説明

吊掛装置

【課題】従来の過荷重の警告を表示する効果を保持しつつ、使用時に道具の付け替えを不要とし、ワンタッチ操作で使用できる吊掛装置を提供すること。
【解決手段】フック部材の下端面を上方へ押すことで、フック部材の本体部を室内側へ引き出し、フック部材に物干し用ハンガー等を吊り下げる吊掛装置であって、該フック部材は、吊り下げ用の引掛部を有する本体部と該本体部の上方側に位置する警告表示部を有し、該フック部材の下端面を押すことでフック部材の本体部を室内側へ引き出す手段と過荷重の警告を行う手段の双方を共に円筒ケース内に収容した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フック部材の本体部が天井裏に、フック部材の下端面が室内側に露出するように天井に設置され、使用時には、フック部材の下端面を上方へ押すことで、フック部材の本体部を室内側へ引き出し、このフック部材の本体部に物干し用ハンガー等を吊り下げて使用する吊掛装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内の天井に支持具を付設し、該支持具に吊掛装置を着脱自在に懸架することにより、物干し具あるいは観葉植物等を吊り下げて使用する吊掛装置が多数提案されている。
【0003】
特開2008−194324号公報には、天井面等に取り付けられる支持具に、シャフトに引掛具を設けた吊掛具を回動して着脱することができる吊掛装置において、吊掛具は、シャフトの下端部に連係筒を設けると共に、連係筒には下方に開口する凹部である収容部を設け、引掛具は、上端部に連係突起を設け、この連係突起を連係筒の収容部に挿入して収容するよう、弾性体によって上方に付勢して吊掛具の下端部に取り付けられ、連係筒及び連係突起には互いに接触する接触部をそれぞれ設けると共に、連係突起の外周には表示部を設けて成り、引掛具に荷重がかかっていない時には弾性体の付勢力によって、連係筒と連係突起のそれぞれ接触部が接触して引掛具はシャフトと一緒に回動すると共に、連係突起の表示部が連係筒に収容されている状態に保持されるよう構成し、引掛具は一定以上の力で回動すると空転するように設定されていると共に、引掛具に一定以上の荷重がかかると弾性体の付勢力に抗して、連係突起が下動してその表示部が連係筒から露出するように設定されている吊掛装置が開示されている。
【0004】
特開2008−194324号公報の吊掛装置によれば、部品数の少ない単純な構造で、正常な回動操作でない時に、引掛具を無理に回動しても引掛具は空転し、吊掛具や支持具に過剰な力がかかって壊れてしまうことがないという効果と過荷重の警告を表示する効果を同時に奏することができるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2008−194324号公報の吊掛装置は、使用時は、天井面等に取り付けられる支持具に引掛け具(フック部材)を先端に備えるシャフトを装着するものである。このため、引掛け具を先端に備えるシャフトの装着という操作が必要であり、面倒である。また、不使用時はシャフトを保管する必要がある。また、不使用時にシャフトを紛失する恐れもある。
【0006】
従って、本発明の目的は、従来の過荷重の警告を表示する効果を保持しつつ、使用時に道具の付け替えを不要とし、ワンタッチ操作で使用できる吊掛装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、フック部材の本体部を室内側へ引き出す手段及び該過荷重の警告を行う手段を円筒ケース内に収容すれば、円筒ケース内を天井裏に、フック部材の下端面を室内側に露出するように天井に設置でき、該フック部材の下端面を上方へ押すことで、フック部材の本体部を室内側へ引き出し、フック部材に物干し用ハンガー等を吊り下げることができる吊掛装置を提供できること、この吊掛装置であれば、従来の過荷重の警告を表示する効果を保持しつつ、使用時に道具の付け替えを不要とし、ワンタッチ操作で使用できることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、略円筒形状のフック部材の下端面が室内側に露出するように天井に設置され、該フック部材の下端面を上方へ押すことで、フック部材の本体部を室内側へ引き出し、フック部材に物干し用ハンガー等を吊り下げる吊掛装置であって、該フック部材は、吊り下げ用の引掛部を有する本体部と該本体部の上方側に位置する警告表示部を有し、該フック部材の下端面を押すことでフック部材の本体部を室内側へ引き出す手段と、該フック部材に一定以上の荷重がかかると、該フック部材の本体部が下降して該フック部材の警告表示部が室内側に露出して過荷重の警告を行う手段と、を備え、該フック部材の本体部を室内側へ引き出す手段及び該過荷重の警告を行う手段を、円筒ケース内に収容したことを特徴とする吊掛装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の過荷重の警告を表示する効果を保持しつつ、使用時に道具の付け替えを不要とし、ワンタッチ操作で使用できる。