周波数検出方法、サンプリング装置および波形観測システム
【課題】 サンプリング対象の信号の周波数を正確に検出する。
【解決手段】 仮のサンプリング周波数Fsで被測定信号をサンプリングし(S1)、得られた信号のうち、サンプリング周波数Fsの1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数Fhを検出する(S2)。サンプリング周波数を所定量ΔFsだけ変化させ(S3)、そのときの特定信号の周波数変化量ΔFhを検出し(S4)、次式により被測定信号の周波数Fxを算出する(S5)。
Fx=Fh−Fs・ΔFh/ΔFs ……(0>ΔFhの場合)
Fx=−Fh+Fs・ΔFh/ΔFs ……(0<ΔFhの場合)
【解決手段】 仮のサンプリング周波数Fsで被測定信号をサンプリングし(S1)、得られた信号のうち、サンプリング周波数Fsの1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数Fhを検出する(S2)。サンプリング周波数を所定量ΔFsだけ変化させ(S3)、そのときの特定信号の周波数変化量ΔFhを検出し(S4)、次式により被測定信号の周波数Fxを算出する(S5)。
Fx=Fh−Fs・ΔFh/ΔFs ……(0>ΔFhの場合)
Fx=−Fh+Fs・ΔFh/ΔFs ……(0<ΔFhの場合)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号に対するサンプリングを行ってその波形情報を取得し、観測するためのシステムにおいて、信号の周波数を正確に検出し、安定な波形情報の取得と観測ができるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高速な繰り返し信号で変調された光信号の波形のデータを取得して観測するために、図14に示す波形観測装置10が用いられている。
【0003】
この波形観測装置10は、入力される光信号Pの波形の繰り返し周期TxのN倍(Nは1以上の任意の整数で例えば100、1000等)より所定値(オフセット遅延時間)ΔTだけ長い繰り返し周期Ts(=N・Tx+ΔT)をもち、パルス幅が狭い光サンプリングパルスPsを光サンプリングパルス発生手段11によって生成する。
【0004】
そして、その生成された光サンプリングパルスPsを光サンプリング部12に入力し、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光を光電変換して電気のパルス信号Eoに変換し、このパルス信号Eoの振幅強度をA/D変換器13によってデジタルのデータに変換して波形データメモリ14に記憶し、この波形データメモリ14に記憶された一連の波形データを表示制御手段15が読み出して表示器16に波形表示する。
【0005】
このようなサンプリング方式の波形観測装置10では、図15の(a)に示すように、光信号Pの繰り返し波形がN回連続して入力される毎に、光サンプリングパルスPsによるサンプリングタイミングが図15の(b)のように、ΔT時間ずつシフトしていくため、周期Txに比べて格段に低速なサンプリングで、光信号Pの波形を高分解能でサンプリングすることができ、これを表示器16の画面上で観測することができる。
【0006】
このようなサンプリング方式の波形観測装置は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−071725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような波形観測装置10に要求される観測モードには、パーシステンスモード、平均化モード等がある。
【0009】
パーシステンスモードは、光信号Pをサンプリングしてその取得データを表示器の画面上にある一定時間表示し、その残像によって測定波形を表示するという動作を繰り返すモードであり、光信号の波形の変化をほぼリアルタイムに観測することができる。
【0010】
また、平均化モードは、複数のデータ取得期間分の波形データの平均化処理を行い、その平均化された波形を表示するモードであり、ノイズ成分を除去した波形観測が可能となる。
【0011】
上記のように光信号の波形を残像によって表示していく観測モードの場合、サンプリングが光信号Pの繰り返し波形の同一位相位置から開始されないと、表示される波形が時間軸方向に毎回ずれたり、平均化モードでは平均化処理が正しく行なえず波形を正しく再現できなくなり、また、波形の位相や振幅の変動の大きさを正しく把握できなくなる。
【0012】
このため、入力する信号の波形の繰り返し周期、あるいはその信号自体の周波数(ビットレート)が既知である必要がある。
【0013】
しかし、場合によっては、観測対象の波形の繰り返し周期や周波数の概略値は分かっていても、その正確な値が不明な状況があり、このような状況では、観測対象の波形に対して正しいサンプリング周期の設定が行えず、所望の波形を観測できない。
【0014】
また、この種の波形観測装置において、狭い幅の光サンプリングパルスを生成したり、光同士のミキシングを行なう光ミキサ等が必要であり、表示部を含めると装置全体が複雑化し高価になるという別の問題がある。
【0015】
本発明は、これらの問題を解決して、サンプリング結果から信号の周波数を正確に検出できる周波数検出方法およびこれを用いて安定な波形情報の取得と観測ができ、さらに、システム全体を簡易に構成することができるサンプリング装置および波形観測システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の周波数検出方法は、
被測定信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングして得られた信号のうち、該サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数を求める段階(S1、S2)と、
前記被測定信号に対するサンプリング周波数を前記所定のサンプリング周波数から所定量変化させたときの前記特定信号の周波数変化量を求める段階(S3、S4)と、
前記所定のサンプリング周波数と、該所定のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記被測定信号の波形の繰り返し周波数を算出する段階(S5)とを含んでいる。
【0017】
また、本発明の請求項2のサンプリング装置は、
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記クロック信号を外部へ出力するためのクロック出力端子(21b)と、
前記サンプリング部から出力された信号を外部へ出力するためのサンプル信号出力端子(21c)とを備えている。
【0018】
また、本発明の請求項3の波形観測システムは、
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記サンプリング部から出力される信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(43)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(45)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記クロック信号に同期して前記波形データメモリに書き込むデータ取得制御手段(44)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(46、47)とを備えている。
【0019】
また、本発明の請求項4の波形観測システムは、請求項3の波形観測システムにおいて、
前記特定信号周波数検出手段は、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる複数の特定信号の周波数をそれぞれ検出し、
前記繰り返し周波数算出手段は、前記特定信号周波数検出手段によって検出された複数の特定信号についての周波数変化量に基づいて、前記入力信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムを求めるように構成され、
さらに、前記波形表示手段は、前記繰り返し周波数算出手段によって得られたスペクトラムを周波数軸上に表示できるように構成されている。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明の周波数検出方法は、サンプリング周波数を変化させたときの特定信号の周波数変化量から入力信号の繰り返し周波数を求めているので、入力信号の波形繰り返し周波数を高精度に検出でき、サンプリング装置あるいは波形観測システムにおいては、そのサンプリング構造を利用するだけで、周波数未知の信号に対するサンプリング周波数の設定を正確に行うことができる。
【0021】
また、本発明のサンプリング装置および波形観測システムは、上記周波数検出方法を用いて入力信号の繰り返し周波数を正確に求めて、サンプリング周波数を設定しているので、サンプリング対象の波形の繰り返し周期と装置が高い精度で同期し、波形情報の安定な取得と観測が可能となる。
【0022】
また、本発明のサンプリング装置では、サンプリング部から出力されたパルス信号、クロック信号およびトリガ用信号を、出力端子を介して外部へ出力できるようにしているので、手持ちのデジタルオシロスコープを併用することで、波形観測システムを安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
始めに、本発明の周波数検出方法の原理について説明する。
【0024】
