説明

含水溶剤の脱水濃縮方法

【課題】含水溶剤の高脱水濃縮処理を低ランニングコストで実現することのできる方法を提供する。
【解決手段】含水溶剤を蒸発器3で蒸発処理して含水溶剤蒸気を生成し、この含水溶剤蒸気を、脱水膜モジュール4の非透過側室13内に供給する一方で、中継タンク5内に貯留された不活性ガス(中継タンク5に導入される前、中継タンクから抜き出したの後の少なくともどちらかで除湿される)を脱水膜モジュール4の透過側室14内に供給して、非透過側室13から透過側室14に透過した水蒸気をその除湿後の不活性ガスでパージし、不活性ガスは中継タンク5へ戻して再利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器による蒸発処理と分離膜を用いた脱水処理との組み合わせによって溶剤中の水分を脱水する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、溶剤中の水分を分離除去する方法として、最も一般的な方法は蒸留法である。よく使用されている溶剤は、水と共沸混合物を作るものが多い。例えば、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどである。これらの共沸混合物の蒸留には、第三成分を添加した抽出蒸留法が適用されるが、装置が増え、分離に要するエネルギーも増加するという欠点がある。
【0003】
そこで、近年、装置構成の簡素化および省エネルギー化を図ることのできる分離法として、分離膜を用いた分離法が注目されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)。特許文献1には、中空糸膜を用い、例えば糸の内側を高圧とし、高圧側に有機蒸気と水蒸気を供給し、一方糸の外側を低圧として水蒸気を選択的に透過させ、高圧側の有機蒸気に富んだ流体を製品蒸気として取り出し、一方、水蒸気含量の少ない気相掃引流を低圧側へ供給するとともに供給流の流れの向きに対して掃引流が向流になるように流して、脱水精製する方法が記載されている。非特許文献1には、蒸発器と分離膜の組み合わせ装置でイソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。)を脱水濃縮した例が記載されており、この例では98〜99wt%のIPAが得られる。また、同文献中には分離膜の低圧側へ透過した水分を無水に近い製品蒸気あるいは不活性ガスでパージすると、溶剤中の水分を0.1wt%以下にすることが可能であると記載されている。
【0004】
特許文献1では、蒸気透過膜を用いて選択的に水を透過させると同時に水分含有量の少ないガスでパージして、水分の少ない有機蒸気を製品として得ている。水分の少ないパージ用ガスを得る各種の方法が記載されている。例えば、冷却して水分を凝縮させる方法、水分を吸着させる方法、無水のガスボンベを使用する方法、圧縮+除湿膜の方法、圧縮+冷却+凝縮の方法、圧縮+吸着の方法などがある。さらに上述の方法に加えて、パージ用ガスをリサイクル利用する方法、透過した水蒸気を真空ポンプで減圧にする方法などの組合せ法が記載されている。しかしながら、これらの方法を長期に渡って安定に運転しようとすると幾つかの問題点がある。特許文献1の一例として、パージ用ガスが低圧側へパージされ、さらに低圧側出口から透過した水蒸気とパージガスとの混合気体が圧縮機で圧縮され、凝縮器で冷却されて水を凝縮分離後、気体として残ったパージガスが再度低圧側へパージされる場合を取り上げる。第一の問題点としては、パージ用ガスが少量ではあるが蒸気透過膜の高圧側へ透過し、ロスすることである。透過のドライビングフォースは分圧差であり、一方高圧側のパージガス分圧は零に近いため、少量ではあるがパージガスが高圧側へ透過する。第二の問題点としては、蒸気透過膜の低圧側出口部と圧縮機とが直接に管で結ばれており、低圧側の圧を一定に保持することが難しいことである。
【0005】
非特許文献1では、製品蒸気でパージする方法が記載されている。しかしながら、透過した水分を製品蒸気でパージする方法では、分離膜透過液中に溶剤成分が多量に混ざるため、この溶液に対して特別の分離操作とその分離のためのエネルギーが必要となり、ランニングコストが嵩むという問題点がある。また、分離膜透過水分を不活性ガスでパージする方法では、分離膜の低圧側に供給される不活性ガスがその後回収されることなく消費される一方であり、また分離膜の低圧側に供給された不活性ガスを積極的に系外に抜き出して分離膜の低圧側を所定の真空度に保つためのエネルギーが別途必要となるから、やはりランニングコストが嵩むという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−113531号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「化学装置」、1992年、9月号、p.65−68
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、含水溶剤の高脱水を低ランニングコストで実現することのできる含水溶剤の脱水精製方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の説明で分離膜として、含水溶剤蒸気中から水蒸気を分離する膜、不活性ガス中に含まれる水蒸気を分離する膜および空気から酸素を透過させて低酸素含有窒素ガスを得る窒素膜が使用される。三者の膜を区別するため、第一の膜を脱水膜、第二の膜を除湿膜、第三の膜を窒素膜と呼ぶ。
【0010】
ガス分離膜による分離において、分離膜の一方の側に分離対象のガスを供給し、ガスが分離膜の表面に沿って流れている間に分離対象のガス中の一部の成分が選択的に分離膜の他方の側に透過することによって分離される。
【0011】
以下の説明において、分離対象のガスを供給する側のことを、高圧側もしくは非透過側と表現し、一部の成分が選択的に透過する他方の側のことを低圧側もしくは透過側と呼ぶ。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明による含水溶剤の脱水濃縮方法は、
含水溶剤を蒸発させて得られた含水溶剤蒸気を脱水膜の高圧側に供給し、前記脱水膜の高圧側から低圧側に水蒸気を透過させて、前記高圧側から脱水された溶剤を得る含水溶剤の脱水濃縮方法であって、
前記高圧側から前記低圧側に前記脱水膜を透過した水蒸気をパージするために、不活性ガスが貯留されている中継タンクから抜き出した不活性ガスを、前記脱水膜の低圧側に供給し、
パージ後に前記脱水膜の低圧側から排出された不活性ガスを、前記中継タンクへリサイクルし、
その際、前記不活性ガスが前記脱水膜の低圧側から排出されてから前記中継タンクに導入されるまでの間、および前記中継タンクから抜き出されてから脱水膜の低圧側に供給されるまでの間の少なくともどちらかにおいて、前記不活性ガスの除湿処理をおこなうこと
を特徴とする(第1発明)。
【0013】
不活性ガス中の水蒸気を低減させる除湿処理は、不活性ガスが中継タンクに貯留された後、脱水膜の低圧側に供給する前に行われてもよいし、脱水膜の低圧側をパージし、中継タンクへリサイクルする前に行われてもよい。さらには、中継タンクへリサイクルする前と、中継タンクから脱水膜の低圧側に供給される前との双方で行われてもよい。
