説明

吸収式冷温水機およびその運転方法

【課題】 吸収式冷温水機の運転状況や負荷の如何にかかわらずボール循環式洗浄装置による洗浄がなし得る吸収式冷温水機およびその運転方法を提供する。
【解決手段】 洗浄装置10と燃焼装置20とを備える吸収式冷温水機Kであって、前記吸収式冷温水機Kの制御装置30が、洗浄スケジュール管理部33と、状態指数算出手段38を有する運転状態監視部34と、洗浄継続可否判定部35とを備え、前記洗浄継続可否判定部35が、前記状態指数算出手段38により算出される状態指数に基づいて洗浄継続可否判定の判定をなし、その判定において洗浄継続不可の判定がなされた場合、燃焼量を削減するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収式冷温水機およびその運転方法に関する。さらに詳しくは、伝熱管の洗浄が自動的になし得る吸収式冷温水機およびその運転方法に関する。なお、本明細書においては、吸収式冷温水機には吸収式冷凍機も含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
吸収式冷温水機は、吸収器、凝縮器、蒸発器、再生器の各部が、管壁を介して熱交換を行う管式熱交換器として構成されている。管式熱交換器は、一般に、管壁に汚れが付着すると伝熱効率が低下するが、特に吸収器および凝縮器は、冷却水の循環系が冷却塔を用いた大気開放サイクルであるため、スケール分が冷却塔における放熱により濃縮され、管内で析出して管内面に付着することによって、伝熱効率の低下が起こりやすいといった問題がある。このため、定期的に管の洗浄を行うことが必要とされ、その実施がなされている。
【0003】
このスケール分の洗浄除去作業においては、薬液を用いてスケール分を溶解洗浄させる必要があるため、洗浄による環境汚染を生じさせるおそれがある。
【0004】
そこで、冷却水の循環系にスポンジボールを流し、これにより管内面を洗浄するボール循環式洗浄方法が一般的に行われている(特許文献1、2等参照)。ボール循環式洗浄方法は、例えば一日に数回程度、管径に応じたサイズの数十個の洗浄用スポンジボールを冷却水の循環系にボール供給機構により供給し、スポンジボールを所定時間にわたり循環させて管内を洗浄した後、ボール回収機構によりボールを回収する、といった手順で行われる。
【0005】
しかしながら、ボール循環式洗浄方法においては、通常、伝熱管内径よりも若干サイズの大きいスポンジボールを冷却水により圧送しながら洗浄を行うものとされるため、吸収式冷温水機の運転状態を顧慮することなく不用意に洗浄を開始すると、吸収式冷温水機系内の圧力バランスや熱バランスが崩れ、運転異常を引き起こすおそれがある。
【0006】
かかる運転異常を回避するため、従来、ボール循環式洗浄装置を一種の設備として取り扱い、ボール循環式洗浄装置の運転は、一般的に、吸収式冷温水機の運転開始前あるいは運転終了後に行うものとされている。なお、運転停止がなし得ない吸収式冷温水機にあっては、ボール循環式洗浄装置の洗浄動作信号を受けて強制的に吸収式冷温水機の運転を低負荷でなすという受動的な操作がなされている。すなわち、ボール循環式洗浄装置による洗浄には大きな制約が存在しているという問題がある。
【0007】
そのため、吸収式冷温水機の運転状況や負荷の如何にかかわらずボール循環式洗浄装置による洗浄がなし得る吸収式冷温水機の出現が関係者から熱望されている。
【特許文献1】特開平5−280889号公報
【特許文献2】特開平5−126491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、吸収式冷温水機の運転状況や負荷の如何にかかわらずボール循環式洗浄装置による洗浄がなし得る吸収式冷温水機およびその運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吸収式冷温水機は、洗浄装置と燃焼装置とを備える吸収式冷温水機であって、前記吸収式冷温水機の制御装置が、洗浄スケジュール管理部と、状態指数算出手段を有する運転状態監視部と、洗浄継続可否判定部とを備え、前記洗浄継続可否判定部が、前記状態指数算出手段により算出される状態指数に基づいて洗浄継続可否判定の判定をなすことを特徴とする。