被測定信号を単一周波数Fxの正弦波と仮定し、これを仮のサンプリング周波数Fsでサンプリングして得られる信号Sxの周波数成分について考察する。
【0025】
サンプリングパルスが幅無限小の理想パルスであれば、その周波数成分は、図1に示すように、周波数n・Fsの各スペクトラムを有する(n=0,1,2,…)。
【0026】
したがって、このサンプリングパルスでサンプリングして得られた信号Sxには、被測定信号の周波数Fxと各周波数i・Fsとの差および和の成分が含まれる。
【0027】
この中で最も周波数が低い成分は、図2の(a)、(b)に示すように、周波数Fxに最も近い周波数n・Fsのスペクトラム成分との差周波数あるいは周波数(n+1)・Fsのスペクトラム成分との差周波数であり、その差周波数Fhは、次のように表すことができる。
【0028】
Fh=mod[Fx,Fs] ……(mod[Fx,Fs]≦Fs/2の場合)
Fh=(Fs/2)−mod[Fx,Fs]
……(mod[Fx,Fs]>Fs/2の場合)
ただし、記号mod[A,B]は、AをBで割ったときの余りを表す。
【0029】
この差周波数Fhは最大でFs/2なので、帯域上限Fs/2の低域通過フィルタを用いることで簡単に抽出することができる。
【0030】
ここで、サンプリング周波数Fsの微小な変化∂Fsに伴う差周波数Fhの変化∂Fhは、差周波数Fhを周波数Fsについて微分した次の式で与えられる。
【0031】
∂Fh/∂Fs=−quotient[Fx,Fs]
……(0<mod[Fx,Fs]<Fs/2の場合)
∂Fh/∂Fs=1+quotient[Fx,Fs]
……(mod[Fx,Fs]>Fs/2の場合)
ただし、記号quotient[A,B]は、AをBで割ったときの整数商を表す。
【0032】
上記結果、および、次の商と余りの関係、
mod[Fx,Fs]=Fx−Fs・quotient[Fx,Fs]
から、被測定信号の周波数Fxは、次の演算で求めることができる。
【0033】
Fx=Fh−Fs・∂Fh/∂Fs ……(0>∂Fhの場合)
Fx=−Fh+Fs・∂Fh/∂Fs ……(0<∂Fhの場合)
【0034】
図3はその周波数検出の手順の一例を示すフローチャートである。
即ち、仮のサンプリング周波数Fsで被測定信号をサンプリングし(S1)、そのサンプリングによって得られた信号のうち、サンプリング周波数Fsの1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数Fhを検出する(S2)。
【0035】
そして、サンプリング周波数を所定量ΔFs(例えば1Hz)だけ変化させ(S3)、そのときの特定信号の周波数変化量ΔFhを検出する(S4)。
【0036】
そして、サンプリング周波数Fsとその変化量ΔFs、特定信号周波数Fhとその変化量ΔFhとを次式(1)に代入することで、被測定信号の周波数Fxを算出する(S5)。
【0037】
Fx=Fh−Fs・ΔFh/ΔFs ……(0>ΔFhの場合)
Fx=−Fh+Fs・ΔFh/ΔFs ……(0<ΔFhの場合)
……(1)
【0038】
波形情報を取得して観測するシステムの場合には、この周波数検出処理を被測定信号について予め行い、それによって得られた周波数Fxに対応したサンプリング周波数Fsを設定すれば、被測定信号の波形情報の取得および観測を正確に行うことができる。
【0039】
ここで、誤差について考察すると、∂Fh/∂Fsの値は、上記定義から整数であるから、実際の測定で得られるΔFh/ΔFsが整数とならない場合、その値の少数点以下を四捨五入して整数化することで、測定誤差をなくすことができる。
【0040】
また、サンプリング周波数の値は、システム自体が与える値であるため、誤差は発生しない。
【0041】
さらに、特定信号の周波数Fhの測定誤差は、FFT処理などのデジタル信号処理の分解能で決まり、容易に数Hz以下にすることができる。
【0042】
これらのことから、被測定信号の周波数Fxの測定誤差も、数Hz以下の精度が得られる。この誤差は、例えば繰り返し周波数10GHzに対して10−10となり、極めて高精度に繰り返し周波数を検出することができる。
【0043】
なお、上記説明は、被測定信号が単一周波数Fxの正弦波と仮定したものであるが、実際の観測対象となる被測定信号には、通常複数の周波数成分が含まれている。
【0044】
即ち、被測定信号がデータによりNRZ形式で変調された信号である場合、その変調データの符号長に等しい周期(波形繰り返し周期)に対応した周波数を下限とし、多数の周波数成分Fx(i)が存在する場合が考えられ、各周波数成分のレベルは変調データのパターンに依存する。
【0045】
例えば、変調データが10Gbpsで(10)の2ビットデータの場合、ビットレートの1/2の周波数成分5GHzとその高調波成分が存在するが、そのレベルは、ビットレートの1/2の周波数成分が最も高くなる。
【0046】
また、変調データが10Gbpsで(1111100000)の10ビットデータの場合には、ビットレートの1/10の周波数成分1GHzとその高調波成分が存在するが、そのレベルは、ビットレートの1/10の周波数成分1GHzが最も高くなる。
【0047】
また、上記にように1の期間と0の期間が交互に且つ等しい長さで現れるデューティ比50パーセントの単純なパターンではなく、(1100011100)のように1符号内に1の期間や0の期間が複数回現れるパターンの場合には、ビットレートの1/2の周波数成分や符号長に等しい周期に対応した周波数成分のレベルより、ビットレートの1/5の周波数成分2GHzのレベルの方が大きくなる。
【0048】
このように信号波形の繰り返し周波数と一致しなくても、レベルが大きい周波数成分を特定信号としてその周波数を検出する方がS/Nの点で有利となり、この特定信号の周波数から繰り返し周波数を求めたほうが精度的に有利である。
【0049】
これを自動的に行う場合には、特定信号周波数検出処理において、サンプリングされた信号のスペクトラムを解析し、各周波数成分のうち最もレベルの高い信号成分を選択してその周波数を検出することで実現できる。また、手動で行う場合には、観測対象の波形のデータからレベルが最も高くなると思われる周波数の概略値を設定し、特定信号周波数検出処理において、その設定値に対応した信号成分の周波数を検出すればよい。
【0050】
図4は、上記の周波数検出方法を用いた波形観測システム20の構成を示している。
この波形観測システム20は、サンプリング装置21とデジタルオシロスコープ60によって構成されている。
【0051】
サンプリング装置21は、入力端子21aから入力される光信号Pを幅の狭い光パルスによってサンプリングしてその波形情報を取得するためのものであり、デジタルオシロスコープ60は、このサンプリングによって得られた波形情報を記憶し、表示する。
【0052】
このサンプリング装置21は、観測対象の波形の繰り返し周期が正確に分かっているような場合に指定する手動設定モードと、観測対象の波形の繰り返し周期が不明あるいはその概略値しかわからない場合に指定する自動設定モードとを有し、図示しない操作部の操作等によってそのモードを指定できるようになっている。
【0053】
パラメータ指定手段22は、図示しない操作部の操作等によって、光信号Pの波形の繰り返し周期Txとサンプリングのオフセット遅延時間ΔTに対応する情報を指定するためのものであり、前記手動設定モードのときには、正確な繰り返し周期Txを指定する。また、自動設定モードの場合には、その概略値Tx′を指定するか、なにも指定しない。
【0054】
なお、この指定情報は、周期値だけでなく、それに対応した周波数値であってもよく、また、予め設定されている値から一つを指定する番号等の情報であってもよい。
【0055】
また、信号の周期と周波数とは、その一方が決まれば他方が一義的に特定されるので、本明細書において「周期」およびその関係を「周波数」およびその関係に置き換えたものや、逆に「周波数」およびその関係を「周期」およびその関係に置き換えたものも本発明に含まれるものとする。
【0056】
演算手段23は、パラメータ指定手段22によって指定された情報または後述する繰り返し周波数算出手段28によって得られた情報に基づいて、被測定信号の繰り返し周期Tx(またはその概略値)の整数(N)倍に対してオフセット遅延時間ΔTだけ差のあるサンプリング周期Ts(サンプリング周波数Fs)を算出する。
【0057】
また、この演算手段23は、算出したサンプリング周期で観測対象の波形の1周期分のデータをΔTの分解能で得るのに必要な時間をトリガ周期Tg(周波数Fg)として算出する。
【0058】
即ち、サンプリング周波数Fs(=1/Ts)は、Ts=N・Tx+ΔTの関係から、
Fs=Fx/(N+Fx・ΔT)
の演算によって求められる。
【0059】
また、トリガ周波数Fgは、前記したように、
Fg=mod[Fx,Fs]=Fs・Fx・ΔT
の演算によって得られる。
【0060】
例えば、Fx=1GHz、ΔT=0.1ps、サンプリング周波数Fsの設定可能範囲を10MHz±1kHzとすると、
109/(N+109・0.1×10−12)
が、9.999MHzから10.001MHzの範囲に入る整数Nを求め、そのNについてFs=Fx/(N+Fx・ΔT)を満たす周波数Fsを求めればよく、上記数値例では、N=100、Fs=9.99999MHzが得られる。
【0061】
また、
Fx/Fs=N+Fx・ΔT
であるから、FxをFsで割った余りをDとすれば、
D/Fs=Fx・ΔT(<1)
と表すことができる。よって、余りDは、
D=Fs・Fx・ΔT
となる。
【0062】
したがって、上記数値例のトリガ周波数Fgは、
Fg=9.99999×106・1×109・0.1×10−12
=9.99999×102(Hz)
となる。
【0063】
