説明

含硫黄プラスチックレンズおよびその製造方法

【目的】 含硫黄レンズの加工時の悪臭、異臭を減少あるいは消臭する。
【構成】 含硫黄プラスチックレンズに、カプロン酸メチル、カプロン酸ビニル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソプロピル又は5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレンから選ばれる少なくとも一種の化合物を含有させる。
【効果】 硫黄特有の悪臭、異臭を減少あるいは消臭するため、作業者が不快感を感じることなくレンズの加工を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、高屈折率含硫黄プラスチックレンズに関するものである。更に詳しくは、注型重合して得られた硫黄含有のレンズ用成型体において、該成型体の切削研磨加工時に、硫黄特有の異臭、悪臭を発生しないプラスチックレンズおよびその製造方法に関するものである。本願発明の含硫黄プラスチックレンズは、眼鏡、光学素材等に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れにくく、染色が可能なため、近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。現在、これらの目的に、最も広く用いられている樹脂としては、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(以下DACと称する)をラジカル重合させたものが有る。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、軽量であること、染色性に優れていること、切削性及び研磨性等の加工性に優れていること等、種々の特徴を有している。しかしながら、このDAC製のレンズは、屈折率が無機レンズ(nD =1.52)に比べnD =1.50と小さく、ガラスレンズと同等の光学物性を得るためには、レンズの中心厚、コバ厚、及び曲率を大きくする必要があり、全体的に肉厚になることが避けられない。このため、より屈折率の高いレンズ用樹脂が望まれている。
【0003】樹脂の屈折率を高めるために、硫黄原子を導入する試みが行われ、例えば、ポリイソシアナートとポリチオールよりなる含硫ウレタン系樹脂(特開昭60−199016、特開昭62−267316、特開昭63−46213)、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂(特開昭64−26613、特開昭64−31759、特開昭63−188660)あるいは含硫ポリ(メタ)アクリレート樹脂(特開昭62−283109、特開昭63−268707)等が提案されている。しかしながら、これらの樹脂は、硫黄原子を含有しているために、レンズの切削、研磨時に硫黄特有の異臭、悪臭が発生し、作業者が強い不快感を感じることが有った。
【0004】プラスチックレンズについては、切削、研磨時に発生する異臭、悪臭を減少または消臭する加工法が望まれ、提案されてもいる。例えば、ラジカル重合タイプで、屈折率が1.50以上の架橋構造を有する高屈折率プラスチックレンズの製造において、香気性付与化合物を0.05%〜1%含有した樹脂を用いることにより、レンズの切削、研磨時の異臭、悪臭を緩和する技術が特公平2−56641に開示されている。しかしながら、本発明者らが、含硫黄プラスチックレンズについて、ここに開示されている香気性付与化合物を用いて検討を行った結果、これらの香気性付与化合物では、硫黄特有の異臭、悪臭を減少または消臭させるには不十分であることが判った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、含硫黄プラスチックレンズについて、その切削、研磨等の加工時の硫黄特有の異臭、悪臭を減少または消臭する高屈折率の含硫黄プラスチックレンズおよびそのレンズの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、ある種の化合物を用いることにより、レンズの加工時に発生する硫黄特有の異臭、悪臭を減少または消臭させ得ることを見出し、本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、屈折率が1.50以上の架橋構造を有する高屈折率含硫黄プラスチックレンズにおいて、カプロン酸メチル、カプロン酸ビニル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソプロピルまたは5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレンから選ばれる少なくとも一種の化合物を、0.005〜0.5重量%含有する含硫黄プラスチックレンズに関するものである。さらに、屈折率が、1.50以上の架橋構造を有する高屈折率含硫黄プラスチックレンズの製造方法において、モノマー混合物に、カプロン酸メチル、カプロン酸ビニル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソプロピルまたは5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレンから選ばれる少なくとも一種の化合物を、0.005〜0.5重量%添加し、加熱重合する含硫黄プラスチックレンズの製造方法に関するものである。さらにまた、含硫黄プラスチックレンズが含硫ウレタン樹脂である含硫黄プラスチックレンズおよびモノマー混合物が二官能以上のポリイソシアナート化合物と二官能以上のポリチオール化合物からなるモノマー混合物である含硫黄プラスチックレンズの製造方法に関するものである。
【0007】本発明により、レンズの切削、研磨時に発生する硫黄特有の異臭、悪臭を減少または消臭し、作業者が不快感を感じることなく含硫黄レンズの加工を行うことが可能になった。本発明で用いられる化合物は、カプロン酸メチル、カプロン酸ビニル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソプロピルまたは5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレンから選ばれる少なくとも一種の化合物であり、その使用量は、化合物の種類、使用する含硫黄レンズによって異なるが、通常、0.005〜0.5重量%である。これらの化合物は、市販されており、容易に入手できる。
【0008】本願発明において用いられる含硫黄レンズは、含硫ウレタン系樹脂、含硫エポキシ樹脂、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂、含硫ポリ(メタ)アクリレート樹脂を材料とするものである。例えば、含硫ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアナートと、硫黄原子を有するポリオール、ポリチオール、ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物等とを反応させた樹脂である。具体的には、ポリイソシアナートとしては、例えば、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシアナート、ノナメチレンジイソシアナート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナート−5−イソシアナートメチルオクタン、ビス(イソシアナートエチル)カーボネート、ビス(イソシアナートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエステル、リジントリイソシアナート、2−イソシアナートエチル−2,6−ジイソシアナートヘキサノエート、2−イソシアナートプロピル−2,6−ジイソシアナートヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナートメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナートエチル)フタレート、メシチリレントリイソシアナート、2,6−ジ(イソシアナートメチル)フラン等の脂肪族ポリイソシアナート、