また、不使用時は天井面から室内側へ実質的に突出するものはなく、高級感を与えると共に、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】不使用時における吊掛装置の正面図である。
【図2】使用時における吊掛装置の正面図である。
【図3】(A)が不使用時における吊掛装置の斜視図、(B)が使用時における吊掛装置の斜視図である。
【図4】本例の吊掛装置の分解斜視図である。
【図5】(A)が不使用時における吊掛装置の断面図、(B)が使用時における吊掛装置の断面図、(C)が過荷重の警告を表示する吊掛装置の断面図である。
【図6】使用時における吊掛装置の左側面図である。
【図7】他の形態例の吊掛装置の固定側筒状部材の斜視図である。
【図8】他の形態例の吊掛装置の可動部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の第1の実施の形態における吊掛装置を図1〜図6を参照して説明する。なお、図3は天井面の記載を省略した。吊掛装置10は、略円筒形状のフック部材2の下端面73が室内側30に露出するように天井20に設置され、フック部材2の下端面73を上方(図1中、矢印X方向)へ押すことで、ラッチ8を作動させ、フック部材2の本体部22を室内側30へ引き出し、フック部材2に物干し用ハンガー等を吊り下げる装置である。なお、図2中、符号23は本体部22に形成される引掛部(貫通孔)であって、この引掛部に物干し用ハンガー等の吊り下げ具が引掛けられる。
【0012】
吊掛装置10は、フック部材2を円筒ケース1Aに収容したものである。円筒ケース1Aは、本例では下方から上方に向けて3つのパーツ、すなわち、基台1、固定側筒状ケース4及びラッチケース9の接合物である。基台1は下端に天井面に螺子止めされる鍔部11を有している。従って、円筒ケース1Aにおいて、室内側に露出するのは鍔部11であり、他の部分は天井裏に配置される。なお、吊掛装置10が取付られる天井面には必要に応じて支持用の補強をしてもよい。
【0013】
基台1は、天井20に設置される部分であり、フック部材2が出没する開口15を中心部に備える。基台1の円筒状本体12の内面の両側にはダンパ可動部材3のガイド突起35をガイド及び下降を規制するガイド溝13が形成され、内面の上部であってガイド溝13と90度変位する両側には固定側筒状ケース4の下係止片44が嵌る係止溝14が形成されている。ガイド溝13は、基台1の円筒状本体12の長さ方向の途中まで形成されており、ダンパ可動部材3の下降を制限するストッパーとなっている。
【0014】
固定側筒状ケース4は、ダンパ可動部材3をガイドしつつ上下移動自在に収容すると共に、ダンパを構成する1つの要素であるダンパ固定部材となるものである。すなわち、固定側筒状ケース4は、所定長さの円筒状であって、円筒本体41には、高さ方向に長い開口部45を有し、上端には上係止片43を、下端には下係止片44を形成している。開口部45の両側の中、一方の側にはラック42が形成されている。このラック42は、横向きの歯が上下方向に多数並んだものであり、ダンパ可動部材3のピニオン162が螺合することで、ロータリダンパを構成している。従って、開口部45の開口長さはフック部材2の使用時に引き出されるストロークと略同じであり、開口幅はピニオン162径と略同じである。なお、開口部45は蓋部材46で閉じられる。固定側筒状ケース4の下係止片44は、基台1の係止溝14に嵌る。
【0015】
ラッチケース9は、ラッチ8を固定する円筒形状のものである。ラッチケース9は固定側筒状ケース4の上係止片43に嵌る。
【0016】
円筒ケース1A内には、フック部材2、フック部材2の本体部22を室内30側へ引き出す手段及び過荷重の警告を行う手段が収容されている。
【0017】