【0014】
本発明において、前記脱水膜の高圧側に供給される含水溶剤蒸気と、前記脱水膜の低圧側に供給される除湿後の不活性ガスとを、前記脱水膜を介して向流接触させることが好ましい(第2発明)。
【0015】
本発明において、前記除湿処理として、脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガスの混合物を、熱交換器の一方の側に供給し、他方の側には冷却水を流して不活性ガス中の水蒸気を凝縮させて除湿した後に中継タンクへリサイクルすることにより除湿することが好ましい(第3発明)。
【0016】
前記除湿処理が、脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガス混合物を、真空ポンプを経由した後、熱交換器の一方の側に供給し、熱交換器の他方の側に冷却水を流して不活性ガス中の水蒸気を凝縮させて除湿した後に中継タンクへリサイクルすることにより除湿する方法が好ましい(第4発明)。
【0017】
前記除湿処理が、脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガス混合物を、減圧の下で一方の側に供給し、他方の側に冷却水を流して不活性ガス中の水蒸気を凝縮させて除湿した後に中継タンクへリサイクルすることにより除湿する方法によることが好ましい(第5発明)。
【0018】
前記除湿処理が、不活性ガスを所定値以上に圧縮した後に熱交換器で冷却して前記不活性ガス中に含まれる水分を凝縮することによって不活性ガスが除湿される方法が好ましい(第6発明)。
【0019】
前記除湿処理が、除湿膜を用いて除湿する方法が好ましい(第7発明)。
【0020】
前記除湿処理が、中継タンクに貯留された不活性ガスを除湿膜の一方の側へ導き、除湿膜の他方の側を減圧に保ち、一方の側から送出された水分の少ない不活性ガスの一部を減圧の他方の側へパージするとともに除湿膜を透過した水蒸気を中継タンク手前に設置された真空ポンプの吸引側へ送出することによって除湿することが好ましい(第8発明)。
【0021】
前記除湿処理が、不活性ガスを冷却して前記不活性ガス中に含まれる水分を凝縮することで成される第1の除湿処理と、この第1の除湿処理が施された後の不活性ガスを更に除湿膜を用いて除湿する第2の除湿処理とを含むものであるのが好ましい(第9発明)。
【0022】
前記除湿処理が、
脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガス混合物を冷却して前記不活性ガスに含まれる水分を凝縮することで成される第1の除湿処理と、
この第1の除湿処理が施された後の不活性ガスを除湿膜の高圧側へ導き、除湿膜の低圧側を減圧に保ち、高圧側から送出された水分の少ない不活性ガスの一部を低圧側へパージするとともに除湿膜を透過した水蒸気を第1の除湿処理の供給側へ送出することによって除湿する第2の除湿処理とを含むものであることが好ましい(第10発明)
【0023】
脱水膜の低圧側へパージ用として供給した窒素ガスが脱水膜の高圧側へ透過してロスとなる。このロスした窒素ガスを補給するために、圧縮機で空気を加圧して窒素膜へ導き、酸素を選択的に透過させて酸素濃度1%以下の窒素ガスを作り、ロスした分に相当する量の窒素ガスを中継タンクへ補給することが好ましい(第11発明)。
【0024】
中継タンクに貯留された窒素ガスと、空気とを、窒素膜へ導き、酸素及び水蒸気を選択的に透過させ除湿処理をした後の窒素ガスを作り、前記除湿処理をした後の窒素ガスを脱水膜の低圧側に供給して、前記脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気をパージし、中継タンクへリサイクルすることが好ましい(第12発明)。
【発明の効果】
【0025】
第1発明によれば、不活性ガスが除湿された後に脱水膜の低圧側に供給され、脱水膜の低圧側に透過した水蒸気がその除湿後の不活性ガスによってパージされるので、脱水膜の低圧側の水蒸気分圧が低められて脱水膜の高圧側に存在する水蒸気が高効率で脱水膜の低圧側に透過され、脱水膜の高圧側に高脱水された溶剤蒸気を得ることができる。
【0026】
第2発明の構成(向流接触)を採用することにより、含水溶剤蒸気中の水分をより効率良く脱水膜の低圧側に透過させることができる。
【0027】
また、第3発明の構成を採用することにより、冷却水の温度を下げれば、不活性ガス中の水蒸気凝縮温度が低下し、不活性ガス中水分濃度が低下する。脱水膜の高圧側へ供給された含水溶剤蒸気のうちの水蒸気分圧が低圧側の水蒸気分圧より高いと脱水は可能であるから、冷却水の温度を下げて、不活性ガス中水分濃度をさげることは重要である。
【0028】
第4発明の構成を採用することにより、低圧側圧力をより減圧にできるため、含水溶剤中の水蒸気分圧を低くでき、高脱水された溶剤が得られる。
【0029】
第5発明の構成を採用することにより、真空ポンプの吸引側において凝縮操作を実施するから、凝縮分に相当する蒸気が減少し、真空ポンプの負荷が減少する。但し、減圧下での凝縮であるから、通常の冷却水では凝縮し難く、中継タンクへは多量の蒸気成分が同伴する。
【0030】
第6発明の構成を採用することにより、不活性ガスを圧縮した後に冷却するから、蒸気成分は容易に凝縮する。しかし、不活性ガスを圧縮する時に多量の動力を必要とする。
【0031】
第7発明の構成を採用することにより、除湿膜を用いて除湿するから、凝縮する方法と比較すると、低露点の除湿ガスを得ることが容易である。さらに、装置が簡便であり、運転も容易である。
【0032】
第8発明の構成を採用することにより、不活性ガスを除湿膜の高圧側に供給し、除湿膜の低圧側を中継タンク手前に設置された真空ポンプの吸引側に連結することおよび除湿済み不活性ガスの一部を低圧側へパージすることで、不活性ガスの除湿を達成している。本方法によれば、不活性ガスを系外に放出すること無く不活性ガスの除湿を行うことが可能である。
【0033】
第9発明の構成を採用することにより、不活性ガスを冷却して除湿し、さらに除湿膜を用いて除湿するから不活性ガスを高度に除湿でき、その結果含水溶剤の水分濃度を非常に低濃度にすることができる。
【0034】
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。不活性ガスを用いる理由としては、高圧側に存在する溶剤が可燃性で、かつ高温蒸気であり、爆発性を持った溶剤もあるからである。
【0035】
第10発明の構成を採用することにより、不活性ガスを系外に放出することなく、冷却して除湿し、さらに除湿膜を用いて除湿するから不活性ガスを高度に除湿でき、その結果含水溶剤の水分濃度を非常に低濃度にすることができる。
【0036】
第11発明の構成を採用することにより、窒素膜を用いて空気から低酸素濃度含有窒素ガスが準備でき、脱水膜でロスされる少量の窒素の補給をすることができる。他の不活性ガスを用いる場合には、ボンベ入りガス等を購入する必要がある。
【0037】