【0009】イソホロンジイソシアナート、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアナート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ビス(4−イソシアナート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシアナート、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−5−イソシアナートメチル−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−6−イソシアナートメチル−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−5−イソシアナートメチル−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−6−イソシアナートメチル−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−5−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−6−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−5−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−6−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン等の脂環族ポリイソシアナート、
【0010】フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ナフタリンジイソシアナート、メチルナフタレンジイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアナート、ビス(イソシアナートフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメリックMDI、ナフタリントリイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアナート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアナート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアナート、フェニルイソシアナートメチルイソシアナート、フェニルイソシアナートエチルイソシアナート、テトラヒドロナフチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアナート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、ベンゾフェノンジイソシアナート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、ジベンゾフランジイソシアナート、カルバゾールジイソシアナート、エチルカルバゾールジイソシアナート、ジクロロカルバゾールジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、
【0011】チオジエチルジイソシアナート、チオジプロピルジイソシアナート、チオジヘキシルジイソシアナート、ジメチルスルフォンジイソシアナート、ジチオジメチルジイソシアナート、ジチオジエチルジイソシアナート、ジチオジプロピルジイソシアナート等の含硫脂肪族イソシアナート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナートメチルベンゼン)スルフィド、4,4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアナートなどの芳香族スルフィド系イソシアナート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3'−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアナート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアナートなどの芳香族ジスルフィド系イソシアナート、
【0012】ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、4−メチルジフェニルスルホン−2,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジ(tert−ブチル)ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナートなどの芳香族スルホン系イソシアナート、4−メチル−3−イソシアナートベンゼンスルホニル−4’−イソシアナートフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナートベンゼンスルホニル−4’−イソシアナートフェノールエステルなどのスルホン酸エステル系イソシアナート、4−メチル−3−イソシアナートベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアナート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアナート、4−メチル−3−イソシアナートベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアナートなどの芳香族スルホン酸アミド、チオフェン−2,5−ジイソシアナート等の含硫複素環化合物、その他、1,4−ジチアン−2,5 −ジイソシアナートなどが挙げられる。また、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。
【0013】硫黄原子を有するポリオールとしては、例えば、ビス−〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−( 2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)スルフィド、ビス−〔2−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフェニル〕スルフィド、およびこれらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス−(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン〔商品名、ビスフェノールS〕、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサン等の硫黄原子を含有するポリオールもまた使用することが出来る。これらのポリオールは、塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用してもよい。これらはそれぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0014】また、ポリチオールとしては、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ペプタ−exo −cis −2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等の脂肪族ポリチオール、
