向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置
【課題】 対象物を搬送方向に直角な左右方向ほとんど振れずに、確実に向き換えができるようにする。
【解決手段】 左右方向Yで搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベア1によって搬送する対象物2に左右方向Yで異なった搬送速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転力F3を与えるのに併せ、対象物2の高速搬送側Y1と、低速搬送側Y2との双方に回転促進力F1、F2を側方から与えて、対象物2の向きを変えることにより、上記の目的を達成する。
【解決手段】 左右方向Yで搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベア1によって搬送する対象物2に左右方向Yで異なった搬送速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転力F3を与えるのに併せ、対象物2の高速搬送側Y1と、低速搬送側Y2との双方に回転促進力F1、F2を側方から与えて、対象物2の向きを変えることにより、上記の目的を達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を平面上で向き換えする向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置に関し、例えば函を搬送しながらその外面に対して、磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うのに利用される。
【背景技術】
【0002】
ビールびん、酒びんなどのリターナブルなびん類を函に収容して、所定数単位での取り扱いや、出荷元とユーザとの間の通いに供することが古くから行われている。びん類の通いの函における充填びん収容時の負荷は空びん収容時に比し格段に高く、重い。しかし、函はそのような負荷に耐える十分な強度、耐久性を持ちながらも、取り扱いやすさや運搬性の面から、軽量で持ち運びやすく、水が溜まらないといったことが望まれる。そこで、函の多くは樹脂製で、図16にビールびん用の通いの函2で代表して示すように、取手、補強リブ2a、この補強リブ2aによる凹部2b、補強ブリッジ、通水や軽量化のための透孔や窓などを持ったものとなっている。また、中仕切りを有してびんを個別に収容し保護するポケットを形成している。
【0003】
このような函2は地面上や倉庫に放置されたり、野ざらしにされたりし、ゴミや埃、汚れが付着しやすい。また、樹脂製であることにより静電気汚れといわれる特殊な汚れも生じる。しかし、飲料などの食品を取り扱うびんを収容しリターナブルな使用に供するのに、それら各種の汚れを落す処理が望まれる。また、充填びんを収容した函2を消費業者や消費者への販売段階で、まとまった取引をする顧客先名や記号などを記した図16に示すようなシール9が貼着されることが慣例化しているが、メーカー側は回収し再利用するのにそのようなシール9を除去することになる。また、近時では販売店で代金が支払い済みであることを示す図16に示すような支払い済みテープ9aが函2の天面などに貼着されることもあり、これも残っていると除去対象となる。また、一部にはバーコードが貼り付けられていることもあり、これも除去対象になる。
【0004】
汚れや異物を除去する常套手段として、水や洗浄液の噴射によるもの(例えば、特許文献1参照。)、水や洗浄液中で超音波洗浄するもの(例えば、特許文献2参照。)、回転するブラシにより洗浄液を併用してブラッシングするもの(例えば、特許文献3〜6参照。)がある。
【特許文献1】特開2000−263004号公報
【特許文献2】特開平06−328050号公報
【特許文献3】特開平09−173996号公報
【特許文献4】特開2001−009404号公報
【特許文献5】特開平07−214025号公報
【特許文献6】特開平07−185492号公報 特許文献1に記載の水や洗浄液の噴射によるものでは、汚れが落ちにくく、特に貼着されたシール9や支払い済みテープ9a、静電気汚れなどは除去できない。また、特許文献2に記載のような水や洗浄液中で超音波洗浄するものでも装置が大掛かりな割には、除去効果は低い。しかも、このように頑固な汚れ、シールの状態や材質は一定せず、その除去にはむらがあり問題である。
【0005】
特許文献3〜6に記載のものは、機械的な摩擦作用、掻き取り作用と、洗い流し作用、膨潤作用、溶剤作用、界面活性作用とが同時に働き除去効率は比較的高くなるが、ブラシなどの処理具を函2の1つの処理対象面に対して相対移動させて必要範囲、必要域に働かせるのに、函の搬送経路まわりのブラシ機構により装置が勢い複雑化および大型化し、高価にもつく。また、ブラシの移動機構どうしの干渉や、処理具およびその移動機構と函のクランプ機構との干渉などを避けるよう、各面の洗浄を異なった処理ステージにて行うことで多くの処理ステージが必要となりプラントがさらに長大化する。
【0006】
ところで、函を搬送しながらその函面を前記のように処理するのに、搬送方向に平行な面には処理具を側方から働かせやすいし、高い処理効果が得られやすいので合理的であり、その搬送および処理の途中で函を90度向き換えできれば、その前後で前記搬送方向に平行な2面ずつの処理を行うことで函の4周につき処理を終えることができ、装置が簡単かつ小型なものとなる。このような搬送物の向き換えを行うのに、搬送速度の違う複数のコンベアによる差速コンベアを用いることが知られている(例えば、特許文献7、8参照。)。
【0007】
ところで、差速コンベアによる差速搬送だけでは、搬送物に対する向きや位置の規制、向き換え作用力に不安があって、90度など所定角度の回転を確実かつ安定して実現するのは困難である。
【0008】
これを、特許文献7に記載のものは、差速のある左右の第1、第2のコンベアにて搬送物を搬送しながら、搬送物の左右に設けた磁石を左右の第1、第2のコンベア側に設けた左右のライン磁石に対向させ、かつ、早い速度で走行する第1のコンベア側である左側のライン磁石が搬送方向に向くように設け、遅い速度で走行する第2のコンベア側である右側のライン磁石が搬送方向下流側に向かって左側のライン磁石に近接し達するように搬送方向に対し傾斜する向きに設けてある。従って、搬送物は自身の左右の磁石が第1、第2コンベア側の左右のライン磁石と対向するように送り込まれさえすれば、以降、第1、第2のコンベアによる差速の搬送を、左右のライン磁石の案内を受けながら搬送される。具体的には、搬送物は左側の磁石位置が左側のライン磁石に沿った直線方向に案内されながら第1のコンベアによって速い速度で搬送されるのに対し、右側の磁石位置が第2のコンベアにより左側の磁石位置に対し遅れを持って搬送されながら、右側のライン磁石に沿って左側のライン磁石に近付けられていく。これにより、搬送物は第1、第2コンベアによる差速搬送を受けながら左側磁石を中心に回転して90度向き換えされる。
【0009】
特許文献8に記載のものは、左右の一方側から他方の側に差速のある複数のコンベアからなる第1のコンベアの後段に、第1のコンベアにおける速度の高いコンベア側から速度の低いコンベア側へ向けて所定角度傾斜した搬送方向を有する第2のコンベアを配し、第2のコンベアにはその搬送方向下流側の側面に搬送物の側面位置を規制するガイド部材を設けている。これによると、第1のコンベアに送り込まれた搬送物は、搬送速度の高い側の搬送が先行していくのに対し搬送速度の低い側の搬送が遅れていくことで、回転力を受け向きが換えられていく。しかし、90度向き換えするには長い搬送距離が必要であったり、確実さに不安があったりするが、第2のコンベアは45度程度の向き換え途中の搬送物を早期に受け入れて、前記傾斜方向に、つまりガイド部材に寄せていくように搬送し、搬送物のガイド部材への当接によってさらに向き換えを進行させながらガイド部材に沿った時点で90度の向き換えを達成し、そのまま送り出せるようにする。
【特許文献7】特開平09−315553号公報
【特許文献8】特開2001−301951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献7、8に記載の向き換え方式によると、向き換えのために搬送物の搬送位置が搬送方向に直角な向き、つまり左右方向に大きく位置が振れる。このため、向き換え装置自体の装置幅が増大する上、同一搬送経路での複数の処理に支障を来す。これに対応するには向き換え工程前後の搬送経路を前記位置ずれ分だけずらしたり、位置ずれ分を矯正して後工程に送る必要がある。搬送経路を前後でずらす場合は、個別の搬送経路を設置する必要があるし、搬送経路を含めた全体の設置幅が増大する。また、位置ずれを矯正する場合は、特別なプロセス、スペースが必要となり装置全体の複雑化、大型化につながる。また、特許文献7に記載のものは搬送物側にも特別な磁石が一律に必要で特殊化し高価にもなる。
【0011】
本発明の目的は、対象物を搬送方向に直角な左右方向ほとんど振れずに、確実に向き換えができる向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明の向き換え方法は、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側に、回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを1つの特徴としている。
【0013】
このような構成では、差速コンベアが搬送物を搬送するときの左右での速度差を持った搬送作用によって、対象物を搬送しながら差速コンベア上で回転させるのに併せ、対象物の高速搬送側に側方から前記開点に対する回転促進力を働かせることにより、差速搬送中の高速搬送側で対象物の回転を、差速搬送による回転中心まわりに補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を左右へ大きく振れさせるようなことなく、確実かつ早期に回転させられる。
【0014】
このような方法を達成する向き換え装置としては、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを1つの特徴とするもので足り、高速搬送側での回転促進力を確実かつ安定して与えられる。
【0015】
本発明の向き換え方法は、また、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを別の特徴としている。
【0016】
このような構成では、差速コンベアが搬送物を搬送するときの左右での速度差を持った搬送作用によって、対象物を搬送しながら差速コンベア上で回転させるのに併せ、対象物の低速搬送側に側方から回転促進力を働かせることにより、差速搬送中の低速搬送側で対象物の回転を、差速搬送による回転中心まわりに補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を左右へ大きく振れさせるようなことなく、確実かつ早期に回転させられる。
【0017】
このような方法を達成する向き換え装置としては、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転推進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを別の特徴とするもので足り、低速搬送側での回転促進力を確実かつ安定して与えられる。
【0018】
本発明の向き換え方法は、また、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった搬送速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側と、低速搬送側との双方に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを他の特徴としている。
【0019】
このような構成では、差速コンベアが搬送物を搬送するときの左右での速度差を持った搬送作用によって、対象物を搬送しながら差速コンベア上で回転させるのに併せ、対象物の高速搬送側と、低速搬送側とに、側方から回転促進力を働かせることにより、差速搬送中の対象物の回転を高速搬送側および低速搬送側から差速搬送による回転中心まわりにバランスよく補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を特に左右へ振れさせるようなことなく、より確実に、より早期に回転させられる。
【0020】
このような方法を達成する向き換え装置としては、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを他の特徴とするもので足り、高速搬送側および低速搬送側双方での回転促進力を確実かつ安定して与えられる。
【0021】
回転終期の対象物を、低速搬送側の側面ガイドで受け止めて沿わせ向きを一定にする、さらなる構成では、
差速搬送と側方からの回転促進とにより確実かつ早期に回転される対象物の1面が低速搬送側に旋回しながら寄っていくのをその対象物の回転終期として待機し、低速搬送側の側面ガイドに当接させて受け止め、対象物のさらなる回転によって前記1面が側面ガイドに沿いそれ以上の回転を阻止して最終回転向きを規制できる。
【0022】
それには、差速コンベアの低速搬送側に、差速コンベア上で回転される終期の対象物を受け止めて搬送方向に案内する側面ガイドを設ければよく、対象物の最終回転位置を1面が搬送方向に向く姿勢に揃えられる。
【0023】
