説明

噴出ヘッド及びガス消火システム

【課題】消火ガスの供給に基づく騒音を低減することが可能な、噴出ヘッド、及びこれを備えたガス消火システムを提供する。
【解決手段】対象室内に消火ガスを供給するためのノズル31に連結されて、ノズル31を流通する消火ガスを噴出させる噴出ヘッド41であって、ノズル31の流出口に連通するチャンバー44を備え、チャンバー44の壁面には、対象室内に向けて開口する複数のオリフィス孔45が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出ヘッド、及びこれを備えたガス消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象室内において発生した火災を消火するガス消火システムとして、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ハロゲンガス等の不活性ガスや不燃性ガスからなる消火ガスを対象室内に充満させるものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなガス消火システムは、水や化学消火剤に弱い大型コンピュータやサーバ等の精密機器類が設置された対象室内の消火に対して特に有効である。
このガス消火システムにおいては、短時間のうちに大量の消火ガスを対象室内に充満させることができるように、対象室内に開口する流出口を、断面を絞り込んだノズル形状とする等して、流出口から高圧の消火ガスを高速で噴出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−60984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したガス消火システムにおいては、高圧の消火ガスが流出口から対象室内に噴出される際にガス圧力が急激に開放されるため、消火ガスが急激に膨張し、非常に大きな膨張音が発生するおそれがある。
また、対象室内に短時間で消火ガスを充満させるために、消火ガスを流出口から高速で噴出させているが、この噴出流速が部分的に音速を超えると衝撃波が発生し、この衝撃波に起因して騒音が発生する場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、消火ガスの供給に基づく騒音を低減することが可能な、噴出ヘッド、及びこれを備えたガス消火システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の噴出ヘッドは、対象室内に消火ガスを供給するためのガス配管の流出口に連結されて、前記ガス配管を流通する消火ガスを噴出させる噴出ヘッドであって、前記流出口に連通するチャンバーを備え、前記チャンバーの壁面には、前記対象室内に向けて開口する複数のオリフィス孔が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、対象室内の消火時に、消火ガスはガス配管の流出口から噴出ヘッドのチャンバー内に流入する。この場合、ガス配管の流出口から噴出した消火ガスはチャンバー内で一旦膨張した後に、チャンバーに形成されたオリフィス孔を通って対象室内に噴出されるので、噴出口(オリフィス孔)から消火ガスが開放される際に発生する膨張音を低減することができる。
また、チャンバーには、複数のオリフィス孔が形成されているため、ガス配管からチャンバー内に流入した消火ガスは、複数のオリフィス孔から分散されて対象室内に噴出される。これにより、噴出孔(オリフィス孔)1箇所当たりの消火ガスの流量を低下させ、各オリフィス孔から噴出されるガス流速を低減することができる。そのため、従来のようにノズル形状の噴出口から一括して消火ガスを噴出させる場合に比べて、消火ガスの噴出流速を低減することができ、消火ガスの噴出流速に起因して発生する騒音を低減することができる。なお、本発明の構成によれば、オリフィス孔が複数形成されているので、対象室内に噴出される消火ガスの総流量を低下させることなく、騒音の低減を図ることができる。
その結果、消火ガスの供給に基づく騒音を低減することができる。
【0008】
また、前記チャンバーは、消火ガスの流通方向に沿って複数配列され、前記各チャンバー間は前記オリフィス孔により連通していることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、消火ガスが各チャンバー間を流通するたびに除々に膨張した後に、対象室内に噴出されることになる。すなわち、消火ガスの噴出までの膨張を段階的に行うことができるので、噴出口(オリフィス孔)から消火ガスが開放される際に発生する膨張音をより確実に低減することができる。
【0010】
