説明

器機の移動防止具

【課題】 どのような器機にも適用でき、かつ地震等の振動に対して器機の転倒を防止し、器機の移動を防止または制限できる器機の移動防止具を提供すること。
【解決手段】 本発明の器機の移動防止具10は、一方の面が器機としてのコピー機を設置する設置面に固定され、他方の面に接続部14を備える設置面固定部12と、コピー機のキャスタを軸支する軸部に接続されることでコピー機を固定する器機固定部20と、一方が接続部14に接続され、他方に器機固定部20が連結される連結部30と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の器機が地震や意図しない物品等の衝突により発生する振動で転倒や移動することを防止または制限する器機の移動防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭内における薄型テレビ用置き台、ピアノ、パーソナルコンピュータテーブル等や、商店や工場における商品・製品を陳列する什器、商品・製品を搬送する台車等や、事務所における椅子、机、移動棚、ホワイトボード、コピー機等の移動のために、それらの器機の下部に脚部としてのキャスタが配設されている。このような器機のキャスタにはストッパが設けられており、移動ができないように車輪の回転を止めて固定できるようになっている。
【0003】
このような従来の器機においては、ストッパを利用して車輪を固定した状態では、地震や意図しない他の物品等の衝突時に車輪による移動が制限されているため、器機自身が転倒することがあった。
【0004】
また、器機が転倒しない場合であっても、キャスタの車輪の表面と器機が設置されている設置面との静止摩擦力より地震等の振動の力が大きい場合には、器機が設置面上を横滑りして大きく移動してしまうことがあった。
【0005】
これらの従来の器機の転倒や移動の防止のために、特許文献1には、家具の4つのキャスタを拘束するために、各々のキャスタのそれぞれの対向側面に当接する当て板を、蝶番により起倒可能として床面上に設け、かつ当て板に内側から当接する当接面を両端部に有する支持杆を、左右のベース脚を連結する連結ビームに引張りばねをもって連結する装置の構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、底面にキャスタが設けられた機器の下部の両側に、機器を床面に設置するときにその床面に一端が当接される支持脚を回動自在に設け、支持脚を床面に当接させる状態にロックするロック機構を設けて、機器を床面に設置するときは支持脚を回動させてその一端を床面に当接させてロックすることで機器の倒れを防止する装置の構成が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、床面と対向した底面に脚部を有する機器の底面に配設された転倒防止装置であって、脚部の支軸を中心として回動自在に設けられた扇状の転倒防止部材で器機としての画像形成装置の転倒を防止する装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開平11−141610号公報
【特許文献2】 特開平11−028130号公報
【特許文献3】 特開2002−252475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に開示されるような従来の器機の転倒を防止する装置は、予め器機に装置を設けなければならないため、どのような器機でも適用できるわけではないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、どのような器機にも適用でき、かつ地震等の振動に対して器機の転倒を防止し、器機の移動を防止または制限できる器機の移動防止具を提供することである。
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる器機の移動防止具は、請求項1の記載によれば、一方の面が器機を設置する設置面に固定され、他方の面に接続部を備える設置面固定部と、前記器機を固定する器機固定部と、一方が前記接続部に接続され、他方に前記器機固定部が連結される連結部と、を具備することを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係わる器機の移動防止具は、請求項2の記載によれば、前記器機固定部は紐状部材であり、その両端の側が連結部に連結され、輪状となった略中央部で前記器機に接続されることを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係わる器機の移動防止具は、請求項3の記載によれば、前記連結部は、一方が前記接続部に接続される第1のプレートと、前記第1のプレートの他方の一方面に配置され、前記器機固定部の一端の側または両端の側を挟み込む第2のプレートと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、この発明に係わる器機の移動防止具は、請求項4の記載によれば、前記連結部は、一方が前記接続部に接続される第1のプレートと、前記第1のプレートの他方の一方面に配置され、前記器機固定部の一端の側を挟み込む第2のプレートと、前記第1のプレートの他方の他方面に配置され、前記器機固定部の他端の側を挟み込む第3のプレートと、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係わる器機の移動防止具は、請求項5の記載によれば、前記器機固定部は、略中央部で輪状となった紐状部材の輪状部分の直径を変更する調整部を備えることを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係わる器機の移動防止具は、請求項6の記載によれば、前記連結部は、前記接続部に回動可能に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、どのような器機にも適用でき、かつ地震等の振動に対して器機の転倒を防止し、器機の移動を防止または制限できる器機の移動防止具を提供することができる。
