説明

噴霧凝固工程の適用下での中間粉末製剤および最終固体剤形の製造方法

本発明は、周囲温度において液体形態である、特に粘性液体稠度を有する(例えば、油など)か、あるいは周囲温度においてワックス状の稠度を有する少なくとも1つの第1の成分、特に、周囲温度において固体または半固体であって15℃〜40℃の温度範囲で溶融が始まる成分を提供する工程と、周囲温度よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に周囲温度よりも高い温度から120℃までの範囲、より具体的には40℃よりも高い温度から120℃までの範囲、さらにより具体的には50℃〜120℃の範囲、またさらに具体的には55℃〜120℃の範囲の融点または溶融範囲を有する少なくとも1つの第2の成分を提供する工程と、前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に、前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から120℃までの範囲の温度に混合物を攪拌および加熱するか、あるいは混合物をその温度で保持することによって、前記少なくとも1つの第1の成分および前記少なくとも1つの第2の成分を含む均一な液体混合物を形成する工程と、混合物をその移動中にその液体形態で保持するように適合された少なくとも1つの移動装置によって、液体混合物を少なくとも1つの噴霧凝固装置に移動させる工程と、前記混合物を噴霧凝固させる工程と、噴霧凝固において得られた粉末を単離する工程とを含む粉末の製造方法に言及する。さらに、本発明は、上記方法から得られた粉末を含む固体剤形の製造方法に言及する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの医薬有効成分を含む医薬組成物、特に固体剤形(例えば、錠剤など)の製造において使用するのに適した粉末生成物が得られるように、液体、特に比較的少量の液体、より具体的には比較的少量の油性物質を固体材料内に均一に分配する方法に関する。本発明は、さらに、薬学的使用のための固体剤形(錠剤など)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
普通、固体経口剤形では、全ての賦形剤はその中に均一に分配されなければならない。通常、固体賦形剤はその相対量にかかわらず大きな問題に直面することなく均一に混合され得るが、液体、より具体的には比較的少量の油を固体混合物中に均一に分配することはかなり重大である。いくつかの固体製剤では、まさに1%未満、さらには0.5重量%未満の油、例えばビタミンEをその中に均一に取り込むことが望ましいであろう。しかしながら、製剤全体を溶融して均一な混合を達成することはいつも実現可能なわけではない。
【0003】
特許文献1によると、実質的に分離した非アモルファス凝集体の形態であるケイ素含有吸着剤に対して約40〜約60重量%の含量をもたらすのに十分な量の液体形態のビタミンEまたは酢酸ビタミンEを添加することによって、易流動性のビタミンEまたは酢酸ビタミンE含有粉末が得られる。前記凝集体の少なくとも50%は最小の長さ、幅を有さなければならず、または両方とも300ミクロンでなければならない。この方法は噴霧乾燥技法を必要としない。混合方法はそれ自体、液体ビタミンが吸着剤粉末の表面に吸着される間にいくらかの熱を発生し、それにより吸収工程が改善されることが観察された。
【0004】
特許文献2において、乾燥、微粉化した固体の脂溶性ビタミン活性生成物の製造における噴霧乾燥工程に関連する問題は、まず、冷水分散性の非ゲル化コロイド材料および水からコロイド溶液を製造し、非水溶性の脂溶性ビタミン活性組成物をその中に分散させて第1の分散液を形成し、次に、前記第1の分散液を水と非混和性の分散媒体中に分散させ、それにより第2の分散液が形成されることによって克服されるであろう。以下において、前記コロイド材料が凝固するまで、水抽出剤の使用によって−10〜0℃の範囲の温度で水が抽出され、それにより、前記非水溶性の脂溶性ビタミン活性組成物がその中に分散された微粉化固体粒子が形成される。次に、−10〜0℃の範囲の温度において、固体粒子が前記分散媒体から分離される。最後に、実質的に全ての残留水分が前記固体粒子から除去される。特許文献2によると、脂溶性ビタミン活性成分としてビタミンEを用いると、生成物の91.5重量%が−30メッシュ〜+120メッシュの範囲である(USスクリーンサイズ)ような粒径分布を有する微粉化生成物が得られる。
【0005】
特許文献3には、キャリアおよびトコフェロールの全重量を基準として、その遊離トコフェロール形態で20〜60重量%のトコフェロールおよび40〜80重量%のキャリアを含有する、乾燥効力安定化易流動性微粒子トコフェロール組成物は、安定剤およびトコフェロールの全重量を基準として2〜50重量%の量の効力安定剤をさらに含有しなければならないエマルジョンまたはスラリーをそこから形成することによって得ることができると開示されている。このエマルジョンまたはスラリーは、噴霧乾燥を受ける。適切な効力安定剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸およびシステインの混合物、ならびにクエン酸およびシステインの混合物であると報告されている。噴霧乾燥生成物の好ましい粒径は、200〜500μmの範囲内である。
【0006】
特許文献4によると、直接圧縮ビタミン錠剤の製造のために適した噴霧乾燥ビタミン粉末は、脂溶性ビタミン、30〜300の間のブルーム数を有するゼラチン、水溶性炭水化物、および噴霧乾燥を可能にするのに有効な量の水を含む混合物を従来の噴霧乾燥器内で噴霧乾燥することによって得られる。最終粉末は、20〜60重量%の脂溶性ビタミン、6〜46重量%のゼラチン、および押出を防止するために有効な量の前記炭水化物を含有するであろう。
【0007】
特許文献5では、高含量のビタミンEを有するビタミンE乾燥粉末の製造方法が開示されており、これは、ラクトースの製造からの非常に特有の残留液中にカゼイン酸ナトリウムまたはカリウムを溶解することを必要とする。得られる溶液は、分散液を形成するために圧力ホモジナイザー内で油性酢酸ビタミンEと混合されなければならず、分散液は噴霧乾燥を受けて、ラクトース、カゼイン酸ナトリウムまたはカリウムおよび酢酸ビタミンEを含有する粉末を形成する。最終粉末生成物は、10〜60重量%の酢酸ビタミンEを含有しなければならない。
【0008】
特許文献6において、活性成分の制御放出を示す固体剤形は、共鳴金属要素またはノズルの機械的振動を用いる噴霧装置が使用される場合に、噴霧乾燥または噴霧凝固によって得ることができる。好ましい実施形態によると、共鳴金属要素は、適切に成形されたソノトロードを含む。特許文献6に従う方法を用いると、制御放出を有する固体剤形を得るために必要な装置の全体寸法を最小限にすることができる。
【0009】
特許文献7の文書は、少なくとも2つの不適合性の活性成分を、これらの成分が互いに接触しないような形で固体剤形中に取り込むための方法を開示する。これは、まず第1の活性成分を、より高い融点を有する脂質または類脂質成分中に分配し、次に第2の活性成分を、第1の活性成分を含有する前記粒状のより高い融点の脂質、およびより低い融点を有する別の脂質または類脂質成分と混合することによって達成される。より高い融点の脂質とより低い融点の脂質の重量比は、1:5〜5:1の範囲でなければならない。第1の活性成分は、噴霧凝固によってより高い融点の脂質または類脂質成分中に取り込むことができると記載されている。
【0010】
特許文献8によると、ステアリン酸ワックス、グリセリル脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリン酸ワックスは、活性医薬品と混合された後、噴霧凝固を受けることができる。同様に、特許文献9には、C14〜18脂肪、C16〜20脂肪酸、およびC14〜18ワックス、およびジオクチルスルホスクシナートからなる群から選択される材料を含む混合物を噴霧凝固させることが開示されている。
【0011】
上記の確立された手順では、通常、大量のビタミンEまたはその誘導体しか使用することができない。従って、その位置にも、かなり少量のビタミンEなどの油性化合物を、錠剤の製造のために使用される固体賦形剤中に均一に取り込むことができることが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,603,143号明細書
【特許文献2】英国特許第1,147,210号明細書
【特許文献3】欧州特許第229652B1号明細書
【特許文献4】米国特許第4,892,889号明細書
【特許文献5】米国特許第4,262,017号明細書
【特許文献6】国際公開第96/03979A1号パンフレット
【特許文献7】国際公開第98/35655A2号パンフレット
【特許文献8】国際公開第99/12864A2号パンフレット
【特許文献9】国際公開第95/17174A1号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2005/053656A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、周囲温度において液体形態であるかまたはワックス状の稠度を有する成分、特に少量のこのような成分、例えば、ワックス状または特に油性の物質を、固体成分、特に比較的大量の固体成分中に均一に取り込むための方法を提供することであった。液体を固体成分中に均一に取り込むための方法は、好ましくは、工業規模において大量の処理を可能にする連続法でもある。このようにして得られる良好で許容可能なブレンド均一性(均一な分配、好ましくは、得られる粉末中の周囲温度において液体形態であるかまたはワックス状の稠度を有する成分の6%までの相対標準偏差(以下の実施例5を参照))を有する粉末は、次に、固体剤形、特に錠剤、カプセル、ビーズ、ペレットなどの薬学的使用のための固体剤形を製造するために使用することができる。さらに、本発明の目的は、周囲温度において液体形態であるかまたはワックス状の稠度を有する成分、特に、比較的少量のこのような成分、例えば油性物質(固体剤形内に均一に分配されている)を含む固体剤形(例えば、錠剤など)の製造方法を提供することであった。このようにして得られた固体剤形、特に錠剤は、良好で許容可能な前記成分の含量均一性を有する。本発明のもう1つの目的は、最終固体剤形に到達するために種々の経路を開いておき、それにより、より大きい柔軟性を与えながら固体剤形を製造するための汎用的な基礎を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの態様によると、本発明の根底にある問題は、
i)周囲温度において液体形態である、特に粘性液体稠度を有する(例えば、油など)か、または周囲温度においてワックス状の稠度を有する少なくとも1つの第1の成分、特に、周囲温度において固体または半固体であって15℃〜40℃の温度範囲で溶融が始まる成分を提供する工程と、
ii)周囲温度よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に周囲温度よりも高い温度から120℃までの範囲、より具体的には40℃よりも高い温度から120℃までの範囲、さらにより具体的には50℃〜120℃の範囲、またさらに具体的には55℃〜120℃の範囲の融点または溶融範囲を有する少なくとも1つの第2の成分を提供する工程と、
iii)前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に、前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から120℃までの範囲の温度に混合物を攪拌および加熱するか、あるいは混合物をその温度で保持することによって、前記少なくとも1つの第1の成分および前記少なくとも1つの第2の成分を含む均一な液体混合物を形成する工程と、
iv)混合物をその移動中にその液体形態で保持するように適合された少なくとも1つの移動装置によって、前記液体混合物を少なくとも1つの噴霧凝固装置に移動させる工程と、
