吸収性物品の個装体の製造方法
【課題】粘着剤のウイング部への転着不良が起こりにくく、使用時に剥離紙の処理が不要な吸収性物品の個装体の製造方法を提供すること。
【解決手段】ウイング部8,8の非肌当接面側に粘着剤M1を介して剥離紙3が剥離可能に接合され、包装材で個装された吸収性物品10の個装体1の製造方法であり、ウイング部8,8の非肌当接面側に、吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態下に一対のロール63A,ロール62Bを用いて粘着剤M1を介して剥離紙3を剥離可能に接合する工程P2と、一対のウイング部8,8を、先端82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3が吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように、吸収性本体4の肌当接面側に折り返し、前記部分83を互いに接合する工程P3とを有する。
【解決手段】ウイング部8,8の非肌当接面側に粘着剤M1を介して剥離紙3が剥離可能に接合され、包装材で個装された吸収性物品10の個装体1の製造方法であり、ウイング部8,8の非肌当接面側に、吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態下に一対のロール63A,ロール62Bを用いて粘着剤M1を介して剥離紙3を剥離可能に接合する工程P2と、一対のウイング部8,8を、先端82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3が吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように、吸収性本体4の肌当接面側に折り返し、前記部分83を互いに接合する工程P3とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材で個装された吸収性物品の個装体の製造方法に関し、詳しくは、吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された吸収性物品の個装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンティライナー(おりものシート)、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品において、一対のウイング部を有するものが知られている。このような吸収性物品は、持ち運び性の観点から、一対のウイング部を吸収性物品の幅方向の内方に折り返した状態において、包装材と共に折り畳まれ、該包装材の所定箇所が封止されることにより個別包装された個装体として市販されている。
このような個装体として、一対のウイング部の非肌当接面に吸収性物品をショーツ等に固定するためのズレ止め用の粘着剤層が設けられ、一対のウイング部は、該粘着剤層が上面を向くように吸収性物品の肌当接面側に折り返されており、折り返された一対のウイング部の上面に該粘着剤層を被覆する剥離紙が配されているものが知られている。
また、このような個装体の製造方法として、例えば、一対のウイング部を、それらの先端が吸収性物品の幅方向内方を向くように該吸収性物品の肌当接面側に折り畳んだ後、粘着剤を塗工した剥離紙を一対のウイング部に架け渡すように貼り付ける方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の方法においては、剥離紙とウイング部との接合は、一対のウイング部を吸収性物品の本体上に折り重ねた状態で、剥離紙、ウイング部及び本体を一体的に加圧して行われる。そのため、加圧の力が本体を構成する吸収体によって吸収され、剥離紙に塗工された粘着剤がウイング部に転着しにくく、粘着剤のウイング部への転着不良が起こりやすいという問題があった。特に、ウイング部の材料として不織布を用いる場合には、この問題は顕著であった。また、粘着剤がウイング部に充分に転着するように強く加圧を行うと、吸収体がつぶれて硬化してしまうという問題もあった。
【0004】
また、一対のウイング部を幅方向外方に延出させた状態において一対の該ウイング部それぞれに剥離紙を貼り付ける方法も知られている(特許文献2参照)。
しかし、特許文献2記載の方法においては、一対のウイング部にそれぞれ貼り付けられた剥離紙は互いに接合されていないため、吸収性物品の使用時に2枚の剥離紙をウイング部から剥がして処理する必要があり、使い勝手が悪いという問題があった。
更に、一対のウイング部それぞれに剥離紙を配し、一対の該ウイング部を吸収性物品の肌当接面側に折り返し、一対の該剥離紙の一部を互いに重ね合わせて分離可能に接合している吸収性物品も知られている(特許文献3参照)。しかし、特許文献3記載の吸収性物品における一対の剥離紙の接合は、一対のウイング部の折り返し状態を維持させるための弱い接合であり、該一対の剥離紙は容易に分離してしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平5−506799号公報
【特許文献2】特開平8−66427号公報
【特許文献3】特開平9−234218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、粘着剤のウイング部への転着不良が起こりにくく、使用時に剥離紙の処理が容易な吸収性物品の個装体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体の製造方法であって、一対の前記ウイング部を前記吸収性本体の幅方向外方に延出させた状態下に、一対のロールを用いて、一対の該ウイング部の非肌当接面側に、前記粘着剤を介して一対の前記剥離紙を剥離可能に接合する剥離紙接合工程と、前記剥離紙接合工程の後に、一対の前記ウイング部の先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが該吸収性本体の幅方向中央部において重なる部分を有するように、一対の該ウイング部を該吸収性本体の肌当接面側に折り返し、一対の該剥離紙が重なる部分を互いに接合する、折り返し接合工程とを有する吸収性物品の個装体の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体であって、一対の前記剥離紙が接合された一対の前記ウイング部は、それらの先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが幅方向中央部において重なる部分を有するように該吸収性本体の肌当接面側に折り返され、一対の該剥離紙が重なる部分が互いに接合されており、前記包装材は、その左右両側縁部及び前後端縁が、前記吸収性本体の両側縁及び前後端縁よりも外方に延出しており、前記吸収性物品は、前記剥離紙と前記包装材における該吸収性物品の長手方向の一端から外方に延出している部分の内面とが対向するように、該包装材と共に肌当接面側に折り重ねられており、前記部分の内面と前記剥離紙とが接合されている吸収性物品の個装体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性物品の個装体の製造方法によれば、一対のウイング部に粘着剤を確実に転着することができ、使用時に剥離紙の処理が容易な吸収性物品の個装体を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の個装体を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3】図3は、図1の生理用ナプキンのウイング部を開いた状態を示す平面図である。
【図4】図4は、図3のY−Y線断面図である。
【図5】図5は、図1の個装体を展開した状態を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法の一実施態様の全工程の概略を説明する斜視図である。
【図7】図7は、図6における剥離紙押圧機構を示す縦断面図である。
【図8】図8は、図6における折り返し接合工程後の生理用ナプキンのZ−Z線断面図である。
【図9】図9は、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法の更に好ましい実施態様を説明する図である。
【図10】図10は、剥離紙押圧機構の他の例を示す図(図7相当図)である。
【図11】図11は、本発明の更に他の実施態様における折り返し接合工程後の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図12】図12は、本発明の更に他の実施態様における折り返し接合工程後の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施態様を示す図であり、(a)は、剥離紙接合工程後の吸収性物品を示す平面図、(b)は、折り返し接合工程後の吸収性物品を示す図であり、(c)は、(b)のIV−IV線模式断面図である。
【図14】図14は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図15】図15は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図16】図16は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図17】図17は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法を、その好ましい一実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造方法は、吸収層11及び防漏層12を備えた実質的に縦長の吸収性本体4及び該吸収性本体4の両側縁部から延出した一対のウイング部8,8を有する吸収性物品10における一対の該ウイング部8,8の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤M1を介して一対の剥離紙3,3が剥離可能に接合され、包装材2で個装された該吸収性物品の個装体1を製造する方法である。
図1〜図4に示す個装体1は、本発明の製造方法における製造の対象である吸収性物品の個装体の好ましい形態を示すものであり、生理用ナプキン10が包装材2で個装されたものである。
個装される生理用ナプキン10は、図3及び図4に示すように、吸収層11及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体4及び該吸収性本体4の両側縁部から延出した一対のウイング部8,8を有している。
【0012】
吸収層11は、図4に示すように、液透過性の表面シート5及び液保持性の吸収体7を主体として構成されている。防漏層12は、液不透過性又は液難透過性の裏面シート6を主体として構成されている。表面シート5及び裏面シート6は、それぞれ吸収体7の肌当接面側及び非肌当接面側全面を覆っている。