対象物は、無端搬送帯に設けられたアタッチメントによって押動搬送される搬送物である、さらなる構成では、
アタッチメントによって押動搬送される対象物であっても、差速コンベアによる差速搬送作用と側方からの回転促進力とを利用して対象物をそれが押動されているアタッチメントから一時的に離して、前後のアタッチメント間で、確実かつ早期に回転させられる。
【0024】
向き換えは、無端搬送帯が搬送物を送り込む前またはおよび後の工程に続くように行う、さらなる構成では、
1つの無端搬送帯によって前工程から搬送されてきた搬送対象物またはおよび後工程に搬送されていく搬送物を受け入れて向き換えし、送り出すことができる。
【0025】
それには、適数の処理工程部と、無端搬送帯に設けたアタッチメントにより搬送物を押動搬送して前記適数の処理工程部での処理に供する処理工程搬送手段を備え、この処理工程搬送手段の搬送経路における特定の処理工程部の前、後の少なくとも1箇所に前記各場合の向き換え装置を設ければよい。
【0026】
対象物の平面形状は矩形であり、対象物の向き換え角度は90度である、さらなる構成では、
平面形状が矩形で搬送方向に平行な周面に処理を施すような場合に、90度の向き換えにより、その前後での2面ずつの同時処理にて4周面の処理が連続して行える。
【0027】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアによる対象物の高速搬送側に側方から当接して回転促進力を与える回転アームを備えている、さらなる構成では、
回転アームはスイング動作で対象物の高速搬送側に回転促進力を与えるもので、対象物への作用時にのみ対象物の搬送路に側方から進入して、対象物の回転方向、つまり搬送方向に向け当接すればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすいし、対象物の回転を一過性で速めるような場合に好適である。
【0028】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアの高速搬送側の、側方所定の範囲に位置し、周回しながら対象物の高速搬送側に側方から接して回転促進力を与える無端周回部材を備えている、さらなる構成では、
差速搬送によって回転を伴い搬送される対象物の高速搬送側に対する側方からの回転促進力を連続して与えられる。
【0029】
低速搬送側の回転促進手段は、対象物の低速搬送側に側方から接触、嵌まり合い、当接の1つによって回転推進力を与える接触部材、嵌まり合い部材、回転アームの1つを備えている、さらなる構成では、
差速搬送により回転を伴い搬送される対象物に対し、その低速搬送側から停止した接触部材が単に接触してそこでの搬送速度を落すだけでも、対象物の回転を促進できるし、嵌まり合い部材の嵌まり合いによっては、対象物の低速搬送側を拘束して対象物の回転を接触の場合よりもより確実に促進できるし、その回転促進は停止したまま、従動しながら、移動または回転しながら行うことができ、これら移動や回転はその向きや速度を変えられる。回転アームによっては対象物への作用時にのみ対象物の搬送路に側方から進入して、対象物の回転方向、つまり差速コンベアの搬送方向に対し逆向きに当接させればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすいし、対象物の回転を一過性で速めるような場合に好適である。
【0030】
対象物は平面形状が矩形な函であり、処理工程は搬送方向に平行な函面に対するブラッシングによる磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うものであり、処理工程部に搬送される函の搬送方向に平行な函面にブラッシングを及ぼす固定ブラシを配してある、さらなる構成では、
函をアタッチメントによって押動し搬送しながら処理工程部での処理工程に供する無端搬送帯と、この処理工程部の搬送経路の両側に配した固定ブラシだけの簡単な装置によって、函の4周の搬送方向に平行となる2面を同時にブラッシングして面処理することができ、しかも、同一無単搬送帯による搬送路上での向き換えとその前後での処理工程部での面処理とにより、前記2面の同時面処理を90度異なった向きで行い4周の全面の処理ができる。
【0031】
処理工程搬送手段の前段に、膨潤工程搬送手段により函を連続に搬送しながら噴射手段により熱水または温水、あるいはそれに界面活性剤などを含む膨潤液を噴射して函の表面異物の膨潤を図る膨潤工程部を備え、前記膨潤を図られながら連続搬送されている最先の函を分離して単独に切り出し、処理工程搬送手段に送り込まれるようにする切り出し手段を設けた、さらなる構成では、
表面の印刷、貼着物、ゴミ、汚れといった各種付着物を熱水や温水の噴射によって膨潤させ除去しやすくする膨潤工程において、切り出し手段により最先の函を分離して単独に切り出し次の処理工程搬送手段に送り込まれるようにすることで、函を連続に搬送して取り扱い噴射する膨潤液にロス少なく浴しながら、次の処理工程へはそこでの間欠的な処理に合わせて1つずつ確実に供給することが、膨潤工程部内で、従って単独の切り出しスペースなしに達成することができ、しかも、切り出し時点ぎりぎりまで待機している密集した函の全てを膨潤液に浴し続けられる。
【0032】
切り出し手段は、最先から2つ目の函を膨潤工程搬送手段上に一時的に係止することを周期的に行う第1の係止手段と、第1の係止手段に係止されず搬送されて後続の函から分離される最先の函を所定の分離位置に一旦係止してから所定のタイミングで係止を解除し搬送されるようにすることを周期的に行う第2の係止手段とを有している、さらなる構成では、
後続の函の第1の係止手段による係止にて最先の函を後続の函から切り離し単独で送り出せるようにする際、後続の函から切り離した最先の函を第2の係止手段にて後続の函からの所定の分離位置に一旦係止した準切り出し状態にしてから、所定のタイミングで第2の係止手段による係止を解除し最終の切り出しを行うので、搬送を停止されて押し合い状態になり乱れがちな後続の函の動きの影響を断った状態から乱れなく安定して送り出すことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の、向き換え方法および装置の1つ、または別の特徴によれば、差速搬送による対象物の回転をその高速搬送側または低速搬送側から特別な搬送スペースなしに、また左右方向にほぼ振れないで促進し、確実かつ早期に回転させられ、簡単かつ狭く短い搬送工程にて実現する。従って、前またはおよび後の各種工程と左右方向に位置ずれなく接続できるし、向き換え工程とその前またはおよび後の工程とに、搬送幅の狭い1つの搬送手段を共用することができる。
【0034】
本発明の、向き換え方法および装置の、他の特徴によれば、差速搬送による対象物の回転をその高速搬送側および低速搬送側の双方から特別な搬送スペースなしにバランスよく促進して、より確実かつ左右振れなく、より早期に回転させられるので、より短く狭い搬送工程にて実現し、そのより狭い搬送幅で前後の各種工程と接続して、しかも回転の工程とその前後の工程とにより狭い1つの搬送手段を用いることができる。
【0035】
回転終期の対象物を、低速搬送側の側面ガイドで受け止めて沿わせ向きを一定にする、さらなる構成によれば、
差速搬送と側方からの回転促進とで確実かつ早期に回転させる対象物を、設定位置の側面ガイドにより受け止め差速搬送中に最終回転向きを揃えられる。
【0036】
対象物は、無端搬送帯に設けられたアタッチメントによって押動搬送される搬送物である、さらなる構成によれば、
アタッチメントによる押動搬送中の対象物であっても、差速搬送作用と側方からの回転促進力とでアタッチメントからの引き離しを伴い前後のアタッチメント間で確実かつ早期に回転させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置に係る実施の形態につき、図1〜図15を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。本実施の形態では既述したビールびんを収納する樹脂製の函2を向き換え対象および処理対象とする場合の一例であり、処理は主として搬送する函2の函面に対して図7に示すような例えば固定ブラシ21、22により摺擦し、磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行う。
【0038】
本実施の形態の向き換え方法は、図1〜図6に示す向き換え装置Aを参照して、搬送方向Xに直角な左右方向Yで搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベア1によって、対象物としての函2を搬送しながら左右方向Yで異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与えるのに併せ、函2の高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2に、回転促進力F1またはおよびF2を側方から与えて、函2の向きを変える。
【0039】
図示する例では高速搬送側Y1および低速搬送側Y2の双方から回転促進力F1およびF2を与えるようにしている。差速コンベア1は図2、図3、図5に示す個別のモータ3a、3bによる駆動で差速を持たせた高速側コンベア1aと低速側コンベア1bとで構成している。しかし、それ以上の数のコンベアを段階的に速度が異なるように組み合わせて構成してもよいし、テーパローラを搬送面に沿って配列した速度が左右方向Yに連続に変化するローラコンベアで構成することもできる。また、図示する例では高速側コンベア1a、低速側コンベア1bを平ベルトを利用したものとしてあるが、これに限られることはなくVベルトや丸ベルトなどの紐状ベルトを採用することもできる。この場合、それぞれを個別のプーリによって張設してもよいが、テーパローラの軸線方向各部間に張設すると、1つのテーパローラによる駆動によって各張設位置での径の大小により搬送速度の違いが得られる。
【0040】
このような差速コンベア1は左右方向Yでの一方側から他方側に速度差を持った搬送作用によって、搬送する函2に対し差速コンベア1上で回転させる図1、図2に示すような回転力F3を与える。この回転力F3は差速コンベア1の高速側搬送速度V1と低速側搬送速度V2との速度差V3の大きさに一応比例するといえる。従って、低速側コンベア1bは低速なほど、停止しているほど、さらに搬送方向Xとは逆向きに駆動するほど、高速側コンベア1aに対し速度差が得やすく、大きな回転力F3が得られやすいし、よりその場で回転させやすい。もっとも、低速側搬送コンベア1bを停止させ、また逆向き搬送させる場合、高速側コンベア1aおよび低速側コンベア1bの双方に函2が十分に乗る必要があるので、高速側コンベア1aの摩擦力を低速側コンベア1bのそれよりも高くしたり、同等であると双方の途中位置に函2が跨るように供給したりすることが好適となる。
【0041】
しかし、速度差V3が大きすぎると函2との滑りや函2の位置や姿勢の乱れを招いて函2の搬送や回転が安定しなくなることがある。万一にも函2の回転が不備で詰まりなどが生じると、一連に繋がった処理ライン、ないしは生産ラインの全体に影響するので、問題となる。それを、適度な速度差での差速搬送にて函2を回転力F3により回転させながら、前記のように高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2から回転促進力F1またはおよびF2を与えることにより、差速搬送中の高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2で函2の回転を、差速搬送による回転中心まわりに補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を左右へ大きく振れさせるようなことなく、また、特別な搬送スペースなしに、確実かつ早期に回転させられる。従って、簡単かつ狭く短い搬送工程にて実現する。また、前またはおよび後の各種工程と左右方向に位置ずれなく接続できるし、向き換え工程とその前またはおよび後の工程とに、搬送幅の狭い1つの搬送手段を共用することができる。
【0042】
特に、差速搬送による対象物の回転をその高速搬送側および低速搬送側の双方から特別な搬送スペースなしにバランスよく促進して、より確実かつ左右振れなく、より早期に回転させられるので、より短く狭い搬送工程にて実現し、そのより狭い搬送幅で前後の各種工程と接続して、しかも回転の工程とその前後の工程とにより狭い1つの搬送手段を用いることができる。
【0043】
このような方法を達成するのに、本実施の形態の向き換え装置Aは、左右方向Yで搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する函2に左右方向Yで異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える前記のような差速コンベア1に加え、この差速コンベア1によって回転されながら搬送される函2の高速搬送側Y1または低速搬送側Y2に既述の回転促進力F1またはF2を側方から与える高速側回転促進手段4またはおよび低速側回転促進手段5を備えたものとしており、高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2での回転促進力F1またはおよびF2を確実かつ安定して与えられる。
【0044】