また、前記各チャンバー間の前記オリフィス孔同士が消火ガスの流通方向から見てオフセットされていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、各チャンバー間において、オリフィス孔が重ならないように配置されることになるので、各チャンバー間での流路長を長くすることができ、膨張音に対する低減効果を大きくすることができる。
【0012】
また、本発明のガス消火システムは、消火ガスを貯留するガス供給源と、消火ガスを前記ガス供給源から対象室内に供給するためのガス配管と、上記本発明の噴出ヘッドとを備え、前記噴出ヘッドがガス配管の流出口に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、周知のガス配管に上記本発明の噴出ヘッドを取り付けるだけで騒音を低減することができる。そのため、ガス消火システムの大幅な変更を伴うことなく、設備コストの増加も抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の噴出ヘッドによれば、消火ガスの供給に基づく騒音を低減することができる。
本発明のガス消火システムによれば、周知のガス配管に上記本発明の噴出ヘッドを取り付けるだけで騒音を低減することができる。そのため、ガス消火システムの大幅な変更を伴うことなく、設備コストの増加も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における消火システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における要部分解斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における要部分解斜視図である。
【図5】図4のB−B線に沿う断面図である。
【図6】ガス配管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
(ガス消火システム)
図1は、ガス消火システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のガス消火システム10は、大型コンピュータ等の精密機器11が設置された対象室12内の消火を行うものであって、対象室12外に設置された消火ガスの供給源(ガス供給源)21と、供給源21と対象室12内とを連通させ、供給源21から供給される消火ガスを対象室12内まで導くガス配管22と、図示しない火災報知器から出力される火災信号に基づいて、ガス配管22に接続された制御弁23の開閉操作を行う図示しない制御部とを備えている。
【0017】
なお、本実施形態の対象室12は、天井14との間に間隔をあけて天板15が配置される一方、床13との間に間隔をあけて床板16が配置された、いわゆる二重床及び二重天井構造をなしている。具体的に、天井14と天板15とに囲まれた空間が天井領域17、床13と床板16とに囲まれた空間が床下領域18、天板15と床板16とに囲まれた空間が機器設置領域19を構成しており、機器設置領域19の床板16上に上述した精密機器11が設置されている。なお、床板16及び天板15は、各領域17〜19を完全に遮断するように設けられることに限らず、図示例のように、各領域17〜19が互いに連通するように設けられていてもよい。
【0018】
供給源21は、例えば高圧状態で消火ガスを貯蔵するガスボンベ等の耐圧容器によって構成されている。なお、消火ガスには、不活性ガスまたは不燃性ガスとして、例えば窒素ガスや、二酸化炭素ガス、ハロゲンガス等を用いることが可能であり、本実施形態では窒素ガスが好適に用いられている。
【0019】
ガス配管22は、ガス供給源21から対象室3に至る中途部分において複数に分岐されており、これによって、ガス配管22の複数(図示例では三つ)の流出口が対象室3内に開口している。これら複数の流出口は、より短時間で対象室3内を消火ガスで充満できるように、互いに離れた位置に配されることが好ましい。
なお、本実施形態においては、ガス配管22は、供給源21に接続された供給配管22aと、供給配管22aの下流端が分岐された複数の分岐配管22bと、各分岐配管22bの下流端に接続されて対象室12の側壁25から天井領域17、機器設置領域19及び床下領域18内に向けて開口する複数の噴出配管22cとを備えている。また、本実施形態の制御弁23は、ガス配管22が集合されてなる供給配管22aに接続されているが、これに限らず分岐配管22bや噴出配管22cに接続しても構わない。
【0020】
また、機器設置領域19の側壁25に対向する側壁27には、対象室12内の圧力が所定圧以上となった場合に開放され、対象室12内に充満するガス(消火ガスや空気)を対象室12の外部に逃がす避圧口ダンパー26が形成されている。このように、消火ガスが噴出される噴出配管22cに対向する位置に避圧口ダンパー26を配置することで、対象室12内全体に消火ガスを充満させ易くなる。
