説明

吸引式害虫用捕獲具

【課題】 捕獲したゴキブリが外部から目視されない構造とすることにより、捕獲具の先端の吸引口を閉じたりこの捕獲具を吸引ホースから取り外したりする作業を不快感を伴うことなく安心して行うことができる吸引式害虫用捕獲具を得る。
【解決手段】 捕獲具1を、電気掃除機の吸引ホースに接続するための第1筒部材2と、この第1筒部材2の先端部2bに差し込み式に接続される第2筒部材3とで構成し、該第2筒部材3の先端部3bには、害虫を吸い込む吸引口6を塞ぐための蓋片8を連設すると共に、該蓋片8を閉塞状態に止着するための蓋用接着手段9を設け、第2筒部材3の基端部3aには、吸い込んだ害虫を捕捉するための多孔部材7を取り付け、上記第1筒部材2には、上記第2筒部材3と吸引ホースとを連通させる継手の機能と、該第2筒部材3の基端部3aを覆い隠すことによって捕捉された害虫の外部からの目視を防止する目隠し部材の機能とを兼備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の吸引力を利用してゴキブリ等の害虫を捕獲する吸引式害虫用捕獲具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の吸引力を利用してゴキブリ等の害虫を捕獲する吸引式害虫用捕獲具は、下記の特許文献1〜6に示すように、従来より各種形態のものが提案されている。
これらの捕獲具は、一般に、筒状をした捕獲具本体の一端に網状部材を取り付けた構成を有していて、電気掃除機の吸引ホースの先端部に接続したり、該吸引ホースの内部に収容した状態で使用する。そして、該捕獲具の内部に害虫が吸い込まれて捕獲されると、その先端の開口部を接着剤や蓋等で閉じると共に、この捕獲具を吸引ホースから取り外し、そのまま廃棄処分するものである。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3045201号公報
【特許文献2】実用新案登録第3057893号公報
【特許文献3】実用新案登録第3064481号公報
【特許文献4】特開平10−179001号公報
【特許文献5】特開平11− 18662号公報
【特許文献6】特開2003−235427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の捕獲具は、その端部に網状部材が取り付けられているため、例えばゴキブリを捕捉したあと該捕獲具を吸引ホースから取り外した場合、捕獲したゴキブリが上記網状部材の網目を通じて外部から目視されることになる。このため、ゴキブリに対する恐怖感や嫌悪感あるいは不潔感等が強く働いて捕獲具をそのまま手に持ち続けることができず、その後の廃棄作業に支障を来すことが多かった。
【0005】
また、捕獲具の端部に網状部材が取り付けられていることから、捕獲したゴキブリがこの網状部材を通じて外部から目視されるということが容易に想像できるため、該捕獲具を使用するに当たってそれを吸引ホースに接続する作業は行うことができても、実際にゴキブリを捕獲したあとでは、上述した想像により捕獲具に触れることに対して強い抵抗感が働き、捕獲具先端の吸引口を閉じたり、この捕獲具を吸引ホースから取り外したりする作業をなかなか行うことができないのが実情である。
【0006】
そこで本発明の目的は、捕獲したゴキブリが外部から目視されない構造とすることにより、捕獲具の先端の吸引口を閉じたりこの捕獲具を吸引ホースから取り外したりする作業を不快感を伴うことなく安心して行うことができる、取り扱い性に勝れた吸引式害虫用捕獲具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の捕獲具は、電気掃除機の吸引ホースに接続するための第1筒部材と、該第1筒部材の先端部に差し込み式に接続される第2筒部材とを有し、これらの第1筒部材及び第2筒部材はそれぞれ、径方向に指で押し潰し可能な程度の柔軟性を有する筒形をなしており、上記第2筒部材は、害虫を吸い込むための吸引口を有する先端部と、吸い込んだ害虫を捕捉するための多孔部材が取り付けられた基端部とを有していて、上記吸引口は、害虫吸引後に電気掃除機の吸引力によって閉塞可能であり、上記第1筒部材は、上記第2筒部材と吸引ホースとを連通させる継手の機能と、該第2筒部材の基端部を覆い隠すことによって捕捉された害虫の外部からの目視を防止する目隠し部材の機能とを兼備していることを特徴とするものである。