高速搬送側Y1の高速側回転促進手段4は、差速コンベア1による函2の高速搬送側Y1に側方から当接して回転促進力F1を与える回転アーム4aを備えている。この回転アーム4aはスイング動作で函2の高速搬送側Y1に対して回転促進力F1を与えるもので、函2への作用時にのみ函2の搬送路に側方から進入して、函2の回転力F3による回転方向、つまり差速コンベア1の搬送方向Xに向け当接すればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすい。この回転アーム4aによる回転促進力F1は、差速搬送によって設定した回転速度よりも遅れている函2に対してそれを補えるものでよく、設定速度で回転している函2に対しては同速かそれよりも若干遅く旋回して空回りさせるようにすると、函2に徒に負荷を掛けない利点がある。しかし、差速搬送により回転する函2の回転を一過性で速めるような場合にも干渉などの問題がなく好適である。また、高速搬送側Y1の高速側回転促進手段4は、差速コンベア1の高速搬送側Y1の、側方所定の範囲に位置し、具体的には、函2の回転初期の位置に設けた回転アーム4aの下流側に位置し、周回しながら函2の高速搬送側Y1に側方から接して回転促進力F1を与える無端周回部材4bをも備えている。このような無端周回部材4bは図示するような複数引き揃えたVベルト組などとしてよいが、平ベルトでもよい。いずれにしても差速コンベア1の差速搬送によって回転を伴い搬送される函2の高速搬送側Y1に対する側方からの回転促進力F1を、その張設長さ分だけ連続して長い間働かせることができ、函2の回転の促進や安定が図れるし、函2の高速搬送側Y1の位置を規制するのにも役立つ。
【0045】
低速搬送側Y2の低速側回転促進手段5は、函2の低速搬送側Y2に側方から回転促進力F2を与える回転アーム5aを備えている。回転アーム5aは回転アーム4aによる回転促進力F1と同等の回転促進力F2を函2の低速搬送側Y2に働かせるもので、回転促進力F1が差速コンベア1の搬送方向Xに向くものであったのに対し、回転促進力F2は差速コンベア1の搬送方向Xとは逆向きになるだけであり、函2の搬送路に側方から進入して、函2の回転方向、つまり前記反搬送方向に向け当接すればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすいし、対象物の回転を一過性で速めるような場合に好適である。
【0046】
しかし、低速側回転促進手段5をなす回転アーム5aは、函2の低速搬送側Y2に対し接触する接触部材や図2(b)に示すように嵌まり合う嵌まり合い部材5bなどと代替することができるし、高速側回転促進手段4のように異種のものを併用することもできる。接触部材の場合は、差速搬送により回転を伴い搬送される函2に対し、その低速搬送側Y2から停止した状態で接触してそこでの搬送速度を落すだけでも、函2の回転を促進できるし、逆向きの移動を与えればなおさらである。嵌まり合い部材5bの場合は、函2の低速搬送側Y2を拘束でき、函2の回転を接触の場合よりもより確実に促進できるし、その拘束を利用した回転の促進は停止したままでも、従動しながらでも、強制的に移動または回転駆動しながらでも行うことができ、移動や回転はその向きや速度を変えられる。
【0047】
また、図6(a)から(d)への回転状態を経た函2につき、図6(e)に示すような回転終期の函2を低速搬送側Y2の側面ガイド6で受け止めて図6(f)(g)に示すように沿わせ向きを一定にするようにしている。これにより、側面ガイド6は、差速搬送による回転力F3と、側方からの回転促進力F1またはおよびF2とにより、確実かつ早期に回転される函2の1面2cが低速搬送側Y2に旋回しながら寄っていくのをその函2の回転終期として待機し、寄ってきた函2をその1面2c側で図6(e)に示すように当接させて受け止めながら、函2のさらなる回転によって前記1面2cが図6(f)に示すように側面ガイド6に沿いそれ以上回転できなくなるのを利用して最終回転向きを規制できる。
【0048】
ここで、函2の平面形状は矩形であることに対応して向き換え装置Aによる向き換え角度は90度としてあり、本実施の形態では、さらに、図1に示すようにチエンなどの無端搬送帯11に設けられたアタッチメント12によって押動搬送される場合の函2を向き換え対象にしているが、アタッチメント12によって押動搬送される函2であっても、差速コンベア1による差速搬送作用と、側方からの回転促進力F1とを利用して、函2をそれを押動するアタッチメント12から図6(a)に示すように一時的に離した上で、図6(b)〜(f)のように前後のアタッチメント12間にて所定角度、本例では90度だけ確実かつ早期に回転させて後、追いついてくるアタッチメント12により再度押動搬送されるようにすることができる。
【0049】
このような搬送関係を満足する各部の速度関係の一例を示すと、差速搬送による函2の回転が遅れることを補助的に補う基本構造からは、概ね、高速側コンベア1aの搬送速度V6>周回部材4bの周回速度V4≧無端搬送帯11の搬送速度V5>低速側コンベア1bの搬送速度V7の関係となり、差速搬送による函2の回転をより確実に、より早めるには周回部材4bの周回速度V4>無端搬送帯11の搬送速度V5>高速側コンベア1aの搬送速度V6>低速側コンベアの搬送速度V7の関係となり、それぞれの間の速度差は数%〜数十%程度である。
【0050】
回転アーム4a、5aは函2の差速コンベア1による回転力F3を受けて実際に回転されるのを促進できればよく、その速度は実験や経験により適宜設定する。回転アーム4aは先端が折れ曲がったL型にして函2の側面局所に回転力F1を干渉や滑り無く与えやすいようにしてあるが、ストレートや湾曲した形状とすることもできる。回転アーム5aは湾曲形状として反搬送方向となる回転促進力F2を函2に対して滑りながら無理無く与えられるようにしている。しかし、これもその形状は任意である。もっとも、函2の表面の凹凸の存在や函2の高さの違いに対応して安定に働かせるように、複数の凸部に亘って当接し、凹部2bには入り込まない幅を有し、函2の高さの違いに関係なく働かせられる幅および高さ位置を確保することが望ましい。また、回転アーム5aは函2に対してばね付勢に抗し原点位置から逃げながらも函の差速搬送による搬送方向Xへの移動を阻止する分だけ函2に回転促進力F2を与え、所定姿勢に回転した函2から外れたときばね付勢によって原点位置に復帰して次の函2に対して同様に働くようにすることもできる。無端周回部材4bは函2に回転促進力F1を働かせる側と反対の側にテンションローラ4cを働かせて、函2に回転促進力F1を働かせるときの函2の左右方向Yへの変動に弾力的に対応できるようにしている。
【0051】
以上のような向き換えは、例えば、図7、図14に示すように無端搬送帯11が函2を送り込む前またはおよび後の処理工程部B、Cなどに続くように行う。これにより、向き換え装置Aは1つの無端搬送帯11によって前の処理工程部Bから搬送されてきた函2またはおよび後の処理工程部Cに搬送されていく函2を受け入れて向き換えし、送り出すことができる。具体的には、2つの処理工程部B、Cと、無端搬送帯11に設けたアタッチメント12により函2を押動搬送して前記処理工程部B、Cでの処理に供して処理する1つの処理工程搬送手段Dを備え、この処理工程搬送手段Dの搬送経路における処理工程部B、Cの間と、処理工程部Cの後とに、既述した向き換え装置Aを設けている。
【0052】
ここで、処理工程搬送手段Dは、図1、図2、図4〜図6、図9、図10に示すような左右一対の底面ガイド41により函2を支持、案内してアタッチメント12の押動搬送に供するようにしてあり、差速コンベア1の搬送面はこれら底面ガイド41よりも若干高くして函2を受け入れ、受け入れた函2を差速搬送しながら回転力F3を与えるとともに、高速側回転促進手段4および低速側回転促進手段5と協働して函2を前後のアタッチメント12間で90度回転させるようにしている。また、図1〜図6に示すように向き換え装置Aにおける函2の搬入部および搬出部には、既述した側面ガイド6を含めた左右一対の側面ガイド6を設けて、搬入、搬出する函2の位置および向きを規制するようにしてある。
【0053】
処理工程部B、Cはそれぞれ、図7〜図12に示すように函2の搬送方向に平行な函面、具体的には側面および天面に対するブラッシングによる磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うために、処理工程部B、Cに搬送される函2の搬送方向に平行な函の側面にブラッシングを及ぼす固定ブラシ21、および天面にブラッシングを及ぼす固定ブラシ22を配してある。これにより、函2をアタッチメント12によって押動し搬送しながら処理工程部B、Cでの処理工程部B、Cに供する処理工程搬送手段Dとしてのアタッチメント12付きの無端搬送帯11と、この処理工程部B、Cの搬送経路の両側および上部に配した固定ブラシ21、22だけの簡単な装置によって、函2の4周の搬送方向に平行となる2つの側面と天面を同時にブラッシングして面処理することができ、しかも、同一無単搬送帯11による搬送路上での向き換えと処理工程部B、Cでの面処理とにより、前記2つの側面の同時面処理を90度異なった向きで行い4周の前面の面処理ができる。また、4周面処理後の函2は処理工程部Cの下流に設けた向き換え装置Aによる90度の向き換えによって元の向きに直して以降の搬送に供することができる。本実施の形態では長手方向が左右方向Yに向く横向き姿勢を元の向きとしてある。これにより函2を取り扱うラインにおいて4周面処理のために一次的に長手方向が搬送方向Xに向く縦向き姿勢として取り扱うが、その他では横向きに取り扱えることとなり、搬送方向Xでの取り扱い嵩が小さくなり、搬送ラインが長くなるほど有効である。
【0054】
ここで、アタッチメント12による函2の押動搬送に対する向き換え装置Aの動作タイミングを採るため、図7に示すように無端搬送帯11をモータ42で駆動する駆動系からの、具体的にはモータ42の出力軸からの連動機構43により、高速側、低速側各回転促進手段4、5における回転アーム4aおよび5aを無端搬送帯11に連動して回転駆動し、アタッチメント12により押動搬送される函2に対し周期的に最適なタイミングで働くようにしてある。もっとも、このような連動機構はどのように構成してもよい。無端周回部材4bは函2に対して周回しながら連続に働くので動作タイミングを採る必要がなく、図5に示す独立のモータ44によって連続駆動するようにして、装置が徒に複雑になるのを防止している。
【0055】
また、処理工程部B、Cでは、側面の固定ブラシ21は図8に示す駆動モータ45を持った図8、図9、図11に示す駆動機構23によって左右に離接移動され、天面の固定ブラシ22は図8、図12に示す駆動モータ46を持った図8〜図10、図12に示す駆動機構24によって上下移動され、さらに図8、図9に示すモータ47を持った図8〜図11に示すような駆動機構28によって左右に離接移動されるようにしてあり、ブラッシング時の函2に対する立毛ないしは立毛束の被り代、言い換えると立毛束の腰を利用した引っ掛かり代ないしは押圧代の調節や、函2の大きさの違いに対応できる。また、処理工程部B、Cでは図7、図8、図11に示すように、固定ブラシ21の直後に、搬送される函2の函面に対し順方向に回転する回転ブラシ25、逆方向に回転する回転ブラシ26を設けてモータ27により駆動するようにしてある。これは函2の側面に補強リブ2aによる凹凸2bがあることに対応したもので、順方向の回転ブラシ25は凹部2b内の搬送方向下流側の隅部に対して上流側からブラッシング作用を及ぼし、逆方向回転ブラシ26は凹部2b内の搬送方向上流側の隅部に対して下流側からブラッシング作用を及ぼすことになり、そのブラッシング作用力は搬送される函面との相対速度に比例する。従って、順方向の回転ブラシ25は周速が函2の搬送速度を上回る必要がある。逆方向の回転ブラシ26は停止していてもよいが、逆方向の回転速度を持つほどブラッシング作用力が高まり順方向の回転ブラシ25を併用しながらも、函2の凹凸による隅部などへの付着異物を最終的に除去するのに好適である。
【0056】
さらに、処理工程搬送手段Dの前段には、図13〜図15に示すような左右一対のチエン30よりなる膨潤工程搬送手段31により函2を受載して連続に搬送しながら噴射手段32により熱水または温水、あるいはそれに界面活性剤を含むなどした膨潤液51を噴射して函2の表面異物の膨潤を図る膨潤工程部Eを備え、この膨潤工程部Eには前記膨潤を図られながら連続搬送されている最先の函2を分離して単独に切り出し、処理工程搬送手段Dに送り込まれるようにする切り出し手段33を設けてある。このように、表面の印刷、貼着物、ゴミ、汚れといった各種付着物を熱水や温水の噴射によって膨潤させ除去しやすくする膨潤工程部Eにおいて、切り出し手段33により最先の函2を分離して単独に切り出し次の処理工程搬送手段Dに送り込まれるようにすることで、函2を連続に搬送して取り扱い噴射する膨潤液51にロス少なく浴しながら、次の処理工程部Bへはそこでの間欠的な処理に合わせて1つずつ確実に供給することが、膨潤工程部E部内で、従って単独の切り出しスペースなしに達成することができ、しかも、切り出し時点ぎりぎりまで待機している連続ないし密集した函2の全てを膨潤液51に浴する膨潤に供し続けられる。
【0057】
切り出し手段33は、図13に示すように最先から2つ目の函2をその後壁に係合して膨潤工程搬送手段31上に一時的に係止することを周期的に行う第1の係止手段35と、第1の係止手段35に係止されず搬送されて後続の函2から分離される最先の函2を所定の分離位置に一旦係止してから所定のタイミングで係止を解除し搬送されるようにすることを周期的に行う第2の係止手段37とを有している。これにより、後続の函2の第1の係止手段35による係止にて最先の函2をその後壁に係合して後続の函2から切り離し単独で送り出せるようにする際、後続の函2から切り離した最先の函2を第2の係止手段37にて後続の函2からの図13に仮想線で示す所定の分離位置に一旦係止した準切り出し状態にしてから、所定のタイミングで第2の係止手段37による係止を解除し最終の切り出しを行うので、搬送を停止されて押し合い状態になり乱れがちな後続の函2の動きの影響を断った状態から乱れなく安定して送り出すことができる。
