説明

商品販売什器

【課題】商品種別毎に個装ケースに並べて収納され、トレイ上に複数列に亘って展示して販売に供される複数種の箱形パッケージ商品(例えばたばこ)の販売数(販売実績)を簡易に求めることのできる販売什器を提供する。
【解決手段】複数の個装ケースのそれぞれに、商品の取り出しを検出する取出検出スイッチと、商品種別情報を予め記憶し、前記取出検出スイッチにより商品の取り出しが検出される都度、商品種別情報を外部出力する回路ユニットとを設け、これらの個装ケースを載置するトレイには、予め定めた個装ケースの載置位置毎に前記個装ケースの回路ユニットに電気的に接続される複数の端子部を設ける。そして什器本体に、端子部に接続されて前記回路ユニットから外部出力される前記商品種別情報を取得する都度、該商品種別情報が示す種別の商品の販売履歴を記録するデータ収集装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横並びに配列された複数の個装ケースに、商品種別毎に前後方向に並べて収納して展示されて販売に供される複数の箱形パッケージ商品の販売数を管理する機能を備えた商品販売什器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンス・ストアやスーパー・マーケットでのたばこ(箱形パッケージ商品)の販売は、専ら、複数種のたばこを、複数列に亘ってその商品種別(銘柄)毎に前後方向に並べて展示(陳列)する商品販売什器を用いて行われる(例えば特許文献1を参照)。この種の商品販売什器は、一般的にはケースまたはトレイ上に複数列に亘って前後方向に並べられた商品(たばこ)を、列毎にその前端側に押し出すように構成される。そして商品販売什器に収納された商品(たばこ)は、その前端に位置付けられたものから順に前記ケースまたはトレイから取り出されて販売される。
【0003】
尚、商品種別毎に複数の商品(たばこ)を前後方向に1列に並べて収容する複数の個装ケースを用い、これらの個装ケースをトレイ上に横並びに載置して商品(たばこ)の展示・販売を行う構造の商品販売什器も提唱されている。ちなみにたばこ用の商品販売什器にあっては、その商品種別(銘柄)が多いことから上記トレイを多段に設け、複数種の商品(たばこ)を多段・複数列に展示して販売に供する構成のものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来の商品販売什器は、専ら、上述したように複数種の商品(たばこ)を並べて展示して販売に供しているに過ぎない。この為、複数種の商品(たばこ)の販売実績をモニタする場合には、例えば販売代金を精算する際に、商品(たばこ)に付されたバーコード等の商品種別コードを読み取ってレジスタに入力される商品情報とその販売個数を、その商品種別毎に集計することが必要であり、非常に煩わしい。
【0006】
一方、たばこの自動販売機においては、その商品展示部に横並びに多段に展示される商品見本の展示位置によって商品アピール効果が左右され、商品種別毎の販売実績が変化することが知られている。これ故、販売の主力となる商品(たばこ)の商品見本を、アピール効果の高い展示位置に割り付ける等の工夫がなされている。しかしながら商品販売什器を用いている場合には、上述したように商品種別毎の販売数(販売実績)を集計しているだけなので、商品販売什器における商品展示位置とその販売実績との因果関係を容易に分析することができないと言う不具合がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、商品種別毎に前後方向に並べて複数列に亘って展示して販売に供される複数種の箱形パッケージ商品(例えばたばこ)の販売数(販売実績)を簡易に求めることができ、しかも商品種別毎の販売実績とその展示位置との因果関係の分析を可能とする集計機能を備えた商品販売什器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するべく本発明に係る商品販売什器は、商品種別毎に複数の箱形パッケージ商品(例えばたばこ)を前後方向に並べて収納し、前端に位置付けられた箱形パッケージ商品から順に販売に供する複数の個装ケースと、所定数の個装ケースを横並びに配列して支持するトレイを有する什器本体と、を具備したものであって、
前記個装ケースは、前端に位置付けられた箱形パッケージ商品の該個装ケースからの取り出しを検出する取出検出スイッチと、該個装ケースに収納される箱形パッケージ商品の商品種別情報を予め記憶すると共に、前記取出検出スイッチにより箱形パッケージ商品の取り出しが検出されたときに前記商品種別情報を外部出力する回路ユニットとを備え、
