説明

商品訴求什器

【課題】特定の販売商品を顧客に強調して訴求することができる商品訴求什器を提供する。
【解決手段】商品訴求什器200は、第一コラムユニット210のたばこ商品101が第二コラムユニット220のたばこ商品102より前方に陳列される。このため、必然的に第一コラムユニット210のたばこ商品101が第二コラムユニット220のたばこ商品102より大きく錯視されることになる。従って、第一コラムユニット210のたばこ商品101を第二コラムユニット220のたばこ商品102より顧客に強調して訴求することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の定型の販売商品を相違する種類ごとに左右方向に陳列させるとともに同一の種類ごとに前後方向に陳列させる什器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、定型の販売商品を店舗内部で販売するようなときに、顧客が自由にアクセスできるようにした什器が利用されている。例えば、商品の取り間違いが生じず、また販売動作に関係しない場合の商品の抜き取りを防止できる什器の提案がある。
【0003】
その技術は、複数種類の商品をそれぞれ収納できるコラムを有する商品収納部と、収納された複数種類の商品を、それぞれ陳列した商品陳列棚を有する商品陳列部とを備える什器である。
【0004】
そして、商品陳列部には陳列された複数種類の商品に対応して、それぞれ選択ボタンを設け、商品収納部の各コラムの取り出し側前方に、それぞれ選択ボタンにより該コラムの商品が選択されたときに開動作する開閉可能な扉が設けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−095362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の什器は、何れも複数種類の販売商品を前後左右に均等に、顧客から視認されるように陳列するものである。このため、特定の販売商品を顧客に強調して訴求したい場合でも、これを実現することができなかった。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、特定の販売商品を顧客に強調して訴求することができる商品訴求什器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の商品訴求什器は、複数種類の定型の販売商品を相違する種類ごとに左右方向に陳列させるとともに同一の種類ごとに前後方向に陳列させる什器であって、所定の販売商品を前後方向で陳列させる第一コラムユニットと、所定の販売商品を第一コラムユニットの販売商品より前後方向で所定位置まで後退した位置に陳列させる第二コラムユニットと、第一コラムユニットに陳列された最前列の販売商品の上方に所定の第一上下幅で形成されている第一フェイス部と、第二コラムユニットに陳列された最前列の販売商品の上方に第一上下幅より大きい所定の第二上下幅で形成されている第二フェイス部と、を有する。
【0009】
従って、本発明の商品訴求什器では、第一コラムユニットに陳列された販売商品が第二コラムユニットに陳列された販売商品より前方に陳列されるとともに、第一フェイス部は第二フェイス部より前方に位置する。このため、例えば、所定の距離から目視したときに、第一フェイス部と第二フェイス部とが同一の上下幅に錯視されるのに、第一コラムユニットの販売商品が第二コラムユニットの販売商品より大きく錯視されることになる。
【0010】
また、上述のような商品訴求什器において、所定距離まで離反した位置から視認したときに第一フェイス部と第二フェイス部とが同一の上下幅に錯視されるように形成されていてもよい。
【0011】
また、上述のような商品訴求什器において、第一フェイス部は、第一コラムユニットの販売商品の広告コンテンツが表記されており、第二フェイス部は、第二コラムユニットの販売商品の広告コンテンツが表記されていてもよい。
てもよい。
【0012】
また、上述のような商品訴求什器において、第一フェイス部と第二フェイス部とは、第一コラムユニットと第二コラムユニットとの販売商品の上方に同一の所定間隔を介して形成されていてもよい。
【0013】
また、上述のような商品訴求什器において、第一フェイス部は、第一コラムユニットの販売商品の上方に所定の第一間隔を介して形成されており、第二フェイス部は、第二コラムユニットの販売商品の上方に第一間隔より大きい第二間隔を介して形成されていてもよい。
【0014】
また、上述のような商品訴求什器において、所定距離まで離反した位置から視認したときに第一フェイス部と第二フェイス部とが同一の高さに錯視されるように形成されていてもよい。
【0015】
また、上述のような商品訴求什器において、販売商品がたばこ商品からなっていてもよい。
【0016】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の商品訴求什器では、例えば、所定の距離から目視したときに、第一フェイス部と第二フェイス部とが同一の上下幅に錯視されるのに、第一コラムユニットの販売商品が第二コラムユニットの販売商品より大きく錯視されることになる。従って、第一コラムユニットの販売商品を第二コラムユニットの販売商品より顧客に強調して訴求することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の商品訴求什器の外観を示す模式的な斜視図である。