【0010】
本発明の吸収式冷温水機においては、前記洗浄継続可否判定部により洗浄継続不可の判定がなされた場合、前記年少装置の燃焼量を削減するように制御されるのが好ましい。
【0011】
また、本発明の吸収式冷温水機においては、前記状態指数が運転中の高温再生器圧力状態または高温再生器温度状態を表すものとされているのが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の吸収式冷温水機においては、前記状態指数が燃焼量と冷却水放熱量との比により表される指数を基準指数で割ってなる相対指数とされてなるのが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の吸収式冷温水機においては、前記洗浄継続可否判定部の洗浄継続可否判定閾値が、吸収式冷温水機の負荷状況または季節的要因に基づいて変更可能とされてなるのが好ましい。
【0014】
本発明の吸収式冷温水機の運転方法は、前記いずれかの吸収式冷温水機の運転方法であって、洗浄スケジュールを設定する手順と、吸収式冷温水機の運転条件を監視する手順と、洗浄装置を起動して洗浄を開始する手順と、状態指数を算出する手順と、前記状態指数に基づいて洗浄継続可否の判定をなす手順と、前記判定において洗浄継続不可の判定がなされた場合、燃焼装置の燃焼量を削減する手順とを含んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸収式冷温水機の運転条件の如何にかかわらず、洗浄装置による洗浄がなし得るとともに、洗浄中にその継続の可否の判定がさなれ、その判定において洗浄継続不可の判定がなされると燃焼量が削減されるので、洗浄に起因する吸収式冷温水機の運転異常を生ずるおそれもないという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0017】
実施形態1
図1に、本発明の実施形態1に係る吸収式冷温水機を示す。
【0018】
吸収式冷温水機Kは、図1に示すように、吸収器1と、蒸発器2と、凝縮器3と、高温再生器4と、低温再生器5と、高温熱交換器6と、低温熱交換器7と、冷却塔8と、洗浄装置(洗浄手段)10と、燃焼装置20と、制御装置30とを主要構成要素として備えてなるものとされる。
【0019】
吸収式冷温水機Kにおいては、公知の吸収式冷温水機と同様に、蒸発器2で蒸発された冷媒(水)が、吸収器1にてLiBr(リチウムブロマイド)を主成分とする吸収液に吸収される。冷媒を吸収して濃度が低下した吸収液(以下、稀液と称する)Wは、低温熱交換器7にて予備加熱された後、低温再生器5に送られる。低温再生器5に送られた稀液Wは、高温再生器4からの冷媒蒸気により加熱され、これにより一部冷媒が蒸発して濃縮された中間液Mとなり、高温熱交換器6にて予備加熱された後、高温再生器4に送られる。
【0020】
高温再生器4は、燃焼装置20の燃焼が行われる加熱源としての燃焼炉Eを有しており、高温再生器4に送られた中間液Mは燃焼炉Eにおける燃焼装置20の燃焼により加熱され、さらに一部冷媒が蒸発して濃縮された濃液Sとなる。濃液Sは、高温熱交換器6に送られ前記予備加熱の加熱源として利用された後、低温再生器5からの中間液Mと混合される。この混合液Mは、低温熱交換器7に送られ前記予備加熱の加熱源として利用された後、散布濃液SSとして吸収器1に送られ、吸収器1内で散布される。
【0021】
