説明

商品需要予測システム及びプログラム並びに記録媒体

【課題】将来の商品需要を、更に適確に予測できる商品需要予測システムを提供する。
【解決手段】経済指標実績値を抽出し、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出し、商品売上実績値を抽出し、各経済主体の前記基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績値の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出し、経済指標予測値を抽出し、各経済主体の基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出し、各経済主体の、実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出し、各経済主体の、予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて予測平均売上成長率G(s)を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品需要予測システム及びプログラム並びに記録媒体に係り、特に、将来の商品需要を予測する商品需要予測システム及びプログラム並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各企業では、資材の調達、商品の製造、販売、市場の開発などを効率化するために商品需要の予測が重要となっている。
【0003】
需要予測方法として、例えば、電力需要予測方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電力需要予測方法は、電力供給の安定化、効率化などのために、予測式に過去の気温、湿度などの気象条件及びGDP値などの景気条件を代入して、将来の電力需要予測を算出するものである。
【0004】
一方、商品の需要予測などの分野では、単に、商品売上実績値の傾向から商品売上予測値を算出するものが通常であり、経済指標実績値、経済指標予測値などは十分に考慮されていないのが現状である。
【特許文献1】特開2005−56103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、各企業が扱う商品は、先進工業諸国のみならず、大規模新興国及び発展途上国など種々の経済状況の国々に輸出されている。経済状況の変化により、商品の需要が大きく変化し、単に、商品売上実績値の傾向だけを参照するだけでは、需要予測が困難な状況となってきている。このため、各国の経済指標を用いた適確な商品需要予測が望まれていた。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、将来の商品需要を、更に適確に予測できる商品需要予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、将来の商品需要を予測する商品需要予測システムであって、経済主体毎の経済指標実績値が格納された経済指標実績値格納部と、経済主体毎の商品売上実績値が格納された商品売上実績値格納部と、経済主体毎の経済指標予測値が格納された経済指標予測値格納部と、経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値、商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値、経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値に基づいて予測平均売上成長率を算出する演算部と、演算部で算出される予測平均売上成長率を表示する表示部とを備え、演算部は、経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値を抽出し、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する実績平均経済成長率算出手段と、商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値を抽出し、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績値の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出する平均売上成長率算出手段と、経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値を抽出し、各経済主体の前記基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する予測平均経済成長率算出手段と、各経済主体の、実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する実績売上・経済成長率比算出手段と、各経済主体の、予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて予測平均売上成長率G(s)を算出する予測平均売上成長率手段とを含むものである。
【0008】
なお、経済主体は国、又は、地域、又は、自治体であり、経済指標実績値は国内総生産又は域内総生産であり、商品売上実績値は、商品の売上数量である。
【0009】
また、本発明は、将来の商品需要を予測する商品需要予測システムであって、国毎の経済指標実績値が格納された経済指標実績値格納部と、国毎の商品売上実績値が格納された商品売上実績値格納部と、国毎の経済指標予測値が格納された経済指標予測値格納部と、前記経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値、商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値、経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値に基づいて予測平均売上成長率を算出する演算部と、演算部で算出される予測平均売上成長率を表示する表示部とを備え、演算部は、国を、国毎の経済発展の程度を示す情報に基づいて複数のカテゴリーに分類する分類手段と、経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する実績経済成長率算出手段と、商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値を抽出し、分類手段により分類された各カテゴリーについて、基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績の平均伸び率である実績平均売上成長率G(s)を算出する実績売上成長率算出手段と、経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する予測経済成長率算出手段と、各カテゴリーについて、実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する実績成長率比算出手段と、予測平均経済成長率G(g)及び実績売上・経済成長率比Rsgから、各カテゴリーについて、将来の予測平均売上成長率G(s)を算出する予測売上成長率算出手段とを含むものである。