信号発生手段24は、演算手段23で算出されたサンプリング周波数Fsのクロック信号C、後述する光サンプリングパルス発生手段25で幅の狭いパルス光を生成させるために必要な高い周波数の信号Uおよび周波数Fgのトリガ用信号Gを生成して出力する。
【0064】
この信号発生手段24の構成は任意であるが、例えば安定で精度の高い基準信号(例えば1GHz±1MHz)を逓倍して信号Uを生成し、その信号Uを分周して上記クロック信号Cおよびトリガ用信号Gを発生するように構成されている。
【0065】
光サンプリングパルス発生手段25は、信号発生手段24が出力するクロック信号Cと等しい周期の光サンプリングパルスPsを発生する。
【0066】
この光サンプリングパルス発生手段25が発生する光サンプリングパルスPsのパルス幅は、サンプリングの時間分解能の上限を決定するものであり、パルス幅が狭い程、高い時間分解能でサンプリングを行なうことができる。
【0067】
この狭い光サンプリングパルスを得るために、光サンプリングパルス発生手段25は、例えば図5に示しているように、光源25aから出射される連続光CWを変調器25bに入射して信号Uで変調して、図6の(a)のように比較的狭い幅のパルス光Paを信号Uの周期Tuで生成し、そのパルス光Paを間引手段25cに入力する。
【0068】
間引手段25cは、クロック信号Cの周期で短時間だけオンする光スイッチを有し、図6の(b)のようにクロック信号Cの周期Tsのパルス光Pbを出力する。このパルス光Pbは自動利得制御型のファイバアンプ25dに入力され、適正な強度のパルス光Pb′に増幅されて分散減少ファイバ25eに入射される。この適正な強度のパルス光Pb′を受けた分散減少ファイバ25eからは、図6の(c)のように幅が狭い(例えば0.1ps以下)の光サンプリングパルスPsが周期Tsで出射される。
【0069】
なお、この光サンプリングパルス発生手段25から出射される光サンプリングパルスPsは、クロック信号Cに同期するように設定されている。
【0070】
この光サンプリングパルスPsは、光サンプリング部26に入射される。
光サンプリング部26は、例えば、図7に示しているように、光ミキサ26aと光電変換器26bとからなり、入力端子21aから入力される光信号Pと光サンプリングパルスPsとを光ミキサ26aに入力して、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光Poを光電変換器26bによって電気のパルス信号Eoに変換して出力する。
【0071】
特定信号周波数検出手段27は、後述の繰り返し周波数算出手段28とともに自動設定モードが指定されたときに動作し、光サンプリング部28から出力されるパルス信号Eoを受け、そのパルス信号Eoに含まれる信号成分のうち、サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数Fhを検出する。
【0072】
この特定信号周波数検出手段27は、例えば、図8に示すように、パルス信号EoをA/D変換器27aに入力してそのピーク値をクロック信号Cに同期してサンプリングしデジタル値に変換し、そのデジタル値列に対して、デジタルフィルタ27bにより、サンプリング周波数の1/2以下の帯域制限処理を行い、さらに演算処理部27cにより、FFT(高速フーリエ変換)演算等の処理を行って、例えばレベルが最も高い信号成分を特定信号とし、その周波数Fhを求める。
【0073】
繰り返し周波数算出手段28は、自動設定モードが指定された場合に、信号発生手段24を制御し、入力信号に対するサンプリング周波数を微小変化させたときの特定信号の周波数の変化量を求め、その変化量に基づいて、入力信号の正確な繰り返し周波数Fxを求め、これを演算手段23に設定する。
【0074】
なお、信号発生手段24が生成したクロック信号Cはクロック出力端子21bを介して外部に出力できるようになっており、同様に、パルス信号Eo、トリガ用信号Gもそれぞれサンプル信号出力端子21c、トリガ出力端子21dを介して外部へ出力できるように構成されている。
【0075】
このサンプリング装置21の各出力端子21b〜21dは、デジタルオシロスコープ60の外部クロック入力端子60a、第1チャネル入力端子60b、第2チャネル入力端子60cにそれぞれ接続されている。
【0076】
デジタルオシロスコープ60は、各チャネル入力端子60b、60cから入力される信号に対するA/D変換処理を外部クロック入力端子60aに入力されるクロック信号に同期して行う外部クロック同期機能と、任意に指定したチャネル入力端子またはトリガ入力端子の入力信号の電圧が任意に設定したしきい値を所定方向に越えたタイミングから一定時間(後述する時間軸の表示幅および表示ポイント数等に依存する)が経過する間にA/D変換処理によって得られたデータを波形データとしてチャネル毎に記憶する外部トリガ機能と、その記憶した波形データを時間軸上に表示する波形表示機能とを有しており、この波形表示のモードとして、前記したパーシステンス表示モード、平均化表示モードのいずれかを任意に選択できるように構成されている。
【0077】
次に上記波形観測システム20の動作を説明する。
始めに、例えば図9の(a)に示すようにデューティ比50パーセントのほぼ矩形波の光信号Pを入力端子21aに入力し、その波形の概略の繰り返し周期Tx′(周波数Fx′)およびサンプリングのオフセット遅延時間ΔTに対応した情報をパラメータ指定手段22によって指定するとともに、図示しない操作部により自動設定モードを指定する。
【0078】
演算手段23は、指定された概略の繰り返し周波数Fx′とオフセット遅延時間ΔTに基づいて、仮のサンプリング周波数Fs′、トリガ周波数Fg′をそれぞれ算出し、信号発生手段24に設定する。なお、繰り返し周波数Tx′の指定がない状態で、自動設定モードが指定された場合、演算手段23は、規定値、例えば10MHzを繰り返し周波数Fx′として演算を行う。
【0079】
このため、信号発生手段24からは、仮のサンプリング周波数Fs′のクロック信号Cが出力され、光信号Pに対してサンプリング周波数Fs′によるサンプリングが行われ、そのサンプリングで得られたパルス信号Eoが特定信号周波数検出手段27に入力される。
【0080】
特定信号周波数検出手段27は、そのパルス信号Eoに含まれる周波数成分のうち、サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる最もレベルが高い周波数成分を特定信号とし、その周波数Fh′を検出する。
【0081】
この光信号の波形の場合、サンプリングに用いられる光サンプリングパルスPsのスペクトラムは、図10のように周波数Fs′間隔で現れ、光信号Sの波形のスペクトラムは周波数Fxの間隔で現れ、しかも、高次のもの程レベルが小さくなる。
したがって、特定信号周波数検出手段27は、最低次の周波数Fxと、その周波数Fxに最も近いサンプリング周波数成分n・Fs′との差周波数Fh′を特定信号の周波数として求め、繰り返し周波数算出手段28に出力する。
【0082】
このようにして仮のサンプリング周波数Fs′についての特定信号の周波数Fh′が得られると、繰り返し周波数算出手段28は、この周波数Fh′を記憶するとともに、信号発生手段24に対して、サンプリング周波数を所定量(例えば1Hz)変化させるように指示する。
【0083】
この指示を受けた信号発生手段24により、入力信号に対する仮のサンプリング周波数が所定量ΔFsだけ変化し、この変化に伴って、特定信号周波数検出手段27によって検出される特定信号の周波数がΔFhだけ変化することになり、この変化量から光信号の波形の繰り返し周波数Fxが次式により算出され、演算手段23に設定される。
【0084】
Fx=Fh′−Fs′・ΔFh/ΔFs′
【0085】
演算手段23は、この繰り返し周波数算出手段28によって算出された正確な繰り返し周波数Fxに基づいて入力信号に正確に対応した正規のサンプリング周波数Fsおよびトリガ周波数Fgを計算し、信号発生手段24に設定する。
【0086】
これによって、光信号Pの波形の繰り返し周期Txに対し、N・Tx+ΔTに等しい周期を有するクロック信号Cと光サンプリングパルスPsが図9の(b)、(c)のように生成され、光信号Pがサンプリングされ、そのサンプリングで得られたパルス信号Eoが、図9の(d)のように光サンプリング部28からサンプル信号出力端子21cを介してデジタルオシロスコープ60の第1チャネル入力端子60bに入力される。
【0087】
また、信号発生手段24からは、図11の(b)のようにパルス信号Eoのピークを結ぶ包絡線の波形の周期と等しい周期のトリガ用信号Gが生成され、トリガ出力端子21dを介してオシロスコープ60の第2チャネル入力端子60cに入力される。なお、図11の(a)は図9の(d)の波形の時間軸を縮めて示したものである。
【0088】
デジタルオシロスコープ60は、パルス信号Eoに対するA/D変換処理をクロック信号Cに同期して行い、パルス信号Eoのピーク点を結ぶ包絡線のデータを光信号波形データとして順次出力し、トリガ用信号Gがトリガレベルを所定方向に超えるタイミングから、その波形データの取得を開始する。
【0089】
このため、デジタルオシロスコープ60の画面上に、例えば図12のように、光信号Pの波形がオフセット遅延時間ΔT間隔のポイントで残像表示される。
【0090】
オシロスコープ60は、トリガ用信号Gがトリガレベルを所定方向に超えるタイミング毎に波形データの取得を開始して、波形を更新表示するが、前記したように、サンプリング装置20のサンプリング周波数やトリガ周波数は、入力される光信号Pの波形の繰り返し周波数に対して正確に対応しているので、常に表示される波形の位置がずれることはなく、安定な波形観測を行うことができる。
【0091】
