説明

吊掛装置

【課題】本発明は、支持具の大きさを小型化して、天井に取り付けた場合に極力目立たないようにして美観を損なうことのないようにすることを課題とするものである。
【解決手段】支持具1は、抜止具3・3を伝達具4の挟持部28・28に閉塞部17・17が相対向するように遊嵌し、これを基体2に、抜止具3・3の当接部18・18が基体2の押圧部10・10又は許容部9・9に係合するように装入し、ローラー19・19を基体2の収容部11・11に位置するように振り分けばね5を装入して成る。支持具1に着脱可能に支持される吊掛具8は、シャフト20の一端にばね21を介して挿入部22を設け、他端にリング状の引掛部24を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、室内の天井に取り付けて、物干具や観葉植物や絵画等を吊り下げて使用する吊掛装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、前述のような吊掛装置として特開平6−121725号公報に記載された発明があるが、この第1の実施例においては、支持具1の基体2の下半体4に楕円形の案内溝4bを設け、伝達具6の一端面側には、挿入凹部6aを挟んで両側に低くなった部分が形成され、そこに抜止具5・5が摺動可能に係合している。抜止具5は、下側に突出する突起5bを設けてあり、この突起5bは下半体4の案内溝4bに係合するようになっている。この抜止具5は、伝達具6と共に回動すると突起5bと案内溝4bの係合により直線的に摺動され、閉塞部5aが下半体4の挿入孔4aの一部を閉塞するようになっている(段落0007及び段落0009参照)。
【特許文献1】特開平6−121725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の従来例においては、楕円形の案内溝4bが抜止具5の突起5bを挟んで案内することで、抜止具5は直線的に摺動されるようになっているので、案内溝を形成する壁が、抜止具の外側にも内側にも存在し、支持具はその内外方向(摺動方向)の大きさを小さくできないという問題がある。また、抜止具5は、安定して直線的に摺動されるためには、摺動方向に案内されるためのある程度の長さが必要であり、この点においても支持具は摺動方向の大きさを小さくできないものである。
【0004】
本発明は、支持具の大きさを小型化して、天井に取り付けた場合に極力目立たないようにして美観を損なうことのないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、支持具と吊掛具を有し、支持具は、挿入孔を設けた基体の中に可動の抜止具と、係合部を設けた伝達具とを有し、抜止具は、伝達具によって動かされて挿入孔の一部を閉塞する閉塞部を有して成り、吊掛具は、引掛部を設けると共に、一端部に、挿入孔から挿入可能な挿入部を設け、挿入部には、伝達具の係合部に係合させて回動することによって伝達具を動かすことができる駆動部を設けて成り、駆動部が伝達具を介して抜止具を動かし、閉塞部が挿入孔の一部を閉塞することによって挿入部を抜け止めして吊掛具を支持する吊掛装置において、伝達具は、支持具に回動可能に取り付けられると共に、抜止具を共に回動するように設けて成り、抜止具は、略垂直状の立壁部の下部に略水平状の閉塞部を設けて略L字状に形成すると共に、立壁部の外側部下部に当接部を設けて成り、支持具の基体の内壁には、当接部を内側に押圧する押圧部と、当接部が外側に後退できるスペースである許容部を設けて成り、抜止具が回動すると、当接部は押圧部又は許容部に選択的に係合するように成し、当接部は、押圧部に係合すると押圧され、閉塞部が内側に動かされて挿入孔の一部を閉塞すると共に、当接部は、許容部に係合すると、閉塞部が外側に動かされ得る状態になるように構成し、閉塞部を内側又は外側に動かすことによって、吊掛具を支持具に着脱することができるようにして成るものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明によれば、抜止具を動かすのが、支持具に設けた内外の壁で形成する溝ではなく、外側の壁だけであり、抜止具の内側に、動かすための構造を設ける必要がないので、支持具を小型化することができるという効果がある。また、抜止具は、略L字状で略垂直状の立壁部を設けてあり、この立壁部も抜止具を案内することができるので、動く方向に長くしなくても安定して動かすことができ、支持具の一層の小型化を図ることができるという効果がある。
【実施例1】
【0007】
支持具1は、上方に開口する有底円筒状の円筒部25の上周縁に円形の鍔部26を設け、鍔付き帽子を上下逆にしたような形状の基体2の中に、抜止具3、伝達具4及び振り分けばね5を内蔵し、裏面に蓋体6を被せ、表面にカバー7を被せて成るものである。
【0008】
基体2の円筒部25には、底板の中央に、円形の貫通孔の挿入孔29を設け、円筒板の内周に、外方に略台形状に凹んでいる許容部9・9と、同じく略台形状に、許容部9・9よりも小さく凹んでいる凹部の押圧部10・10を、中心からの角度を約50度ずらしてそれぞれ相対向するように設けてある。