【図2】商品訴求什器の外観を示す模式的な側面図である。
【図3】商品訴求什器の外観を示す模式的な正面図である。
【図4】商品訴求什器の効果を示す模式図である。
【図5】商品訴求什器の効果を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の商品訴求什器200は、図1および図3に示すように、複数種類の定型の販売商品であるたばこ商品101,102を相違する種類ごとに左右方向に陳列させるとともに同一の種類ごとに前後方向に陳列させる。
【0020】
ただし、本実施の形態の商品訴求什器200では、図1に示すように、所定のたばこ商品101を前後方向で陳列させる第一コラムユニット210と、所定のたばこ商品102を第一コラムユニット210のたばこ商品101より前後方向で所定位置まで後退した位置に陳列させる第二コラムユニット220と、第一コラムユニット210に陳列された最前列のたばこ商品101の上方に所定の第一上下幅で形成されている第一フェイス部230と、第二コラムユニット220に陳列された最前列のたばこ商品102の上方に第一上下幅より大きい所定の第二上下幅で形成されている第二フェイス部240と、を有する。
【0021】
また、図2に示すように、第一フェイス部230は、第一コラムユニット210のたばこ商品101の上方に所定の第一間隔を介して形成されており、第二フェイス部240は、第二コラムユニット220のたばこ商品102の上方に第一間隔より大きい第二間隔を介して形成されている。
【0022】
このため、詳細には後述するが、図3に示すように、所定距離まで離反した位置から視認したときに第一フェイス部230と第二フェイス部240とが同一の上下幅および同一の高さに錯視されるように形成されている。
【0023】
図1に示すように、第一フェイス部230は、第一コラムユニット210のたばこ商品101の広告コンテンツ等を表記することができ、第二フェイス部240は、第二コラムユニット220のたばこ商品102の広告コンテンツ等を表記することができる。
【0024】
より具体的には、本実施の形態の商品訴求什器200は、図1に示すように、第一種類のたばこ商品101を陳列させる第一コラムユニット210が、第二種類のたばこ商品102を陳列させる第二コラムユニット220より前方に突出しており、平面形状がL字型となっている。
【0025】
本実施の形態の商品訴求什器200は、たばこ商品101,102として、例えば、たばこ商品を収容するように形成されており、第一コラムユニット210には第二コラムユニット220より五個のたばこ商品101が前方に位置するように形成されている。
【0026】
第一コラムユニット210と第二コラムユニット220との上方には第一フェイス部230と第二フェイス部240とが屋根状に形成されているが、第二フェイス部240は第一フェイス部230より上方に位置しており、第一フェイス部230の上下幅は第二フェイス部240より小さい。
【0027】
より具体的には、図4および図5に示すように、顧客の目視位置がたばこ商品101,102の中心から2mなどの所定距離に位置するとき、第一フェイス部230と第二フェイス部240とが同一位置に同一サイズで視認されるように形成されている。
【0028】
このため、図1および図2に示すように、第一フェイス部230を形成する上部上面は水平であるが、第二フェイス部240を形成する上部上面は後傾している。つまり、第一フェイス部230を形成する上部と第二フェイス部240を形成する上部とに段差が形成されている。
【0029】
上述のような構成において、本実施の形態の商品訴求什器200では、第一種類のたばこ商品101が第二種類のたばこ商品102より前方に陳列される。このため、必然的に第一種類のたばこ商品101が第二種類のたばこ商品102より大きく錯視されることになる。
【0030】
そして、上述のように陳列された第一種類のたばこ商品101の上方に第一フェイス部230が形成されているとともに第二種類のたばこ商品102の上方に第二フェイス部240が形成されており、第一フェイス部230は第二フェイス部240より前方に位置している。
【0031】
しかし、図4および図5に示すように、第二フェイス部240は第一フェイス部230より上方に位置しているので、第一フェイス部230と第二フェイス部240とが同一の高さに位置するように錯視させることができる。
【0032】
さらに、図1および図2に示すように、第一フェイス部230の上下幅は第二フェイス部240より小さいが、第一フェイス部230は第二フェイス部240より前方に位置しているので、図3に示すように、第一フェイス部230の上下幅を第二フェイス部240と同一に錯視させることもできる。
【0033】
従って、本実施の形態の商品訴求什器200は、所定の距離から目視したときに、第一フェイス部230と第二フェイス部240とが同一の上下幅および同一の高さに錯視されるのに、第一のたばこ商品101が第二のたばこ商品102より大きく錯視されることになる。このため、第一種類のたばこ商品101を第二種類のたばこ商品102より顧客に強調して訴求することができ、その販売を促進することができる。