フック部材2は、略円筒形状であって、引掛具を吊り下げるための引掛部23を有する本体部22と、本体部22の上方側に位置する警告表示部21と、本体部22の径より大の径を有する円板状の基部24とからなる。本体部22の引掛部23は、円筒形側面の一部のくり抜き形状であって、一対の湾曲した側板で囲まれたものである。これにより、引掛具が嵌る空間を広くとっている。警告表示部21は円柱部材であり、中心にはシャフト5が通る孔27が形成され、円周面は例えば赤色に着色されるか又は赤色シールが貼られる。円板状の基部24は、室内側に露出する部分であり、中心にはシャフト5が通る孔が形成されている。円板状の基部24は、指で押されるフック部材2の下端面を形成できるが、本例ではフックキャップ7が嵌るため、フックキャップ7の下端面71がフック部材2の下端面となる。
【0018】
次に、フック部材2の本体部22を室内30側へ引き出す手段(以下、単に、「フック部材を引き出す手段」とも言う。)について説明する。フック部材を引き出す手段は、ラッチ8に挟持され不使用状態にあるフック部材2を、ラッチ8の挟持を解除して、使用状態にする手段を言う。すなわち、フック部材を引き出す手段は、突起31の最初の押圧により開き、突起31の次の押圧により閉じる一対のラッチ挟持爪82を有するラッチ8と、ラッチ挟持爪82に係合する突起31と、ピニオン回転軸がダンパ可動部材3の軸芯と直交する径方向に延びるピニオン162とを有し、フック部材吊り下げ用のシャフト5を支持するダンパ可動部材3と、ピニオン162と螺合するラック42を上下方向に配置すると共に、ダンパ可動部材3を収容する固定側筒状ケース4と、ダンパ可動部材3とラッチ8間に介在する第2弾性体6とから構成される。
【0019】
ラッチ8は、フックラッチと称されるものであり、被挟持物の最初の上方への押圧により開き、被挟持物の次の上方への押圧により閉じる一対のラッチ挟持爪を下端に有するものである。すなわち、一対のラッチ挟持爪82の根元の当接部に、被挟持物の突起が繰り返し当たることで、一対のラッチ挟持爪は開と閉を繰り返すものであり、例えば、市販のプッシュラッチ「型番;TL−236」(栃木屋社製)等が使用できる。本例のラッチ8は、公知のものであって、箱状のラッチ本体81と、ラッチ本体81内に収容される下方にバネ付勢された一対のラッチ挟持爪82とからなり、ラッチ本体81の開口の幅寸法を狭くし、一対のラッチ挟持爪の没入により、ラッチ挟持爪82が閉じるものである。また、ラッチ本体81には、バネの付勢力に抗して没入した一対のラッチ挟持爪82の基端部に係止し、再度の没入で係止が外れる移動玉が配置されている。移動玉の係止及び係止の解除は、箱状のラッチ本体81の側壁に形成されたハート形の溝内を移動玉が移動することで達成できる。すなわち、一対のラッチ挟持爪82の基部にダンパ可動部材3の突起31が当たると移動玉がハート形溝の中心部から下方へ移動し、移動玉と一対のラッチ挟持爪の基端部との係止が外れて一対のラッチ挟持爪82は下方移動して開き、更に一対のラッチ挟持爪82の基部に突起31が当たると一対のラッチ挟持爪82は箱状のラッチ本体81内に没入し、移動玉がハート溝の下方から中心へ移動して一対のラッチ挟持爪の基端部と係止し、一対のラッチ挟持爪82が閉じるものである。
【0020】
ダンパ可動部材3は、ラッチ挟持爪82に係合する係止部311が形成された突起31と、ピニオン回転軸(不図示)が軸芯と直交する方向に延びるピニオン162とを有し、フック部材吊り下げ用のシャフト5を支持するものである。軸芯とは、ダンパ可動部材3の上下方向に延びる中心軸の軸芯を言う。
【0021】
ダンパ可動部材3は、概ね円筒形状であって、円筒形状の上部は、ピニオン部材16が設置される取付側壁32であり、中央部は、支持具92a及び第1弾性体94を収納する支持具収納部33であり、下部は、フック部材2の円柱状の警告表示部21が嵌る円筒状スカート部34である。中央部と下部は、中央にシャフト5が通る孔37が形成される隔壁36で区画されている。また、ダンパ可動部材3の外周面の両側には、所定幅と所定長さのガイド突起35が形成されている。ガイド突起35は、固定側筒状ケース4内において、ガイド溝47にガイドされると共に、基台1のガイド溝13の下方内壁に当たって、下降移動が規制される。
【0022】
ピニオン部材16は、ピニオン162と、螺子孔を備えるピニオン基台161とからなる。ピニオン基台161は、ダンパ可動部材3の取付側壁32に螺子17により螺子止めされ、ピニオン162は、ピニオン回転軸によりピニオン基台161に回転自在に設置される。
【0023】
