説明

周波数変換装置及び周波数変換方法

【課題】本発明は、同期信号の周波数に依存せずに周波数変換を開始可能な周波数変換装置及び周波数変換方法の提供を目的とする。
【解決手段】本願発明の周波数変換装置は、入力されたアナログ信号XmをNチャンネルの周波数帯に分波する分波部11と、各チャンネルのアナログ信号Xmを中間周波数信号IF1〜IFNに周波数変換する周波数変換部12−1〜12−Nと、中間周波数信号IF1〜IFNをサンプリングしてデジタル信号D1〜DNに変換するADC13−1〜13−Nと、各ローカル信号L〜Lの周期よりも長い時間間隔でありかつ各ローカル信号L〜Lと同期するタイミングごとに繰り返す参照時間Tを1周期としたときの、ADC13−1〜13−Nにおけるサンプリングの任意のタイミングにおける位相φを検出する位相検出部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変換装置及び周波数変換方法に関し、特にアナログ信号を複数の周波数帯に分波して周波数変換する際に生じる誤差を補正する周波数変換装置及び周波数変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域のアナログ信号を周波数変換する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の装置は、広帯域のアナログ信号を周波数帯域の異なる複数のチャンネルに分波し、チャンネルごとに周波数変換を行って中間周波数信号に変換し、中間周波数信号をデジタル信号に変換した後に、各デジタル信号の位相を合わせて各チャンネルのデジタル信号を合成する。
【0003】
特許文献1の装置では、各デジタル信号の位相を合わせるために、各ローカル信号を共通の同期信号に同期させて発生し、この同期信号の立ち上がり時に周波数変換を開始していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−246956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、同期信号の立ち上がり時に周波数変換を開始しているため、測定開始時のジッタ(バラツキ)が同期信号の周波数に依存するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、同期信号の周波数に依存せずに周波数変換を開始可能な周波数変換装置及び周波数変換方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の周波数変換装置及び周波数変換方法は、各ローカル信号の周期よりも長い時間間隔でありかつ前記各ローカル信号と同期するタイミングごとに繰り返す参照時間を1周期としたときの位相を検出することを特徴とする。
【0008】
具体的には、本願発明の周波数変換装置は、入力されたアナログ信号を複数の周波数帯に分波する分波部(11)と、前記分波部からのアナログ信号を、互いに同期しかつそれぞれ異なる周波数を有するローカル信号を用いて、周波数変換する前記複数個の周波数変換部(12−1〜12−N)と、前記各周波数変換部からの中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する前記複数個のADC(13−1〜13−N)と、前記複数個のADCからのデジタル信号の出力値をサンプリングのタイミングに関連付けて記憶する記憶部(18)と、前記各ローカル信号の周期よりも長い時間間隔でありかつ前記各ローカル信号の位相が同期するタイミングごとに繰り返す参照時間を1周期としたときの、前記複数個のADCのサンプリングの任意のタイミングにおける位相を検出する位相検出部(20)と、を備える。
【0009】
分波部と、複数個の周波数変換部と、複数個のADCと、記憶部と、を備えるため、ADCからのデジタル信号を合成することで、入力されたアナログ信号の周波数変換を行うことができる。また、位相検出部を備えるため、各ローカル信号の位相が一致するタイミングにおけるADCからの各デジタル信号の位相を算出することができる。これにより、本願発明の周波数変換装置は、同期信号の周波数に依存せずに周波数変換を開始することができる。
【0010】
