3の実施例を示す戸車、保持部材を含む要部の一部切欠き正面図である。
【図25】本発明の第3の実施例を示す戸車、保持部材を含む要部の側面断面図である。
【図26】本発明の第3の実施例を示す戸車、保持部材を含む要部の平面断面図である。
【図27】本発明の第4の実施例を示す回転止め手段の断面図である。
【図28】本発明の第5の実施例を示すレールロック手段等を含む要部の一部切欠き正面図である。
【図29】本発明の第5の実施例を示すレールロック手段、戸車ロック手段等を含む要部の一部切欠き側面図である。
【図30】本発明の第5の実施例を示すレールロック手段、戸車ロック手段等を含む要部の側面断面図である。
【図31】本発明の第5の実施例を示すレールロック手段、戸車ロック手段等を含む要部の平面断面図である。
【図32】本発明の第6の実施例を示す回転止め手段の断面図である。
【符号の説明】
【0093】
3 ガイドレール
4 伸縮扉体
5 戸車
6 ヒンジ手段
8 吊り元側端枠
9 移動側端枠
20 車輪走行部
21 開口部
22 固定レール
23 回転レール
26 回転止め手段
30 固定ブラケット
31 可動ブラケット
30a 係合凹部
32 係合子
35 車輪
38 レール受け具
39 レールロック手段
40 戸車ロック手段
41 戸車ロック操作手段
43 被係合具
45 係合具
44 支持具
44a 係合部
49 ロックピン
50 バネ
51 被押圧部材
52 押圧部材
54 主補強具
55 副補強具
54a レール取り付け部
54b 枠取り付け部
63 レールロック操作手段
66 操作ロッド
69 保持手段
95 保持部材
96 縦軸
97 案内ローラ
A 回転収納位置
B 接続位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレール(3)に沿って走行する戸車(5)と、該戸車(5)により吊り下げられた伸縮扉体(4)とを備え、前記ガイドレール(3)の吊り元側に、収縮状態の前記伸縮扉体(4)を吊り下げた状態で前記吊り元側のヒンジ手段(6)廻りに回転収納可能な回転レール(23)を備えた吊り下げ式伸縮扉において、前記伸縮扉体(4)は吊り元側に前記ヒンジ手段(6)により回転自在に枢着された吊り元側端枠(8)を備え、前記回転レール(23)は前記伸縮扉体(4)と略同一面上でその吊り元端側を前記吊り元側端枠(8)の上端部に片持ち状に固定したことを特徴とする吊り下げ式伸縮扉。
【請求項2】
前記吊り元側端枠(8)と前記回転レール(23)との接続部を補強する補強具(54)(55)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ式伸縮扉。
【請求項3】
前記補強具(54)と前記回転レール(23)、前記補強具(54)と前記吊り元側端枠(8)の少なくとも一方に、前記吊り元側端枠(8)に対する前記回転レール(23)の取り付け角度を調整する角度調整手段(58)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の吊り下げ式伸縮扉。
【請求項4】
前記回転レール(23)を取り付けるレール取り付け部(54b)と前記吊り元側端枠(8)を取り付ける枠取り付け部(54c)とを有し且つ前記回転レール(23)の前後の車輪走行部(20)間の開口部(21)に嵌合する主補強具(54)と、前記回転レール(23)の前後両側で該回転レール(23)と前記吊り元側端枠(8)の側壁部(8b)との間に介在される副補強具(55)とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の吊り下げ式伸縮扉。
【請求項5】
前記回転レール(23)を固定レール(22)に接続する接続位置(B)で該回転レール(23)の遊端側を受けるレール受け具(38)を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の吊り下げ式伸縮扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2006−274555(P2006−274555A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91440(P2005−91440)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000230984)日本工機株式会社 (36)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】