また、上記説明では、観測対象の波形がデューティ比50パーセントの矩形波で、最低次の特定信号のレベルが最大となる場合について説明したが、例えばビットレート10Gbpsで、NRZデータ(1100011100)の10ビットの波形が繰り返される場合、その繰り返し周波数Fxは、10/10=1GHzとなるが、波形に含まれる各周波数成分のレベルを考慮すると、1GHzの成分よりも、その2倍の10/2=2GHzの成分の方が大きい。
【0092】
これはパルス信号Eoに含まれる信号についても言えることであり、前記したように波形1周期分相当の繰り返し周波数Fxについて最低次の特定信号の周波数成分は、そのレベルが低く周波数算出を正確に行えない場合があるが、このような場合でも、特定信号周波数検出手段27は、サンプリング周波数の1/2以下の帯域内の信号成分のうち、最もレベルの高い信号成分を特定信号として選択し、その周波数を検出しているので精度の低下は起こらない。
【0093】
また、上記波形観測システム20は、サンプリング装置21とデジタルオシロスコープ60とで構成されていたが、サンプリング装置21とデジタルオシロスコープ60の機能とを共通の筐体内に収容して一体化した波形観測システムを構成することも可能である。
【0094】
図13は、その波形観測システム40の構成例を示すものであり、前記したサンプリング装置21の各構成要素の他に、A/D変換器43、データ取得制御手段44、波形データメモリ45、表示制御手段46、表示器47および観測モード指定手段48を備えている。
【0095】
A/D変換器43は、光サンプリング部26から出力されるパルス信号Eoに対するA/D変換処理を、クロック信号C(またはクロック信号Cに同期したより高速のクロック信号でもよい)を受ける毎に行い、そのA/D変換処理によって得られたパルス信号Eoのピーク値のデータDpをデータ取得制御手段44に出力する。
【0096】
データ取得制御手段44は、トリガ用信号Gの立ち上がり(または立ち下がり)タイミングから、波形データメモリ45に対するデータDpの書き込みをクロック信号Cに同期して開始し、所定数のデータの書き込みが終了すると、次にトリガ用信号Gの立ち上がるまで待機するという動作を繰り返す。なお、波形データメモリ45に書き込むデータの数は、後述する表示器47に表示される時間軸の表示ポイント数に対応する。
【0097】
表示制御手段46は、表示器47とともに波形表示手段を形成するものであり、時間軸と電圧軸とからなる座標画面を表示器47に表示させ、波形データメモリ45に記憶された一連のデータDpを読み出して、座標画面上にプロット表示して、その読み出した一連のデータDpに対応する波形を表示する。
【0098】
なお、この表示制御手段46は、観測モード指定手段48によって指定された観測モードに応じて、波形データメモリ45に記憶されたデータDpに対する加工処理および表示処理を行う。
【0099】
即ち、パーシステンスモードが指定された場合、波形データメモリ45に記憶された一連のデータDpを残像を残すことで波形表示し、平均化モードが指定された場合、波形データメモリ45に記憶された一連のデータDpを所定組求めて、その平均化処理を行い、その平均化処理で得られた一連のデータを重ねて波形として表示する。
【0100】
このように構成された波形観測システム40の動作は、前記波形観測システム20同様であり、光信号の繰り返し周波数を正確に求め、その繰り返し周波数に対応したサンプリング周波数とトリガ周波数が設定されるので、繰り返し周波数が未知あるいは概略値しかわからない波形であっても、安定に表示させることができる。
【0101】
なお、被測定信号の波形の情報を単発的に取得して表示する場合には、上記のように周期的なトリガ用信号Gを生成する必要がなく、例えば手動のトリガ操作に応じて1回だけ立ち上がるトリガ用信号Gを出力すればよい。そして、サンプリング周波数を変えて被測定信号をサンプリングすることで、前記同様に光信号の繰り返し周波数を求めることができ、その正確な繰り返し周波数に正しく対応したサンプリング周波数を設定して、上記トリガ操作を行うことで、被測定信号の波形を正確に表示させることができる。
【0102】
また、上記した波形観測システム40のように表示機能を有している場合、入力信号のスペクトラムを表示することも可能である。
この場合、特定信号周波数検出手段27が、サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる複数の特定信号の周波数とレベルをそれぞれ検出して、繰り返し周波数算出手段28に出力する。
【0103】
また、繰り返し周波数算出手段28が、特定信号周波数検出手段27によって検出された複数の特定信号についての各周波数変化量に基づいて、入力信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムを求め、これを図13の点線で示すように波形表示制御手段46に出力する。
【0104】
波形表示制御手段46は、自動設定モードが指定されているときに繰り返し周波数算出手段28によって得られたスペクトラムを表示器47の周波数軸上に表示する。
【0105】
また、前記した各波形観測システム20、40は、光信号を光パルスでサンプリングするO/Oサンプリング方式であったが、電気信号を光パルスでサンプリングするE/Oサンプリング方式についても本発明を同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の周波数検出方法の原理を説明するための図
【図2】本発明の周波数検出方法の原理を説明するための図
【図3】本発明の周波数検出方法の手順を示すフローチャート図
【図4】本発明の実施形態の構成を示す図
【図5】実施形態の要部の構成例を示す図
【図6】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図7】実施形態の要部の構成例を示す図
【図8】実施形態の要部の構成例を示す図
【図9】実施形態の動作を説明するための図
【図10】実施形態の動作を説明するための図
【図11】実施形態の動作を説明するための図
【図12】観測波形の一例を示す図
【図13】本発明の他の実施形態の構成を示す図
【図14】従来装置の構成を示す図
【図15】従来装置の動作を説明するための図
【符号の説明】
【0107】
20、40……波形観測システム、21……サンプリング装置、22……パラメータ指定手段、23……演算手段、24……信号発生手段、25……光サンプリングパルス発生手段、26……光サンプリング部、27……特定信号周波数検出手段、28……繰り返し周波数算出手段、43……A/D変換器、44……データ取得制御手段、45……波形データメモリ、46……表示制御手段、47……表示器、48……観測モード指定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号に対するサンプリングを行ってその波形情報を取得し、観測するためのシステムにおいて、信号の周波数を正確に検出し、安定な波形情報の取得と観測ができるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高速な繰り返し信号で変調された光信号の波形のデータを取得して観測するために、図14に示す波形観測装置10が用いられている。
【0003】
この波形観測装置10は、入力される光信号Pの波形の繰り返し周期TxのN倍(Nは1以上の任意の整数で例えば100、1000等)より所定値(オフセット遅延時間)ΔTだけ長い繰り返し周期Ts(=N・Tx+ΔT)をもち、パルス幅が狭い光サンプリングパルスPsを光サンプリングパルス発生手段11によって生成する。
【0004】
そして、その生成された光サンプリングパルスPsを光サンプリング部12に入力し、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光を光電変換して電気のパルス信号Eoに変換し、このパルス信号Eoの振幅強度をA/D変換器13によってデジタルのデータに変換して波形データメモリ14に記憶し、この波形データメモリ14に記憶された一連の波形データを表示制御手段15が読み出して表示器16に波形表示する。
【0005】
このようなサンプリング方式の波形観測装置10では、図15の(a)に示すように、光信号Pの繰り返し波形がN回連続して入力される毎に、光サンプリングパルスPsによるサンプリングタイミングが図15の(b)のように、ΔT時間ずつシフトしていくため、周期Txに比べて格段に低速なサンプリングで、光信号Pの波形を高分解能でサンプリングすることができ、これを表示器16の画面上で観測することができる。
【0006】
このようなサンプリング方式の波形観測装置は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−071725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような波形観測装置10に要求される観測モードには、パーシステンスモード、平均化モード等がある。
【0009】
パーシステンスモードは、光信号Pをサンプリングしてその取得データを表示器の画面上にある一定時間表示し、その残像によって測定波形を表示するという動作を繰り返すモードであり、光信号の波形の変化をほぼリアルタイムに観測することができる。
【0010】
また、平均化モードは、複数のデータ取得期間分の波形データの平均化処理を行い、その平均化された波形を表示するモードであり、ノイズ成分を除去した波形観測が可能となる。
【0011】