本願発明の周波数変換装置では、前記参照時間を1周期とする同期信号を発生する同期信号発生部(15)をさらに備え、前記位相検出部は、前記同期信号発生部からの同期信号を、前記複数個のADCのサンプリングのタイミングと同期するタイミングでサンプリングしてデジタル信号に変換する同期信号サンプリング部(21)と、前記同期信号サンプリング部からのデジタル信号の出力値を検出する出力値検出部(22)と、前記出力値検出部からのデジタル信号の出力値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記同期信号サンプリング部のサンプリングの任意のタイミングにおける位相を算出する出力値算出部(23)と、を備えていてもよい。
【0011】
本願発明の周波数変換装置では、前記ADCのサンプリングのタイミングを示すクロック信号を発生するサンプリングクロック発生部(17)をさらに備え、前記位相検出部は、前記サンプリングクロック発生部からクロック信号が入力される度にカウンタ値を変更し、前記参照時間ごとにカウンタ値をリセットするカウンタ(25)と、前記カウンタのカウンタ値を検出するカウンタ値検出部(26)と、前記カウンタ値検出部からのカウンタ値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記カウンタにおいてカウンタ値を変更する任意のタイミングにおける位相を算出するカウンタ値算出部(27)と、を備えていてもよい。
【0012】
具体的には、本願発明の周波数変換方法は、入力されたアナログ信号を複数の周波数帯に分波し、互いに同期しかつそれぞれ異なる周波数を有するローカル信号を用いて周波数変換して中間周波数信号を出力し、中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、デジタル信号の出力値をサンプリングのタイミングに関連付けて記憶するとともに、前記各ローカル信号の周期よりも長い時間間隔でありかつ前記各ローカル信号の位相が同期するタイミングごとに繰り返す参照時間を1周期としたときの、前記サンプリングの任意のタイミングにおける位相を検出する位相算出手順を有する。
【0013】
入力されたアナログ信号を複数の周波数帯に分波し、互いに同期しかつそれぞれ異なる周波数を有するローカル信号を用いて周波数変換して中間周波数信号を出力し、中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、デジタル信号の出力値をサンプリングのタイミングに関連付けて記憶するため、各周波数帯のデジタル信号を合成することで、入力されたアナログ信号の周波数変換を行うことができる。また、参照時間を1周期としたときのサンプリングの任意のタイミングにおける位相を検出するため、各ローカル信号の位相が一致するタイミングにおける各デジタル信号の位相を算出することができる。これにより、本願発明の周波数変換方法は、同期信号の周波数に依存せずに周波数変換を開始することができる。
【0014】
本願発明の周波数変換方法では、前記位相算出手順において、前記参照時間を1周期とする同期信号を、前記中間周波数信号のサンプリングのタイミングと同期するタイミングでサンプリングしてデジタル信号に変換する同期信号サンプリング手順と、前記同期信号サンプリング手順で変換したデジタル信号の出力値を検出する出力値検出手順と、前記出力値検出手順で検出したデジタル信号の出力値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記同期信号のサンプリングの任意のタイミングにおける位相を算出する出力値算出手順と、を順に有していてもよい。
【0015】
本願発明の周波数変換方法では、前記位相算出手順において、前記参照時間ごとにカウンタ値をリセットするカウンタ(25)を用い、前記中間周波数信号のサンプリングのタイミングを示すクロック信号が入力される度にカウンタ値を変更するカウンタ値変更手順と、前記カウンタ値変更手順で変更後のカウンタ値を検出するカウンタ値検出手順と、前記カウンタ値検出手順で検出したカウンタ値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記カウンタ値を変更する任意のタイミングにおける位相を算出するカウンタ値算出手順と、を順に有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、同期信号の周波数に依存せずに周波数変換を開始可能な周波数変換装置及び周波数変換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る周波数変換装置の一例を示す。
【図2】入力されるアナログ信号Xmの一例を示す。
【図3】ローカル信号L〜Lと同期信号Rの関係の一例であり、(a)はローカル信号Lを示し、(b)はローカル信号Lを示し、(c)はローカル信号Lを示し、(d)は同期信号Rを示す。