【0021】
図2は本実施形態の要部の分解斜視図であり、図3は図2のA−A線に沿う断面図である。なお、図2においては説明を分かり易くするために、後述する噴出ヘッド41を一部断面で示している。また、各噴出配管22cよりも下流側はともに同一の構成であるため、以下の説明では1つの噴出配管22cの下流側について説明する。
図2,図3に示すように、各噴出配管22cの下流端には、噴出配管22cから噴出される消火ガスの流れを加速させるオリフィス形状のノズル(流出口)31が取り付けられている。このノズル31は、噴出配管22cの軸方向(消火ガスの流通方向)に沿って延在しており、噴出配管22cを流通する消火ガスがノズル31を流通することで、消火ガスをより高速で対象室12内に噴出させることができる。
【0022】
(噴出ヘッド)
ここで、ノズル31の下流端には、消火ガスを対象室12内に噴出するための噴出ヘッド41が取り付けられている。噴出ヘッド41は、ノズル31の下流端を外側から覆うように連結された筒状の連結部42と、連結部42の下流端に形成されたヘッド本体43とを備えている。
【0023】
ヘッド本体43は、連結部42に連通するチャンバー44を備えている。チャンバー44は、ノズル31の内径に対して流通方向に直交する方向に拡大形成された直方体形状のものであり、長手方向が消火ガスの流通方向と平行になるように延在している。すなわち、チャンバー44は、ノズル31から流入する消火ガスを対象室12内に噴出させる前段で一旦膨張させる膨張室として機能している。そして、チャンバー44における長手方向上流側の壁面において、チャンバー44内と連結部42とが連通している。
【0024】
また、チャンバー44の壁面には、壁面の厚さ方向に沿って貫通する多数のオリフィス孔45が形成されている。これらオリフィス孔45は、チャンバー44の壁面の厚さ方向に沿って内径が一様に形成された平面視矩形状の貫通孔であり、チャンバー44のほぼ全面、具体的にはチャンバー44の下流側の壁面及び消火ガスの流通方向に沿う壁面に亘って多数形成されている。このオリフィス孔45により、チャンバー44内と対象室12内とが連通している。なお、本実施形態の噴出ヘッド44は、ノズル31に一体に固定、あるいは一体に形成してもよいが、ノズル31に対して着脱自在に取り付けられることがより好ましい。
【0025】
(ガス消火システムの動作方法)
次に、本実施形態のガス消火システムの動作方法について説明する。なお、図1,図2中矢印Fは、消火ガスの流れを示している。
まず、対象室12内の火災を火災報知器が検知すると、火災報知器から制御部に向けて火災信号が出力される。制御部は火災信号を受信すると、ガス消火システム10を起動する。具体的に、制御部は、制御弁23を開放して供給源21からガス配管22に向けて消火ガスを供給させる。
【0026】
供給源21から供給される消火ガスは、ガス配管22(供給配管22a、分岐配管22b及び噴出配管22c)内を流通し、ノズル31内を流通することで加速された状態で、噴出ヘッド41のチャンバー44内に流入する。そして、消火ガスはチャンバー44内からチャンバー44の壁面に形成されたオリフィス孔45を通って対象室12内に噴出されることになる。
【0027】
ここで、ノズル31から噴出した消火ガスはチャンバー44内で一旦膨張した後に、オリフィス孔45を通って対象室12内に噴出されるので、噴出口(オリフィス孔45)から消火ガスが開放される際に発生する膨張音を低減することができる。
【0028】
また、チャンバー44には、多数のオリフィス孔45が形成されているため、ノズル31からチャンバー44内に流入した消火ガスは、多数のオリフィス孔45から分散されて対象室12内に噴出される。これにより、噴出孔(オリフィス孔45)1箇所当たりの消火ガスの流量を低下させ、各オリフィス孔45から噴出されるガス流速を低減することができる。そのため、従来のようにノズル形状の噴出口から一括して消火ガスを噴出させる場合に比べて、消火ガスの噴出流速を低減することができ、消火ガスの噴出流速に起因して発生する騒音を低減することができる。この場合、本実施形態では、オリフィス孔45が多数形成されているので、対象室12内に噴出される消火ガスの総流量を低下させることなく、騒音の低減を図ることができる。
【0029】
その結果、消火ガスは、噴出ヘッド41のチャンバー44内から各オリフィス孔45を通過して対象室12内に拡散されるように噴出され、対象室12内全体に供給されることになる。その後、噴出ヘッド41から対象室12内に消火ガスを供給し続け、対象室12内を消火ガスで充満させることで、対象室12内の火災を消火することができる。なお、消火ガスを供給し続け、対象室12内の圧力が所定圧以上になった場合には、避圧口ダンパー26が開放されて対象室12内のガスが自動的に外部へ逃げるようになっている。
