説明

吸収性物品

【課題】吸収体の吸収容量を有効活用できると共に、漏れや液戻りも生じにくい吸収性物品を提供すること。
【解決手段】液透過性の表面シート2、液難透過性の裏面シート3及び両シート2,3間に介在配置された液保持性の吸収体4を有する吸収性物品1であり、前記吸収体4は、上層吸収体4A及び下層吸収体4Bを有し、上層吸収体4Aは吸収性コア41を有し、下層吸収体4Bは中央吸収性コア45とその両側に位置する側部吸収性コア46,46とを有する吸収性コア43を有し、上層吸収体4Aと下層吸収体4Bは、吸収性コア41,43間に複数枚の親水性の液拡散シート42,44を介在させた状態で重なり合っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸収性物品として、液透過性の表面シート、液難透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有し、前記吸収体が、積層した2つの吸収体からなる使い捨ておむつものが知られている。
また、そのような使い捨ておむつとして、特許文献1には、2つの吸収体を、両者の吸収性コア間に液拡散紙を配置しないで重ねたものを吸収体に用いたパンツ型使い捨ておむつも知られている(特許文献1参照)。
また、積層した2つの吸収体の吸収性コア間に一枚の液拡散シートを配する技術も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4662463号公報
【特許文献2】特開2008−284167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品における吸収体を、積層した複数の吸収体から構成することにより必要な部分の吸収容量を高めることができる。
しかし、特許文献1のものは、液が吸収体の比較的狭い範囲に吸収且つ保持される傾向が高いため、吸収体の全体の吸収容量の活用の点で改善の余地があった。また、比較的狭い範囲に留まっている液が、加圧により表面シート側に液戻りを生じて不快感やムレの原因となることがあった。
また、特許文献2開示のものでは、2層の吸収体間に1層の拡散シートを配するのみであり、しかも、拡散シートとしては疎水性材料である不織布や多孔性プラスチックフィルムを使用することが記載されていることから、排泄液の平面方向拡散性が強すぎ、排泄液の漏れが生じ易く、また、下層側の吸収体が有効に利用され難いという欠点があった。
【0005】
従って、本発明の課題は、吸収体の吸収容量を有効活用できると共に、漏れや液戻りも生じにくい吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液透過性の表面シート、液難透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、上層吸収体及び下層吸収体を有し、上層吸収体は吸収性コアを有し、下層吸収体は中央吸収性コアとその両側に位置する側部吸収性コアとを有する吸収性コアを有しており、上層吸収体と下層吸収体は、吸収性コア間に複数枚の親水性の液拡散シートを介在させた状態で重なり合った積層部分を備えている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品は、吸収体の吸収容量を有効活用できると共に、漏れや液戻りも生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態である使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開且つ伸長状態を示す平面図である。
【図3】図3は、図1に示す使い捨ておむつの着用状態における股下部の幅方向の断面を示す断面図である。
【図4】図4は、図3の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図5】図5は、第1実施形態の使い捨ておむつの効果の説明図である。
【図6】図6は、上部吸収体と下部吸収体との間の好ましい接着状態を示す接着剤配置説明図である。
【図7】図7は、液透過時間の測定方の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の使い捨ておむつをその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)は、図3に示すように、液透過性の表面シート2、液難透過性の裏面シート3及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体4を有している。液難透過性は、液不透過性と液難透過性を含む概念である。
また、吸収体4は、上層吸収体4A及び下層吸収体4Bを有し、上層吸収体4Aと下層吸収体4Bは、吸収性コア41,45間に複数枚の親水性の液拡散シート(以下、単に液拡散シートとも言う)としての親水性のコアラップシート(以下、単にコアラップシートとも言う)42,44を介在させた状態で重なり合っている。
【0010】
おむつ1についてより具体的に説明する。