【0018】
また、この発明により、取り付け後の着脱が簡便で、器機の移動や移設が容易である器機の移動防止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 器機の移動防止具の正面図
【図2】 器機の移動防止具の側面図
【図3】 第1のプレートの正面図
【図4】 第2のプレートの正面図と側面図
【図5】 第3のプレートの正面図
【図6】 図2のX−X断面図
【図7】 図2のY−Y断面図
【図8】 図2のZ−Z断面図
【図9】 ワンタッチボルトの一部断面図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、この実施例において、本発明の器機の移動防止具で移動を防止する器機は主に画像形成装置(所謂コピー機)としているが、これに限定されるものではない。具体的には、家庭内における薄型テレビ用置き台、ピアノ、パーソナルコンピュータテーブル等や、商店や工場における商品・製品を陳列する什器、商品・製品を搬送する台車等や、事務所における椅子、机、移動棚、ホワイトボード等の移動のために、それらの器機の下部に器機を移動するための脚部としてのキャスタが配設されている器機はもちろん、脚部にキャスタを使用していない各種器機であっても、本発明の器機の移動防止具が適用可能である。
【0021】
最初に図1乃至図5を用いて、本発明の器機の移動防止具10を説明する。図1は、器機の移動防止具10の正面図である。図2は、器機の移動防止具10の側面図である。図3は、第1のプレート32の正面図である。図4は、(a)が第2のプレート34の正面図、(b)が第2のプレート34の側面図である。図5は、第3のプレートの正面図である。
【0022】
本発明において、地震や意図しない物品等の衝突により発生する振動で転倒や移動を防止または制限したい器機としての画像形成装置、所謂コピー機は、コピー機の底面に脚部としてのキャスタが設けられている。また、このキャスタは、一般に、一方がコピー機の底面にねじ込み等で固定される軸部と、当該軸部の他方に軸支されることで当該軸部を中心に回動可能となっている転動可能な車輪とから構成されている。
【0023】
また、本発明の器機の移動防止具10は、一方の面が器機としてのコピー機を設置する設置面に固定され、他方の面に接続部14を備える設置面固定部12と、コピー機のキャスタを軸支する軸部に接続されることでコピー機を固定する器機固定部20と、一方が接続部14に接続され、他方に器機固定部20が連結される連結部30と、を具備している。
【0024】
なお、設置面固定部12は、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなる略円形の板状の形状であり、一方の面には設置面に固定するための両面接着テープや各種接着剤からなる接着部16が設けられている。また、設置面固定部12の他方の面に備えられて接続部14は、例えば一端が設置面固定部12の他方の面に固着されるナット14aと、ナット14aの他端の方向からナット14aに螺合するボルト14bとを有している。なお、ボルト14bのナット14aへの螺合をより確実とするために、ワッシャ15を使用しても良い。
【0025】
また、器機固定部20は、金属製ワイヤロープ等からなる紐状部材22である。この紐状部材22を略半分の位置で曲げて、その両端の側を後に説明する方法で連結部30に連結すると、紐状部材22の略中央部(即ち、紐状部材22の全体の長さに対して略半分の位置)が図1の紙面右側のように輪状となる。この輪状部分をキャスタを軸支する軸部にかけることでキャスタの移動を防止または制限させることになる。
【0026】
なお、紐状部材22の表面にビニール等の被覆が施されていると、紐状部材22と連結部30との連結や、調整部24での紐状部材22の輪状部分の直径の固定がより強固となる。また、キャスタを軸支する軸部にかけられる輪状部分には、熱収縮チューブ等のゴム製の滑り止め28が被覆されており、当該軸部の滑りを確実に防止することが可能である。
【0027】
さらに、器機固定部20は、略中央部で輪状となった紐状部材22の輪状部分の直径を変更する調整部24を備えている。この調整部24は、略長方形の板状部材の長辺の2辺を一方の面の側に折り曲げて溝を形成したU字状部材25と、該溝に嵌め込まれる板状の嵌め込み部材26と、U字状部材25の溝へ嵌め込み部材26を嵌め込んだ状態を維持するための蝶ネジ27とを備えている。
【0028】
このU字状部材25へ嵌め込み部材26を嵌め込んだ状態を維持するために、U字状部材25の略中心には蝶ネジ27を螺合するための雌ネジが設けられると共に、嵌め込み部材26をU字状部材25に嵌め込んだ際に、該雌ネジへ蝶ネジ27が螺合可能となる位置(即ち嵌め込み部材26の略中心)に嵌め込み部材26の貫通穴が設けられている。
【0029】
また、嵌め込み部材26の貫通穴の直径は、蝶ネジ27の雄ネジの直径よりも大きく、蝶ネジ27が嵌め込み部材26に当接する部分の直径よりも小さく設定されているので、蝶ネジ27を嵌め込み部材26の貫通穴へ挿通し、U字状部材25の雌ネジへ螺合することで、嵌め込み部材26がU字状部材25の溝へを嵌め込まれた状態が維持可能となる。
【0030】
このような調整部24を使用して、略中央部で輪状となった紐状部材22の輪状部分の直径を変更する方法は以下の通りとなる。
【0031】
紐状部材22を略半分の位置で曲げて、その両端の側を連結部30に連結した際に、紐状部材22が連結部30から延出する方向(図1、図2の紙面の左右方向、以下、紐状部材22の延出方向とする)では、紐状部材22は、図1、図2に示すとおり、2本となっている。
【0032】
この2本の紐状部材22を両方ともU字状部材25の溝に装填し、その上から嵌め込み部材26を該溝へ嵌め込むことで、2本の紐状部材22をU字状部材25と嵌め込み部材26で挟み込む。
【0033】