本実施形態の吸収性本体4の長手方向両側部においては、図4に示すように、表面シート5及び裏面シート6がそれぞれ吸収体7の両側部から幅方向外方に延出しており、表面シート5と裏面シート6とは、該延出した部分においてヒートシール等の公知の接合方法により接合されている。
【0013】
表面シート5及び裏面シート6の長手方向両端部は、それぞれ吸収体7の長手方向両端縁から延出し、ヒートシール等の公知の接合方法により接合されている。
裏面シート6の非肌当接面側には、図示はしていないが、着用時に吸収性物品を下着に固定するための粘着剤(以下本体固定用粘着剤ともいう)が塗工されている。
【0014】
一対のウイング部8,8は、図3に示すように、吸収性本体4の長手方向中央部に配されており、該吸収性本体4の両側縁から幅方向外方に延出している。本実施形態においては、一対のウイング部8,8は、図4に示すように、ウイング部形成シート81を主体として構成されており、該ウイング部形成シート81が表面シート5の肌当接面側に接合されて形成されている。
一対のウイング部8,8の非肌当接面側には、それぞれ粘着剤M1を介して、一対の剥離紙3,3が剥離可能に接合されている。
ウイング部8の非肌当接面とは、一対のウイング部8,8を、図3に示すように、吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態において、吸収性本体4の肌当接面と同じ側を向く面をいう。
【0015】
一対の剥離紙3,3は、図3及び図4に示すように、一対のウイング部8,8の長手方向の中央領域を幅方向全域に亘って覆っており、一対のウイング部8,8の両側縁から幅方向外方に延出している。剥離紙3におけるウイング部8の側縁から延出した部分(以下、延出端ともいう)の長さL4(図4参照)は、一方の剥離紙3Aと他方の剥離紙3Bとで異なっている。本実施形態においては、一方の剥離紙3Aの延出端の長さは、他方の剥離紙3Bの延出端の長さよりも長くなされている。
一対の剥離紙3,3が接合された一対の前記ウイング部8,8は、図5に示すように、それらの先端82,82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3それぞれが吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように表面シート5側に折り返されている。そして、一対の剥離紙3,3が重なる部分83が互いに接合されている。一対の剥離紙3,3は、接着剤M2を介して剥離不能に接合されている。剥離不能とは、手で普通に引っ張る程度の力では、剥離しないことを意味する。
重なる部分83の幅方向の長さL5(図5参照)は、一対の剥離紙3,3同士を充分に接合させる観点から、好ましくは2〜20mm、更に好ましくは5〜15mmである。
【0016】
包装材2は、図5に示すように、個装体1の展開状態において、縦長に形成されており、具体的には、生理用ナプキン10の長手方向と同方向を長辺とする長方形状である。包装材2の左右両側縁部及び前後端縁は、吸収性本体4の両側縁及び前後端縁よりも外方に延出している。
生理用ナプキン10は、包装材2の略中央に位置するように配されている。生理用ナプキン10と包装材2とは、生理用ナプキン10の裏面シート6の非肌当接面側に塗工された本体固定用粘着剤を介して剥離可能に接合されている。
【0017】
個装体1は、図2及び図5に示すように、一対の剥離紙3,3における粘着剤M1の非塗工面と、包装材2における生理用ナプキン10の長手方向の一端4aから外方に延出している部分の内面とが対向するように、表面シート5側に3つ折りに折り重ねられている。包装材2の該部分の内面と一対の剥離紙3,3における粘着剤M1の非塗工面とは、図2に示すように、接着剤M3を介して剥離不能に接合されている。
本実施形態においては、一対の剥離紙3,3の内の上面側に位置する剥離紙3Aと包装材2の該部分の内面とが接合されている。
3つ折りされた個装体1は、生理用ナプキン1の長手方向の他端部4bを覆う包装材2の端部に配されたタブテープ9により固定されている。
3つ折りされた個装体1における包装材2の両側縁部には、それぞれシール加工が施されて、折り重ねられた包装材2同士が接合されている。
【0018】
生理用ナプキン10を構成する表面シート5、裏面シート6及び吸収体7としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。
表面シート5としては、例えば各種製法による不織布、開孔フィルム、これらの積層体を用いることができる。
裏面シート6としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムを用いることができる。
吸収体6としては、例えばパルプ繊維等の繊維集合体又はこれと吸収性ポリマーとを併用したものを用いることができる。
【0019】
ウイング部形成シート81としては、この種の吸収性物品に用いられる各種シート材を制限なく用いることができ、例えば、嵩高の不織布や伸縮性を有する不織布を好ましく用いることができる。
【0020】
剥離紙3としては、紙や樹脂フィルム等からなる基材シートの片面又は両面に剥離処理を施したもの等を用いることができる。剥離処理としては、例えばシリコーン樹脂系のものを塗布して加熱乾燥や紫外線処理する方法、スプレーによる吹きつけや各種コーターによるうすい皮膜を形成させる方法を挙げることができる。
【0021】
包装材2としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品の個装体における包装材として従来用いられている各種のシート材を好ましく用いることができる。例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる樹脂フィルム、或いは各種製法による不織布や紙、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0022】
粘着剤M1としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品のずれ止め用の粘着部等の粘着部形成用に用いられている各種の粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。接着剤M2及びM3としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品においてシート間の接合に従来用いられている各種の接着剤を特に制限なく用いることができる。
【0023】
次に、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法を、上述した個装体1を製造する実施態様に基づいて、図6〜図8を参照して説明する。
本実施態様における生理用ナプキン10の個装体1は、以下のP1〜P5に示す各工程に従って製造される。
【0024】
(1)剥離紙形成工程P1:剥離紙原反30から個別状態の剥離紙3を形成する。
(2)剥離紙接合工程P2:生理用ナプキン10の一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態下に、一対のウイング部8,8の非肌当接面側に粘着剤M1を介して一対の剥離紙3,3を剥離可能に接合する。
(3)折り返し接合工程P3:一対のウイング部8,8の先端82,82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3それぞれが吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の肌当接面側に折り返し、一対の剥離紙3,3が重なる部分83を互いに接合する。
(4)積層工程P4:生理用ナプキン10を送り方向に対して90度水平回転させ、包装材の連続シート20に重ねて積層する。
(5)個装折り接合工程P5:積層された生理用ナプキン10と包装材の連続シート20との積層体を、一対の剥離紙3,3と包装材の連続シート20における生理用ナプキン10の長手方向の一端4aから延出している部分の内面とが対向するように、該積層体を肌当接面側に折り重ね、該部分の内面と剥離紙3とを接合する。
【0025】
以下、P1〜P5の各工程について詳述する。
【0026】
(1)剥離紙形成工程P1
剥離紙接合工程P1においては、図6に示すように、先ず、剥離紙原反30が繰り出される。繰り出された剥離紙原反30は、剥離紙カッター60により剥離紙原反30の幅方向における所定の位置に切り込みが形成され、一対の剥離紙連続体31A,31Bが得られる。
ここで、剥離紙原反30は、一対の剥離紙連続体31A,31Bにおける一方の剥離紙連続体31Aの幅が、他方の剥離紙連続体31Bの幅よりも大きくなるように切断されている。
【0027】
一対の剥離紙連続体31A,31Bは、次いで、位置調節機構(図示せず)において互いに離間され、所定の間隔をあけて同一方向に互いに平行に走行する。
所定の間隔をあけて走行する一対の剥離紙連続体31A,31Bには、粘着剤吐出器61により粘着剤M1が塗工される。粘着剤吐出器61は、一対の剥離紙連続体31A,31Bにおける一方の面の所定位置に所定の間隔をおいて粘着剤を吐出して塗工できるように構成されている。
【0028】
一対の剥離紙連続体31A,31Bは、次いで剥離紙分離機構62に導入される。剥離紙分離機構62は、図6に示すように、カッターロール62Aとアンビルロール62Bとからなる。アンビルロール62Bは、一対の剥離紙連続体31A,31Bを挟んでカッターロール62Aと対向する位置に配置されている。そのため、剥離紙分離機構62においては、一対の剥離紙連続体31A,31Bがカッターロール62Aとアンビルロール62Bとの間を通過すると、一対の剥離紙連続体31A,31Bは幅方向に沿って所定間隔をおいて直線状に切断され、一対の剥離紙3,3が形成される。剥離紙分離機構62においては、一対の剥離紙連続体31A,31Bは、その長手方向における粘着剤M1の塗工されていない部分において切断されるように構成されている。
【0029】
(2)剥離紙接合工程P2
剥離紙接合工程P2においては、図6に示すように、一対の剥離紙3,3は、剥離紙押圧機構63に導入される。剥離紙押圧機構63は、バックアップロール63Aとアンビルロール62Bとからなる。アンビルロール62Bは、剥離紙形成工程P1における剥離紙分離機構62の一部を構成していると共に、剥離紙接合工程P2における剥離紙押圧機構63の一部も構成している。バックアップロール63Aは、生理用ナプキン10を挟んでアンビルロール62Bと対向する位置に配置されている。
バックアップロール63Aは、アンビルロール62Bとの間で、ウイング部8及び粘着剤M1付きの剥離紙3を加圧するものである。
バックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、図7に示すように、少なくともどちらか一方の中央部における外径が、両側部における外径よりも小さく構成されている。
【0030】