【0058】
ここで、切り出し手段33による切り出し動作の、次の処理工程部Bでの処理動作に対する同期を採るために、処理工程搬送手段Dの無端搬送帯11からの図13に示す連動機構52によって、カム53、54を介し、処理工程搬送手段Dに対し第1、第2の係止手段35、37を連動駆動して周期動作するようにしている。
【0059】
また、膨潤工程搬送手段31と処理工程搬送手段Dとの渡り部の上には、双方に跨った渡り搬送手段61を設けてある。渡り搬送手段61は周回ブラシ62よりなり、前記連動機構52によって切り出し手段33とともに処理工程搬送手段Dと同期駆動され、連続回転しながら、第2の係止手段37による係止が解除された函2を膨潤工程搬送手段31上から処理工程搬送手段D上に円滑に渡らせる。
【0060】
なお、処理工程部B、Cには図7、図9、図10に示すように洗浄水74を噴射する噴射手段73を設けて、膨潤した異物を固定ブラシ21、22で除去するのを補助し、また、それによって生じる細かな異物を洗い落すようにしてあり、図14に示すように膨潤工程部Eの前段にはさらに予洗工程部71が設けられ、処理工程搬送手段Dの後段にはすすぎ工程部72が設けられている。
【0061】
固定ブラシ21は図15(a)〜(h)に例示するように、立毛または立毛束を間隔を置いて植毛し形成したブラシ面21aが、少なくとも搬送方向Xに断続して設けられたものを用いると、ブラシ面21aが少なくとも搬送方向Xに断続していることにより、間隔を置いて植毛されてブラシ面21aを形成している立毛または立毛束群が、断続したブラシ面21a単位で前記函面に対し個別に働き、その働き位置が連続に移動する。これにより、搬送方向Xに断続した各ブラシ面21aはその全てが函面を連続に摺擦して、立毛の種類や接触の状態に応じ、磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行う。このとき、函面との接触や引っ掛かりによる立毛や立毛束の腰の強さに抗した極限までの屈曲またはおよび倒れと、極限を越え、あるいは接触や引っ掛かりが解除されたときの復帰とが、ブラシ面21a単位で他のブラシ面21a域の立毛に邪魔されないで活発に行われて、立毛または立毛束の屈曲、復帰を伴う脈動的なブラッシング作用回数を増大することができる。このような脈動的なブラッシング作用は、凸部や隙間には勿論、貼着されたシール9等がその厚みによって函2の函面との間に形成している僅かな段部や剥離境界部に対して繰り返し強力に働くので、凸部の頂部はもとよりその基部が形成する隅部、隙間の内側及びその隅部の処理効率が高まり、シール9等の剥離も確実に行える。
【0062】
また、各ブラシ面21a域では間隔を置いて植毛されている立毛または立毛束は前記屈曲に際し、隣接ないしは近傍のものどうしがブラシ面21a域の大きさも関係してバックアップし合う度合いに応じブラシ面21a域全体での立毛または立毛束の腰を強め合って前記ブラッシング作用を高められる。従って、凹凸のある函面に対しても、これら断続する立毛群の働きによって高い処理効率が安定して得られる。しかも、ブラシ面21aが断続している分だけブラシ面21aが同時に作用する総面積が減少するので、函面とブラシとの同時ブラッシング域が大きくてもブラッシング抵抗を抑えられる。
【0063】
したがって、そのブラッシング抵抗が抑えられる分だけ、摺擦エネルギを低減することができるし、ブラッシング抵抗の増大を見ないでブラシ面21a単位での機械的なブラッシング力を高められ処理効率がさらに向上する。機械的なブラッシング力はブラシ面21aを形成する立毛または立毛束の材料や毛足の長さによるそれ自体またはそれらが密集している密集度を含めた立毛群全体での腰の強さ、函面に接触させるときのいわゆるカブリ代、換言すれば引っ掛かり代ないしは圧接代の設定などによって自由に調整することができる。
【0064】
ここに、ブラシ面21aは、2方向の広がり、具体的には縦横への広がり、つまり図に示す前記搬送方向Xとこれに直角なZ方向への広がりを持つように間隔を置いて植毛された立毛または立毛束により形成されるものをいい、ブラシ面21aの搬送方向Xでの断続による間隔、つまり搬送方向Xでの各ブラシ面21aの隣接のものどうしの間隔は、前記ブラシ面21aの独立した作用を保証するために10mm程度以上で、毛足長さが60mm程度の立毛または立毛束の毛足長さの1/4程度としてもブラシ面21aの断続による脈動的なブラッシング作用の繰り返し効果は得られる。しかし、1/3以上とするのが好ましい。また、ブラッシング効果はブラシ面21aの総面積が多いほど高くなることから、図16に示すような函2の凹凸のある函面やシール9等の剥離に対する処理には、ブラッシングの繰り返し回数を多くしたいこととの兼ね合いから、ブラシ面25mm程度、非ブラシ面25mm程度、ブラシ面25mm程度の断続状態にするのが好適で、確実な処理が達成された。しかし、これらに限られることはない。ブラシ面21aは1つの函面に対し2回以上働く断続の繰り返しとするのが好適である。さらに、立毛または立毛束の植毛ピッチは腰を強め合うには互いの密集度が高い程よく、それぞれの毛足長さが短い程好適である。逆に、立毛またはおよび立毛束単位の屈曲とその復帰の自由度を高めるには植毛ピッチは大きめにするのが好適である。図15(a)にそのようなブラシ面、非ブラシ面の25mm単位での搬送方向Xでの配列ピッチ例を示してあり、配列ピッチの寸法関係を図示および説明する便宜上から、図15(a)〜(h)ではいずれも固定ブラシ21の上辺の長さを一律に500mmとしている。しかし、固定ブラシ21の1つの単位をどのような大きさにするかは、製作のしやすさ、取り扱いやすさ、処理対象面の大きさや処理工程の必要長さに対応した組立てやすさ、メンテナンスのしやすさなど種々な面から自由に設定すればよい。
【0065】
また、固定ブラシ21は図15(a)〜(h)に示すように、立毛または立毛束を間隔を置いて植毛し形成したブラシ面21aが、前記搬送方向Xとこれに交差する今1つの例えば直交するZ方向とに断続して設けられてもよい。これにより、函2の周壁外面などの広い函面に対し固定ブラシ21がX方向に相対移動してZ方向が函2の高さ方向として働くときの、函2の縦向きの補強リブ2aなどに対するブラシ面21aのZ方向で見た同時作用域の減少によるブラッシング抵抗の軽減も図れる。なお、図示しないが、固定ブラシ22もブラシ面が搬送方向Xに断続するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
リターナブルなびんを通い函に収容して流通に供した後、回収して再利用する際の自動洗浄に実用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係る函の向き換え装置の斜視図。
【図2】図1の向き換え装置の平面図。
【図3】図1の向き換え装置の側面図。
【図4】図1の向き換え装置の正面図。
【図5】図1の向き換え装置の一部を除いて示す別の正面図。
【図6】図1の向き換え装置の函の向き換え状態を(a)〜(g)の順に示す平面図。
【図7】図1の向き換え装置を持った処理装置を示す斜視図。
【図8】図7の処理装置における処理工程部を示す側面図。
【図9】図8の処理装置の横断面図。
【図10】図8の処理装置の図9とは別の位置の一部横断面図。
【図11】図8の処理装置の一部を取り除いて見た平面図。
【図12】図8の処理装置の最上部を見た一部の平面図。
【図13】図8の処理装置の前段にある膨潤工程部を示す斜視図。
【図14】図8の処理装置を持った洗浄装置全体の側面図。
【図15】側面の固定ブラシのブラシ面の具体例を(a)〜(h)に示すパターン図。
【図16】対象物の1つの例としての函を示す斜視図。
【符号の説明】
【0068】
1 差速コンベア
1a 高速側コンベア
1b 低速側コンベア
2 函
2c 一面
V3 速度差
3a、3b モータ
F1、F2 回転促進力
F3 回転力
4 高速側回転促進手段
4a 回転アーム
4b 無端周回部材
5 低速側回転促進手段
5a 回転アーム
6 側面ガイド
A 向き換え装置
B、C 処理工程部
D 処理工程搬送手段
11 無端搬送帯
12 アタッチメント
21、22 固定ブラシ
31 膨潤工程搬送手段
32 噴射手段
51 膨潤液
33 切り出し手段
35 第1の係止手段
37 第2の係止手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を平面上で向き換えする向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置に関し、例えば函を搬送しながらその外面に対して、磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うのに利用される。
【背景技術】
【0002】
ビールびん、酒びんなどのリターナブルなびん類を函に収容して、所定数単位での取り扱いや、出荷元とユーザとの間の通いに供することが古くから行われている。びん類の通いの函における充填びん収容時の負荷は空びん収容時に比し格段に高く、重い。しかし、函はそのような負荷に耐える十分な強度、耐久性を持ちながらも、取り扱いやすさや運搬性の面から、軽量で持ち運びやすく、水が溜まらないといったことが望まれる。そこで、函の多くは樹脂製で、図16にビールびん用の通いの函2で代表して示すように、取手、補強リブ2a、この補強リブ2aによる凹部2b、補強ブリッジ、通水や軽量化のための透孔や窓などを持ったものとなっている。また、中仕切りを有してびんを個別に収容し保護するポケットを形成している。
【0003】
このような函2は地面上や倉庫に放置されたり、野ざらしにされたりし、ゴミや埃、汚れが付着しやすい。また、樹脂製であることにより静電気汚れといわれる特殊な汚れも生じる。しかし、飲料などの食品を取り扱うびんを収容しリターナブルな使用に供するのに、それら各種の汚れを落す処理が望まれる。また、充填びんを収容した函2を消費業者や消費者への販売段階で、まとまった取引をする顧客先名や記号などを記した図16に示すようなシール9が貼着されることが慣例化しているが、メーカー側は回収し再利用するのにそのようなシール9を除去することになる。また、近時では販売店で代金が支払い済みであることを示す図16に示すような支払い済みテープ9aが函2の天面などに貼着されることもあり、これも残っていると除去対象となる。また、一部にはバーコードが貼り付けられていることもあり、これも除去対象になる。
【0004】
汚れや異物を除去する常套手段として、水や洗浄液の噴射によるもの(例えば、特許文献1参照。)、水や洗浄液中で超音波洗浄するもの(例えば、特許文献2参照。)、回転するブラシにより洗浄液を併用してブラッシングするもの(例えば、特許文献3〜6参照。)がある。
【特許文献1】特開2000−263004号公報
【特許文献2】特開平06−328050号公報
【特許文献3】特開平09−173996号公報
【特許文献4】特開2001−009404号公報
【特許文献5】特開平07−214025号公報
【特許文献6】特開平07−185492号公報 特許文献1に記載の水や洗浄液の噴射によるものでは、汚れが落ちにくく、特に貼着されたシール9や支払い済みテープ9a、静電気汚れなどは除去できない。また、特許文献2に記載のような水や洗浄液中で超音波洗浄するものでも装置が大掛かりな割には、除去効果は低い。しかも、このように頑固な汚れ、シールの状態や材質は一定せず、その除去にはむらがあり問題である。
【0005】
特許文献3〜6に記載のものは、機械的な摩擦作用、掻き取り作用と、洗い流し作用、膨潤作用、溶剤作用、界面活性作用とが同時に働き除去効率は比較的高くなるが、ブラシなどの処理具を函2の1つの処理対象面に対して相対移動させて必要範囲、必要域に働かせるのに、函の搬送経路まわりのブラシ機構により装置が勢い複雑化および大型化し、高価にもつく。また、ブラシの移動機構どうしの干渉や、処理具およびその移動機構と函のクランプ機構との干渉などを避けるよう、各面の洗浄を異なった処理ステージにて行うことで多くの処理ステージが必要となりプラントがさらに長大化する。
【0006】
ところで、函を搬送しながらその函面を前記のように処理するのに、搬送方向に平行な面には処理具を側方から働かせやすいし、高い処理効果が得られやすいので合理的であり、その搬送および処理の途中で函を90度向き換えできれば、その前後で前記搬送方向に平行な2面ずつの処理を行うことで函の4周につき処理を終えることができ、装置が簡単かつ小型なものとなる。このような搬送物の向き換えを行うのに、搬送速度の違う複数のコンベアによる差速コンベアを用いることが知られている(例えば、特許文献7、8参照。)。
【0007】
ところで、差速コンベアによる差速搬送だけでは、搬送物に対する向きや位置の規制、向き換え作用力に不安があって、90度など所定角度の回転を確実かつ安定して実現するのは困難である。
【0008】