【0034】
より具体的には、例えば、図5に示すように、顧客が商品訴求什器200から2m離れた位置に立ち、その目線の高さはたばこ商品101,102の中央に位置すると想定する。このような状態で、第一種類のたばこ商品101と第一フェイス部230との上下間隔が1cmとする。
【0035】
すると、たばこ商品101と第一フェイス部230の下縁部との内角θは約1.54°となり、第二種類のたばこ商品102と第二フェイス部240との上下間隔は約1.31cmとなる。この場合、錯視の効果は大きくないが、顧客が商品訴求什器200に接近するほど錯視の効果は増大する。
【0036】
なお、第一種類のたばこ商品101と第一フェイス部230との上下間隔を2cmとすると、第二種類のたばこ商品102と第二フェイス部240との上下間隔は約1.37cmとなり、第一種類のたばこ商品101と第一フェイス部230との上下間隔を10cmとすると、第二種類のたばこ商品102と第二フェイス部240との上下間隔は約1.83cmとなる。
【0037】
また、第一種類のたばこ商品101と第一フェイス部230との上下間隔が1cmの状態で、第一種類のたばこ商品101と顧客との距離が50cmならばたばこ商品101と第一フェイス部230の下縁部との内角θは約6.16°となり、300cmならば内角θは約1.03°となる。
【0038】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では第一種類のたばこ商品101と第二種類のたばこ商品102とを第一コラムユニット210と第二コラムユニット220とに各々収容することを例示した。しかし、第三種類以上のたばこ商品を第三以上のコラムユニットに収容してもよい(図示せず)。
【0039】
また、上記形態では第一フェイス部230と第一種類のたばこ商品101との上下間隔が第二フェイス部240と第二種類のたばこ商品102との上下間隔より小さいことにより、第一フェイス部230と第二フェイス部240とが同一高さに錯視されることを例示した。
【0040】
しかし、これは顧客の視線の位置がたばこ商品101,102の中心に位置することを想定したためであり、例えば、顧客の視線の位置が第一フェイス部230と第二フェイス部240との下縁部に位置するならば、第一フェイス部230と第一種類のたばこ商品101との上下間隔および第二フェイス部240と第二種類のたばこ商品102との上下間隔を同一としてもよい(図示せず)。
【符号の説明】
【0041】
101 たばこ商品
102 たばこ商品
200 商品訴求什器
210 第一コラムユニット
220 第二コラムユニット
230 第一フェイス部
240 第二フェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の定型の販売商品を相違する種類ごとに左右方向に陳列させるとともに同一の種類ごとに前後方向に陳列させる什器であって、
所定の前記販売商品を前後方向で陳列させる第一コラムユニットと、
所定の前記販売商品を前記第一コラムユニットの前記販売商品より前後方向で所定位置まで後退した位置に陳列させる第二コラムユニットと、
前記第一コラムユニットに陳列された最前列の前記販売商品の上方に所定の第一上下幅で形成されている第一フェイス部と、
前記第二コラムユニットに陳列された最前列の前記販売商品の上方に前記第一上下幅より大きい所定の第二上下幅で形成されている第二フェイス部と、
を有する商品訴求什器。
【請求項2】
所定距離まで離反した位置から視認したときに前記第一フェイス部と前記第二フェイス部とが同一の上下幅に錯視されるように形成されている請求項1に記載の商品訴求什器。
【請求項3】
前記第一フェイス部は、前記第一コラムユニットの前記販売商品の広告コンテンツが表記されており、
前記第二フェイス部は、前記第二コラムユニットの前記販売商品の広告コンテンツが表記されている請求項1または2に記載の商品訴求什器。
【請求項4】
前記第一フェイス部と前記第二フェイス部とは、前記第一コラムユニットと前記第二コラムユニットとの前記販売商品の上方に同一の所定間隔を介して形成されている請求項1ないし3の何れか一項に記載の商品訴求什器。
【請求項5】
前記第一フェイス部は、前記第一コラムユニットの前記販売商品の上方に所定の第一間隔を介して形成されており、
前記第二フェイス部は、前記第二コラムユニットの前記販売商品の上方に前記第一間隔より大きい第二間隔を介して形成されている請求項1ないし3の何れか一項に記載の商品訴求什器。
【請求項6】
所定距離まで離反した位置から視認したときに前記第一フェイス部と前記第二フェイス部とが同一の高さに錯視されるように形成されている請求項5に記載の商品訴求什器。
【請求項7】
前記販売商品がたばこ商品からなる請求項1ないし6の何れか一項に記載の商品訴求什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−205620(P2012−205620A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71535(P2011−71535)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】