上記のように光信号の波形を残像によって表示していく観測モードの場合、サンプリングが光信号Pの繰り返し波形の同一位相位置から開始されないと、表示される波形が時間軸方向に毎回ずれたり、平均化モードでは平均化処理が正しく行なえず波形を正しく再現できなくなり、また、波形の位相や振幅の変動の大きさを正しく把握できなくなる。
【0012】
このため、入力する信号の波形の繰り返し周期、あるいはその信号自体の周波数(ビットレート)が既知である必要がある。
【0013】
しかし、場合によっては、観測対象の波形の繰り返し周期や周波数の概略値は分かっていても、その正確な値が不明な状況があり、このような状況では、観測対象の波形に対して正しいサンプリング周期の設定が行えず、所望の波形を観測できない。
【0014】
また、この種の波形観測装置において、狭い幅の光サンプリングパルスを生成したり、光同士のミキシングを行なう光ミキサ等が必要であり、表示部を含めると装置全体が複雑化し高価になるという別の問題がある。
【0015】
本発明は、これらの問題を解決して、サンプリング結果から信号の周波数を正確に検出できる周波数検出方法およびこれを用いて安定な波形情報の取得と観測ができ、さらに、システム全体を簡易に構成することができるサンプリング装置および波形観測システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の周波数検出方法は、
被測定信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングして得られた信号のうち、該サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数を求める段階(S1、S2)と、
前記被測定信号に対するサンプリング周波数を前記所定のサンプリング周波数から所定量変化させたときの前記特定信号の周波数変化量を求める段階(S3、S4)と、
前記所定のサンプリング周波数と、該所定のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記被測定信号の波形の繰り返し周波数を算出する段階(S5)とを含んでいる。
【0017】
また、本発明の請求項2のサンプリング装置は、
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記クロック信号を外部へ出力するためのクロック出力端子(21b)と、
前記サンプリング部から出力された信号を外部へ出力するためのサンプル信号出力端子(21c)とを備えている。
【0018】
また、本発明の請求項3の波形観測システムは、
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記サンプリング部から出力される信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(43)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(45)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記クロック信号に同期して前記波形データメモリに書き込むデータ取得制御手段(44)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(46、47)とを備えている。
【0019】
また、本発明の請求項4の波形観測システムは、請求項3の波形観測システムにおいて、
前記特定信号周波数検出手段は、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる複数の特定信号の周波数をそれぞれ検出し、
前記繰り返し周波数算出手段は、前記特定信号周波数検出手段によって検出された複数の特定信号についての周波数変化量に基づいて、前記入力信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムを求めるように構成され、
さらに、前記波形表示手段は、前記繰り返し周波数算出手段によって得られたスペクトラムを周波数軸上に表示できるように構成されている。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明の周波数検出方法は、サンプリング周波数を変化させたときの特定信号の周波数変化量から入力信号の繰り返し周波数を求めているので、入力信号の波形繰り返し周波数を高精度に検出でき、サンプリング装置あるいは波形観測システムにおいては、そのサンプリング構造を利用するだけで、周波数未知の信号に対するサンプリング周波数の設定を正確に行うことができる。
【0021】
また、本発明のサンプリング装置および波形観測システムは、上記周波数検出方法を用いて入力信号の繰り返し周波数を正確に求めて、サンプリング周波数を設定しているので、サンプリング対象の波形の繰り返し周期と装置が高い精度で同期し、波形情報の安定な取得と観測が可能となる。
【0022】
また、本発明のサンプリング装置では、サンプリング部から出力されたパルス信号、クロック信号およびトリガ用信号を、出力端子を介して外部へ出力できるようにしているので、手持ちのデジタルオシロスコープを併用することで、波形観測システムを安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
始めに、本発明の周波数検出方法の原理について説明する。
【0024】
被測定信号を単一周波数Fxの正弦波と仮定し、これを仮のサンプリング周波数Fsでサンプリングして得られる信号Sxの周波数成分について考察する。
【0025】
サンプリングパルスが幅無限小の理想パルスであれば、その周波数成分は、図1に示すように、周波数n・Fsの各スペクトラムを有する(n=0,1,2,…)。
【0026】
したがって、このサンプリングパルスでサンプリングして得られた信号Sxには、被測定信号の周波数Fxと各周波数i・Fsとの差および和の成分が含まれる。
【0027】
この中で最も周波数が低い成分は、図2の(a)、(b)に示すように、周波数Fxに最も近い周波数n・Fsのスペクトラム成分との差周波数あるいは周波数(n+1)・Fsのスペクトラム成分との差周波数であり、その差周波数Fhは、次のように表すことができる。
【0028】
Fh=mod[Fx,Fs] ……(mod[Fx,Fs]≦Fs/2の場合)
Fh=(Fs/2)−mod[Fx,Fs]
……(mod[Fx,Fs]>Fs/2の場合)
ただし、記号mod[A,B]は、AをBで割ったときの余りを表す。
【0029】
この差周波数Fhは最大でFs/2なので、帯域上限Fs/2の低域通過フィルタを用いることで簡単に抽出することができる。
【0030】
ここで、サンプリング周波数Fsの微小な変化∂Fsに伴う差周波数Fhの変化∂Fhは、差周波数Fhを周波数Fsについて微分した次の式で与えられる。
【0031】
∂Fh/∂Fs=−quotient[Fx,Fs]
……(0<mod[Fx,Fs]<Fs/2の場合)
∂Fh/∂Fs=1+quotient[Fx,Fs]
……(mod[Fx,Fs]>Fs/2の場合)
ただし、記号quotient[A,B]は、AをBで割ったときの整数商を表す。
【0032】
上記結果、および、次の商と余りの関係、
mod[Fx,Fs]=Fx−Fs・quotient[Fx,Fs]
から、被測定信号の周波数Fxは、次の演算で求めることができる。
【0033】
Fx=Fh−Fs・∂Fh/∂Fs ……(0>∂Fhの場合)
Fx=−Fh+Fs・∂Fh/∂Fs ……(0<∂Fhの場合)
【0034】
図3はその周波数検出の手順の一例を示すフローチャートである。
即ち、仮のサンプリング周波数Fsで被測定信号をサンプリングし(S1)、そのサンプリングによって得られた信号のうち、サンプリング周波数Fsの1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数Fhを検出する(S2)。
【0035】
そして、サンプリング周波数を所定量ΔFs(例えば1Hz)だけ変化させ(S3)、そのときの特定信号の周波数変化量ΔFhを検出する(S4)。
【0036】
そして、サンプリング周波数Fsとその変化量ΔFs、特定信号周波数Fhとその変化量ΔFhとを次式(1)に代入することで、被測定信号の周波数Fxを算出する(S5)。
【0037】
Fx=Fh−Fs・ΔFh/ΔFs ……(0>ΔFhの場合)
Fx=−Fh+Fs・ΔFh/ΔFs ……(0<ΔFhの場合)
……(1)
【0038】
波形情報を取得して観測するシステムの場合には、この周波数検出処理を被測定信号について予め行い、それによって得られた周波数Fxに対応したサンプリング周波数Fsを設定すれば、被測定信号の波形情報の取得および観測を正確に行うことができる。
【0039】
ここで、誤差について考察すると、∂Fh/∂Fsの値は、上記定義から整数であるから、実際の測定で得られるΔFh/ΔFsが整数とならない場合、その値の少数点以下を四捨五入して整数化することで、測定誤差をなくすことができる。
【0040】
また、サンプリング周波数の値は、システム自体が与える値であるため、誤差は発生しない。
【0041】
さらに、特定信号の周波数Fhの測定誤差は、FFT処理などのデジタル信号処理の分解能で決まり、容易に数Hz以下にすることができる。
【0042】
これらのことから、被測定信号の周波数Fxの測定誤差も、数Hz以下の精度が得られる。この誤差は、例えば繰り返し周波数10GHzに対して10−10となり、極めて高精度に繰り返し周波数を検出することができる。
【0043】
なお、上記説明は、被測定信号が単一周波数Fxの正弦波と仮定したものであるが、実際の観測対象となる被測定信号には、通常複数の周波数成分が含まれている。
【0044】
