説明

味付けされたペットフード製品

市販向けにパックされたペットフード製品であって、ペースト、ガムまたはゲル内に風味のある素材の懸濁液を受け取るように適合された少なくとも1つの表面を備えた食用基材、および食べられたときに前記ペットフード製品のフレーバー・プロファイルを生成するのに実質的に寄与する、前記表面に付着した風味のある素材を有するペットフード製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペットフードの商業製造の分野に関する。本発明は、特に、製造プロセスへの影響を最小にした、商業的に大量生産されるペットフード製品のフレーバー・プロファイルを効率的に変更する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットフード製品の商業製造の分野において、任意の所定のブランドで販売されている食品構成内で数多くのフレーバー・プロファイルの品種を提供することが、市場で期待されており、それは実用上の利点である。これにより、動物の食餌が多様になり、飼い主が、所望のように多様な食餌を与えるために、数多くの異なるブランドに購入を広げるよりむしろ、特定のブランドで様々な製品を購入するように働きかけられる。
【0003】
しかしながら、素材屑および工場の停止時間に関して、これを実施するための主な費用は、最初の品種の製造後に製造ラインを停止し、清掃し、第2の品種について製造ラインを再始動するプロセスから生じる。このプロセスは、品種間の区別を与え、素材の交差汚染を避けるのに必要である。
【0004】
このことは、ペットフードの成形における押出しの任意の形態を含む製品について特に当てはまる。何故ならば、これらのプロセスは、始動と停止が特に難しく、始動および停止手順の最中に「規格外」製品の廃物を比較的多量に生成してしまうことが知られているからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、市販用ペットフード製品のためのフレーバー配合物の変更に伴う潜在的な停止時間を最小にした、市販用ペットフード製品の製品構成および製造プロセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、市販向けにパックされたペットフード製品であって、
ペースト、ガムまたはゲル内に風味のある素材の懸濁液を受け取るように適合された少なくとも1つの表面を備えた食用基材、および
食べられたときにペットフード製品のフレーバー・プロファイルを生成するのに実質的に寄与する、前記表面に付着した風味のある素材、
を有するペットフード製品が提供される。
【0007】
そのような製品には、ペースト、ガムまたはゲル内に懸濁された風味のある素材の種類を変えることしか必要ないので、食用基材の表面に風味のある主要素材を付着させることによって、同じ製造ラインを使用する間に、フレーバー・プロファイルを異なる品種に変えることが容易になるという点で、従来技術より優れた利点がある。このことは、例えば、前記基材の製造を中断し、その基材の製造ラインを清掃すること(これが、品種を変えるときの製造停止時間の主要因である傾向にある)が必要ないことを意味する。
【0008】
前記基材の潜在的な実施の形態の1つは、ジャーキー状素材の比較的平らなストラップであり、前記表面がこのストラップの上面となっている。このタイプの基材が望ましい場合、そのストラップの縁に沿って延在する畝を少なくとも含み、それによって、その上面からのペースト、ガムまたはゲルの流出に対する防壁を形成することが都合よい。そのペースト、ガムまたはゲルがその表面から溢れるのを防ぐように適合された一連のひだをさらに備えることがより好ましいであろう。
【0009】
基材が細長いストラップの形態にあり、上面が、そのストラップの縁に沿って延在する畝を少なくとも含み、それによって、ゲルのその上面からの流出に対する防壁を形成することが好ましい。基材が細長いストラップの形態にあり、ゲルがその表面から溢れるのを防ぐように適合された一連のひだを備えることがさらにより好ましい。
【0010】
この基材のこれらの構成は、基材の上面からゲルが流出し、それに付随して、風味のある素材が損失するのを防ぐという点で、利点を与える。特に、基材の上面の畝は、流出に対する防壁を与えると同時に、素材が付着する表面積を大きくする。
【0011】
代わりの実施の形態は、ジャーキー状素材の管であり、前記表面がその管の内面である基材を提供する。
【0012】
前記ペースト、ガムまたはゲルの好ましい配合物は、加工デンプン、グリセロール、グルコースシロップまたはデキストロース一水和物、食用油および乳化剤の組合せである。この組合せにより、低温で流体であり、75℃より高い温度では熱不可逆性ゲルまたはガムを形成するガムまたはゲルを形成することができる。
【0013】