一対の剥離紙3,3は、図6に示すように、アンビルロール62Bの周面に保持された状態で、搬送機構(図示せず)により搬送された一対のウイング部8,8を有する生理用ナプキン10における一対のウイング部8,8と重ね合わされる。ここでは、剥離紙3の粘着剤塗工面とウイング部8の非肌当接面が対向するように重ね合わされる。生理用ナプキン10は、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態で肌当接面側を上方に向け且つその長手方向を搬送方向として供給されている。
【0031】
剥離紙押圧機構63においては、図7に示すように、生理用ナプキン10における一対のウイング部8,8と一対の剥離紙3,3とがバックアップロール63Aとアンビルロール62Bとの間で狭圧される。そして、一対の剥離紙3,3に塗工された粘着剤M1が一対のウイング部8,8の非肌当接面側に転着され、一対のウイング部8,8と一対の剥離紙3,3とが接合される。
ここでは、吸収性本体4は、バックアップロール63A及びアンビルロール62Bの中央部において両ロール63A,62B間に狭持される。バックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、少なくともどちらか一方の中央部におけるロールの外径が、両側部における外径よりも小さくなされており、剥離紙押圧機構63において、吸収性本体4に加わる圧力は、ウイング部8及び剥離紙3の積層体に加わる圧力よりも小さくなっている。
一対の剥離紙3,3は、図7に示すように、それらの側縁が一対のウイング部8,8の側縁よりも幅方向外方に延出した延出端を有するように接合される。
【0032】
バックアップロール63A及び/又はアンビルロール62Bの中央部の幅L1は、図7に示すように、吸収性本体4の幅と同じかそれよりも若干広いことが好ましい。また、両側部の幅L2は、一対のウイングの部8,8の幅と略同じであることが好ましい。具体的には中央部の幅L1は、好ましくは50〜120mm、更に好ましくは70〜100mmである。両側部の幅L2は、好ましくは20〜60mm、更に好ましくは30〜50mmである。
また、バックアップロール63A及び/又はアンビルロール62Bにおける中央部の外径と両側部の外径との差L3(中央部と両側部との境界部に生じる段差,図7参照)は、剥離紙押圧機構63において吸収性本体4に加わる圧力を小さくする観点から好ましくは1〜20mm、更に好ましくは3〜10mmである。
【0033】
(3)折り返し接合工程P3
折り返し接合工程P3においては、先ず、図6に示すように、接着剤塗工器(図示せず)により、一方の剥離紙3Aにおけるウイング部8よりも幅方向外方に延出している部分に接着剤M2が塗工される。接着剤M2は、剥離紙3Aにおける粘着剤M1の塗工面側に塗工されるように構成されている。
接着剤M2が塗工された生理用ナプキン10は、次いでウイング折り返し機構(図示せず)に導入される。ウイング部折り返し機構においては、一対のウイング部8,8は、図6に示すように、それらの先端82,82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3それぞれが吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように折り返される。
【0034】
ウイング部折り返し機構において、一対のウイング部8,8は、ほぼ同時に折り曲げられるが、他方の剥離紙3Bが接合されたウイング部8の折り返しが、一方の剥離紙3Aが接合されたウイング部8が折り返しに比べて、若干早く開始し且つ若干早く完了する。そのため、両ウイング部8,8の折り返しが完了した状態においては、図8に示すように、他方の剥離紙3Bの先端部上に、一方の剥離紙3Aの先端部が重なった状態となる。
【0035】
折り返し接合工程P3を経た生理用ナプキン10は、図8に示すように、一方の剥離紙3Aに塗工された接着剤M2を介して一対の剥離紙3,3が互いに剥離不能に接合されることにより、一対のウイング部8,8の折り返し状態が維持される。
本実施態様においては、一対の剥離紙3,3同士を剥離不能に接合させるために、剥離紙3Aの接着剤M2が塗工される領域は剥離処理されていない。
尚、剥離紙3A及び剥離紙3Bは、それぞれ、接着剤M1側の面とは反対側の面(図8において上側の面)の全域が剥離処理されていない。また、剥離紙3Aの接着剤M1側の面は、剥離紙3Bと重ねられる部分を除いて剥離処理されており、剥離紙3Bの接着剤M1側の面は、その全域が剥離処理されている。
【0036】
(4)積層工程P4
積層工程P4においては、生理用ナプキン10は、図6に示すように、回転機構(図示せず)により、送り方向に対して90度水平回転される。水平回転されることにより、生理用ナプキン10の長手方向と包装材の連続シート20の幅方向とが一致する。包装材の連続シート20の幅は、生理用ナプキン10の長手方向の長さよりも広く設定されている。
【0037】
包装材の連続シート20の幅方向の一端の一方の面には、図6に示すように、接着剤塗工器(図示せず)により所定間隔をおいて接着剤M3が塗工される。
包装材の連続シート20における接着剤M3の塗工面の生理用ナプキン10が積層される領域には、粘着剤吐出器(図示せず)により本体固定用粘着剤M4が所定のパターンで塗工される。
本体固定用粘着剤及び接着剤M3が塗工された包装材の連続シート20に生理用ナプキン10は積層される。生理用ナプキン10と包装材の連続シート20とは、本体固定用粘着剤を介して剥離可能に接合される。
【0038】
(5)個装折り接合工程P5
個装折り接合工程P5においては、図6に示すように、生理用ナプキン10を包装材の連続シート20と重ねた状態で、一対の剥離紙3,3と、包装材の連続シート20における生理用ナプキン10の長手方向の一端4aから延出している部分の内面とが対向するように、生理用ナプキン10を包装材の連続シート20と共に肌当接面側に折り重ねる。
折り重ねられて対向した包装材の連続シート20と一対の剥離紙3,3とは、包装材の連続シート20の一端4aに塗工された接着剤M3を介して接合される。ここでは、包装材の連続シート20は、一対の剥離紙3,3のうちの一方のみと剥離不能に接合されている。
【0039】
個装折り接合工程P5を経て形成された個装体の連続体は、包装材の連続シート20の所定箇所のシール、個々の個装体1への切断等の後工程に搬送される。これらの後工程を経て上述した生理用ナプキンの個装体1は製造される。
【0040】
本実施態様の生理用ナプキン10の個装体の製造方法によれば、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態において、一対の剥離紙3,3の接合を行い、また、一対のウイング部8,8に配された一対の剥離紙3,3同士が剥離不能に接合されているため、一対のウイング部8,8に粘着剤M1を確実に転着することができ、使用時に剥離紙の処理が容易な吸収性物品の個装体を効率的に製造することができる。
【0041】
バックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、それらの少なくともどちらか一方の中央部における外径が、両側部における外径よりも小さく構成されているため、ウイング押圧機構63において、吸収性本体4よりも厚みの薄い一対のウイング部8,8と一対の剥離紙3,3との積層体に強く圧力を加えることができ、一対のウイング部8,8への粘着剤M1の転着性がより向上する。更に、ウイング押圧機構63において、吸収性本体4に加わる圧力は小さいため、吸収体7がつぶれて硬化することを防止できる。
【0042】
アンビルロール62Bは、加温可能になされていることが好ましい。例えば、アンビルロール62Bに、公知の加熱手段(電熱線を用いたヒーター等)を組み込んで加温する。アンビルロール62Bの加温により、剥離紙3A,3Bに塗工されている粘着剤M1の温度が、アンビルロール62Bの周面上で低下することを防止でき、ウイング部3に対する粘着剤M1の転写性を向上させることができる。
【0043】
また、剥離紙接合工程P2に供給する生理用ナプキン10は、例えば、図9に示すように、生理用ナプキン10が長手方向に連続した構成のナプキン連続体100を、連続体切断機構(外包カッター)64により個々の生理用ナプキン10に切断した後、該ナプキン10のウイング部3,3に、剥離紙押圧機構63等により剥離紙3A,3Bを接合するまでの間、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させ且つ延出させた一対の該ウイング部8,8を搬送手段に設けた吸引手段により、その延出状態を維持しつつ搬送することが好ましい。
搬送手段に設けた吸引手段により一対のウイング部8,8を左右に拡げた状態を維持し、その状態のウイング部8,8に粘着剤M1付きの剥離紙3,3を接合することで、粘着剤M1を配置すべき所定の設計位置に粘着剤M1を精度良く配置することができる。特に、柔らかい不織布からウイング部を形成する場合、折り位置が安定せず、折り後の粘着剤の転写位置がズレ易いが、このように、生理用ナプキン10を供給することで、そのような不都合を防止することができる。
【0044】
図9に示す実施態様においては、カッターロール64Aと、吸引保持機能を有するアンビルロール64Bとを備えた連続体切断機構(外包カッター)64により、ナプキン連続体100を切断して個々の生理用ナプキン10とし、それらの生理用ナプキン10を、それぞれのウイング部8,8を、アンビルロール64Bの周面に開口する多数の吸引孔から吸引して該周面に吸着保持した状態で、転写ロール65への受け渡し位置まで搬送している。そして、転写ロール65も吸引保持機能を有しており、アンビルロール64Bから受け渡された生理用ナプキン10を、それぞれのウイング部8,8を、周面に開口する多数の吸引孔から吸引して該周面に吸着保持した状態で、バキュームコンベア66への受け渡し位置まで搬送している。更にバキュームコンベア66も、吸引保持機能を有しており、転写ロールから受け渡された生理用ナプキン10を、それぞれのウイング部8,8を、無端ベルトのナプキン載置面に開口する多数の吸引孔から吸引して該載置面に吸着保持した状態で、剥離紙3A,3Bの接合位置まで搬送している。
【0045】
剥離紙3A,3Bの接合は、上述した図6に示す実施態様と同様に、アンビルロール62Bとバックアップロール63Aとの間で、粘着剤M1が塗工された剥離紙3A,3Bとウイング部8,8とを加圧して行うが、このバックアップロール63Aも、外周面に吸引孔を有し、拡げた状態のウイング部を該外周面に吸引保持可能であることが、接着剤M2をウイング部の設計位置に配置する観点から好ましい。
また、バックアップロール63Aはアンビルロール62Bよりも大径のものを用いて、前後のコンベア66,67(搬送手段)との受け渡しにおいてウイング部8,8の吸引保持状態が解放されないようにすることが、ウイング部8,8の折れを防ぎ、シワが発生しないようにすることができるので好ましい。