おむつ1は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部A、着用時に着用者の背側に配される背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置して、着用時に着用者の股間部に配される股部Cを有している。そして、腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とがヒートシールや超音波シール等の公知の接合方法により接合されており、その接合によって、おむつ1に、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されている。
【0011】
なお、本明細書において、吸収性物品や吸収体における長手方向は、着用時に着用者の前後方向に一致する方向であり、図中のY方向である。他方、吸収性物品や吸収体における幅方向は、前記長手方向と交差する方向であり、図中X方向である。また、親水性とは水分をその厚み方向に透過可能な性質や保持可能な性質を意味し、撥水性に対抗する性質である。
【0012】
おむつ1は、図2に示すように、吸収性本体10と、該吸収性本体10の非肌対向面側に位置して吸収性本体10を固定している外装体11とを具備している。
吸収性本体10は、図2及び図3に示すように、おむつの長手方向Yと同方向に長い長方形状であり、前述した表面シート2、裏面シート3及び吸収体4を有する。
吸収体4は、図3に示すように、上層吸収体4A及び下層吸収体4Bを有し、上層吸収体4Aは、下層吸収体4Bの肌対向面側に配されている。
上層吸収体4Aは、吸収性コア41と、該吸収性コア41を被覆する親水性のコアラップシート42とからなる。
また、下層吸収体4Bも、吸収性コア43と、該吸収性コア43を被覆する親水性のコアラップシート44とからなる。また、上層吸収体4A及び下層吸収体4Bは、いずれも、吸収性本体10と同方向に長い形状を有しているが、上層吸収体4Aは、その長手方向の長さが下層吸収体4Bよりも短く、またその幅も、下層吸収体4Bより狭い。
また、下層吸収体4Bの吸収性コア43は、股下部Cに、中央吸収性コア45とその長手方向両側に位置する側部吸収性コア46,46とを有している。上層吸収体4Aの幅は、中央吸収性コア45の幅よりも狭くなっており、より具体的には、上層吸収体4Aの吸収性コア41の幅(X方向の長さ)が下層吸収体4Bの中央吸収性コア45の幅(X方向の長さ)より狭くなっている。
【0013】
上層吸収体4Aの吸収性コア41は、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる。
下層吸収体4Bの中央吸収性コア45及び側部吸収性コア46,46も、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる。吸収性コア41,45,46を構成する繊維の集合体は、フラッフパルプ(綿状パルプ)の積繊物又はフラッフパルプと吸水性ポリマーの混合積繊物であることが好ましい。
【0014】
また、コアラップシート42及び44は、吸収性コア41の形状を保持すると共に吸収性コア41の構成材料の脱落や漏出を防止するものである。コアラップシート42及び44は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に従来用いられている各種公知のものを用いることができ、例えばティッシュペーパのような薄紙や透水性の不織布等が好ましく用いられる。コアラップシート42,44は、吸収性コア41又は43の肌対向面側を被覆する部分と非肌対向面側を被覆する部分とで別々のシートであっても良いし、一枚のシートで、吸収性コア41又は43の幅方向断面の全周囲を被覆していても良い。
本実施形態の吸収体4におけるコアラップシート42は、吸収性コア41の長手方向の全長に亘って吸収性コア41の幅方向の断面(図3参照)の全周を覆っており、吸収性コア41の非肌対向面側において幅方向の両端部どうしが重なっている。その端部どうしは、ホットメルト接着剤等で接着されていてもよいが、接着されていなくてもよい。また、本実施形態の吸収体4におけるコアラップシート44は、吸収性コア43の長手方向の全長に亘って吸収性コア43の幅方向の断面(図3参照)の全周を覆っており、吸収性コア43の肌対向面側において幅方向の両端部どうしが重なっている。その端部どうしは、ホットメルト接着剤等で接着されていてもよいが、接着されていなくてもよい。
【0015】
コアラップシート42,44又は親水性の液拡散シートとして用いる繊維シート(薄紙、不織布等)は、その構成繊維が親水性繊維であることが好ましい。親水性繊維としては、例えば木材パルプ、コットン、レーヨン等のセルロース系繊維、あるいは親水化処理した疎水性合成繊維が好適に用いられ、それぞれを単独あるいは混合して用いることができる。また、シートの強度を高めることを目的として、熱融着性繊維等の疎水性合成繊維を少量配合してもよい。また、不織布としては、例えばスパンボンド不織布、SM(スパンボンド−メルトブローン)不織布、SMS(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド)不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布等が挙げられる。
【0016】