この挟み込んだ状態で、蝶ネジ27を嵌め込み部材26の貫通穴へ挿通し、U字状部材25の雌ネジへ螺合する。この時、蝶ネジ27を締める力を緩くしておけば、調整部24は紐状部材22の延出方向でスライド可能となり、紐状部材22の輪状部分の直径を変更することが可能となる。即ち、調整部24を紐状部材22の略中央部の方向(紐状部材22の延出方向の右)へ移動させると紐状部材22の輪状部分の直径を小さくすることが可能となり、調整部24を紐状部材22の連結部30の方向(紐状部材22の延出方向の左)へ移動させると紐状部材22の輪状部分の直径を大きくすることが可能となる。
【0034】
このようにして、紐状部材22の輪状部分の直径を任意の適切な大きさに設定した後に、蝶ネジ27を強く締めれば、調整部24が紐状部材22の延出方向でスライドすることが不可能となり、紐状部材22の輪状部分の直径が固定される。
【0035】
なお、2本の紐状部材22をU字状部材25と嵌め込み部材26で挟み込む際に、この2本の間に蝶ネジ27が配置された状態で蝶ネジ27をU字状部材25の雌ネジへ螺合すると、調整部24の紐状部材22の延出方向でのスライドがスムーズになる。
【0036】
連結部30は、一方にボルト14bを挿通させるための貫通穴33を有し、この貫通穴33へ挿通させたボルト14bのナット14aへの螺合により接続部14に接続される第1のプレート32と、第1のプレート32の他方の一方面に配置され、紐状部材22の一端の側を挟み込む第2のプレート34と、第1のプレート32の他方の他方面に配置され、紐状部材22の他端の側を挟み込む第3のプレート36と、を備えている。なお、第1のプレート32のボルト14bによるナット14aへの螺合をより確実とするために、ワッシャ15をボルト14bと貫通穴33との間に使用しても良い。
【0037】
なお、図3に示すとおり、第1のプレート32は、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなる、一方から他方の方向を長辺とする略長方形の板状の形状である。また、第1のプレート32の一方となる側の短辺の2つの角は面取りされて丸みを帯びている。
【0038】
また、第1のプレート32の他方には、略円形の4個のガイドピン挿通穴32a、32b、32c、32dと、略円形の2個のプレート連結ボルト挿通穴32e、32fが貫設されている。
【0039】
また、図4に示すとおり、第2のプレート34は、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなる略長方形の板状の形状であり、その短辺の長さは、第1のプレート32の短辺の長さと等しく設定されている。
【0040】
さらに、第2のプレート34の一方面の四隅近傍には、第2のプレート34の一方面を第1のプレート32の他方の一方面に対向配置した際に第1のプレート32の4個のガイドピン挿通穴32a、32b、32c、32dと相対する位置に、4個のガイドピン38a、38b、38c、38dが植設されている。この4個のガイドピン38a、38b、38c、38dは、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなる略円柱形の形状となっている。
【0041】
また、第2のプレート34の長辺に平行な軸上に、第2のプレート34の一方面を第1のプレート32の他方の一方面に対向配置した際に第1のプレート32の2個のプレート連結ボルト挿通穴32e、32fと相対する位置に、略円形の2個のプレート連結ボルト挿通穴34e、34fが貫設されている。
【0042】
また、図5に示すとおり、第3のプレート36は、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなる略長方形の板状の形状であり、その短辺の長さは、第1のプレート32の短辺の長さと等しく設定されている。
【0043】
さらに、第3のプレート36の四隅近傍には、第3のプレート36の一方面を第1のプレート32の他方の他方面に対向配置した際に第1のプレート32の4個のガイドピン挿通穴32a、32b、32c、32dと相対する位置に、略円形の4個のガイドピン挿通穴36a、36b、36c、36dが貫設されている。
【0044】
また、第3のプレート36の長辺に平行な軸上に、第3のプレート36の一方面を第1のプレート32の他方の他方面に対向配置した際に第1のプレート32の2個のプレート連結ボルト挿通穴32e、32fと相対する位置に、2個のプレート連結ボルト螺合穴36e、36fが螺設されている。
【0045】
なお、プレート連結ボルト39e、39fは、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなり、プレート連結ボルト螺合穴36e、36fに螺合する雄ネジが螺設される軸部と、軸部の一端に取り付けられ、その直径がプレート連結ボルト挿通穴32e、32f、34e、34fの穴の直径より大きく設定された頭部とを有している。
【0046】
また、ガイドピン挿通穴32a、32b、32c、32d、36a、36b、36c、36dは、その穴の直径がガイドピン38a、38b、38c、38dの直径よりも大きく設定されている。また、プレート連結ボルト挿通穴32e、32f、34e、34fは、その穴の直径がプレート連結ボルト39e、39fの軸部の直径よりも大きく設定されている。
【0047】
このような第1のプレート32、第2のプレート34、第3のプレート36の3枚のプレートで、紐状部材22が連結部30へ連結される。具体的には、第1のプレート32の他方の一方面と第2のプレート34の一方面との間で紐状部材22の一端の側が挟み込まれ、また、第1のプレート32の他方の他方面と第3のプレート36の一方面との間での紐状部材22の他端の側が挟み込まれる。
【0048】
なお、この紐状部材22の一端の側の挟み込みと他端の側の挟み込みの維持は、以下の通りである。最初に、紐状部材22の一端の側の挟み込みについて、図6を用いて説明する。
【0049】