尚、図9中、67は、ウイング部8,8を折り曲げるための、ウイング部折り畳み装置である。また、図9に示す実施態様について、特に説明しない点は、図6に示す実施態様について上述した説明が適宜適用される。
【0046】
また、図7に示したバックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、それぞれの両側部(軸長方向の両端部)が、それぞれの中央部より外径が大きい大径部となっていたが、一対のウイング部8,8それぞれに剥離紙3,3を接合するのに用いるバックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、図10に示すように、それぞれの軸長方向(図10の左右方向)において、剥離紙3A,3Bに塗工されている粘着剤M1の幅L6と略同じ幅(図9中にL2で示す幅)の大径部63A',63A',62B',62B'を有することが好ましい。大径部63A',63A',62B',62B'とそれ以外の部分(小径部)との境界部に生じる段差L3の好ましい高さ(大きさ)は、図7に示す実施態様と同様である。
尚、大径部63A',63A',62B',62B'は、両ロールの周方向に連続して形成されていても良いし、断続的に形成されていても良い。
【0047】
このようなロール63A,62Bを用いて剥離紙を接合することにより、ウイング部を構成する柔軟な材料(不織布等)の柔らかさを、体に接触するウイング部の根元部分や人が取り扱う先端部分は維持することができると共に、粘着剤M1が存する部分を大径部により強くプレスでき、粘着剤M1のウイング部8に対する転写性を向上させることができる。ロールの軸長方向における大径部63A',63A',62B',62B'の幅L2は、ロールの軸長方向における粘着剤M1の幅L6に4〜20mm(片側2〜10mm×2)を加えた幅であることが好ましい。
【0048】
本発明の製造方法によって得られた本実施形態の生理用ナプキンの個装体1によれば、表面シート5側に折り返された一対のウイング部8,8に配された一対の剥離紙3,3同士が剥離不能に接合され、且つ、該剥離紙3と包装材2の長手方向の一端4aの内面とが剥離不能に接合されているため、個装体1の開封と同時に、ウイング部8を覆う剥離紙3を剥離することができ、生理用ナプキン10の使用時に剥離紙3の処理が不要である。
【0049】
また、一対の剥離紙3,3同士は剥離不能に接合されているため、一方の剥離紙3のみを包装材2の長手方向の一端4aの内面と接合することで個装体1の開封と同時に、ウイング部8を覆う剥離紙3を剥離することができる。
【0050】
本発明の吸収性物品の個装体においては、図11に示す吸収性物品10のように、吸収性本体4上に折り返した状態のウイング部8,8における粘着剤M1が、それぞれ、吸収体7に形成された防漏溝71,71と重なっていても構わない。ウイング部を折り曲げた後に該ウイング部に剥離紙を接合する従来の方法においては、粘着剤M1を配すべき部分が防漏溝71上にある場合、該粘着剤M1がウイング部8に充分に転写されない場合がある。これに対して、本発明の方法におけるように、折り返す前のウイング部8に、粘着剤M1付きの剥離紙3,3を接合する場合には、そのような問題は生じない。図11に示す吸収性物品における一対の防漏溝71は、吸収体7の長手方向の両側縁それぞれから離間した位置に、それぞれ、吸収体7の長手方向に延びて形成されている。防漏溝71は、積層状態の表面シート5及び吸収体7にエンボス加工を施して形成されている。
【0051】
また、本発明の吸収性物品の個装体においては、図12に示す吸収性物品10のように、吸収性物品の幅方向における中央部分における吸収体7の厚みが、幅方向の両端部における吸収体7の厚みよりも厚くなっており(いわゆる中高吸収体)両者間に生じている段差部72と、吸収性本体4上に折り返した状態のウイング部8,8における粘着剤M1が、重なっていても構わない。
ウイング部を折り曲げた後に該ウイング部に剥離紙を接合する従来の方法においては、粘着剤M1を配すべき部分が段差部72上にある場合、該粘着剤M1がウイング部8に充分に転写されない場合がある。これに対して、本発明の方法におけるように、折り返す前のウイング部8に、粘着剤M1付きの剥離紙3,3を接合する場合には、そのような問題は生じない。
【0052】
また、本発明の吸収性物品の個装体は、図13に示すように、吸収性物品10の一対のウイング部8,8それぞれの折り返し位置8B,8Bと、剥離紙3,3における吸収性物品幅方向中央寄りの一側縁32,32の位置とが略一致していることが好ましい。斯かる構成を有すると、ウイング部の形成材料に柔らかい不織布等を使用した場合でもウイング部の剛性が向上し、前記一側縁32,32が折りの起点となってウイング部折りしやすくなり、折り幅の寸法精度が向上する。
【0053】
本発明は、上述した各実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、一方の剥離紙3Aの幅と他方の剥離紙3Bの幅とは異なっていたが、両者の幅は等しくてもよい。
【0054】
また、包装材2は、一対の剥離紙3,3の一方の剥離紙3Aのみと接合されていたが、包装材2は、他方の剥離紙3Bのみと接合されていてもよく、また、一対の剥離紙3,3の両者と接合されていてもよい。
また、一対の剥離紙3,3同士は、熱シールや超音波シールによって接合されてもよい。剥離紙3と包装材2との接合も、熱シールや超音波シールによる接合であってもよい。
【0055】
また、上述した実施態様においては、剥離紙3Aの接着剤M2を塗工する領域に剥離処理を行わずに一対の剥離紙3A,3Bを剥離不能に接合したが、一対の剥離紙3A,3Bを剥離可能に接合しても良い。例えば、剥離紙3Aの接着剤M1側の面の全域に剥離処理が施されていても良い。
一対のウイング部8,8は、本実施形態においてはウイング部形成シート81により形成されていたが、一対のウイング部8,8は、表面シート5及び裏面シート6を吸収性本体4の両側部から幅方向外方に延出させて形成してもよい。
【0056】
また、ウイング部8は、図14〜図17に示すような構成のものであっても良い。
図14に示す吸収性物品におけるウイング部8は、表面シート5及び裏面シート6を、吸収体7の長手方向両側縁より外方に延出させ、両シート5,6の延出部分同士間にウイング部形成シート81を固定して形成されている。図14に示すウイング部は、両シート5,6間にウイング形成シート81を固定しているので強固な固定になるとともに、表面シート5の長手方向両側縁部がウイング折りの基点となり折り寸法が安定しやすい。
【0057】
図15に示す吸収性物品におけるウイング部8は、ウイング部形成シート81を裏面シート6の非肌当接面側(衣類当接面側)に接合して形成されている。図15に示すウイング部は、表面シート5と裏面シート6の長手方向両側縁部がウイング折りの基点となり折り寸法が安定しやすい。
図16に示す吸収性物品におけるウイング部8は、表面シート5のみを吸収性本体4の両側部から幅方向外方に延出させて形成されている。
図16に示すウイング部は、幅広の表面シート5を用意すればよく、ウイング形成シート81用の設備費用を必要としない。
【0058】
また、図17に示す吸収性物品におけるウイング部8は、裏面シート6を、吸収体7の長手方向両側縁より外方に延出させ、該裏面シート6の延出部分及び表面シート5の一部に、ウイング部形成シート81を接合して形成されている。このような構成とすることで表面シート5の使用量を最小限とする事ができる。
【0059】
また、剥離紙のカットは、直線状に限らず、V字型、U字型、波型等でもよい。
【0060】
本発明の吸収性物品の個装体にかかる吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 個装体
2 包装材
20 包装材の連続シート
3 剥離紙
30 剥離紙原反
31A,31B 剥離紙連続体
4 吸収性本体
5 表面シート
6 裏面シート
7 吸収体
8 ウイング部
81 ウイング部形成シート
82 先端
83 重なる部分
9 タブテープ
10 吸収性物品(生理用ナプキン)
11 吸収層
12 防漏層
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材で個装された吸収性物品の個装体の製造方法に関し、詳しくは、吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された吸収性物品の個装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンティライナー(おりものシート)、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品において、一対のウイング部を有するものが知られている。このような吸収性物品は、持ち運び性の観点から、一対のウイング部を吸収性物品の幅方向の内方に折り返した状態において、包装材と共に折り畳まれ、該包装材の所定箇所が封止されることにより個別包装された個装体として市販されている。
このような個装体として、一対のウイング部の非肌当接面に吸収性物品をショーツ等に固定するためのズレ止め用の粘着剤層が設けられ、一対のウイング部は、該粘着剤層が上面を向くように吸収性物品の肌当接面側に折り返されており、折り返された一対のウイング部の上面に該粘着剤層を被覆する剥離紙が配されているものが知られている。
また、このような個装体の製造方法として、例えば、一対のウイング部を、それらの先端が吸収性物品の幅方向内方を向くように該吸収性物品の肌当接面側に折り畳んだ後、粘着剤を塗工した剥離紙を一対のウイング部に架け渡すように貼り付ける方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の方法においては、剥離紙とウイング部との接合は、一対のウイング部を吸収性物品の本体上に折り重ねた状態で、剥離紙、ウイング部及び本体を一体的に加圧して行われる。そのため、加圧の力が本体を構成する吸収体によって吸収され、剥離紙に塗工された粘着剤がウイング部に転着しにくく、粘着剤のウイング部への転着不良が起こりやすいという問題があった。特に、ウイング部の材料として不織布を用いる場合には、この問題は顕著であった。また、粘着剤がウイング部に充分に転着するように強く加圧を行うと、吸収体がつぶれて硬化してしまうという問題もあった。
【0004】
また、一対のウイング部を幅方向外方に延出させた状態において一対の該ウイング部それぞれに剥離紙を貼り付ける方法も知られている(特許文献2参照)。
しかし、特許文献2記載の方法においては、一対のウイング部にそれぞれ貼り付けられた剥離紙は互いに接合されていないため、吸収性物品の使用時に2枚の剥離紙をウイング部から剥がして処理する必要があり、使い勝手が悪いという問題があった。