【0010】
分類手段は、国を、先進工業諸国、大規模新興国及び発展途上国にカテゴリー分けするものであり、例えば、基準時点の年あるいは年度に相当する基準年における1人当たり名目国内総生産が、世界の1人当たり名目国内総生産の平均の1.2倍以上である国又は地域を先進工業諸国カテゴリーに分類し、前記基準年における1人当たり名目国内総生産が世界の1人当たり名目国内総生産の平均の1.2倍未満、人口が世界の人口の略2%以上、かつ、名目国内総生産が世界の名目国内総生産の0.5%以上である国又は地域を大規模新興国カテゴリーに分類し、その他の国又は地域を発展途上国カテゴリー分類するものである。
【0011】
経済指標値は、例えば、国内総生産又は域内総生産であり、商品売上実績値は、例えば、商品の売上数量である。
【0012】
さらに、本発明は、コンピュータに、国を、国毎の経済発展の程度を示す情報に基づいて経済発展の程度に基づいて、複数のカテゴリーに分類させる分類手順と、国毎の経済指標予測値が格納された経済指標実績値格納部から経済指標実績値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する実績経済成長率算出手順と、国毎の商品売上実績値が格納された商品売上実績値格納部から商品売上実績値を抽出し、分類手段により分類された各カテゴリーについて、基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出する実績売上成長率算出手順と、国毎の経済指標予測値が格納された経済指標予測値格納部から経済指標予測値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する予測経済成長率算出手順と、各カテゴリーについて、実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する実績成長率比算出手順と、予測平均経済成長率G(g)及び実績売上・経済成長率比Rsgから、各カテゴリーについて、将来の予測平均売上成長率G(s)を算出する予測売上成長率算出手順と、予測売上成長率算出手順で算出された予測平均売上成長率G(s)を表示部に表示させる表示手順とを実行させるためのプログラム、そのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、経済指標実績値から各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出し、商品売上実績値から各経済主体の前記基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績値の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出し、経済指標予測値から各経済主体の基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出し、各経済主体毎の、実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出し、各経済主体毎の、予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて予測平均売上成長率G(s)を算出することにより、商品売上実績だけでなく、各経済主体の経済指標を反映して、将来の商品需要を予測できるので、更に適確に、商品需要を予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の一実施例の機能ブロック図、図2は本発明の一実施例のハード構成図を示す。
【0015】
本実施例の商品需要予測システム100は、例えば、図1に示すように演算装置111、記憶装置112、メモリ113、入力装置114、表示装置115、通信装置116などを含むコンピュータシステムから構成されており、記憶装置112にインストールされる商品需要予測プログラムにより、図2に示すように経済指標実績値格納部121、商品売上実績値格納部122、経済指標予測値格納部123、演算部124、表示部125を備える。
【0016】
なお、演算装置111は、CPUなどから構成されており、記憶装置112にインストールされた商品需要予測プログラムを実行する。
【0017】
記憶装置112は、ハードディスクドライブなどから構成されており、経済指標実績値格納部121、商品売上実績値格納部122、経済指標予測値格納部123などが設定されるとともに、商品需要予測プログラムなどが予めインストールされている。
【0018】
メモリ113は、RAMなどから構成されており、演算装置111の作業用記憶領域として用いられる。入力装置114は、キーボード、マウスなどから構成されており、ユーザによるデータの入力や、処理の指示などを行うために用いられる。表示装置115は、CRT(cathode ray tube)、LCD(liquid crystal device)などから構成されており、演算装置111での処理結果などを表示する。通信装置116は、ネットワークを介してサーバとの通信を行うものであり、例えば、ネットワークを介してサーバから記憶装置112にインストールする商品需要予測プログラムなどの各種プログラムを取得したり、記憶装置112に設定された経済指標実績値格納部121、商品売上実績値格納部122、経済指標予測値格納部123に格納する情報を外部サーバから取得したりするのに用いられる。
【0019】
経済指標実績値格納部121は、記憶装置112に設定され、経済主体毎の経済指標実績値が格納される。商品売上実績値格納部122は、記憶装置112に設定され、経済主体毎の商品売上実績値が格納される。経済指標予測値格納部123には、経済主体毎の経済指標予測値が格納される。
【0020】
図3は、経済指標実績値格納部121のデータ構成図を示す。
【0021】
経済指標実績値格納部121は、経済主体毎に過去の経済指標実績値が年度別に格納された構成とされている。図3において経済主体は、例えば、国A、Bであり、経済指標は、例えば、国内総生産(GDP)であり、基準点は2008年である。