図6は、図2のX−X断面を第1のプレート32の他方の一方面から第2のプレート34の一方面へ向かって見た図である。この図6の状態では、第2のプレート34の一方面に植設されたガイドピン38aは、第1のプレート32に貫設されたガイドピン挿通穴32aへ第1のプレート32の他方の一方面から他方面に向かって挿通されている。同様に、ガイドピン38b、38c、38dは、各々ガイドピン挿通穴32b、32c、32dへ第1のプレート32の他方の一方面から他方面に向かって挿通されている。
【0050】
また、プレート連結ボルト39eは、第2のプレート34に貫設されたプレート連結ボルト挿通穴34eに第2のプレート34の他方面から一方面へ向かって挿通されると共に、第1のプレート32に貫設されたプレート連結ボルト挿通穴32eに第1のプレート32の一方面から他方面へ向かって挿通される。同様に、プレート連結ボルト39fは、プレート連結ボルト挿通穴34fに第2のプレート34の他方面から一方面へ向かって挿通されると共に、プレート連結ボルト挿通穴32fに第1のプレート32の一方面から他方面へ向かって挿通される。
【0051】
この結果、第2のプレート34と第1のプレート32との間には、4個のガイドピン38a、38b、38c、38dと2個のプレート連結ボルト39e、39fが架け渡された状態となっている。
【0052】
また、図6のとおり、紐状部材22の一端の側は二つ折りに曲げられてU字状となっている。この二つ折りに曲げる箇所は、曲げた箇所から一端の先端までの長さが第2のプレート34の長辺の長さと同等、または長くなるような位置となっている。
【0053】
このように二つ折りに曲げられてU字状となった紐状部材22の一端の側は、第2のプレート34と第1のプレート32との間に架け渡された4個のガイドピン38a、38b、38c、38dと2個のプレート連結ボルト39e、39fの間に装填されている。具体的には、二つ折りに曲げられた紐状部材22の一端の側の、より一端に近い部分は、第2のプレート34の長辺の方向と略平行となる一組のガイドピン38b、38aと2個のプレート連結ボルト39e、39fとの間に装填される。
【0054】
また、紐状部材22の二つ折りに曲げられた部分は、プレート連結ボルト39fの外周のうち、接続部14の側に配置される。また、二つ折りに曲げられた紐状部材22の一端の側の、一端から遠い部分(紐状部材22の輪状となった略中央部に近い部分)は、第2のプレート34の長辺の方向と略平行となる他の一組のガイドピン38d、38cと2個のプレート連結ボルト39f、39eとの間に装填される。
【0055】
このように、紐状部材22の一端の側は、その一端の先端から説明すると、ガイドピン38bとプレート連結ボルト39eとの間に装填され、ガイドピン38aとプレート連結ボルト39fとの間に装填され、プレート連結ボルト39fの外周に巻き付けられ、ガイドピン38dとプレート連結ボルト39fとの間に装填され、ガイドピン38cとプレート連結ボルト39eとの間に装填されることになる。また、この結果、紐状部材22の延出方向は、第2のプレート34の長辺の方向と一致することになる。
【0056】
また、第2のプレート34と第1のプレート32は、2個のプレート連結ボルト39e、39fが第3のプレート36のプレート連結ボルト螺合穴36e、36fに各々螺合されることにより、その間隔が狭められる方向に力が掛かっている。具体的には、紐状部材22の一端の側を第2のプレート34と第1のプレート32で挟み込んだ状態で、プレート連結ボルト39e、39fの軸部の他端(頭部が取り付けられていない端部)を第2のプレート34と第1のプレート32へ挿通させ、プレート連結ボルト螺合穴36e、36fに各々螺合させると、プレート連結ボルト39e、39fの頭部が第2のプレート34を第1のプレート32の方向へ押しつけることになる。この結果、第2のプレート34と第1のプレート32との間に充填された紐状部材22の一端の側は、この2枚のプレートに挟み込まれた状態が維持される。
【0057】
また、紐状部材22の一端の側はU字状に折り曲げられて第1のプレート32と第2のプレート34との間に装填されているので、2枚のプレート全体に均等に挟み込まれることとなり、紐状部材22の連結部30への連結の強度を高めることが可能である。
【0058】
次に、紐状部材22の他端の側の挟み込みについて、図7及び図8を用いて説明する。図7は、図2のY−Y断面を第3のプレート36の一方面から第1のプレート32の他方の他方面へ向かって見た図である。図8は、図2のZ−Z断面を設置面から第3のプレート36の他方面へ向かって見た図である。
【0059】
この図7の状態では、第2のプレート34の一方面に植設されたガイドピン38aは、第1のプレート32に貫設されたガイドピン挿通穴32aへ第1のプレートの他方の一方面から他方面に向かって挿通され、第3のプレート36に貫設されたガイドピン挿通穴36aへ第3のプレート36の一方面から他方面に向かって挿通されている。
【0060】
同様に、第2のプレート34の一方面に植設されたガイドピン38b、38c、38dは、各々ガイドピン挿通穴32b、32c、32dへ第1のプレート32の他方の一方面から他方面に向かって挿通され、ガイドピン挿通穴36b、36c、36dへ第3のプレート36の一方面から他方面に向かって挿通されている。
【0061】
また、図7及び図8のとおり、プレート連結ボルト39eは、第2のプレート34に貫設されたプレート連結ボルト挿通穴34eに第2のプレート34の他方面から一方面へ向かって挿通され、第1のプレート32に貫設されたプレート連結ボルト挿通穴32eに第1のプレート32の一方面から他方面へ向かって挿通され、最後に第3のプレート36に螺設されたプレート連結ボルト螺合穴36eに第3のプレート36の一方面から他方面へ向かって螺合される。
【0062】
同様に、プレート連結ボルト39fは、プレート連結ボルト挿通穴34fに第2のプレート34の他方面から一方面へ向かって挿通され、プレート連結ボルト挿通穴32fに第1のプレート32の一方面から他方面へ向かって挿通され、最後にプレート連結ボルト螺合穴36fに第3のプレート36の一方面から他方面へ向かって螺合される。
