説明

回転位置検出装置および永久磁石型モータの駆動方法

【課題】永久磁石型レゾルバを用いて永久磁石型モータの磁極位置および回転位置を検出する。
【解決手段】円周上に均等な間隔で配列する8n個の突極(12)にそれぞれコイル(13)を巻いたステータ(11)と、S極とN極を交互に円周上に均等な間隔で永久磁石(17)を配設して、永久磁石型モータと同数の磁極を形成したロータ(14)とを有してなるレゾルバ(10)を使用し、永久磁石型モータ(100)の磁極位置の検出時には、レゾルバ(10)の回転角360°におけるコイル(13)のインダクタンス基本波の周期数がレゾルバ(10)の磁極対数と等しくになるようにコイル(13)を励磁し、磁極位置の検出後には、レゾルバ(10)の回転角360°におけるコイル(13)のインダクタンス基本波の周期数が磁極対数の2倍になるようにコイル(13)を励磁しコイル(13)のインダクタンスに基づいて永久磁石型モータ(100)の磁極位置および回転位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石型モータに適用される回転位置検出装置および該永久磁石型モータの駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータの回転位置を検出する手段として、従来からリラクタンス型レゾルバが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このリラクタンス型レゾルバ では、ロータの回転に伴って生じる該ロータの凸部とステータの励磁歯とのギャップ変動により、該ステータに設けられた各励磁巻線のパーミアンスがロータの凸部のピッチの周期で変化するので、このパーミアンスの変化を利用してロータの位置を検出する。
【0003】
しかし、この従来のリラクタンス型レゾルバは、そのロータが永久磁石からなる磁極を有していないので、サーボモータ等の永久磁石型モータに適用した場合、該モータのロータの磁極位置を検出することができない。
そこで、従来、上記磁極位置の検出も可能なホールICやホール素子等の電子部品を上記レゾルバに代えて使用することも実施されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−027719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記ホールICやホール素子のような電子部品を用いて検出される位置信号は、該電子部品の品質や機械的取付け位置精度の影響を受け易い。特に、小型多極モータに適用した場合に、精度の高い位置の検出が困難になるため、特に低速回転時の回転むらや振動が大きくなるおそれがある。また、ホールICやホール素子は、高温環境で使われると寿命が低下し、場合によっては破壊されるおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、このような状況に鑑み、永久磁石型レゾルバを用いて永久磁石型モータの磁極位置および回転位置を検出することができる回転位置検出装置を提供することにある。
また,本発明の目的は、この回転位置検出装置を用いた永久磁石型モータの駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ロータの磁極数が6n,10nおよび14n(nは正の整数)のいずれかに設定された永久磁石型モータに適用される回転位置検出装置であって、円周上に均等な間隔で配列する8n個の突極を有しかつそれらの突極にそれぞれコイルを巻いたステータと、S極とN極が交互に配列するように円周上に均等な間隔で永久磁石を配設して、前記永久磁石型モータの磁極数と同数の磁極を形成したロータとを有してなるレゾルバと、前記永久磁石型モータの磁極位置の検出時において、前記レゾルバの回転角360°における前記コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記レゾルバの磁極対数と等しくになるように前記コイルを励磁し、前記磁極位置の検出後において、前記レゾルバの回転角360°における前記コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記磁極対数の2倍になるように前記コイルを励磁するコイル励磁手段と、前記磁極対数に等しい周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの磁極位置を検出し、前記磁極対数の2倍の周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの回転位置を検出する信号処理手段と、を備えることにより上記目的を達成している。
【0008】