また、高温再生器4にて蒸発した冷媒(以下、冷媒蒸気という)は、低温再生器5に送られる。低温再生器5に送られた冷媒蒸気は、稀液Wを加熱する加熱源として利用されるとともに、低温再生器5にて稀液Wから蒸発した冷媒蒸気とともに、凝縮器3にて冷却水により冷却され液化して冷媒に戻る。この冷媒は、蒸発器2に送られ、蒸発器2内で散布され、水などの冷却対象物から気化熱を奪って気化する。これにより冷却対象物としての水(冷水)が冷却される。
【0022】
蒸発器2にて気化された冷媒は、前述したように吸収器1に送られて吸収液に吸収される。
【0023】
また、吸収器1からの稀液Wは、一部が図示しない抽気装置に送られ、非凝縮性ガスが抽気された後、吸収器1に戻される。
【0024】
洗浄装置10は、冷却水が吸収器1、凝縮器3および冷却塔8の間で循環する循環系Iにおいて、冷却水の流れにより伝熱管洗浄用のスポンジボール(洗浄ボール、以下単にボールという)(不図示である。特開平5−280889号等参照)を吸収器1および凝縮器3に通過させ、ボール表面により伝熱管内面を清拭させて、管内を洗浄するものとされる。
【0025】
洗浄装置10は、より具体的には、冷却塔8にて冷却された冷却水を吸収器1に供給する配管(以下、冷却水供給配管という)IFに前記ボールを供給するボール供給機構11と、吸収器1および凝縮器3を通過して冷媒を冷却した冷却水を冷却塔8に戻す配管(以下、冷却水戻り配管という)IRからボールを回収するボール回収機構12と、ボール収納機構13と、洗浄操作部14とを備えてなるものとされ、ボール供給機構11の先端に設けられたボール供給部11aは冷却水供給配管IFの適宜位置に介装され、ボール回収機構12の先端に設けられたボール回収部12aは冷却水戻り配管IRの適宜位置に介装されている。
【0026】
しかして、洗浄操作部14が制御装置30からの指令により洗浄を開始したり停止したりする。つまり、制御装置30の制御にしたがって洗浄操作部14は、ボール供給機構11を動作させてボールを供給し、そのボールを吸収器1および凝縮器3に通過させて吸収器1および凝縮器3の伝熱管内を洗浄したり、ボール回収機構12を動作させてボールを回収して洗浄を停止したりする。
【0027】
なお、洗浄操作部14は制御装置30に設けられるようにされてもよい。また、ボール供給機構11、ボール回収機構12およびボール収納機構13は、公知のボール供給機構、ボール回収機構およびボール収納機構を好適に用いることができるので、それらの構成の詳細な説明は省略する。
【0028】
燃焼装置20は、バーナと、燃料供給機構(燃料配管等)および燃焼調節機構(燃料流量調節弁等)を含み、制御装置30により制御される。このようなバーナ、燃料供給機構および燃焼調節機構は、公知のバーナ、燃料供給機構および燃焼調節機構を好適に用いることができるので、それらの構成の詳細な説明は省略する。
【0029】
制御装置30は、吸収式冷温水機Kの起動・停止を操作する操作部31と、洗浄装置10の洗浄操作部14の制御および燃焼装置20の燃焼制御を含む吸収式冷温水機Kの制御をなす制御部32と、洗浄装置10の洗浄スケジュールを管理する洗浄スケジュール管理部33と、洗浄中の吸収式冷温水機Kの運転状態を監視する運転状態監視部34と、運転状態監視部34からの監視情報に基づいて洗浄継続の可否を判定する洗浄継続可否判定部35とを内蔵して備えるとともに、運転状態監視部34、洗浄継続可否判定部35などの処理結果を出力する出力手段としての画像表示装置36とを備えてなるものとされる。
【0030】
操作部31および制御部32は、公知の吸収式冷温水機の制御装置におけるものと同様とされているので、その構成の詳細な説明は省略する。
【0031】
洗浄スケジュール管理部33は、例えば洗浄間隔および洗浄時間に関するスケジュールを有しそのスケジュールにしたがった洗浄指令を制御部32に出力するものとされる。
【0032】
運転状態監視部34は状態指数算出手段38を有し、洗浄装置10の洗浄中における吸収式冷温水機Kの運転状態を示す状態指数を算出する。
【0033】
状態指数算出手段38による状態指数の算出は、以下のようにしてなされる。