【図4】実施形態1に係る位相検出部の一例を示す。
【図5】デジタル信号D1〜DNとデジタル信号Dの関係の一例であり、(a)はデジタル信号D1を示し、(b)はデジタル信号D2を示し、(c)はデジタル信号D3を示し、(d)はデジタル信号Dを示す。
【図6】実施形態2に係る周波数変換装置の一例を示す。
【図7】実施形態2に係る位相検出部の一例を示す。
【図8】デジタル信号D1〜DNとカウンタ値の関係の一例であり、(a)はデジタル信号D1を示し、(b)はデジタル信号D2を示し、(c)はデジタル信号D3を示し、(d)はカウンタ値Dを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0019】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る周波数変換装置の一例を示す。本実施形態に係る周波数変換装置は、分波部11と、周波数変換部12−1〜12−Nと、ADC13−1〜13−Nと、演算処理部14と、同期信号発生部15と、ローカル信号発生部16と、サンプリングクロック発生部17と、記憶部18と、校正用信号発生部19と、位相検出部20と、を備える。
【0020】
図2に、入力されるアナログ信号Xmの一例を示す。分波部11は、入力されたアナログ信号XmをN個(ただし、Nは2以上の整数。)のチャンネルCH1〜CHNの周波数帯に分波する。例えば、周波数フィルタ11−1がチャンネルCH1の周波数帯を抽出し、周波数フィルタ11−NがチャンネルCHNの周波数帯を抽出する。
【0021】
同期信号発生部15は、参照時間Tを1周期とする同期信号Rを発生する。ローカル信号発生部16は、同期信号Rと同期するローカル信号L〜Lを発生する。周波数変換部12−1〜12−Nは、分波部11からのアナログ信号Xmを、ローカル信号L〜Lを用いて周波数変換して中間周波数信号IF1〜IFNを出力する。
【0022】
図3は、ローカル信号L〜Lと同期信号Rの関係の一例であり、(a)はローカル信号Lを示し、(b)はローカル信号Lを示し、(c)はローカル信号Lを示し、(d)は同期信号Rを示す。ローカル信号L〜Lは、同期信号Rの周波数よりも高くかつチャンネルCH1〜CHNの周波数帯に対応するそれぞれ異なる周波数fL1〜fLNを有する。例えば、周波数fL1は、チャンネルCH1の中心周波数fC1と中間周波数信号IF1の周波数fIF1の差に等しい周波数である。同期信号Rは、時間t0から時間t20までの参照時間を1周期とし、参照時間Tごとに繰り返す。ローカル信号L〜Lと同期信号Rは、時間t0から時間t20ごとに位相が一致する。
【0023】
サンプリングクロック発生部17は、ADC13−1〜13−Nのサンプリングのタイミングを示すクロック信号Cを発生する。ADC13−1〜13−Nは、周波数変換部12−1〜12−Nからの中間周波数信号IF1〜IFNを、クロック信号Cに同期するタイミングでサンプリングしてデジタル信号D1〜DNに変換する。
【0024】
演算処理部14は、ADC13−1〜13−Nからのデジタル信号D1〜DNを、各チャンネルCH1〜CHNの周波数帯域に対応させて合成する。これにより、本実施形態に係る周波数変換装置は、入力されるアナログ信号Xmの周波数変換を行うことができる。
【0025】
本実施形態に係る周波数変換装置は、本実施形態に係る周波数変換方法を実行する。本実施形態に係る周波数変換方法は、位相算出手順を有する。位相算出手順では、分波部11が入力されたアナログ信号Xmを複数の周波数帯に分波し、周波数変換部12−1〜12−Nがローカル信号L〜Lを用いて周波数変換して中間周波数信号IF1〜IFNを出力し、ADC13−1〜13−Nが中間周波数信号IF1〜IFNをサンプリングしてデジタル信号D1〜DNに変換し、演算処理部14がデジタル信号D1〜DNの出力値をサンプリングのタイミングに関連付けて記憶部18に記憶する。
【0026】
また、位相算出手順では、位相検出部20が、サンプリングの任意のタイミングにおける同期信号Rの位相φを検出する。これによって、位相検出部20は、参照時間Tを1周期としたときの、ADC13−1〜13−Nのサンプリングの任意のタイミングにおける位相φを検出する。
【0027】
図4に、位相検出部20の構成例を示す。位相検出部20は、同期信号サンプリング部21と、出力値検出部22と、出力値算出部23と、を備える。この場合、位相算出手順において、同期信号サンプリング手順と、出力値検出手順と、出力値算出手順と、を順に実行する。
【0028】