前記コイル励磁手段は、前記磁極位置の検出時に前記各コイルをそれぞれがn個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分けるとともに、前記磁極位置の検出後に前記各コイルをそれぞれが2n個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分け、前記各第1〜第4ブロックにおける2ブロックのコイル相互および他の2ブロックのコイル相互を、それぞれインダクタンスの位相が電気角で180°相違するように結線して励磁するように構成することができる。
この場合、前記コイル励磁手段は、それぞれがn個のコイルを含む前記第1〜第4ブロックのコイルに直流電流を含む電流を流し、それによって、該第1〜第4ブロックのコイルに前記磁極対数に等しい周期のインダクタンスを生じさせるように構成される。
本発明に係る回転位置検出装置が適用される永久磁石型モータは、例えばサーボモータである。
【0009】
本発明は、ロータの磁極数が6n,10nおよび14n(nは正の整数)のいずれかに設定された永久磁石型モータの駆動方法であって、円周上に均等な間隔で配列する8n個の突極を有しかつそれらの突極にそれぞれコイルを巻いたステータと、S極とN極が交互に配列するように円周上に均等な間隔で永久磁石を配設して、前記永久磁石型モータの磁極数と同数の磁極を形成したロータとを有してなるレゾルバを設けるステップと、前記永久磁石型モータの磁極位置の検出時において、前記レゾルバの回転角360°における前記各コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記レゾルバの磁極対数と等しくになるように前記各コイルを励磁するステップと、前記磁極対数と等しい周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの磁極位置を検出するステップと、前記検出された磁極位置に基づいて前記永久磁石型モータを起動するステップと、前記磁極位置の検出後において、前記レゾルバの回転角360°における前記コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記磁極対数の2倍になるように前記コイルを励磁するステップと、前記磁極対数の2倍の周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの回転位置を検出するステップと、前記検出された回転位置に基づいて前記永久磁石型モータを制御するステップと、を含むことにより上記目的を達成している。
【0010】
前記磁極位置の検出時に前記各コイルを励磁するステップは、前記各コイルをそれぞれがn個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分けるステップと、この第1〜第4ブロックにおける2ブロックのコイル相互および他の2ブロックのコイル相互を、それぞれインダクタンスの位相が電気角で180°相違するように結線して励磁するステップと、を含み、前記磁極位置の検出後に前記各コイルを励磁するステップは、前記各コイルをそれぞれが2n個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分けるステップと、この第1〜第4ブロックにおける2ブロックのコイル相互および他の2ブロックのコイル相互を、それぞれインダクタンスの位相が電気角で180°相違するように結線して励磁するステップと、を含むことができる。
【0011】
前記磁極位置の検出時に前記各コイルを励磁するステップは、それぞれがn個のコイルを含む前記第1〜第4ブロックのコイルに直流電流を含む電流を流し、それによって、該第1〜第4ブロックのコイルに前記磁極対数に等しい周期数のインダクタンスを生じさせるステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回転位置検出装置によれば、永久磁石型レゾルバを用いて永久磁石型モータの磁極位置および回転位置を検出するので、ホールICやホール素子を用いた場合の問題点を解消することができる。また、本発明に係る永久磁石型モータの駆動方法によれば、上記回転位置検出装置を用いて永久磁石型モータを円滑に起動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る回転位置検出装置は、図1にその一実施形態を示すように、レゾルバ10、励磁制御部20、パルス発生器30、直流電源40、運転指令部50および信号処理部60を備えている。
【0014】
図2は、上記レゾルバ10の構成の一例を概念的に示している。このレゾルバ10のステータ11は、内側に向かって放射状に等角度ピッチで配設された8つの突極(ポール)12−1〜12−8と、これらの突極12−1〜12−8にそれぞれ巻着したコイル13−1〜13−8とを備えている。
