説明

商品情報表示システム

【課題】迅速な情報表示を可能とするとともにネットワーク資源を有効活用可能な商品情報表示装置を提供する。
【解決手段】商品10を陳列する商品棚101と、商品10の商品情報を表示する表示部140とを備えた商品情報表示装置100において、アンテナ110及び読取装置120で検出されたRFIDタグ11に係る商品の商品情報を予め店舗コンピュータ200から取得して記憶部132に格納しておき、商品情報を表示させる際には該記憶部132から商品情報を取得して表示部140に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等において商品棚に陳列された商品の商品情報を表示する商品情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の商品情報表示システムとしては特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のシステムは、商品陳列棚に設けたRFIDタグ読み取り用の商品情報読出装置と、商品情報として商品コマーシャル文を表示する商品コマーシャル文表示装置と、商品の移動状況等を調査する調査情報管理装置とをネットワークを介して接続したものである。調査情報管理装置には、前記商品コマーシャル文表示装置に表示させるコマーシャル文を記憶するデータベースを備えており、商品の移動状況に応じてデータベースに記憶されているコマーシャル文を商品コマーシャル文表示装置に転送・表示させている。
【特許文献1】特開2005−106080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、商品情報の表示を行うたびに調査情報管理装置から商品コマーシャル文表示装置に商品情報を転送している。このため、商品情報のデータ量が多くなるとデータ転送に時間が生じ、結果として商品表示の開始に遅れが生じる場合がある。また、商品情報のデータ転送頻度が高いので、該データ転送によりネットワーク資源を浪費し、RFIDタグの読み取りデータの転送など他のデータ転送処理にも遅延などの影響を与えるおそれがある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、迅速な情報表示を可能とするとともにネットワーク資源を有効活用可能な商品情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願では、商品を上面に載置する商品棚と、該商品棚に陳列した商品の商品情報を表示する表示手段とを備えた商品情報表示システムにおいて、商品棚に設けられ且つ商品に貼付されたRFIDタグと通信するための第1のアンテナと、第1のアンテナを介してRFIDタグと通信を行い該RFIDタグから固有識別子を検出する第1の検出手段と、第1の検出手段で検出した固有識別子のリストを記憶する第1の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶されている固有識別子のリストと第1の検出手段で検出した固有識別子のリストとの対比して得られる商品の在庫情報をネットワークを介して管理コンピュータに送信する在庫管理手段と、第1の検出手段で検出された固有識別子に対応した商品情報を管理コンピュータから受信するとともに該商品情報を記憶する第2の記憶手段と、第2の記憶手段から情報表示させたい商品の商品情報を取り出して表示手段に表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするものを提案する。
【0006】
本発明によれば、商品棚に載置してある商品に係る商品情報を予め管理コンピュータから取得し、該商品情報を第2の記憶手段に記憶し、情報表示を行う際には商品情報を第2の記憶手段から取り出すので、迅速な情報表示が可能となる。また、商品情報のデータ転送は初回の情報表示以前において商品毎に1回のみ実施されるので、ネットワーク資源を有効に活用できる。
【0007】
なお、初回の情報表示時や第2の記憶手段に記憶されている商品情報が何らかの理由で削除された場合などには、情報表示を行う際に商品情報が第2の記憶手段に記憶されていない場合がある。そこで、本願では、前記表示制御手段が、情報表示させたい時にその商品情報が第2の記憶手段に記憶されていない場合には該商品情報を管理コンピュータから取得し、該商品情報を第2の記憶手段に記憶するとともに前記表示手段に表示するものを提案する。
【0008】
