説明

含浸加工材用包装袋

【目的】 開閉シートが逆戻りしないよう含浸加工材の取出しを行うことができる含浸加工材用包装袋を提供する。
【構成】 積層したシート状の含浸加工材2を、柔軟性シート材料で包み込み、下面3及び両端開口4,5を封かんし、上面6に含浸加工材2の取出し口7と、取出し口7の全面を覆い、取出し口7の外縁部分8と対応する位置に、再剥離性を有する粘着部分10をもつ簡易式開閉シート11とを具え、開閉シート11は、一端に口取り部12を有し、他端に開閉の際の回動軸となる非剥離部分13を有し、開閉シート11の口取り部12は、幅が先端に向かって漸減する三角形状をなし、口取り部12の両斜辺14,15の一方に切り欠き部16を設け、袋1の両端開口の封かん部4,5のうち、開閉シート11の他端に近い側にある封かん部4に、開閉シート11の口取り部12をその切り欠き部16の位置まで差し込めるスリット17を設ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、複数枚積層したシート状の含浸加工材、すなわち用途に応じて水、アルコール等の液体をしみ込ませた紙又は布を、例えばお手拭きや赤ちゃんのおしりふき等に使用する場合において、この含浸加工材を袋の中から片手で簡単に取り出せ、かつ、取り出す必要がない場合には袋の中に残った未使用の含浸加工材を乾燥させることなく保存できる含浸加工材用包装袋に関するものであり、具体的には、包装袋の中から含浸加工材を取り出す際に、手で引き剥がした開閉シートが、手を離したときに取出し口の上方に逆戻りして含浸加工材の取出し口をふさぐのを防止した包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばお手拭きや赤ちゃんのおしりふき等に使用される含浸加工材の包装は、コストの点から、プラスチックフィルムやアルミニウムはく等を用いて簡易包装で行うことが好ましい。
このような簡易包装の袋は、その上面に、含浸加工材の取出し口と、この取出し口の全面を覆う開閉シートとを具えるのが一般的であり、開閉シートを手で引き剥がすことにより、包装袋の中から含浸加工材を取り出すことができる。
また、この包装袋は、含浸加工材を必要に応じて簡単に取り出せ、かつ、取り出す必要がない場合には袋の中にある残った未使用の含浸加工材を乾燥させることなく保存することができるという性能を有することが必要である。
しかし、従来の含浸加工材用包装袋は、図5に示すように、開閉シート11′が、手を離したときに取出し口7′の上方に戻ってしまい、含浸加工材の取出し口7′をふさぐことが多く、これは、特に、一方の手で赤ちゃんの足を抱え、他方の手で赤ちゃんのおしりをふくような状況で使用する場合には、不便極まりない。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案の目的は、開閉シートが、手を離したときに取出し口の上方に逆戻りしないようにすることで、片手で簡単に含浸加工材の取出しを行うことができる含浸加工材用包装袋を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案の含浸加工材用包装袋は、複数枚積層したシート状の含浸加工材を、柔軟性にとむ方形のシート材料で包み込み、包み込んだ下面及び両端開口を封かんし、上面に、含浸加工材の取出し口と、この取出し口の全面を覆い、取出し口の外縁部分と対応する位置に、これとの関係で再剥離性を有する粘着部分をもつ簡易式開閉シートとを具え、前記開閉シートは、一端に口取り部を有し、他端に開閉の際の回動軸となる非剥離部分を有する、繰返し開閉可能な含浸加工材用包装袋であって、開閉シートの口取り部は、その幅が先端に向かって漸減する三角形状をなし、この口取り部の両斜辺の少なくとも一方に切り欠き部を設け、かつ、袋の両端開口の封かん部のうち、開閉シートの他端に近い側にある封かん部に、開閉シートの口取り部をその切り欠き部の位置まで差し込める切り込み寸法をもつスリットを設ける。
【0005】
【作用】
本考案の含浸加工材用包装袋は、開閉シートの口取り部を、袋の両端開口の封かん部のうち、開閉シートの他端に近い側にある封かん部に設けたスリットに差し込んで、口取り部の切り欠き部をスリットの縁に引っかけることにより、開閉シートが、手を離したときに取出し口の上方に逆戻りすることがなくなり、片手で簡単に含浸加工材を取出すことができる。
【0006】
【実施例】
本考案に従う含浸加工材用包装袋の代表的な実施例を図面を参照しながら説明する。
図1は含浸加工材の取出しを行わない場合、また、図2は含浸加工材を取出しを行う場合の含浸加工材用包装袋の状態をそれぞれ斜め上方から眺めたもの示したものである。
【0007】
この含浸加工材用包装袋1は、複数枚積層した含浸加工材2を、柔軟性にとむ長方形のシート材料で包み込み、包み込んだ下面3の中央位置3aで封かんする(図4参照)とともに、両端開口4,5を封かんすることによって形成する。
シート材料には、紙、プラスチックフィルム、アルミニウムはくあるいは布等、又はこれらを組合せた柔軟性にとむ材料を用いることが好ましい。なお、図1では、シート材料に、その外面がプラスチックフィルム、その内面がアルミニウムはくの2層ラミネート構造のものを使用してある。
【0008】
前記封かんは、ヒートシール法で行うことが好ましいが、接着法やその他の方法で行うこともできる。なお、図4では、袋1の下面3の中央位置3aでの封かんを、中央合掌シール形にしたが、端部同士を普通に重ねた封筒形にしてもよく、また、袋1の中に積層した含浸加工材2をより多く詰めるため、袋1をひだ付き形としたが、これらは必要に応じて適宜設けることができる。