一方、このレゾルバ10のロータ14は、回転軸15が貫通する鉄心16と、該鉄心16の外周面に沿って隣接配列された同一形状の10個の永久磁石17とを備えている。永久磁石17は、鉄心16の径方向に磁化され、該鉄心16の外周面に沿ってS極とN極が交互に繰り返される形態で配列している。したがって、このレゾルバ10のロータ14の磁極数は10である。
【0015】
上記レゾルバ10のコイル13−1〜13−8は、図3に示すように、切換スイッチ素子SW1〜SW6を介してパルス発生器30、直流電源40および信号処理部60に結線されている。なお、切換スイッチ素子SW1〜SW6は、上記励磁制御部20に設けられている。
上記切換スイッチ素子SW1〜SW6が接点b側に切換接続された場合には、図4に示すように、コイル13−1からなる第1ブロックと、コイル13−5からなる第2ブロックと、コイル13−3からなる第3ブロックと、コイル13−7からなる第4ブロックとを有する励磁回路が形成される。この励磁回路では、コイル13−1,13−5が直列接続されるとともに、コイル13−1,13−7が直列接続され、それらの直列回路にパルス発生器30の高周波出力電圧VAC(例えば、数10KHzの周波数を有する方形波電圧)に電源40の直流電圧VDCを加えた電圧が印加される。なお、パルス発生器30に代えて、高周波数の正弦波電圧を出力する発振器を使用しても良い。
【0016】
一方、上記切換スイッチ素子SW1〜SW6が接点a側に接続された図3の状態においては、図5に示すように、コイル13−1,13−5からなる第1ブロックと、コイル13−2,13−6からなる第2ブロックと、コイル13−3,13−7からなる第3ブロックと、コイル13−4,13−8からなる第4ブロックとを有する励磁回路が形成される。この励磁回路では、コイル13−1,13−5,15−3および13−7が直列接続されるとともに、コイル13−2,13−6,15−4および13−8が直列接続され、それらの直列回路にパルス発生器30の高周波出力電圧VACが印加される。
【0017】
図1に示すモータ100は、サーボモータ等の永久磁石型モータであり、上記レゾルバ10のロータ14の磁極数10と同数の磁極を構成する永久磁石を円周に沿って配列した図示していないロータを備えている。この永久磁石型モータ100のロータとレゾルバ10のロータ14は、相互の磁極の位置および磁極性が一致する形態で連結されている。
【0018】
図6において、Iをステータ11のコイル13に流れる直流電流とすると、電流Iが0の場合、図示の位置から磁石17を左右方向に移動させることによって、図7に示すような磁化曲線(B:磁束密度、H:磁界)が得られる。一方、所定の直流電流I=Cをコイル13に流した場合、図8に示すようなバイアス磁界Hが発生する。したがって、磁石17の左右方向移動に伴って上記バイアス磁界Hを中心として磁界が変化し、その結果、磁束密度が常に≧0となる磁化曲線が得られる。
それ故、I=0およびI=Cの場合におけるコイル13のインダクタンスは、電気角0°〜360°においてそれぞれ図9に破線および実線で示す形態で変化する。つまり、I=0におけるコイル13のインダクタンスの変化周期は、I=Cにおけるそれの2倍になる。
【0019】
この原理からすると、図4の回路が形成されて、直流電源40からのI=Cなる直流電流が各コイル13−1,13−3,13−5および13−7に流れる場合、ロータ14の位置に対する該各コイル13−1,13−3,13−5および13−7のインダクタンスL,L,LおよびLの基本波は図10のように表される。
また、I=0である図5の回路が形成された場合、ロータ14の位置に対する各コイル13−1〜13−8のインダクタンスL〜Lの基本波は図11のように表される。
【0020】
すなわち、図4の回路では、ロータ14が機械角θ=360°/(ロータ14の極対数)=360°/5=72°回転する間に13−1,13−3,13−5および13−7のインダクタンスが1周期変化し、また、図5の回路では、ロータ14が72°回転する間に各コイル13−1〜13−8のインダクタンスがそれぞれ2周期変化する。
換言すれば、図4の回路では、ロータ14が1回転する間での上記インダクタンスL,L,LおよびLの基本波の周期数が該ロータ14の極対数と同じになり、図5の回路では、ロータ14が1回転する間での上記インダクタンスL〜Lの基本波の周期数が該ロータ14の極対数の2倍になる。
【0021】
そこで、この実施形態に係る回転位置検出装置は、図10に示すインダクタンス特性に基づいてモータ100のレゾルバ10のロータ14の磁極位置(=モータ100のロータの磁極位置)を検出し、図10に示すインダクタンス特性に基づいてレゾルバ10のロータ14の回転位置(=モータ100のロータの回転位置)を検出する。
なお、上記ロータ14の機械角θは、図2に示すように、コイル13−1の対向中心位置にS極磁石17とN極磁石17の境界が位置しているときを0°としている。
【0022】