また、本おむつ1においては、図2に示すように、吸収性本体10の長手方向の左右両側に、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材82から構成された側方カフス8,8が形成されている。各側方カフス8の自由端部の近傍には、複数の側方カフス弾性部材81が伸張状態で配されている。また、各側方カフス8における、吸収性本体10の側縁部の近傍には、吸収性本体10の両側部を、着用者の肌側に向かって起立させるための中間弾性部材83が配されている。側方カフス8は、側方カフス弾性部材81が収縮することにより、おむつ着用時に起立して液の側方への流出を阻止すると共に、吸収性本体10の両側部を、図3に示すように起立させる。
【0017】
なお、外装体11と、図2及び図3に示すように、おむつの外表面を形成する外層シート12、外層シート12に隣接してその肌対向面側に位置する内層シート13及び内層シート13の肌対向面側に位置して、吸収性本体10の長手端部を覆っている補助シート15を有しており、ウエスト開口部5の周縁部、レッグ開口部6の周縁部、及び腹側部A及び背側部Bそれぞれの股下部寄りの部位においては、外層シート12と内層シート13との間に、ウエストギャザー形成用の弾性部材71,レッグギャザー形成用の弾性部材61,下腹部ギャザー形成用の弾性部材91が形成されている。また、ウエストギャザー形成用の弾性部材71とレッグギャザー形成用の弾性部材61との間においては、内層シート13と補助シート15との間に、内部ギャザー形成用の内側弾性部材71が配されている。内部ギャザーは、外層シート12より肌対向面側に位置するシートの外層シート12に接合されていない部分に形成されるギャザーである。肌対向面は、吸収性物品やその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品やその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0018】
おむつ1においては、図3に示すように、上層吸収体4Aと下層吸収体4Bとが、それぞれの吸収性コア41,45間に、本発明における液拡散シートに該当する複数枚の親水性のコアラップシート42,44を介在させた状態で重なり合っている。
本実施形態のおむつ1においては、コアラップシート42,44が、本発明の液拡散シートであるため、以下、これらを液拡散シート42,44ともいう。
【0019】
本実施形態のおむつ1によれば、図3に示すように、上層吸収体4Aにおける吸収性コア41と下層吸収体4Bにおける中央吸収性コア45との間に、複数枚の親水性の液拡散シート42,44が介在しているため、両シート42,44の合計厚みによって吸収体厚み方向への液の浸透がゆっくりとなり、中央吸収性コア45への液の供給速度が制限される結果となり、相対的に平面方向への拡散が促進される。あるいは、図5に示すように、おむつ1の肌対向面側から供給され、液拡散シート42,44間に達した液Uは、両シート42,44間を流れて、平面方向に拡散し得る。これにより、吸収体4の長手方向の広い範囲の吸収容量が有効に活用される。
また、液Uは、液拡散シート42,44内又は間を幅方向にも拡散するが、下層吸収体が、中央吸収性コア45とその両側に位置する側部吸収性コア46とを有し、幅方向に拡散した液Uを吸収するため、吸収体4の幅方向の両端から液Uの漏れ出しは生じにくい。
【0020】
また、液拡散シート42,44間を流れて液Uが平面方向に拡散することにより、狭い範囲に多量の液が滞留する場合と比較して、吸収体4から表面シート2への液戻りも生じにくくなる。
【0021】
また、本実施形態における吸収体4においては、上層吸収体4Aの吸収性コア41の幅が下層吸収体4Bの中央吸収性コア45の幅より狭くなっているため、下層吸収体4Bの側部吸収性コア46、46の起立が阻害されにくい。また、上層吸収体ですぐに吸収されなかった排泄液は上層吸収体4A幅よりも両端外側に位置する下層吸収体4Bで吸収され、さらに吸収体表面の液は側部吸収性コアで吸収される構造となっている。そして、起立した側部吸収性コア46,46は排泄液の横漏れを有効に抑制するので、吸収体全体が有効に吸収性能に寄与しうるという効果が得られる。
下層吸収体4B側の液拡散シート44が、上層吸収体4A側の液拡散シート42のX方向両端から延出する長さは、吸収性物品の長手方向両側それぞれにおいて、2mm以上であることが好ましく、3〜10mmであることが、下層吸収体4Bによる吸収を効率化することができ、漏れ抑制を効果的にするのでより好ましい。
【0022】
また、本実施形態における吸収体4においては、図4に示すように、コアラップシート42の両端部の重なり部分とコアラップシート44の両端部の重なり部分とが上下吸収体間で重なり、領域P1を構成し、コアラップシート42両端部の重なり部分とコアラップシート44の前記重なり領域の左右両外側の領域でP2,P2を構成している。より詳細には、上層吸収体4Aと下層吸収体4Bとが重なる範囲R1(図3参照)の幅方向中央部(X方向中央部)に、液拡散シートの積層枚数が4枚である領域P1を有し、その両側に、液拡散シートの積層枚数が3枚である領域P2を有し、更にその外側に、液拡散シートの積層枚数が2枚である領域P3を有している。従って、領域P1から幅方向外側に向かって領域P2,P3と液拡散シートの重なり枚数が少なくなるようになっている。