支持具92aは、フック部材吊り下げ用のシャフト5を第1弾性体94を介在して支持するものであり、本例では、ピン受け92と、ピン93と、ワッシャ91からなる。フック部材吊り下げ用のシャフト5は棒状部材であって、シャフト5の径よりも大の径の頭部53を下端に、ピン本体51を径方向に貫通するピン挿入孔52を上方に有している。シャフト5はフック部材2の下方から上方に挿入され、円柱状の警告表示部21の孔27の下端で頭部53が係止し、ピン本体51の半分以上が支持具収納部33に頭出しされる。頭出しされたシャフト5に、大小2つのバネ94a、94b、ワッシャ91及びピン受け92が重ねられ、ピン受け92の上方でシャフト5のピン挿入孔52にピン93を挿入し、次いで、ピン受け92とピン93を係合させる。このように、支持具収納部33には、支持具92a、第1弾性体94及びシャフト5の一部が収容される。また、フック部材2の円柱状の警告表示部21は、ダンパ可動部材3の下部の円筒状スカート部34に嵌る。なお、フック部材2はダンパ可動部材3に嵌る前に、基台1を嵌めこんでおく。そして、フック部材2に下方に向けて一定以上の荷重がかかると、第1弾性体94の付勢力に抗してフック部材2の本体部22が下降し、警告表示部21がダンパ可動部材3の円筒状スカート部34から現れる。
【0024】
ダンパ可動部材3とラッチ8間には第2弾性体であるバネ6が介在する。第2弾性体は、吊掛装置10の使用時、ダンパ可動部材3とラッチ8の係合が解かれる際、弾発力を発揮して、ダンパ可動部材3に下降移動を与えるものである。なお、フック部材2の下端にはフックキャップ7が嵌められ、フック部材2の円板基部24に形成されたシャフト5が通る孔を塞いでいる。また、吊掛装置10は、基台1の鍔部の螺子孔を通して天井20に螺子止めされる。更に、本例では、カバー部材111を基台1の鍔部11に被せて、螺子を見えないようにしている。
【0025】
吊掛装置10のフック部材を引き出す手段において、フック部材2の本体部22を室内側に引き出すには、先ず、フック部材2の下端面71を押す。これにより、ラッチ8のラッチ挟持爪82が開いて、ラッチ挟持爪82とダンパ可動部材3の突起31の係合を解除する。この解除と同時に、ダンパ可動部材3等の自重と第2弾性体6の弾発力により、ダンパ可動部材3は下降する。フック部材2は、ダンパ可動部材3に固定されているため、フック部材2も同様に下降する。
【0026】
ダンパ可動部材3の下降速度は、ロータリーダンパにより抑制される。ロータリーダンパを設置することで、フック部材2の飛び出しを防止し、部材の損傷を防止することができる。すなわち、ダンパ可動部材3の下降は、ダンパ可動部材3のピニオン162と、固定側筒状ケース4のラック42の螺合により、ダンパ可動部材3の下降速度が抑制される。また、フック部材2の引き出しは、ダンパ可動部材3のガイド突起35の下端が、基台1のガイド溝13の下端と当たることで終了する。この状態において、フック部材2の本体部22は、室内側に露出し、警告表示部21は、ダンパ可動部材3に隠れたままである(図5(B))。
【0027】
吊掛装置10において、過荷重の警告とは、使用者に吊掛装置10の耐荷重の限界を知らせるものであり、この警告表示を見ることで、吊掛装置10に掛ける荷重を軽減することになる。これにより、吊掛装置10や吊掛装置支持部の破損を防止できる。過荷重の警告を行う手段は、フック部材2と、フック部材吊り下げ用のシャフト5と、シャフト5を第1弾性体94を介在して支持する支持具92aとからなる。支持具92aは前述の構成部材からなる。すなわち、第1弾性体94であるバネは、シャフト5に設置され、下端がダンパ可動部材3の隔壁36の上面に当接し、上端がシャフト5の上部で固定されるピン受け92に当接している。すなわち、第1弾性体94は、ダンパ可動部材3の隔壁36とピン受け92間に挟まれている。従って、シャフト5に係止されたフック部材2に一定以上の荷重がかかると、第1弾性体94の付勢力に抗してフック部材2の本体部22が下降してフック部材2の警告表示部21が室内側に露出することになる(図5(C))。第1弾性体94は本例では、大小2つのバネ94a、94bからなる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施の形態における吊掛装置を説明する。第2の実施の形態例の吊掛装置において、第1の実施の形態における吊掛装置と異なる点は、ロータリーダンパを省略した点にある。すなわち、ダンパ可動部材3においてピニオン部材16を省略し、固定側筒状ケース4においてラック42を省略した点にある。従って、ダンパ可動部材3は可動部材3aとなる。すなわち、第2の実施の形態における吊掛装置におけるフック部材の本体部を室内側へ引き出す手段は、第1の実施の形態における吊掛装置と同様のラッチと、ラッチ挟持爪に係合する突起31と、フック部材吊り下げ用のシャフトを支持する可動部材3aと、可動部材3aを収容する固定側筒状ケース4aと、可動部材とラッチ間に介在する第2弾性体とからなる。なお、突起31は可動部材3aの上面に突起が上方に向くように設置される。