前記トレイは、該トレイの予め定められた前記個装ケースの載置位置にそれぞれ設けられて該トレイ上に載置された前記個装ケースの回路ユニットに電気的に接続される複数の端子部を備え、
前記什器本体は、前記端子部を介して前記回路ユニットから外部出力される前記商品種別情報を取得する都度、該商品種別情報が示す種別の前記箱形パッケージ商品の販売履歴を記録するデータ収集装置を備えることを特徴としている。
【0009】
尚、前記データ収集装置を、前記端子部を介して前記回路ユニットから外部出力される前記商品種別情報を取得した際、この商品種別情報を取得した前記端子部を識別して前記トレイにおける前記個装ケースの載置位置を求め、前記商品種別情報と前記個装ケースの載置位置とに基づいて商品種別とその展示位置毎に前記箱形パッケージ商品の販売履歴を記録するように構成することも可能である。尚、前記トレイは、好ましくは多段に設けられる。
【0010】
ちなみに前記個装ケースは、例えば複数の箱形パッケージ商品を前後方向に並べて収納するケース本体と、このケース本体の前端を形成して前記箱形パッケージ商品の前端位置を規定する前壁部と、前記ケース本体の前後方向にスライド可能に設けられて該ケース本体に収納された箱形パッケージ商品を前記前壁部に向けて後方から押圧して移動させるプッシャとを具備したものからなる。そして前記取出検出スイッチは、前記前壁部の内側面に設けられて、前記ケース本体の前端に位置付けられた箱形パッケージ商品の前面に当接して付勢され、その付勢解除を該箱形パッケージ商品の前記ケース本体から上方への取り出しとして検出するものからなる。
【0011】
尚、前記箱形パッケージ商品の商品種別情報は、前記個装ケース毎に該個装ケースに収納する箱形パッケージ商品の種別を決定した際にプリセットされる銘柄コードからなる。また前記回路ユニットは、好ましくは前記個装ケースが前記トレイ上の所定の位置に載置されたとき、前記端子部を介して前記トレイ側から電源供給されて作動するように構成される。
【0012】
尚、前記データ収集装置は、例えば前記複数の端子部のそれぞれに対応する通信ポートを備え、これらの通信ポートを巡回的にサーチして前記回路ユニットが外部出力する商品種別情報を取得すると共に、該商品種別情報を取得した通信ポート番号から前記個装ケースの載置位置を特定するように構成される。また前記データ収集装置は、前記端子部を介する前記回路ユニットとの通信路の接続切れを判定して前記トレイからの前記個装ケースの取り外しを検出する取り外し検出手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る商品販売什器によれば、個装ケースに組み込まれた取出検出スイッチにより該個装ケースからの箱形パッケージ商品の取り出しが検出される都度、該個装ケースに設けられた回路ユニットから、予め設定された箱形パッケージ商品の商品種別情報(銘柄コード)が、前記個装ケースが載置されるトレイを備えた什器本体に設けられたデータ収集装置に向けて外部出力される。そしてデータ収集装置においては、基本的には前記個装ケース側から商品種別情報が伝達される都度、当該商品種別情報が示す種別を販売履歴として記録し、また必要に応じて該当する商品の販売個数をインクリメント(+1)してその累積値を更新するので、商品種別毎の販売個数を容易に求めることが可能となる。特にトレイ上における個装ケースの載置位置が変更されても、商品種別毎にその販売個数を正確に累積することが可能となる。
【0014】
この際、データ収集装置においては、例えば商品種別情報を取得した端子部が接続された通信ポートの番号から前記トレイにおける前記商品種別情報を発した個装ケースの載置位置(商品展示位置)を求め、これらの情報を販売履歴として記録すると共に、商品種別とその展示位置毎に前記箱形パッケージ商品の販売個数を累積する。従って商品種別毎に、箱形のパッケージ商品(例えばたばこ)が、どの展示位置において、どの程度販売されたかを容易に分析し、その販売傾向を把握することが可能となる。
【0015】