更に、一対のウイング部それぞれに剥離紙を配し、一対の該ウイング部を吸収性物品の肌当接面側に折り返し、一対の該剥離紙の一部を互いに重ね合わせて分離可能に接合している吸収性物品も知られている(特許文献3参照)。しかし、特許文献3記載の吸収性物品における一対の剥離紙の接合は、一対のウイング部の折り返し状態を維持させるための弱い接合であり、該一対の剥離紙は容易に分離してしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平5−506799号公報
【特許文献2】特開平8−66427号公報
【特許文献3】特開平9−234218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、粘着剤のウイング部への転着不良が起こりにくく、使用時に剥離紙の処理が容易な吸収性物品の個装体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体の製造方法であって、一対の前記ウイング部を前記吸収性本体の幅方向外方に延出させた状態下に、一対のロールを用いて、一対の該ウイング部の非肌当接面側に、前記粘着剤を介して一対の前記剥離紙を剥離可能に接合する剥離紙接合工程と、前記剥離紙接合工程の後に、一対の前記ウイング部の先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが該吸収性本体の幅方向中央部において重なる部分を有するように、一対の該ウイング部を該吸収性本体の肌当接面側に折り返し、一対の該剥離紙が重なる部分を互いに接合する、折り返し接合工程とを有する吸収性物品の個装体の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体であって、一対の前記剥離紙が接合された一対の前記ウイング部は、それらの先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが幅方向中央部において重なる部分を有するように該吸収性本体の肌当接面側に折り返され、一対の該剥離紙が重なる部分が互いに接合されており、前記包装材は、その左右両側縁部及び前後端縁が、前記吸収性本体の両側縁及び前後端縁よりも外方に延出しており、前記吸収性物品は、前記剥離紙と前記包装材における該吸収性物品の長手方向の一端から外方に延出している部分の内面とが対向するように、該包装材と共に肌当接面側に折り重ねられており、前記部分の内面と前記剥離紙とが接合されている吸収性物品の個装体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性物品の個装体の製造方法によれば、一対のウイング部に粘着剤を確実に転着することができ、使用時に剥離紙の処理が容易な吸収性物品の個装体を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の個装体を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3】図3は、図1の生理用ナプキンのウイング部を開いた状態を示す平面図である。
【図4】図4は、図3のY−Y線断面図である。
【図5】図5は、図1の個装体を展開した状態を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法の一実施態様の全工程の概略を説明する斜視図である。
【図7】図7は、図6における剥離紙押圧機構を示す縦断面図である。
【図8】図8は、図6における折り返し接合工程後の生理用ナプキンのZ−Z線断面図である。
【図9】図9は、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法の更に好ましい実施態様を説明する図である。
【図10】図10は、剥離紙押圧機構の他の例を示す図(図7相当図)である。
【図11】図11は、本発明の更に他の実施態様における折り返し接合工程後の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図12】図12は、本発明の更に他の実施態様における折り返し接合工程後の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施態様を示す図であり、(a)は、剥離紙接合工程後の吸収性物品を示す平面図、(b)は、折り返し接合工程後の吸収性物品を示す図であり、(c)は、(b)のIV−IV線模式断面図である。
【図14】図14は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図15】図15は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図16】図16は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【図17】図17は、本発明の更に他の実施態様における剥離紙接合工程前の吸収性物品を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法を、その好ましい一実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造方法は、吸収層11及び防漏層12を備えた実質的に縦長の吸収性本体4及び該吸収性本体4の両側縁部から延出した一対のウイング部8,8を有する吸収性物品10における一対の該ウイング部8,8の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤M1を介して一対の剥離紙3,3が剥離可能に接合され、包装材2で個装された該吸収性物品の個装体1を製造する方法である。
図1〜図4に示す個装体1は、本発明の製造方法における製造の対象である吸収性物品の個装体の好ましい形態を示すものであり、生理用ナプキン10が包装材2で個装されたものである。
個装される生理用ナプキン10は、図3及び図4に示すように、吸収層11及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体4及び該吸収性本体4の両側縁部から延出した一対のウイング部8,8を有している。
【0012】
吸収層11は、図4に示すように、液透過性の表面シート5及び液保持性の吸収体7を主体として構成されている。防漏層12は、液不透過性又は液難透過性の裏面シート6を主体として構成されている。表面シート5及び裏面シート6は、それぞれ吸収体7の肌当接面側及び非肌当接面側全面を覆っている。
本実施形態の吸収性本体4の長手方向両側部においては、図4に示すように、表面シート5及び裏面シート6がそれぞれ吸収体7の両側部から幅方向外方に延出しており、表面シート5と裏面シート6とは、該延出した部分においてヒートシール等の公知の接合方法により接合されている。
【0013】
表面シート5及び裏面シート6の長手方向両端部は、それぞれ吸収体7の長手方向両端縁から延出し、ヒートシール等の公知の接合方法により接合されている。
裏面シート6の非肌当接面側には、図示はしていないが、着用時に吸収性物品を下着に固定するための粘着剤(以下本体固定用粘着剤ともいう)が塗工されている。
【0014】
一対のウイング部8,8は、図3に示すように、吸収性本体4の長手方向中央部に配されており、該吸収性本体4の両側縁から幅方向外方に延出している。本実施形態においては、一対のウイング部8,8は、図4に示すように、ウイング部形成シート81を主体として構成されており、該ウイング部形成シート81が表面シート5の肌当接面側に接合されて形成されている。
一対のウイング部8,8の非肌当接面側には、それぞれ粘着剤M1を介して、一対の剥離紙3,3が剥離可能に接合されている。
ウイング部8の非肌当接面とは、一対のウイング部8,8を、図3に示すように、吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態において、吸収性本体4の肌当接面と同じ側を向く面をいう。
【0015】
一対の剥離紙3,3は、図3及び図4に示すように、一対のウイング部8,8の長手方向の中央領域を幅方向全域に亘って覆っており、一対のウイング部8,8の両側縁から幅方向外方に延出している。剥離紙3におけるウイング部8の側縁から延出した部分(以下、延出端ともいう)の長さL4(図4参照)は、一方の剥離紙3Aと他方の剥離紙3Bとで異なっている。本実施形態においては、一方の剥離紙3Aの延出端の長さは、他方の剥離紙3Bの延出端の長さよりも長くなされている。
一対の剥離紙3,3が接合された一対の前記ウイング部8,8は、図5に示すように、それらの先端82,82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3それぞれが吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように表面シート5側に折り返されている。そして、一対の剥離紙3,3が重なる部分83が互いに接合されている。一対の剥離紙3,3は、接着剤M2を介して剥離不能に接合されている。剥離不能とは、手で普通に引っ張る程度の力では、剥離しないことを意味する。
重なる部分83の幅方向の長さL5(図5参照)は、一対の剥離紙3,3同士を充分に接合させる観点から、好ましくは2〜20mm、更に好ましくは5〜15mmである。
【0016】
包装材2は、図5に示すように、個装体1の展開状態において、縦長に形成されており、具体的には、生理用ナプキン10の長手方向と同方向を長辺とする長方形状である。包装材2の左右両側縁部及び前後端縁は、吸収性本体4の両側縁及び前後端縁よりも外方に延出している。
生理用ナプキン10は、包装材2の略中央に位置するように配されている。生理用ナプキン10と包装材2とは、生理用ナプキン10の裏面シート6の非肌当接面側に塗工された本体固定用粘着剤を介して剥離可能に接合されている。
【0017】
個装体1は、図2及び図5に示すように、一対の剥離紙3,3における粘着剤M1の非塗工面と、包装材2における生理用ナプキン10の長手方向の一端4aから外方に延出している部分の内面とが対向するように、表面シート5側に3つ折りに折り重ねられている。包装材2の該部分の内面と一対の剥離紙3,3における粘着剤M1の非塗工面とは、図2に示すように、接着剤M3を介して剥離不能に接合されている。
本実施形態においては、一対の剥離紙3,3の内の上面側に位置する剥離紙3Aと包装材2の該部分の内面とが接合されている。
3つ折りされた個装体1は、生理用ナプキン1の長手方向の他端部4bを覆う包装材2の端部に配されたタブテープ9により固定されている。
3つ折りされた個装体1における包装材2の両側縁部には、それぞれシール加工が施されて、折り重ねられた包装材2同士が接合されている。
【0018】
生理用ナプキン10を構成する表面シート5、裏面シート6及び吸収体7としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。
表面シート5としては、例えば各種製法による不織布、開孔フィルム、これらの積層体を用いることができる。
裏面シート6としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムを用いることができる。