【0022】
経済主体Aの2007年度の経済指標実績値はgdpa7であり、経済主体Bの2007年度の経済指標実績値は、gdpb7である。
【0023】
図4は、商品売上実績値格納部122のデータ構成図を示す。
【0024】
商品売上実績値格納部122は、需要予想を行おうとする商品の売上実績値が年度毎に格納された構成とされている。図4においては、2007年度の売上実績値がd7、2006年度の売上実績値がd6、2005年度の売上実績値がd5・・・となっている。
【0025】
図5は、経済指標予測値格納部123のデータ構成図を示す。
【0026】
経済指標予測値格納部123は、経済主体毎に将来の経済指標実績値が年度別に格納された構成とされている。図3において経済主体は、例えば、国A、Bであり、経済指標は、例えば、国内総生産(GDP)である。基準点は2008年である。
【0027】
演算部124は、商品需要予測プログラムを実行して、経済指標実績値格納部121に格納された経済指標実績値、商品売上実績値格納部122に格納された商品売上実績値、経済指標予測値格納部123に格納された経済指標予測値に基づいて予測平均売上成長率を算出するものであり、実績平均経済成長率算出手段131、平均売上成長率算出手段132、予測平均経済成長率算出手段133、実績売上・経済成長率比算出手段134、予測平均売上成長率手段135、分類手段136として機能させる。
【0028】
実績平均経済成長率算出手段131は、経済指標実績値格納部121に格納された経済指標実績値を抽出し、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する機能手段である。
【0029】
平均売上成長率算出手段132は、商品売上実績値格納部122に格納された商品売上実績値を抽出し、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績値の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出する機能手段である。
【0030】
予測平均経済成長率算出手段133は、経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値を抽出し、各経済主体の前記基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する機能手段である。
【0031】
実績売上・経済成長率比算出手段134は、各経済主体の、前記実績平均売上成長率G(s)と前記実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する機能手段である。
【0032】
予測平均売上成長率手段135は、各経済主体の、予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて予測平均売上成長率G(s)を算出する機能手段である。
【0033】
なお、上記経済主体は、例えば、国、又は、地域、又は、自治体である。また、上記経済指標実績値は、例えば、国内総生産又は域内総生産であり、国、又は、地域、又は、自治体毎に算出される値である。さらに、商品売上実績値は、例えば、商品の売上数量である。
【0034】
分類手段136は、経済主体を分類する機能手段であり、例えば、国を、前記国毎の経済発展の程度を示す情報に基づいて複数のカテゴリーに分類する。分類手段136は、例えば、国を、先進工業諸国、大規模新興国及び発展途上国にカテゴリー分けする。このとき、分類手段136は、基準時点の年あるいは年度に相当する基準年における1人当たり名目国内総生産が、世界の1人当たり名目国内総生産の平均の1.2倍以上である国又は地域を先進工業諸国カテゴリーに分類し、前記基準年における1人当たり名目国内総生産が世界の1人当たり名目国内総生産の平均の1.2倍未満、人口が世界の人口の略2%以上、かつ、名目国内総生産が世界の名目国内総生産の0.5%以上である国又は地域を大規模新興国カテゴリーに分類し、その他の国又は地域を発展途上国カテゴリー分類する。なお、これらの数値はあくまでも目安に過ぎない。
【0035】
表示部115は、ディスプレイであり、演算部114で算出される予測平均売上成長率G(s)を表示する。
【0036】
次に、演算装置111で実行される商品需要予測プログラムの処理について説明する。
【0037】
図6は、本発明の一実施例の商品需要予測プログラムの処理フローチャートを示す。
【0038】
演算装置111は、ステップS1−1で、ユーザによる入力装置115の操作により、予測処理要求が行われると、ステップS1−2で経済主体・過去の適用期間などを抽出する。なお、経済主体・過去の適用期間は、予めデフォルト値として設定したものであっても、また、ユーザが予測処理要求時に入力装置115の操作により設定するようにしてもよい。
【0039】
演算装置111は、次に、ステップS1−3でユーザの入力装置115の操作により、計算実行要求が行われると、ステップS1−4で記憶装置112に設定された経済指標実績値格納部121から指定された経済主体の経済指標実績値を指定された期間分、抽出する。
【0040】
次に演算装置111は、ステップS1−5で抽出された経済指標実績値に基づいて単位時間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する。実績平均経済成長率G(g)は、例えば、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間の経済指標実績値に基づいて実績経済成長率を算出し、算出した実績経済成長率を単位期間当たりに、平均化することにより算出される。この単位時間当たりの実績平均経済成長率G(g)によって過去から基準時点までの経済成長率を把握できる。
【0041】
次に、演算装置111は、ステップS1−6で記憶装置112に設定された商品売上実績値格納部122から指定された経済主体の商品売上実績値を指定された期間分、抽出する。演算装置111は、ステップS1−7で抽出された商品売上実績値に基づいて単位時間当たりの実績平均売上成長率G(s)を算出する。実績平均売上成長率G(s)は、例えば、抽出された商品売上実績値から実績売上成長率を算出し、算出した実績売上成長率を単位時間当たりに、平均化することにより算出される。
【0042】
実績平均売上成長率G(s)によって過去から基準時点までの売上成長率を把握できる。
【0043】