また、例えば商品棚に陳列されている商品種別が多い場合などには、全ての商品情報を第2の記憶手段に記憶できない場合がある。そこで、本願では、管理コンピュータから受信した商品情報を記憶するのに必要な空き容量が第2の記憶手段にない場合には、表示回数の多い順に商品情報の第2の記憶手段への記憶可否を決定することを特徴とするものを提案する。また、本願では、管理コンピュータから受信した商品情報を記憶するのに必要な空き容量が第2の記憶手段にない場合には、商品の在庫数の多い順に商品情報の第2の記憶手段への記憶可否を決定することを特徴とするものを提案する。
【0009】
商品情報の表示を行う契機としては種々のものが挙げられる。例えば、前記在庫管理手段が商品棚からの商品の取り出しを検出した場合が挙げられる。他の例としては、商品情報の表示を行いたい商品種別を選択する商品選択手段を設け、該商品選択手段による商品の選択を検出した場合が挙げられる。また他の例としては、管理コンピュータからの情報表示指示があった場合が挙げられる。また他の例としては、別途第2のアンテナ及び第2の検出手段を設け、該第2の検出手段によりRFIDタグが検出された場合が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、商品棚に載置してある商品に係る商品情報を予め管理コンピュータから取得し、該商品情報を第2の記憶手段に記憶し、情報表示を行う際には商品情報を第2の記憶手段から取り出すので、迅速な情報表示が可能となる。また、商品情報のデータ転送は初回の情報表示以前において商品毎に1回のみ実施されるので、ネットワーク資源を有効に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る商品情報表示システムについて図面を参照して説明する。本実施の形態では、冷却機構を有するショーケースに商品情報表示機能を付したものについて説明する。
【0012】
本実施の形態に係るショーケース100は、図1に示すように、商品10を陳列する商品棚101と、商品10に付設されているRFIDタグ11との通信用のアンテナ110と、該アンテナ110を用いて前記RFIDタグ11の固有識別子である固有番号を読み取る複数の読取装置120と、各読取装置120を集中制御する集中制御装置130とを備えている。また、ショーケース100の前面上部には、LCDやCRT等からなり商品10の商品情報を表示するための表示部140が設けられている。前記集中制御装置130は、LANなどのネットワーク300を介して店舗コンピュータ200と通信可能となっている。
【0013】
アンテナ110は、薄型の箱形筐体の内部に、ループ状のアンテナコイルと、インピーダンス整合回路とを配置している。アンテナ110は、商品棚101上面において1つ又は複数(本実施の形態では2つ)配置されており、各アンテナ110と読取装置120とは同軸ケーブル119により接続されている。
【0014】
読取装置120は、各商品棚101に1つずつ設けられており、それぞれ対応する商品棚101に設けた1又は複数のアンテナ110が接続されている。また、各読取装置120は、図2に示すように、接続されている2つのアンテナ110の通信範囲内にあるRFIDタグ11から固有番号を読み取るタグ検出部121と、各アンテナ110で読み取ったRFIDタグ11の固有番号を前記集中制御装置130に送信するデータ送出部122と、集中制御装置130に接続するための通信インタフェイス123とを備えている。タグ検出部121は、一方のアンテナ110を用いてRFIDタグ11の固有番号を順次取得した後に、同様に他方のアンテナ110を用いてRFIDタグ11の固有番号を順次取得する動作を繰り返す。データ送出部122は、集中制御装置130からのデータ送信要求を受信すると、タグ検出部121で検出したRFIDタグ11の固有番号のリストを集中制御装置130に送信する。
【0015】
集中制御装置130は、各読取装置120から取得したRFIDタグ11の固有番号を集計して店舗コンピュータ200に送信する中継処理部131と、固有番号の一時記憶及び商品情報を記憶する記憶部132と、読取装置120と接続するための通信インタフェイス133と、ネットワーク300と接続するための通信インタフェイス134とを備えている。中継処理部131は、接続する各読取装置120に対して固有番号のデータ送信を順次要求し、各読取装置120からRFIDタグ11の固有番号を受信すると、該固有番号を記憶部132に一時的に記憶する。また、中継処理部131は、固有番号の記憶データの変更があった際には当該データを店舗コンピュータ200に送信する。すなわち、中継処理部131は、在庫情報としての差分情報を店舗コンピュータ200に送信する。換言すれば、中継処理部131は、商品10の在庫情報を店舗コンピュータ200に送信する在庫管理手段として機能する。
【0016】