吸収体6としては、例えばパルプ繊維等の繊維集合体又はこれと吸収性ポリマーとを併用したものを用いることができる。
【0019】
ウイング部形成シート81としては、この種の吸収性物品に用いられる各種シート材を制限なく用いることができ、例えば、嵩高の不織布や伸縮性を有する不織布を好ましく用いることができる。
【0020】
剥離紙3としては、紙や樹脂フィルム等からなる基材シートの片面又は両面に剥離処理を施したもの等を用いることができる。剥離処理としては、例えばシリコーン樹脂系のものを塗布して加熱乾燥や紫外線処理する方法、スプレーによる吹きつけや各種コーターによるうすい皮膜を形成させる方法を挙げることができる。
【0021】
包装材2としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品の個装体における包装材として従来用いられている各種のシート材を好ましく用いることができる。例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる樹脂フィルム、或いは各種製法による不織布や紙、及びこれらの複合材料等を用いることができる。
【0022】
粘着剤M1としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品のずれ止め用の粘着部等の粘着部形成用に用いられている各種の粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。接着剤M2及びM3としては、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品においてシート間の接合に従来用いられている各種の接着剤を特に制限なく用いることができる。
【0023】
次に、本発明の吸収性物品の個装体の製造方法を、上述した個装体1を製造する実施態様に基づいて、図6〜図8を参照して説明する。
本実施態様における生理用ナプキン10の個装体1は、以下のP1〜P5に示す各工程に従って製造される。
【0024】
(1)剥離紙形成工程P1:剥離紙原反30から個別状態の剥離紙3を形成する。
(2)剥離紙接合工程P2:生理用ナプキン10の一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態下に、一対のウイング部8,8の非肌当接面側に粘着剤M1を介して一対の剥離紙3,3を剥離可能に接合する。
(3)折り返し接合工程P3:一対のウイング部8,8の先端82,82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3それぞれが吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の肌当接面側に折り返し、一対の剥離紙3,3が重なる部分83を互いに接合する。
(4)積層工程P4:生理用ナプキン10を送り方向に対して90度水平回転させ、包装材の連続シート20に重ねて積層する。
(5)個装折り接合工程P5:積層された生理用ナプキン10と包装材の連続シート20との積層体を、一対の剥離紙3,3と包装材の連続シート20における生理用ナプキン10の長手方向の一端4aから延出している部分の内面とが対向するように、該積層体を肌当接面側に折り重ね、該部分の内面と剥離紙3とを接合する。
【0025】
以下、P1〜P5の各工程について詳述する。
【0026】
(1)剥離紙形成工程P1
剥離紙接合工程P1においては、図6に示すように、先ず、剥離紙原反30が繰り出される。繰り出された剥離紙原反30は、剥離紙カッター60により剥離紙原反30の幅方向における所定の位置に切り込みが形成され、一対の剥離紙連続体31A,31Bが得られる。
ここで、剥離紙原反30は、一対の剥離紙連続体31A,31Bにおける一方の剥離紙連続体31Aの幅が、他方の剥離紙連続体31Bの幅よりも大きくなるように切断されている。
【0027】
一対の剥離紙連続体31A,31Bは、次いで、位置調節機構(図示せず)において互いに離間され、所定の間隔をあけて同一方向に互いに平行に走行する。
所定の間隔をあけて走行する一対の剥離紙連続体31A,31Bには、粘着剤吐出器61により粘着剤M1が塗工される。粘着剤吐出器61は、一対の剥離紙連続体31A,31Bにおける一方の面の所定位置に所定の間隔をおいて粘着剤を吐出して塗工できるように構成されている。
【0028】
一対の剥離紙連続体31A,31Bは、次いで剥離紙分離機構62に導入される。剥離紙分離機構62は、図6に示すように、カッターロール62Aとアンビルロール62Bとからなる。アンビルロール62Bは、一対の剥離紙連続体31A,31Bを挟んでカッターロール62Aと対向する位置に配置されている。そのため、剥離紙分離機構62においては、一対の剥離紙連続体31A,31Bがカッターロール62Aとアンビルロール62Bとの間を通過すると、一対の剥離紙連続体31A,31Bは幅方向に沿って所定間隔をおいて直線状に切断され、一対の剥離紙3,3が形成される。剥離紙分離機構62においては、一対の剥離紙連続体31A,31Bは、その長手方向における粘着剤M1の塗工されていない部分において切断されるように構成されている。
【0029】
(2)剥離紙接合工程P2
剥離紙接合工程P2においては、図6に示すように、一対の剥離紙3,3は、剥離紙押圧機構63に導入される。剥離紙押圧機構63は、バックアップロール63Aとアンビルロール62Bとからなる。アンビルロール62Bは、剥離紙形成工程P1における剥離紙分離機構62の一部を構成していると共に、剥離紙接合工程P2における剥離紙押圧機構63の一部も構成している。バックアップロール63Aは、生理用ナプキン10を挟んでアンビルロール62Bと対向する位置に配置されている。
バックアップロール63Aは、アンビルロール62Bとの間で、ウイング部8及び粘着剤M1付きの剥離紙3を加圧するものである。
バックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、図7に示すように、少なくともどちらか一方の中央部における外径が、両側部における外径よりも小さく構成されている。
【0030】
一対の剥離紙3,3は、図6に示すように、アンビルロール62Bの周面に保持された状態で、搬送機構(図示せず)により搬送された一対のウイング部8,8を有する生理用ナプキン10における一対のウイング部8,8と重ね合わされる。ここでは、剥離紙3の粘着剤塗工面とウイング部8の非肌当接面が対向するように重ね合わされる。生理用ナプキン10は、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態で肌当接面側を上方に向け且つその長手方向を搬送方向として供給されている。
【0031】
剥離紙押圧機構63においては、図7に示すように、生理用ナプキン10における一対のウイング部8,8と一対の剥離紙3,3とがバックアップロール63Aとアンビルロール62Bとの間で狭圧される。そして、一対の剥離紙3,3に塗工された粘着剤M1が一対のウイング部8,8の非肌当接面側に転着され、一対のウイング部8,8と一対の剥離紙3,3とが接合される。
ここでは、吸収性本体4は、バックアップロール63A及びアンビルロール62Bの中央部において両ロール63A,62B間に狭持される。バックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、少なくともどちらか一方の中央部におけるロールの外径が、両側部における外径よりも小さくなされており、剥離紙押圧機構63において、吸収性本体4に加わる圧力は、ウイング部8及び剥離紙3の積層体に加わる圧力よりも小さくなっている。
一対の剥離紙3,3は、図7に示すように、それらの側縁が一対のウイング部8,8の側縁よりも幅方向外方に延出した延出端を有するように接合される。
【0032】
バックアップロール63A及び/又はアンビルロール62Bの中央部の幅L1は、図7に示すように、吸収性本体4の幅と同じかそれよりも若干広いことが好ましい。また、両側部の幅L2は、一対のウイングの部8,8の幅と略同じであることが好ましい。具体的には中央部の幅L1は、好ましくは50〜120mm、更に好ましくは70〜100mmである。両側部の幅L2は、好ましくは20〜60mm、更に好ましくは30〜50mmである。
また、バックアップロール63A及び/又はアンビルロール62Bにおける中央部の外径と両側部の外径との差L3(中央部と両側部との境界部に生じる段差,図7参照)は、剥離紙押圧機構63において吸収性本体4に加わる圧力を小さくする観点から好ましくは1〜20mm、更に好ましくは3〜10mmである。
【0033】
(3)折り返し接合工程P3
折り返し接合工程P3においては、先ず、図6に示すように、接着剤塗工器(図示せず)により、一方の剥離紙3Aにおけるウイング部8よりも幅方向外方に延出している部分に接着剤M2が塗工される。接着剤M2は、剥離紙3Aにおける粘着剤M1の塗工面側に塗工されるように構成されている。
接着剤M2が塗工された生理用ナプキン10は、次いでウイング折り返し機構(図示せず)に導入される。ウイング部折り返し機構においては、一対のウイング部8,8は、図6に示すように、それらの先端82,82が吸収性本体4の幅方向内方に向き且つ一対の剥離紙3,3それぞれが吸収性本体4の幅方向中央部において重なる部分83を有するように折り返される。
【0034】
ウイング部折り返し機構において、一対のウイング部8,8は、ほぼ同時に折り曲げられるが、他方の剥離紙3Bが接合されたウイング部8の折り返しが、一方の剥離紙3Aが接合されたウイング部8が折り返しに比べて、若干早く開始し且つ若干早く完了する。そのため、両ウイング部8,8の折り返しが完了した状態においては、図8に示すように、他方の剥離紙3Bの先端部上に、一方の剥離紙3Aの先端部が重なった状態となる。
【0035】
折り返し接合工程P3を経た生理用ナプキン10は、図8に示すように、一方の剥離紙3Aに塗工された接着剤M2を介して一対の剥離紙3,3が互いに剥離不能に接合されることにより、一対のウイング部8,8の折り返し状態が維持される。
本実施態様においては、一対の剥離紙3,3同士を剥離不能に接合させるために、剥離紙3Aの接着剤M2が塗工される領域は剥離処理されていない。
尚、剥離紙3A及び剥離紙3Bは、それぞれ、接着剤M1側の面とは反対側の面(図8において上側の面)の全域が剥離処理されていない。また、剥離紙3Aの接着剤M1側の面は、剥離紙3Bと重ねられる部分を除いて剥離処理されており、剥離紙3Bの接着剤M1側の面は、その全域が剥離処理されている。
【0036】
(4)積層工程P4
積層工程P4においては、生理用ナプキン10は、図6に示すように、回転機構(図示せず)により、送り方向に対して90度水平回転される。水平回転されることにより、生理用ナプキン10の長手方向と包装材の連続シート20の幅方向とが一致する。包装材の連続シート20の幅は、生理用ナプキン10の長手方向の長さよりも広く設定されている。
【0037】