同期信号サンプリング手順では、図4に示す同期信号サンプリング部21が、同期信号Rをクロック信号Cに同期するタイミングでサンプリングしてデジタル信号Dに変換する。このとき、同期信号サンプリング部21は、複数個のADC13−1〜13−Nのサンプリングのタイミングと同期するタイミングでサンプリングする。出力値検出手順では、図4に示す出力値検出部22が、同期信号サンプリング手順で変換したデジタル信号Dの出力値を、デジタル信号Dのサンプリングのタイミングと共に検出する。出力値算出手順では、図4に示す出力値算出部23が、出力値検出手順で検出したデジタル信号Dの出力値を用いて、参照時間Tを1周期としたときの、デジタル信号Dのサンプリングの任意のタイミングにおける位相を算出する。
【0029】
ここで、デジタル信号Dは、クロック信号Cに同期するタイミングでサンプリングされているため、デジタル信号DのサンプリングのタイミングはADC13−1〜13−Nのサンプリングと一致している。このため、出力値算出部23は、参照時間Tを1周期としたときの、ADC13−1〜13−Nのサンプリングの任意のタイミングにおける位相φを算出することができる。
【0030】
図5は、デジタル信号D1〜DNとデジタル信号Dの関係の一例であり、(a)はデジタル信号D1を示し、(b)はデジタル信号D2を示し、(c)はデジタル信号D3を示し、(d)はデジタル信号Dを示す。ADC13−1〜13−N及び同期信号サンプリング部21は、時間t0から時間t20までの参照時間Tの間に20回サンプリングする場合について示す。
【0031】
例えば、サンプリングの任意のタイミングが時間t5である場合、出力値検出部22は、時間t5から時間t20までのデジタル信号Dの出力値を検出する。出力値算出部23は、時間t5から時間t20までのデジタル信号Dの出力値をフーリエ変換することで、時間t5のタイミングにおける位相φを算出する。
【0032】
演算処理部14は、位相φを用いれば、ローカル信号L〜Lと同期信号Rの位相が一致する時間t0におけるローカル信号L〜Lの位相を算出することができる。
例えば、ローカル信号Lの位相φは、
φ=φ/(2πf)・(2πfc1
を用いて算出することができる。ローカル信号L〜Lの位相についても同様である。このため、同期信号Rの立ち上がり時に周波数変換を開始しない場合であっても、各デジタル信号D1〜DNの位相を合わせることができる。
【0033】
本実施形態に係る周波数変換装置は、デジタル信号D1〜DNの位相差を測定し、測定した位相差を用いて補正を行ってもよい。この場合、校正用信号発生部19は、各チャンネルCH1〜CHNの周波数帯の境界の周波数fa〜faを有する校正用信号Xrを発生する。例えば、チャンネルCH1及びCH2の周波数帯の境界の周波数faを有する校正用信号Xrを発生する。
【0034】
この場合、分波部11は、校正用信号XrをチャンネルCH1及びチャンネルCH2に分波する。周波数変換部12−1及びADC13−1は、校正用信号Xrを周波数変換してデジタル信号D1を演算処理部14に出力する。周波数変換部12−2及びADC13−2は、校正用信号Xrを周波数変換してデジタル信号D2を演算処理部14に出力する。記憶部18は、デジタル信号D1及びD2の出力値を、ADC13−1及び13−2におけるサンプリングのタイミングに関連付けて記憶する。位相検出部20が、同期信号Rのサンプリングの任意のタイミングにおける同期信号Rの位相φを検出する。
【0035】
このとき、ローカル信号L〜Lと同期信号Rの位相が一致する時間t0におけるローカル信号L及びローカル信号Lの位相φ及び位相φは、
φ=φ/(2πf)・(2πfc1
φ=φ/(2πf)・(2πfc2
となる。このため、φとφの差分を算出することで、ローカル信号L〜Lと同期信号Rの位相が一致する時間t0におけるデジタル信号D1及びD2の位相差を測定することができる。デジタル信号D2〜DNの位相差についても同様にして測定することができる。このように、本実施形態に係る周波数変換装置は、同期信号Rの立ち上がり時に周波数変換を開始せずに、デジタル信号D2〜DNの位相差を測定することができる。これにより、測定時におけるデジタル信号D2〜DNの位相差に含まれる、サンプリングの任意のタイミングに依存した各ローカル信号L〜Lの位相回転により生じる位相差を除去することができる。このため、同期信号Rの周波数fに依存する測定開始時のジッタ(バラツキ)を低減することができる。
【0036】