即ち、被測定信号がデータによりNRZ形式で変調された信号である場合、その変調データの符号長に等しい周期(波形繰り返し周期)に対応した周波数を下限とし、多数の周波数成分Fx(i)が存在する場合が考えられ、各周波数成分のレベルは変調データのパターンに依存する。
【0045】
例えば、変調データが10Gbpsで(10)の2ビットデータの場合、ビットレートの1/2の周波数成分5GHzとその高調波成分が存在するが、そのレベルは、ビットレートの1/2の周波数成分が最も高くなる。
【0046】
また、変調データが10Gbpsで(1111100000)の10ビットデータの場合には、ビットレートの1/10の周波数成分1GHzとその高調波成分が存在するが、そのレベルは、ビットレートの1/10の周波数成分1GHzが最も高くなる。
【0047】
また、上記にように1の期間と0の期間が交互に且つ等しい長さで現れるデューティ比50パーセントの単純なパターンではなく、(1100011100)のように1符号内に1の期間や0の期間が複数回現れるパターンの場合には、ビットレートの1/2の周波数成分や符号長に等しい周期に対応した周波数成分のレベルより、ビットレートの1/5の周波数成分2GHzのレベルの方が大きくなる。
【0048】
このように信号波形の繰り返し周波数と一致しなくても、レベルが大きい周波数成分を特定信号としてその周波数を検出する方がS/Nの点で有利となり、この特定信号の周波数から繰り返し周波数を求めたほうが精度的に有利である。
【0049】
これを自動的に行う場合には、特定信号周波数検出処理において、サンプリングされた信号のスペクトラムを解析し、各周波数成分のうち最もレベルの高い信号成分を選択してその周波数を検出することで実現できる。また、手動で行う場合には、観測対象の波形のデータからレベルが最も高くなると思われる周波数の概略値を設定し、特定信号周波数検出処理において、その設定値に対応した信号成分の周波数を検出すればよい。
【0050】
図4は、上記の周波数検出方法を用いた波形観測システム20の構成を示している。
この波形観測システム20は、サンプリング装置21とデジタルオシロスコープ60によって構成されている。
【0051】
サンプリング装置21は、入力端子21aから入力される光信号Pを幅の狭い光パルスによってサンプリングしてその波形情報を取得するためのものであり、デジタルオシロスコープ60は、このサンプリングによって得られた波形情報を記憶し、表示する。
【0052】
このサンプリング装置21は、観測対象の波形の繰り返し周期が正確に分かっているような場合に指定する手動設定モードと、観測対象の波形の繰り返し周期が不明あるいはその概略値しかわからない場合に指定する自動設定モードとを有し、図示しない操作部の操作等によってそのモードを指定できるようになっている。
【0053】
パラメータ指定手段22は、図示しない操作部の操作等によって、光信号Pの波形の繰り返し周期Txとサンプリングのオフセット遅延時間ΔTに対応する情報を指定するためのものであり、前記手動設定モードのときには、正確な繰り返し周期Txを指定する。また、自動設定モードの場合には、その概略値Tx′を指定するか、なにも指定しない。
【0054】
なお、この指定情報は、周期値だけでなく、それに対応した周波数値であってもよく、また、予め設定されている値から一つを指定する番号等の情報であってもよい。
【0055】
また、信号の周期と周波数とは、その一方が決まれば他方が一義的に特定されるので、本明細書において「周期」およびその関係を「周波数」およびその関係に置き換えたものや、逆に「周波数」およびその関係を「周期」およびその関係に置き換えたものも本発明に含まれるものとする。
【0056】
演算手段23は、パラメータ指定手段22によって指定された情報または後述する繰り返し周波数算出手段28によって得られた情報に基づいて、被測定信号の繰り返し周期Tx(またはその概略値)の整数(N)倍に対してオフセット遅延時間ΔTだけ差のあるサンプリング周期Ts(サンプリング周波数Fs)を算出する。
【0057】
また、この演算手段23は、算出したサンプリング周期で観測対象の波形の1周期分のデータをΔTの分解能で得るのに必要な時間をトリガ周期Tg(周波数Fg)として算出する。
【0058】
即ち、サンプリング周波数Fs(=1/Ts)は、Ts=N・Tx+ΔTの関係から、
Fs=Fx/(N+Fx・ΔT)
の演算によって求められる。
【0059】
また、トリガ周波数Fgは、前記したように、
Fg=mod[Fx,Fs]=Fs・Fx・ΔT
の演算によって得られる。
【0060】
例えば、Fx=1GHz、ΔT=0.1ps、サンプリング周波数Fsの設定可能範囲を10MHz±1kHzとすると、
109/(N+109・0.1×10−12)
が、9.999MHzから10.001MHzの範囲に入る整数Nを求め、そのNについてFs=Fx/(N+Fx・ΔT)を満たす周波数Fsを求めればよく、上記数値例では、N=100、Fs=9.99999MHzが得られる。
【0061】
また、
Fx/Fs=N+Fx・ΔT
であるから、FxをFsで割った余りをDとすれば、
D/Fs=Fx・ΔT(<1)
と表すことができる。よって、余りDは、
D=Fs・Fx・ΔT
となる。
【0062】
したがって、上記数値例のトリガ周波数Fgは、
Fg=9.99999×106・1×109・0.1×10−12
=9.99999×102(Hz)
となる。
【0063】
信号発生手段24は、演算手段23で算出されたサンプリング周波数Fsのクロック信号C、後述する光サンプリングパルス発生手段25で幅の狭いパルス光を生成させるために必要な高い周波数の信号Uおよび周波数Fgのトリガ用信号Gを生成して出力する。
【0064】
この信号発生手段24の構成は任意であるが、例えば安定で精度の高い基準信号(例えば1GHz±1MHz)を逓倍して信号Uを生成し、その信号Uを分周して上記クロック信号Cおよびトリガ用信号Gを発生するように構成されている。
【0065】
光サンプリングパルス発生手段25は、信号発生手段24が出力するクロック信号Cと等しい周期の光サンプリングパルスPsを発生する。
【0066】
この光サンプリングパルス発生手段25が発生する光サンプリングパルスPsのパルス幅は、サンプリングの時間分解能の上限を決定するものであり、パルス幅が狭い程、高い時間分解能でサンプリングを行なうことができる。
【0067】
この狭い光サンプリングパルスを得るために、光サンプリングパルス発生手段25は、例えば図5に示しているように、光源25aから出射される連続光CWを変調器25bに入射して信号Uで変調して、図6の(a)のように比較的狭い幅のパルス光Paを信号Uの周期Tuで生成し、そのパルス光Paを間引手段25cに入力する。
【0068】
間引手段25cは、クロック信号Cの周期で短時間だけオンする光スイッチを有し、図6の(b)のようにクロック信号Cの周期Tsのパルス光Pbを出力する。このパルス光Pbは自動利得制御型のファイバアンプ25dに入力され、適正な強度のパルス光Pb′に増幅されて分散減少ファイバ25eに入射される。この適正な強度のパルス光Pb′を受けた分散減少ファイバ25eからは、図6の(c)のように幅が狭い(例えば0.1ps以下)の光サンプリングパルスPsが周期Tsで出射される。
【0069】
なお、この光サンプリングパルス発生手段25から出射される光サンプリングパルスPsは、クロック信号Cに同期するように設定されている。
【0070】
この光サンプリングパルスPsは、光サンプリング部26に入射される。
光サンプリング部26は、例えば、図7に示しているように、光ミキサ26aと光電変換器26bとからなり、入力端子21aから入力される光信号Pと光サンプリングパルスPsとを光ミキサ26aに入力して、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光Poを光電変換器26bによって電気のパルス信号Eoに変換して出力する。
【0071】
特定信号周波数検出手段27は、後述の繰り返し周波数算出手段28とともに自動設定モードが指定されたときに動作し、光サンプリング部28から出力されるパルス信号Eoを受け、そのパルス信号Eoに含まれる信号成分のうち、サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数Fhを検出する。
【0072】
この特定信号周波数検出手段27は、例えば、図8に示すように、パルス信号EoをA/D変換器27aに入力してそのピーク値をクロック信号Cに同期してサンプリングしデジタル値に変換し、そのデジタル値列に対して、デジタルフィルタ27bにより、サンプリング周波数の1/2以下の帯域制限処理を行い、さらに演算処理部27cにより、FFT(高速フーリエ変換)演算等の処理を行って、例えばレベルが最も高い信号成分を特定信号とし、その周波数Fhを求める。
【0073】
繰り返し周波数算出手段28は、自動設定モードが指定された場合に、信号発生手段24を制御し、入力信号に対するサンプリング周波数を微小変化させたときの特定信号の周波数の変化量を求め、その変化量に基づいて、入力信号の正確な繰り返し周波数Fxを求め、これを演算手段23に設定する。
【0074】
なお、信号発生手段24が生成したクロック信号Cはクロック出力端子21bを介して外部に出力できるようになっており、同様に、パルス信号Eo、トリガ用信号Gもそれぞれサンプル信号出力端子21c、トリガ出力端子21dを介して外部へ出力できるように構成されている。
【0075】
このサンプリング装置21の各出力端子21b〜21dは、デジタルオシロスコープ60の外部クロック入力端子60a、第1チャネル入力端子60b、第2チャネル入力端子60cにそれぞれ接続されている。
【0076】