また上述した如く商品種別情報と、該商品種別情報を発した個装ケースの載置位置(商品展示位置)を求めるので、トレイに対する複数の個装ケースの載置位置が不本意に入れ替わっても、或いは意図的に変更されても、商品種別毎にそれぞれの商品展示位置における販売実績(販売個数)を正確に求めることができる。従って商品展示位置の違いによる商品の売れ具合や商品アピール効果等を容易に分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る商品販売什器の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】図1に示す商品販売什器におけるトレイと個装ケースの概略構成を示す分解斜視図。
【図3】個装ケースの断面構造と、該個装ケースに収納される箱形パッケージ商品(たばこ)との関係を示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る商品販売什器における販売個数を管理する為の主要部の概略構成を示す図。
【図5】個装ケースにおける箱形パッケージ商品(たばこ)の取り出し検出処理を示す図。
【図6】データ収集装置における箱形パッケージ商品(たばこ)の販売個数の集計処理の一例を示す図。
【図7】データ収集装置における個装ケースの取り外し検出処理の例を示す図。
【図8】データ収集装置において、商品展示位置と商品種別とに応じて集計される箱形パッケージ商品(たばこ)の販売個数とその販売履歴の管理形態の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る商品販売什器について、箱形パッケージ商品であるたばこの販売用の什器を例に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るたばこ販売用の商品販売什器(以下、什器と略す)の概略構成を示す外観斜視図である。この什器は、商品種別毎に複数のたばこ(商品)Sを前後方向に1列に並べて収納し、その前端に位置付けられたたばこ(商品)Sから順に販売に供する複数の個装ケース10と、所定数の個装ケース10を横並びに配列して支持するトレイ20と、このトレイ20の両端部をそれぞれ支持して該トレイ20と共に什器本体を構成する左右一対の側板1L,1Rとを備えて構成される。ちなみに図1に示す什器は、25個の個装ケース10を5個ずつ横並びに配列して支持する5段のトレイ20を備えたものである。
【0018】
これらの5段のトレイ20は、平行に立設された前記一対の側板1L,1R間に、上下方向に所定の間隔を隔てて平行に設けられる。特にこれらのトレイ20は、例えば5°程度の傾斜角度で手前側に傾斜させて設けられており、各トレイ20上に載置される個装ケース10の前端部が、いわゆる階段状に並ぶように工夫されている。この結果、各段の個装ケース10の前端部の上方が、その上段のトレイ20および個装ケース10によって覆い被されることがなく開放され、各個装ケース10にそれぞれ収納されたたばこ(商品)Sを、その前端部から上方に向けて容易に取り出し(抜き出し)可能となっている。
【0019】
図2は上述した個装ケース10とトレイ20との関係、および個装ケース10の概略的な構造を示す分解斜視図であり、図3は個装ケース10の断面構造を示している。
個装ケース10は、概略的には、例えば20個程度のたばこ(商品)Sを縦並びにして前後方向に1列に収納する縦長の箱形樋状のケース本体11と、このケース本体11の底部に穿たれた溝11aに嵌め込まれて該溝11aに沿って移動し、ケース本体11に収納されたたばこ(商品)Sを該ケース10の前端側に向けて押し出すプッシャ12を備える。
【0020】
上記プッシャ12は、その一端部がコイルバネ13により巻回付勢されて前記ケース本体11の底部に組み込まれた長尺の牽引片14の他端部に連結されたものであって、該牽引片14の巻回力を受けて前記ケース本体11に収容されたたばこ(商品)Sを該ケース本体11の前面側(ケース10の前端側)に向けて押し出す作用を呈する。尚、ケース本体11の底面前端側は、図3に示すようにたばこ(商品)Sの厚み方向の1個分の幅に亘って所定の高さだけ、例えば5〜10mm程度高く盛り上げた傾斜部11bとして形成されている。ケース本体11に収納され、前記プッシャ12により押し出されて該ケース本体11の前端に位置付けられたたばこ(商品)Sは、上記傾斜部11bに乗り上げることにより該傾斜部11bの高さの分だけ上方に突出する。これによりケース本体11に収納されて該ケース本体11の前端に位置付けられたたばこ(商品)Sの、個装ケース10からの取り出しの容易化が図られている。
【0021】