集中制御装置130は、更に、ショーケース100の前面上部に付設された前記表示部140と接続した表示制御部135を備えている。該表示制御部135は、店舗コンピュータ200から商品情報を受信すると該商品情報を記憶部132に記憶する。ここで、記憶部132に記憶する各商品情報は、商品種別を一意に識別する商品種別コードにより識別される。本実施の形態ではJANコードを用いた。なお、表示制御部135は、商品情報を受信した際に該商品情報を記憶するのに必要な空き容量が記憶部132にない場合には、(a)該商品情報は記憶せずに廃棄する、若しくは、(b)記憶部132に記憶されている何れかの商品情報を削除して空き容量を確保し、受信した商品情報を記憶する。どの商品情報を記憶するかという判定基準は、商品情報の表示回数の多い順や、商品の在庫数の多い順などが挙げられる。
【0017】
また、表示制御部135は、店舗コンピュータ200から商品情報の表示要求を受信すると、当該表示要求に含まれるJANコードに基づき記憶部132から商品情報を取り出し、当該商品情報を表示部140に表示する。ここで、商品情報が記憶部132に記憶されていない場合には、店舗コンピュータ200に商品情報の転送要求を送信し、該転送要求に応じて店舗コンピュータ200から受信した商品情報を表示部140に表示する。なお、ここで受信した商品情報に対する処理は前述したものと同様である。すなわち、通常は記憶部132に記憶されるが、記憶部132の空き容量等によっては記憶されない場合もある。
【0018】
次に、店舗コンピュータ200について図3を参照して説明する。店舗コンピュータ200は、図3に示すように、ショーケース100の在庫状況を取得する在庫情報受信部210と、ショーケース100に対して商品情報を提供する情報表示処理部220と、種々の情報を記憶する記憶手段であるリレーショナル型のデータベース230と、データベース230に記憶されているデータに基づき在庫管理を行う在庫管理部240と、ネットワーク300に接続するための通信インタフェイス250とを備えている。
【0019】
データベース230に記憶されているデータについて説明する。データベース230には、図4に示す商品情報表231、図5に示すタグ対応情報232、図6に示す棚在庫情報233が記録される。
【0020】
商品情報表231は、図4に示すように、店舗で取り扱われる商品10のJANコードと、当該商品10についての商品情報とを記録している。本実施の形態では、商品名と、バイナリ形式で格納された広告情報を記憶している。この商品情報表231は、在庫管理システムの運用開始に先立ち予め入力されるとともに、取扱商品の追加や広告内容の変更等に応じて更新される。また、商品情報表231の各データは、各店舗において入力しても良いし、複数の店舗コンピュータ200を集中管理する管理コンピュータ(図示省略)からネットワークを介して入力するようにしてもよい。
【0021】
タグ対応情報232は、商品10に貼付したRFIDタグ11と当該商品10の商品種別との対応関係を記憶したものであり、図5に示すように、RFIDタグ11の固有番号(図では「UID」と表示している。)と、JANコードとの対を記憶している。このタグ対応情報232は、商品10の入庫時などに登録される。
【0022】
棚在庫情報233は、各ショーケース100に陳列されている商品10のRFIDタグ11の固有番号を記憶したものであり、図6に示すように、固有番号を取得した日時と、RFIDタグ11の固有番号とを記憶している。この棚在庫情報233は、在庫情報受信部210により更新される。
【0023】
在庫情報受信部210は、ショーケース100から該ショーケース100に陳列されている商品10のRFIDタグ11の固有番号を受信すると、当該データの受信日時とともに棚在庫情報233としてデータベース230に格納する。
【0024】
情報表示処理部220は、データベース230の棚在庫情報233を監視し、ショーケース100に陳列されている商品10の商品情報を商品情報表231から取り出し、該商品情報をショーケース100に送信する。この商品情報の送信は、商品種別毎にすなわちJANコード毎に行う。また、情報表示処理部220は、データベース230の棚在庫情報233を監視し、商品棚101から商品10が取られたことを検出すると、すなわち在庫として検出されていたRFIDタグ11が認識されなくなったことを検出すると、タグ対応情報232を参照して、当該RFIDタグ11の固有番号に対応するJANコードを取得し、該JANコードを含む情報表示要求をショーケース100に送信する。また、情報表示処理部220は、ショーケース100から商品情報の転送要求を受信すると、該転送要求に応じて商品情報をデータベース230から取り出し、該商品情報をショーケース100に転送する。
【0025】
在庫管理部240は、店舗の従業員等からの要求に応じてデータベース230に格納されているデータに基づき種々の在庫管理サービスを提供する。在庫管理部160の具体的な機能としては、(a)データベース230に格納されている各情報の閲覧・更新機能、(b)データベース230の各情報を連携させて閲覧する機能、(c)在庫切れ警告機能、(d)購買行動把握機能が挙げられる。