【0030】
このように、本実施形態では、ノズル31の下流端に噴出ヘッド41を取り付け、噴出ヘッド41のチャンバー44に形成された多数のオリフィス孔45から消火ガスを噴出させる構成にした。
この構成によれば、上述したようにオリフィス孔45から消火ガスが開放される際の膨張に起因する騒音、及びオリフィス孔45からの噴出されるガス流速に起因する騒音を、ガス流量の低下を伴うことなく低減することができる。よって、消火ガスの供給に基づく騒音を低減することができる。
【0031】
ところで、火災発生時に制御弁23を開放すると、ガス配管22における制御弁23よりも上流側と、下流側との圧力差によって衝撃波(圧力波)が発生する。そして、この衝撃波は、消火ガスとともにガス配管22(供給配管22a、分岐配管22b及び噴出配管22c)及びノズル31内を伝播してチャンバー44内に伝播する。
【0032】
ここで、ノズル31内を伝播した衝撃波は、ノズル31を通過してチャンバー44内に伝播する際に、回折することで減衰する。さらに、チャンバー44内に伝播した衝撃波は各オリフィス孔45を通過して回折することにより、減衰した状態で対象室12内に伝播することになる。このように、衝撃波は対象室12内に伝播する前段で段階的に減衰することになるので、制御弁23開放時に発生する衝撃波に起因する騒音も低減することができる。
【0033】
また、本実施形態のガス消火システムでは、噴出配管22cが対象室12内の天井領域17、床下領域18及び機器設置領域19の各領域に開口しているため、これら複数の領域何れかで火災が発生したとしても、消火ガスをより短時間で充満させることが可能である。
【0034】
また、本実施形態のガス消火システム10では、対象室12内に消火ガスを充満させることで火災の消火が行われるが、対象室12内に供給された消火ガスによって対象室12内の圧力が上昇することがある。ここで、本実施形態のガス消火システムでは、避圧口ダンパー26を備えているため、過剰な圧力を対象室12外に逃がすことができる。
【0035】
なお、噴出ヘッド41をノズル31に対して着脱自在に構成した場合には、ガス消火システムの大幅な変更を伴うことなく、周知のノズル31に噴出ヘッド41を取り付けるだけで騒音を低減することができる。そのため、設備コストの増加も抑制することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は本実施形態の要部の分解斜視図であり、図5は図4のB−B線に沿う断面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し説明を省略する。
図4,図5に示すように、本実施形態の噴出ヘッド61におけるヘッド本体62は、内径が連結部42の内径よりも拡大された筒状部63と、ヘッド本体62の軸方向(消火ガスの流通方向)に沿って並んで配置され、筒状部63内を区画する複数のオリフィスプレート65,66とを備えている。
【0037】
筒状部63は、その軸方向がノズル31及び噴出配管22cの軸方向に一致するように延在し、対象室12内に向けて開口している。オリフィスプレート65,66は、その面方向が筒状部63の軸方向に直交するように配置された円板形状の部材であり、筒状部63内の上流側に配置された第1オリフィスプレート65と、下流側に配置された第2オリフィスプレート66とを備えている。そして、各オリフィスプレート65,66は、筒状部63の内側を軸方向に沿って区画するように配置されており、各オリフィスプレート65,66で区画された空間が、上流側から第1チャンバー71及び第2チャンバー72を構成している。
【0038】
各オリフィスプレート65,66には、厚さ方向に沿って貫通するオリフィス孔75,76が多数形成されている。この場合、第2オリフィスプレート66に形成された第2オリフィス孔76の内径は、第1オリフィスプレート65に形成された第1オリフィス孔75の内径よりも大きく形成されている。すなわち、オリフィス孔75,76は、上流側から下流側に向かうにつれ大きくなるように形成されている。
また、第1オリフィス孔75と第2オリフィス孔76との中心軸は、消火ガスの流通方向に直交する方向にオフセットされている。すなわち、各オリフィス孔75,76同士は、消火ガスの流通方向から見て重ならない位置に配置されている。
【0039】
この場合、第1チャンバー71内に流入した消火ガスは、第1チャンバー71内で一旦膨張した後に、第1オリフィス孔75を通過して第2チャンバー72内に流入する際にさらに膨張し、その後第2オリフィス孔76を通過することで、対象室12内に噴出されることになる。
【0040】