v)前記混合物を噴霧凝固させる工程と、
vi)噴霧凝固において得られた粉末を単離する工程と
を含む、粉末の製造方法によって解決された。
【0015】
本発明の意味における周囲温度においてワックス状の稠度を有する成分は、周囲温度において固体または半固体であって15℃〜40℃の温度範囲で溶融が始まる成分であると定義することができる。
【0016】
本発明の意味において、周囲温度において液体形態であるまたは周囲温度においてワックス状の稠度を有する少なくとも1つの第1の成分は、オリゴマーおよびポリマーを含む有機分子を表し、すなわち無機化合物ではない。これらの化合物は熱にさらされると、例えば、単結合または二重結合の破断によって、あるいは酸化および/または重合反応によって分解し、すなわちその元の構造を解く。特定の化合物に対して、分解を開始させるために特定の量のエネルギー/熱が必要とされる。これは当業者に知られており、例えば、特許文献10において十分に考慮されている。さらに、本発明の意味において、少なくとも1つの第1の成分は、周囲温度において液体形態で提供されるか、または周囲温度においてワックス状の稠度を有する。すなわち、前記第1の成分は、例えば、結晶からかけ離れた内部構造を有する油の形態である場合に使用される。
【0017】
一実施形態によると、均一な液体混合物は、少なくとも50重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、50重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む。特に、均一な液体混合物は、少なくとも75重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、25重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む。より具体的には、均一な液体混合物は、少なくとも90重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、10重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む。さらにより具体的には、均一な液体混合物は、少なくとも92重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、8重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む。またさらに具体的には、均一な液体混合物は、少なくとも94重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、6重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む。より具体的には、均一な液体混合物は、少なくとも96重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、4重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む。別の実施形態によると、均一な液体混合物は、約92重量%〜約99.9重量%、特に約94重量%〜約99.5重量%、より具体的には、約94重量%〜約98重量%または約95重量%〜約99重量%または約96重量%〜約99重量%または約95重量%〜約98重量%または約96重量%〜約98重量%の少なくとも1つの第2の成分と、約0.1重量%〜約8重量%、特に約0.5重量%〜約6重量%、より具体的には、約2重量%〜約6重量%または約1重量%〜約5重量%または約1重量%〜約4重量%または約2重量%〜約5重量%または約2重量%〜約4重量%の少なくとも1つの第1の成分とを含む。
【0018】
別の実施形態によると、粉末生成物の製造方法は、特に固体剤形の製造において使用されるまで、単離した粉末を前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも低い温度で保持することをさらに含む。
【0019】
前記第1の成分は、好ましくは、周囲温度において液体形態であり、特に、周囲温度において油性稠度を有する。本発明の意味における周囲温度は、通常、18℃〜約25℃の範囲、特に20℃〜25℃の範囲の温度を含む。本発明の意味において液体である第1の成分は、周囲温度において粘性であり、例えば、必要であれば圧力によって、供給ラインの移動が可能にされる化合物または化合物の混合物も含む。
【0020】
適切な油性またはワックス状の第1の成分としては、例えば、植物、動物、ミネラルおよび合成の油またはワックス、例えばシリコン油またはワックス、室温のポロキサマー液体、分子量が3000未満のポリエチレングリコール、ならびにこれらの混合物が挙げられる。ミネラル油またはワックスには、例えば、パラフィン油またはワックス、特にイソパラフィン油またはワックスが含まれる。適切なシリコン油は、ジメチコン、置換および線状ジメチコン、シメチコン、シクロメチコンおよびこれらの混合物を含む。適切な植物油は、アマニ油(lineseed oil)、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、菜種油、大豆油、ピーナッツ油、ココナッツ油、ヒマワリ油もしくはカブ種油(turnip seed oil)またはこれらの混合物を含む。本発明の意味における油は、脂肪酸エステルのアルキルエステル(ここで、アルキル基は1〜30個の炭素原子を有し、脂肪酸は12〜28個の炭素原子を有する)、長鎖脂肪アルコールまたは脂肪酸(例えば、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、オレイン酸)をさらに含む。特定のサブグループは、C16〜18脂肪酸のC1〜4アルキルエステル、例えば、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ミリスチン酸またはステアリン酸のメチル、エチルまたはイソプロピルエステルである。脂肪酸グリセリドおよび脂肪酸部分グリセリドも含まれる。本発明の意味における適切なワックスは、ワックス状の稠度を有し、15℃〜40℃の温度範囲で溶融が始まる油溶性材料(例えば、レシチン(lecithine)など)を指す。好ましい実施形態では、第1の成分は、少なくとも1つのビタミン油、レシチン、シメチコンまたはこれらの混合物を含むか、あるいはこれらを表す。さらに好ましい実施形態では、第1の成分は、ビタミン油、レシチンまたはシメチコンから選択される成分を含むか、あるいはこれらを表す。最も好ましい実施形態では、第1の成分は、ビタミン油、例えばトコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体などを含むか、あるいはこれらを表す。トコフェロールは、その立体異性体を含むα−、β−、γ−、δ−、およびε−トコフェロール(クロマノール環のメチル基の数によって決定される)を含む。上記のトコフェロール化合物の種々の混合物も使用することができる。上記の成分の中で、α−トコフェロールが最も好ましい。適切なトコフェロール誘導体としては、dl−酢酸トコフェリルなどのトコフェロールエステルが挙げられる。トコフェロールおよびトコフェロール誘導体は、噴霧凝固によって得られる粉末と共に、活性成分および/または抗酸化剤として使用することができる。
【0021】
好ましくは、前記第1の成分は、液体の抗酸化剤(例えば、α−トコフェロール)である。
【0022】
前記第2の成分は、好ましくは、37℃以上であるが、噴霧凝固工程の間のエネルギー入力を低減するためにあまり高くない融点または溶融範囲を有する成分である。好ましくは、第2の成分は、その融点よりも高温ですぐに熱分解しない。例示的に、第2の成分の融点または溶融範囲は、周囲温度よりも高い温度から120℃までの範囲、特に40℃よりも高い温度から120℃までの範囲、より具体的には50℃〜120℃の範囲、さらにより具体的には55℃〜120℃の範囲である。好ましくは、第2の成分の融点または溶融範囲は90℃を超えてはならず、好ましくは、第2の成分の融点または溶融範囲は、40℃よりも高い温度から90℃まで、より好ましくは45℃〜90℃、さらにより好ましくは48℃〜77℃の範囲である。好ましくは、第2の成分は、急速に冷える成分である。第2の成分として使用される適切な成分は、例えば、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびこれらの混合物などの親水性ポリマーと、例えば、イエローまたはホワイトワックスUSP、トリステアリン酸グリセリル、カルナバワックス、水素化植物油(例えば、水素化ヒマシ油)、セチルアルコール、ラノリンアルコール、モノステアリン酸グリセリル(場合により、メタクリル酸アミノアルキルコポリマーEと組み合わせて)、ビーズワックス、微結晶性ワックス(またはマイクロワックス)、gelucire 50/13、ポリオキシルグリセリド(例えば、ステアロイルマクロゴールグリセリド)、ベヘン酸グリセリル(例えば、Compritol 888ATO(登録商標))、パルミトステアリン酸グリセリル(例えば、Precirol ATO5(登録商標))、ビタミンE TPGS(トコフェロールグリセリルスクシナート)、および/またはこれらの混合物などのワックスまたはワックス状材料とを含む。第2の成分として使用される好ましい成分は、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、ワックスまたはワックス状材料、例えば、イエローまたはホワイトワックスUSP、トリステアリン酸グリセリル、カルナバワックス、水素化植物油(例えば、水素化ヒマシ油)、セチルアルコール、ラノリンアルコール、モノステアリン酸グリセリル(場合により、メタクリル酸アミノアルキルコポリマーEと組み合わせて)、ビーズワックス、微結晶性ワックス(またはマイクロワックス)、gelucire 50/13、ポリオキシルグリセリド(例えば、ステアロイルマクロゴールグリセリド)、ベヘン酸グリセリル(例えば、Compritol 888ATO(登録商標))、パルミトステアリン酸グリセリル(例えば、Precirol ATO5(登録商標))、ビタミンE TPGS(トコフェロールグリセリルスクシナート)、および/またはこれらの混合物などを含む。
【0023】
少なくとも1つの第2の成分は、好ましくは、少なくとも1つのポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3000〜20000、好ましくはポリエチレングリコール6000(PEG6000)を含む。より好ましくは、少なくとも1つの第2の成分は、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール3000〜20000、好ましくはポリエチレングリコール6000(PEG6000)からなる。
【0024】
好ましくは、前記第2の成分は酸化に対して敏感な成分であり、例えば、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、より具体的にはPEG6000である。
【0025】
前記均一な液体混合物は、本発明の粉末の製造方法の一実施形態によると、加熱により液体形態で存在する前記少なくとも1つの第2の成分に前記少なくとも1つの第1の成分を添加することによって得られる。
【0026】
前記均一な液体混合物は、好ましくは、第1の成分としてのトコフェロール、特にα−トコフェロールと、第2の成分としてのポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、より具体的にはPEG6000とを含むか、あるいは特にこれらからなる。
【0027】