一方、前記トレイ20は、図2に示すように5個の個装ケース10を横並びに載置する平板状のトレイ本体21と、このトレイ本体21の上面に平行に突出させて設けられて個装ケース10の載置位置を5列に亘って規制するガイド22を備える。またトレイ本体21の後端部には、該トレイ本体21上に載置された個装ケース10の後端位置を規制する後壁部23が設けられ、更にトレイ本体21の前端部には、トレイ20の前端縁部を形成する樋状の連結部24が設けられている。尚、樋状の連結部24の内部には、後述する取出検出スイッチ31および回路ユニット32とデータ処理装置40とを電気的に接続して通信路を形成する信号線(図示せず)等が布設される。
【0022】
また前記連結部24の下部にはその前面側に突出して複数の弾性係合片(フック)25が設けられている。これらの弾性係合片25は、前述したガイド22に沿ってトレイ20(トレイ本体21)上に位置決めされて載置される複数の個装ケース10の前面下端部にそれぞれ係合して該個装ケース10を係止するものである。この弾性係合片25を下方に撓ませて前記個装ケース10の前面下端部との係合を解除することにより、トレイ20(トレイ本体21)上からの個装ケース10の引き抜きが可能となる。
【0023】
基本的には上述した如く構成される個装ケース10およびトレイ20を備えた什器において本発明が特徴とするところは、前記トレイ20の前端縁部をなす前記連結部24の前面に、後述するように前記個装ケース10に設けられる接続コネクタがそれぞれ電気的に接続される複数の接続端子26が設けられている点にある。また同時に前記個装ケース10のそれぞれに、該個装ケース10からのたばこ(商品)Sの取り出しを検出する取出検出スイッチ31を設けると共に、その検出情報を外部出力する回路ユニット32を設けた点にある。ちなみに回路ユニット32から外部出力される前記たばこ(商品)Sの取り出し検出情報は、前記接続端子26を介して什器本体側に設けられたデータ処理装置40にて取り込まれる。
【0024】
個装ケース10についてより具体的に説明すると、前述した前記ケース本体11の前端部をなし、該ケース本体11に収納されたたばこ(商品)Sの前端位置を規定する前壁部11cは、該ケース本体11の下面側に突出して前述したトレイ20の前端縁部をなす連結部24に係合する形状を有している。トレイ20上に載置される個装ケース10は、前記ケース本体11の後端部に、後方に突出させて設けた係合突起11d(図3を参照)を前記トレイ20の後壁部23に設けた係合孔23aに係合させ、更に上記前壁部11cの下端部背面をトレイ20の連結部24の前面に係合させることで位置決めされる。この状態において前記前壁部11cの下縁端が前記弾性制止片(フック)25の爪部に係合し、これによってトレイ20上に前記個装ケース10が係止される。
【0025】
一方、上述した如くトレイ20上に装着される個装ケース10の前記前壁部11cの前面側には、回路基板30が装着されるようになっている。この回路基板30は、前述した取出検出スイッチ31および回路ユニット32に加えて、前述した接続端子26に電気的に接続される接続コネクタ33を搭載したものである。この回路基板30は、前述した前壁部11cの前面を覆って設けられる前面カバー15の裏面に形成された凹部に収容されて、ケース本体11に一体に組み付けられる。
【0026】
この際、前記取出検出スイッチ31は、前記前壁部11cに設けられた孔部を通してその可動接触子をケース本体11の内側に突出させて設けられ、上記可動接触子をケース本体11に収納されたたばこ(商品)Sの前面部に当接して押圧付勢されるようになっている。この取出検出スイッチ31の可動接触子は、前記ケース本体11の前端に位置付けられたたばこ(商品)Sを上方に引き抜いた(取り出した)際、次のたばこ(商品)Sがプッシャ12により前端位置まで押し出されるまでその押圧付勢が解除される。取出検出スイッチ31は、この可動接触子の一時的な押圧付勢の解除を利用して、たばこ(商品)Sの取り出しを検出する役割を担っている。
【0027】
また前記回路基板30に搭載された前記接続コネクタ33は、前記前壁部11cの下端側に設けられた開口部を介して該前壁部11cの裏面側に露出させて設けられている。この接続コネクタ33は、前記個装ケース10をトレイ20上に載置したとき、前記トレイ20の前端縁部に設けられた接続端子26に電気的に接続される。ちなみに前記接続コネクタ33は、什器本体側に設けられた電源部50から回路基板30に電源を供給する役割を担うと共に、後述するデータ処理装置40と回路基板30との間に通信路を形成する役割を担う。