演算処理部14は、デジタル信号D1〜DNを合成してアナログ信号Xmを再構築する際に、測定したデジタル信号D1〜DNの位相差を補正したうえで、各チャンネルCH1〜CHNの周波数帯域に対応させて合成する。本実施形態に係る周波数変換装置は、同期信号Rの周波数に依存する測定開始時のジッタ(バラツキ)を低減することができるため、デジタル信号D1〜DNの位相差の補正を精度よく行うことができる。
【0037】
(実施形態2)
図6に、実施形態2に係る周波数変換装置の一例を示す。本実施形態に係る周波数変換装置は、図1に示す周波数変換装置と位相検出部20の構成及び動作において異なる。これに伴い、サンプリングクロック発生部17は、同期信号発生部15からの同期信号Rに同期するクロック信号Cを発生し、クロック信号CをADC13−1〜13−N及び位相検出部20に出力する。
【0038】
図7に、位相検出部20の構成例を示す。位相検出部20は、カウンタ25と、カウンタ値検出部26と、カウンタ値算出部27と、を備える。この場合、位相算出手順において、カウンタ値変更手順と、カウンタ値検出手順と、カウンタ値算出手順と、を順に実行する。
【0039】
カウンタ値変更手順では、カウンタ25が、サンプリングクロック発生部17からクロック信号Cが入力される度にカウンタ値Bを変更し、参照時間Tごとにカウンタ値Bをリセットする。カウンタ値検出手順では、カウンタ値検出部26が、カウンタ25のカウンタ値Bを、カウンタ値Bの出力タイミングとともに検出する。カウンタ値算出手順では、カウンタ値算出部27が、カウンタ値検出部26からのカウンタ値Bを用いて、参照時間Tを1周期としたときの、カウンタ25がカウンタ値Bを変更する任意のタイミングにおける位相φを算出する。
【0040】
ここで、クロック信号Cが入力される度にカウンタ値Bを変更するため、カウンタ値Bの出力タイミングは、ADC13−1〜13−Nのサンプリングのタイミングに一致している。このため、カウンタ値算出部27は、参照時間Tを1周期としたときの、ADC13−1〜13−Nのサンプリングの任意のタイミングにおける位相φを算出することができる。
【0041】
図8は、デジタル信号D1〜DNとカウンタ値Bの関係の一例であり、(a)はデジタル信号D1を示し、(b)はデジタル信号D2を示し、(c)はデジタル信号D3を示し、(d)はカウンタ値Bを示す。ADC13−1〜13−Nは、時間t0から時間t20までの参照時間Tの間に20回サンプリングする場合について示す。カウンタ25は、時間t0から時間t20までの参照時間Tの間に、クロック信号Cに同期して、カウンタ値Bを0から19まで1ずつ増加する。
【0042】
例えば、サンプリングの任意のタイミングが時間t5である場合、カウンタ値Bは06である。この場合、カウンタ値検出部26は、カウンタ25からのカウンタ値「06」を検出する。参照時間Tを1周期としたとき、カウンタ値Bの位相φはB/20・(2π)で表せる。カウンタ値算出部27は、06/20・(2π)を算出することで、時間t5のタイミングにおける位相φを算出することができる。
【0043】
演算処理部14は、位相φを用いれば、ローカル信号L〜Lと同期信号Rの位相が一致する時間t0におけるローカル信号L〜Lの位相を算出することができる。このため、同期信号Rの立ち上がり時に周波数変換を開始しない場合であっても、各デジタル信号D1〜DNの位相を合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は情報通信産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
11:分波部
11−1、11−2、11−N:周波数フィルタ
12−1、12−2、12−N:周波数変換部
13−1、13−2、13−N:ADC
14:演算処理部
15:同期信号発生部
16:ローカル信号発生部
17:サンプリングクロック発生部
18:記憶部
19:校正用信号発生部
20:位相検出部
21:同期信号サンプリング部
22:出力値検出部
23:出力値算出部
25:カウンタ
26:カウンタ値検出部
27:カウンタ値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたアナログ信号を複数の周波数帯に分波する分波部(11)と、
前記分波部からのアナログ信号を、互いに同期しかつそれぞれ異なる周波数を有するローカル信号を用いて周波数変換する前記複数個の周波数変換部(12−1〜12−N)と、
前記各周波数変換部からの中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する前記複数個のADC(13−1〜13−N)と、
前記複数個のADCからのデジタル信号の出力値をサンプリングのタイミングに関連付けて記憶する記憶部(18)と、