【0008】
上記第1筒部材及び第2筒部材にはそれぞれ、次第に先広がり状のテーパーが付されていることが望ましい。
【0009】
本発明において好ましくは、上記第2筒部材が、上記吸引口の開口縁の一部に、閉塞した該吸引口を外側から覆って閉塞状態に保持するための蓋片を有すると共に、上記吸引口の外側面に、この蓋片を閉塞位置に止着するための蓋用止着手段を有することである。
この場合、上記吸引口の開口縁が第2筒部材の中心軸線に対して傾斜していて、上記蓋片が、該開口縁の半周側部分である第1口縁部分に、上記第2筒部材の外側面に沿って折り返された状態に連設され、また、上記蓋用接着手段が、上記開口縁の他の半周側部分であって上記第1口縁部分とは左右対象をなす第2口縁部分の外側面に設けられていることが望ましい。
【0010】
また、本発明においては、上記第1筒部材が、基端部に閉塞手段を有していて、上記第2筒部材を接続したまま該基端部を径方向に押し潰すことにより、該基端部を上記閉塞手段で閉塞状態に保持可能なるように構成されている。
【0011】
更に、本発明においては、上記第2筒部材が、上記吸引口の閉塞時に電気掃除機によるエア吸引量を調整するための切り欠きを有するよに構成しても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明の害虫用捕獲具は、目隠し用の第1筒部材と害虫捕捉用の第2筒部材とからなっていて、第1筒部材の先端部に第2筒部材の基端部を差し込み式に接続したとき、この第2筒部材の基端部が上記第1筒部材で覆い隠されることによって捕捉された害虫が外部から目視されないようになっているので、害虫を捕獲した後に捕獲具の先端の吸引口を閉じたり、この捕獲具を吸引ホースから取り外したりする作業を、害虫を見ながらあるいは見ることを予測しながら行う場合のような恐怖感や嫌悪感あるいは不潔感等を伴うことなく安心して行うことができ、取り扱い性に勝れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜4は本発明に係る吸引式害虫用捕獲具の一実施形態を示すものである。この捕獲具1は、図6に示すように、電気掃除機20の吸引ホース21の先端に接続して使用するもので、該吸引ホース21に接続するための第1筒部材2と、この第1筒部材2の先端部に差し込み式に接続される第2筒部材3とからなっている。
【0014】
これらの第1筒部材2と第2筒部材3とは、それぞれ、厚紙や合成樹脂製ボードのような可撓性を備えた不透明素材により、次第に先広がり状のテーパーが付された円筒形あるいは楕円筒形などに形成されたもので、それらの柔軟さの程度は、害虫の捕獲に使用する際に、電気掃除機20の吸引力によって使用に支承を来す程度にまで潰れたり変形したりすることはないが、指で両側から摘んで径方向に押し潰すことができる程度である。
【0015】
上記両筒部材2,3のうち第1筒部材2は、吸引ホース21の先端に差し込み式に接続するための小径の基端部2aと、上記第2筒部材3の基端部3aを受け入れるための大径の先端部2bとを有していて、この第2筒部材3と吸引ホース21とを相互に連通させる継手としての機能の他に、該第2筒部材3の基端部3aを覆い隠すことによってこの第2筒部材3内に捕捉された害虫が外部から目視されないようにするための目隠し用部材としての機能をも有するものである。
【0016】
上記第1筒部材2の基端部2aには、該基端部2aを閉塞するための閉塞手段5が設けられている。この閉塞手段5は両面接着テープによって形成され、この閉塞手段即ち接着テープ5が、第1筒部材2の基端部2aの端縁を包み込む形で該第1筒部材2の内外両面に折り返された状態に取り付けられている。そして、害虫吸引後に捕獲具1を吸引ホース21から取り外して廃棄する際に、上記接着テープ5の表面に張り付けられている剥離紙を剥がし、上記第1筒部材2の基端部2aを指で両側から押し潰し、上記接着テープ5で部材壁を閉塞状態に止着させるようにする。このとき、該接着テープ5の一部が第1筒部材2の外側に折り返されているから、この外側に位置する部分から剥離紙を剥がすことにより、害虫がいる第1筒部材2の内部に指を差し込んで剥離紙を剥がす必要がなく、嫌悪感を伴うことなく基端部2aの閉塞作業を行うことができる。