【0034】
吸収式冷温水機Kにおいては、通常、冷房負荷と高温再生器圧力との関係は、図4に実線で示すような直線となる。これに対し、洗浄装置10の洗浄中においては、冷却水量が減少するため、冷房負荷と高温再生器圧力との関係は、図4に破線で示すような直線となる。
【0035】
このような状況下で、燃焼量Qfと冷却水放熱量Qcとの比により表される指数fを導入すると、この指数fは図4の破線が運転閾値と交わる点で最大値fmaxとなる。ついで、この指数fを図4の実線が運転閾値と交わる点の指数(基準指数)foで割った相対指数Rfを導入する。この相対指数Rfはその定義より、図4の実線が運転閾値と交わる点で値1をとり、図4の破線が運転閾値と交わる点で最大値Rfmaxとなる。このことは、相対指数Rfが最大値Rfmaxを超えなければ、洗浄中に高温再生器圧力が運転閾値を超えないことを意味する。つまり、相対指数Rfが最大値Rfmaxを超えなければ、吸収式冷温水機Kが洗浄可能な状態にあることがわかる。
【0036】
したがって、この相対指数Rfを適宜閾値処理することにより、洗浄継続が可能な状態にあるか否かの判定がなし得る。そこで、本明細書においては、この相対指数Rfを状態指数と定義することにする。
【0037】
この相対指数Rfつまり状態指数は、燃焼量Qfが燃料流量から容易に算出でき、冷却水放熱量Qcが冷却水の入口・出口温度および冷却水量から容易に算出でき、冷房負荷が冷水の入口・出口温度および冷水量から容易に算出できるので、簡単な数学的処理により算出できる。
【0038】
洗浄継続可否判定部35は洗浄継続可否判定閾値を有し、前記状態指数を閾値処理して洗浄継続可否の判定をなし、その結果を制御部32に出力する。しかして、この判定において洗浄継続不可の判定がなされた場合、制御装置30は燃焼装置20に燃焼量の削減を指令する燃焼量削減指令を出力する。
【0039】
ここで、洗浄継続可否判定閾値は、前記最大値Rfmaxとすることもできるが、吸収式冷温水機Kの負荷の状況、季節的要因などを考慮して、前記最大値Rfmaxよりも低めに設定することも可能である。例えば、負荷変動が激しい吸収式冷温水機Kにあっては、洗浄継続可否判定閾値を低めに設定する一方、負荷変動が少ない吸収式冷温水機Kにあっては、洗浄継続可否判定閾値を高めに設定することもできる。また、冷房需要の多い夏季には、洗浄継続可否判定閾値を低めに設定する一方、需要の比較的少ない春季や秋季には、洗浄継続可否判定閾値を高めに設定することもできる。
【0040】
なお、かかる機能を有する制御装置30は、例えば前記処理に対応するプログラムを組み込んだマイコンとして実現される。
【0041】
次に、図5を参照しながら、かかる構成とされた吸収式冷温水機Kの運転について説明する。なお、下記の手順は制御装置30の支配の下になされる。
【0042】
手順1:吸収式冷温水機Kを起動する。
【0043】
手順2:吸収式冷温水機Kを通常運転する。
【0044】
手順3:洗浄スケジュールを設定する。つまり、洗浄間隔および洗浄時間を設定する。
【0045】
手順4:吸収式冷温水機Kの運転条件を監視する。具体的には、燃料流量、高温再生器圧力、冷却水の入口・出口温度、冷却水量、冷水の入口・出口温度、冷水量を監視する。
【0046】
手順5:高温再生器圧力が運転閾値を超えていないか否か判定する。高温再生器圧力が運転閾値を超えていれば、手順13に移行する一方、高温再生器圧力が運転閾値を超えていなければ、手順6に移行する。
【0047】
手順6:洗浄装置10を起動し、洗浄を開始する。
【0048】
手順7:状態指数を算出する。
【0049】
手順8:洗浄継続可否を判定する。洗浄継続可であれば、手順9に移行する一方、洗浄継続不可であれば、手順13に移行する。
【0050】
手順9:所定の洗浄時間が経過したか否か判定する。所定時間が経過していれば、手順10に移行する一方、所定時間が経過していなければ、手順4に戻る。
【0051】