【0063】
この結果、第1のプレート32と第3のプレート36との間には、4個のガイドピン38a、38b、38c、38dと2個のプレート連結ボルト39e、39fが架け渡された状態となっている。
【0064】
また、図7のとおり、紐状部材22の他端の側は二つ折りに曲げられてU字状となっている。この二つ折りに曲げる箇所は、曲げた箇所から一端の先端までの長さが第3のプレート36の長辺の長さと同等、または長くなるような位置となっている。
【0065】
このように二つ折りに曲げられてU字状となった紐状部材22の他端の側は、第1のプレート32と第3のプレート36との間に架け渡された4個のガイドピン38a、38b、38c、38dと2個のプレート連結ボルト39e、39fの間に装填されている。具体的には、二つ折りに曲げられた紐状部材22の他端の側の、より他端に近い部分は、第3のプレート36の長辺の方向と略平行となる他の一組のガイドピン38c、38dと2個のプレート連結ボルト39e、39fとの間に装填される。
【0066】
また、紐状部材22の二つ折りに曲げられた部分は、プレート連結ボルト39fの外周のうち、接続部14の側に配置される。また、二つ折りに曲げられた紐状部材22の他端の側の、他端から遠い部分(紐状部材22の輪状となった略中央部に近い部分)は、第3のプレート36の長辺の方向と略平行となる一組のガイドピン38a、38bと2個のプレート連結ボルト39f、39eとの間に装填される。
【0067】
このように、紐状部材22の他端の側は、その他端の先端から説明すると、ガイドピン38cとプレート連結ボルト39eとの間に装填され、ガイドピン38dとプレート連結ボルト39fとの間に装填され、プレート連結ボルト39fの外周に巻き付けられ、ガイドピン38aとプレート連結ボルト39fとの間に装填され、ガイドピン38bとプレート連結ボルト39eとの間に装填されることになる。また、この結果、紐状部材22の延出方向は、第3のプレート36の長辺の方向と一致することになる。
【0068】
また、第1のプレート32と第3のプレート36は、2個のプレート連結ボルト39e、39fが第3のプレート36のプレート連結ボルト螺合穴36e、36fに各々螺合されることにより、その間隔が狭められる方向に力が掛かっている。具体的には、紐状部材22の他端の側を第1のプレート32と第3のプレート36で挟み込んだ状態で、プレート連結ボルト39e、39fの軸部の他端を第2のプレート34と第1のプレート32へ挿通させ、プレート連結ボルト螺合穴36e、36fに各々螺合させると、プレート連結ボルト39e、39fの頭部が第2のプレート34を第1のプレート32及び第3のプレート36の方向へ押しつけることになる。この結果、第1のプレート32と第3のプレート36との間に充填された紐状部材22の他端の側は、この2枚のプレートに挟み込まれた状態が維持される。
【0069】
また、紐状部材22の他端の側はU字状に折り曲げられて第1のプレート32と第3のプレート36との間に装填されているので、2枚のプレート全体に均等に挟み込まれることとなり、紐状部材22の連結部30への連結の強度を高めることが可能である。
【0070】
また、上述したとおり、紐状部材22の一端の側は、ガイドピン38bとプレート連結ボルト39eとの間を通り、ガイドピン38aとプレート連結ボルト39fとの間を通り、ガイドピン38dとプレート連結ボルト39fとの間を通り、ガイドピン38cとプレート連結ボルト39eとの間を通るようになっている。これに対して、紐状部材22の他端の側は、ガイドピン38cとプレート連結ボルト39eとの間を通り、ガイドピン38dとプレート連結ボルト39fとの間を通り、ガイドピン38aとプレート連結ボルト39fとの間を通り、ガイドピン38bとプレート連結ボルト39eとの間を通るようになっている。
【0071】
即ち、紐状部材22の連結部30からの延出は、図6及び図7の通り、紐状部材22の一端の側が他の一組のガイドピン38d、38cの側から延出し、紐状部材22の他端の側が一組のガイドピン38a、38bの側から延出している。この結果、このため、紐状部材22の略中央部に形成される輪状の形状は、図1に示されるようにねじれの少ないバランスの良い輪状となると共に、地震等による器機への振動により器機固定部20が紐状部材22の延出方向へ引っ張られた際に、器機固定部20への力は連結部30へ偏りなく伝えられるので、接続部14や設置面固定部12への無用な負担が掛からなくなる。
【0072】
次に、連結部30へ紐状部材22を連結する手順を説明する。最初に、第2のプレート34のプレート連結ボルト挿通穴34e、34fへプレート連結ボルト39e、39fの軸部を第2のプレート34の他方面から一方面に向かって挿通した後に該他方面を作業面(机の上等)に載置する。
【0073】
次に、二つ折りに曲げてU字状となった紐状部材22の一端の側の、より一端に近い部分を、第2のプレート34の長辺の方向と略平行となる一組のガイドピン38b、38aと2個のプレート連結ボルト39e、39fとの間に装填する。
【0074】
次に、紐状部材22の二つ折りに曲げられた部分をプレート連結ボルト39fの外周に巻き付ける。さらに、二つ折りに曲げられた紐状部材22の一端の側の、一端から遠い部分を、第2のプレート34の長辺の方向と略平行となる他の一組のガイドピン38d、38cと2個のプレート連結ボルト39f、39eとの間に装填する。
【0075】
ここまでの手順で、第2のプレート34上に装填された紐状部材22の一端の側は、図6に示す第2のプレート34と紐状部材22の配置となる。
【0076】
次に、第2のプレート34上に突き出たガイドピン38a、38b、38c、38dとプレート連結ボルト39e、39fへ第1のプレート32のガイドピン挿通穴32a、32b、32c、32dとプレート連結ボルト挿通穴32e、32fを挿通する。
【0077】