尚、図2および図3において16は、商品価格等を記載したラベル17を保持して前記前面カバー15の前面に装着されるラベルホルダである。このラベルホルダ16は、例えば合成樹脂製の透明体からなる。
【0028】
ここで前記回路基板30に搭載された回路ユニット32について説明する。この回路ユニット32は、例えば図4に示すように、前述した取出検出スイッチ31のオン・オフを検知する取出検出部34と、個装ケース10に収納されるたばこ(商品)Sの商品種別情報、具体的には銘柄コードCを予め記憶するメモリ35と、前記取出検出スイッチ31によりたばこSの取り出しが検出されたときに前記メモリ35に記憶された銘柄コードCを外部出力する通信部36とからなる。尚、これらの取出検出部34、メモリ35、および通信部36については、いわゆる1チップ・マイコンを用いて実現することも可能である。
【0029】
そして前記回路ユニット32は、トレイ20上への個装ユニット10の装着に伴って前記接続コネクタ33を介してトレイ20側の接続端子26に電気的に接続され、前述した電源部50からの電源供給を受けて作動する。また同時に前記回路ユニット32は、前記接続コネクタ33から接続端子26を介してデータ処理装置40の通信ポートに接続され、これによって前記通信部36とデータ処理装置40との間に通信路が形成される。この通信路を介する前記回路ユニット32とデータ処理装置40との通信は、例えばシリアル通信によって行われる。
【0030】
ちなみにデータ処理装置40における通信部41は、基本的には複数の接続端子26に共通に接続される1つの通信ポートを備え、前記各回路ユニット32からそれぞれ外部出力される銘柄コードを受信するものからなる。しかしどの回路ユニット32から銘柄コードが出力されたかをモニタする場合には、前述した複数の接続端子26のそれぞれに対応する複数の通信ポートを備えることが望ましい。この場合、例えばアドレス管理部42の制御の下で所定の周期で複数の通信ポートを巡回的にサーチし、これらの通信ポートを介して前記接続端子26との間の通信路を、ひいては該接続端子26に接続された接続コネクタ33を介して前記回路ユニット32の通信部36との間の通信路を巡回的に形成するようにすれば良い。
【0031】
尚、前述した回路ユニット32のメモリ35への銘柄コードの書き込みは、複数の個装ケース10にたばこ(商品)Sを銘柄毎に分類して収納した際、図5に示すように個装ケース10に対する初期設定処理として、その銘柄コードをそれぞれプリセットすることによって行われる<ステップS1>。例えば初期設定用のデータ入力端末(図示せず)に個々の個装ケース10を接続し、個装ケース10に収容したたばこ(商品)Sの銘柄コードを上記データ入力端末から入力するようにすれば良い。
【0032】
或いはたばこ(商品)Sの販売に先立って、例えば銘柄別にたばこ(商品)Sを収納した複数の個装ケース10をトレイ20上に装着し、先ずこれらの個装ケース10の前記トレイ20上における装着位置Aに対応付けて前記個装ケース10にそれぞれに収納したたばこ(商品)Sの銘柄コードCを前記データ処理装置40の銘柄管理部43に順次入力する。そして前記アドレス管理部42の制御の下で前記トレイ20上における個装ケース10の載置位置に対応する前記接続端子26(通信ポート)を順次指定しながら前記銘柄管理部43を参照し、前記トレイ20上における各個装ケース10の装着位置Aに対応付けられた銘柄コードCを求め、これを該当する個装ケース10のメモリ35に順次登録するようにしても良い。
【0033】
以上のようにして各個装ケース10のメモリ35に、その個装ケース10に収納したたばこ(商品)Sの銘柄コードCを登録した後、本什器によるたばこ(商品)Sの展示・販売が行われる。そして個装ケース10からたばこ(商品)Sが引き抜かれたとき(取り出されたとき)、前記取出検出スイッチ31の押圧付勢が一時的に解除されるので、図5に示すように前記取出検出部34は上記取出検出スイッチ31のオン・オフ変化から上記たばこ(商品)Sの取り出しを検出する<ステップS2>。そして前述した通信部36は、前記取出検出部34によりトリガされて前述した如く予め前記メモリ35に登録された銘柄コードを読み出し、これを外部出力する<ステップS3>。
【0034】