噴霧凝固は、それ自体当該技術分野においてよく知られている。噴霧凝固法において、その溶融状態の物質または混合物はいわゆる噴霧ガスの使用によりチャンバ内に噴霧されて、小さい液滴を形成する。噴霧チャンバ内では、小さい液滴が凝固して粉状生成物を形成するように、温度は噴霧される溶融物質または混合物の融点よりも低い。本発明の方法を用いると、噴霧凝固の際に、周囲温度において固体状態である第2の成分内、特にそのバルク塊内に、液体の第1の成分、特に液体形態である成分、例えば油性物質を非常に少量でも均一に分配できることが分かった。噴霧凝固のために使用することができる装置は当業者に知られている。
【0028】
噴霧凝固工程では、通常、約60℃〜約120℃、特に約80℃〜約120℃、特に約95℃〜約110℃の範囲である噴霧ノズル温度を有する噴霧凝固装置と共に、加熱噴霧ガス、好ましくは不活性ガス、例えば窒素が使用される。好ましくは、噴霧凝固装置では、約20kg/時〜約50kg/時、特に約25kg/時〜約45kg/時の範囲である噴霧ガス速度が用いられる。粉末の製造方法のさらなる態様によると、噴霧された液滴を冷却するために噴霧凝固装置と共に使用される工程ガス、例えば窒素ガスは、約0℃〜約15℃、特に約2℃〜約12℃の範囲の温度を有する。噴霧凝固装置は、好ましくは、少なくとも1つの噴霧ノズル、好ましくは2つの流体ノズルを含み、前記噴霧ノズルは、好ましくは、約1mm〜約4mm、特に約1.5mm〜約3mm、より具体的には約1.5mm〜約2mmの範囲の直径を有する。使用される装置のタイプ、均一な混合物の所望の粘度、混合物の熱安定性、バッチのサイズなどを考慮に入れて、噴霧凝固法の最も適切なパラメータを認識することは当業者の技能の範囲内であると考えられる。
【0029】
方法の一実施形態では、前記移動装置は、少なくとも1つ、特に1つの供給ラインと、少なくとも1つ、特に1つのポンプとを含み、少なくとも前記供給ラインは、加熱可能であるように適合される。前記少なくとも1つの第2の成分は、好ましくは、移動装置内、特に供給ライン内で少なくとも部分的に溶融される。この実施形態では、少なくとも1つの第1の成分は、好ましくは、噴霧ノズルに入る前に、溶融した第2の成分に添加され、例えば、少なくとも1つの第1の成分は、供給容器または供給ライン内で、溶融した第2の成分に添加される。好ましくは、供給容器は加熱可能であるように適合される。好ましくは、供給容器および供給ラインは両方とも加熱される。
【0030】
従って、本発明により得られる粉末は、好ましくは、少なくとも75重量%のポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、より具体的にはPEG6000と、25重量%以下のトコフェロール、特にα−トコフェロールとを含み、より具体的にはこれらからなる。より具体的には、粉末は、少なくとも90重量%のポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、より具体的にはPEG6000と、10重量%以下のトコフェロール、特にα−トコフェロールとを含み、より具体的にはこれらからなる。さらにより具体的には、粉末は、少なくとも92重量%のポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、より具体的にはPEG6000と、8重量%以下のトコフェロール、特にα−トコフェロールとを含み、より具体的にはこれらからなる。別の実施形態によると、本発明により得られる粉末は、好ましくは、約92重量%〜約99.9重量%、特に約94重量%〜約99.5重量%、より具体的には約96重量%〜約99重量%、さらにより具体的には約96重量%〜約98重量%のポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、より具体的にはPEG6000と、約0.1重量%〜約8重量%、特に約0.5重量%〜約6重量%、より具体的には約1重量%〜約4重量%、さらにより具体的には約2重量%〜約4重量%のトコフェロール、特にα−トコフェロールとを含み、より具体的にはこれらからなる。さらに別の実施形態によると、本発明により得られる粉末は、好ましくは、約92重量%〜約99.9重量%、特に約94重量%〜約99.5重量%、より具体的には、約94重量%〜約98重量%または約95重量%〜約99重量%または約96重量%〜約99重量%または約95重量%〜約98重量%または約96重量%〜約98重量%の少なくとも1つの第2の成分と、約0.1重量%〜約8重量%、特に約0.5重量%〜約6重量%、より具体的には、約2重量%〜約6重量%または約1重量%〜約5重量%または約1重量%〜約4重量%または約2重量%〜約5重量%または約2重量%〜約4重量%の少なくとも1つの第1の成分とを含み、より具体的にはこれらからなる。
【0031】
別の実施形態では、本発明の方法により得られる粉末生成物は、好ましくは、約40μm〜約300μm、特に約40μm〜約200μmの範囲、より具体的には約50μm〜約180μmの範囲の粒径分布(PSD)d50を有する。本発明の方法により得られる生成物粒子の形状が本質的に球形ではない場合、このような不規則形状の粒子の粒径は、本質的に同じ体積を有する球を前記不規則形状の粒子と考えることによって決定される。粒径は、例えば、レーザー回折技法によって決定することができる。平均粒径d50は、通常、粉末の粒子の50質量%がより大きい直径を有し、他の50質量%がより小さい直径を有するサイズまたは直径であると定義される。
【0032】
本発明の方法によって得ることができるまたは本発明の方法を用いて得られる粉末は、少なくとも1つの医薬有効成分を含有する医薬固体剤形(例えば、カプセルまたは錠剤など)の製造のために特に適している。従って、本発明は、少なくとも1つの医薬有効成分を含有する固体剤形を製造するための、本発明の方法によって得ることができるまたは本発明の方法を用いて得られる粉末の使用にも関する。
【0033】
本発明の方法に従って得られる粉末を用いて、固体剤形の全重量を基準として1重量%未満、特に0.4重量%未満、例えば約0.05〜約0.3重量%の範囲または約0.1〜約0.15重量%の範囲の前記第1の成分を含有する、薬学的使用のための固体剤形を製造することができる。好ましくは、第1の成分は、前記固体剤形中に均一に/一様に分配される。
【0034】
別の態様によると、本発明の根底にある問題は、
a)少なくとも1つの医薬有効成分(成分a)を提供する工程と、
b)本発明に従う上記の噴霧凝固法に従って粉末(成分b)を提供する工程と、
c)少なくとも1つの第3の成分(成分c)を提供する工程と、
d)成分aおよびbおよびcを含む混合物を形成する工程と、
e)前記混合物を固体剤形に変形させる工程と
を含む、固体剤形(特に、錠剤)の製造方法によって解決された。
【0035】
医薬有効成分が、周囲温度において液体形態であるかまたは周囲温度においてワックス状の稠度を有する成分である場合には、本発明の噴霧凝固法に従って、医薬有効成分を粉末中に取り込むことができることは明白であり、従って、本発明は、
a)本発明に従う上記の噴霧凝固法に従って粉末(成分a)を提供する工程であって、第1の成分、特に第1の液体成分が医薬有効成分であり、少なくとも1つの第2の成分が上記で定義した通りである工程と、
b)少なくとも1つの第3の成分(成分b)を提供する工程と、
c)成分a)およびb)を含む混合物を形成する工程と、
d)前記混合物を固体剤形に変形させる工程と
を含む、固体剤形の製造方法も含む。
【0036】
例えば、c)における混合物は、例えば流動床でブレンドすることによって、あるいは高せん断または低せん断造粒機における湿式、乾式または溶融造粒によって、あるいはスラッギング(ローラー圧縮機)によって形成することができる。
【0037】
適切な医薬有効成分は、局所的な生理学的効果を発揮する成分、および経口投与の後に全身的な効果を発揮する成分である。適切な活性成分の例には、
鎮痛および抗炎症薬(NSAID、フェンタニル、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、パラセタモール、ピロキシカム、トラマドール、タペンタドール(tapentadol)、COX−2阻害薬(セレコキシブおよびロフェコキシブなど))と、
抗不整脈薬(プロカインアミド、キニジン、ベラパミル)と、
抗菌薬および抗原虫薬(アモキシシリン、アンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、セファクロル、セファドロキシル、セフプロジル、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロロキン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、ドキシサイクリン(doxyxycline)、エリスロマイシン、フルクロキサシリンナトリウム、ハロファントリン、イソニアジド、カナマイシン硫酸塩、リンコマイシン、メフロキン、ミノサイクリン、ナフシリンナトリウム、ナリジクス酸、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキサシリン、フェノキシメチル−ペニシリンカリウム、ピリメタミン−スルファドキシン(sulfadoxime)、ストレプトマイシン)と、
抗凝固薬(ワルファリン)と、
抗うつ薬(アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、フルオキセチン、レボキセチン、アミネプチン、セレギリン、ゲピロン、イミプラミン、炭酸リチウム、ミアンセリン、ミルナシプラン、ノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリン、3−[2−[3,4−ジヒドロベンゾフロ[3,2−c]ピリジン−2(1H)−イル]エチル]−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン)と、
抗糖尿病薬(グリベンクラミド、メトホルミン)と、
抗てんかん薬(カルバマゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビトン、フェニトイン、プリミドン、チアガビン、トピラマート、バルプロミド、ビガバトリン)と、
抗真菌薬(アンホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール硝酸塩、ニスタチン、テルビナフィン、ボリコナゾール)と、
抗ヒスタミン薬(アステミゾール、シンナリジン、シプロヘプタジン、デカルボエトキシロラタジン(decarboethoxyloratadine)、フェキソフェナジン、フルナリジン、レボカバスチン、ロラタジン、ノルアステミゾール(norastemizole)、オキサトミド、プロメタジン、テルフェナジン)と、
降圧薬(カプトプリル、エナラプリル、ケタンセリン、リシノプリル、ミノキシジル、プラゾシン、ラミプリル、レセルピン、テラゾシン)と、
抗ムスカリン薬(アトロピン硫酸塩、ヒヨスチン)と、
抗悪性腫瘍薬および代謝拮抗薬(白金化合物(シスプラチン、カルボプラチンなど)、タキサン、(パクリタキセル、ドセタキセルなど)、テカン(tecan)(カンプトテシン、イリノテカン、トポテカンなど)、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンデシン(vindecine)、ビンクリスチン、ビノレルビンなど)、ヌクレオシド誘導体および葉酸拮抗薬(5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン、メトトレキセートなど)、アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、例えばシクロホスファミド、クロランブシル、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、またはニトロソ尿素、例えばカルムスチン、ロムスチン、または他のアルキル化剤、例えばブスルファン、ダカルバジン、プロカルバジン、チオテパなど)、抗生物質(ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシンなど)、HER2抗体(トラスツズマブなど)、ポドフィロトキシン誘導体(エトポシド、テニポシドなど)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、アントラキノン(anthrachinon)誘導体(ミトキサントロンなど)、hdm2拮抗薬、HDAC阻害薬、cMet阻害薬)と、