前記各ローカル信号の周期よりも長い時間間隔でありかつ前記各ローカル信号の位相が同期するタイミングごとに繰り返す参照時間を1周期としたときの、前記複数個のADCのサンプリングの任意のタイミングにおける位相を検出する位相検出部(20)と、
を備える周波数変換装置。
【請求項2】
前記参照時間を1周期とする同期信号を発生する同期信号発生部(15)をさらに備え、
前記位相検出部は、
前記同期信号発生部からの同期信号を、前記複数個のADCのサンプリングのタイミングと同期するタイミングでサンプリングしてデジタル信号に変換する同期信号サンプリング部(21)と、
前記同期信号サンプリング部からのデジタル信号の出力値を検出する出力値検出部(22)と、
前記出力値検出部からのデジタル信号の出力値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記同期信号サンプリング部のサンプリングの任意のタイミングにおける位相を算出する出力値算出部(23)と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換装置。
【請求項3】
前記ADCのサンプリングのタイミングを示すクロック信号を発生するサンプリングクロック発生部(17)をさらに備え、
前記位相検出部は、
前記サンプリングクロック発生部からクロック信号が入力される度にカウンタ値を変更し、前記参照時間ごとにカウンタ値をリセットするカウンタ(25)と、
前記カウンタのカウンタ値を検出するカウンタ値検出部(26)と、
前記カウンタ値検出部からのカウンタ値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記カウンタにおいてカウンタ値を変更する任意のタイミングにおける位相を算出するカウンタ値算出部(27)と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換装置。
【請求項4】
入力されたアナログ信号を複数の周波数帯に分波し、互いに同期しかつそれぞれ異なる周波数を有するローカル信号を用いて周波数変換して中間周波数信号を出力し、中間周波数信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、デジタル信号の出力値をサンプリングのタイミングに関連付けて記憶するとともに、前記各ローカル信号の周期よりも長い時間間隔でありかつ前記各ローカル信号の位相が同期するタイミングごとに繰り返す参照時間を1周期としたときの、前記サンプリングの任意のタイミングにおける位相を検出する位相算出手順を有する周波数変換方法。
【請求項5】
前記位相算出手順において、
前記参照時間を1周期とする同期信号を、前記中間周波数信号のサンプリングのタイミングと同期するタイミングでサンプリングしてデジタル信号に変換する同期信号サンプリング手順と、
前記同期信号サンプリング手順で変換したデジタル信号の出力値を検出する出力値検出手順と、
前記出力値検出手順で検出したデジタル信号の出力値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記同期信号のサンプリングの任意のタイミングにおける位相を算出する出力値算出手順と、
を順に有することを特徴とする請求項4に記載の周波数変換方法。
【請求項6】
前記位相算出手順において、
前記参照時間ごとにカウンタ値をリセットするカウンタ(25)を用い、前記中間周波数信号のサンプリングのタイミングを示すクロック信号が入力される度にカウンタ値を変更するカウンタ値変更手順と、
前記カウンタ値変更手順で変更後のカウンタ値を検出するカウンタ値検出手順と、
前記カウンタ値検出手順で検出したカウンタ値を用いて、前記参照時間を1周期としたときの、前記カウンタ値を変更する任意のタイミングにおける位相を算出するカウンタ値算出手順と、
を順に有することを特徴とする請求項4に記載の周波数変換方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−205449(P2011−205449A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71418(P2010−71418)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、電波資源拡大のための研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)