【0009】
さらに、円筒部25の内周には、外方に略U字状により大きく凹んでいる収容部11・11を相対向するように設けてある。また、鍔部26には、2箇所に取付孔27・27を設け、基体2には、取付孔27・27に挿通する取付ねじを隠して美観を向上させるために、カバー7を被せるようになっている。
【0010】
抜止具3は、円弧状板を略垂直状に設けた立壁部16の下端に、先端が円弧状になっている閉塞部17を略水平状に突設して、全体を略L字状に形成し、立壁部16の外側部下部に略台形状に突出する当接部18を設けて成る。この抜止具3・3は、2つを一組として基体2の円筒部25の中に回動可能に収納され、それぞれの当接部18・18は、基体2の円筒部25の許容部9・9又は押圧部10・10に係合する。
【0011】
伝達具4は、下方に開口する有底円筒状の中を挿入凹部12とし、その底板の中央に、六角形に突出する係合部13を設けてある。伝達具4の外周には、抜止具3・3の立壁部16・16がそれぞれ遊嵌する円弧状に凹んでいる挟持部28・28を180度離れた位置に設け、またその間には、後述する振り分けばね5のローラー19・19が安定して収まる対となった谷部14・14と、そこから約50度離れた位置に同じく対となった谷部15・15を設けてある。
【0012】
挟持部28・28の奥の面は、下方が内側に傾斜しており、この挟持部28・28には、一対の抜止具3・3が遊嵌しており、伝達具4を回動すると共に回動するようになっている。
【0013】
振り分けばね5は、先端が接近する方向に付勢された円弧状のばねで、先端にはローラー19・19が取り付けられ、ローラー19・19は基体2に設けた収容部11・11に収容され、伝達具4を回動した時、ローラー19・19が谷部14・14又は谷部15・15を挟むようにして係合し、山状の中間点を境にして、伝達具4を振り分けるものである。
【0014】
吊掛具8は、シャフト20の一端にばね21を介して、下に凸となった略半球形状の挿入部22を設け、他端にリング状の引掛部24を設けてある。このばね21は、吊掛具8を曲げようとする力がかかった場合に、曲がって緩衝するためのものである。挿入部22の上端の平らな部分には、六角形の孔の駆動部23を凹設してある。この駆動部23は、伝達具4の係合部13と係合する。また、シャフト20は、パイプに棒部材を挿入してあり、伸縮できるようになっている。なお、引掛部24は端部ではなく、シャフト20の中間に設けてもよい。
【0015】
支持具1を組み立てるには、抜止具3・3を伝達具4の挟持部28・28に閉塞部17・17が相対向するように遊嵌し、これを基体2に、抜止具3・3の当接部18・18が基体2の許容部9・9に係合するように装入し、その後振り分けばね5が基体2の収容部11・11に位置するようにローラー19・19を装入し、蓋体6を被着し、天井等に取付ねじで取り付け、最後にカバー7を被着する。この時、ローラー19・19は、伝達具4の谷部14・14に係合させる。
【0016】
抜止具3・3の当接部18・18が支持具1の基体2の許容部9・9に係合し、抜止具3・3が開放している状態から、吊掛具8の挿入部22を基体2の挿入孔29から伝達具4の挿入凹部12に挿入し、駆動部23を伝達具4の係合部13に係合し右に約50度回動させる。すると、伝達具4の挟持部28・28が抜止具3・3を共に回動させ、当接部18・18が基体2の押圧部10・10に係合して内側に向かって押圧される。
【0017】
当接部18・18は抜止具3・3の下部に設けられていると共に、挟持部28・28の奥の面は、下方が内側に傾斜しているので、抜止具3・3は、その下部だけが内側(中央)に向かって揺動することになり、その閉塞部17・17が挿入孔29の一部を閉塞する。閉塞された挿入孔29は挿入部22の直径よりも小さくなり、駆動部23を係合部13から外して、吊掛具8を下ろすと、挿入部22が閉塞部17・17に抜け止めされ、吊掛具8は支持具1に支持される(図1、図2及び図5の状態)。
【0018】
この状態では、吊掛具8は、360度どの方向にもある程度の角度揺動することができると共に、それ以上の角度揺動してもばね21が曲がって緩衝するようになっており、吊掛具8に揺動する方向に力がかかった場合でも、支持具1や吊掛具8が容易に壊れないようになっている。そして、吊掛具8が支持具1に支持された状態で引掛部24に物干具や観葉植物や絵画等を吊り下げて使用したり、間隔を離して2つ取り付けて引掛部24・24に物干竿を掛け渡して使用するものである。
【0019】