これを、特許文献7に記載のものは、差速のある左右の第1、第2のコンベアにて搬送物を搬送しながら、搬送物の左右に設けた磁石を左右の第1、第2のコンベア側に設けた左右のライン磁石に対向させ、かつ、早い速度で走行する第1のコンベア側である左側のライン磁石が搬送方向に向くように設け、遅い速度で走行する第2のコンベア側である右側のライン磁石が搬送方向下流側に向かって左側のライン磁石に近接し達するように搬送方向に対し傾斜する向きに設けてある。従って、搬送物は自身の左右の磁石が第1、第2コンベア側の左右のライン磁石と対向するように送り込まれさえすれば、以降、第1、第2のコンベアによる差速の搬送を、左右のライン磁石の案内を受けながら搬送される。具体的には、搬送物は左側の磁石位置が左側のライン磁石に沿った直線方向に案内されながら第1のコンベアによって速い速度で搬送されるのに対し、右側の磁石位置が第2のコンベアにより左側の磁石位置に対し遅れを持って搬送されながら、右側のライン磁石に沿って左側のライン磁石に近付けられていく。これにより、搬送物は第1、第2コンベアによる差速搬送を受けながら左側磁石を中心に回転して90度向き換えされる。
【0009】
特許文献8に記載のものは、左右の一方側から他方の側に差速のある複数のコンベアからなる第1のコンベアの後段に、第1のコンベアにおける速度の高いコンベア側から速度の低いコンベア側へ向けて所定角度傾斜した搬送方向を有する第2のコンベアを配し、第2のコンベアにはその搬送方向下流側の側面に搬送物の側面位置を規制するガイド部材を設けている。これによると、第1のコンベアに送り込まれた搬送物は、搬送速度の高い側の搬送が先行していくのに対し搬送速度の低い側の搬送が遅れていくことで、回転力を受け向きが換えられていく。しかし、90度向き換えするには長い搬送距離が必要であったり、確実さに不安があったりするが、第2のコンベアは45度程度の向き換え途中の搬送物を早期に受け入れて、前記傾斜方向に、つまりガイド部材に寄せていくように搬送し、搬送物のガイド部材への当接によってさらに向き換えを進行させながらガイド部材に沿った時点で90度の向き換えを達成し、そのまま送り出せるようにする。
【特許文献7】特開平09−315553号公報
【特許文献8】特開2001−301951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献7、8に記載の向き換え方式によると、向き換えのために搬送物の搬送位置が搬送方向に直角な向き、つまり左右方向に大きく位置が振れる。このため、向き換え装置自体の装置幅が増大する上、同一搬送経路での複数の処理に支障を来す。これに対応するには向き換え工程前後の搬送経路を前記位置ずれ分だけずらしたり、位置ずれ分を矯正して後工程に送る必要がある。搬送経路を前後でずらす場合は、個別の搬送経路を設置する必要があるし、搬送経路を含めた全体の設置幅が増大する。また、位置ずれを矯正する場合は、特別なプロセス、スペースが必要となり装置全体の複雑化、大型化につながる。また、特許文献7に記載のものは搬送物側にも特別な磁石が一律に必要で特殊化し高価にもなる。
【0011】
本発明の目的は、対象物を搬送方向に直角な左右方向ほとんど振れずに、確実に向き換えができる向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明の向き換え方法は、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側に、回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを1つの特徴としている。
【0013】
このような構成では、差速コンベアが搬送物を搬送するときの左右での速度差を持った搬送作用によって、対象物を搬送しながら差速コンベア上で回転させるのに併せ、対象物の高速搬送側に側方から前記開点に対する回転促進力を働かせることにより、差速搬送中の高速搬送側で対象物の回転を、差速搬送による回転中心まわりに補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を左右へ大きく振れさせるようなことなく、確実かつ早期に回転させられる。
【0014】
このような方法を達成する向き換え装置としては、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを1つの特徴とするもので足り、高速搬送側での回転促進力を確実かつ安定して与えられる。
【0015】
本発明の向き換え方法は、また、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを別の特徴としている。
【0016】
このような構成では、差速コンベアが搬送物を搬送するときの左右での速度差を持った搬送作用によって、対象物を搬送しながら差速コンベア上で回転させるのに併せ、対象物の低速搬送側に側方から回転促進力を働かせることにより、差速搬送中の低速搬送側で対象物の回転を、差速搬送による回転中心まわりに補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を左右へ大きく振れさせるようなことなく、確実かつ早期に回転させられる。
【0017】
このような方法を達成する向き換え装置としては、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転推進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを別の特徴とするもので足り、低速搬送側での回転促進力を確実かつ安定して与えられる。
【0018】
本発明の向き換え方法は、また、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった搬送速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側と、低速搬送側との双方に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを他の特徴としている。
【0019】
このような構成では、差速コンベアが搬送物を搬送するときの左右での速度差を持った搬送作用によって、対象物を搬送しながら差速コンベア上で回転させるのに併せ、対象物の高速搬送側と、低速搬送側とに、側方から回転促進力を働かせることにより、差速搬送中の対象物の回転を高速搬送側および低速搬送側から差速搬送による回転中心まわりにバランスよく補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を特に左右へ振れさせるようなことなく、より確実に、より早期に回転させられる。
【0020】
このような方法を達成する向き換え装置としては、左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを他の特徴とするもので足り、高速搬送側および低速搬送側双方での回転促進力を確実かつ安定して与えられる。
【0021】
回転終期の対象物を、低速搬送側の側面ガイドで受け止めて沿わせ向きを一定にする、さらなる構成では、
差速搬送と側方からの回転促進とにより確実かつ早期に回転される対象物の1面が低速搬送側に旋回しながら寄っていくのをその対象物の回転終期として待機し、低速搬送側の側面ガイドに当接させて受け止め、対象物のさらなる回転によって前記1面が側面ガイドに沿いそれ以上の回転を阻止して最終回転向きを規制できる。
【0022】
それには、差速コンベアの低速搬送側に、差速コンベア上で回転される終期の対象物を受け止めて搬送方向に案内する側面ガイドを設ければよく、対象物の最終回転位置を1面が搬送方向に向く姿勢に揃えられる。
【0023】
対象物は、無端搬送帯に設けられたアタッチメントによって押動搬送される搬送物である、さらなる構成では、
アタッチメントによって押動搬送される対象物であっても、差速コンベアによる差速搬送作用と側方からの回転促進力とを利用して対象物をそれが押動されているアタッチメントから一時的に離して、前後のアタッチメント間で、確実かつ早期に回転させられる。
【0024】
向き換えは、無端搬送帯が搬送物を送り込む前またはおよび後の工程に続くように行う、さらなる構成では、
1つの無端搬送帯によって前工程から搬送されてきた搬送対象物またはおよび後工程に搬送されていく搬送物を受け入れて向き換えし、送り出すことができる。
【0025】
それには、適数の処理工程部と、無端搬送帯に設けたアタッチメントにより搬送物を押動搬送して前記適数の処理工程部での処理に供する処理工程搬送手段を備え、この処理工程搬送手段の搬送経路における特定の処理工程部の前、後の少なくとも1箇所に前記各場合の向き換え装置を設ければよい。
【0026】
対象物の平面形状は矩形であり、対象物の向き換え角度は90度である、さらなる構成では、
平面形状が矩形で搬送方向に平行な周面に処理を施すような場合に、90度の向き換えにより、その前後での2面ずつの同時処理にて4周面の処理が連続して行える。
【0027】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアによる対象物の高速搬送側に側方から当接して回転促進力を与える回転アームを備えている、さらなる構成では、
回転アームはスイング動作で対象物の高速搬送側に回転促進力を与えるもので、対象物への作用時にのみ対象物の搬送路に側方から進入して、対象物の回転方向、つまり搬送方向に向け当接すればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすいし、対象物の回転を一過性で速めるような場合に好適である。
【0028】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアの高速搬送側の、側方所定の範囲に位置し、周回しながら対象物の高速搬送側に側方から接して回転促進力を与える無端周回部材を備えている、さらなる構成では、
差速搬送によって回転を伴い搬送される対象物の高速搬送側に対する側方からの回転促進力を連続して与えられる。
【0029】
低速搬送側の回転促進手段は、対象物の低速搬送側に側方から接触、嵌まり合い、当接の1つによって回転推進力を与える接触部材、嵌まり合い部材、回転アームの1つを備えている、さらなる構成では、
差速搬送により回転を伴い搬送される対象物に対し、その低速搬送側から停止した接触部材が単に接触してそこでの搬送速度を落すだけでも、対象物の回転を促進できるし、嵌まり合い部材の嵌まり合いによっては、対象物の低速搬送側を拘束して対象物の回転を接触の場合よりもより確実に促進できるし、その回転促進は停止したまま、従動しながら、移動または回転しながら行うことができ、これら移動や回転はその向きや速度を変えられる。回転アームによっては対象物への作用時にのみ対象物の搬送路に側方から進入して、対象物の回転方向、つまり差速コンベアの搬送方向に対し逆向きに当接させればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすいし、対象物の回転を一過性で速めるような場合に好適である。
【0030】
対象物は平面形状が矩形な函であり、処理工程は搬送方向に平行な函面に対するブラッシングによる磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うものであり、処理工程部に搬送される函の搬送方向に平行な函面にブラッシングを及ぼす固定ブラシを配してある、さらなる構成では、
函をアタッチメントによって押動し搬送しながら処理工程部での処理工程に供する無端搬送帯と、この処理工程部の搬送経路の両側に配した固定ブラシだけの簡単な装置によって、函の4周の搬送方向に平行となる2面を同時にブラッシングして面処理することができ、しかも、同一無単搬送帯による搬送路上での向き換えとその前後での処理工程部での面処理とにより、前記2面の同時面処理を90度異なった向きで行い4周の全面の処理ができる。
【0031】
処理工程搬送手段の前段に、膨潤工程搬送手段により函を連続に搬送しながら噴射手段により熱水または温水、あるいはそれに界面活性剤などを含む膨潤液を噴射して函の表面異物の膨潤を図る膨潤工程部を備え、前記膨潤を図られながら連続搬送されている最先の函を分離して単独に切り出し、処理工程搬送手段に送り込まれるようにする切り出し手段を設けた、さらなる構成では、
表面の印刷、貼着物、ゴミ、汚れといった各種付着物を熱水や温水の噴射によって膨潤させ除去しやすくする膨潤工程において、切り出し手段により最先の函を分離して単独に切り出し次の処理工程搬送手段に送り込まれるようにすることで、函を連続に搬送して取り扱い噴射する膨潤液にロス少なく浴しながら、次の処理工程へはそこでの間欠的な処理に合わせて1つずつ確実に供給することが、膨潤工程部内で、従って単独の切り出しスペースなしに達成することができ、しかも、切り出し時点ぎりぎりまで待機している密集した函の全てを膨潤液に浴し続けられる。
【0032】
切り出し手段は、最先から2つ目の函を膨潤工程搬送手段上に一時的に係止することを周期的に行う第1の係止手段と、第1の係止手段に係止されず搬送されて後続の函から分離される最先の函を所定の分離位置に一旦係止してから所定のタイミングで係止を解除し搬送されるようにすることを周期的に行う第2の係止手段とを有している、さらなる構成では、
後続の函の第1の係止手段による係止にて最先の函を後続の函から切り離し単独で送り出せるようにする際、後続の函から切り離した最先の函を第2の係止手段にて後続の函からの所定の分離位置に一旦係止した準切り出し状態にしてから、所定のタイミングで第2の係止手段による係止を解除し最終の切り出しを行うので、搬送を停止されて押し合い状態になり乱れがちな後続の函の動きの影響を断った状態から乱れなく安定して送り出すことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の、向き換え方法および装置の1つ、または別の特徴によれば、差速搬送による対象物の回転をその高速搬送側または低速搬送側から特別な搬送スペースなしに、また左右方向にほぼ振れないで促進し、確実かつ早期に回転させられ、簡単かつ狭く短い搬送工程にて実現する。従って、前またはおよび後の各種工程と左右方向に位置ずれなく接続できるし、向き換え工程とその前またはおよび後の工程とに、搬送幅の狭い1つの搬送手段を共用することができる。