第12発明の構成を採用することにより、窒素膜に供給されるガスの窒素濃度が高くなり、窒素膜の膜面積が少なくても十分である。また、圧縮機として、小型の物で十分であり、設備が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図3】本発明の第3の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図4】本発明の第4の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図5】本発明の第5の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図6】本発明の第6の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図7】本発明の第7の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【図8】本発明の第8の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明による含水溶剤の脱水濃縮方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0040】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。
【0041】
図1に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1は、不活性ガスボンベ2と、スチーム等を熱源とした蒸発器3と、水蒸気を含む被処理蒸気から水蒸気を分離する脱水膜モジュール4と、不活性ガスを貯留するための中継タンク5と、原液タンク6とを備えている。なお、中継タンク5内には、不活性ガスの他に、水分、溶剤成分などが含まれている。
【0042】
含水溶剤は原液タンク6に一旦貯留された後に蒸発器3に送り込まれる。蒸発器3においては、蒸発器内に送り込まれた含水溶剤液に対してスチームまたは熱媒体により加熱されて、蒸発処理が行われることにより、含水溶剤蒸気が発生される。
【0043】
脱水膜モジュール4は、ケーシング7内に水蒸気を選択的に透過させる芳香族ポリイミド製の中空糸状分離膜9を多数本集束した中空糸束10と、この中空糸束10の一端部および他端部のそれぞれに各中空糸状分離膜9の開口状態を保持するように固着される樹脂製の第1管板11および第2管板12とを備えて構成されている。分離膜モジュール4においては、各中空糸状分離膜9の中空部によって非透過側室13が区画形成されるとともに、ケーシング7、第1管板11、第2管板12および各中空糸状分離膜9の外側面によって透過側室14が区画形成されている。
【0044】
ケーシング7の一端側には、含水溶剤蒸気を各中空糸状分離膜9の一端側開口に向けて導入するための含水溶剤蒸気導入口15が設けられる一方、ケーシング7の他端側には、各中空糸状分離膜9の他端側開口からの非透過蒸気を導出するための非透過蒸気導出口16が設けられている。また、ケーシング7の一端部には、各中空糸状分離膜9を透過した透過蒸気を導出するための透過蒸気導出口17が設けられる一方、ケーシング7の他端部には、各中空糸状分離膜9を透過した透過蒸気をパージするための不活性ガスが導入されるパージ用不活性ガス導入口18が設けられている。
【0045】
中継タンク5とパージ用不活性ガス導入口18との間には、中継タンク5側から順に不活性ガス供給ブロワー28、流量計29、および流量調整弁24が設けられている。流量計29の手前に分岐管を設け、リリーフ弁36を経て中継タンク5へ戻る流路も設け、供給ブロワーで昇圧した後、流量調整弁24およびリリーフ弁36を調整して所定の流量を脱水膜モジュール4の透過側室へ供給する。また、透過蒸気導出口17と中継タンク5との間には、凝縮器25および受器26が設けられている。ここで、透過側室14は、凝縮器25、受器26を経由して中継タンク5に連結されており、しかも中継タンクは常圧より少し高い圧力に制御(図では省略)されているから、透過側室14の圧は常圧より少し高いが、非透過側室13よりも低い圧力に保たれている。
【0046】
以上に述べたように構成される含水溶剤の脱水濃縮システム1において、原料の含水溶剤は原液タンク6に一旦貯留された後に蒸発器3に送り込まれる。蒸発器3での蒸発処理によって発生された含水溶剤蒸気は、過熱器30によってスーパーヒートされた後に、含水溶剤蒸気導入口15を介して非透過側室13内に供給される。
【0047】
含水溶剤蒸気導入口15を介してケーシング7内に供給される含水溶剤蒸気は、各中空糸状分離膜9の一端側開口から非透過側室13内を通って他端側開口に向かって流れる。一方、透過側室14内に供給される除湿後の不活性ガスは、ケーシング7の他端部に設けられたパージ用不活性ガス導入口18からケーシング7の一端部に設けられた透過蒸気導出口17に向かって流れる。こうして、非透過側室13内に供給される含水溶剤蒸気と、透過側室14内に供給される除湿後の不活性ガスとが中空糸状分離膜9を介して向流接触される。
【0048】
含水溶剤蒸気が中空糸状分離膜9の一端側開口から非透過側室13内を通って他端側開口に向かって流れている間に、含水溶剤蒸気中の水蒸気が非透過側室13から透過側室14に透過され、非透過蒸気導出口16から脱水溶剤蒸気が導出される。この脱水溶剤蒸気は凝縮器31を経て高脱水溶剤とされ、製品として製品タンク32に貯留される。
【0049】
非透過側室13から透過側室14に透過された水蒸気は、パージ用不活性ガス導入口18から透過側室14内に供給される除湿後の不活性ガスによって透過蒸気導出口17へと向かって押し流され、不活性ガスと共に透過蒸気導出口17から導出される。なお、非透過側室13から透過側室14に微量ながら溶剤蒸気も透過され、この溶剤蒸気もパージ用不活性ガス導入口18から透過側室14内に供給される除湿後の不活性ガスによって透過蒸気導出口17へと向かって押し流され、不活性ガスと共に透過蒸気導出口17から導出される。
【0050】
透過蒸気導出口17から導出された水蒸気、微量の溶剤蒸気および不活性ガスの混合蒸気は、凝縮器25で冷却された後に一旦受器26に導入される。この際、凝縮器25による冷却作用によって混合気中の水分および微量の溶剤蒸気が凝縮され、この凝縮によって生じた水および微量の溶剤の混合液が受器26に溜められる。そして、受器26内の不活性ガスは中継タンク5に導入され、中継タンク5に溜められている不活性ガスと共に不活性ガス供給ブロワー28、流量計29および流量調整弁24を経て再び脱水膜モジュール4の透過側室14内に供給される。
【0051】
透過蒸気導出口17から導出された水蒸気は、凝縮器25で冷却されて凝縮する。図1では1台の凝縮器が示されているが、溶剤の水分濃度を下げたい時には2台の凝縮器を設け、最初の1台目は工業用水(クーリングタワーで冷却し、循環使用する水)で冷却し、2台目は冷水(チラーで冷却した水)で冷却すれば、不活性ガス中の水分を大きく低減できる。
【0052】
受器26に溜められた水および溶剤の混合液は、凝縮液抜出用ポンプ34によって随時抜き出されて水・溶剤混合液タンク35に送り込まれる。なお、水・溶剤混合液タンク内の液は、排水処理設備で処理した後、系外へ排出するか、別途蒸留処理して溶剤回収を実施する。
【0053】