抗片頭痛薬(アルニジタン(alniditan)、ナラトリプタン、スマトリプタン)と、
抗パーキンソン病薬(ブロモクリプチンメシル酸塩(bromocryptine mesylate)、レボドパ、セレギリン)と、
抗精神病薬、催眠薬および鎮静薬(アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロザピン、ジアゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、9−ヒドロキシリスペリドン、ロラゼパム、マザペルチン(mazapertine)、オランザピン、オキサゼパム、ピモジド、ピパンペロン、ピラセタム、プロマジン、リスペリドン、セルホテル(selfotel)、セロクエル、セルチンドール、スルピリド、テマゼパム、チオチキセン、トリアゾラム、トリフルペリドール、ジプラシドン、ゾルピデム)と、
抗卒中薬(ルベルゾール(lubeluzole)、ルベルゾールオキシド、リルゾール、アプチガネル、エリプロジル(eliprodil)、レマセミド(remacemide))と、
鎮咳薬(デキストロメトルファン、レボドロプロピジン(laevodropropizine)と、
抗ウイルス薬(アシクロビル、ガンシクロビル(ganciclovir)、ロビリド、チビラピン、ジドブジン、ラミブジン、ジドブジン+ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、アバカビル、ロピナビル、アンプレナビル、ネビラピン、エファビレンツ、デラビルジン、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アデホビル、ヒドロキシ尿素、エトラビリン、ダルナビル、リルピビリン(rilpivirine))と、
β−アドレナリン受容体遮断薬(アテノロール、カルベジロール、メトプロロール、ネビボロール、プロパノロール(propanolol))と、
強心剤(cardiac inotropic agent)(アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、ミルリノン)と、
副腎皮質ステロイド薬(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン)と、
消毒薬(クロルヘキシジン)と、
利尿薬(アセタゾラミド、フルセミド、ヒドロクロロチアジド、イソソルビド)と、
酵素と、
精油(アネトール、アニス油、キャラウェー、カルダモン、カッシア油、シネオール、桂皮油、クローブ油、コリアンダー油、脱メントール化ミント油、ディル油、ユーカリ油、オイゲノール、ショウガ、レモン油、カラシ油、橙花油、ナツメグ油、オレンジ油、ペパーミント、セージ、スペアミント、テルピネオール、タイム)と、
胃腸薬(シメチジン、シサプリド、クレボプリド、ジフェノキシラート、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール、ロペラミド、酸化ロペラミド、メサラジン、メトクロプラミド、モサプリド、ニザチジン、ノルシサプリド(norcisapride)、オルサラジン、オメプラゾール、パントプラゾール、ペルプラゾール(perprazole)、プルカロプリド(prucalopride)、ラベプラゾール、ラニチジン、リドグレル、スルファサラジン)と、
止血薬(アミノカプロン酸)と、
脂質調節剤(アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチン)と、
局所麻酔薬(ベンゾカイン、リグノカイン)と、
オピオイド鎮痛薬(ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモラミド、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、モルヒネ)と、
副交感神経刺激薬および抗認知症薬(ATT−082、エプタスチグミン(eptastigmine)、ガランタミン、メトリホナート、ミラメリン(milameline)、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、サブコメリン(sabcomeline)、タルサクリジン(talsaclidine)、キサノメリン、メマンチン、ラザベミド)と、
ペプチドおよびタンパク質(抗体、ベカプレルミン、シクロスポリン、エリスロポエチン、免疫グロブリン、インスリン(insuline))と、
性ホルモン(エストロゲン、結合型エストロゲン、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロン、プロゲストーゲン、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、17−脱アセチルノルゲスチメート、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジドロゲステロン、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、3−ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシ−プロゲステロン、メゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール)と、
刺激薬(シルデナフィル)と、
血管拡張薬(アムロジピン、ブフロメジル、亜硝酸アミル、ジルチアゼム、ジピリダモール、三硝酸グリセリン、二硝酸イソソルビド、リドフラジン、モルシドミン、ニカルジピン、ニフェジピン、オクスペンチフィリン(oxpentifylline)、四硝酸ペンタエリトリトール)と、
これらのN−オキシド、これらの薬学的に許容可能な酸または塩基付加塩、これらの溶媒和物、およびこれらの立体化学的異性体が包含される。
【0038】
薬学的に許容可能な酸付加塩は、活性成分の塩基形態を適切な有機および無機酸で処理することによって都合よく得ることができる酸付加塩形態を含む。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸など、または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などの酸である。反対に、塩形態は、アルカリによる処理によって遊離塩基形態に転化させることもできる。
【0039】
酸性プロトンを含有する活性成分は、適切な有機および無機塩基による処理によって、これらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に転化させることができる。適切な塩基付加塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基、例えば、第1級、第2級および第3級脂肪族および芳香族アミンとの塩(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン(hydrabamine)塩など)、ならびにアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどとの塩を含む。
【0040】
溶媒和物という用語は、活性成分が形成することのできる水和物および溶媒付加形態、ならびにこれらの塩を含む。これらの形態の例は、例えば、水和物、アルコラートなどである。
【0041】
活性成分のN−オキシド形態は、1つまたはいくつかの第3級窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化された活性成分を含む。
【0042】
「立体化学的異性体」という用語は、活性成分が有し得る、可能な立体異性体全てを定義する。より具体的には、立体中心は、R−もしくはS−配置またはシスもしくはトランス配置を有することができ、1つまたは複数の二重結合を含有する活性成分は、E−またはZ−配置を有することができる。
【0043】
好ましくは、医薬有効成分は、鎮痛化合物、特にオピオイドまたはオピオイド誘導体、例えば、タペンタドールまたはその薬学的に許容可能な酸付加塩(例えば、タペンタドールHClなど)などである、
【0044】
固体剤形の製造方法において定義されるように本発明に従う本発明の噴霧凝固法に従って粉末を得るための適切な第1および第2の成分は、噴霧凝固粉末について上記で定義された通りである。
【0045】
前記少なくとも1つの第3の成分は、好ましくは、特にポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される親水性ポリマーを含むことができる。好ましい実施形態では、前記親水性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、特に、ポリ(エチレンオキシド)および/またはセルロース誘導体、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。別の好ましい実施形態では、前記親水性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、およびセルロース誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、特にこれらのポリマーから本質的になる。
【0046】
好ましくは、前記少なくとも1つの第3の成分は、酸化に対して敏感な成分、例えばポリ(アルキレンオキシド)である。
【0047】
また、前記少なくとも1つの第3の成分は、好ましくは、医薬有効成分を漸進的、緩徐的または連続的に放出する制御放出マトリックスを構成する1つまたは複数の親水性ポリマーを含むこともできる。前記ポリマーは、投与の後に水性の流体と接触すると膨潤し、通常、粘性の薬物放出調節ゲル層をもたらす。ポリマーの粘度は、好ましくは、150〜100,000mPa.sの範囲である(20℃における2%水溶液の見かけ粘度)。このようなポリマーの例は、
−メチルセルロースなどのアルキルセルロース、
−ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロース、
−ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、
−カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース、
−カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、
−カルボキシメチルエチルセルロースなどのカルボキシアルキルアルキルセルロース、
−カルボキシアルキルセルロースエステル、
−アルギン酸、そのアルカリ金属およびアンモニウム塩、カラゲナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアガム(gummi arabicum)、グァーガム、キサンタンガム、デンプン、ペクチン(ナトリウムカルボキシメチルアミロペクチンなど)、キチン誘導体(キトサンなど)、ポリフルクタン、イヌリンなどのその他の天然、半合成、または合成多糖類、
−ポリアクリル酸およびその塩、
−ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリラートコポリマー、
−ポリビニルアルコール、
−ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、
−ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンの組み合わせ、
−ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド、ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーなどのポリアルキレンオキシドである。
【0048】
好ましい親水性ポリマーは多糖類であり、より具体的にはセルロース誘導体であり、最も具体的にはセルロースエーテル誘導体である。
【0049】
最も好ましいセルロースエーテル誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースであり、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0050】
種々の粘度グレードのヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが市販されている。
【0051】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好ましくは、約3,500mPa.s〜約100,000mPa.sの範囲、特に約4,000mPa.s〜約20,000mPa.sの範囲の粘度グレード、最も具体的には、約6,500mPa.s〜約15,000mPa.sの粘度グレードを有する(20℃における2%水溶液の見かけ粘度)。例示的なヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば、ヒプロメロース(hypromellose)2208(DOW,Antwerp,Belgium)またはヒプロメロース2910である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの適切な粘度または置換度を認識することは当業者の知識内にあると考えられる。
【0052】
1,500mPa.s(20℃における2%水溶液の見かけ粘度)よりも低い粘度を有するヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特に、約150〜約700mPa.s、好ましくは200〜600mPa.sの範囲の粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース、例えばKlucel EF(登録商標)(Hercules,Wilminton,USA)が好ましい。
【0053】
マトリックスを構成する親水性ポリマーは、主に、制御された、特に漸進的、緩徐的または連続的な調製物の薬物動態学的放出プロファイルを提供する。製造において処理されるポリマーの量に依存して、放出プロファイルは調整され得る。好ましくは、本発明の製剤中の親水性ポリマーの量は、約0.01〜約80%(w/w)、特に約10%〜約80%(w/w)、または約20%〜約80%(w/w)、または約30%〜約80%(w/w)または約40%〜約80%(w/w)の範囲である。さらに、ポリマーの組み合わせを使用する場合、前記ポリマーの比率も調製物の放出プロファイルに影響を与える。例えば、1つまたは複数の親水性ポリマー、好ましくはセルロース誘導体、より具体的にはヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用する場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量百分率(%w/w)は好ましくは0〜約16%の範囲であり、ヒドロキシプロピルセルロースの重量百分率は好ましくは約25%〜約62%の間の範囲である。ヒドロキシプロピルセルロース対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの比率は、好ましくは、1:5〜5:1、より好ましくは1:1〜5:1、そして最も好ましくは3:1〜5:1の範囲である。
【0054】
種々のポリマーの組み合わせは、活性成分がマトリックスから放出される種々のメカニズムを組み合わせる可能性を提供する。このような組み合わせは、調製物の薬物動態学的放出プロファイルの随意の制御を容易にする。活性成分を親水性マトリックスから放出することができる3つの主なメカニズム:溶解、侵食および拡散が存在する。活性成分は、可溶性ポリマーのマトリックスネットワーク中に均一に分散される場合には、溶解メカニズムによって放出されるであろう。ネットワークは消化管中に徐々に溶解し、それにより、その負荷を漸進的に放出するであろう。またマトリックスポリマーはマトリックス表面から徐々に腐食され、同様に、時間が経つと活性成分を放出することができる。活性成分は、不溶性ポリマーで構成されるマトリックス内で処理される場合には、拡散によって放出されるであろう:消化管液は不溶性のスポンジ様マトリックスに浸透し、薬物が負荷されて戻って拡散する。ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するマトリックスからの1つまたは複数の活性成分の放出は、放出メカニズムの組み合わせによって生じる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解度がヒドロキシプロピルセルロースと比較してより高いために、前者はマトリックスから徐々に溶解および腐食するが、後者はスポンジ様マトリックス形成剤としての役割をより果たし、主に拡散によって活性成分を放出するであろう。
【0055】
また、前記少なくとも1つの第3の成分は、調製物の製造、圧縮性、外観および味覚を促進するために、薬学的に許容可能な処方剤(formulating agent)を含んでいてもよい。これらの処方剤は、例えば、希釈剤または充填剤、流動化剤、結合剤、造粒剤、アンチケーキング剤、潤滑剤、風味料、甘味料、染料、顔料および防腐剤を含む。
【0056】
充填剤は、可溶性充填剤(例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、イヌリン)、および不溶性充填剤(例えば、リン酸二カルシウムまたは三カルシウム、炭酸二カルシウム、タルク、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース)から選択することができる。興味深い充填剤はラクトースであり、特にラクトース一水和物である。種々のグレードのラクトースを使用することができる。本発明において使用するのが好ましいラクトースの1つのタイプはラクトース一水和物であり、特に200メッシュ(例えば、DMV,Veghel,the Netherlandsから入手可能)である。別の好ましいラクトース一水和物タイプは、粒子の98%(w/w)が250μmよりも小さい直径を有し、粒子の30%(w/w)〜60%(w/w)が100μmの直径を有し、粒子の最大15%(w/w)が45μmよりも小さい直径を有することを特徴とする。このようなラクトース一水和物は、例えば、DMV,Veghel,The NetherlandsからタイプDCL11のラクトース一水和物として購入することができる。DCLという表記は、「直接圧縮ラクトース」を指す。番号11は、製造業者の参照番号である。別の興味深い充填剤は、例えば、ファイングレードのマンニトールまたは直接圧縮マンニトール(Roquette)などのマンニトールである。
【0057】
充填剤の重量百分率は、好ましくは、0%〜約54%(w/w)の間の範囲であり、特に、約6%〜約54%(w/w)の間の範囲である。
【0058】
固体剤形中にさらに含まれ得る処方剤の中で、ポリビドン(polyvidone)、デンプン、アカシアガム、ゼラチン、海藻誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびカルシウム)、セルロース誘導体(例えば、有用な結合および造粒特性を有するエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、流動化剤(コロイドシリカ、デンプンまたはタルクなど)、潤滑剤(ステアリン酸および/またはパルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ラウリル硫酸ナトリウムまたはマグネシウムなど)、抗接着剤(antiadherent)(タルクおよびコーンスターチなど)などの薬剤が言及され得る。
【0059】
上記の薬学的に許容可能な処方剤に加えて、活性成分の溶解速度を改善するためにシクロデキストリンまたはその誘導体も含まれ得る。使用可能なシクロデキストリンには、例として、当該技術分野において既知の薬学的に許容可能な非置換および置換シクロデキストリン、より具体的には、α、βまたはγシクロデキストリン、または薬学的に許容可能なその誘導体、例えば、β−シクロデキストリンエーテル(例えば、ジメチル−β−シクロデキストリン)、およびポリエーテル(例えば、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびヒドロキシエチルβ−シクロデキストリン)などが含まれる。別の適切なタイプの置換シクロデキストリンは、スルホブチルシクロデキストリンである。このタイプも本発明において想定される。
【0060】
適切な甘味料には、スクロース、グルコース、フルクトース、または強力甘味料、すなわちスクロースと比較して高い甘味力を有する(例えば、スクロースよりも少なくとも10倍甘い)作用物質が含まれる。適切な強力甘味料は、アスパルテーム、サッカリン、ナトリウムまたはカリウムまたはカルシウムサッカリン、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、キシリトール、シクラメート、ネオメート(neomate)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンまたはこれらの混合物、タウマチン、パラチニット(palatinit)、ステビオシド、レバウジオシド(rebaudioside)、Magnasweet(登録商標)を含む。
【0061】
適切な風味料としては、果実風味料、例えば、トゥッティフルッティ、チェリー、ラズベリー、ブラックカレントまたはストロベリーフレーバーなど、またはより強力な風味料、例えば、キャラメルチョコレートフレーバー、キャラメルスィートトーン、ミントクールフレーバー、ファンタジーフレーバー、バニラ、グレナディン、ガラナ、マスキングフレーバー(Givaudan、特にマスキングフレーバー11031−31)などが挙げられる。風味料の組み合わせも使用することができる。
【0062】
適切な染料または顔料としては、酸化鉄またはアルミニウムレーキが挙げられる。
【0063】
上記の方法によって得ることができる固体剤形は、錠剤、錠剤前駆体、カプセル、ペレット、ビーズ、および押出物を含む。
【0064】
上記の方法のポイントe)またはd)において示されるように、成分の混合物の固体剤形への変形は、例えば造粒、打錠(直接圧縮を含む)、スラッギング、カプセル充填、押出、ペレット化などの当業者に知られている薬学的に許容可能な方法を用いることによって行うことができる。
【0065】
従って、本発明の一実施形態は、
a)本発明の上記噴霧凝固法に従って粉末(成分a)を提供する工程と、
b)工程a)の前記粉末と共に、少なくとも1つの第1の(特に、固体の)医薬有効成分(成分b)を提供し、そして/あるいは少なくとも1つの第2の医薬有効成分(特に、第1の成分の形態)を提供する工程と、
c)少なくとも1つの第3の成分(成分c)を提供する工程と、
d)そこから混合物を形成する工程と、
e)前記混合物を溶融押出する工程と、
f)押出生成物を捕集する工程と、
g)押出生成物を固体剤形、特に錠剤に圧縮する工程と、
を含む、固体剤形、特に錠剤の製造方法に関する。
【0066】
好ましくは、一実施形態では、前記第1の医薬有効成分、前記粉末および前記第3の成分は、周囲温度において固体である。
【0067】
溶融押出の際、押出生成物は、通常、錠剤前駆体の1つの可能な形態を表す少なくとも1つのストランドの形態で存在する。あるいは、押出生成物、特にストランドを、本発明の意味において錠剤前駆体の別の形態を表す個片に切断することも可能である。これらの個片は、好ましくは、そこから成形され得る錠剤の長さ寸法を有するまたは近似する。特定の実施形態では、ストランドが、切断の前に、45℃よりも低温、周囲温度よりも低温、特に10℃よりも低い温度に冷却されるのが有利であることが分かる。