まず、上記磁極位置の検出処理について説明する。モータ100の磁極位置の検出時には、運転指令部50に指令信号が入力され、これに伴って、運転指令部50から信号処理部60に磁極位置検出指令が出力される。
【0023】
そこで、信号処理部60は、励磁制御部20にスイッチ制御信号を出力して、図3に示すスイッチ素子SW1〜SW6を接点bに接続する。その結果、図4に示すコイル励磁回路が形成されて、各コイル13−1,13−3,13−5および13−7に直流電流I=Cとパルス発生器30から出力される高周波信号が流れる。ここで、上記高周波信号を無視するとロータ14の位置θに対して該各コイルが図10に示すようなインダクタンス基本波特性を示すことになる。この図10に示すように、各コイル13−1,13−3,13−5および13−7のインダクタンス基本波の周期の数は、360°/72°=5、つまり、ロータ14の極対数と同じになる。
【0024】
信号処理部60は、図11に示すコイル13−1,13−5の接続点に現れる信号と、コイル13−3,13−7の接続点に現れる信号とを、図示していないフィルタ回路および復調回路に通過させ、上記インダクタンス基本波成分に基づくこれらの信号を図12に示すような正弦波電圧Vと余弦波電圧Vとに変換する。この電圧は、下式(1),(2)のように表される。
=Vsin(Pθ)=Vsin(5θ) (1)
=Vcos(Pθ)=Vcos(5θ) (2)
ここで、Pはロータ14の極対数
【0025】
信号処理部60は、図示していないA/D変換器によって上記電圧V,VをA/D変換し、更に、図示していない演算回路によって下式(3)の演算を実行して、ロータ14の位置θ(機械角)を得る。
θ=(1/5)tan−1(V/V) (3)
この実施形態においては、上記電圧V,Vとロータ14の回転位置θとに以下のような関係が成立する。
≧0,V<0のとき、0≦θ<18°
>0,V≧0のとき、18°≦θ<36°
≦0,V>0のとき、36°≦θ<54°
<0,V≦0のとき、54°≦θ<72°
【0026】
図2から明らかなように、0<θ<36°においては、コイル13−1に面したロータ14の磁極性がS極になる。また、36°<θ<72°においては、コイル13−1に面したロータ14の磁極性がN極になる。
そこで、信号処理部60は、図示していない判定回路によって上記ロータ14の位置θが0<θ<36°の範囲にあるか36°<θ<72°の範囲にあるか、つまり、コイル13−1に面したロータ14の磁極性がS極であるかN極であるかを判定する。
【0027】
上記ロータ14の磁極性(磁極位置)は、モータ100の磁極性を意味している。そこで、信号処理部60は、上記のようにして検出されたロータ14の磁極位置をモータ100の磁極位置としてモータ制御ブロック101に与える。そこで、モータ制御ブロック101は、モータ100の磁極位置に基づいて、該モータ100が所定方向に起動するように励磁シーケンスを進める。したがって、モータ100は、振動等を伴うことなく所定方向に円滑に起動されることになる。
【0028】
上記磁極位置の検出後においては、信号処理部60が励磁制御部20にスイッチ制御信号を出力して、図3に示すようにスイッチ素子SW1〜SW6を接点aに接続する。この結果、図5に示す回路が形成されて、各コイル13−1〜13−8にパルス発生器30から出力される高周波信号のみが流れる。ここで、この高周波信号を無視すると、ロータ14の位置に対して該各コイル13−1〜13−8が図11に示すようなインダクタンス基本波特性を持つことになる。この図11に示すように、各コイル13−1〜13−8のインダクタンス基本波の周期は、図10に示すインダクタンス基本波の周期の2倍になる。
【0029】
信号処理部60は、図11に示すコイル13−3,13−5の接続点に現れる信号と、コイル13−4,13−6の接続点に現れる信号とを前記ハイパスフィルタ回路および復調回路に通過させて、下式(4),(5)に示す正弦波電圧V'と余弦波電圧V'を得る。
'=Vsin(2Pθ)=Vsin(10θ) (4)
'=Vcos(2Pθ)=Vcos(10θ) (5)
【0030】
信号処理部60は、前記A/D変換器によって上記電圧V',V'をA/D変換し、更に、図示していない演算回路によって下式(6)の演算を実行して、ロータ14の回転位置θ(機械角)を得る。
θ=(1/10)tan−1(V'/V') (3)
上記のようにして得られたロータ14の位置θは、モータ制御ブロック101に与えられる。そこで、モータ制御ブロック101は、上記回転位置θを位置決め制御や速度制御のための情報として使用する。また、モータ制御ブロック101は、既に検出された前記磁極位置と上記回転位置θとに基づいて、時々刻々の磁極位置を演算し、その磁極位置に基づいて励磁制御を実行する。
【0031】
ところで、図4示す回路が形成された場合には、図13に示すように、インダクタンスLとインダクタンスLのベクトルが電気角で180°相違し、インダクタンスLとインダクタンスLのベクトルが電気角で180°相違することになる。