【0017】
また、上記第2筒部材3は、ゴキブリ等の害虫を吸い込むための吸引口6を有する大径の先端部3bと、吸い込んだ害虫を捕捉しておくための多孔部材7で塞がれた小径の上記基端部3aとを有している。上記吸引口6は第2筒部材3の中心軸線に対して一方向に傾斜していて、その開口縁の半周側である第1口縁部分6aには、上記先端部3bを押し潰した状態で外側から覆うための蓋片8が、この第2筒部材3の外側面に沿って基端部3a方向に折り返された状態に連設されており、この第1口縁部分6aと実質的に左右対象の関係にある他の半周側の第2口縁部分6bの外側面には、上記蓋片8を閉塞位置に止着するための蓋用接着手段9が設けられている。この蓋用接着手段9は、両面接着テープによって形成され、その表面に剥離紙が張り付けられている。
上記吸引口6の中心軸線に対する傾斜角度は40〜60度程度であることが好ましく、より好ましくは45〜50度程度である。
【0018】
上記蓋片8は、必ずしも上記第1口縁部分6aの全長に亘り形成する必要はなく、該第1口縁部分6aの一部にだけ形成することもできる。また、この蓋片8は、上記第2筒部材3と一体に形成しても良いが、別形成した蓋片8をこの第2筒部材3に接着等の手段で連設しても良い。
【0019】
上記吸引口6の第2口縁部分6bには、該吸引口6を閉じた時のエア吸引量を調整するための通気用切り欠き10が形成されている。この切り欠き10はV字形をしているが、U字形や凹形などその他の適宜形状であっても構わない。あるいは、吸引口6の開口縁にこのような切り欠き10を設ける代わりに、第2筒部材3の先端部3bの適宜位置に一つ以上の孔からなる切り欠きを設けても良い。
しかし、吸引口6を閉じた状態で適量のエア吸引量が得られ場合には、必ずしもこのような切り欠きを形成する必要はない。
【0020】
上記第2筒部材3の基端部3aに設けられた多孔部材7は、合成樹脂製の網や、合成樹脂製あるいは紙製の孔明きシート等からなるもので、このような多孔部材7が上記基端部3aの端面を覆うように取り付けられている。この多孔部材7及び第2筒部材3の内面のうちの少なくとも一方には、捕獲した害虫を付着させて身動きできないように捕捉するための粘着材を塗布したり、殺虫剤を塗布しておくこともできる。
【0021】
上記害虫用捕獲具1は、図6に示すように、第1筒部材2の先端部に第2筒部材3の基端部3aを差し込んで接続し、その状態で上記第1筒部材2の基端部2aを電気掃除機20の吸引ホース21の先端に接続してゴキブリ等の害虫を吸引する。このとき、上記第1筒部材2と第2筒部材3とは分離自在であっても、接着によって相互に結合してあっても構わない。また、これらの両筒部材2,3が押し潰されて扁平化された状態で包装あるいは収納されている場合は、それらを筒状に広げて使用する。
【0022】
害虫の吸引は、上記第2筒部材3の先端部の吸引口6を害虫に被せるか、横向きにした該吸引口6内に害虫を誘導しあるいは追い込むことによって行う。そして、害虫を吸引したあと、上記第2筒部材3の先端部3bを両側から指で軽く摘んで変形させると、その後は電気掃除機20の吸引力の作用で該先端部3bが潰れて吸引口6が閉塞するから、蓋片8を起立させて閉塞した吸引口6を外側から覆うように回動させ、蓋用接着手段9でその位置に止着することにより、上記吸引口6はこの蓋片8によって閉塞状態に保持され、害虫は内部に封じ込められて逃げ出すことができなくなる。そこで、図5に示すように、該捕獲具1を吸引ホース21から取り外すと共に、第1筒部材2の基端部2aを指で両側から押し潰して閉塞手段5により閉塞し、その状態でごみ箱等に廃棄すれば良い。
【0023】
ここで、上記第2筒部材3の内部に吸い込まれた害虫は、その基端部3aの多孔部材7の位置に捕捉されることになるが、該第2筒部材3の基端部3aは第1筒部材2で覆い隠され、害虫が外部から目視されないようになっているので、害虫を捕獲した後に捕獲具1の先端の吸引口6を閉じたり、この捕獲具1を吸引ホース21から取り外したりする作業を、害虫を見ながらあるいは見ることを予測しながら行う場合のような恐怖感や嫌悪感あるいは不潔感等を伴うことなく安心して行うことができる。
【0024】