このようにして個装ケース10の通信部36から外部出力された銘柄コードCは、前述した端子部26を介してデータ処理装置40の通信部41に与えられて該通信部41に取り込まれる。尚、通信部41が複数の通信ポートを備え、前述した如くアドレス管理部42による管理の下で複数の通信ポートを巡回的にサーチしている場合には、前記通信部41は前記銘柄コードが送られた通信ポートをアクセスしたとき、その銘柄コードCを取得する。このとき前記通信部41は銘柄コードCの取得と同時に、前記アドレス管理部42から該銘柄コードCを取得した通信ポートの番号を求める。そしてこのポート番号を、前記銘柄コードCを外部出力した個装ケース10の前記トレイ20上における装着位置Aとして検出する。
【0035】
データ処理装置40における集計部44は、基本的には上述したように銘柄コードCを取得する都度、該銘柄コードCで特定される種別のたばこ(商品)Sを、その販売履歴としてメモリ45に記録する。また上記銘柄コードCで特定される種別のたばこ(商品)Sの販売個数nをインクリメント(+1)する。この際、前記銘柄コードCを外部出力した個装ケース10の前記トレイ20上における装着位置Aを求めている場合には、銘柄コードCと装着位置Aとが求められる都度、当該銘柄コードCと装着位置Aとによって特定される販売条件毎にその販売履歴を記憶し、その販売個数nをインクリメント(+1)する。
【0036】
即ち、集計部44は、基本的には商品コードCにより特定される商品種別毎に、そのたばこ(商品)Sの販売履歴をメモリ45に順次記録する。また集計部44は、メモリ45に記録された販売履歴に基づいて商品種別毎にその販売個数を累計処理し、或いは商品コードCにより特定される商品種別と、個装ケース20の装着位置Aにより特定されるたばこ(商品)Sのトレイ20上における展示位置毎に当該たばこ(商品)Sの販売個数を累計処理する。このようにして累計処理された販売個数の情報は、銘柄コードC毎に分類されて、或いは銘柄コードCと装着位置Aとによって特定される販売条件毎に分類されて前述した販売履歴と共に前記メモリ45に記憶される。そしてメモリ45に記録された情報は、適宜、I/Oインターフェース46を介する外部機器(図示せず)からの読み出しに供せられる。
【0037】
より具体的にはデータ処理装置40においては、図6に示すように個装ケース10から出力された銘柄コードCを受信したとき<ステップS11>、当該銘柄コードCを受信した通信ポート(個装ケース20の装着位置A)を求める<ステップS12>。そしてその通信ポートが、前述した銘柄管理部43に登録されている通信ポート(個装ケース20の装着位置A)であるか否かを判定する<ステップS13>。
【0038】
そして受信した銘柄コードCと通信ポート(装着位置)Aとの関係が前記銘柄管理部43に登録されている場合には、当該銘柄コードCと装着位置Aとによって特定される管理パラメータをインクリメントし、上記装着位置Aでの上記銘柄コードCで特定されるたばこ(商品)Sの販売個数を累計する<ステップS14>。この際、商品の取り出しが検出された時刻情報が、その銘柄コードCと装着位置Aとにより特定される前記メモリ45上での管理項目毎に販売履歴として記録される<ステップS17>。
【0039】
しかし受信した銘柄コードCと通信ポート(装着位置)Aとの関係が前記銘柄管理部43に登録されていない場合には、これを個装ケース10の装着位置が変更されたと判定し、当該銘柄コードCと新たな装着位置Aとによって特定される管理パラメータを設定し<ステップS15>、この新たなパラメータをインクリメントする<ステップS16>。この際、その銘柄コードCと装着位置Aとにより特定される管理項目が新たに設定され、この管理項目に前記商品の取り出しが検出された時刻情報がその販売履歴として記録される<ステップS17>。以上の処理を、個装ケース10側から銘柄コードCが通知される都度、繰り返し実行する。
【0040】
一方、データ収集装置40に設けられた着脱検出部47は、前述した通信部41がその通信ポートを介して個装ケース10の回路ユニット32との間で情報通信を行い得るか否かを監視する機能を備える。そして着脱検出部47は、前記アドレス管理部42の管理の下で複数の通信ポートを順にサーチしながら、その通信ポートを介して個装ケース10の回路ユニット32との間で通信が可能か否かを調べる<ステップS21>。そして回路ユニット32との間での通信が途絶えていることが検出されたとき<ステップS22>、その通信ポートに接続された個装ユニット10が、トレイ20から取り外されたとして検出する。同時にそのときの通信ポート番号からトレイ20上のどの位置の個装ケース10が取り外されたかを検出するものとなっている。
【0041】