【0023】
このように、液拡散シートの幅方向中央部の積層枚数を、幅方向両端部の積層枚数より多くすることにより、幅方向中央部の間隙が両端部の間隙よりも狭くなり、液拡散シート間での液拡がりが中央部長さ方向で促進され、幅方向の液拡散が抑制され横漏れしにくくなる。また、幅方向中央部は一般に排泄液が初期に到達する所であるので、その場所では排泄液がなるべく厚み方向下方へ浸透するのを妨げ、一定量の排泄液を保持しながら平面方向に液を拡散していくのに都合が良い。しかも、平面方向への液拡散が、拡散シートの親水性によって程よい速度に制御できるので、横漏れ抑制に有効である。
【0024】
また、本実施形態における吸収体4のように、上層吸収体4Aと下層吸収体4Bとが重なる範囲R1(図3参照)に、液拡散シートの積層枚数が異なる2以上の領域を設けることによって、液拡散シートの親水性のために、幅方向中央で上述した一定量の排泄液を保持しながら有効に平面方向へ液を拡散していく効果が得られる。この効果は、積層枚数が異なる3以上の領域P1〜P3を設けることにより、より有効となる。また、液拡散シート42と44の間隙に勾配が形成され、液Uが幅方向(X方向)に拡散するのを抑制するのに有効である。
【0025】
上述した一又は二以上の効果がより確実に奏されるようにする観点から、本発明の液拡散シートは、液透過時間が0.5秒〜6秒、特に1秒〜5秒であることが好ましい。
前記液透過時間は、液の透過性を示す指標であり、液透過時間が長いと、液が、拡散シート内若しくは拡散シート間を拡散し易くなることを示し、液透過時間が短いと拡散シートへ到達した排泄液は下層吸収性コアに吸収され易くなることを示す。
【0026】
〔液透過時間の測定方法〕
図7に示すように、上下端が開口している内径35mmの2本の円筒91,92を、両円筒91,92の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定対象シートS(液拡散シート)を上下の円筒91,92間に挟み込む。このとき、上側の円筒91の下端及び下側の円筒92の上端に設けられた環状のフランジ部にクリップ93を嵌合させ、上下の円筒91,92を連結させることが好ましい。符号94は、円筒91,92の内径と同径同形状の貫通孔を有するゴム製等のパッキンである。このように、上下の円筒91,92で測定対象シートS(液拡散シート)を挟持固定した状態で、上側の円筒91内に、図1中符合Wで示す生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9質量%の水溶液)を40g供給する。供給された生理食塩水は、測定対象シートS(液拡散シート)を透過して下側の円筒92内に移行する。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水が下側の円筒92内に完全に移行するまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
【0027】
また、上層吸収体4A側の液拡散シート42と下層吸収体4B側の液拡散シート44は、液拡散性が同一であっても良いが、異なっていても良い。
例えば、上層吸収体4A側の液拡散シート42として、下層吸収体4B側の液拡散シート44よりも液拡散性の低いシートを用いることにより、上層吸収体4Aで吸収した液を速やかに上層吸収体の液拡散シートと下層吸収体の液拡散シートの間隙に移行して、上層吸収体の吸収性コア液拡散を抑制し液戻りを少なく出来る。
【0028】
また、上層吸収体4Aの吸収性コア41と下層吸収体4Bの中央吸収性コア45との間において、吸収性コア41と液拡散シート42との間、及び中央吸収性コア45と液拡散シート44との間は、それぞれ、パターン塗工された接着剤等を介して接着されていても良い。
また、上層吸収体4A側の液拡散シート42と下層吸収体4B側の液拡散シート44とは、部分的に接合されていることが好ましく、例えば、パターン塗工された接着剤(ホットメルト接着剤)等を介して接着されていていることが好ましい。
例えば、パターン塗工のパターンは、散点状のパターンやスパイラルパターン、オメガ字状のパターン、細幅ストライプパターン等が挙げられる。図6に、液拡散シート42,44間を接着剤48で部分接合する場合に好ましく用いられるスパイラルパターンの例を示した。
【0029】
上述したおむつ1の各部の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、及び側方カフス8形成用シート等としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。裏面シート3は、透湿性を有するものでも有しないものでも良い。
【0030】
また、外層シート12,内層シート13,補助シート15としても、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のシート材を特に制限なく用いることができるが、不織布を用いることが好ましく、不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布等が好ましい。また、外層シート12,内層シート13,補助シート15として、不織布とフィルムとを一体化したシート等を用いることもできる。