【0034】
本発明の、向き換え方法および装置の、他の特徴によれば、差速搬送による対象物の回転をその高速搬送側および低速搬送側の双方から特別な搬送スペースなしにバランスよく促進して、より確実かつ左右振れなく、より早期に回転させられるので、より短く狭い搬送工程にて実現し、そのより狭い搬送幅で前後の各種工程と接続して、しかも回転の工程とその前後の工程とにより狭い1つの搬送手段を用いることができる。
【0035】
回転終期の対象物を、低速搬送側の側面ガイドで受け止めて沿わせ向きを一定にする、さらなる構成によれば、
差速搬送と側方からの回転促進とで確実かつ早期に回転させる対象物を、設定位置の側面ガイドにより受け止め差速搬送中に最終回転向きを揃えられる。
【0036】
対象物は、無端搬送帯に設けられたアタッチメントによって押動搬送される搬送物である、さらなる構成によれば、
アタッチメントによる押動搬送中の対象物であっても、差速搬送作用と側方からの回転促進力とでアタッチメントからの引き離しを伴い前後のアタッチメント間で確実かつ早期に回転させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の向き換え方法および装置と、それを用いた処理装置に係る実施の形態につき、図1〜図15を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。本実施の形態では既述したビールびんを収納する樹脂製の函2を向き換え対象および処理対象とする場合の一例であり、処理は主として搬送する函2の函面に対して図7に示すような例えば固定ブラシ21、22により摺擦し、磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行う。
【0038】
本実施の形態の向き換え方法は、図1〜図6に示す向き換え装置Aを参照して、搬送方向Xに直角な左右方向Yで搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベア1によって、対象物としての函2を搬送しながら左右方向Yで異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与えるのに併せ、函2の高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2に、回転促進力F1またはおよびF2を側方から与えて、函2の向きを変える。
【0039】
図示する例では高速搬送側Y1および低速搬送側Y2の双方から回転促進力F1およびF2を与えるようにしている。差速コンベア1は図2、図3、図5に示す個別のモータ3a、3bによる駆動で差速を持たせた高速側コンベア1aと低速側コンベア1bとで構成している。しかし、それ以上の数のコンベアを段階的に速度が異なるように組み合わせて構成してもよいし、テーパローラを搬送面に沿って配列した速度が左右方向Yに連続に変化するローラコンベアで構成することもできる。また、図示する例では高速側コンベア1a、低速側コンベア1bを平ベルトを利用したものとしてあるが、これに限られることはなくVベルトや丸ベルトなどの紐状ベルトを採用することもできる。この場合、それぞれを個別のプーリによって張設してもよいが、テーパローラの軸線方向各部間に張設すると、1つのテーパローラによる駆動によって各張設位置での径の大小により搬送速度の違いが得られる。
【0040】
このような差速コンベア1は左右方向Yでの一方側から他方側に速度差を持った搬送作用によって、搬送する函2に対し差速コンベア1上で回転させる図1、図2に示すような回転力F3を与える。この回転力F3は差速コンベア1の高速側搬送速度V1と低速側搬送速度V2との速度差V3の大きさに一応比例するといえる。従って、低速側コンベア1bは低速なほど、停止しているほど、さらに搬送方向Xとは逆向きに駆動するほど、高速側コンベア1aに対し速度差が得やすく、大きな回転力F3が得られやすいし、よりその場で回転させやすい。もっとも、低速側搬送コンベア1bを停止させ、また逆向き搬送させる場合、高速側コンベア1aおよび低速側コンベア1bの双方に函2が十分に乗る必要があるので、高速側コンベア1aの摩擦力を低速側コンベア1bのそれよりも高くしたり、同等であると双方の途中位置に函2が跨るように供給したりすることが好適となる。
【0041】
しかし、速度差V3が大きすぎると函2との滑りや函2の位置や姿勢の乱れを招いて函2の搬送や回転が安定しなくなることがある。万一にも函2の回転が不備で詰まりなどが生じると、一連に繋がった処理ライン、ないしは生産ラインの全体に影響するので、問題となる。それを、適度な速度差での差速搬送にて函2を回転力F3により回転させながら、前記のように高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2から回転促進力F1またはおよびF2を与えることにより、差速搬送中の高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2で函2の回転を、差速搬送による回転中心まわりに補い、または速めて、その回転中心または回転の瞬間中心を左右へ大きく振れさせるようなことなく、また、特別な搬送スペースなしに、確実かつ早期に回転させられる。従って、簡単かつ狭く短い搬送工程にて実現する。また、前またはおよび後の各種工程と左右方向に位置ずれなく接続できるし、向き換え工程とその前またはおよび後の工程とに、搬送幅の狭い1つの搬送手段を共用することができる。
【0042】
特に、差速搬送による対象物の回転をその高速搬送側および低速搬送側の双方から特別な搬送スペースなしにバランスよく促進して、より確実かつ左右振れなく、より早期に回転させられるので、より短く狭い搬送工程にて実現し、そのより狭い搬送幅で前後の各種工程と接続して、しかも回転の工程とその前後の工程とにより狭い1つの搬送手段を用いることができる。
【0043】
このような方法を達成するのに、本実施の形態の向き換え装置Aは、左右方向Yで搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する函2に左右方向Yで異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える前記のような差速コンベア1に加え、この差速コンベア1によって回転されながら搬送される函2の高速搬送側Y1または低速搬送側Y2に既述の回転促進力F1またはF2を側方から与える高速側回転促進手段4またはおよび低速側回転促進手段5を備えたものとしており、高速搬送側Y1またはおよび低速搬送側Y2での回転促進力F1またはおよびF2を確実かつ安定して与えられる。
【0044】
高速搬送側Y1の高速側回転促進手段4は、差速コンベア1による函2の高速搬送側Y1に側方から当接して回転促進力F1を与える回転アーム4aを備えている。この回転アーム4aはスイング動作で函2の高速搬送側Y1に対して回転促進力F1を与えるもので、函2への作用時にのみ函2の搬送路に側方から進入して、函2の回転力F3による回転方向、つまり差速コンベア1の搬送方向Xに向け当接すればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすい。この回転アーム4aによる回転促進力F1は、差速搬送によって設定した回転速度よりも遅れている函2に対してそれを補えるものでよく、設定速度で回転している函2に対しては同速かそれよりも若干遅く旋回して空回りさせるようにすると、函2に徒に負荷を掛けない利点がある。しかし、差速搬送により回転する函2の回転を一過性で速めるような場合にも干渉などの問題がなく好適である。また、高速搬送側Y1の高速側回転促進手段4は、差速コンベア1の高速搬送側Y1の、側方所定の範囲に位置し、具体的には、函2の回転初期の位置に設けた回転アーム4aの下流側に位置し、周回しながら函2の高速搬送側Y1に側方から接して回転促進力F1を与える無端周回部材4bをも備えている。このような無端周回部材4bは図示するような複数引き揃えたVベルト組などとしてよいが、平ベルトでもよい。いずれにしても差速コンベア1の差速搬送によって回転を伴い搬送される函2の高速搬送側Y1に対する側方からの回転促進力F1を、その張設長さ分だけ連続して長い間働かせることができ、函2の回転の促進や安定が図れるし、函2の高速搬送側Y1の位置を規制するのにも役立つ。
【0045】
低速搬送側Y2の低速側回転促進手段5は、函2の低速搬送側Y2に側方から回転促進力F2を与える回転アーム5aを備えている。回転アーム5aは回転アーム4aによる回転促進力F1と同等の回転促進力F2を函2の低速搬送側Y2に働かせるもので、回転促進力F1が差速コンベア1の搬送方向Xに向くものであったのに対し、回転促進力F2は差速コンベア1の搬送方向Xとは逆向きになるだけであり、函2の搬送路に側方から進入して、函2の回転方向、つまり前記反搬送方向に向け当接すればよく、他との干渉や目的外に働く問題を回避しやすいし、対象物の回転を一過性で速めるような場合に好適である。
【0046】
しかし、低速側回転促進手段5をなす回転アーム5aは、函2の低速搬送側Y2に対し接触する接触部材や図2(b)に示すように嵌まり合う嵌まり合い部材5bなどと代替することができるし、高速側回転促進手段4のように異種のものを併用することもできる。接触部材の場合は、差速搬送により回転を伴い搬送される函2に対し、その低速搬送側Y2から停止した状態で接触してそこでの搬送速度を落すだけでも、函2の回転を促進できるし、逆向きの移動を与えればなおさらである。嵌まり合い部材5bの場合は、函2の低速搬送側Y2を拘束でき、函2の回転を接触の場合よりもより確実に促進できるし、その拘束を利用した回転の促進は停止したままでも、従動しながらでも、強制的に移動または回転駆動しながらでも行うことができ、移動や回転はその向きや速度を変えられる。
【0047】
また、図6(a)から(d)への回転状態を経た函2につき、図6(e)に示すような回転終期の函2を低速搬送側Y2の側面ガイド6で受け止めて図6(f)(g)に示すように沿わせ向きを一定にするようにしている。これにより、側面ガイド6は、差速搬送による回転力F3と、側方からの回転促進力F1またはおよびF2とにより、確実かつ早期に回転される函2の1面2cが低速搬送側Y2に旋回しながら寄っていくのをその函2の回転終期として待機し、寄ってきた函2をその1面2c側で図6(e)に示すように当接させて受け止めながら、函2のさらなる回転によって前記1面2cが図6(f)に示すように側面ガイド6に沿いそれ以上回転できなくなるのを利用して最終回転向きを規制できる。
【0048】
ここで、函2の平面形状は矩形であることに対応して向き換え装置Aによる向き換え角度は90度としてあり、本実施の形態では、さらに、図1に示すようにチエンなどの無端搬送帯11に設けられたアタッチメント12によって押動搬送される場合の函2を向き換え対象にしているが、アタッチメント12によって押動搬送される函2であっても、差速コンベア1による差速搬送作用と、側方からの回転促進力F1とを利用して、函2をそれを押動するアタッチメント12から図6(a)に示すように一時的に離した上で、図6(b)〜(f)のように前後のアタッチメント12間にて所定角度、本例では90度だけ確実かつ早期に回転させて後、追いついてくるアタッチメント12により再度押動搬送されるようにすることができる。
【0049】
このような搬送関係を満足する各部の速度関係の一例を示すと、差速搬送による函2の回転が遅れることを補助的に補う基本構造からは、概ね、高速側コンベア1aの搬送速度V6>周回部材4bの周回速度V4≧無端搬送帯11の搬送速度V5>低速側コンベア1bの搬送速度V7の関係となり、差速搬送による函2の回転をより確実に、より早めるには周回部材4bの周回速度V4>無端搬送帯11の搬送速度V5>高速側コンベア1aの搬送速度V6>低速側コンベアの搬送速度V7の関係となり、それぞれの間の速度差は数%〜数十%程度である。
【0050】
回転アーム4a、5aは函2の差速コンベア1による回転力F3を受けて実際に回転されるのを促進できればよく、その速度は実験や経験により適宜設定する。回転アーム4aは先端が折れ曲がったL型にして函2の側面局所に回転力F1を干渉や滑り無く与えやすいようにしてあるが、ストレートや湾曲した形状とすることもできる。回転アーム5aは湾曲形状として反搬送方向となる回転促進力F2を函2に対して滑りながら無理無く与えられるようにしている。しかし、これもその形状は任意である。もっとも、函2の表面の凹凸の存在や函2の高さの違いに対応して安定に働かせるように、複数の凸部に亘って当接し、凹部2bには入り込まない幅を有し、函2の高さの違いに関係なく働かせられる幅および高さ位置を確保することが望ましい。また、回転アーム5aは函2に対してばね付勢に抗し原点位置から逃げながらも函の差速搬送による搬送方向Xへの移動を阻止する分だけ函2に回転促進力F2を与え、所定姿勢に回転した函2から外れたときばね付勢によって原点位置に復帰して次の函2に対して同様に働くようにすることもできる。無端周回部材4bは函2に回転促進力F1を働かせる側と反対の側にテンションローラ4cを働かせて、函2に回転促進力F1を働かせるときの函2の左右方向Yへの変動に弾力的に対応できるようにしている。
【0051】