【0026】
次に、店舗コンピュータ200からショーケース100の集中制御装置130への商品情報の転送処理について図7を参照して説明する。図7は商品情報の転送処理を説明するシーケンスチャートである。
【0027】
商品情報の転送処理は、店舗コンピュータ200の商品情報表231が更新された場合、ショーケース100の陳列商品が変更になった場合、或いは定期的に実施する。まず、店舗コンピュータ200は、集中制御装置130に対して転送処理を開始する旨を通知する(ステップS1)。集中制御装置130は、該通知に対して転送開始OKの旨を返答する(ステップS2)。次に、店舗コンピュータ200は、集中制御装置130に対して記憶保持している商品情報の一覧の送信を要求する(ステップS3)。集中制御装置130は、記憶部132に記憶されている商品情報の商品種別コード毎の一覧を作成し、当該一覧を店舗コンピュータ200に返答する(ステップS4)。
【0028】
次に、店舗コンピュータ200は、受信した商品情報一覧と、棚在庫情報233及びタグ対応情報232を参照して、集中制御装置130の記憶部132から削除する商品情報、及び、集中制御装置130に転送する商品情報を決定する(ステップS5)。具体的には、棚在庫情報233に存在するが集中制御装置130の記憶部132には存在しない商品については、商品情報を転送すると判定する。一方、棚在庫情報233に存在しないが集中制御装置130の記憶部132には存在する商品については、商品情報を削除すると判定する。そして、店舗コンピュータ200は、まず、集中制御装置130に対して商品種別コードを含む削除指示を送出する(ステップS6)。集中制御装置130は、該削除指示に応じて対応する商品情報を記憶部132から削除し、削除完了の旨を店舗コンピュータ200に返答する(ステップS7)。次に、店舗コンピュータ200は、集中制御装置130に対して商品種別コード及び広告情報等を含む商品情報を転送する(ステップS8)。集中制御装置130は、商品情報を受信すると当該商品情報を記憶部132に記憶し、記憶完了の旨を店舗コンピュータ200に返答する(ステップS9)。以上で商品情報の転送処理が完了する。
【0029】
本実施の形態に係るショーケース100では、店舗コンピュータ200から商品情報の表示要求を受信した際に既に集中制御装置130の記憶部132に当該商品情報が記憶されているので、表示部140への表示を迅速に行うことができるとともに、ネットワーク資源を有効に利用できる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、店舗コンピュータ200からの表示要求に基づき商品情報を表示していたが、商品情報表示の契機は他のものであっても良い。
【0031】
例えば、商品棚101から商品10が取り出されたことを中継処理部131が検出すると、ショーケース100の表示制御部135が該商品10の商品情報を記憶部132から取り出し表示部140に表示するようにしてもよい。なお、記憶部132には商品種別の識別子であるJANコード毎に商品情報が記憶されている。このため、表示制御部135は、RFIDタグ11の固有番号からJANコードを取得する必要がある。これを解決するためには、RFIDタグ11の固有番号とJANコードとの対応表を記憶部132に記憶しておけばよい。あるいは、RFIDタグ11に対応する固有番号を店舗コンピュータ200に問い合わせるようにしてもよい。
【0032】
また例えば、商品棚101に載置されている商品10用のアンテナ110及び読取装置120とは別に、商品情報表示用のアンテナ及び読取装置を別途設け、該アンテナ及び読取装置で検出された商品10について商品情報を表示部140に表示するようにしてもよい。なお、この場合にも、表示制御部135は、RFIDタグ11の固有番号からJANコードを取得する必要がある。これを解決するためには、前述のように、RFIDタグ11の固有番号とJANコードとの対応表を記憶部132に記憶しておけばよい。あるいは、RFIDタグ11に対応する固有番号を店舗コンピュータ200に問い合わせるようにしてもよい。
【0033】
また、商品情報の表示を行いたい商品10を選択する選択手段を別途設け、該選択手段により選択された商品10について商品情報を表示部140に表示するようにしてもよい。選択手段としては例えば商品種別毎に設けたスイッチや、表示部140と一体となったタッチパネルなどが挙げられる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る商品情報表示システムについて図面を参照して説明する。図8は商品情報表示システムの構成図、図9は集中制御装置の機能ブロック図、図10は商品情報表示装置の機能ブロック図である。本実施の形態に係る商品情報システムが第1の実施の形態と異なる点は、ショーケースとは別体の商品情報表示装置において商品情報を表示する点にある。以下、主として相違点について詳述する。