透過側室14内に供給される不活性ガスの分圧は非透過側室13のそれよりも高いから、高圧側へ不活性ガスが透過する。すなわち、高圧側の含水溶剤蒸気側には不活性ガスの供給は殆ど無視できる程度であるから不活性ガス分圧はゼロに近く、不活性ガスは低圧側から高圧側へ透過する。芳香族ポリイミド膜では不活性ガスのうち、アルゴンと窒素の透過係数は水蒸気のそれの千分の一程度と低いため、ごく少量高圧側へ透過する。一方、ヘリウムの透過係数は水蒸気の十分の一程度であるため高圧側への透過が多く、使用は好ましくない。また、不活性ガスは、受器26の凝縮液内への溶解または巻き込まれによって水・溶剤混合液タンクへ移送されることによってもロスとなる。それ故、中継タンク圧を絶えず監視し、圧が減少した場合には不活性ガスボンベ2から流量調整弁20を介して中継タンクへ不活性ガスを補給する。
【0054】
本実施形態の含水溶剤液の脱水濃縮システム1によれば、不活性ガスを主成分とする中継タンク5から供給ブロワー28で昇圧され、リリーフ弁36で圧力を一定に保持し、流量調整弁24にて所定量の不活性ガスが透過側室14内に供給され、非透過側室13から透過側室14に透過した水蒸気がその除湿後の不活性ガスによってパージされるので、透過側室14の水蒸気分圧が低められて非透過側室13内に存在する水蒸気が高効率で透過側室14に透過され、非透過蒸気導出口16から高脱水された溶剤蒸気を得ることができる。また、不活性ガスをパージ用不活性ガスとしてリサイクル使用するので、新規に購入する不活性ガス量は非常に少なく、ランニングコストを低く抑えることができる。したがって、含水溶剤の高脱水濃縮を低ランニングコストで実現することができる。
【0055】
また、非透過側室13内に供給される含水溶剤蒸気と、透過側室14内に供給される除湿後の不活性ガスとが中空糸状分離膜9を介して向流接触されるので、非透過側室13内の水蒸気をより効率良く透過側室14へと透過させることができる。
【0056】
また、透過蒸気導出口17から導出されるパージ処理に使用された後の不活性ガスが中継タンク5に溜められている不活性ガスと共に供給ブロワー28、流量計29および流量調整弁24を経て再び脱水膜モジュール7の透過側室14内に供給されてリサイクル使用されるので、不活性ガスをパージ用不活性ガスとして無駄なく長期に亘って利用することができる。
【0057】
〔第2の実施形態〕
図2には、本発明の第2の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。
【0058】
図2に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Aは、図1と異なり、不活性ガスの循環システムが常圧系から減圧系に変わっている。脱水膜モジュール4の透過蒸気導出口17と中継タンク5との間には、透過蒸気導出口17側から順に真空ポンプ27、凝縮器25、受器26が設けられており、中継タンク5と流量調整弁24との間には、流量計29のみで図1の供給ブロワー28はない。ここで、透過側室14は、真空ポンプ27によって減圧されることにより、非透過側室13よりもかなり低い圧力に保たれ、その結果、透過側の水蒸気分圧を低くでき、非透過側に存在する溶剤蒸気中の水分濃度を大きく下げることができる。
【0059】
不活性ガスの循環システムを安定化させる方法としては、中継タンク5の圧力を監視する。当然、中継タンク5へ戻ってくる不活性ガスの温度およびガス中の水蒸気量および溶剤蒸気量が時間経過とともに異なるから、運転初期には中継タンク5の圧力変動はあるが、時間が経過すれば、不活性ガスの透過側室14から非透過側室13への透過ロスが中継タンク5の圧低下の主要因となり、不活性ガスボンベ2から流量調整弁20を経由して間歇的に補給すれば、安定な運転が可能となる。
【0060】
〔第3の実施形態〕
図3には、本発明の第3の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。
【0061】
図3に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Bは、図2とは異なり透過蒸気導出口17と中継タンク5との間には、透過蒸気導出口17側から順に凝縮器25、受器26、真空ポンプ27、冷水で冷却する凝縮器22、受器23が設けられている。真空ポンプ手前で凝縮器25により蒸気成分を凝縮させ、受器26で捕集するから、真空ポンプを通過する蒸気量が減少して、真空ポンプの動力を低減できる。しかし、減圧下の凝縮であるから、凝縮量は制限され、真空ポンプを通過する不活性ガス中には多量の蒸気成分が残る。そこで、図3では真空ポンプ27の直後に冷水で冷却する凝縮器22および受器23を設けて、不活性ガス中の除湿を充分に行ってから中継タンク5へ供給され、タンク内での凝縮を防止している。中継タンク5に溜められた不活性ガスは流量計29および流量調整弁24を経て透過側室内へパージされる。凝縮器22の冷却水として通常の工業用水を用いてもよいが、中継タンク5内での凝縮を防止するとともに溶剤中の水分濃度をさらに低下できるので、冷水を用いることが好ましい。
【0062】
なお、不活性ガスのパージ流量の設定については、中継タンク5から流量計29を経由し流量調整弁24までの流路はほぼ常圧であり、流量調整弁24のもう一方の端は真空ポンプ27の影響を受け減圧であるから、弁24を調整することで流量を設定できる。
【0063】
〔第4の実施形態〕
図4には、本発明の第4の実施形態に係わる含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。
【0064】
図4に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Cは、図1〜3とは異なり中継タンク5とパージ用不活性ガス導入口18との間には、中継タンク側から順に圧縮機21、凝縮器22、受器23、圧縮不活性ガス用タンク8、レギュレータ(図4では省略)、流量計29および流量調整弁24が設けられている。一定流量のガスを得ようとすると、圧縮不活性ガス用タンクが必要である。
【0065】
中継タンク5に溜められたリサイクル使用した不活性ガスは、圧縮機21で所定値以上に圧縮された後に凝縮器22で冷却されて一旦受器23に導入され、凝縮水を分離した後、圧縮不活性ガス用タンク8へ貯留される。この際、圧縮機21および凝縮器22による圧縮・冷却作用によって不活性ガス中に含まれる水分および溶剤成分が凝縮され、この凝縮によって生じた水および溶剤の混合液が受器23に溜められる。こうして、リサイクル使用した不活性ガスから水分および溶剤成分が取り除かれた除湿後の不活性ガスは、圧縮ガスタンク8から流量計29を経て流量調整弁24へと送り出され、流量調整弁24にて所定流量に調整された後に、パージ用不活性ガス導入口18を介して透過側室14内に供給される。中継タンク5に溜められた不活性ガスは圧縮され、大きな動力が加えられ、冷却することによって水蒸気が凝縮して除湿が進む。
【0066】
〔第5の実施形態〕
図5には、本発明の第5の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。なお、本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Dにおいて、先の実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム(図1〜図4)と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、先の実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システムと異なる点を中心に説明することとする。