以上のような向き換えは、例えば、図7、図14に示すように無端搬送帯11が函2を送り込む前またはおよび後の処理工程部B、Cなどに続くように行う。これにより、向き換え装置Aは1つの無端搬送帯11によって前の処理工程部Bから搬送されてきた函2またはおよび後の処理工程部Cに搬送されていく函2を受け入れて向き換えし、送り出すことができる。具体的には、2つの処理工程部B、Cと、無端搬送帯11に設けたアタッチメント12により函2を押動搬送して前記処理工程部B、Cでの処理に供して処理する1つの処理工程搬送手段Dを備え、この処理工程搬送手段Dの搬送経路における処理工程部B、Cの間と、処理工程部Cの後とに、既述した向き換え装置Aを設けている。
【0052】
ここで、処理工程搬送手段Dは、図1、図2、図4〜図6、図9、図10に示すような左右一対の底面ガイド41により函2を支持、案内してアタッチメント12の押動搬送に供するようにしてあり、差速コンベア1の搬送面はこれら底面ガイド41よりも若干高くして函2を受け入れ、受け入れた函2を差速搬送しながら回転力F3を与えるとともに、高速側回転促進手段4および低速側回転促進手段5と協働して函2を前後のアタッチメント12間で90度回転させるようにしている。また、図1〜図6に示すように向き換え装置Aにおける函2の搬入部および搬出部には、既述した側面ガイド6を含めた左右一対の側面ガイド6を設けて、搬入、搬出する函2の位置および向きを規制するようにしてある。
【0053】
処理工程部B、Cはそれぞれ、図7〜図12に示すように函2の搬送方向に平行な函面、具体的には側面および天面に対するブラッシングによる磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うために、処理工程部B、Cに搬送される函2の搬送方向に平行な函の側面にブラッシングを及ぼす固定ブラシ21、および天面にブラッシングを及ぼす固定ブラシ22を配してある。これにより、函2をアタッチメント12によって押動し搬送しながら処理工程部B、Cでの処理工程部B、Cに供する処理工程搬送手段Dとしてのアタッチメント12付きの無端搬送帯11と、この処理工程部B、Cの搬送経路の両側および上部に配した固定ブラシ21、22だけの簡単な装置によって、函2の4周の搬送方向に平行となる2つの側面と天面を同時にブラッシングして面処理することができ、しかも、同一無単搬送帯11による搬送路上での向き換えと処理工程部B、Cでの面処理とにより、前記2つの側面の同時面処理を90度異なった向きで行い4周の前面の面処理ができる。また、4周面処理後の函2は処理工程部Cの下流に設けた向き換え装置Aによる90度の向き換えによって元の向きに直して以降の搬送に供することができる。本実施の形態では長手方向が左右方向Yに向く横向き姿勢を元の向きとしてある。これにより函2を取り扱うラインにおいて4周面処理のために一次的に長手方向が搬送方向Xに向く縦向き姿勢として取り扱うが、その他では横向きに取り扱えることとなり、搬送方向Xでの取り扱い嵩が小さくなり、搬送ラインが長くなるほど有効である。
【0054】
ここで、アタッチメント12による函2の押動搬送に対する向き換え装置Aの動作タイミングを採るため、図7に示すように無端搬送帯11をモータ42で駆動する駆動系からの、具体的にはモータ42の出力軸からの連動機構43により、高速側、低速側各回転促進手段4、5における回転アーム4aおよび5aを無端搬送帯11に連動して回転駆動し、アタッチメント12により押動搬送される函2に対し周期的に最適なタイミングで働くようにしてある。もっとも、このような連動機構はどのように構成してもよい。無端周回部材4bは函2に対して周回しながら連続に働くので動作タイミングを採る必要がなく、図5に示す独立のモータ44によって連続駆動するようにして、装置が徒に複雑になるのを防止している。
【0055】
また、処理工程部B、Cでは、側面の固定ブラシ21は図8に示す駆動モータ45を持った図8、図9、図11に示す駆動機構23によって左右に離接移動され、天面の固定ブラシ22は図8、図12に示す駆動モータ46を持った図8〜図10、図12に示す駆動機構24によって上下移動され、さらに図8、図9に示すモータ47を持った図8〜図11に示すような駆動機構28によって左右に離接移動されるようにしてあり、ブラッシング時の函2に対する立毛ないしは立毛束の被り代、言い換えると立毛束の腰を利用した引っ掛かり代ないしは押圧代の調節や、函2の大きさの違いに対応できる。また、処理工程部B、Cでは図7、図8、図11に示すように、固定ブラシ21の直後に、搬送される函2の函面に対し順方向に回転する回転ブラシ25、逆方向に回転する回転ブラシ26を設けてモータ27により駆動するようにしてある。これは函2の側面に補強リブ2aによる凹凸2bがあることに対応したもので、順方向の回転ブラシ25は凹部2b内の搬送方向下流側の隅部に対して上流側からブラッシング作用を及ぼし、逆方向回転ブラシ26は凹部2b内の搬送方向上流側の隅部に対して下流側からブラッシング作用を及ぼすことになり、そのブラッシング作用力は搬送される函面との相対速度に比例する。従って、順方向の回転ブラシ25は周速が函2の搬送速度を上回る必要がある。逆方向の回転ブラシ26は停止していてもよいが、逆方向の回転速度を持つほどブラッシング作用力が高まり順方向の回転ブラシ25を併用しながらも、函2の凹凸による隅部などへの付着異物を最終的に除去するのに好適である。
【0056】
さらに、処理工程搬送手段Dの前段には、図13〜図15に示すような左右一対のチエン30よりなる膨潤工程搬送手段31により函2を受載して連続に搬送しながら噴射手段32により熱水または温水、あるいはそれに界面活性剤を含むなどした膨潤液51を噴射して函2の表面異物の膨潤を図る膨潤工程部Eを備え、この膨潤工程部Eには前記膨潤を図られながら連続搬送されている最先の函2を分離して単独に切り出し、処理工程搬送手段Dに送り込まれるようにする切り出し手段33を設けてある。このように、表面の印刷、貼着物、ゴミ、汚れといった各種付着物を熱水や温水の噴射によって膨潤させ除去しやすくする膨潤工程部Eにおいて、切り出し手段33により最先の函2を分離して単独に切り出し次の処理工程搬送手段Dに送り込まれるようにすることで、函2を連続に搬送して取り扱い噴射する膨潤液51にロス少なく浴しながら、次の処理工程部Bへはそこでの間欠的な処理に合わせて1つずつ確実に供給することが、膨潤工程部E部内で、従って単独の切り出しスペースなしに達成することができ、しかも、切り出し時点ぎりぎりまで待機している連続ないし密集した函2の全てを膨潤液51に浴する膨潤に供し続けられる。
【0057】
切り出し手段33は、図13に示すように最先から2つ目の函2をその後壁に係合して膨潤工程搬送手段31上に一時的に係止することを周期的に行う第1の係止手段35と、第1の係止手段35に係止されず搬送されて後続の函2から分離される最先の函2を所定の分離位置に一旦係止してから所定のタイミングで係止を解除し搬送されるようにすることを周期的に行う第2の係止手段37とを有している。これにより、後続の函2の第1の係止手段35による係止にて最先の函2をその後壁に係合して後続の函2から切り離し単独で送り出せるようにする際、後続の函2から切り離した最先の函2を第2の係止手段37にて後続の函2からの図13に仮想線で示す所定の分離位置に一旦係止した準切り出し状態にしてから、所定のタイミングで第2の係止手段37による係止を解除し最終の切り出しを行うので、搬送を停止されて押し合い状態になり乱れがちな後続の函2の動きの影響を断った状態から乱れなく安定して送り出すことができる。
【0058】
ここで、切り出し手段33による切り出し動作の、次の処理工程部Bでの処理動作に対する同期を採るために、処理工程搬送手段Dの無端搬送帯11からの図13に示す連動機構52によって、カム53、54を介し、処理工程搬送手段Dに対し第1、第2の係止手段35、37を連動駆動して周期動作するようにしている。
【0059】
また、膨潤工程搬送手段31と処理工程搬送手段Dとの渡り部の上には、双方に跨った渡り搬送手段61を設けてある。渡り搬送手段61は周回ブラシ62よりなり、前記連動機構52によって切り出し手段33とともに処理工程搬送手段Dと同期駆動され、連続回転しながら、第2の係止手段37による係止が解除された函2を膨潤工程搬送手段31上から処理工程搬送手段D上に円滑に渡らせる。
【0060】
なお、処理工程部B、Cには図7、図9、図10に示すように洗浄水74を噴射する噴射手段73を設けて、膨潤した異物を固定ブラシ21、22で除去するのを補助し、また、それによって生じる細かな異物を洗い落すようにしてあり、図14に示すように膨潤工程部Eの前段にはさらに予洗工程部71が設けられ、処理工程搬送手段Dの後段にはすすぎ工程部72が設けられている。
【0061】
固定ブラシ21は図15(a)〜(h)に例示するように、立毛または立毛束を間隔を置いて植毛し形成したブラシ面21aが、少なくとも搬送方向Xに断続して設けられたものを用いると、ブラシ面21aが少なくとも搬送方向Xに断続していることにより、間隔を置いて植毛されてブラシ面21aを形成している立毛または立毛束群が、断続したブラシ面21a単位で前記函面に対し個別に働き、その働き位置が連続に移動する。これにより、搬送方向Xに断続した各ブラシ面21aはその全てが函面を連続に摺擦して、立毛の種類や接触の状態に応じ、磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行う。このとき、函面との接触や引っ掛かりによる立毛や立毛束の腰の強さに抗した極限までの屈曲またはおよび倒れと、極限を越え、あるいは接触や引っ掛かりが解除されたときの復帰とが、ブラシ面21a単位で他のブラシ面21a域の立毛に邪魔されないで活発に行われて、立毛または立毛束の屈曲、復帰を伴う脈動的なブラッシング作用回数を増大することができる。このような脈動的なブラッシング作用は、凸部や隙間には勿論、貼着されたシール9等がその厚みによって函2の函面との間に形成している僅かな段部や剥離境界部に対して繰り返し強力に働くので、凸部の頂部はもとよりその基部が形成する隅部、隙間の内側及びその隅部の処理効率が高まり、シール9等の剥離も確実に行える。
【0062】
また、各ブラシ面21a域では間隔を置いて植毛されている立毛または立毛束は前記屈曲に際し、隣接ないしは近傍のものどうしがブラシ面21a域の大きさも関係してバックアップし合う度合いに応じブラシ面21a域全体での立毛または立毛束の腰を強め合って前記ブラッシング作用を高められる。従って、凹凸のある函面に対しても、これら断続する立毛群の働きによって高い処理効率が安定して得られる。しかも、ブラシ面21aが断続している分だけブラシ面21aが同時に作用する総面積が減少するので、函面とブラシとの同時ブラッシング域が大きくてもブラッシング抵抗を抑えられる。
【0063】
したがって、そのブラッシング抵抗が抑えられる分だけ、摺擦エネルギを低減することができるし、ブラッシング抵抗の増大を見ないでブラシ面21a単位での機械的なブラッシング力を高められ処理効率がさらに向上する。機械的なブラッシング力はブラシ面21aを形成する立毛または立毛束の材料や毛足の長さによるそれ自体またはそれらが密集している密集度を含めた立毛群全体での腰の強さ、函面に接触させるときのいわゆるカブリ代、換言すれば引っ掛かり代ないしは圧接代の設定などによって自由に調整することができる。
【0064】
ここに、ブラシ面21aは、2方向の広がり、具体的には縦横への広がり、つまり図に示す前記搬送方向Xとこれに直角なZ方向への広がりを持つように間隔を置いて植毛された立毛または立毛束により形成されるものをいい、ブラシ面21aの搬送方向Xでの断続による間隔、つまり搬送方向Xでの各ブラシ面21aの隣接のものどうしの間隔は、前記ブラシ面21aの独立した作用を保証するために10mm程度以上で、毛足長さが60mm程度の立毛または立毛束の毛足長さの1/4程度としてもブラシ面21aの断続による脈動的なブラッシング作用の繰り返し効果は得られる。しかし、1/3以上とするのが好ましい。また、ブラッシング効果はブラシ面21aの総面積が多いほど高くなることから、図16に示すような函2の凹凸のある函面やシール9等の剥離に対する処理には、ブラッシングの繰り返し回数を多くしたいこととの兼ね合いから、ブラシ面25mm程度、非ブラシ面25mm程度、ブラシ面25mm程度の断続状態にするのが好適で、確実な処理が達成された。しかし、これらに限られることはない。ブラシ面21aは1つの函面に対し2回以上働く断続の繰り返しとするのが好適である。さらに、立毛または立毛束の植毛ピッチは腰を強め合うには互いの密集度が高い程よく、それぞれの毛足長さが短い程好適である。逆に、立毛またはおよび立毛束単位の屈曲とその復帰の自由度を高めるには植毛ピッチは大きめにするのが好適である。図15(a)にそのようなブラシ面、非ブラシ面の25mm単位での搬送方向Xでの配列ピッチ例を示してあり、配列ピッチの寸法関係を図示および説明する便宜上から、図15(a)〜(h)ではいずれも固定ブラシ21の上辺の長さを一律に500mmとしている。しかし、固定ブラシ21の1つの単位をどのような大きさにするかは、製作のしやすさ、取り扱いやすさ、処理対象面の大きさや処理工程の必要長さに対応した組立てやすさ、メンテナンスのしやすさなど種々な面から自由に設定すればよい。
【0065】
また、固定ブラシ21は図15(a)〜(h)に示すように、立毛または立毛束を間隔を置いて植毛し形成したブラシ面21aが、前記搬送方向Xとこれに交差する今1つの例えば直交するZ方向とに断続して設けられてもよい。これにより、函2の周壁外面などの広い函面に対し固定ブラシ21がX方向に相対移動してZ方向が函2の高さ方向として働くときの、函2の縦向きの補強リブ2aなどに対するブラシ面21aのZ方向で見た同時作用域の減少によるブラッシング抵抗の軽減も図れる。なお、図示しないが、固定ブラシ22もブラシ面が搬送方向Xに断続するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