【0031】
弾性部材51,61,71,81,91の形成素材としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0032】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、本発明の吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつやパンツ型の生理用ナプキン等のパンツ型吸収性物品の他、展開型の使い捨ておむつ、失禁パッド、等であっても良い。また、上述した実施形態の吸収体4は、上層吸収体4Aの吸収性コアの幅が下層吸収体4Bの中央吸収性コアの幅より狭いものであったが、上層吸収体4Aの吸収性コアの幅と下層吸収体4Bの中央吸収性コアとが同じでも良いし、上層吸収体4Aの吸収性コアの幅が下層吸収体4Bの中央吸収性コアの幅より広くても良い。また、中央吸収性コアと側部吸収性コアとの間は、離間していても良いし、両者が接触していても良い。また、中央吸収性コアと側部吸収性コアとの間に隙間47を設ける場合、その部分は、吸収性コアの形成材料が全く存在しない部分であっても良いが、他の部分に比して充分に少ない量(例えば坪量で1/4以下等)の形成材料が存在していても良い。また、下層吸収体4Bにおける吸収性コア43は、股下部Cにおいては、中央吸収性コア45と側部吸収性コア46,46とに分割されている一方、腹側部A及び/又は腹側部Bにおいて、側部吸収性コア46,46の端部が中央吸収性コア45と連続していても良い。更に、吸収体としてフラップパルプを含まないポリマーシート(抄紙パルプシート間または不織布間に吸収性ポリマーを配したシート)を使用すると、薄く高吸収性であって、液拡散性が優れたものとなる。上層吸収体と下層吸収体とが重なる範囲R1に、液拡散シートの積層枚数が異なる2つの領域を有する実施形態の例としては、図3に示すおむつ1の上層吸収体4Aを、その上下を逆にして下層吸収体4B上に配置した形態や、図3に示すおむつ1の下層吸収体4Bを、その上下を逆にして上層吸収体4Aの下に配置した形態が挙げられる。
【符号の説明】
【0033】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4A 上層吸収体
41 吸収性コア
42 コアラップシート(親水性の液拡散シート)
4B 下層吸収体
44 コアラップシート(親水性の液拡散シート)
45 中央吸収性コア
46 側部吸収性コア
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
10 吸収性本体
11 外装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シート、液難透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、上層吸収体及び下層吸収体を有し、
上層吸収体は吸収性コアを有し、下層吸収体は中央吸収性コアとその両側に位置する側部吸収性コアとを有する吸収性コアを有しており、
上層吸収体と下層吸収体は、吸収性コア間に複数枚の親水性の液拡散シートを介在させた状態で重なり合った積層部分を備えている吸収性物品。
【請求項2】
上層吸収体の吸収性コアの幅が下層吸収体の中央吸収性コアの幅より狭い請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記親水性の液拡散シートが、上層吸収体及び下層吸収体それぞれの吸収性コアを覆うコアラップシートであり、上層吸収体のコアラップシートが非肌対向面側に両端部の重なり部分を有し、下層吸収体のコアラップシートが肌対向面側に両端部の重なり部分を有し、双方の重なり部分が上層及び下層の吸収体間で重なって前記積層部分を構成し、
上層吸収体と下層吸収体のコアラップシート間は部分的に接合されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記親水性の液拡散シートは、上層吸収体と下層吸収体とが重なる範囲の幅方向中央部の積層枚数が、該幅方向両端部の積層枚数より多い請求項1〜3の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項5】
上層吸収体と下層吸収体とが重なる範囲に、前記親水性の液拡散シートの積層枚数が異なる2以上の領域を有しており、前記2以上の領域は、幅方向中央から両側に離れるに従い前記積層枚数が減少している、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
上記積層枚数が異なる領域が3以上である、請求項5記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−106634(P2013−106634A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251515(P2011−251515)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】