【0067】
図5に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Dにおいては、中継タンク5と流量計29との間に、水分を含む被処理ガスを除湿する除湿膜モジュール40が設けられている。
【0068】
除湿膜モジュール40は、ケーシング41内に水蒸気を選択的に透過させる芳香族ポリイミド製の中空糸状分離膜43を多数本集束した中空糸束44と、この中空糸束44の一端部および他端部のそれぞれに各中空糸状分離膜43の開口状態を保持するように固着される樹脂製の第1管板45および第2管板46とを備えて構成されている。除湿膜モジュール40においては、各中空糸状分離膜43の中空部によって非透過側室47が区画形成されるとともに、ケーシング41、第1管板45、第2管板46および各中空糸状分離膜43の外側面によって透過側室48が区画形成されている。
【0069】
ケーシング41の一端側には、被処理ガスを各中空糸状分離膜43の一端側開口に向けて導入するための被処理ガス導入口49が設けられる一方、ケーシング41の他端側には、各中空糸状分離膜43の他端側開口からの非透過ガスを導出するための非透過ガス導出口50が設けられている。また、ケーシング41の一端部には、各中空糸状分離膜43を透過した透過ガスを導出するための透過ガス導出口51が設けられる一方、ケーシング41の他端部には、各中空糸状分離膜43を透過した透過ガスをパージするための不活性ガスが導入されるパージ用不活性ガス導入口52が設けられている。
【0070】
本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Dにおいては、ポンプ27の減圧吸引作用を利用して除湿膜モジュール40の透過ガス導出口51を出た透過水分とパージガスとの混合ガスの流量を制御する方法が示されている。除湿膜モジュールの圧損が大きい場合には、図1に示したように中継タンク5と除湿膜モジュールとの間に供給ブロワー28を設置してモジュール圧損分を昇圧し、昇圧した一部のガスを除湿膜モジュールの被処理ガス導入口49から導入し、残部のガスはリリース弁36(図1参照)を経由して中継タンク5へ戻される。
【0071】
不活性ガスが被処理ガス導入口49を介してケーシング41内に供給される。このケーシング41内に供給された不活性ガスが中空糸状分離膜43の一端側開口から非透過側室47内を通って他端側開口に向かって流れている間に、前記不活性ガス中に含まれる水分が非透過側室47から透過側室48に透過され、非透過ガス導出口50から除湿処理後の不活性ガスが導出される。この除湿処理後の不活性ガスの一部はパージ用不活性ガス導入口52を介して透過側室48内に供給され、非透過側室47から透過側室48に透過した水分がその除湿処理後の不活性ガスによってパージされる。これにより、高度に除湿された不活性ガスが非透過ガス導出口50から送り出されることになる。非透過ガス導出口50から送り出された高除湿不活性ガスは、流量計29を経て、流量調整弁24にて所定流量に調整された後に、分離膜モジュール4におけるパージ用不活性ガス導入口18を介して透過側室14内に供給される。
【0072】
なお、非透過ガス導出口50から出たガスの一部はパージ用としてパージ用不活性ガス導入口52から供給されるが、通常、非透過ガス導出口50から出たの総ガス量の10〜30%が好ましい。流量計を設置してもよいし、オリフィス板でガスの分配を決めてもよい。
【0073】
除湿モジュール40の透過ガス導出口51を出た透過水分とパージガスとの混合ガスは、脱水膜モジュール4の透過蒸気導出口17を出た蒸気と合流させ、凝縮器25、受器26、真空ポンプ27、冷水で冷やされた凝縮器22および受器23を経由して中継タンク5へ戻される。真空ポンプ出口ガスを冷水で冷却しているのは、被処理溶剤中の水分濃度を低くし、中継タンク内での液凝縮を抑えるためである。
【0074】
なお、除湿膜モジュール40の透過ガス導出口51を出たガスを脱水膜モジュール4の透過蒸気導出口17を出た蒸気と合流させているのは、不活性ガスをロスしないためである。
【0075】
〔第6の実施形態〕
図6には、本発明の第6の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。なお、本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Eにおいて、先の実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システムと同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、先の実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システムと異なる点を中心に説明することとする。
【0076】
図6に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Eにおいては、図4とは異なり、圧縮タンク8と流量計29との間に除湿膜モジュール40(図5参照)が設置されている。不活性ガス中の水分を圧縮した後、冷却して凝縮させて分離し、さらに除湿膜モジュール40を用いて高除湿をしている。除湿膜モジュールの透過ガスは中継タンク5へ戻し、不活性ガスのロスを抑えている。
【0077】
〔第7の実施形態〕
図1〜図6では不活性ガスボンベを設置し、低圧側から高圧側へ透過してロスする不活性ガスをボンベから補給する方法を示した。図7では、加圧空気を窒素分離膜に供給し、酸素を優先的に透過させて窒素ガスを製造する方法について述べる。
【0078】
図7に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Fにおいては、圧縮機55で空気を加圧し、この加圧した空気を窒素膜モジュール60に供給する。
【0079】
窒素膜モジュール60は、ケーシング61内に酸素を選択的に透過させる芳香族ポリイミド製の中空糸状分離膜63を多数本集束した中空糸束64と、この中空糸束64の一端部および他端部のそれぞれに各中空糸状分離膜63の開口状態を保持するように固着される樹脂製の第1管板65および第2管板66とを備えて構成されている。窒素膜モジュール60においては、各中空糸状分離膜63の中空部によって非透過側室67が区画形成されるとともに、ケーシング61、第1管板65、第2管板66および各中空糸状分離膜63の外側面によって透過側室68が区画形成されている。
【0080】
ケーシング61の一端側には、加圧空気を各中空糸状分離膜63の一端側開口に向けて導入するための被処理ガス導入口69が設けられる一方、ケーシング61の他端側には、各中空糸状分離膜63の他端側開口からの非透過ガスを導出するための非透過ガス導出口70が設けられている。また、ケーシング61の一端部には、各中空糸状分離膜63を透過した透過ガスを導出するための透過ガス導出口71が設けられる。
【0081】