【0029】
第2の実施の形態における吊掛装置においては、図8に示すように、可動部材3aのピニオン部材16が設置される取付側壁32は省略できる。このため、可動部材3aの高さはダンパ可動部材3の高さより低くできる。また、図7に示すように、固定側筒状ケース4aは、開口部45が無い筒状部材とすることができる。第2の実施の形態例の吊掛装置によれば、ラッチフック部材2の飛び出しはあるものの、第1の実施の形態例の吊掛装置と同様の効果を奏する。
【0030】
本発明の吊掛装置において、ラッチ8と突起31の設置位置は、上記実施の形態のものに限定されず、例えば、突起31がラッチケースの上面部材の裏面に突起が下方に向くように設置され、ラッチ8がダンパ可動部材3あるいは可動部材3aの天面に一対の挟持爪が上方を向くように設置するものであってもよい。これにより、ラッチは、突起の最初の押圧により開き、突起の次の押圧により閉じる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、不使用時、天井面に露出するのは、実質、フック部材の下端面であり、室内の空間を広く採れる。また、従来の過荷重の警告を表示する効果を保持しつつ、使用時に道具の付け替えを不要とし、ワンタッチ操作で使用できる。また、フック部材の引掛部に物干し具あるいは観葉植物等を吊り下げて使用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 基台
1A 円筒ケース
2 フック部材
3 ダンパ可動部材
4 固定側筒状ケース
5 シャフト
6 第2弾性体
7 フックキャップ
8 ラッチ
10 吊掛装置
20 天井
30 室内
94 第1弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状のフック部材の下端面が室内側に露出するように天井に設置され、該フック部材の下端面を上方へ押すことで、フック部材の本体部を室内側へ引き出し、フック部材に物干し用ハンガー等を吊り下げる吊掛装置であって、
該フック部材は、吊り下げ用の引掛部を有する本体部と該本体部の上方側に位置する警告表示部を有し、
該フック部材の下端面を押すことでフック部材の本体部を室内側へ引き出す手段と、 該フック部材に一定以上の荷重がかかると、該フック部材の本体部が下降して該フック部材の警告表示部が室内側に露出して過荷重の警告を行う手段と、を備え、
該フック部材の本体部を室内側へ引き出す手段及び該過荷重の警告を行う手段を、円筒ケース内に収容したことを特徴とする吊掛装置。
【請求項2】
該過荷重の警告を行う手段において、該フック部材に一定以上の荷重がかかると、第1弾性体の付勢力に抗して該フック部材の本体部が下降することを特徴とする請求項1記載の吊掛装置。
【請求項3】
該フック部材の本体部を室内側へ引き出す手段が、
突起の最初の押圧により開き、該突起の次の押圧により閉じる一対のラッチ挟持爪を有するラッチと、
該ラッチ挟持爪に係合する突起と、
フック部材吊り下げ用のシャフトを支持する可動部材と、
該可動部材を収容する固定側筒状ケースと、
該可動部材と該ラッチ間に介在する第2弾性体とからなることを特徴とする請求項1記載の吊掛装置。
【請求項4】
該フック部材の本体部を室内側へ引き出す手段が、
突起の最初の押圧により開き、該突起の次の押圧により閉じる一対のラッチ挟持爪を有するラッチと、
該ラッチ挟持爪に係合する突起と、
ピニオン回転軸がダンパ可動部材の軸芯と直交する径方向に延びるピニオンとを有し、フック部材吊り下げ用のシャフトを支持するダンパ可動部材と、
該ピニオンと螺合するラックを上下方向に配置すると共に、該ダンパ可動部材を収容する固定側筒状ケースと、
該ダンパ可動部材と該ラッチ間に介在する第2弾性体とからなることを特徴とする請求項1記載の吊掛装置。
【請求項5】
該円筒ケースは、天井裏に位置することを特徴とする請求項1記載の吊掛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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