【0035】
本実施の形態に係る商品情報システムは、図8に示すように、ショーケース100’と、商品情報表示装置400と、店舗コンピュータ200とがネットワーク300を介して通信可能に接続されている。
【0036】
ショーケース100’は、第1の実施の形態に係るショーケース100から商品情報表示機能を取り除いたものとなっている。具体的には、第1の実施の形態に係るショーケース100から表示部140が取り除かれている。また、これに伴い集中制御装置130’の構成も第1の実施の形態と異なる。具体的には、図9に示すように、第1の実施の形態に係る集中制御装置130から表示制御部135が取り除かれており、各読取装置120から取得したRFIDタグ11の固有番号を集計して店舗コンピュータ200に送信する中継処理部131と、固有番号の一時記憶及びタグ対応情報を記憶する記憶部132と、読取装置120と接続するための通信インタフェイス133と、ネットワーク300と接続するための通信インタフェイス134と、商品情報表示装置400と接続するために通信インタフェイス136とを備えている。
【0037】
記憶部132に記憶されているタグ対応情報は、RFIDタグ11の固有番号と該RFIDタグ11を貼付した商品10の商品種別コードとの対応表である。本実施の形態では商品種別コードとしてJANコードを用いた。該タグ対応情報は、店舗サーバ200において管理されているタグ対応情報232の複製であり、店舗サーバ200から転送されたものを記憶保持している。
【0038】
中継処理部131は、第1の実施の形態と同様に、接続する各読取装置120に対して固有番号のデータ送信を順次要求し、各読取装置120からRFIDタグ11の固有番号を受信すると、該固有番号を記憶部132に一時的に記憶する。また、中継処理部131は、固有番号の記憶データの変更があった際には当該データを店舗コンピュータ200に送信する。すなわち、中継処理部131は、在庫情報としての差分情報を店舗コンピュータ200に送信する。換言すれば、中継処理部131は、商品10の在庫情報を店舗コンピュータ200に送信する在庫管理手段として機能する。また、中継処理部131は、各読取装置120から受信したRFIDタグ11の固有番号のリスト及び記憶部132に一時記憶した固有番号のリストに基づき、商品棚101から商品10が取り出されたことを判定する。そして、中継処理部131は、取り出された商品10の商品種別コードを記憶部132のタグ対応表から取得し、該商品種別コードを含む商品情報表示要求を商品情報表示装置400に送出する。ここで、該商品情報表示要求は、ネットワーク300を介するのではなく、通信インタフェイス136を介して直接商品情報表示装置400に送出する。
【0039】
商品情報表示装置400は、図10に示すように、商品10のRFIDタグ11と通信するためのアンテナ401と、該アンテナ401に近づけた商品10のRFIDタグ11から固有番号を検出するタグ検出部402と、商品10の情報を表示する表示部403と、表示部403へ表示する商品情報及び前記タグ対応情報を記憶する記憶部404と、表示部403への商品情報の表示を制御する表示制御部405と、ネットワーク300に接続するための通信インタフェイス406と、集中制御装置130’に接続するための通信インタフェイス407とを備えている。
【0040】
表示制御部405は、店舗コンピュータ200から商品情報を受信すると該商品情報を記憶部404に記憶する。ここで、記憶部404に記憶する各商品情報は、商品種別を一意に識別する商品種別コードにより識別される。本実施の形態ではJANコードを用いた。なお、表示制御部405は、商品情報を受信した際に該商品情報を記憶するのに必要な空き容量が記憶部404にない場合には、(a)該商品情報は記憶せずに廃棄する、若しくは、(b)記憶部404に記憶されている何れかの商品情報を削除して空き容量を確保し、受信した商品情報を記憶する。どの商品情報を記憶するかという判定基準は、商品情報の表示回数の多い順や、商品の在庫数の多い順などが挙げられる。なお、商品の在庫数は店舗コンピュータ200から取得すればよい。
【0041】
また、表示制御部405は、タグ検出部402によって読み取られたRFIDタグ11の固有番号をキーとして商品種別コードを記憶部404から取得する。次に、表示制御部405は、該商品種別コードをキーとして記憶部404から商品情報を取り出し、表示部403に表示する。さらに、表示制御部405は、集中制御装置130’又は店舗コンピュータ200から商品情報の表示要求を受信すると、当該表示要求に含まれる商品種別コートに基づき記憶部404から商品情報を取り出し、当該商品情報を表示部403に表示する。