このように、本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、消火ガスの噴出までの膨張を段階的に行うことができるので、オリフィス孔75,76から消火ガスが開放される際に発生する膨張音をより確実に低減することができる。
また、オリフィス孔75,76の内径が下流側になるにつれ大きく形成することで、消火ガスが各チャンバー71,72内の圧力を除々に増加させることができるので、チャンバー71,72から対象室12内に噴出されるまでの圧力変動をより滑らかに行うことができる。
さらに、各オリフィス孔75,76が重ならないように配置されているため、各チャンバー71,72間の流路長を長くすることができ、膨張音に対する低減効果を大きくすることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本実施形態では、オリフィス孔の内径を厚さ方向に沿って一様に形成した場合について説明したが、これに限らず上流側から下流側にかけて漸次内径が変化するようなテーパ形状に形成しても構わない。さらに、オリフィス孔の形状は矩形状に限られず、円形状等、適宜設計変更が可能である。
また、上述した第2実施形態では、チャンバー71,72を2つ設ける場合について説明したが、これに限らず、3つ以上設ける構成にしても構わない。
さらに、第1実施形態のチャンバー44を覆うように第2チャンバーを設けても構わない。
【0042】
さらに、上述した実施形態では、ガス消火システム10の制御弁23の開閉操作を制御部により制御する構成について説明したが、これに限らず作業者によって手動で制御弁23の開閉操作を行っても構わない。
【0043】
また、ガス配管22内に高速の流れが生じるとガス配管22自体に共振が発生し、この振動に基づき騒音が発生する場合がある。そこで、例えば、図6に示すように、ガス配管22(噴出配管22c)の外周面に、防振材からなるスリーブ80を固定してもよい。なお、図示例のスリーブ80は、対象室12の内外に亘って設けられているが、例えば対象室12内に突出している領域のみに設けられていても構わない。
【0044】
なお、スリーブ80は、例えば金属材料等の任意の材料によって構成されてよいが、例えばウレタン等の樹脂材料のように吸音性能を有する材料によって構成されることがさらに好ましい。この場合には、ガス配管22やその近傍で生じる騒音を吸収することができる。
【0045】
そして、本発明のガス消火システム10は、床板16や天板15によって複数の領域17〜19に区画された対象室12の消火に限らず、例えば床板16や天板15の無い一つの領域のみの対象室12の消火にも適用することができる。また、本発明のガス消火システム10は、精密機器11が配された対象室12内の消火に限らず、クリーンルーム等の他の対象室12の消火にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10…ガス消火システム
12…対象室
21…供給源(ガス供給源)
22…ガス配管
31…ノズル(流出口)
41,61…噴出ヘッド
44…チャンバー
45…オリフィス孔
71…第1チャンバー(チャンバー)
72…第2チャンバー(チャンバー)
75…第1オリフィス孔(オリフィス孔)
76…第2オリフィス孔(オリフィス孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象室内に消火ガスを供給するためのガス配管の流出口に連結されて、前記ガス配管を流通する消火ガスを噴出させる噴出ヘッドであって、
前記流出口に連通するチャンバーを備え、
前記チャンバーの壁面には、前記対象室内に向けて開口する複数のオリフィス孔が形成されていることを特徴とする噴出ヘッド。
【請求項2】
前記チャンバーは、消火ガスの流通方向に沿って複数配列され、
前記各チャンバー間は前記オリフィス孔により連通していることを特徴とする請求項1記載の噴出ヘッド。
【請求項3】
前記各チャンバー間の前記オリフィス孔同士が消火ガスの流通方向から見てオフセットされていることを特徴とする請求項2記載の噴出ヘッド。
【請求項4】
消火ガスを貯留するガス供給源と、
消火ガスを前記ガス供給源から対象室内に供給するためのガス配管と、
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の噴出ヘッドとを備え、
前記噴出ヘッドが前記ガス配管の流出口に取り付けられていることを特徴とするガス消火システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−115338(P2011−115338A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274807(P2009−274807)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】