また、図5示す回路が形成された場合には、図14に示すように、合成インダクタンスL,Lのベクトルと合成インダクタンスL,Lのベクトルが電気角で180°相違し、合成インダクタンスL,Lのベクトルと合成インダクタンスL,Lのベクトルが電気角で180°相違する。
【0032】
この実施形態に係る回転位置検出装置においては、レゾルバ10がいかなる励磁状態にあるときでも、また、該レゾルバ10のロータ14がいかなる位置にあるときでも、各コイルを流れる電流によって発生するトルクが相殺されることになるので、レゾルバ10が回転トルクを発生しない。
すなわち、レゾルバ10の各コイルに流れる電流をiとすると、図15の各突極についてのトルクベクトルT(Sは、1,2,3,・・・8)の合成トルクTは、以下に示すように0になる。
【0033】
【数1】

ここで、kは比例定数である。
【0034】
上記実施形態では、レゾルバ10のステータ突極12の数が8に設定され、かつ、該レゾルバ10のロータ14の磁極数が10に設定されているが、これに限定されない。すなわち、レゾルバ10の突極12の数は8n(nは正の整数)に、また、ロータ14の磁極数は6n,10n,14nのいずれかに設定することができる。
ロータ14の磁極数が6n,10nおよび14nに設定された場合、図4に準じたコイルの励磁形態では、ロータ14が1回転する間にそれぞれ3n,5nおよび7n周期変化するコイルインダクタンスに基づいてロータ14の磁極位置が検出され、また図5に準じたコイルの励磁形態では、ロータ14が1回転する間にそれぞれ6n,10nおよび14n周期変化するコイルインダクタンスに基づいてロータ14の位置を検出することになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る回転位置検出装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】レゾルバの構成の一例を示す概念図である。
【図3】レゾルバの各コイルと該各コイルの接続を切換えるスイッチ素子との結線を示す図である。
【図4】モータ起動時におけるレゾルバのコイルの励磁形態を示す回路図である。
【図5】モータ起動後におけるレゾルバのコイルの励磁形態を示す回路図である。
【図6】レゾルバにおける1つのステータ突極とロータの磁石との関係を示す概念図である。
【図7】図6に示すコイルに直流電流を流さない場合の磁化曲線を例示したグラフである。
【図8】図6に示すコイルに所定の直流電流を流した場合の磁化曲線を例示したグラフである。
【図9】図6に示すコイルに直流電流を流さない場合と流した場合におけるインダクタンス変化をそれぞれ例示したグラフである。
【図10】図4の回路におけるコイルのインダクタンス変化を例示したグラフである。
【図11】図5の回路におけるコイルのインダクタンス変化を例示したグラフである。
【図12】図4の回路に基づくレゾルバの出力信号を例示したグラフである。
【図13】図4のコイルの接続形態において発生するインダクタンスのベクトル図である。
【図14】図5のコイルの接続形態において発生するインダクタンスのベクトル図である。
【図15】レゾルバの各突極ついてのトルクを示すベクトル図である。
【符号の説明】
【0036】
10 レゾルバ
11 ステータ
12−1〜12−8 突極
13−1〜13−8 コイル
17 永久磁石
20 励磁制御部
30 パルス発生器
40 直流電源
50 運転指令部
60 信号処理部
100 永久磁石型モータ
101 モータ制御ブロック
SW−1〜SW−6 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの磁極数が6n,10nおよび14n(nは正の整数)のいずれかに設定された永久磁石型モータに適用される回転位置検出装置であって、
円周上に均等な間隔で配列する8n個の突極を有しかつそれらの突極にそれぞれコイルを巻いたステータと、S極とN極が交互に配列するように円周上に均等な間隔で永久磁石を配設して、前記永久磁石型モータの磁極数と同数の磁極を形成したロータとを有してなるレゾルバと、
前記永久磁石型モータの磁極位置の検出時において、前記レゾルバの回転角360°における前記コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記レゾルバの磁極対数と等しくになるように前記コイルを励磁し、前記磁極位置の検出後において、前記レゾルバの回転角360°における前記コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記磁極対数の2倍になるように前記コイルを励磁するコイル励磁手段と、