好ましい風味のある素材としては、以下に限られないが、ビーフ、レバー、チキン、ジャガイモ、チーズ、ライス、トウモロコシおよびクランベリーなどの品種に亘る、天然とネイチャー・アイデンティカルの液体と粉末のフレーバー並びにアーティフィシャルの液体と粉末のフレーバーが挙げられる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、先に記載したタイプの市販向けにパックされたペットフードのフレーバー・プロファイルを変える方法であって、風味のある素材だけを、異なる組の風味のある素材で置換する方法が提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、市販向けにパックされたペットフード製品を製造する方法であって、
風味のある素材を受け取るように適合された表面を有する、先に記載した実施の形態による押出しされた細長いストラップの形態にある食用基材を調製する工程、
ペースト、ガムまたはゲル内に懸濁された風味のある素材を含む、1種類以上の風味のある素材を調製する工程、
前記風味のある素材を、風味のある素材を受け取るように適合された食用基材の表面に施して、比較的一様なコーティングを形成する工程、および
その基材と風味のある素材に熱処理を施して、その風味のある素材の大半が、前記ペットフードの包装および流通の間中、付着したままであるように、風味のある素材を基材に付着させる工程、
を有してなる方法が提供される。
【0016】
その熱処理により、ペースト、ガムまたはゲルが乾燥されることが好ましい。
【0017】
ここで、様々な図面を参照して、本発明の非限定的な好ましい実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】オーブンに入る前に、風味のあるトッピングが、押出しされた平らなジャーキー形態の基材に施されている、本発明によるある程度製造されたペットフード製品の概略図
【図2】本発明による代わりの平らなジャーキー形態の基材の押出しを示す概略図
【図3】本発明による別の代わりの平らなジャーキー形態の基材の押出しを示す概略図
【図4】本発明による平らなジャーキー形態の製品を示す概略図
【図5】本発明による管状のジャーキー形態の製品を製造するのに用いられる共押出ノズルの概略図
【図6】本発明による管状のジャーキー形態の製品の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ペットフードの主要塊から様々なフレーバー成分を別個の成分に効果的に分離し、それによって、ペットフードの塊の主要部分の製造を中断せずに続けながら、ペットフードのフレーバーを、フレーバー成分配合物の比較的単純な変更により変えることができる。
【実施例】
【0020】
本発明の実施例において、市販向けにパックされたペットフード製品は、風味のある素材を含有するゲルを受け取るように適合された表面にそのゲルが施された肉系ジャーキー製品である。この構成により、ゲル製造システム内において異なる組の風味のある素材で置き換え、ジャーキー状素材の製造を停止せずに、異なるフレーバーの品種を形成することによって、フレーバー・プロファイルを変えることができる。
【0021】
実施例1
この実施例において、市販向け食品は、肉系ジャーキー・ストラップであって、そのストラップの上面にフレーバー素材のコーティングを有するストラップである。
【0022】
食用基材は、Kelly St, Wodonga VIC 3690所在のエッフェム・フーズ社(Effem Foods Pty Ltd.)により市販されているSCHMACKOS(登録商標)STRAPZ(登録商標)製品と同様のレシピおよびプロセスにより製造された、一般に当業者に公知のタイプの製品である。
【0023】
特に、本発明による食用基材は、肉および他の成分を粉砕し、それらを混合し、移動するコンベヤ上にその混合物の比較的平らな長いストラップを押し出すことにより製造され、その押出しは、そのストラップに断面形状を与える押出ノズルを通して行われる。
【0024】
その上、粘性の流体ゲル15内に懸濁されたフレーバー素材10を含む風味のあるトッピング混合物5が、別個の混合容器内で調製され、ストラップ20が押出ノズル25から吐出されるときに、その上面に施される。これが図1に示されている。
【0025】
この特定の実施例において、風味のあるトッピング混合物は、グアールガム内に懸濁された、パセリとトウガラシの乾燥片からなる。多くの他の微粒子をこのように用いてもよいことが、当業者によく理解されよう。
【0026】
グアールガム溶液は、必要に応じて、フレーバー・プロファイルを向上させるために、ビーフ香味料やスモーク香味料などの、他の特定のフレーバー成分も含有してよい。
【0027】
次いで、ストラップがオーブンを通過し、このオーブンが、タンパク質に熱を加え、ストラップを、その製品を確実に保存性にする水分活性レベルまで乾燥させる。次いで、トッピングを担持したストラップが、約120〜180℃に設定され、20〜60分の滞在時間で適切なオーブンを通過するにつれて、グアールガム溶液中の水分が乾燥し、乾燥したグアールガムの作用によってストラップに付着した素材が残る。使用するオーブン条件は、一般に、所望の製造速度に依存する。ベルト速度は、一般に、パックのサイズにより決定される。最も遅い運転速度では、オーブン温度は122〜134℃に亘り、滞在時間は50分である。最も速い運転速度では、オーブン温度は160〜170℃であり、滞在時間は30分である。
