説明

吸気装置

【課題】 スロットル取付部より上流の吸気通路が湾曲していても、流入空気の流量に偏りが生じるのを抑制し、各シリンダへの流入空気を均等に分配できる吸気装置を提供すること。
【解決手段】
インテークマニホールド1は、図示しないスロットルの吸気通路11下流に配置されるスロットル取付部2と、スロットルが吸気した流入空気を整流及び充填するサージタンク3と、流入空気を図示しない4気筒エンジンのシリンダに分配する吸気管4a、4b、4c、4dと、前記スロットル取付部に固定される螺旋状の吸気整流機構5とを備える吸気装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に用いられる内燃機関の吸気側の流入空気を各シリンダに分配する吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内燃機関に設けられている吸気装置(インテークマニホールド)には流入空気を整流するサージタンクが設けられている。そして、サージタンク内のスロットル取付部と対向する面に、吸気入口に向かって突接する突接部を形成し、螺旋流を生じさせる吸気装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−65822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の構成では、突接部で吸入する流入空気を2等分にし螺旋流とするが、スロットル取付部より上流の吸気通路が湾曲して、湾曲部の内側と外側とで流入空気の流量に偏りが生じ、例えば直列4気筒エンジンの場合に1番2番のシリンダへの流入空気と、3番4番のシリンダへの流入空気が均等に分配されず、内燃機関の燃焼効率と性能を低下させる問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点を鑑みて成されたものであり、スロットル取付部より上流の吸気通路が湾曲していても、流入空気の流量に偏りが生じるのを抑制し、従来よりも各シリンダへの流入空気を均等に分配できる吸気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、スロットルの吸気通路下流に配置されるスロットル取付部と、前記スロットルが吸気した流入空気を整流するサージタンクと、流入空気を各シリンダに分配する吸気管と、前記サージタンクを含む前記スロットルと前記サージタンクとの間に螺旋状の吸気整流機構とを備える構成である。
【0007】
本発明の第2の課題解決手段は、前記吸気整流機構は、前記吸気通路側の入口から前記サージタンク側の出口までの開口面積が等しい形状である。
【0008】
本発明の第3の課題解決手段は、前記吸気整流機構は、前記吸気通路側から見て前記サージタンクの内部が見えない形状である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の吸気装置では、螺旋状の吸気整流機構を備えるため、スロットル取付部より上流の吸気通路が湾曲して、湾曲部の内側と外側とで流入空気の流量に偏りが生じる場合であっても、螺旋状の吸気整流機構によって、従来よりも各シリンダに均等に分配できる。
【0010】
また、スロットル取付部から近いシリンダとスロットル取付部から遠いシリンダとで流入空気の流量に偏りが生じる場合であっても、螺旋状の吸気整流機構によって、従来よりも各シリンダに均等に分配できる。
【0011】
更に、サージタンクとスロットルとの接合部に螺旋状の吸気整流機構を有するため、スロットルで乱れた流入空気も整流し各シリンダに均等に分配できる。
【0012】
請求項2の吸気装置では、吸気整流機構は、吸気通路側の入口からサージタンク側の出口までの開口面積が等しいため、流入空気の抵抗になるのを抑制できる。
【0013】
請求項3の吸気装置では、スロットルの吸気通路側から見てサージタンク内が見えないため、流入空気を吸気通路からサージタンクに直接に流入させることなく整流し、従来よりも各シリンダに均等に分配できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインテークマニホールドの説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るインテークマニホールドの背面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るインテークマニホールドの吸気整流機構の説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るインテークマニホールドの吸気整流機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係るインテークマニホールド1の説明図である。インテークマニホールド1は、スロットル10よりも吸気通路11下流に配置されるスロットル取付部2と、スロットル10が吸気した流入空気を整流及び充填するサージタンク3と、流入空気を図示しない4気筒エンジンのシリンダに分配する吸気管4a、4b、4c、4dと、前記スロットル取付部2に固定される螺旋状の吸気整流機構5とを備える。また、吸気通路11は、図示しない3本のボルトを用いてスロットル取付部2に取り付けられる。また、吸気通路11は左方向から伸びてきて湾曲部12で後方に湾曲してスロットル取付部2に取り付けられる。なお、インテークマニホールド1は樹脂成型品である。
【0017】
図2は、本発明の第1実施形態に係るインテークマニホールド1の背面図である。図2において右から順に吸気管4a、4b、4c、4dとなっており、吸気管4aは図示しないエンジンの1番シリンダ、吸気管4bは図示しないエンジンの2番シリンダ、吸気管4cは図示しないエンジンの3番シリンダ、吸気管4dは図示しないエンジンの4番シリンダに接続される。また、吸気管4a、4b、4c、4dは図示しない5本のボルトを用いて図示しないエンジンシリンダヘッドに取り付けられる。
【0018】
図3は、本発明の第1実施形態に係るインテークマニホールド1の吸気整流機構5の説明図である。吸気整流機構5は、中心に前方から後方に向かって貫通する円柱状の空洞を有し、空洞を囲う断面円状の部材から外側に向かって広がるように湾曲する4枚の羽を有し、吸気通路11側から見てサージタンク3の内部が見える形状である。また、吸気整流機構5は、吸気通路11側の吸気整流機構入口20から吸気整流機構出口21までの開口面積が等しい。