【0015】1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、 1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、
【0016】1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5 −テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール、
【0017】2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン等の複素環を含有したポリチオール、
【0018】1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール、
【0019】ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、
【0020】ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、
【0021】チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール、3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物等が挙げられる。さらには、これらポリチオールの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用してもよい。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0022】また、ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト− 1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サリチレート)、ヒドロキシエチルチオメチルートリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン等が挙げられる。さらには、これらの塩素置換体、臭素置換体のハロゲン置換体を使用してもよい。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0023】また、本願発明において用いられる含硫黄レンズ材料のうち、含硫エポキシ樹脂は活性水素化合物と一分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなる。活性水素化合物としては、先の含硫ウレタン系樹脂の原料として挙げた化合物のうち、■ポリチオール、■ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物、■含硫ポリオール、■チオサリチル酸、チオグリコール酸、3,3−ジチオイソ酪酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸等のメルカプトカルボン酸、■3−(ヒドロキシスルホキシ)プロピオン酸等の硫黄原子を含有するヒドロキシカルボン酸、■m−ベンゼンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルフィン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノエチルスルホン酸、1,4−ジスルホフェノール、4−スルホ安息香酸、4−メルカプトベンゼンスルホン酸、ビス(4−スルホベンゼン)ジスルフィド等のスルホン酸及びスルフィン酸化合物、■ビス(2−アミノエチル)ジスルフィド、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、4−アミノベンゼンチオフェノール、3,5−ジヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シスタチオニン、シスチン、ランチオニン、メチオニン、2−スルホニルアミドチアゾール−5−安息香酸、3−(ヒドロキシスルホニルオキシ)プロピオン酸、N−エチル−N’−メチルスルホアミド等の硫黄原子を有するアミン及びアミド、などが挙げられる。
【0024】また、1分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、具体的には、(1)ジアミノジフェニルメタン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタアミノベンジルアミン、パラアミノベンジルアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ベンジルアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルサルファイド、ジアミノジフェニルケトン、ナフタレンジアミン、アニリン、トルイジン、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、アミノナフトール、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ベンズアミド、トルアミド、パラヒドロキシベンズアミド、メタヒドロキシベンズアミドなどのアミノ基やアミド基を有する化合物類から公知の製造法で製造されるエポキシ樹脂、
【0025】(2)ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルホン、臭素化ビスフェノールA、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、テトラフェニルエタン、トリフェニルエタンなどのフェノール類から公知の製造法によって製造されるエポキシ樹脂、(3)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリカプロラクトン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリブタジエングリコール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキシド付加物などの多価アルコール、およびこれら多価アルコールと多価カルボン酸から作られるポリエステルポリオールなどのアルコール類から公知の製造法によって製造されるエポキシ樹脂、
【0026】(4)シクロペンタジエンエポキシド、エポキシ化大豆油エポキシ化ポリブタジエン、ビニルシクロヘキセンエポキシド、ユニオンカーバイト社の商品名ERL−4221、ERL−4234、ERL−4299などで知られる不飽和化合物のエポキシ化物、(5)アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、ナジック酸、マレイン酸、フマール酸、トリメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸などの多価カルボン酸類から公知の製造法によって製造されるエポキシ樹脂、