この個装ケース10の取り外し検出情報は前述した集計部44に与えられて、例えばその取り外し検出時刻情報がタイムスタンプとして求められ<ステップS23>、前述した銘柄コードCと装着位置Aとによって特定される販売条件に応じて前記メモリ45に登録される<ステップS34>。このタイムスタンプで示される前記個装ケース10の取り外し検出情報は、例えば個装ケース10に対する商品補充回数のモニタとして利用される。
【0042】
かくして上述した如く構成された本発明に係る商品販売什器によれば、データ収集装置40のメモリ45には、例えば図8に示すようにトレイ20における個装ケース10の載置位置(商品展示位置)A毎に、個装ケース10に収納されて展示・販売に供されるたばこ(商品)Sの銘柄コードCが登録される。そして上記個装ケース10の載置位置(商品展示位置)Aと銘柄コードCとにより特定される販売条件毎に、その販売履歴が記録され、また当該銘柄コードCで示されるたばこ(商品)Sの販売個数がそれぞれ記憶される。
【0043】
そしてトレイ20から個装ケース10が取り外されて商品補充が行われた場合には、前記個装ケース10の載置位置(商品展示位置)Aと銘柄コードCとにより特定される販売条件毎にその取り外し時刻を示すタイムスタンプ情報がメモリ45に登録される。この際、複数個の個装ケース10がトレイ20から取り外されて、不本意に、或いは意図的に元の載置位置(商品展示位置)とは異なる位置に装着された場合には、前記個装ケース10の載置位置(商品展示位置)Aと銘柄コードCとの関係が変化することから、前記メモリ45には新たに載置位置(商品展示位置)Aと銘柄コードCとにより特定される販売条件が設定される。そしてその新たな販売条件に従って前述した販売個数の累計処理が実行される。
【0044】
図8に示す例では、1段4番目の載置位置に装着されていた個装ケース10が、途中から3段4番目の載置位置に装着され、この3段4番目の装着位置に装着されていた個装ケース10が新たに3段3番目に装着され、そして3段3番目に装着されていた個装ケース10が新たに1段4番目の載置位置に装着された状態を示している。従ってこの場合には、個装ケース10の装着位置が変更された1段4番目、3段3番目、および3段4番目の各装着位置に対応して新たな銘柄コード対応付けられて、その位置での販売履歴の記録と、その販売個数が累積されることになる。
【0045】
かくして上述した如く構成されたたばこ用の商品販売什器によれば、トレイ20上に並べて載置される複数の個装ケース10から、たばこ(商品)Sが取り出される都度、外部出力される銘柄コードCをデータ処理装置40にて取得し、データ処理装置40においては銘柄コードC毎にその販売履歴を記録すると共に、その販売個数を累計するので、トレイ20上における個装ケース10の載置位置(商品の展示位置)が変更されても、その銘柄毎の販売個数を正確に求めることができる。
【0046】
また前述したように銘柄コードCを取得した接続端子26の位置から、その銘柄コードCを外部出力した個装ケース10のトレイ20上における載置位置(商品の展示位置)Aを求め、その載置位置Aと銘柄コードCとにより定まる販売条件毎に当該銘柄コードCにより特定されるたばこ(商品)Sの販売履歴を記録し、その販売個数を求めるようにすることで、トレイ20上における展示位置の違いによる販売個数の変化を解析することが可能となる。従って上述した如く収集したたばこ(商品)Sの販売実績を、その販売戦略に有効に活用することが可能となる。
【0047】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここでは什器本体の前面側から個装ケース10を装脱する、いわゆるバックヤード設置型の什器を例に説明したが、販売カウンタ等に設置され、什器本体の裏面側から個装ケース10を装脱する、いわゆるカウンタ用の什器にも同様に適用することができる。また什器を構成するトレイ20の段数、およびトレイ20上に載置する個装ケース10の数については、その仕様に応じて設定すれば良いことは言うまでもない。
【0048】
またここではたばこ販売用の什器を例に説明したが、他の箱形パッケージ商品用の販売什器にも同様に適用可能なことは言うまでもない。要は、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0049】
1L,1R 側板(什器本体)
10 個装ケース
11 ケース本体
12 プッシャ
20 トレイ(什器本体)
21 トレイ本体
26 接続端子