また、捕獲具1の吸引口6を塞ぐ場合、従来品のように吸引口の内側面に両面接着テープを取り付けたものにおいては、害虫吸引後にその害虫が動き回っている捕獲具内部に指を挿入して剥離紙を剥がす必要があって、不快感や不潔感が非常に強く、また、害虫が逃げ出さないように先端部をある程度押し潰し加減にしながら剥離紙を剥がさなければならないため、作業を行いにくいという問題があるのに対し、上記捕獲具1の場合は、吸引口6の口縁部分に連設した蓋片8を反転させて該吸引口6を外側から覆うようにしているため、上述したような問題が一切なく、作業を簡単かつ安心して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る捕獲具の斜視図である。
【図2】捕獲具を図1とは異なる角度から見た場合の斜視図である。
【図3】第1筒部材と第2筒部材とを分離した状態の捕獲具の斜視図である。
【図4】図1の捕獲具の断面図である。
【図5】害虫を捕獲した状態を示す断面図である。
【図6】捕獲具を電気掃除機に接続した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 捕獲具
2 第1筒部材
3 第2筒部材
2a,3a 基端部
2b,3b 先端部
5 止着手段
6 吸引口
6a 第1口縁部分
6b 第2口縁部分
7 多孔部材
8 蓋片
9 蓋用接着手段
10 切り欠き
20 電気掃除機
21 吸引ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機の吸引ホースに接続するための第1筒部材と、この第1筒部材の先端部に差し込み式に接続される第2筒部材とを有し、これらの第1筒部材及び第2筒部材はそれぞれ、径方向に指で押し潰し可能な程度の柔軟性を有する筒形をなしており、
上記第2筒部材は、害虫を吸い込むための吸引口を有する先端部と、吸い込んだ害虫を捕捉するための多孔部材が取り付けられた基端部とを有していて、上記吸引口は、害虫吸引後に電気掃除機の吸引力によって閉塞可能であり、
上記第1筒部材は、上記第2筒部材と吸引ホースとを連通させる継手の機能と、該第2筒部材の基端部を覆い隠すことによって捕捉された害虫の外部からの目視を防止する目隠し部材の機能とを兼備している、
ことを特徴とする吸引式害虫用捕獲具。
【請求項2】
上記第1筒部材及び第2筒部材にはそれぞれ、次第に先広がり状のテーパーが付されていることを特徴とする請求項1に記載の捕獲具。
【請求項3】
上記第2筒部材が、上記吸引口の開口縁の一部に、閉塞した該吸引口を外側から覆って閉塞状態に保持するための蓋片を有すると共に、上記吸引口の外側面に、この蓋片を閉塞位置に止着するための蓋用止着手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の捕獲具。
【請求項4】
上記吸引口の開口縁が第2筒部材の中心軸線に対して傾斜していて、上記蓋片が、該開口縁の半周側部分である第1口縁部分に、上記第2筒部材の外側面に沿って折り返された状態に連設され、また、上記蓋用接着手段が、上記開口縁の他の半周側部分であって上記第1口縁部分とは左右対象をなす第2口縁部分の外側面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の捕獲具。
【請求項5】
上記第1筒部材が、基端部に閉塞手段を有していて、上記第2筒部材を接続したまま該基端部を径方向に押し潰すことにより、該基端部を上記閉塞手段で閉塞状態に保持可能であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の捕獲具。
【請求項6】
上記第2筒部材が、上記吸引口の閉塞時に電気掃除機によるエア吸引量を調整するための切り欠きを有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の捕獲具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−158337(P2006−158337A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357234(P2004−357234)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】