【0028】
次いで、ストラップは切断され、包装される。
【0029】
先の実施例により形成された製品が図4に示されている。この製品は、比較的平らなジャーキー基材26を特徴とし、乾燥したパセリとトウガラシの粒子27がその製品の上面28に付着している。
【0030】
先に記載したフレーバーの品種の所望の運転が終了したときに、ジャーキー成分の製造は、中断されずに続けてもよい。しかしながら、トッピング素材の最後のバッチが消費されたら、グアールガム溶液内に懸濁された乾燥トウモロコシ粒子およびチーズ香味料を含有する、トッピング素材の異なる配合物が、好ましくは別個の並列に取り付けられたトッピング混合タンクから、ラインに持ってこられる。
【0031】
特に好ましい実施の形態において、押出ノズルは、トッピングの受取りに関する性能を向上させる上面をストラップに設けるように形成されてもよい。例えば、図2は、トッピングの流出を防ぐように設計された隆起した縁35を有する代わりの基材30を示している。図3は、流出を防ぐと同時に、フレーバー粒子が付着するための表面積を大きくする、ストラップの縁55と平行に延在するひだ50を有する別の代わりの基材45を示している。
【0032】
実施例2
この実施例において、基材は、管状ストラップの中心にあるゲルまたはガム内に収容された風味のある素材の充填物を有する、肉系管状ストラップである。
【0033】
食用基材は、先の実施例1のような、一般に当業者に公知のタイプの製品である。
【0034】
特に、本発明による食用基材は、肉および他の成分を粉砕し、それらを混合し、移動するコンベヤ上で、その混合物の長い中空管を共押出しすることにより製造され、その押出しは、その管に管状の断面形状を与える押出ノズルを通して行われる。その上、粘性流体ゲル内に懸濁されたフレーバー粒子を含む風味のある混合物は、別個の混合容器内で調製され、管が押出ノズルから吐出されるときに、その管の中心に共押出しされる。
【0035】
この目的に適した共押出ノズルが図5に示されている。このノズルは、内側形状105に似た形状を有する肉ジャーキー素材の押出しを行う、内側形状105を有する外側構造100を有する。内側のノズル構造110は、押し出されたジャーキーの中心に沿って延在する空洞を形成し、この空洞は、風味のある粒子を担持するゲルが同時に充填される。このゲルは、内側ノズル構造110内の管115から吐出される。
【0036】
次いで、コンベヤにより、その管がオーブンを通過せしめられ、そのオーブンが、タンパク質に熱を加え、充填製品を、その製品を確実に保存性にする水分活性レベルまで乾燥させる。次いで、この製品は、適切な大きさに切断され、包装される。
【0037】
この特定の実施の形態において、風味のある混合物は、デンプン/グルコース/油混合物またはデンプン/グリセロール/油混合物中に懸濁された、粉末のネイチャー・アイデンティカルのローストレバー・フレーバーおよびフライドポテト・フレーバーから実質的になる。
【0038】
典型的なデンプン/グルコース/油混合物は、以下のような一般配合を有するであろう:15〜30%の加工デンプン、65〜80%のグルコースシロップ、2〜10%の食用油、0.05〜1%の乳化剤、1〜2%のフレーバーおよび染料。典型的なデンプン/グリセロール/油混合物は、以下のような一般配合を有するであろう:15〜30%の加工デンプン、60〜70%のグリセロール、10〜15%のデキストロース一水和物、2〜10%の食用油、0.05〜1%の乳化剤、1〜2%のフレーバーおよび染料。
【0039】
デンプン/グルコース/油混合物またはデンプン/グリセロール/油混合物は、必要に応じて、フレーバー・プロファイルを向上させるために、ビーフ、野菜、レバー香味料またはスモーク香味料などの、特定のフレーバー化合物を含有してもよい。
【0040】
風味のある混合充填物を含有する管状ジャーキーが、25および50分の間の滞在時間で、約125〜180℃に設定された適切なオーブンを通過させられるときに、充填物は固化し、熱不可逆性ゲルを形成する。30分に亘る170℃の最適条件で、望ましい結果が得られる。
【0041】
ジャーキー基材に、複数の風味のある混合物を同時に充填することも可能であろう。最終製品が図6に示されている。管状ジャーキー製品150が示されており、内部の「充填物」155が、ジャーキーの中心を通って位置しているものとして露出されているのが明らかに分かる。
【0042】
先に記載したフレーバーの品種の所望の運転が終了したときに、ジャーキー成分の製造は、中断されずに続けてもよい。しかしながら、充填素材の最後のバッチが消費されたら、異なるフレーバー(例えば、チキンとレバーから、チキンとライスに変える)を含有する充填素材の異なる配合物が、好ましくは別個の並列に取り付けられた充填物混合タンクから、ラインに持ってこられる。
【0043】