本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Fにおいては、圧縮機55によって加圧された空気が被処理ガス導入口69を介してケーシング61内に供給される。このケーシング61内に供給された加圧空気が中空糸状分離膜63の一端側開口から非透過側室67内を通って他端側開口に向かって流れている間に、空気中に含まれる酸素と窒素が非透過側室67から透過側室68に透過され、非透過ガス導出口70から酸素含量の少ない窒素ガスが導出される。非透過側室67から透過側室68に透過した酸素および窒素は透過ガス導出口71から大気中へ放出される。窒素膜モジュールでは脱水膜モジュールおよび除湿膜モジュールと異なり、透過側にパージ用ガスの導入口がない。この理由は高圧側へ供給した加圧空気の70%以上を透過させるから、この透過ガスがパージの役目をしてくれる。酸素ガスが窒素ガスよりも透過し易いため、透過ガス濃度は空気中の酸素濃度よりもより酸素濃度が高い。酸素富化空気とよぶ。
【0082】
本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Fによれば、圧縮機55によって加圧された空気が窒素膜モジュール60に供給され、酸素富化空気を透過させ、酸素含量の少ない加圧窒素ガスを製造し、加圧窒素ガスタンク56に貯留し、常圧付近の中継タンク5の圧が低下次第、加圧窒素ガスタンク56から窒素を補給する。
【0083】
〔第8の実施形態〕
図8は、本発明の第8の実施形態に係る含水溶剤の脱水濃縮システムの概略構成図が示されている。なお、本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Gにおいて、先の実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システムと同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、先の実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システムと異なる点を中心に説明することとする。
【0084】
図7では、加圧空気を窒素分離膜に供給し、酸素を優先的に透過させて窒素ガスを製造する方法を示した。図8では、リサイクル使用した窒素ガスを加圧空気とともに窒素膜モジュールに供給する方法について述べる。
【0085】
図8に示される含水溶剤の脱水濃縮システム1Gは、図3と同様に、透過蒸気導出口17と中継タンク5との間には、透過蒸気導出口17側から順に凝縮器25、受器26、真空ポンプ27が設けられている。減圧下での凝縮であるから、中継タンク5に溜められたリサイクル使用した窒素ガスは、蒸気成分が残っている。中継タンク5内の圧力は、常圧付近に設定されている。常圧付近の中継タンク5の圧が低下次第、逆止弁を通して大気中より空気が供給される。
【0086】
本実施形態の含水溶剤の脱水濃縮システム1Gにおいては、中継タンク5に貯蔵されたリサイクル使用した窒素ガスが、圧縮機55によって加圧され、加圧混合ガスとして、被処理ガス導入口69を介してケーシング61内に供給される。このケーシング61内に供給された加圧混合ガスが中空糸状分離膜63の一端側開口から非透過側室67内を通って他端側開口に向かって流れている間に、混合ガス中に含まれる酸素と窒素と水蒸気とが非透過側室67から透過側室68に透過され、非透過ガス導出口70から酸素含量の少なく、且つ乾燥した窒素ガスが導出され、加圧窒素ガスタンク56に貯留される。非透過側室67から透過側室68に透過した酸素、窒素および水蒸気は透過ガス導出口71から大気中へ放出される。
【0087】
以上示した実施形態は、矛盾が生じない限りにおいて、組み合わせることができる。例えば第4の実施形態で示した圧縮機21を用いた不活性ガスからの除湿方法は、第1〜第3の実施形態に組み合わせることができる。第5の実施形態で示した除湿膜40を用いる除湿方法は、第1〜第4に示した実施形態(それらの組み合わせの実施形態も含む)に組み合わせることができる。尚、第6の実施形態は、第4の実施形態と第5の実施形態を組み合わせたものに相当する。さらに、第7の実施形態で示した窒素膜を用いた窒素ガスの供給、補充は、第1〜第6の実施形態(およびそれらの組み合わせ)のすべてと組み合わせることができる。第8の実施形態で示した窒素膜を用いた脱水を兼ねた窒素ガスの供給、補充は、第1〜第6の実施形態(およびそれらの組み合わせ)、好ましくは第1〜第4の実施形態と組み合わせることができる。
【実施例】
【0088】
次に、本発明による含水溶剤の脱水濃縮方法の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0089】
〔実施例1:図1参照〕
本実施例においては、蒸発器3を用い、含水溶剤(EtOH:90wt%、HO:10wt%)を蒸発器内に供給した。蒸発器3の底部に付設の伝熱コイル(図示省略)に熱媒体を流すことで蒸発器内に供給された含水エタノール溶剤を加熱し、108℃の含水エタノール蒸気を発生させた。蒸発器3で発生させた含水エタノール蒸気を、過熱器30でスーパーヒートして120℃の過熱蒸気とした後に、脱水膜モジュール4(膜面積:6m、膜素材:芳香族ポリイミド)に供給した。中継タンク5に貯留された窒素ガスを供給ブロワー28で昇圧し、調整弁24およびリリーフ弁36を調整して、所定量の窒素ガスを透過側室14へパージした。透過蒸気およびパージした窒素ガスの混合ガスを凝縮器25へ導き、チラーで5℃に冷却された水で間接冷却して、窒素ガス中に含まれる水分およびエタノール分を凝縮させた。この凝縮によって得られる水およびエタノールの混合液は受器26に貯留した。5℃冷水による間接冷却により、脱水膜モジュール4の透過側室14に供給する窒素ガス中の水分濃度を1.7mol%まで下げることができた。そして、脱水膜モジュール4において、透過側室14へ多量の窒素ガスをパージすることにより、含水エタノール蒸気と除湿後の窒素ガスとを中空糸状分離膜9を介して向流接触させて脱水処理を行った。
【0090】
本実施例において適用される図1の含水エタノールの脱水濃縮システム1の主要各部における流量、温度、圧力等の計測結果を表1に示す。
【0091】
透過した水およびエタノールはパージ用の窒素ガスとともに凝縮器25および受器26を経由して、気相部分が中継タンク5へ移送される。なお、受器26で捕集された液は受器26内に貯留した。実験終了後受器26に貯留された液量を測定した。
【0092】
【表1】

【0093】
本実施例によれば、90wt%エタノール水溶液7.50kg/hから99.7wt%の無水エタノールが6.52kg/hの速度で得られた。循環する窒素ガスのロス量は0.03Nm3/hであった。表1に記載しているように透過液側の圧力は常圧であるが、窒素ガスのパージ量を製品量と同程度にすることで、エタノール濃度99.7wt%を実現している。
【0094】
[実施例2:図2参照]
本実施例においては、高圧側圧力と供給エタノール濃度は実施例1と同じであるが、低圧側圧力が実施例1とは異なり13.3kPaAと減圧にしており、窒素パージ量を実施例1の4分の1に下げて運転している。なお、ここで凝縮器25はチラーで5℃に冷却した水を用い、脱水膜モジュール4の透過側へ透過した蒸気成分を充分に凝縮させ、リサイクル窒素中の水蒸気および溶剤蒸気成分の濃度が上昇しないようにした。