手順10:洗浄を終了する。
【0052】
手順11:洗浄回数をカウントダウンする。
【0053】
手順12:洗浄スケジュールが完了したか否か判定する。つまり、洗浄残回数がゼロであるか否か判定する。洗浄スケジュールが完了していれば、手順14に移行する一方、洗浄スケジュールが完了していなければ、手順4に戻る。
【0054】
手順13:燃焼量を削減して手順4に戻る。
【0055】
手順14:本処理を終了する。
【0056】
このように、この実施形態1においては、吸収式冷温水機Kの運転状況や負荷の如何にかかわらずに洗浄スケジュールが設定でき、そしてその洗浄スケジュールにしたがって洗浄がなされる。そのため、洗浄装置10を設けても吸収式冷温水機Kの運転が煩雑になることはない。また、洗浄中の高温再生器圧力は状態指数を介して監視され、その状態指数により洗浄継続の可否が判定される。そして、その判定において洗浄継続が不可とされれば、燃焼量が自動的に削減されるようにされている。そのため、洗浄中の安全も確保されている。したがって、洗浄装置10の洗浄に起因する吸収式冷温水機Kの稼働率の低下および吸収式冷温水機Kへの悪影響が最小限に抑えられる。
【0057】
実施形態2
本発明の実施形態2の吸収式冷温水機K1は、実施形態1の吸収式冷温水機Kを改変したものであって、状態指数の内容を改変したものとされる。すなわち、実施形態1においては、状態指数は高温再生器圧力に関連したものとされているが、この実施形態2においては、状態指数は高温再生器温度に関連したものとされている。したがって、実施形態2の状態指数は、図4の高温再生器圧力を高温再生器温度に置き換えることにより、実施形態1の状態指数と同様の手順により算出できる。
【0058】
なお、実施形態2の吸収式冷温水機K1のその余の構成は実施形態1の吸収式冷温水機Kと同様とされている。
【0059】
次に、図6を参照しながら、かかる構成とされた吸収式冷温水機K1の運転について説明する。なお、下記の手順は制御装置30の支配の下になされる。
【0060】
手順1:吸収式冷温水機Kを起動する。
【0061】
手順2:吸収式冷温水機Kを通常運転する。
【0062】
手順3:洗浄スケジュールを設定する。つまり、洗浄間隔および洗浄時間を設定する。
【0063】
手順4:吸収式冷温水機Kの運転条件を監視する。具体的には、燃料流量、高温再生器温度、冷却水の入口・出口温度、冷却水量、冷水の入口・出口温度、冷水量を監視する。
【0064】
手順5:高温再生器温度が運転閾値を超えていないか否か判定する。高温再生器温度が運転閾値を超えていれば、手順13に移行する一方、高温再生器温度が運転閾値を超えていなければ、手順6に移行する。
【0065】
手順6:洗浄装置10を起動し、洗浄を開始する。
【0066】
手順7:状態指数を算出する。
【0067】
手順8:洗浄継続可否を判定する。洗浄継続可であれば、手順9に移行する一方、洗浄継続不可であれば、手順13に移行する。
【0068】
手順9:所定の洗浄時間が経過したか否か判定する。所定時間が経過していれば、手順10に移行する一方、所定時間が経過していなければ、手順4に戻る。
【0069】
手順10:洗浄を終了する。
【0070】
手順11:洗浄回数をカウントダウンする。
【0071】
手順12:洗浄スケジュールが完了したか否か判定する。つまり、洗浄残回数がゼロであるか否か判定する。洗浄スケジュールが完了していれば、手順14に移行する一方、洗浄スケジュールが完了していなければ、手順4に戻る。
【0072】
手順13:燃焼量を削減して手順4に戻る。
【0073】
手順14:本処理を終了する。
【0074】