デジタルオシロスコープ60は、各チャネル入力端子60b、60cから入力される信号に対するA/D変換処理を外部クロック入力端子60aに入力されるクロック信号に同期して行う外部クロック同期機能と、任意に指定したチャネル入力端子またはトリガ入力端子の入力信号の電圧が任意に設定したしきい値を所定方向に越えたタイミングから一定時間(後述する時間軸の表示幅および表示ポイント数等に依存する)が経過する間にA/D変換処理によって得られたデータを波形データとしてチャネル毎に記憶する外部トリガ機能と、その記憶した波形データを時間軸上に表示する波形表示機能とを有しており、この波形表示のモードとして、前記したパーシステンス表示モード、平均化表示モードのいずれかを任意に選択できるように構成されている。
【0077】
次に上記波形観測システム20の動作を説明する。
始めに、例えば図9の(a)に示すようにデューティ比50パーセントのほぼ矩形波の光信号Pを入力端子21aに入力し、その波形の概略の繰り返し周期Tx′(周波数Fx′)およびサンプリングのオフセット遅延時間ΔTに対応した情報をパラメータ指定手段22によって指定するとともに、図示しない操作部により自動設定モードを指定する。
【0078】
演算手段23は、指定された概略の繰り返し周波数Fx′とオフセット遅延時間ΔTに基づいて、仮のサンプリング周波数Fs′、トリガ周波数Fg′をそれぞれ算出し、信号発生手段24に設定する。なお、繰り返し周波数Tx′の指定がない状態で、自動設定モードが指定された場合、演算手段23は、規定値、例えば10MHzを繰り返し周波数Fx′として演算を行う。
【0079】
このため、信号発生手段24からは、仮のサンプリング周波数Fs′のクロック信号Cが出力され、光信号Pに対してサンプリング周波数Fs′によるサンプリングが行われ、そのサンプリングで得られたパルス信号Eoが特定信号周波数検出手段27に入力される。
【0080】
特定信号周波数検出手段27は、そのパルス信号Eoに含まれる周波数成分のうち、サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる最もレベルが高い周波数成分を特定信号とし、その周波数Fh′を検出する。
【0081】
この光信号の波形の場合、サンプリングに用いられる光サンプリングパルスPsのスペクトラムは、図10のように周波数Fs′間隔で現れ、光信号Sの波形のスペクトラムは周波数Fxの間隔で現れ、しかも、高次のもの程レベルが小さくなる。
したがって、特定信号周波数検出手段27は、最低次の周波数Fxと、その周波数Fxに最も近いサンプリング周波数成分n・Fs′との差周波数Fh′を特定信号の周波数として求め、繰り返し周波数算出手段28に出力する。
【0082】
このようにして仮のサンプリング周波数Fs′についての特定信号の周波数Fh′が得られると、繰り返し周波数算出手段28は、この周波数Fh′を記憶するとともに、信号発生手段24に対して、サンプリング周波数を所定量(例えば1Hz)変化させるように指示する。
【0083】
この指示を受けた信号発生手段24により、入力信号に対する仮のサンプリング周波数が所定量ΔFsだけ変化し、この変化に伴って、特定信号周波数検出手段27によって検出される特定信号の周波数がΔFhだけ変化することになり、この変化量から光信号の波形の繰り返し周波数Fxが次式により算出され、演算手段23に設定される。
【0084】
Fx=Fh′−Fs′・ΔFh/ΔFs′
【0085】
演算手段23は、この繰り返し周波数算出手段28によって算出された正確な繰り返し周波数Fxに基づいて入力信号に正確に対応した正規のサンプリング周波数Fsおよびトリガ周波数Fgを計算し、信号発生手段24に設定する。
【0086】
これによって、光信号Pの波形の繰り返し周期Txに対し、N・Tx+ΔTに等しい周期を有するクロック信号Cと光サンプリングパルスPsが図9の(b)、(c)のように生成され、光信号Pがサンプリングされ、そのサンプリングで得られたパルス信号Eoが、図9の(d)のように光サンプリング部28からサンプル信号出力端子21cを介してデジタルオシロスコープ60の第1チャネル入力端子60bに入力される。
【0087】
また、信号発生手段24からは、図11の(b)のようにパルス信号Eoのピークを結ぶ包絡線の波形の周期と等しい周期のトリガ用信号Gが生成され、トリガ出力端子21dを介してオシロスコープ60の第2チャネル入力端子60cに入力される。なお、図11の(a)は図9の(d)の波形の時間軸を縮めて示したものである。
【0088】
デジタルオシロスコープ60は、パルス信号Eoに対するA/D変換処理をクロック信号Cに同期して行い、パルス信号Eoのピーク点を結ぶ包絡線のデータを光信号波形データとして順次出力し、トリガ用信号Gがトリガレベルを所定方向に超えるタイミングから、その波形データの取得を開始する。
【0089】
このため、デジタルオシロスコープ60の画面上に、例えば図12のように、光信号Pの波形がオフセット遅延時間ΔT間隔のポイントで残像表示される。
【0090】
オシロスコープ60は、トリガ用信号Gがトリガレベルを所定方向に超えるタイミング毎に波形データの取得を開始して、波形を更新表示するが、前記したように、サンプリング装置20のサンプリング周波数やトリガ周波数は、入力される光信号Pの波形の繰り返し周波数に対して正確に対応しているので、常に表示される波形の位置がずれることはなく、安定な波形観測を行うことができる。
【0091】
また、上記説明では、観測対象の波形がデューティ比50パーセントの矩形波で、最低次の特定信号のレベルが最大となる場合について説明したが、例えばビットレート10Gbpsで、NRZデータ(1100011100)の10ビットの波形が繰り返される場合、その繰り返し周波数Fxは、10/10=1GHzとなるが、波形に含まれる各周波数成分のレベルを考慮すると、1GHzの成分よりも、その2倍の10/2=2GHzの成分の方が大きい。
【0092】
これはパルス信号Eoに含まれる信号についても言えることであり、前記したように波形1周期分相当の繰り返し周波数Fxについて最低次の特定信号の周波数成分は、そのレベルが低く周波数算出を正確に行えない場合があるが、このような場合でも、特定信号周波数検出手段27は、サンプリング周波数の1/2以下の帯域内の信号成分のうち、最もレベルの高い信号成分を特定信号として選択し、その周波数を検出しているので精度の低下は起こらない。
【0093】
また、上記波形観測システム20は、サンプリング装置21とデジタルオシロスコープ60とで構成されていたが、サンプリング装置21とデジタルオシロスコープ60の機能とを共通の筐体内に収容して一体化した波形観測システムを構成することも可能である。
【0094】
図13は、その波形観測システム40の構成例を示すものであり、前記したサンプリング装置21の各構成要素の他に、A/D変換器43、データ取得制御手段44、波形データメモリ45、表示制御手段46、表示器47および観測モード指定手段48を備えている。
【0095】
A/D変換器43は、光サンプリング部26から出力されるパルス信号Eoに対するA/D変換処理を、クロック信号C(またはクロック信号Cに同期したより高速のクロック信号でもよい)を受ける毎に行い、そのA/D変換処理によって得られたパルス信号Eoのピーク値のデータDpをデータ取得制御手段44に出力する。
【0096】
データ取得制御手段44は、トリガ用信号Gの立ち上がり(または立ち下がり)タイミングから、波形データメモリ45に対するデータDpの書き込みをクロック信号Cに同期して開始し、所定数のデータの書き込みが終了すると、次にトリガ用信号Gの立ち上がるまで待機するという動作を繰り返す。なお、波形データメモリ45に書き込むデータの数は、後述する表示器47に表示される時間軸の表示ポイント数に対応する。
【0097】
表示制御手段46は、表示器47とともに波形表示手段を形成するものであり、時間軸と電圧軸とからなる座標画面を表示器47に表示させ、波形データメモリ45に記憶された一連のデータDpを読み出して、座標画面上にプロット表示して、その読み出した一連のデータDpに対応する波形を表示する。
【0098】
なお、この表示制御手段46は、観測モード指定手段48によって指定された観測モードに応じて、波形データメモリ45に記憶されたデータDpに対する加工処理および表示処理を行う。
【0099】
即ち、パーシステンスモードが指定された場合、波形データメモリ45に記憶された一連のデータDpを残像を残すことで波形表示し、平均化モードが指定された場合、波形データメモリ45に記憶された一連のデータDpを所定組求めて、その平均化処理を行い、その平均化処理で得られた一連のデータを重ねて波形として表示する。
【0100】
このように構成された波形観測システム40の動作は、前記波形観測システム20同様であり、光信号の繰り返し周波数を正確に求め、その繰り返し周波数に対応したサンプリング周波数とトリガ周波数が設定されるので、繰り返し周波数が未知あるいは概略値しかわからない波形であっても、安定に表示させることができる。
【0101】
なお、被測定信号の波形の情報を単発的に取得して表示する場合には、上記のように周期的なトリガ用信号Gを生成する必要がなく、例えば手動のトリガ操作に応じて1回だけ立ち上がるトリガ用信号Gを出力すればよい。そして、サンプリング周波数を変えて被測定信号をサンプリングすることで、前記同様に光信号の繰り返し周波数を求めることができ、その正確な繰り返し周波数に正しく対応したサンプリング周波数を設定して、上記トリガ操作を行うことで、被測定信号の波形を正確に表示させることができる。
【0102】
また、上記した波形観測システム40のように表示機能を有している場合、入力信号のスペクトラムを表示することも可能である。