次に、二つ折りに曲げてU字状となった紐状部材22の他端の側の、より他端に近い部分を、第3のプレート36の長辺の方向と略平行となる他の一組のガイドピン38c、38dと2個のプレート連結ボルト39e、39fとの間に装填する。
【0078】
次に、紐状部材22の二つ折りに曲げられた部分をプレート連結ボルト39fの外周に巻き付ける。さらに、二つ折りに曲げられた紐状部材22の他端の側の、他端から遠い部分を、第3のプレート36の長辺の方向と略平行となる一組のガイドピン38a、38bと2個のプレート連結ボルト39f、39eとの間に装填する。
【0079】
ここまでの手順で、第1のプレート32上に装填された紐状部材22の他端の側は、図7に示す第1のプレート32と紐状部材22の配置となる。
【0080】
次に、第1のプレート32上に突き出たガイドピン38a、38b、38c、38dとプレート連結ボルト39e、39fへ第3のプレート36のガイドピン挿通穴36a、36b、36c、36dを挿通する。なお、第3のプレート36に螺設されたプレート連結ボルト螺合穴36e、36fへはプレート連結ボルト39e、39fを挿通されずに当接した状態となる。
【0081】
次に、この状態で連結部30全体をひっくり返す。具体的には、第2のプレート34の他方面が作業面に載置された状態から、ガイドピン38a、38b、38c、38dが第3のプレート36のガイドピン挿通穴36a、36b、36c、36dへ挿通された状態を手等で押さえて維持しながら連結部30全体をひっくり返し、第3のプレート36の他方面を作業面に載置する。
【0082】
最後に、プレート連結ボルト39e、39fの頭部をネジ回し(ドライバ)や六角レンチ等で回転させて、プレート連結ボルト39e、39fをプレート連結ボルト螺合穴36e、36fに螺合する。
【0083】
このように、第2のプレート34と第1のプレート32とで紐状部材22の一端の側を挟み込み、第1のプレート32と第3のプレート36とで紐状部材22の他端の側を挟み込んだ状態で、2個のプレート連結ボルト39e、39fを第3のプレート36に螺設された2個のプレート連結ボルト螺合穴36e、36fに各々螺合することで、3枚のプレートによる紐状部材22の一端の側と他端の側の挟み込みを維持して、紐状部材22の連結部30への連結が解除されないようにする。
【0084】
また、この紐状部材22の連結部30への連結を解除する際には、2個のプレート連結ボルト39e、39fの2個のプレート連結ボルト螺合穴36e、36fへの螺合を解除することで行う。
【0085】
上記にて説明した本発明の器機の移動防止具10を使用して、コピー機等の器機が地震や意図しない物品等の衝突により発生する振動で転倒や移動することを防止または制限される状態を説明する。
【0086】
最初に本発明の器機の移動防止具10を図1に示す状態に組み立てる。なお、この組み立ての際には、調整部24の蝶ネジ27を若干緩めておき、調節部24が紐状部材22の延出方向に移動可能な状態にしておく。また、連結部30の組み立てに際しては、紐状部材22の全体の長さが適切となるように紐状部材22の一端の側と他端の側とで二つ折りに曲げる箇所を調整する。
【0087】
なお、紐状部材22の全体の長さの調整に関して、本発明の器機の移動防止具10では、2個のプレート連結ボルト39e、39fを緩めたり締めたりすることで簡便に調整ができる利点がある。また、上述したように、紐状部材22の一端の側と他端の側を3枚のプレートで挟み込むようになっている、即ち、紐状部材22を面で挟み込むので、所謂カシメ等の点で支える方法に比べて、より強固に紐状部材22を連結することができる利点がある。
【0088】
次に、紐状部材22の略中央部の輪状部分をコピー機のキャスタを軸支する軸部に巻き付けて接続する。なお、この巻き付けは、紐状部材22の輪状部分をコピー機を設置する設置面に載置した状態で、キャスタを輪状部分の中へ転動させ、その後に該輪状部分を持ち上げて軸部に掛け、調節部24を輪状部分の方向へ移動させて蝶ネジ27を締め付けることで行うと作業が簡便となる。
【0089】
このように、本発明の器機の移動防止具10は、輪状部分を持ち上げて軸部に掛けるだけであるので、どのようなコピー機に対しても接続可能である点において汎用性が高い。また、特に業務用コピー機においては、リース物件となっており、コピー機本体に加工することは通常許されない。本発明の器機の移動防止具10は、どのようなコピー機にも取り付けることが可能であり、この点においても有用である。
【0090】
次に、設置面固定部12の一方の面に設けられた接着部16を設置面に固定する。この固定は、例えば接着部16に両面接着テープを適用し、その表面に貼り付けられた保護シールを外すことで行うと作業が簡便となる。なお、紐状部材22は、必ずしも張架させた状態(ピンと張った状態)で接着部16を設置面に固定しなくとも良い。これは、紐状部材22にゆるみがある状態(ピンと張った状態ではない状態)でも、地震によってコピー機に転倒や移動の負荷が掛かった場合に、ゆるみのある紐状部材22が張架した際に、紐状部材22がバネのような働きをして、地震によりコピー機全体に働く力を逃す効果が期待できるためである。
【0091】
これだけで、コピー機の設置面への固定は完了であり、本発明の器機の移動防止具10は、その取り付け作業が非常に簡便である。なお、通常、コピー機にはキャスタが4個設けられており、本発明の器機の移動防止具10をその4個のキャスタの全てに接続しても良いし、また、その4個のうちの1個のキャスタに接続するだけでもその機能を果たす。
【0092】
これは、本発明の器機の移動防止具10を1個のキャスタに接続した場合には、地震時にコピー機は、本発明の器機の移動防止具10で固定されたキャスタの軸部を中心に動くこととなり、地震により働く力を分散させる免震作用が発生する。即ち本発明の器機の移動防止具は、対象となる器機を完全に固定するだけではなく、地震時の移動を制限することで、コピー機に働く力を軽減することも一つの目的としている。これは、最近のコピー機は、例えば複写機能を有する部分が紙を保管する給紙カセット部分の上へネジ止め等なしで単に載置されているだけの機種があるため、完全に固定してしまうと上に載置されているだけの複写機能を有する部分がはずれて落下することを防止する効果がある。