リターナブルなびんを通い函に収容して流通に供した後、回収して再利用する際の自動洗浄に実用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係る函の向き換え装置の斜視図。
【図2】図1の向き換え装置の平面図。
【図3】図1の向き換え装置の側面図。
【図4】図1の向き換え装置の正面図。
【図5】図1の向き換え装置の一部を除いて示す別の正面図。
【図6】図1の向き換え装置の函の向き換え状態を(a)〜(g)の順に示す平面図。
【図7】図1の向き換え装置を持った処理装置を示す斜視図。
【図8】図7の処理装置における処理工程部を示す側面図。
【図9】図8の処理装置の横断面図。
【図10】図8の処理装置の図9とは別の位置の一部横断面図。
【図11】図8の処理装置の一部を取り除いて見た平面図。
【図12】図8の処理装置の最上部を見た一部の平面図。
【図13】図8の処理装置の前段にある膨潤工程部を示す斜視図。
【図14】図8の処理装置を持った洗浄装置全体の側面図。
【図15】側面の固定ブラシのブラシ面の具体例を(a)〜(h)に示すパターン図。
【図16】対象物の1つの例としての函を示す斜視図。
【符号の説明】
【0068】
1 差速コンベア
1a 高速側コンベア
1b 低速側コンベア
2 函
2c 一面
V3 速度差
3a、3b モータ
F1、F2 回転促進力
F3 回転力
4 高速側回転促進手段
4a 回転アーム
4b 無端周回部材
5 低速側回転促進手段
5a 回転アーム
6 側面ガイド
A 向き換え装置
B、C 処理工程部
D 処理工程搬送手段
11 無端搬送帯
12 アタッチメント
21、22 固定ブラシ
31 膨潤工程搬送手段
32 噴射手段
51 膨潤液
33 切り出し手段
35 第1の係止手段
37 第2の係止手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側に、回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを特徴とする向き換え方法。
【請求項2】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを特徴とする向き換え方法。
【請求項3】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった搬送速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側と、低速搬送側との双方に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを特徴とする向き換え方法。
【請求項4】
回転終期の対象物を、低速搬送側の側面ガイドで受け止めて沿わせ向きを一定にする請求項1〜3のいずれか1項に記載の向き換え方法。
【請求項5】
対象物は、無端搬送帯に設けられたアタッチメントによって押動搬送される搬送物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の向き換え方法。
【請求項6】
向き換えは、無端搬送帯が搬送物を送り込む前またはおよび後の工程に続くように行う請求項5に記載の向き換え方法。
【請求項7】
対象物の平面形状は矩形であり、対象物の向き換え角度は90度である請求項1〜6のいずれか1項に記載の向き換え方法。
【請求項8】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを特徴とする向き換え装置。
【請求項9】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転推進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを特徴とする向き換え装置。
【請求項10】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを特徴とする向き換え装置。
【請求項11】
差速コンベアの低速搬送側に、差速コンベア上で回転される終期の対象物を受け止めて搬送方向に案内する側面ガイドを設けた請求項8〜10のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項12】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアによる対象物の高速搬送側に側方から当接して回転促進力を与える回転アームを備えている請求項8〜11のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項13】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアの高速搬送側の、側方所定の範囲に位置し、周回しながら対象物の高速搬送側に側方から接して回転促進力を与える無端周回部材を備えている請求項8〜12のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項14】
低速搬送側の回転促進手段は、対象物の低速搬送側に側方から接触、嵌まり合い、当接の1つによって回転推進力を与える接触部材、嵌まり合い部材、回転アームの少なくとも1つを備えている請求項8〜13のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項15】
適数の処理工程部と、無端搬送帯に設けたアタッチメントにより搬送物を押動搬送して前記適数の処理工程部に供して処理する処理工程搬送手段を備え、この処理工程搬送手段の搬送経路における特定の処理工程部の前、後の少なくとも1箇所に請求項8〜11のいずれか1項に記載の向き換え装置を設けたことを特徴とする処理装置。
【請求項16】
対象物は平面形状が矩形な函であり、処理工程は搬送方向に平行な函面に対するブラッシングによる磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うものであり、処理工程部に搬送される函の搬送方向に平行な函面にブラッシングを及ぼす固定ブラシを配してある請求項15に記載の処理装置。
【請求項17】
処理工程搬送手段の前段に、膨潤工程搬送手段により函を連続に搬送しながら噴射手段により膨潤液を噴射して函の表面異物の膨潤を図る膨潤工程部を備え、前記膨潤を図られながら連続搬送している最先の函を分離して単独に切り出し、処理工程搬送手段に送り込まれるようにする切り出し手段を設けた請求項16に記載の処理装置。
【請求項18】
切り出し手段は、最先から2つ目の函を膨潤工程搬送手段上に一時的に係止することを周期的に行う第1の係止手段と、第1の係止手段に係止されず搬送されて後続の函から分離される最先の函を所定の分離位置に一旦係止してから所定のタイミングで係止を解除し搬送されるようにすることを周期的に行う第2の係止手段とを有している請求項17に記載の処理装置。
【請求項1】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側に、回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを特徴とする向き換え方法。
【請求項2】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを特徴とする向き換え方法。
【請求項3】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なる差速コンベアによって搬送する対象物に左右方向で異なった搬送速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与えるのに併せ、対象物の高速搬送側と、低速搬送側との双方に回転促進力を側方から与えて、対象物の向きを変えることを特徴とする向き換え方法。
【請求項4】
回転終期の対象物を、低速搬送側の側面ガイドで受け止めて沿わせ向きを一定にする請求項1〜3のいずれか1項に記載の向き換え方法。
【請求項5】
対象物は、無端搬送帯に設けられたアタッチメントによって押動搬送される搬送物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の向き換え方法。
【請求項6】
向き換えは、無端搬送帯が搬送物を送り込む前またはおよび後の工程に続くように行う請求項5に記載の向き換え方法。
【請求項7】
対象物の平面形状は矩形であり、対象物の向き換え角度は90度である請求項1〜6のいずれか1項に記載の向き換え方法。
【請求項8】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを特徴とする向き換え装置。
【請求項9】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼして回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転推進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを特徴とする向き換え装置。
【請求項10】
左右方向で搬送速度が高速から、停止、逆向き搬送を含む低速へと異なり、搬送する対象物に左右方向で異なった速度またはおよび方向の搬送作用を及ぼしながら回転を与える差速コンベアと、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の高速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、この差速コンベアによって回転されながら搬送される対象物の低速搬送側に回転促進力を側方から与える回転促進手段と、を備えたことを特徴とする向き換え装置。
【請求項11】
差速コンベアの低速搬送側に、差速コンベア上で回転される終期の対象物を受け止めて搬送方向に案内する側面ガイドを設けた請求項8〜10のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項12】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアによる対象物の高速搬送側に側方から当接して回転促進力を与える回転アームを備えている請求項8〜11のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項13】
高速搬送側の回転促進手段は、差速コンベアの高速搬送側の、側方所定の範囲に位置し、周回しながら対象物の高速搬送側に側方から接して回転促進力を与える無端周回部材を備えている請求項8〜12のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項14】
低速搬送側の回転促進手段は、対象物の低速搬送側に側方から接触、嵌まり合い、当接の1つによって回転推進力を与える接触部材、嵌まり合い部材、回転アームの少なくとも1つを備えている請求項8〜13のいずれか1項に記載の向き換え装置。
【請求項15】
適数の処理工程部と、無端搬送帯に設けたアタッチメントにより搬送物を押動搬送して前記適数の処理工程部に供して処理する処理工程搬送手段を備え、この処理工程搬送手段の搬送経路における特定の処理工程部の前、後の少なくとも1箇所に請求項8〜11のいずれか1項に記載の向き換え装置を設けたことを特徴とする処理装置。
【請求項16】
対象物は平面形状が矩形な函であり、処理工程は搬送方向に平行な函面に対するブラッシングによる磨き、粗し、削り、印刷の除去、貼着物の除去、ゴミの除去、汚れの除去、洗い、を始めとする各種処理の少なくとも1つを行うものであり、処理工程部に搬送される函の搬送方向に平行な函面にブラッシングを及ぼす固定ブラシを配してある請求項15に記載の処理装置。
【請求項17】
処理工程搬送手段の前段に、膨潤工程搬送手段により函を連続に搬送しながら噴射手段により膨潤液を噴射して函の表面異物の膨潤を図る膨潤工程部を備え、前記膨潤を図られながら連続搬送している最先の函を分離して単独に切り出し、処理工程搬送手段に送り込まれるようにする切り出し手段を設けた請求項16に記載の処理装置。
【請求項18】
切り出し手段は、最先から2つ目の函を膨潤工程搬送手段上に一時的に係止することを周期的に行う第1の係止手段と、第1の係止手段に係止されず搬送されて後続の函から分離される最先の函を所定の分離位置に一旦係止してから所定のタイミングで係止を解除し搬送されるようにすることを周期的に行う第2の係止手段とを有している請求項17に記載の処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−27879(P2006−27879A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212912(P2004−212912)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(594166487)東洋機器工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(594166487)東洋機器工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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