次に、演算装置111は、ステップS1−8で記憶装置112の経済指標予測値格納部123から指定された経済主体の経済指標予測値を指定された期間分、抽出する。演算装置111は、ステップS1−9で抽出された経済指標予測値に基づいて予測平均経済成長率G(g)を算出する。予測平均経済成長率G(g)は、例えば、抽出された経済平均成長率を各経済主体の基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する。単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)により指定した経済主体の基準時点より将来の平均の経済成長率を把握できる。
【0044】
次に、演算装置111は、ステップS1−10で実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する。
【0045】
次に演算装置111は、ステップS1−11で、予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて予測平均売上成長率G(s)=Rsg×G(g)を算出する。演算装置111は、ステップS1−12で算出した予測平均売上成長率G(s)を表示装置114に表示させる。
【0046】
図7に本発明の一実施例の算出結果を説明するための図を示す。図7において横軸は時間、縦軸は商品売上値あるいは経済指標値を示し、実線は商品売上、破線は経済指標、一点鎖線は基準点t0以前の商品売上実績値にのみ応じて予測される商品売上予測値を示す。
【0047】
商品売上に経済指標実績値及び経済指標予測値を反映しない場合には、基準点t0以降の商品売上予測値は図4に一点鎖線で示すように、基準点t0以前の商品売上実績値に応じた増加となる。
【0048】
一方、上記実施例のように商品売上に経済指標実績値及び経済指標予測値を反映させることにより基準点t0以降の商品売上予測値は経済指標の増加に応じて増加することが予測され、商品売上予測を、過去、将来の経済状況を反映して予測できる。よって、商品需要予測を更に適確に予測できる。
【0049】
以上、本実施例によれば、経済指標実績値から各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出し、商品売上実績値から各経済主体の前記基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績値の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出し、経済指標予測値から各経済主体の基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出し、各経済主体毎の、実績平均売上成長率G(s)と実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出し、各経済主体毎の、予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて予測平均売上成長率G(s)を算出することにより、商品売上実績だけでなく、各経済主体の経済指標を反映して、将来の商品需要を予測できるので、更に適確に、商品需要を予測することができる。
【0050】
次に、本実施例の適用例について説明する。
【0051】
図8は本発明の一実施例の適用例のシステム構成図を示す。
【0052】
本適用例は、商品需要予測システム100を、ネットワーク200を介して各種経済研究機関、政府機関などのサーバ300に接続し、サーバ300から経済指標実績値格納部121、商品売上実績値格納部122、経済指標予測値格納部123に格納する情報を取得する構成としたものである。このように商品需要予測システム100をネットワーク200に接続し、サーバ300から商品売上実績値、経済指標実績値、経済指標予測値などを取得することにより、これらの値をユーザ自らが入力する必要がなくなる。また、
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形例が考えられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例の機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例のハード構成図である。
【図3】経済指標実績値格納部121のデータ構成図である。
【図4】商品売上実績値格納部122のデータ構成図である。
【図5】経済指標予測値格納部123のデータ構成図である。
【図6】本発明の一実施例の商品需要予測プログラムの処理フローチャートである。
【図7】本発明の一実施例の算出結果を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施例の適用例のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0054】
100 商品需要予測システム
111 演算装置、112 記憶装置、113 メモリ、114 入力装置
115 表示装置、116 通信装置
121 経済指標実績値格納部、122 商品売上実績値格納部
123 経済指標予測値格納部、124 演算部、125 表示部
131 実績平均経済成長率算出手段、132 平均売上成長率算出手段
133 予測平均経済成長率算出手段、134 実績売上・経済成長率比算出手段
135 予測平均売上成長率手段、136 分類手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
将来の商品需要を予測する商品需要予測システムであって、
経済主体毎の経済指標実績値が格納された経済指標実績値格納部と、
前記経済主体毎の商品売上実績値が格納された商品売上実績値格納部と、
前記経済主体毎の経済指標予測値が格納された経済指標予測値格納部と、
前記経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値、前記商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値、前記経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値に基づいて予測平均売上成長率を算出する演算部と、
前記演算部で算出される前記予測平均売上成長率を表示する表示部とを備え、
前記演算部は、
前記経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値を抽出し、各経済主体の基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する実績平均経済成長率算出手段と、
前記商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値を抽出し、各経済主体の前記基準時点までの前記過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績値の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出する平均売上成長率算出手段と、