このように、この実施形態2においては、実施形態1と同様に、吸収式冷温水機K1の運転状況や負荷の如何にかかわらずに洗浄スケジュールが設定でき、そしてその洗浄スケジュールにしたがって洗浄がなされる。そのため、洗浄装置10を設けても吸収式冷温水機K1の運転が煩雑になることはない。また、洗浄中の高温再生器圧力は状態指数を介して監視され、その状態指数により洗浄継続の可否が判定される。そして、その判定において洗浄継続が不可とされれば、燃焼量が自動的に削減されるようにされている。そのため、洗浄中の安全も確保されている。したがって、洗浄装置10の洗浄に起因する吸収式冷温水機K1の稼働率の低下および吸収式冷温水機K1への悪影響が最小限に抑えられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は吸収式冷凍機を含む吸収式冷温水機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る吸収式冷温水機の概略図である。
【図2】同実施形態の洗浄装置のブロック図である。
【図3】同実施形態の制御装置のブロック図である。
【図4】冷房負荷と高温再生器圧力との関係を模式的に示すグラフ図である。
【図5】同実施形態の吸収式冷温水機の運転手順を示す流れ図である。
【図6】本発明の実施形態2の吸収式冷温水機の運転手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0077】
K 吸収式冷温水機
1 吸収器
3 凝縮器
4 高温再生器
8 冷却塔
10 洗浄装置
11 ボール供給機構
12 ボール回収機構
13 ボール収納機構
14 洗浄操作部
20 燃焼装置
30 制御装置
33 洗浄スケジュール設定部
34 運転状態監視部
35 洗浄継続可否判定部
38 状態指数算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄装置と燃焼装置とを備える吸収式冷温水機であって、
前記吸収式冷温水機の制御装置が、洗浄スケジュール管理部と、状態指数算出手段を有する運転状態監視部と、洗浄継続可否判定部とを備え、
前記洗浄継続可否判定部が、前記状態指数算出手段により算出される状態指数に基づいて洗浄継続可否判定の判定をなす
ことを特徴とする吸収式冷温水機。
【請求項2】
前記洗浄継続可否判定部により洗浄継続不可の判定がなされた場合、前記年少装置の燃焼量を削減するように制御されることを特徴とする請求項1記載の吸収式冷温水機。
【請求項3】
前記状態指数が運転中の高温再生器圧力状態または高温再生器温度状態を表すものとされていることを特徴とする請求項1記載の吸収式冷温水機。
【請求項4】
前記状態指数が燃焼量と冷却水放熱量との比により表される指数を基準指数で割ってなる相対指数とされてなることを特徴とする請求項2記載の吸収式冷温水機。
【請求項5】
前記洗浄継続可否判定部の洗浄継続可否判定閾値が、吸収式冷温水機の負荷状況または季節的要因に基づいて変更可能とされてなることを特徴とする請求項1記載の吸収式冷温水機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の吸収式冷温水機の運転方法であって、
洗浄スケジュールを設定する手順と、
吸収式冷温水機の運転条件を監視する手順と、
洗浄装置を起動して洗浄を開始する手順と、
状態指数を算出する手順と、
前記状態指数に基づいて洗浄継続可否の判定をなす手順と、
前記判定において洗浄継続不可の判定がなされた場合、燃焼装置の燃焼量を削減する手順
とを含んでいることを特徴とする吸収式冷温水機の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−10096(P2006−10096A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183290(P2004−183290)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000199887)川重冷熱工業株式会社 (59)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】