【0095】
【表2】

【0096】
本実施例によれば、89.9wt%エタノール水溶液11.04kg/hから99.65wt%の無水エタノールが9.73kg/hの速度で得られた。循環する窒素ガスのロスは認められなかった。実施例1より製品量は多いが、製品中水分は実施例1では0.3wt%に対して0.35wt%と水分が多く残っている。窒素ガスのパージ量が実施例1の4分の1と少ないためである。
【0097】
[実施例3:図3参照]
本実施例においては、実施例2と異なり、真空ポンプの手前に凝縮器25と受器26を設けて、透過した成分の一部を工業用水で冷却して凝縮させ、さらに真空ポンプを出た常圧の蒸気を、凝縮器22(チラーで作った5℃の冷水で冷却)に流して窒素中に含まれる蒸気成分を凝縮させ、受器23に捕集し、リサイクル中の水蒸気濃度を低下させた。
【0098】
【表3】

【0099】
本実施例によれば、実施例2と殆ど同じ結果が得られた。但し、本実施例では真空ポンプ手前で凝縮器25に工業用水を流して冷却しているから、真空ポンプの動力は0.75kWでよく、実施例2の真空ポンプ1.5kWの半分で充分であった。
【0100】
[実施例4:図4参照]
本実施例においては、チラーは使用せず、代わりに圧縮機を用いて溶剤中の水分濃度を低下させた。パージした窒素ガスおよび溶剤から低圧側へ透過した水蒸気をまず凝縮器25で冷却させて、凝縮液を受器26で捕集し、真空ポンプ27および中継タンク5を経て、圧縮機21で0.6MPaGに圧縮した後、工業用水を流した凝縮器22で冷却して凝縮させ、凝縮液を受器23で捕集して窒素ガスの除湿を行って圧縮不活性ガスタンク8に高圧窒素を溜める。圧縮機21は圧縮不活性ガスタンク8の圧に応じて間歇的に作動する。圧縮不活性ガスタンク8から減圧弁(図では省略)、流量計29および流量調整弁24を経て脱水膜4の透過側室14へパージされる。
【0101】
【表4】

【0102】
本実施例によれば、チラーを使用することなく、圧縮機で窒素ガスの除湿を行っている。実施例2および3の窒素パージ量0.9〜1.0Nm/hに対して約3分の1の窒素パージ量で99.7wt%の製品エタノールが8.95kg/hで得られた。当然、窒素パージ量を増加すれば、99.9%エタノールを得ることができる。
【0103】
[実施例5:図5参照]
実施例4では圧縮機でリサイクル窒素ガス中の除湿を行っているのに対して、より省エネルギーが可能となるようにするため、除湿膜モジュール(膜面積:2m、膜素材:芳香族ポリイミド)を使用した。図5に示すように、除湿膜の高圧側を常圧で操作し、低圧側については脱水膜で使用している真空ポンプを共用した。即ち、脱水膜の透過蒸気導出口17と凝縮器25とのラインに、除湿膜の透過ガス導出口51から出たガスを合流させ、真空ポンプ27で吸引した。
【0104】
除湿膜モジュール40の非透過ガス導出口50から導出される除湿処理後の窒素ガスの15%をパージ用不活性ガス導入口52を介して透過側室48内に供給し、非透過側室47から透過した水分をその除湿処理後窒素ガスでパージした。
【0105】
【表5】

【0106】
本実施例によれば、窒素パージ量1Nm3/hで99.9wt%のエタノールが8.37kg/hで得られた。実施例4では動力源が真空ポンプと圧縮機が必要だったのに対して本実施例では真空ポンプだけで良い。但し、除湿膜の高圧側を常圧で運転するため、高圧側と低圧側の水蒸気分圧差が小さく、その結果、除湿膜モジュールの膜面積が大きくなる。
【0107】
〔実施例6:図6参照〕
本実施例においては、リサイクル窒素中の除湿処理として実施例4に示した圧縮機以外に、さらに除湿膜モジュール(膜面積:0.2m2、膜素材:芳香族ポリイミド)を取り付けたことである。除湿膜モジュール40の非透過ガス導出口50から導出される脱水処理後の窒素ガスの約20%をパージ用不活性ガス導入口52を介して透過側室48内に供給し、非透過側室47から透過側室48に透過した水分をその脱水処理後の窒素ガスでパージした。そして、除湿膜を透過した水蒸気とパージした窒素ガスとは透過ガス導出口51から出て、中継タンク5に戻した。
【0108】
除湿膜モジュール40による除湿処理の実施により、分離膜モジュール4の透過側室14に供給する窒素ガス中の水分濃度を実施例1のそれよりも1桁低い0.14mol%まで下げることができた。そして、脱水膜モジュール4において、透過側室14を真空ポンプ27の稼働で13.3kPaAに維持しながら、含水エタノール蒸気と、除湿膜モジュール40で更に除湿された後の窒素ガスとを中空糸状分離膜9を介して向流接触させて脱水処理を行った。
【0109】
本実施例において適用される図6の含水エタノールの脱水濃縮システム1Eの主要各部における流量、温度、圧力等の計測結果を表6に示す。
【0110】
【表6】

【0111】
本実施例によれば、除湿膜モジュール40を用いて、分離膜モジュール4の透過側室14に供給する窒素ガス中の水分濃度を実施例4のそれよりも1桁低い0.14mol%まで低下させ、さらに窒素パージ量を実施例4の約3倍増やしたことにより、無水エタノール中の水分濃度を実施例4の0.3wt%から1桁低い0.05wt%まで下げることができた。
【0112】
〔実施例7:図7参照〕
実施例1の不活性ガスボンベの代わりに、0.75kWオイルフリー圧縮機、窒素膜モジュール(膜面積 2.4m、膜素材:芳香族ポリイミド)および30L圧縮窒素ガスタンク56を準備し、99.5%窒素ガスを0.4〜0.6MPaGで充填した。中継タンク5の圧が0〜5kPaGになるように、窒素ガスを圧縮窒素ガスタンク56、流量調整弁20及びON−OFF弁(図7では省略)を経由して中継タンク5へ消失した窒素ガスを補給した。実施例1と同条件で運転したところ、圧縮窒素ガスタンク56の圧が0.6MPaGから0.4MPaGへ低下するに要した時間が2.6時間であった。以上から窒素ガスの消失速度は0.023Nm/hと評価された。
【0113】
[実施例8:図8参照]
本実施例においては、リサイクルした窒素ガスを、窒素膜モジュール(膜面積:6m、膜素材:芳香族ポリイミド)の原料ガスとして用いている。
中継タンク5に貯留された窒素ガス及び空気を圧縮機55で圧縮し、窒素膜モジュール60に供給して、99.5%窒素ガスを0.4〜0.6MPaGで30L加圧窒素ガスタンク56に充填した。加圧窒素ガスタンク56から減圧弁(図では省略)および流量計29を経て流量調整弁24を調整して、所定量の窒素ガスを透過側室14へパージした。透過蒸気およびパージした窒素ガスの混合ガスを凝縮器25へ導き、チラーで5℃に冷却された水で間接冷却して、窒素ガス中に含まれる水分およびエタノール分を凝縮させた。この凝縮によって得られる水およびエタノールの混合液は受器26に貯留した。混合ガスは、真空ポンプ27で中継タンク5に戻された。
【0114】
【表7】

【0115】
本実施例によれば、窒素パージ量1.00Nm3/hで99.95wt%のエタノールが8.33kg/hで得られた。
【0116】