30 回路基板
31 取出検出スイッチ
32 回路ユニット
33 接続コネクタ
34 取出検出部
35 メモリ
36 通信部
40 データ処理装置
41 通信部
42 アドレス管理部
43 銘柄管理部
44 集計部
45 メモリ
50 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品種別毎に複数の箱形パッケージ商品を前後方向に並べて収納し、前端に位置付けられた箱形パッケージ商品から順に販売に供する複数の個装ケースと、所定数の個装ケースを横並びに配列して支持するトレイを有する什器本体と、を具備した商品販売什器であって、
前記個装ケースは、前端に位置付けられた箱形パッケージ商品の該個装ケースからの取り出しを検出する取出検出スイッチと、該個装ケースに収納される箱形パッケージ商品の商品種別情報を予め記憶すると共に、前記取出検出スイッチにより箱形パッケージ商品の取り出しが検出されたときに前記商品種別情報を外部出力する回路ユニットとを備え、
前記トレイは、該トレイの予め定められた前記個装ケースの載置位置にそれぞれ設けられて該トレイ上に載置された前記個装ケースの回路ユニットに電気的に接続される複数の端子部を備え、
前記什器本体は、前記回路ユニットから外部出力される前記商品種別情報を、前記端子部を介して取得する都度、該商品種別情報が示す種別の前記箱形パッケージ商品の販売履歴を記録するデータ収集装置を備えることを特徴とする商品販売什器。
【請求項2】
前記データ収集装置は、前記回路ユニットから外部出力される前記商品種別情報を、前記端子部を介して取得した際、この商品種別情報を取得した前記端子部を識別して前記トレイにおける前記個装ケースの載置位置を求め、前記商品種別情報と前記個装ケースの載置位置とに基づいて商品種別とその展示位置毎に前記箱形パッケージ商品の販売履歴を記録することを特徴とする請求項1に記載の商品販売什器。
【請求項3】
前記トレイは、多段に設けられるものである請求項1または2に記載の商品販売什器。
【請求項4】
前記個装ケースは、複数の箱形パッケージ商品を前後方向に並べて収納するケース本体と、このケース本体の前端を形成して前記箱形パッケージ商品の前端位置を規定する前壁部と、前記ケース本体の前後方向にスライド可能に設けられて該ケース本体に収納された箱形パッケージ商品を前記前壁部に向けて後方から押圧して移動させるプッシャとを具備し、
前記取出検出スイッチは、前記前壁部の内側面に設けられて前端に位置付けられた箱形パッケージ商品の前面に当接して付勢され、その付勢解除を該箱形パッケージ商品の前記ケース本体から上方への取り出しとして検出するものである請求項1に記載の商品販売什器。
【請求項5】
前記箱形パッケージ商品の商品種別情報は、前記個装ケース毎に該個装ケースに収納する箱形パッケージ商品の種別を決定した際にプリセットされる銘柄コードである請求項1に記載の商品販売什器。
【請求項6】
前記回路ユニットは、前記個装ケースが前記トレイ上の所定の位置に載置されたとき、前記端子部を介して前記トレイ側から電源供給されて作動するものである請求項1に記載の商品販売什器。
【請求項7】
前記データ収集装置は、前記複数の端子部のそれぞれに対応する通信ポートを備え、これらの通信ポートを巡回的にサーチして前記回路ユニットが外部出力する商品種別情報を取得すると共に、該商品種別情報を取得した通信ポート番号から前記個装ケースの載置位置を特定するものである請求項1または2に記載の商品販売什器。
【請求項8】
前記データ収集装置は、前記端子部を介する前記回路ユニットとの通信路の接続切れを判定して前記トレイからの前記個装ケースの取り外しを検出する取り外し検出手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の商品販売什器。
【請求項9】
前記箱形のパッケージ商品は、たばこである請求項1〜8のいずれかに記載の商品販売什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65782(P2012−65782A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212087(P2010−212087)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【復代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行