前記磁極対数に等しい周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの磁極位置を検出し、前記磁極対数の2倍の周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの回転位置を検出する信号処理手段と、
を備えることを特徴とする回転位置検出装置。
【請求項2】
前記コイル励磁手段は、前記磁極位置の検出時に前記各コイルをそれぞれがn個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分けるとともに、前記磁極位置の検出後に前記各コイルをそれぞれが2n個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分け、前記各第1〜第4ブロックにおける2ブロックのコイル相互および他の2ブロックのコイル相互を、それぞれインダクタンスの位相が電気角で180°相違するように結線して励磁するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転位置検出装置。
【請求項3】
前記コイル励磁手段は、それぞれがn個のコイルを含む前記第1〜第4ブロックのコイルに直流電流を含む電流を流し、それによって、該第1〜第4ブロックのコイルに前記磁極対数に等しい周期数のインダクタンスを生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転位置検出装置。
【請求項4】
前記永久磁石型モータがサーボモータである請求項1に記載の回転位置検出装置。
【請求項5】
ロータの磁極数が6n,10nおよび14n(nは正の整数)のいずれかに設定された永久磁石型モータの駆動方法であって、
円周上に均等な間隔で配列する8n個の突極を有しかつそれらの突極にそれぞれコイルを巻いたステータと、S極とN極が交互に配列するように円周上に均等な間隔で永久磁石を配設して、前記永久磁石型モータの磁極数と同数の磁極を形成したロータとを有してなるレゾルバを設けるステップと、
前記永久磁石型モータの磁極位置の検出時において、前記レゾルバの回転角360°における前記各コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記レゾルバの磁極対数と等しくになるように前記各コイルを励磁するステップと、
前記磁極対数と等しい周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの磁極位置を検出するステップと、
前記検出された磁極位置に基づいて前記永久磁石型モータを起動するステップと、
前記磁極位置の検出後において、前記レゾルバの回転角360°における前記コイルのインダクタンス基本波の周期数が前記磁極対数の2倍になるように前記コイルを励磁するステップと、
前記磁極対数の2倍の周期数のインダクタンスに基づいて前記永久磁石型モータの回転位置を検出するステップと、
前記検出された回転位置に基づいて前記永久磁石型モータを制御するステップと、
を含むことを特徴とする永久磁石型モータの駆動方法。
【請求項6】
前記磁極位置の検出時に前記各コイルを励磁するステップは、前記各コイルをそれぞれがn個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分けるステップと、この第1〜第4ブロックにおける2ブロックのコイル相互および他の2ブロックのコイル相互を、それぞれインダクタンスの位相が電気角で180°相違するように結線して励磁するステップと、を含み、
前記磁極位置の検出後に前記各コイルを励磁するステップは、前記各コイルをそれぞれが2n個のコイルを含む第1〜第4ブロックに分けるステップと、この第1〜第4ブロックにおける2ブロックのコイル相互および他の2ブロックのコイル相互を、それぞれインダクタンスの位相が電気角で180°相違するように結線して励磁するステップと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の永久磁石型モータの駆動方法。
【請求項7】
前記磁極位置の検出時に前記各コイルを励磁するステップは、それぞれがn個のコイルを含む前記第1〜第4ブロックのコイルに直流電流を含む電流を流し、それによって、該第1〜第4ブロックのコイルに前記磁極対数に等しい周期数のインダクタンスを生じさせるステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の永久磁石型モータの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−135304(P2007−135304A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326036(P2005−326036)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】