【0068】
本発明の意味における固体剤形の製造方法は、好ましくは、混合物を固体剤形に変形させる前、特に溶融押出の前に、好ましくは、少なくとも成分a)およびb)ならびに前記第3の成分c)、またはa)および前記第3の成分がその固体状態にある間に、少なくとも成分a)、b)およびc)、またはa)およびc)が均一に混合されることを必要とする。
【0069】
固体剤形の製造方法と共に、好ましくは押出物、好ましくは少なくとも5重量%の前記医薬有効成分、少なくとも20重量%の前記少なくとも1つの第3の成分(特に、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、より具体的には、これらからなる)、ならびに少なくとも3重量%の噴霧凝固粉末(特に、ビタミン油およびポリアルキレングリコール、特にトコフェロールおよびPEG6000を含み、より具体的には、これらからなる)が使用される。噴霧凝固粉末の全重量を基準として50重量%以下、特に25重量%以下、より具体的には10重量%以下、さらにより具体的には8重量%以下、またさらに具体的には6重量%以下または4重量%以下の前記第1の成分を含む粉末は、噴霧凝固粉末として特に好ましい。
【0070】
本発明の目的の別の態様によると、本発明の方法に従って得られる、特に上記のような本発明の溶融押出方法に従って得られる少なくとも1つの錠剤前駆体を提供する工程と、前記錠剤前駆体に錠剤パンチを受けさせる工程と、打ち抜き工程/圧縮工程の後に、錠剤パンチから錠剤(単数または複数)を捕集する工程とを含む、経口剤形のような薬学的用途のための錠剤の製造方法が教示されている。前記方法を実行する1つのモードによると、錠剤前駆体は、特に最終錠剤の寸法に近似する個片の形態で押出物から切断され、前記個片は錠剤プレスへ移され、打抜き工程/圧縮工程を受け、打抜された錠剤が錠剤パンチから捕集される。あるいは、押出ストランドの形態の錠剤前駆体は錠剤プレスに移され、それ自体が打ち抜き工程/圧縮工程を受け、打抜された錠剤が錠剤パンチから捕集される。別の実施形態では、錠剤の製造方法は、切断された個片の形態の押出錠剤前駆体またはストランド形態の錠剤前駆体が、溶融押出方法からまだ温かいときに打抜き工程/圧縮工程を受けることを含む。あるいは、この方法は、切断された個片の形態の錠剤前駆体またはストランド形態の錠剤前駆体が、周囲温度よりも高く、前記錠剤前駆体中の前記少なくとも1つの第2の成分および前記少なくとも1つの第3の成分の融点または溶融範囲よりも低い温度を有する間に、打抜き工程/圧縮工程を受けることを含む。当然ながら、切断された個片の形態の錠剤前駆体またはストランド形態の錠剤前駆体は、周囲温度よりも低い、特に15℃よりも低い温度を有する間に打抜き工程/圧縮工程を受けることも可能である。
【0071】
上記から、一実施形態によると、本発明は、
a)周囲温度において液体形態である、特に粘性液体稠度を有する(例えば、油など)か、または周囲温度においてワックス状の稠度を有する少なくとも1つの第1の成分、特に、周囲温度において固体または半固体であって15℃〜40℃の温度範囲で溶融が始まる成分を提供する工程と、周囲温度よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に周囲温度よりも高い温度から120℃までの範囲、より具体的には40℃よりも高い温度から120℃までの範囲、さらにより具体的には50℃〜120℃の範囲、またさらに具体的には、55℃〜120℃または90℃を超えない範囲の融点または溶融範囲を有する少なくとも1つの第2の成分を提供する工程と、前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に、前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から120℃まで、より好ましくは90℃を超えない範囲の温度に混合物を攪拌および加熱するか、あるいは混合物をその温度で保持することによって、前記少なくとも1つの第1の成分および前記少なくとも1つの第2の成分を含む均一な液体混合物を形成する工程と、混合物をその移動中にその液体形態で保持するように適合された少なくとも1つの移動装置によって、液体混合物を少なくとも1つの噴霧凝固装置に移動させる工程と、前記混合物を噴霧凝固させる工程と、噴霧凝固において得られた粉末を単離する工程とを含む方法に従って、粉末(成分a)を提供する工程と、
b)少なくとも1つの医薬有効成分(成分b)を提供する工程と、
c)少なくとも1つの第3の成分(成分c)を提供する工程と、
d)成分aおよびbおよびcを含む混合物を形成する工程と、
e)前記混合物を溶融押出する工程と、
f)特に少なくとも1つのストランドの形態または前記少なくとも1つのストランドの切断によって得られる個片の形態の押出生成物を捕集する工程と、
g)特に少なくとも1つのストランドの形態または前記少なくとも1つのストランドの切断によって得られる個片の形態の前記押出生成物に錠剤プレスを受けさせる工程と、
h)打抜き工程/圧縮工程の後に錠剤プレスから錠剤(単数または複数)を捕集する工程と
を含む、錠剤の製造方法にも関するということが導き出され得る。
【0072】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の成分は、1つの成分、特にαトコフェロールであり、少なくとも1つの第2の成分は、1つの成分、特にポリアルキレングリコールポリアルキレングリコール、より具体的にはポリ(エチレン)グリコール、さらにより具体的にはPEG6000である。
【0073】
また本発明は、上記の方法によって得ることができるまたは上記の方法を用いて得られる固体剤形、特に錠剤にも関する。前記固体剤形は、上記の溶融押出法から得られる生成物などの錠剤前駆体であってもよく、前記錠剤前駆体は、さらに、圧縮して錠剤にすることができる。
【0074】
本発明を用いると、驚くことに、好ましくは小さい粒径分布を有し、固体剤形、特に医薬錠剤の製造のために使用するのに適した粉末生成物を形成するために、周囲温度において固体である材料内に、非常に少量の液体またはワックス状化合物(例えば、油など)でも均一に分配できることが分かった。本発明の方法を用いると、今では有利に、周囲温度において固体ではなく液体またはワックス状である微量の賦形剤でも固体剤形(例えば、錠剤)中に均一な形で取り込むことが可能である。さらに、周囲温度において液体またはワックス状であるこれらの非常に少量の生成物を最終製剤中で微細に調整することが可能である。例えば、錠剤の重量を基準として約0.05〜約0.5重量%の範囲で、錠剤製剤中のビタミンE/トコフェロールの量を微細に調整することが可能であり、例えば貯蔵安定性および製剤の容易さに関して、前記錠剤の特性プロファイルを最適化することができる。有利な貯蔵安定性の特徴は、錠剤自体の利点だけでなく、錠剤前駆体が錠剤の打抜き工程/圧縮工程において使用されることでもある。すなわち、押出錠剤前駆体に錠剤の打抜き工程/圧縮工程をすぐに受けさせる必要がなく、それにより、錠剤製造業者の作業モードが大きく拡大される。例えば、最終医薬錠剤製剤の効力に影響を与えることなく本発明の錠剤前駆体を1つの製造施設から別の製造場所へ輸送することでも可能である。本発明の別の利益は、本発明の噴霧凝固法によって得られる粉末生成物が、通常、周囲温度において粘着性である傾向のないことである。
【0075】
記載および特許請求の範囲において開示される特徴は、種々の実施形態における本発明の実現のために、本質的に単独で、または全ての組み合わせにおいて使用することができる。噴霧凝固法について説明される種々の実施形態は、固体剤形の製造方法にも適用される。本明細書において使用される場合、「約」という用語は、値の±10%を意味する。
【実施例】
【0076】
実施例1:
以下の組成を有する噴霧凝固粉末の製造:
DL−α−トコフェロール(ビタミンE) 4.00重量%
ポリエチレングリコール6000(PEG6000) 96.00重量%
【0077】
溶融製造法:
ビタミンEおよびPEG6000の必要量を検量した。Chromalox Micro Therm温度制御システムが取り付けられたミキサーを有する適切なサイズのステンレス鋼供給タンクを窒素でパージした。供給タンク内にPEG6000をゆっくり添加した。部分的に溶融したら、ミキサーにより攪拌して、溶融を促進した。PEG6000を完全に添加し、溶融させたら、80℃の溶融温度を保持した。タンクを窒素により連続的にパージした。溶融PEG6000にビタミンEを添加した。噴霧凝固を開始する前に、混合を少なくとも10分間続けた。噴霧凝固法全体を通して攪拌を続けた。
【0078】
噴霧凝固法:
供給ラインのための熱制御装置を90℃に設定し、少なくとも30分間予熱した。
【0079】
噴霧凝固法を開始した:
装置:Niro−PSD−2(登録商標)(2.0mmのオリフィス直径を有する2流体ノズル)
噴霧ガス:窒素(80℃)
噴霧ガス圧 1.0バール
工程ガス:窒素、流速425CMH
供給速度:9kg/時
出口温度:10℃
冷却器温度:0℃。
【0080】
噴霧凝固粉末の捕集
生成物ドラム内のサイクロンから噴霧凝固粉末を捕集した(密封する前に窒素で最低5分間パージした)。
【0081】
実施例2(比較例)
ビタミンEを含有する粉末の製造
目的は、少量のビタミンEを粉末ブレンド中に分配することであった。粉末ブレンドは、タペンタドールHCl、ポリエチレンオキシド7M、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコール6000で構成した。
【0082】
a)固体キャリアにおけるビタミンEの吸収
少量の液体(ビタミンEなど)を粉末中に取り込む1つの方法は、まず液体を固体キャリアに吸収し、次に残りの固体賦形剤とブレンドすることである。希釈が重要である場合には、幾何学的に実施することができ、例えば、ビタミンE含有キャリアは、1つまたは複数の固体粉末と混合され(特定の希釈を得るために)、得られたブレンドは、同じまたは他の固体粉末と再度希釈される。まず、ビタミンEを賦形剤の1つ、すなわち粉末ブレンドの主成分であるポリエチレンオキシドPEO7Mに吸収することを試みた。9部のPEO上に1部のビタミンEを被覆することを試みた。PEO7M上へのビタミンEの分配は上手くいかなかった。
【0083】
b)従って、キャリア、すなわち、元の製剤の特徴をあまり妨害しないために必要とされる量ができるだけ少なくてよいように、その大きい表面積のために特に使用される粉末を導入した。
【0084】
その高い比表面積および提示される化学的に不活性な性質のために、Neusilin(合成アモルファスメタケイ酸アルミニウムマグネシウム)をビタミンEの吸収のための固体キャリアとして選択した。2つの入手可能なNeusilinグレード(富士化学工業株式会社)US2およびUFL2を用いて、ビタミンEの吸収能力を選別した。
【0085】
250mlのボウルを有するPro−C−epT Mi−Pro実験室規模の高せん断造粒機において、加熱外被を用いず、Mini−Proの用量シリンジおよび閉鎖ループシステムを使用することなく、ビタミンE−Neusilinブレンドを製造した。Neusilin、ビタミンEおよびFeを秤量し、造粒ボウル内に移し、生成物の品質がもう改善しない時点までせん断した。着色剤として1%の濃度のFeを添加し、ブレンドの均一性を視覚的に監視した。ビタミンEを約40℃に加熱して粘度を低下させ、従って、よりよい秤量および分配を可能にした。
【0086】
Neusilin上のビタミンE(1:1 w:w)
US2タイプのNeusilinはビタミンEの分配が著しく悪く、非常に大きい塊が形成された。
【0087】
被覆されたULF2の初期の様相は、Neusilin ULF2上へのビタミンの吸収が成功したようであったが、いくらかの小さい塊も存在した。しかしながら時間が経つと、混合物は強力に凝集し始めた。1日以内に効果は既に顕著であり、数日後には、凝集は、被覆粉末の代わりに大きい粒子サイズの顆粒が形成されるほどであった。
【0088】