この場合、特定信号周波数検出手段27が、サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる複数の特定信号の周波数とレベルをそれぞれ検出して、繰り返し周波数算出手段28に出力する。
【0103】
また、繰り返し周波数算出手段28が、特定信号周波数検出手段27によって検出された複数の特定信号についての各周波数変化量に基づいて、入力信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムを求め、これを図13の点線で示すように波形表示制御手段46に出力する。
【0104】
波形表示制御手段46は、自動設定モードが指定されているときに繰り返し周波数算出手段28によって得られたスペクトラムを表示器47の周波数軸上に表示する。
【0105】
また、前記した各波形観測システム20、40は、光信号を光パルスでサンプリングするO/Oサンプリング方式であったが、電気信号を光パルスでサンプリングするE/Oサンプリング方式についても本発明を同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の周波数検出方法の原理を説明するための図
【図2】本発明の周波数検出方法の原理を説明するための図
【図3】本発明の周波数検出方法の手順を示すフローチャート図
【図4】本発明の実施形態の構成を示す図
【図5】実施形態の要部の構成例を示す図
【図6】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図7】実施形態の要部の構成例を示す図
【図8】実施形態の要部の構成例を示す図
【図9】実施形態の動作を説明するための図
【図10】実施形態の動作を説明するための図
【図11】実施形態の動作を説明するための図
【図12】観測波形の一例を示す図
【図13】本発明の他の実施形態の構成を示す図
【図14】従来装置の構成を示す図
【図15】従来装置の動作を説明するための図
【符号の説明】
【0107】
20、40……波形観測システム、21……サンプリング装置、22……パラメータ指定手段、23……演算手段、24……信号発生手段、25……光サンプリングパルス発生手段、26……光サンプリング部、27……特定信号周波数検出手段、28……繰り返し周波数算出手段、43……A/D変換器、44……データ取得制御手段、45……波形データメモリ、46……表示制御手段、47……表示器、48……観測モード指定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングして得られた信号のうち、該サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数を求める段階(S1、S2)と、
前記被測定信号に対するサンプリング周波数を前記所定のサンプリング周波数から所定量変化させたときの前記特定信号の周波数変化量を求める段階(S3、S4)と、
前記所定のサンプリング周波数と、該所定のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記被測定信号の波形の繰り返し周波数を算出する段階(S5)とを含む周波数検出方法。
【請求項2】
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記クロック信号を外部へ出力するためのクロック出力端子(21b)と、
前記サンプリング部から出力された信号を外部へ出力するためのサンプル信号出力端子(21c)とを備えたサンプリング装置。
【請求項3】
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記サンプリング部から出力される信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(43)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(45)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記クロック信号に同期して前記波形データメモリに書き込むデータ取得制御手段(44)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(46、47)とを備えた波形観測システム。
【請求項4】
前記特定信号周波数検出手段は、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる複数の特定信号の周波数をそれぞれ検出し、
前記繰り返し周波数算出手段は、前記特定信号周波数検出手段によって検出された複数の特定信号についての周波数変化量に基づいて、前記入力信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムを求めるように構成され、
さらに、前記波形表示手段は、前記繰り返し周波数算出手段によって得られたスペクトラムを周波数軸上に表示できるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の波形観測システム。
【請求項1】
被測定信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングして得られた信号のうち、該サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数を求める段階(S1、S2)と、
前記被測定信号に対するサンプリング周波数を前記所定のサンプリング周波数から所定量変化させたときの前記特定信号の周波数変化量を求める段階(S3、S4)と、
前記所定のサンプリング周波数と、該所定のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記被測定信号の波形の繰り返し周波数を算出する段階(S5)とを含む周波数検出方法。
【請求項2】
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記クロック信号を外部へ出力するためのクロック出力端子(21b)と、
前記サンプリング部から出力された信号を外部へ出力するためのサンプル信号出力端子(21c)とを備えたサンプリング装置。
【請求項3】
サンプリングの対象となる信号を入力するための入力端子(21a)と、
指定されたサンプリング周波数のクロック信号を生成出力する信号発生手段(24)と、
前記クロック信号に同期したサンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生手段(25)と、
前記入力端子に入力された入力信号を前記サンプリングパルスによってサンプリングするサンプリング部(26)と、
前記サンプリング部の出力信号を受け、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる特定信号の周波数(Fh)を検出する特定信号周波数検出手段(27)と、
前記信号発生手段に対し、仮のサンプリング周波数(Fs′)を指定するとともに、該仮のサンプリング周波数を所定量変化させて、該サンプリング周波数の変化量に対する前記特定信号の周波数変化量を求め、前記仮のサンプリング周波数と、該仮のサンプリング周波数に対する前記特定信号の周波数、前記サンプリング周波数の変化量および前記特定信号の周波数変化量に基づいて、前記入力信号の波形の繰り返し周波数(Fx)を算出する繰り返し周波数算出手段(28)と、
前記繰り返し周波数算出手段によって算出された繰り返し周波数に対応する繰り返し周期(Tx)の整数倍に対して所定のオフセット遅延時間(ΔT)だけ差のある周期(Ts)に対応する周波数(Fs)を前記入力信号に対する正規のサンプリング周波数として算出し、該正規のサンプリング周波数を前記信号発生手段に指定する演算手段(23)と、
前記サンプリング部から出力される信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(43)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(45)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記クロック信号に同期して前記波形データメモリに書き込むデータ取得制御手段(44)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(46、47)とを備えた波形観測システム。
【請求項4】
前記特定信号周波数検出手段は、前記サンプリング周波数の1/2以下の帯域に現れる複数の特定信号の周波数をそれぞれ検出し、
前記繰り返し周波数算出手段は、前記特定信号周波数検出手段によって検出された複数の特定信号についての周波数変化量に基づいて、前記入力信号に含まれる複数の周波数成分のスペクトラムを求めるように構成され、
さらに、前記波形表示手段は、前記繰り返し周波数算出手段によって得られたスペクトラムを周波数軸上に表示できるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の波形観測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−3327(P2006−3327A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182948(P2004−182948)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
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