以上、本発明の含水溶剤の脱水濃縮方法について、複数の実施形態および複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態等に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明はいずれも市販の部品または装置を取り集めシステム化することで容易に実現できるから利用の可能性は高い。
【符号の説明】
【0118】
1 脱水濃縮システム
2 不活性ガスボンベ
3 蒸発器
4 脱水膜モジュール
5 中継タンク
6 原液タンク
8 圧縮不活性ガスタンク
9 中空糸状分離膜
13 非透過側室(高圧側室)
14 透過側室(低圧側室)
21 圧縮機
22 凝縮器
23 受器
25 凝縮器
26 受器
27 真空ポンプ
28 供給ブロワー
30 過熱器
32 製品タンク
33 液抜き出しポンプ
34 液抜き出しポンプ
35 透過液タンク
40 除湿膜モジュール
55 圧縮機
56 圧縮窒素ガスタンク
60 窒素膜モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水溶剤を蒸発させて得られた含水溶剤蒸気を脱水膜の高圧側に供給し、前記脱水膜の高圧側から低圧側に水蒸気を透過させて、前記高圧側から脱水された溶剤を得る含水溶剤の脱水濃縮方法であって、
前記高圧側から前記低圧側に前記脱水膜を透過した水蒸気をパージするために、不活性ガスが貯留されている中継タンクから抜き出した不活性ガスを、前記脱水膜の低圧側に供給し、
パージ後に前記脱水膜の低圧側から排出された不活性ガスを、前記中継タンクへリサイクルし、
その際、前記不活性ガスが前記脱水膜の低圧側から排出されてから前記中継タンクに導入されるまでの間、および前記中継タンクから抜き出されてから脱水膜の低圧側に供給されるまでの間の少なくともどちらかにおいて、前記不活性ガスの除湿処理をおこなうこと
を特徴とする含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項2】
前記脱水膜の高圧側に供給される含水溶剤蒸気と、前記脱水膜の低圧側に供給される除湿後の不活性ガスとを、前記脱水膜を介して向流接触させる請求項1に記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項3】
前記除湿処理が、脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガスの混合物を、熱交換器の一方の側に供給し、他方の側には冷却水を流して不活性ガス中の水蒸気を凝縮させて除湿した後に中継タンクへリサイクルすることにより除湿する方法による請求項1〜2のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項4】
前記除湿処理が、脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガス混合物を、真空ポンプを経由した後、熱交換器の一方の側に供給し、熱交換器の他方の側に冷却水を流して不活性ガス中の水蒸気を凝縮させて除湿した後に中継タンクへリサイクルすることにより除湿する方法による請求項1〜3のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項5】
前記除湿処理が、脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガス混合物を、減圧の下で熱交換器の一方の側に供給し、熱交換器の他方の側に冷却水を流して不活性ガス中の水蒸気を凝縮させて除湿した後に中継タンクへリサイクルすることにより除湿する方法による請求項1〜4のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項6】
前記除湿処理が、不活性ガスを所定値以上に圧縮した後に熱交換器で冷却して不活性ガスの水分を凝縮することによって除湿する請求項1〜5のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項7】
前記除湿処理が、除湿膜を用いて除湿する方法を含む請求項1〜6のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項8】
前記除湿処理が、中継タンクに貯留された不活性ガスを除湿膜の高圧側へ導き、除湿膜の低圧側を減圧に保ち、高圧側から送出された水分の少ない不活性ガスの一部を低圧側へパージするとともに除湿膜を透過した水蒸気を中継タンク手前に設置された真空ポンプの吸引側へ送出することによって除湿する請求項1〜7のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項9】
前記除湿処理が、水蒸気含有不活性ガスを冷却して前記不活性ガスに含まれる水分を凝縮することで成される第1の除湿処理と、この第1の除湿処理が施された後の不活性ガスを更に除湿膜を用いて除湿する第2の除湿処理とを含むものである請求項1〜8のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項10】
前記除湿処理が、
脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気およびパージ用に使用した不活性ガス混合物を冷却して前記不活性ガスに含まれる水分を凝縮することで成される第1の除湿処理と、
この第1の除湿処理が施された後の不活性ガスを除湿膜の高圧側へ導き、除湿膜の低圧側を減圧に保ち、除湿膜の高圧側から送出された水分の少ない不活性ガスの一部を除湿膜の低圧側へパージするとともに除湿膜を透過した水蒸気を第1の除湿処理の供給側へ送出することによって除湿する第2の除湿処理とを含むものである請求項1〜9のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項11】
不活性ガスとして窒素ガスを、脱水膜の低圧側へパージ用として供給し、パージ後の窒素ガスを回収してリサイクルする際に生じる窒素ガスのロスを補給するために、圧縮機で空気を加圧して窒素膜へ導き、酸素を選択的に透過させて酸素濃度1%以下の窒素ガスを作り、ロスに相当する量の窒素ガスを前記中継タンクへ補給する請求項1〜10のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。
【請求項12】
不活性ガスとして窒素ガスを用い、
中継タンクに貯留された窒素ガスと、空気とを、窒素膜へ導き、
酸素及び水蒸気を選択的に透過させ除湿処理をした後の窒素ガスを作り、
前記除湿処理をした後の窒素ガスを脱水膜の低圧側に供給して、前記脱水膜の高圧側から低圧側に透過した水蒸気をパージし、中継タンクへリサイクルする
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の含水溶剤の脱水濃縮方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157791(P2012−157791A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17266(P2011−17266)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【出願人】(000230582)日本化学機械製造株式会社 (16)
【Fターム(参考)】