NeusilinグレードUS2およびUFL2によるビタミンEの分配における明らかな差異のために、プレミックスを調整するためのさらなる実験およびさらなる希釈は、ULF2についてのみ行った。
【0089】
c)プレミックスの製造(さらなる賦形剤による被覆キャリア(Neusilin上のビタミンE)の希釈)
ビタミンE被覆Neusilin ULF2(1:1 w:w)を75μmのふるいにかけ、1gの被覆キャリアをまず不活性賦形剤としての24gのポリ(エチレンオキシド)(PEO)7Mとブレンドした(=1/25希釈工程)(プレミックス)。次に、2.5gのこのプレミックスを47.5gのPEO7Mと再度ブレンドして(=1/20希釈工程)(最終混合物)、1/500希釈比とした。Turbulaミキサーを用いてブレンドを製造した。
【0090】
プレミックスおよび最終混合物の様相は、見た目には均一であった。これらの混合物は、1週間以上経ってから再検査し、安定なままであったが、不希釈neusilin−ビタミンEは、上記のように、時間が経つと完全に凝集した。この実験では、工業規模では実用的でない非常に細かいふるい(75μmのふるい)を使用した。
【0091】
Neusilin ULF2上のビタミンE(1:2.5 w:w)
ブレンド品質を改善するために、Neusilin塊は回避されなければならない。これには、造粒機内での塊の形成、および製造後の凝集傾向の防止が含まれる。従って、Neusilinの比率を増大させて、キャリア/ビタミンE混合物の安定化を試みた。塊形成の防止を助けるために、neusilin上でまとめて秤量する代わりに、シリンジによりビタミンEを添加した。さらに、PEO中の被覆キャリアの即時希釈の選択を試みた。さらに、ふるい分けの必要性を評価した。このために、Neusilinの単一のバッチを被覆し、4つの画分に分割し、そのうちの2つはさらに処理しなかったが、1つはふるいにかけ(500μmのふるい)、2つの画分はプレミックスを生じるために使用し、この場合も1つのプレミックスはふるいにかけた(被覆キャリアを500μmのふるいにかけ(75μmのふるいに比べてより製造規模に適合される)、次にPEOで希釈した(1/25希釈))。ビタミンEの加熱(40℃)は、シリンジの充填を可能にするために粘度を十分に低下させることが必要であると分かった。以前はビタミンEが造粒機の壁に付着し得ることにより、ボウルの排出後に塊を生じたので、シリンジを使用することによって、塊の形成が大幅に低減された。
【0092】
Neusilinの量を増大させると、凝集体形成の程度の低減が促進されるが、依然として十分に防止されなかった。得られる粉末をふるいにかける場合、最初は凝集体がなかったが、1日後には既にふるいにかけなかったキャリアともはや区別ができなかった。
【0093】
プレミックス中のビタミンEの分配は、キャリア凝集体の大まかな分散に限定されると見られる。また、着色凝集体とほぼ白色のPEOとの相違は時間が経つとわずかに増大し、不安定な系を示した。
【0094】
EtOHを含むNeusilin ULF2上のビタミンE(1:2.5:0.8 w:w):
NeusilinにおけるビタミンEの分配をさらに改善して凝集体形成を最小限にするために、ビタミンEと混和性の溶媒を選択して、濃い油性ビタミンEの粘度を大きく変更した。この実験では、用量シリンジの充填の前に、2.77gのビタミンEを2.22gのエタノール96°と混合した。混合は、250mlのボウルを用いてMi−Pro内で行った。ビタミンE/エタノール溶液を、7.1gのNeusilin UFL2および約100mgの酸化鉄を含有するボウル内に注入した。前の実験について示したように、単一の被覆バッチから4つの画分を作った。2つの画分は未処理の被覆キャリアであり、そのうち1つだけを500μmのふるいにかけ、2つの画分をさらにプレミックスに希釈して、この場合も1つはふるいにかけた(被覆キャリアを500μmのふるいにかけ、次にPEOで希釈した)。プレミックスは、1部の被覆Neusilinと19部のPEO7Mとで構成し、プレミックスに1/20の希釈係数を与えた。250mbarの真空下で、全ての画分を30℃で一晩乾燥させた。
【0095】
エタノールを用いると、ビタミンEは、シリンジの充填を可能にするためにもう加熱する必要がなかった。このことは、ビタミンEが強力な抗酸化剤であり、あまり熱にさらされないことが最良なので、利点であると考えられる。技術的には、キャリアの被覆は今、造粒ボウル内で塊を形成することなく完全に行うことができる。しかしながら、前もってふるいにかけてもかけなくても、時間と共に不希釈キャリアは凝集し始めた。プレミックスの様相は、拡大下で均一に見えた。乾燥後に、画分は、あまりサンプル中に追加の凝集体を形成するようには見えなかった。
【0096】
さらなる実験では、より少ないエタノールでも満足できる結果を得ることができると示された。
【0097】
これらの実験から、微粉状のNeusilinは時間と共に強力に凝集する傾向があるので、Neusilin(合成アモルファスメタケイ酸アルミニウムマグネシウム)上にビタミンEを有するキャリア系は、それ自体安定でないことは明らかである。溶媒としてのエタノールの使用は、有機溶媒を製造工程に導入している(有害な安全性の意味を有し得る)にもかかわらず、粉末中のビタミンEの分配を改善するために有益である。結論として、混合による固体粉末中のビタミンEの取り込みは、媒体としてキャリアおよび溶媒を使用することによってのみ可能であった。得られる被覆キャリア粉末は、物理的に安定ではなく、製剤組成物を構成する賦形剤の一部(上記の実験では、PEOの一部)によって即座に希釈されることが必要であった。
【0098】
実施例3
ビタミンEおよびPEG6000の噴霧凝固
PEG6000を秤量し、オフラインの加熱プレート上で溶融した。実験が行われるほんの少し前に、適切な量のビタミンEを添加し、PEG6000と機械的に混合した。混合物を約75〜80℃に加熱し、加熱供給ラインによってMobile Minor噴霧乾燥器の噴霧ノズルに移した。100℃に予熱したNを用いて混合物を2流体ノズルから噴霧した。冷却ガスもNであり、11〜13℃の入口温度および20〜26℃の範囲の出口温度を有した。噴霧の後、噴霧乾燥器のサイクロン内に粒子を捕集した。
【0099】
種々の濃度のビタミンE(1%、2%または4%(w/w)の実際のビタミンE含量)を用いて実験を行った。PEG6000を伴うビタミンEの噴霧凝固は上手くいった。粘着性であるまたはより多くの凝集体を有することなく、微粉末の状態の噴霧凝固生成物を得た。高収率が得られたので、噴霧チャンバにおける生成物の損失も最小限であった。ビタミンE−PEGの様相は色が均一であり、茶色がかったゾーン(分離したビタミンEを示す)が、粉末中またはチャンバ壁に対して見出されなかった。
【0100】
実施例4
安定性試験
ビタミンEをキャリアに吸収することによって製造される粉末、または噴霧凝固によって製造される(実施例3に従って製造される)粉末をガラス瓶に入れ、種々の条件(5℃および30℃/75%相対湿度)下で貯蔵した。「活性」ビタミンE(抗酸化活性をまだ有するビタミンE)の濃度はHPLCアッセイによって決定し、粉末の外観は視覚的に検査した。
【0101】
以下の被覆キャリアブレンドを試験した:
【0102】
【表1】

【0103】
ブレンドを以下のように製造した:
第1の工程工程では、Mi−Pro(0.25Lのボウル、インペラ速度200〜400rpm、チョッパー速度500〜650rpmで45分間)において、全てのneusilinをビタミンE/EtOH混合物で被覆した。ボウルを空にした後、Pro−C−epT(0.25Lのボウル中、250rpmのインペラ速度で12分間)において、5gの被覆neusilinを70gのPEO7Mとブレンドすることにより画分1を作った。次にこれを空にしたら、4.5gの被覆Neusilinおよび63.0gのPEO7Mを用いて画分2を作った(0.25Lのボウル中、250rpmのインペラ速度で16分間)。画分1および2は同じ相対組成を有するが、画分2(=Neusilin粉末1)は300mbarbの真空下25℃で16時間の後乾燥を行ったが、画分1(=Neusilin粉末2)は行わなかった点が異なる。
【0104】
neusilinベースのプレミックスは不安定であることが分かった。実際、ビタミンE含量は、30℃/75%RHで1ヶ月後に既に非常に大きく低下したので、これらのサンプルの研究を中止した。
【0105】
上記のように製造した噴霧凝固粉末(実施例3を参照)も同じ条件にさらした。各ビタミンE濃度(1%、2%および4%w/w)について、小さい粒径画分および大きい粒径画分を試験した。噴霧凝固工程中の供給速度、ノズル直径および/またはN速度を修正することによって、粒径を調整した。
【0106】
結果は、以下の表2にまとめられる:
【0107】
【表2】

【0108】
噴霧凝固粉末は、5℃において許容可能な安定性を示した。1%のビタミンEを有するサンプルは、より高いビタミンE含量を有する他のサンプルよりも安定性がほんの少し低いようであった。30℃/75%RHでは、噴霧凝固粉末中のビタミンEの損失がより大きいので、おそらく冷蔵するのが賢明である。
【0109】
上記のデータに基づいて、キャリア系は製造のために実用的でなく(物理的不安定性/分離(demixing)を軽減するために、溶媒の使用、直接予混合の必要性)、化学的にも安定でない(ビタミンEアッセイは非常に急速に低下する)ことが分かる。本発明の意味における噴霧凝固は、少量の特にビタミン油などの液体を固体の第2の成分内に含む粉末系の信頼性のある製造を非常に容易にし、キャリアにおけるビタミンEの吸収よりも有望であるように見える。
【0110】
実施例5
ブレンド均一性(BU)
粉末ブレンド組成物1:
タペンタドールHCl 58.24mg
ポリエチレンオキシドWSR303
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
ポリエチレングリコール6000
ポリエチレングリコール6000およびαトコフェロールの噴霧凝固粉末(噴霧凝固粉末中4.56%のビタミンE) 13.16mg
粉末の全重量 400mg
【0111】
粉末ブレンド組成物2:
タペンタドールHCl 291.20mg
ポリエチレンオキシドWSR303
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
ポリエチレングリコール6000
ポリエチレングリコール6000およびαトコフェロールの噴霧凝固粉末(噴霧凝固粉末中4.56%のビタミンE) 15.35mg
粉末の全重量 700mg
【0112】
粉末ブレンド組成物1および2から240kgのバッチを製造した。実施例3に記載されるのと類似の方法に従って、噴霧凝固粉末を製造した。ブレンドの個々の成分は、必要であれば塊を除去し(20メッシュのSwecoセパレータを用いて、あるいは20メッシュを用いる受動的な手動方法に従って選別)、次に秤量し、800LのIBCビンに導入した。Bohleブレンダにおいて6rpmで20分ブレンドした後、ビンを開け、サンプルシーフ(sample thief)を用いてビン内の10の異なる場所からサンプルを取った。捕集したサンプルの活性ビタミンE含量をHPLCアッセイによって決定し、サンプル中のビタミンEの均一性の尺度である%相対標準偏差を計算することによって、ビタミンEのブレンド均一性(BU)を決定した。
【0113】
ブレンド1、3について、240kgのバッチを製造し、第1のバッチのビタミンE含量の%相対標準偏差は1.5%であり、第2のバッチは2.3%であり、第3のバッチは2.9%であった。
【0114】
ブレンド2、3について、240kgのバッチを製造し、第1のバッチのビタミンE含量の%相対標準偏差は2.9%であり、第2のバッチは1.8%であり、第3のバッチは1.7%であった。
【0115】
これらの結果は、良好なBUを示す。
【0116】
実施例6
錠剤の含量均一性(CU)
粉末ブレンド組成物3:
タペンタドールHCl 58.24mg
ポリエチレンオキシドWSR303
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