包装材の連続シート20の幅方向の一端の一方の面には、図6に示すように、接着剤塗工器(図示せず)により所定間隔をおいて接着剤M3が塗工される。
包装材の連続シート20における接着剤M3の塗工面の生理用ナプキン10が積層される領域には、粘着剤吐出器(図示せず)により本体固定用粘着剤M4が所定のパターンで塗工される。
本体固定用粘着剤及び接着剤M3が塗工された包装材の連続シート20に生理用ナプキン10は積層される。生理用ナプキン10と包装材の連続シート20とは、本体固定用粘着剤を介して剥離可能に接合される。
【0038】
(5)個装折り接合工程P5
個装折り接合工程P5においては、図6に示すように、生理用ナプキン10を包装材の連続シート20と重ねた状態で、一対の剥離紙3,3と、包装材の連続シート20における生理用ナプキン10の長手方向の一端4aから延出している部分の内面とが対向するように、生理用ナプキン10を包装材の連続シート20と共に肌当接面側に折り重ねる。
折り重ねられて対向した包装材の連続シート20と一対の剥離紙3,3とは、包装材の連続シート20の一端4aに塗工された接着剤M3を介して接合される。ここでは、包装材の連続シート20は、一対の剥離紙3,3のうちの一方のみと剥離不能に接合されている。
【0039】
個装折り接合工程P5を経て形成された個装体の連続体は、包装材の連続シート20の所定箇所のシール、個々の個装体1への切断等の後工程に搬送される。これらの後工程を経て上述した生理用ナプキンの個装体1は製造される。
【0040】
本実施態様の生理用ナプキン10の個装体の製造方法によれば、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させた状態において、一対の剥離紙3,3の接合を行い、また、一対のウイング部8,8に配された一対の剥離紙3,3同士が剥離不能に接合されているため、一対のウイング部8,8に粘着剤M1を確実に転着することができ、使用時に剥離紙の処理が容易な吸収性物品の個装体を効率的に製造することができる。
【0041】
バックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、それらの少なくともどちらか一方の中央部における外径が、両側部における外径よりも小さく構成されているため、ウイング押圧機構63において、吸収性本体4よりも厚みの薄い一対のウイング部8,8と一対の剥離紙3,3との積層体に強く圧力を加えることができ、一対のウイング部8,8への粘着剤M1の転着性がより向上する。更に、ウイング押圧機構63において、吸収性本体4に加わる圧力は小さいため、吸収体7がつぶれて硬化することを防止できる。
【0042】
アンビルロール62Bは、加温可能になされていることが好ましい。例えば、アンビルロール62Bに、公知の加熱手段(電熱線を用いたヒーター等)を組み込んで加温する。アンビルロール62Bの加温により、剥離紙3A,3Bに塗工されている粘着剤M1の温度が、アンビルロール62Bの周面上で低下することを防止でき、ウイング部3に対する粘着剤M1の転写性を向上させることができる。
【0043】
また、剥離紙接合工程P2に供給する生理用ナプキン10は、例えば、図9に示すように、生理用ナプキン10が長手方向に連続した構成のナプキン連続体100を、連続体切断機構(外包カッター)64により個々の生理用ナプキン10に切断した後、該ナプキン10のウイング部3,3に、剥離紙押圧機構63等により剥離紙3A,3Bを接合するまでの間、一対のウイング部8,8を吸収性本体4の幅方向外方に延出させ且つ延出させた一対の該ウイング部8,8を搬送手段に設けた吸引手段により、その延出状態を維持しつつ搬送することが好ましい。
搬送手段に設けた吸引手段により一対のウイング部8,8を左右に拡げた状態を維持し、その状態のウイング部8,8に粘着剤M1付きの剥離紙3,3を接合することで、粘着剤M1を配置すべき所定の設計位置に粘着剤M1を精度良く配置することができる。特に、柔らかい不織布からウイング部を形成する場合、折り位置が安定せず、折り後の粘着剤の転写位置がズレ易いが、このように、生理用ナプキン10を供給することで、そのような不都合を防止することができる。
【0044】
図9に示す実施態様においては、カッターロール64Aと、吸引保持機能を有するアンビルロール64Bとを備えた連続体切断機構(外包カッター)64により、ナプキン連続体100を切断して個々の生理用ナプキン10とし、それらの生理用ナプキン10を、それぞれのウイング部8,8を、アンビルロール64Bの周面に開口する多数の吸引孔から吸引して該周面に吸着保持した状態で、転写ロール65への受け渡し位置まで搬送している。そして、転写ロール65も吸引保持機能を有しており、アンビルロール64Bから受け渡された生理用ナプキン10を、それぞれのウイング部8,8を、周面に開口する多数の吸引孔から吸引して該周面に吸着保持した状態で、バキュームコンベア66への受け渡し位置まで搬送している。更にバキュームコンベア66も、吸引保持機能を有しており、転写ロールから受け渡された生理用ナプキン10を、それぞれのウイング部8,8を、無端ベルトのナプキン載置面に開口する多数の吸引孔から吸引して該載置面に吸着保持した状態で、剥離紙3A,3Bの接合位置まで搬送している。
【0045】
剥離紙3A,3Bの接合は、上述した図6に示す実施態様と同様に、アンビルロール62Bとバックアップロール63Aとの間で、粘着剤M1が塗工された剥離紙3A,3Bとウイング部8,8とを加圧して行うが、このバックアップロール63Aも、外周面に吸引孔を有し、拡げた状態のウイング部を該外周面に吸引保持可能であることが、接着剤M2をウイング部の設計位置に配置する観点から好ましい。
また、バックアップロール63Aはアンビルロール62Bよりも大径のものを用いて、前後のコンベア66,67(搬送手段)との受け渡しにおいてウイング部8,8の吸引保持状態が解放されないようにすることが、ウイング部8,8の折れを防ぎ、シワが発生しないようにすることができるので好ましい。
尚、図9中、67は、ウイング部8,8を折り曲げるための、ウイング部折り畳み装置である。また、図9に示す実施態様について、特に説明しない点は、図6に示す実施態様について上述した説明が適宜適用される。
【0046】
また、図7に示したバックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、それぞれの両側部(軸長方向の両端部)が、それぞれの中央部より外径が大きい大径部となっていたが、一対のウイング部8,8それぞれに剥離紙3,3を接合するのに用いるバックアップロール63A及びアンビルロール62Bは、図10に示すように、それぞれの軸長方向(図10の左右方向)において、剥離紙3A,3Bに塗工されている粘着剤M1の幅L6と略同じ幅(図9中にL2で示す幅)の大径部63A',63A',62B',62B'を有することが好ましい。大径部63A',63A',62B',62B'とそれ以外の部分(小径部)との境界部に生じる段差L3の好ましい高さ(大きさ)は、図7に示す実施態様と同様である。
尚、大径部63A',63A',62B',62B'は、両ロールの周方向に連続して形成されていても良いし、断続的に形成されていても良い。
【0047】
このようなロール63A,62Bを用いて剥離紙を接合することにより、ウイング部を構成する柔軟な材料(不織布等)の柔らかさを、体に接触するウイング部の根元部分や人が取り扱う先端部分は維持することができると共に、粘着剤M1が存する部分を大径部により強くプレスでき、粘着剤M1のウイング部8に対する転写性を向上させることができる。ロールの軸長方向における大径部63A',63A',62B',62B'の幅L2は、ロールの軸長方向における粘着剤M1の幅L6に4〜20mm(片側2〜10mm×2)を加えた幅であることが好ましい。
【0048】
本発明の製造方法によって得られた本実施形態の生理用ナプキンの個装体1によれば、表面シート5側に折り返された一対のウイング部8,8に配された一対の剥離紙3,3同士が剥離不能に接合され、且つ、該剥離紙3と包装材2の長手方向の一端4aの内面とが剥離不能に接合されているため、個装体1の開封と同時に、ウイング部8を覆う剥離紙3を剥離することができ、生理用ナプキン10の使用時に剥離紙3の処理が不要である。
【0049】
また、一対の剥離紙3,3同士は剥離不能に接合されているため、一方の剥離紙3のみを包装材2の長手方向の一端4aの内面と接合することで個装体1の開封と同時に、ウイング部8を覆う剥離紙3を剥離することができる。
【0050】
本発明の吸収性物品の個装体においては、図11に示す吸収性物品10のように、吸収性本体4上に折り返した状態のウイング部8,8における粘着剤M1が、それぞれ、吸収体7に形成された防漏溝71,71と重なっていても構わない。ウイング部を折り曲げた後に該ウイング部に剥離紙を接合する従来の方法においては、粘着剤M1を配すべき部分が防漏溝71上にある場合、該粘着剤M1がウイング部8に充分に転写されない場合がある。これに対して、本発明の方法におけるように、折り返す前のウイング部8に、粘着剤M1付きの剥離紙3,3を接合する場合には、そのような問題は生じない。図11に示す吸収性物品における一対の防漏溝71は、吸収体7の長手方向の両側縁それぞれから離間した位置に、それぞれ、吸収体7の長手方向に延びて形成されている。防漏溝71は、積層状態の表面シート5及び吸収体7にエンボス加工を施して形成されている。
【0051】
また、本発明の吸収性物品の個装体においては、図12に示す吸収性物品10のように、吸収性物品の幅方向における中央部分における吸収体7の厚みが、幅方向の両端部における吸収体7の厚みよりも厚くなっており(いわゆる中高吸収体)両者間に生じている段差部72と、吸収性本体4上に折り返した状態のウイング部8,8における粘着剤M1が、重なっていても構わない。
ウイング部を折り曲げた後に該ウイング部に剥離紙を接合する従来の方法においては、粘着剤M1を配すべき部分が段差部72上にある場合、該粘着剤M1がウイング部8に充分に転写されない場合がある。これに対して、本発明の方法におけるように、折り返す前のウイング部8に、粘着剤M1付きの剥離紙3,3を接合する場合には、そのような問題は生じない。
【0052】
また、本発明の吸収性物品の個装体は、図13に示すように、吸収性物品10の一対のウイング部8,8それぞれの折り返し位置8B,8Bと、剥離紙3,3における吸収性物品幅方向中央寄りの一側縁32,32の位置とが略一致していることが好ましい。斯かる構成を有すると、ウイング部の形成材料に柔らかい不織布等を使用した場合でもウイング部の剛性が向上し、前記一側縁32,32が折りの起点となってウイング部折りしやすくなり、折り幅の寸法精度が向上する。
【0053】
本発明は、上述した各実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、一方の剥離紙3Aの幅と他方の剥離紙3Bの幅とは異なっていたが、両者の幅は等しくてもよい。
【0054】