【0093】
さらに、本発明の器機の移動防止具10は、紐状部材22の輪状部分をキャスタに接続してから設置面固定部12の接着部16の表面に貼り付けられた保護シールを剥がして設置面に接着するので、この設置面固定部12をコピー機を設置する床面に配置することが容易である。特に、設置面固定部12は、その他方の面に設けられた構造物がナット14aとボルト14bとそれらに挟み込まれる連結部30のみであり、高さ(設置面からボルト14bまでの距離)を低くすることが容易である。このため、コピー機の底面とコピー機を設置する床面との間の隙間が狭くとも、設置面固定部12をその隙間に配置することが容易であり、器機の移動防止具10がコピー機の設置面積からはみ出すことがなく、器機の移動防止具10に足を引っかけたり、物をぶつけたりする虞がない。
【0094】
また、一般にコピー機は、紙詰まり等のトラブルやトナー交換、その他のメンテナンスを行うために頻繁に移動を行う。このため、例えば本発明の器機の移動防止具10の接続部14を回動可能としておくと、容易にコピー機の移動を行うことが可能となる。なお、この接続部14を回動可能とするために、例えば、ナット14aに螺合するボルト14bの雄ネジを設ける軸部に対して、軸部全体に雄ネジを設けるのではなく、軸部の根元側(ボルト14bの軸部に固着された頭部に当接する側)に雄ネジを設けないようにして、ボルト14bのナット14aへの螺合が全て行われても隙間が空くようにすれば、ナット14aとボルト14bに挟み込まれる第1のプレート32は、その一方に設けられた貫通穴33を軸中心として回動可能となる。また、ナット14aとボルト14bからなる接続部14を所謂ユニバーサルジョイントにしても良い。
【0095】
また、大きくコピー機を移動する際や、本発明の器機の移動防止具10によるコピー機の設置面への固定を解除する際には、ナット14aに螺合されたボルト14bの螺合を解除し、接続部14と連結部30の接続を解除することで行う。また、この接続部14と連結部30の接続の解除は、スパナ等で簡単に行うことができるので、隙間が狭いコピー機の底面とコピー機を設置する床面との間でも容易に作業を行うことが可能である。
【0096】
特に業務用コピー機においては、各種メンテナンスのために、大きく設置位置から移動して作業を行うことがあり、このときにはコピー機の接地面への固定の解除を行わなければならない。この点において、本発明の器機の移動防止具10によるコピー機の固定の解除は、上述したとおり誰でも行うことが可能な簡便な作業であると共に、再度の固定も、連結部30をナット14aとボルト14bに挟み込んでボルト14bの螺合を行うという、やはり誰でも行うことが出来る簡便な作業であるので、各種メンテナンス後にコピー機の接地面への固定が解除されたままに放置される虞が少ない。
【0097】
また、コピー機の移動に関して、室内の器機の配置代えにおいて、本発明の器機の移動防止具10は、接続部14と連結部30の接続を解除した後に、設置面固定部12の他方の面に固着されたナット14aをスパナ等で回すことで簡単に外すことが可能である。また、本発明の器機の移動防止具10を再度使用する際には、設置面固定部12の一方の面に設けられた接着部16を付け直すことで簡単に再利用が可能である。
【0098】
以上のように、詳細に説明した本発明の器機の移動防止具10は、その機能等を損なわない範囲での種々の変形が可能である、例えば、設置面固定部12は略円形、第1のプレートは略長方形と説明したが、形状は特に問わない。
【0099】
また、接続部14におけるナット14aとボルト14bは、配置を逆、即ち14aをボルトとし、14bをナットとしても良い。また、接続部14におけるボルト14bを図9に示すような所謂ワンタッチボルトとしても良い。
【0100】
図9に示すワンタッチボルト140は、各種金属やプラスチック等の合成樹脂等からなり、ナット14aに挿入される雄ネジが螺設されていない軸部141と、軸部141の一端に取り付けられ、その直径が貫通穴33の穴の直径より大きく設定された頭部146とを有している。
【0101】
また、このワンタッチボルト140は、軸部141をナット14aへ挿入した際に、挿入された状態を維持する係止機構として、係止部142と、係止部142の一端側に設けられ、係止部142を回動可能に軸支する軸支部143と、係止部142の他端側に設けられ、係止部142を回動方向の一方向に加力する弾性体148と、係止部142の他端に設けられ、係止部142を弾性体148が加力する一方向とは反対方向に移動させるための係止解除部145と、軸支部143と係止解除部145との間に設けられ、係止部142の軸部141への係止状態を維持する突起部144とを備えている。
【0102】
また、係止部142は、板状の形状を有しており、軸部141の軸方向に平行なスリット(切り込み部)配置されている。同様に、軸支部143も該スリットの軸部141の他端近傍に設けられており、このため、係止部142は軸部141の他端近傍を中心に回動可能となっている。
【0103】
また、弾性体148は、例えばコイルネジ等であり、頭部146の内部に設けられた、軸部141の軸方向と略垂直となる方向に穿設された穴部147に設置されている。
【0104】
このような係止機構を備えるワンタッチボルト140は、軸部141のナット14aへの挿入の前の状態では、図9(a)に示すとおり、係止機構は、弾性体148により他端近傍を紙面右方向に加力されるため、係止部142が軸支部143を中心に右回り(時計方向)に加力されていることにより、突起部144が軸部141からはみ出た状態となっている
【0105】
この状態で、軸部141をナット14aへ挿入すると、図9(b)に示すとおり、ナット14aに螺設された雌ネジの山に突起部144が当接し、弾性体148による加力に抗して突起部144がスリット内に押し込まれる。このため、軸部141のナット14aへの挿入が可能となっている。