不使用時は、引掛部24を持って吊掛具8を持ち上げ、挿入部22の駆動部23を伝達具4の係合部13に係合させ、左に約50度回動させると、伝達具4の挟持部28・28が抜止具3・3を共に回動させ、当接部18・18は、基体2の許容部9・9に係合し、外側に後退が可能な状態となる(この状態では抜止具3・3は動かない。)。その状態から、駆動部23を係合部13から外して、吊掛具8を下ろすと、下に凸となった略半球形状の挿入部22の形状により、閉塞部17・17は挿入部22によって水平外側方向に押され、抜止具3・3は外側に向かって揺動し、閉塞部17・17が押し広げられ、挿入孔29から後退し、挿入孔29の全体が開口し、吊掛具8の挿入部22を抜き外すことができる(図3、図4及び図6の状態)。
【0020】
なお、上記のように本実施例では、当接部18・18が基体2の許容部9・9に係合しても抜止具3・3は動かないが、ばねを入れる等して、抜止具3・3の閉塞部17・17が挿入孔29から後退する方向に常に付勢されているようにしておいて、当接部18・18が基体2の許容部9・9に係合すると、そのばねの力で抜止具3・3の閉塞部17・17が挿入孔29から後退する方向に(外側に)動くようにしてもよい。要するに、当接部18・18は、許容部9・9に係合すると、閉塞部17・17が外側に動かされ得る状態になることによって、挿入部22から受ける外力やばねの復元力等の、抜止具3・3が受ける外力により挿入孔29を開口し、挿入部22を出入りさせることができるようにすればよいものである。
【0021】
吊掛具8に吊り下げられている洗濯物等の重さ等で、抜止具3・3が開放する方向に力を受けても、抜止具3・3の当接部18・18が基体2の押圧部10・10に当接しているので、吊掛具8は抜け落ちることはない。
【0022】
また使用時に、吊り下げられている吊掛具8に洗濯物等が吊り下げられている状態で、風等で洗濯物等を回転する力が加わった時に、吊掛具8が回動することがあっても、洗濯物等の重さで吊掛具8の挿入部22が下方に力がかかると、その形状から抜止具3・3は外方に押し広げられる力を受けることになり、凸部である当接部18・18が凹部である押圧部10・10に係合するので、抜止具3・3は回動することがなく開放せず、吊掛具8は落下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】使用状態を示す縦断面図。
【図2】図1のA−A線断面図(挿入孔の一部が閉塞している状態の横断面図。ただし吊掛具の挿入部は図示していない。)。
【図3】挿入孔の全体が開口し、吊掛具を支持具から抜き外した状態の縦断面図。
【図4】図3のB−B線断面図(挿入孔の全体が開口している状態の横断面図。ただし吊掛具の挿入部は図示していない。)。
【図5】蓋体を外した状態の支持具の平面図(挿入孔の一部が閉塞している状態)。
【図6】蓋体を外した状態の支持具の平面図(挿入孔の全体が開口している状態)。
【図7】支持具と吊掛具の要部の分解斜視図。
【図8】伝達具の上下を逆にした状態の斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1 支持具
2 基体
3 抜止具
4 伝達具
8 吊掛具
9 許容部
10 押圧部
13 係合部
16 立壁部
17 閉塞部
18 当接部
22 挿入部
23 駆動部
24 引掛部
29 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持具と吊掛具を有し、支持具は、挿入孔を設けた基体の中に可動の抜止具と、係合部を設けた伝達具とを有し、抜止具は、伝達具によって動かされて挿入孔の一部を閉塞する閉塞部を有して成り、吊掛具は、引掛部を設けると共に、一端部に、挿入孔から挿入可能な挿入部を設け、挿入部には、伝達具の係合部に係合させて回動することによって伝達具を動かすことができる駆動部を設けて成り、駆動部が伝達具を介して抜止具を動かし、閉塞部が挿入孔の一部を閉塞することによって挿入部を抜け止めして吊掛具を支持する吊掛装置において、伝達具は、支持具に回動可能に取り付けられると共に、抜止具を共に回動するように設けて成り、抜止具は、略垂直状の立壁部の下部に略水平状の閉塞部を設けて略L字状に形成すると共に、立壁部の外側部下部に当接部を設けて成り、支持具の基体の内壁には、当接部を内側に押圧する押圧部と、当接部が外側に後退できるスペースである許容部を設けて成り、抜止具が回動すると、当接部は押圧部又は許容部に選択的に係合するように成し、当接部は、押圧部に係合すると押圧され、閉塞部が内側に動かされて挿入孔の一部を閉塞すると共に、当接部は、許容部に係合すると、閉塞部が外側に動かされ得る状態になるように構成し、閉塞部を内側又は外側に動かすことによって、吊掛具を支持具に着脱することができるようにしたことを特徴とする吊掛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−319625(P2007−319625A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156678(P2006−156678)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000148070)株式会社川口技研 (48)
【Fターム(参考)】