【0042】
上記表示制御部405は、商品情報の表示処理を行う際に商品情報が記憶部404に記憶されていない場合には、店舗コンピュータ200に商品情報の転送要求を送信し、該転送要求に応じて店舗コンピュータ200から受信した商品情報を表示部403に表示する。ここで店舗コンピュータ200受信した商品情報に対する処理は前述したものと同様である。すなわち、通常は記憶部404に記憶するが、記憶部404の空き容量等によっては記憶しない場合もある。
【0043】
店舗コンピュータ200の構成は第1の実施の形態と同様であるが、その動作が異なる。以下に主として相違点について詳述する。店舗コンピュータ200の情報表示処理部220は、データベース230の棚在庫情報233を監視し、ショーケース100’に陳列されている商品10の商品情報を商品情報表231から取り出し、該商品情報を商品情報表示装置400に送信する。この商品情報の送信は、商品種別毎にすなわちJANコード毎に行う。また、情報表示処理部220は、商品情報表示装置400から商品情報の転送要求を受信すると、該転送要求に応じて商品情報をデータベース230から取り出し、該商品情報を商品情報表示装置400に転送する。店舗コンピュータ200から商品情報表示装置400への商品情報の転送処理は、第1の実施の形態における店舗コンピュータ200からショーケース100の集中制御装置130への商品情報の転送処理と同様である。また、その他の構成及び動作についても第1の実施の形態と同様である。
【0044】
本実施の形態に係る商品情報表示システムによれば、商品情報表示装置400においてショーケース100’の集中制御装置130’又は店舗コンピュータ200から商品情報の表示要求を受信した際に、既に商品情報表示装置400の記憶部404には当該商品情報が記憶されている。したがって、商品情報表示装置400の表示部403への表示を迅速に行うことができるとともに、ネットワーク資源を有効に利用できる。
【0045】
なお、本実施の形態では、ショーケース100’と商品情報表示装置400とを接続し、ネットワーク300を介することなく商品情報の表示要求を伝送していたが、ネットワーク300を経由して商品情報の表示要求を伝送するようにしてもよい。また、ネットワーク300を介する場合には、さらに店舗コンピュータ200が表示要求を中継するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、商品情報表示装置400は、ショーケース100’の集中制御装置130’又は店舗コンピュータ200から表示要求を受信した際、及び、アンテナ401に商品10を近づけてRFIDタグ11の固有番号を読み取った際に商品情報を表示していたが、商品情報表示の契機は他のものであっても良い。例えば、商品情報表示装置400に商品種別を選択する選択手段を設け、該選択手段により選択された商品の商品情報を表示するようにしてもよい。選択手段としては種々のものを用いることができるが、表示部403と一体化したタッチパネルを用いると好適である。
【0047】
以上本発明の一実施の形態に係る情報表示システムについて詳述したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、冷却機能を有するショーケースについて説明したが、冷却機能を有しない一般的な棚であっても本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態に係る商品情報表示システムの構成図
【図2】ショーケースの機能ブロック図
【図3】店舗コンピュータの機能ブロック図
【図4】商品情報表の一例を示す図
【図5】タグ対応情報の一例を示す図
【図6】棚在庫情報の一例を示す図
【図7】商品情報の転送処理を説明するシーケンスチャート
【図8】第2の実施形態に係る商品情報表示システムの構成図
【図9】集中制御装置の記憶ブロック図
【図10】商品情報表示装置の機能ブロック図
【符号の説明】
【0049】
10…商品、11…RFIDタグ、100…ショーケース、101…商品棚、110…アンテナ、120…読取装置、130…集中制御装置、132…記憶部、135…表示制御部、140…表示部、200…店舗コンピュータ、220…情報表示処理部、230…データベース、400…商品情報表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を上面に載置する商品棚と、該商品棚に陳列した商品の商品情報を表示する表示手段とを備えた商品情報表示システムにおいて、
商品棚に設けられ且つ商品に貼付されたRFIDタグと通信するための第1のアンテナと、