また、包装材2は、一対の剥離紙3,3の一方の剥離紙3Aのみと接合されていたが、包装材2は、他方の剥離紙3Bのみと接合されていてもよく、また、一対の剥離紙3,3の両者と接合されていてもよい。
また、一対の剥離紙3,3同士は、熱シールや超音波シールによって接合されてもよい。剥離紙3と包装材2との接合も、熱シールや超音波シールによる接合であってもよい。
【0055】
また、上述した実施態様においては、剥離紙3Aの接着剤M2を塗工する領域に剥離処理を行わずに一対の剥離紙3A,3Bを剥離不能に接合したが、一対の剥離紙3A,3Bを剥離可能に接合しても良い。例えば、剥離紙3Aの接着剤M1側の面の全域に剥離処理が施されていても良い。
一対のウイング部8,8は、本実施形態においてはウイング部形成シート81により形成されていたが、一対のウイング部8,8は、表面シート5及び裏面シート6を吸収性本体4の両側部から幅方向外方に延出させて形成してもよい。
【0056】
また、ウイング部8は、図14〜図17に示すような構成のものであっても良い。
図14に示す吸収性物品におけるウイング部8は、表面シート5及び裏面シート6を、吸収体7の長手方向両側縁より外方に延出させ、両シート5,6の延出部分同士間にウイング部形成シート81を固定して形成されている。図14に示すウイング部は、両シート5,6間にウイング形成シート81を固定しているので強固な固定になるとともに、表面シート5の長手方向両側縁部がウイング折りの基点となり折り寸法が安定しやすい。
【0057】
図15に示す吸収性物品におけるウイング部8は、ウイング部形成シート81を裏面シート6の非肌当接面側(衣類当接面側)に接合して形成されている。図15に示すウイング部は、表面シート5と裏面シート6の長手方向両側縁部がウイング折りの基点となり折り寸法が安定しやすい。
図16に示す吸収性物品におけるウイング部8は、表面シート5のみを吸収性本体4の両側部から幅方向外方に延出させて形成されている。
図16に示すウイング部は、幅広の表面シート5を用意すればよく、ウイング形成シート81用の設備費用を必要としない。
【0058】
また、図17に示す吸収性物品におけるウイング部8は、裏面シート6を、吸収体7の長手方向両側縁より外方に延出させ、該裏面シート6の延出部分及び表面シート5の一部に、ウイング部形成シート81を接合して形成されている。このような構成とすることで表面シート5の使用量を最小限とする事ができる。
【0059】
また、剥離紙のカットは、直線状に限らず、V字型、U字型、波型等でもよい。
【0060】
本発明の吸収性物品の個装体にかかる吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 個装体
2 包装材
20 包装材の連続シート
3 剥離紙
30 剥離紙原反
31A,31B 剥離紙連続体
4 吸収性本体
5 表面シート
6 裏面シート
7 吸収体
8 ウイング部
81 ウイング部形成シート
82 先端
83 重なる部分
9 タブテープ
10 吸収性物品(生理用ナプキン)
11 吸収層
12 防漏層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体の製造方法であって、
一対の前記ウイング部を前記吸収性本体の幅方向外方に延出させた状態下に、一対のロールを用いて、一対の該ウイング部の非肌当接面側に、前記粘着剤を介して一対の前記剥離紙を剥離可能に接合する剥離紙接合工程と、
前記剥離紙接合工程の後に、一対の前記ウイング部の先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが該吸収性本体の幅方向中央部において重なる部分を有するように、一対の該ウイング部を該吸収性本体の肌当接面側に折り返し、一対の該剥離紙が重なる部分を互いに接合する、折り返し接合工程とを有する吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項2】
前記剥離紙接合工程において、一対の前記ロールの少なくとも一方は、それらの中央部における外径が、両側部における外径より小さくなっている請求項1記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項3】
一対の前記ロールは、それぞれの軸長方向において、前記剥離紙に塗工されている粘着剤の幅と略同じ幅の大径部を有する、請求項1記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項4】
前記折り返し接合工程の後に、前記吸収性物品を前記包装材の連続シートと重ねた状態で、一対の前記剥離紙と該包装材の連続シートにおける該吸収性物品の長手方向の一端から延出している部分の内面とが対向するように、該吸収性物品を該包装材の連続シートと共に肌当接面側に折り重ね、該部分の内面と該剥離紙とを接合する、個装折り接合工程を有する請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項5】
前記吸収性物品が長手方向に連続した構成の吸収性物品連続体を、連続体切断機構により切断して一対のウイング部を有する個々の吸収性物品を得る工程を具備し、該工程において得られる吸収性物品を、一対の前記ウイング部を前記吸収性本体の幅方向外方に延出させ且つ延出させた一対の該ウイング部を搬送手段に設けた吸引手段により吸引保持しつつ搬送して、前記剥離紙接合工程に供給する請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項6】
吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体であって、
一対の前記剥離紙が接合された一対の前記ウイング部は、それらの先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが幅方向中央部において重なる部分を有するように該吸収性本体の肌当接面側に折り返され、一対の該剥離紙が重なる部分が互いに接合されており、
前記包装材は、その左右両側縁部及び前後端縁が、前記吸収性本体の両側縁及び前後端縁よりも外方に延出しており、
前記吸収性物品は、前記剥離紙と前記包装材における該吸収性物品の長手方向の一端から外方に延出している部分の内面とが対向するように、該包装材と共に肌当接面側に折り重ねられており、
前記部分の内面と前記剥離紙とが接合されている吸収性物品の個装体。
【請求項7】
前記部分の内面は、一対の前記剥離紙のうちの一方と接合されている請求項6記載の吸収性物品の個装体。
【請求項1】
吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体の製造方法であって、
一対の前記ウイング部を前記吸収性本体の幅方向外方に延出させた状態下に、一対のロールを用いて、一対の該ウイング部の非肌当接面側に、前記粘着剤を介して一対の前記剥離紙を剥離可能に接合する剥離紙接合工程と、
前記剥離紙接合工程の後に、一対の前記ウイング部の先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが該吸収性本体の幅方向中央部において重なる部分を有するように、一対の該ウイング部を該吸収性本体の肌当接面側に折り返し、一対の該剥離紙が重なる部分を互いに接合する、折り返し接合工程とを有する吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項2】
前記剥離紙接合工程において、一対の前記ロールの少なくとも一方は、それらの中央部における外径が、両側部における外径より小さくなっている請求項1記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項3】
一対の前記ロールは、それぞれの軸長方向において、前記剥離紙に塗工されている粘着剤の幅と略同じ幅の大径部を有する、請求項1記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項4】
前記折り返し接合工程の後に、前記吸収性物品を前記包装材の連続シートと重ねた状態で、一対の前記剥離紙と該包装材の連続シートにおける該吸収性物品の長手方向の一端から延出している部分の内面とが対向するように、該吸収性物品を該包装材の連続シートと共に肌当接面側に折り重ね、該部分の内面と該剥離紙とを接合する、個装折り接合工程を有する請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項5】
前記吸収性物品が長手方向に連続した構成の吸収性物品連続体を、連続体切断機構により切断して一対のウイング部を有する個々の吸収性物品を得る工程を具備し、該工程において得られる吸収性物品を、一対の前記ウイング部を前記吸収性本体の幅方向外方に延出させ且つ延出させた一対の該ウイング部を搬送手段に設けた吸引手段により吸引保持しつつ搬送して、前記剥離紙接合工程に供給する請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品の個装体の製造方法。
【請求項6】
吸収層及び防漏層を備えた実質的に縦長の吸収性本体及び該吸収性本体の両側縁部から延出した一対のウイング部を有する吸収性物品における一対の該ウイング部の非肌当接面側に、それぞれ粘着剤を介して一対の剥離紙が剥離可能に接合され、包装材で個装された該吸収性物品の個装体であって、
一対の前記剥離紙が接合された一対の前記ウイング部は、それらの先端が前記吸収性本体の幅方向内方に向き且つ一対の前記剥離紙それぞれが幅方向中央部において重なる部分を有するように該吸収性本体の肌当接面側に折り返され、一対の該剥離紙が重なる部分が互いに接合されており、
前記包装材は、その左右両側縁部及び前後端縁が、前記吸収性本体の両側縁及び前後端縁よりも外方に延出しており、
前記吸収性物品は、前記剥離紙と前記包装材における該吸収性物品の長手方向の一端から外方に延出している部分の内面とが対向するように、該包装材と共に肌当接面側に折り重ねられており、
前記部分の内面と前記剥離紙とが接合されている吸収性物品の個装体。
【請求項7】
前記部分の内面は、一対の前記剥離紙のうちの一方と接合されている請求項6記載の吸収性物品の個装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−106128(P2012−106128A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−56563(P2012−56563)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【分割の表示】特願2007−130169(P2007−130169)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【分割の表示】特願2007−130169(P2007−130169)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]