前記経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値を抽出し、各経済主体の前記基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する予測平均経済成長率算出手段と、
各経済主体の、前記実績平均売上成長率G(s)と前記実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する実績売上・経済成長率比算出手段と、
各経済主体の、前記予測平均経済成長率G(g)に実績売上・経済成長率比Rsgを乗じて前記予測平均売上成長率G(s)を算出する予測平均売上成長率手段とを含む商品需要予測システム。
【請求項2】
前記経済主体は、国、又は、地域、又は、自治体であり、
前記経済指標実績値は、国内総生産又は域内総生産であることを特徴とする請求項1に記載の商品需要予測システム。
【請求項3】
前記商品売上実績値は、商品の売上数量であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の商品需要予測システム。
【請求項4】
将来の商品需要を予測する商品需要予測システムであって、
国毎の経済指標実績値が格納された経済指標実績値格納部と、
国毎の商品売上実績値が格納された商品売上実績値格納部と、
国毎の経済指標予測値が格納された経済指標予測値格納部と、
前記経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値、前記商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値、前記経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値に基づいて予測平均売上成長率を算出する演算部と、
前記演算部で算出される前記予測平均売上成長率を表示する表示部とを備え、
前記演算部は、
前記国を、前記国毎の経済発展の程度を示す情報に基づいて複数のカテゴリーに分類する分類手段と、
前記経済指標実績値格納部に格納された経済指標実績値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する実績経済成長率算出手段と、
前記商品売上実績値格納部に格納された商品売上実績値を抽出し、前記分類手段により分類された各カテゴリーについて、前記基準時点までの前記過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績の平均伸び率である実績平均売上成長率G(s)を算出する実績売上成長率算出手段と、
前記経済指標予測値格納部に格納された経済指標予測値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する予測経済成長率算出手段と、
各カテゴリーについて、前記実績平均売上成長率G(s)と前記実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する実績成長率比算出手段と、
前記予測平均経済成長率G(g)及び前記実績売上・経済成長率比Rsgから、各カテゴリーについて、将来の予測平均売上成長率G(s)を算出する予測売上成長率算出手段とを含む商品需要予測システム。
【請求項5】
前記分類手段は、前記国を、前記先進工業諸国、大規模新興国及び発展途上国にカテゴリー分けする請求項4に記載の商品需要予測システム。
【請求項6】
前記分類手段は、前記基準時点の年あるいは年度に相当する基準年における1人当たり名目国内総生産が、世界の1人当たり名目国内総生産の平均の1.2倍以上である国又は地域を先進工業諸国カテゴリーに分類し、前記基準年における1人当たり名目国内総生産が世界の1人当たり名目国内総生産の平均の1.2倍未満、人口が世界の人口の略2%以上、かつ、名目国内総生産が世界の名目国内総生産の0.5%以上である国又は地域を大規模新興国カテゴリーに分類し、その他の国又は地域を発展途上国カテゴリー分類する請求項5に記載の商品需要予測システム。
【請求項7】
前記経済指標値は、国内総生産又は域内総生産であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の商品需要予測システム。
【請求項8】
前記商品売上実績値は、商品の売上数量であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の商品需要予測システム。
【請求項9】
コンピュータに、
国を、前記国毎の経済発展の程度を示す情報に基づいて経済発展の程度に基づいて、複数のカテゴリーに分類させる分類手順と、
前記国毎の経済指標予測値が格納された経済指標実績値格納部から経済指標実績値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点までの過去の所定期間における単位期間当たりの実績平均経済成長率G(g)を算出する実績経済成長率算出手順と、
前記国毎の商品売上実績値が格納された商品売上実績値格納部から商品売上実績値を抽出し、前記分類手段により分類された各カテゴリーについて、前記基準時点までの前記過去の所定期間における単位期間当たりの商品売上実績の平均伸び率、実績平均売上成長率G(s)を算出する実績売上成長率算出手順と、
前記国毎の経済指標予測値が格納された経済指標予測値格納部から経済指標予測値を抽出し、各カテゴリーについて、基準時点から所望の将来時点までの期間における単位期間当たりの予測平均経済成長率G(g)を算出する予測経済成長率算出手順と、
各カテゴリーについて、前記実績平均売上成長率G(s)と前記実績平均経済成長率G(g)との比である実績売上・経済成長率比Rsg=G(s)/G(g)を算出する実績成長率比算出手順と、
前記予測平均経済成長率G(g)及び前記実績売上・経済成長率比Rsgから、各カテゴリーについて、将来の予測平均売上成長率G(s)を算出する予測売上成長率算出手順と、
前記予測売上成長率算出手順で算出された前記予測平均売上成長率G(s)を表示部に表示させる表示手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−61574(P2010−61574A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228928(P2008−228928)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)