なお、図2には、説明の便宜上、袋の側面から袋の中にある含浸加工材2の積層状態が見えるように示してある。
【0009】
また、袋の上面6には、含浸加工材の取出し口7と、この取出し口7の全面を覆う簡易式開閉シート11とを具えている。
開閉シート11の内面は、取出し口7に対応する部分9をアルミニウムはく、取出し口7の外縁部分8に対応する部分が粘着シール10で形成してある。
なお、図1では、開閉シート11の繰り返しの開閉を有効に行うため、取出し口7の外縁部分8には、粘着シール10との粘着性と再剥離性の双方に優れたプラスチックフィルムを設けてあるが、このプラスチックフィルムは他の材料で代用してもよいし、設けなくてもよく、適宜変更することができる。
【0010】
前記開閉シート11は、一端に口取り部12を設け、他端に開閉の際の回動軸となる非剥離部分13(図1の斜線部分)を設けてある。
前記非剥離部分13は、図1では、開閉シート11の両側から切り込み18を入れ、かつ、取出し口7に対応する部分9の一部20を袋の上面6とつながる形状にすること(図3)によって剥がれにくくしてあるが、この非剥離部分13の接着強度を高める他の手段を用いてもよく、特に限定はしない。なお、切り込み18を入れる場合には、切り込み18に沿って開閉シート11が引き裂かれやすい状況にあるため、引裂強さに優れた材質の開閉シート11を用いることが好ましい。
【0011】
開閉シート11の口取り部12は、その幅が先端に向かって漸減する三角形状をなし、この口取り部12の斜辺15には切り欠き部16を有している。
なお、この切り欠き部16は、口取り部12の両斜辺14,15に設けてもよく、また、切り欠き部16の形状も種々の態様にすることができ、必要に応じて適宜選択することができる。
【0012】
袋の両端開口の封かん部4,5のうち、開閉シート11の非剥離部分13に近い側にある封かん部4に、開閉シート11の口取り部12がその切り欠き部16の位置まで差し込める切り込み寸法をもつスリット17を設けてある。スリット17の切り込み寸法は、開閉シート11の口取り部12を片手で簡単に差し込めればよく、具体的には、切り込みの長さと幅を口取り部12の差し込む部分の寸法よりも若干大きくするのが好ましい。
なお、この実施例では、図2に示すように、包装袋の中から含浸加工材を一枚ずつ取り出しやすいようにするため、取出し口7の内側に紙分離プレート19を設けてあるが、必要に応じて設ければよい。
【0013】
このような構成にすることで、包装袋の中から含浸加工材を取り出す場合に、引き剥がした開閉シートの口取り部12を、封かん部4のスリット17に差し込むことにより、手を離しても、開閉シートが取出し口の上方に逆戻りするということがなくなる。
【0014】
なお、上述したところは、本考案の実施例を示したにすぎず、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
【考案の効果】
本考案によれば、含浸加工材を取り出す場合に、片手だけで簡単に取り出すことができる。これは、特に、一方の手で赤ちゃんの足を抱え、他方の手で赤ちゃんのおしりをふくような状況で使用される場合に顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に従う含浸加工材用包装袋の代表的な斜視図である。
【図2】図1の含浸加工材用包装袋が含浸加工材を取り出す状態にあるときの斜視図である。
【図3】開閉シート11の取出し口7に対応する部分9の一部20が、袋の上面6につながっている状態を示した図である。
【図4】図1の含浸加工材用包装袋の下面から眺めた斜視図である。
【図5】従来の含浸加工材用包装袋の斜視図である。
【符号の説明】
1 包装袋
2 含浸加工材
3 包装袋の下面
4,5 包装袋の両端開口の封かん部分
6 袋の上面
7 取出し口
8 取出し口の外縁部分
9 取出し口に対応する開閉シートの内面部分
10 外縁部分8 に対応する開閉シートの内面部分
11 開閉シート
12 口取り部
13 非剥離部分
14,15 口取り部の斜辺
16 切り欠き部
17 スリット
18 切り込み
19 紙分離プレート
20 開閉シートの取出し口7に対応する部分9の一部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 複数枚積層したシート状の含浸加工材を、柔軟性にとむ方形のシート材料で包み込み、包み込んだ下面及び両端開口を封かんし、上面に、含浸加工材の取出し口と、この取出し口の全面を覆い、取出し口の外縁部分と対応する位置に、これとの関係で再剥離性を有する粘着部分をもつ簡易式開閉シートとを具え、前記開閉シートは、一端に口取り部を有し、他端に開閉の際の回動軸となる非剥離部分を有する、繰返し開閉可能な含浸加工材用包装袋において、開閉シートの口取り部は、その幅が先端に向かって漸減する三角形状をなし、この口取り部の両斜辺の少なくとも一方に切り欠き部を設け、かつ、袋の両端開口の封かん部のうち、開閉シートの他端に近い側にある封かん部に、開閉シートの口取り部をその切り欠き部の位置まで差し込める切り込み寸法をもつスリットを設けることを特徴とする含浸加工材用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3020134号
【登録日】平成7年(1995)10月25日
【発行日】平成8年(1996)1月19日
【考案の名称】含浸加工材用包装袋
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−6661
【出願日】平成7年(1995)7月3日
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)