先の実施例は、単に、本発明の概念を具体化してもよい2つの様式であることが当業者には理解されよう。いくつかの詳細が先のものから離れてもよいが、本発明の精神および範囲に含まれている、他の実施の形態を考えてもよい。
【符号の説明】
【0044】
5 風味のあるトッピング混合物
10 フレーバー素材
15 粘性流体ゲル
20 ストラップ
100 外側構造
110 内側ノズル構造
115 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
市販向けにパックされたペットフード製品であって、
ペースト、ガムまたはゲル内に風味のある素材の懸濁液を受け取るように適合された少なくとも1つの表面を備えた食用基材、および
食べられたときに前記ペットフード製品のフレーバー・プロファイルを生成するのに実質的に寄与する、前記表面に付着した風味のある素材、
を有するペットフード製品。
【請求項2】
前記基材が比較的平らなジャーキー状素材のストラップであり、前記表面が該ストラップの上面であることを特徴とする請求項1記載のペットフード製品。
【請求項3】
前記上面が、前記ストラップの縁に沿って延在する畝を少なくとも備え、それによって、前記上面からの前記ペースト、ガムまたはゲルの流出に対する防壁を形成することを特徴とする請求項2記載のペットフード製品。
【請求項4】
前記基材が細長いストラップの形態にあり、前記上面が、前記ペースト、ガムまたはゲルが該上面から溢れるのを防ぐように適合された一連のひだを備えることを特徴とする請求項2記載のペットフード製品。
【請求項5】
前記基材がジャーキー状素材の管であり、前記上面が前記管の内面であることを特徴とする請求項1記載のペットフード製品。
【請求項6】
前記ペースト、ガムまたはゲルが、加工デンプン、グルコースシロップまたはデキストロース一水和物とグリセロールとの組合せ、食用油および乳化剤の混合物から実質的になることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のペットフード製品。
【請求項7】
前記風味のある素材が、アーティフィシャル、天然およびネイチャー・アイデンティカルのビーフ、レバー、チキン、ジャガイモ、チーズ、ライス、トウモロコシ、クランベリー液および粉末フレーバーからなる群より選択されることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載のペットフード製品。
【請求項8】
請求項1から7いずれか1項記載の市販向けにパックされたペットフード製品のフレーバー・プロファイルを変える方法であって、前記風味のある素材のみを、異なる組の風味のある素材で置き換えることを特徴とする方法。
【請求項9】
市販向けにパックされたペットフード製品を製造する方法であって、
風味のある素材を受け取るように適合された表面を有する、請求項1から7いずれか1項記載の押出しされた細長いストラップまたは管の形態にある食用基材を調製する工程、
ペースト、ガムまたはゲル内に懸濁された風味のある素材を含む、1種類以上の風味のある素材を調製する工程、
前記風味のある素材を、該風味のある素材を受け取るように適合された前記食用基材の表面に施して、比較的一様なコーティングを形成する工程、および
前記基材と風味のある素材に熱処理を施して、該風味のある素材の大半が、前記ペットフードの包装および流通の間中、付着したままであるように、該風味のある素材を前記基材に付着させる工程、
を有してなる方法。
【請求項10】
前記熱処理により、前記ペースト、ガムまたはゲルが乾燥することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
実質的にここに記載した市販向けにパックされたペットフード製品のフレーバー・プロファイルを変える方法。
【請求項12】
実施例1を参照して実質的にここに記載した市販向けにパックされたペットフード製品。
【請求項13】
実施例2を参照して実質的にここに記載した市販向けにパックされたペットフード製品。
【請求項14】
実施例1を参照して実質的にここに記載した市販向けにパックされたペットフード製品を製造する方法。
【請求項15】
実施例2を参照して実質的にここに記載した市販向けにパックされたペットフード製品を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−540839(P2009−540839A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516827(P2009−516827)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000933
【国際公開番号】WO2008/003140
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(390037914)マース インコーポレーテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【Fターム(参考)】