【0027】(6)ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基等の活性水素基を有する化合物と2官能以上のポリイソシアナート(例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナートなど)とグリシドール又は3−ヒドロキシプロピレンスルフィドから製造されるウレタン系エポキシ樹脂、(7)3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)ジクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートなどの脂環型エポキシ樹脂、(8)その他のエポキシ樹脂として、トリスエポキシイソシアヌレート、グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、1,2−プロピレンスルフィド(メタ)アクリレート共重合体、さらに前記したエポキシのポリイソシアナート、ジカルボン酸、多価フェノールなどによる変性樹脂などが挙げられる。
【0028】また、本願発明において用いられる含硫黄レンズの材料のうち、ポリチオ(メタ)アクリレート樹脂の原料モノマーとしては、先の含硫ウレタン系樹脂の原料として挙げた化合物のうち、ポリチオール、ヒドロキシ基を有するメルカプト化合物のアクリルエステル又はメタクリルエステルが挙げられる。さらにまた、本願発明において用いられる含硫黄レンズの材料のうち、含硫ポリ(メタ)アクリレート樹脂の原料モノマーとしては先の含硫ウレタン系樹脂の原料として挙げた化合物のうち、硫黄原子を有するポリチオールのアクリルエステル又はメタクリルエステルが挙げられる。これらの樹脂よりなるプラスチックレンズはいづれも屈折率が1.50 以上の高屈折率プラスチックレンズである。
【0029】本願発明の含硫黄プラスチックレンズは、通常、注型重合により得られる。具体的には、モノマー混合物と本願発明に用いる前述の化合物とをよく混合し、この混合液を必要に応じ、適当な方法で、脱泡を行った後、モールド中に注入し、加熱して重合させる。この際、重合後の離型を容易にするため、モールドに公知の離型処理を施しても差し支えない。また、所望の反応速度に調節するために、公知の触媒を適宜添加してもよい。重合温度、重合時間は、使用するモノマーの組合せおよび添加する化合物の種類等により適宜決められ、例えば、20〜200℃で0.5〜100時間を要して重合することができる。
【0030】また、本願発明の含硫黄プラスチックレンズが、例えば、含硫ウレタン樹脂からなるプラスチックレンズの場合、本発明で用いる化合物が活性水素をもつ化合物である時には、予めイソシアナート化合物と反応させておくことも出来る。また、必要に応じて、公知の成型法におけると同様に、内部離型剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶染料、充填剤などの種々の物質を添加してもよい。また、本発明の含硫黄プラスチックレンズは、必要に応じて、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与あるいはファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことが出来る。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本願発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
実施例1m−キシリレンジイソシアナート46.5重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)53.5重量部、ジブチルチンジラウレート0.1重量%、カプロン酸エチル0.1重量%を良く混合し、十分に脱泡した後、この混合物を、離型処理を施したモールド中に注入した。初期、50℃で5時間加熱し、引き続き、90℃で5時間、100℃で5時間、120℃で5時間加熱し重合を行った。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモールドより取り出した。得られたレンズは、無色透明で、鼻に近づけても何ら臭気は感じられなかった。これを、眼鏡レンズ加工用のエッジャーで切削、研磨したところ、本来有していた硫黄特有の悪臭は殆ど消え失せ、作業者が不快感を感じることはなかった。
【0032】実施例2実施例1において、カプロン酸エチルの代わりに、カプロン酸イソプロピル0.1重量%を用いて、実施例1と同様にして、レンズを得た。得られたレンズを実施例1と同様に切削研磨したところ、本来有していた硫黄特有の悪臭は、殆ど消え失せ、作業者が不快感を感じることはなかった。
【0033】実施例3実施例1において、カプロン酸エチルの代わりに、5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレン0.01重量%を用いて、実施例1と同様にして、レンズを得た。得られたレンズを、実施例1と同様に切削研磨したところ、本来有していた硫黄特有の悪臭は、殆ど消え失せ、作業者が不快感を感じることはなかった。
【0034】比較例1実施例1で用いたカプロン酸エチルの代わりに、特公平2−56641号公報で開示されている香気性付与化合物であるl−ボルニルアセテートを用いて、実施例1と同様にして、レンズを得た。得られたレンズを、実施例1と同様に切削研磨したところ、硫黄特有の悪臭が強く発生し、作業者は強い不快感を感じた。
比較例2実施例1において、カプロン酸エチルを用いることなく、実施例1と同様にして、レンズを得た。得られたレンズを、実施例1と同様に切削研磨したところ、硫黄特有の悪臭が強く発生し、作業者は強い不快感を感じた。
【0035】
【発明の効果】本発明の含硫黄プラスチックレンズは、含硫黄レンズの切削、研磨等の加工時に、硫黄特有の悪臭、異臭を殆ど〜全く発生しない。従って、作業者が不快感を感じることなく含硫黄レンズの加工を行うことが可能であり、しかも、眼鏡レンズなどの通常装着時には、全く臭気がないので、従来品と全く同様に扱うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 屈折率が1.50以上の架橋構造を有する高屈折率含硫黄プラスチックレンズにおいて、カプロン酸メチル、カプロン酸ビニル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソプロピルまたは5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレンから選ばれる少なくとも一種の化合物を、0.005〜0.5重量%含有することを特徴とする含硫黄プラスチックレンズ。
【請求項2】 屈折率が1.50以上の架橋構造を有する高屈折率含硫黄プラスチックレンズの製造において、モノマー混合物に、カプロン酸メチル、カプロン酸ビニル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソプロピルまたは5−tert−ブチル−2,4,6−トリニトロ−m−キシレンから選ばれる少なくとも一種の化合物を、0.005〜0.5重量%添加し、加熱重合することを特徴とする含硫黄プラスチックレンズの製造方法。
【請求項3】 含硫黄プラスチックレンズが、含硫ウレタン樹脂からなるプラスチックレンズであることを特徴とする請求項1記載の含硫黄プラスチックレンズ。
【請求項4】 モノマー混合物が、二官能以上のポリイソシアナート化合物と二官能以上のポリチオール化合物とからなるモノマー混合物であることを特徴とする請求項2記載の含硫黄プラスチックレンズの製造方法。