【0106】
また、軸部141のナット14aへの挿入が完了すると、突起部144は、ナット14aに螺設された雌ネジの山に噛み合わされ、図9(a)のような、突起部144がスリットからはみ出た状態となる。
【0107】
この状態で、ワンタッチネジ140をナット14aから抜去しようとすると、ナット14aに螺設された雌ネジの山により突起部144へ軸支部143を中心とした右回り(時計方向)の力がかかるため、抜去が不可能となる。
【0108】
このため、ワンタッチネジ140のナット14aからの抜去の際には、係止解除部145を紙面左方向に押して、係止部142が軸支部143を中心に左回り(反時計方向)に弾性体148の加力に抗して回転させる。この動作により突起部144がスリット内に押し込まれる(図9(b)の状態とする)ことにより、ワンタッチネジ140のナット14aからの抜去が可能となる。
【0109】
このように、ワンタッチボルト140を使用することにより、連結部30の接続部14への接続時には、ワンタッチボルト140をナット14aへ挿入するだけで可能となる。また、連結部30の接続部14への接続の解除時には、ワンタッチボルト140の係止機構を係止解除部145で解除するだけでナット14aからの抜去が可能となる。
【0110】
なお、このようなワンタッチボルトは、連結部30のプレート連結ボルト39e、39fに適用してもよいことは説明するまでもない。
【0111】
また、ガイドピン38a、38b、38c、38dは第2のプレート34に設け、プレート連結ボルト螺合穴36e、36fは第3のプレート36に設けると説明したが、どのプレートにガイドピンやプレート連結ボルト螺合穴を設ける構成としても良いことは説明するまでもない。
【0112】
また、紐状部材22は、例えば金属製ワイヤロープ等と説明したが、その他の素材、例えばカーボン繊維を利用したロープ等、本発明の器機の移動防止具10に使用することが可能な引張強度や耐衝撃性を有していれば良い。
【0113】
また、上記の説明においては、プレートは、第1のプレート32、第2のプレート34と第3のプレート36の3枚を利用して、第2のプレート34と第1のプレート32との間に紐状部材22の一端の側を挟み込み、第1のプレート32と第3のプレート36との間に紐状部材22の他端の側を挟み込むと説明したが、第2のプレート34と第1のプレート32との間に紐状部材22の一端の側と他端の側との両方を挟み込む構成としても良いことは説明するまでもない。
【符号の説明】
【0114】
10・・・器機の移動防止具、 12・・・設置面固定部、 14・・・接続部、 14a・・・ナット、 14b・・・ボルト、 15・・・ワッシャ、 16・・・接着部、 20・・・器機固定部、 22・・・紐状部材、 24・・・調整部、 25・・・U字状部材、 26・・・嵌め込み部材、 27・・・蝶ネジ、 28・・・滑り止め、 30・・・連結部、 32・・・第1のプレート、 32a、32b、32c、32d・・・ガイドピン挿通穴、 32e、32f・・・プレート連結ボルト挿通穴、 33・・・貫通穴、 34・・・第2のプレート、 34e、34f・・・プレート連結ボルト挿通穴、 36・・・第3のプレート、 36a、36b、36c、36d・・・ガイドピン挿通穴、 36e、36f・・・プレート連結ボルト螺合穴、 38a、38b、38c、38d・・・ガイドピン、 39e、39f・・・プレート連結ボルト、 140・・・ワンタッチボルト、 141・・・軸部、 142・・・係止部、 143・・・軸支部、 144・・・突起部、 145・・・係止解除部、 146・・・頭部、 147・・・穴部、 148・・・弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が器機を設置する設置面に固定され、他方の面に接続部を備える設置面固定部と、前記器機を固定する器機固定部と、一方が前記接続部に接続され、他方に前記器機固定部が連結される連結部と、を具備することを特徴とする器機の移動防止具。
【請求項2】
前記器機固定部は紐状部材であり、その両端の側が連結部に連結され、輪状となった略中央部で前記器機に接続されることを特徴とする請求項1に記載の器機の移動防止具。
【請求項3】
前記連結部は、一方が前記接続部に接続される第1のプレートと、前記第1のプレートの他方の一方面に配置され、前記器機固定部の一端の側または両端の側を挟み込む第2のプレートと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の器機の移動防止具。
【請求項4】
前記連結部は、一方が前記接続部に接続される第1のプレートと、前記第1のプレートの他方の一方面に配置され、前記器機固定部の一端の側を挟み込む第2のプレートと、前記第1のプレートの他方の他方面に配置され、前記器機固定部の他端の側を挟み込む第3のプレートと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の器機の移動防止具。
【請求項5】
前記器機固定部は、略中央部で輪状となった紐状部材の輪状部分の直径を変更する調整部を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の器機の移動防止具。
【請求項6】
前記連結部は、前記接続部に回動可能に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の器機の移動防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−99551(P2011−99551A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270724(P2009−270724)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(501359412)株式会社リンテック21 (38)
【Fターム(参考)】