【0019】
本発明の第1実施形態の動作について説明する。
【0020】
スロットル10で吸気された流入空気が吸気通路11を通じてインテークマニホールド1に入る際、吸気通路11の湾曲部12の外側と内側で流入空気の流量に偏りが生じ、吸気通路11の湾曲部12より下流では流入空気が湾曲部12の外側になる吸気管4a、4b側に多く、湾曲部12の内側になる吸気管4c、4d側に少ない流量となる。しかし、スロットル取付部2に設けられた吸気整流機構5で、流入空気の風向きを変えて整流することで、流入空気はサージタンク3内に分散されて供給される。サージタンク3内に分散された流入空気は、吸気管4a、4b、4c、4dに均等に分配され、図示しないエンジンの1〜4番のシリンダに供給される。
【0021】
本実施形態の第1実施形態の効果について説明する。
【0022】
インテークマニホールド1は、スロットル取付部2に螺旋状の吸気整流機構5を備えるため、スロットル取付部2より上流の吸気通路11が湾曲して、湾曲部12の内側と外側とで流入空気の流量に偏りが生じる場合であっても、螺旋状の吸気整流機構5によって、従来よりも吸気管4a、4b、4c、4dに均等に分配できる。
【0023】
また、スロットル取付部2から近い吸気管4b、4cと、スロットル取付部2から遠い吸気管4a、4dとで流入空気の流量に偏りが生じる場合であっても、螺旋状の吸気整流機構5によって、従来よりも吸気管4a、4b、4c、4dに均等に分配できる。
【0024】
更に、サージタンク3とスロットル10との接合部2に螺旋状の吸気整流機構5を有するため、スロットル10での乱れた流入空気も整流し吸気管4a、4b、4c、4dに均等に分配できる。
【0025】
以上3つの効果から、吸気整流機構5は、気筒間の流入空気の流量の偏りが9.4%から4.1%に改善できる。
【0026】
また、吸気整流機構5は、吸気整流機構入口20から吸気整流機構出口21までの開口面積が等しいため、流入空気の抵抗になるのを抑制できる。
【0027】
図4は本発明の第2実施形態に係るインテークマニホールド1の吸気整流機構5aの説明図である。第1実施形態では図3に示すように、吸気整流機構5は、中心に前方から後方に向かって貫通する円柱状の空洞を有し、空洞を囲う断面円状の部材から外側に向かって広がるように湾曲する4枚の羽を有し、吸気通路11側から見てサージタンク3の内部が見える形状であるのに対し、第2実施形態では図4に示すように、吸気整流機構5aは、吸気整流機構5a中心より外側に向かって広がるように湾曲する3枚の羽を有し、吸気通路11側から見てサージタンク3の内部が見えない形状である。また、吸気整流機構5aは、吸気通路11側の吸気整流機構入口20aから吸気整流機構出口21aまでの開口面積が等しい。
【0028】
第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態では、流入空気を吸気通路11からサージタンク3に直接に流入させることなく整流し、第1実施形態に比べ各シリンダに均等に分配できる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に示す態様に変更しても良い。
【0030】
・第1及び第2実施形態では吸気整流機構5、5aはスロットル取付部2に取付けたが取付場所及び取付方法に限定されない。例えば、サージタンク3からスロットル10に向けて延在するステーを設け、吸気整流機構5、5aをステーに固定しても良い。このような取付方法であれば、流入空気の流れ方向においてスロットル10よりも下流かつスロットル取付部2よりも上流に吸気整流機構5、5aを取付けることもできる。この場合、流入空気の流れ方向において湾曲部12よりもできる限り下流側に吸気整流機構5、5aを設けることが望ましい。また、スロットル取付部2もしくは吸気通路11のスロットル取付部2側の開口端からサージタンク3に向けて延在するステーを設けた場合は、流入空気の流れ方向においてスロットル取付部2よりも下流側のサージタンク3内の流入空気入口部分に吸気整流機構5、5aを取付けることもできる。この場合、サージタンク3による流入空気の整流及び充填が阻害されない場所に設けることが望ましい。
【0031】
・第1及び第2実施形態ではインテークマニホールド1が樹脂製であるが、金属製でも良い。
【0032】
・第1及び第2実施形態では吸気整流機構が3枚ないしは4枚の羽を有するが、羽根の枚数に限定されない。
【0033】
・第1及び第2実施形態では4気筒エンジンを用いているが、2気筒以上のエンジンやロータリーエンジンに用いても良い。
【0034】
・第1及び第2実施形態ではインテークマニホールド1と吸気整流機構5とは別部材であるが、一体成形しても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 インテークマニホールド(吸気装置)
2 スロットル取付部
3 サージタンク
4a 吸気管
4b 吸気管
4c 吸気管
4d 吸気管
5、5a 吸気整流機構
10 スロットル
11 吸気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルの吸気通路下流に配置されるスロットル取付部と、
前記スロットルが吸気した流入空気を整流するサージタンクと、
流入空気を各シリンダに分配する吸気管と、
前記サージタンクを含む前記スロットルと前記サージタンクとの間に螺旋状の吸気整流機構とを備える吸気装置。
【請求項2】
前記吸気整流機構は、前記吸気通路側の入口から前記サージタンク側の出口までの開口面積が等しい形状であることを特徴とする請求項1に記載の吸気装置。
【請求項3】
前記吸気整流機構は、前記吸気通路側から見て前記サージタンクの内部が見えない形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−72330(P2013−72330A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210958(P2011−210958)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)