ポリエチレングリコール6000
ポリエチレングリコール6000およびαトコフェロールの噴霧凝固粉末(噴霧凝固粉末中4%のビタミンE) 15.00mg
粉末の全重量 400mg
【0117】
粉末ブレンド組成物4:
タペンタドールHCl 291.20mg
ポリエチレンオキシドWSR303
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
ポリエチレングリコール6000
ポリエチレングリコール6000およびαトコフェロールの噴霧凝固粉末(噴霧凝固粉末中4%のビタミンE) 17.50mg
粉末の全重量 700mg
【0118】
実施例5に記載されるように粉末ブレンド3および4を製造した。次のように、粉末ブレンド組成物3および4から錠剤を製造した。共回転ツインスクリュー押出機において粉末ブレンドを押出し、得られたストランドを冷却して個片に切断し、これを圧縮して、400mg(50mgのタペンタドールを含有)または700mg(250mgのタペンタドールを含有)の錠剤にした。穿孔パンフィルムコーターにおいて、精製水中の20%w/wの医薬コーティング粉末からなる懸濁液によって、捕集した錠剤をフィルムコートした。コーティング懸濁液を3%w/wのレベルまで錠剤コア上に塗布し、その後、錠剤を乾燥させ、分析のためにバッチのサンプルを取った。ブレンドのそれぞれから製造した30個の錠剤から、HPLCアッセイによって活性ビタミンE含量を決定し、錠剤中のビタミンEの含量均一性(CU)の尺度として%相対標準偏差を計算した。
【0119】
ブレンド3から製造した400mgの錠剤の%相対標準偏差は4.96%であり、ブレンド4から製造した700mgの錠剤の%相対標準偏差は3.87%であった。
【0120】
これらの結果は、良好なCUを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)周囲温度において液体形態であるか、あるいは周囲温度において固体または半固体であって15℃〜40℃の温度範囲において溶融が始まる少なくとも1つの第1の成分を提供する工程と、
ii)周囲温度よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲の融点または溶融範囲を有する少なくとも1つの第2の成分を提供する工程と、
iii)前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から前記第1の成分の分解温度よりも低い温度までの範囲、特に、前記第2の成分の融点または溶融範囲よりも高い温度から120℃までの範囲の温度に混合物を攪拌および加熱するか、あるいは混合物をその温度で保持することによって、前記少なくとも1つの第1の成分および前記少なくとも1つの第2の成分を含む均一な液体混合物を形成する工程と、
iv)混合物をその移動中にその液体形態で保持するように適合された少なくとも1つの移動装置によって、前記液体混合物を少なくとも1つの噴霧凝固装置に移動させる工程と、
v)前記混合物を噴霧凝固させる工程と、
vi)噴霧凝固において得られた粉末を単離する工程と
を含む、粉末の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の成分が、ビタミン油、レシチンまたはシメチコンを含むか、あるいはこれらを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の成分が、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体、特にα−トコフェロールを含むか、あるいはこれらからなる、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2の成分が、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールを含むか、あるいはこれらからなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール6000(PEG6000)である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記移動装置が少なくとも1つの供給ラインおよび少なくとも1つのポンプを含み、少なくとも前記供給ラインが、加熱可能であるように適合された、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程iii)で形成される均一な液体混合物が、少なくとも50重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、50重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含み、特に、前記均一な液体混合物が、少なくとも75重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、25重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含み、より具体的には、前記均一な液体混合物が、少なくとも90重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、10重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含み、さらにより具体的には、前記均一な液体混合物が、少なくとも92重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、8重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含み、またさらに具体的には、前記均一な液体混合物が、少なくとも94重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、6重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含み、より具体的には、前記均一な液体混合物が、少なくとも96重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、4重量%以下の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程iii)で形成される均一な液体混合物が、約92重量%〜約99.9重量%、特に約94重量%〜約99.5重量%、より具体的には、約94重量%〜約98重量%または約95重量%〜約99重量%または約96重量%〜約99重量%または約95重量%〜約98重量%または約96重量%〜約98重量%の前記少なくとも1つの第2の成分と、約0.1重量%〜約8重量%、特に約0.5重量%〜約6重量%、より具体的には、約2重量%〜約6重量%または約1重量%〜約5重量%または約1重量%〜約4重量%または約2重量%〜約5重量%または約2重量%〜約4重量%の前記少なくとも1つの第1の成分とを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の成分の融点または溶融範囲が、周囲温度よりも高い温度から120℃までの範囲であり、より具体的には40℃よりも高い温度から120℃までの範囲であり、さらにより具体的には50℃〜120℃の範囲であり、またさらに具体的には55℃〜120℃、さらにより具体的には90℃を超えない範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な粉末。
【請求項11】
約92重量%〜約99.9重量%、特に約94重量%〜約99.5重量%、より具体的には、約94重量%〜約98重量%または約95重量%〜約99重量%または約96重量%〜約99重量%または約95重量%〜約98重量%または約96重量%〜約98重量%の前記少なくとも1つの第2の成分としてのポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールと、約0.1重量%〜約8重量%、特に約0.5重量%〜約6重量%、より具体的には、約2重量%〜約6重量%または約1重量%〜約5重量%または約1重量%〜約4重量%または約2重量%〜約5重量%または約2重量%〜約4重量%の前記少なくとも1つの第1の成分としてのトコフェロール、特にα−トコフェロールとを含むか、あるいはこれらからなる、請求項10に記載の粉末。
【請求項12】
約40μm〜約300μmの範囲、特に約40μm〜約200μmの範囲、より具体的には約50μm〜約180μmの範囲の粒径分布d50を有する、請求項10または11のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項13】
少なくとも1つの医薬有効成分を含有する固体剤形を製造するための、請求項10〜12のいずれか一項に記載の粉末の使用。
【請求項14】
前記固体剤形が、少なくとも1つの医薬有効成分、特に鎮痛化合物、より具体的にはオピエートまたはオピエート誘導体と、少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)と、少なくとも1つのセルロースエーテル誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースと、少なくとも1つのポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールと、少なくとも1つのビタミン油、特にトコフェロールとを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記ビタミン油が、固体剤形の全重量を基準として1重量%未満の量で存在する請求項14に記載の使用。
【請求項16】
a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に従って粉末(成分a)を提供する工程と、
b)少なくとも1つの医薬有効成分(成分b)を提供する工程と、
c)少なくとも1つの第3の成分(成分c)を提供する工程と、
d)成分a、bおよびcを含む混合物を形成する工程と、
e)前記混合物を固体剤形に変形させる工程と
を含む、固体剤形の製造方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第3の成分(成分c)が、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択され、特に、前記少なくとも1つの第3の成分が、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、およびセルロース誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むか、あるいはこれらからなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に従って粉末(成分a)を提供する工程と、
b)少なくとも1つの医薬有効成分(成分b)を提供する工程と、
c)少なくとも1つの第3の成分(成分c)を提供する工程と、
d)成分a、bおよびcを含む混合物を形成する工程と、
e)前記混合物を溶融押出する工程と、
f)前記押出生成物を捕集する工程と、
g)前記押出生成物を錠剤に圧縮する工程と
を含む、請求項16または17のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。

【公表番号】特表2011−519886(P2011−519886A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507837(P2011−507837)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003290
【国際公開番号】WO2009/135680
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】