第1のアンテナを介してRFIDタグと通信を行い該RFIDタグから固有識別子を検出する第1の検出手段と、
第1の検出手段で検出した固有識別子のリストを記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶されている固有識別子のリストと第1の検出手段で検出した固有識別子のリストとの対比して得られる商品の在庫情報をネットワークを介して管理コンピュータに送信する在庫管理手段と、
第1の検出手段で検出された固有識別子に対応した商品情報を管理コンピュータから受信するとともに該商品情報を記憶する第2の記憶手段と、
第2の記憶手段から情報表示させたい商品の商品情報を取り出して表示手段に表示する表示制御手段とを備えた
ことを特徴とする商品情報表示システム。
【請求項2】
前記第1のアンテナと、前記第1の検出手段と、前記第1の記憶手段と、前記在庫管理手段とを前記商品棚に設け、
前記表示手段と、前記第2の記憶手段と、前記表示制御手段とを商品棚とは別体の商品情報表示装置に設け、
前記商品棚と前記商品情報表示装置とを通信可能に接続した
ことを特徴とする請求項1記載の商品情報表示システム。
【請求項3】
前記第1のアンテナと、前記第1の検出手段と、前記第1の記憶手段と、前記在庫管理手段と、前記表示手段と、前記第2の記憶手段と、前記表示制御手段とを前記商品棚に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の商品情報表示システム。
【請求項4】
前記商品情報表示装置は、商品情報の表示を行いたい商品に貼付されたRFIDタグと通信するための第2のアンテナと、第2のアンテナを介してRFIDタグと通信を行い該RFIDタグから固有識別子を検出する第2の検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記第2の検出手段により検出された固有識別子に係る商品の商品情報を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項2記載の商品情報表示システム。
【請求項5】
前記在庫管理手段は、商品棚からの商品の取り出しを検出すると該商品の固有識別子を表示制御手段に通知し、
前記表示制御手段は、前記在庫管理手段から受信した固有識別子に係る商品の商品情報を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の商品情報表示システム。
【請求項6】
商品情報の表示を行いたい商品種別を選択する商品選択手段を備え、
前記表示制御手段は、前記商品選択手段により選択された商品に係る商品情報を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の商品情報表示システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、管理コンピュータからの情報表示指示に基づき該情報表示指示で指示された商品の商品情報を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の商品情報表示システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、商品情報の表示時に該商品情報が第2の記憶手段に記憶されていない場合には該商品情報を管理コンピュータから取得し、該商品情報を第2の記憶手段に記憶するとともに前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の商品情報表示システム。
【請求項9】
前記表示制御手段は、管理コンピュータから受信した商品情報を記憶するのに必要な空き容量が第2の記憶手段にない場合には、表示回数の多い順に商品情報の第2の記憶手段への記憶可否を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の商品情報表示システム。
【請求項10】
前記表示制御手段は、管理コンピュータから受信した商品情報を記憶するのに必要な空き容量が第2の記憶手段にない場合には、商品の在庫数の多い順に商品情報の第2の記憶手段への記憶可否を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の商品情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−32155(P2009−32155A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197354(P2007−197354)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】